JP2012151060A - 有機el素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】防湿性の向上を図り、光取り出し効率と信頼性に優れた有機EL素子を提供する。
【解決手段】反射性電極2と半透明性電極7との間に、発光層4を含む有機化合物層を配置し、さらに、半透明性電極7の光出射側に、蒸着膜であるバッファ層8と、バッファ層8に接し、CVD法で形成され、バッファ層8と屈折率が異なる第1の無機保護層9と、第1の無機保護層9に接して、CVD法で形成され、第1の無機保護層9と屈折率が異なる第2の無機保護層10と、が順次積層されている。
【選択図】図1

Description

本発明はフラットパネルディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、照明等に応用される有機EL素子に関する。
発光素子として有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子が現在盛んに研究開発されている。その中でも、基板/反射性電極/有機化合物層/半透明性電極と順次積層させて積層方向に光射出させるトップエミッション型の有機EL素子は、配線やTFTによる開口率のロスを防ぐことができることから、近年主流となりつつある。
このようなトップエミッション型の有機EL素子において、光取り出し効率を向上させる取り組みがなされている。例えば、反射性電極と半透明性電極の光学的距離を発光波長の略1/2の整数倍として、反射性電極と半透明性電極との間で反射する光が互いに強め合う共振器構造の関係となり、光取り出し効率が向上する。更には、反射性電極と発光面の光学的距離を波長の略1/4の奇数倍として、発光される光と反射性電極で反射されて戻る光との光の強め合いを利用する。この時、発光面から半透明性電極までの光学的距離は発光波長の略1/4の奇数倍となる。さらに特許文献1によれば、半透明性電極の、有機化合物層とは反対側に設けた多層ミラーによる干渉効果を利用して光取り出し効率を向上させる手法も知られている。
一方、有機EL素子の発光材料は水分に弱いために、信頼性を高めるために防湿層を形成する構成が開示されており、例えば特許文献2ではCVD法で形成された防湿層が配置されている。また特許文献3では、半透明性電極層成膜の後、透明層を介して補助電極層をスパッタ成膜することで、補助電極層成膜時の有機化合物層へのダメージを軽減する方法が開示されている。
特表2006−505092号公報 特開昭64−41192号公報 特開2005−158693号公報
上述したように、共振器構造を有したトップエミッション型の有機EL素子において、半透明性電極の、光取り出し側に多層ミラーを設けることで高い光取り出し効率を得ることができる。さらに、光取り出し側に防湿層を形成することにより信頼性の高い有機EL素子を得ることができる。しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、共振器構造を有したトップエミッション型の有機EL素子においては、高エネルギー成膜であるCVD法で防湿膜を形成した場合でも、寿命特性が著しく損なわれることがわかった。これは1つに、発光面から半透明性電極までの光学的距離が発光波長の略1/4の奇数倍となり、発光面から半透明性電極までの膜厚が薄く、CVD法によるプラズマ暴露や高エネルギー粒子打ち込み等によるダメージが顕著に発生してしまうことに起因する。またもう1つには、共振器構造に用いる半透明性電極の厚さが十数nmと非常に薄いために、該半透明性電極が有機化合物層へのダメージの緩和層として機能しないことに起因する。上述した防湿層形成による有機化合物層のダメージは、ボトムエミッション型や共振器構造のない有機EL素子では特出した問題とはならず、共振器構造を有したトップエミッション型の有機EL素子に特有の課題である。
本発明の課題は、上記問題点を解決し、トップエミッション型の有機EL素子において、防湿性の向上を図り、光取り出し効率と信頼性に優れた素子を提供することにある。
本発明は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された発光層を含む有機化合物層と、を有し、前記第2の電極側から光が出射する有機EL素子において、前記第2の電極の光出射側に、蒸着膜であるバッファ層と、前記バッファ層に接し、CVD法で形成され、前記バッファ層と屈折率が異なる第1の無機保護層と、前記第1の無機保護層に接して、CVD法で形成され、前記第1の無機保護層と屈折率が異なる第2の無機保護層と、が順次積層されていることを特徴とする。
本発明においては、光出射側に、バッファ層を介して屈折率の異なる複数の無機保護層を形成することにより、信頼性が高く且つ光取り出し効率の高い有機EL素子が実現する。
本発明の有機EL素子に係る実施形態を説明する断面模式図である。
以下、本発明の有機EL素子について、好ましい実施形態を挙げて詳細に説明する。図1は本発明の有機EL素子の一実施形態の構成を示す断面模式図である。
本発明の有機EL素子は、基本的に反射性電極(第1の電極)と半透明性電極(第2の電極)からなる一対の電極間に、少なくとも発光層を有する有機化合物層を配置し、半透明性電極の光出射側に、バッファ層と2層の無機保護層とが順次積層されている。図1に示す有機EL素子は、基板1上に、反射性電極2、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6、半透明性電極7、バッファ層8、第1の無機保護層9、第2の無機保護層10を順次設けたトップエミッション型の構成である。このうち、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5、電子注入層6が有機化合物層であり、発光層4以外の層は必要に応じて用いられる。そして、この有機EL素子に電流を通電することで、電極から注入された正孔と電子が発光層4において再結合して発光を生じる。
本発明の有機EL素子は、光学的な共振器構造を有する。この共振器構造の関係を位相シフトも含めた式で表すと、以下の関係式(1)となる。通常、反射性電極2での位相シフト量φ1と半透明性電極7での位相シフト量φ2はそれぞれπとなる。よって、反射性電極2から半透明性電極7までの光学的距離Dを発光層4の発光波長の略1/2の整数倍とすることで、反射性電極2と半透明性電極7との間で反射する光が互いに強め合う共振器構造の関係となり、光取り出し効率が向上する。
(2D/λ)+((φ1+φ2)/2π)=N(整数) (1)
D:反射性電極2から半透明性電極7までの光学的距離
λ:発光波長
φ1:反射性電極2での位相シフト量(ラジアン)
φ2:半透明性電極7での位相シフト量(ラジアン)
さらに、発光される光と反射性電極2で反射されて戻る光との光の強め合いを利用することができる。この光学干渉の関係を位相シフトも含めた式で表すと以下の関係式(2)となる。通常、反射性電極2での位相シフト量φ1はπとなるため、反射性電極2から発光面までの光学的距離Lを波長の略1/4の奇数倍とすることで、発光される光と反射性電極2で反射されて戻る光が互いに強め合う関係となり、光取り出し効率が向上する。
(2L/λ)+(φ1/2π)=N(整数) (2)
L:反射性電極から発光面までの光学的距離
λ:発光波長
φ1:反射性電極での位相シフト量(ラジアン)
尚、実際の有機EL素子では、正面の光取り出し効率とトレードオフ関係にある視野角特性なども考慮して、必ずしも上記の膜厚に完全に一致させる必要はない。
次に、本発明の有機EL素子の各部位についてそれぞれ詳しく説明する。
正孔輸送層3は、陽極からの正孔注入と正孔輸送の役割を担う。また、必要に応じて陽極である反射性電極2と正孔輸送層3の間に、銅フタロシアニンや酸化バナジウムなどの正孔注入層を形成しても良い。正孔注入輸送性能を有する低分子及び高分子材料としては、トリフェニルジアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポリフィリル誘導体、スチルベン誘導体、及びポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。しかしながら、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて正孔輸送層3と発光層4との間に、最低空軌道(LUMO)エネルギーの絶対値が小さい電子ブロック層を形成しても良い。
発光層4には、公知の発光材料をいずれも好適に用いることができる。発光材料は、単体で発光層4として機能する材料でもよいし、ホスト材料と発光ドーパントや電荷輸送ドーパント、などとの混合層として機能する材料でもよい。
電子輸送層5としては、公知の材料、例えばアルミキノリノール錯体やフェナントロリン化合物等を用いることができる。また、必要に応じて発光層4と電子輸送層5の間に、最高被占軌道(HOMO)エネルギーの絶対値が大きい正孔ブロック層を形成しても良い。
電子注入層6としては、アルカリ(土類)金属、またはアルカリ(土類)金属化合物の薄膜(5乃至10Å)を用いることができる。例えば、フッ化リチウム(LiF)やフッ化カリウム(KF)、酸化マグネシウム(MgO)が好ましい。また、厚膜化が可能な電子注入層として、有機化合物にドナー(電子供与性)ドーパントとして機能する金属又は金属化合物を混合する層を用いることができる。電子注入効率を向上させるために仕事関数の低い金属、もしくはその化合物をドーパントとして用いることが好ましく、仕事関数が低い金属としてはアルカリ金属またはアルカリ土類金属または希土類が好ましい。アルカリ金属化合物は、大気中での取り扱いが比較的容易なため好ましい。例えば、アルカリ金属化合物としてセシウム化合物が好ましく、炭酸セシウムは大気中で安定であり、取り扱いが容易である。電子注入層6の有機化合物としては電子輸送性の材料が好ましく、公知の材料、例えばアルミキノリノール錯体やフェナントロリン化合物等を用いることができる。
半透明性電極7は、薄膜の金、白金、銀、アルミニウム、クロム、マグネシウム又はこれらの合金などを用いることができる。特に、導電率と反射率が高い銀又は銀合金の薄膜が好ましい。また、金属薄膜は5nm以上20nm以下の膜厚であることが好ましい。例えば、銀又は銀合金の膜厚が5nm未満だと共振器構造として十分な反射率が得られない。一方で、銀又は銀合金の膜厚が20nmより大きい値であると、青色のEL発光波長(ピーク波長460nm近辺)に対して吸収での光ロスが発生してしまい、また赤色のEL発光波長(ピーク波長620nm近辺)に対しては反射率が大きくなる。最も波長の長い赤色に対して共振器構造が強くなりすぎることは、膜厚変動に対するロバスト性の観点から好ましくない。これは、光学干渉が強くなることで、有機化合物層の膜厚変動に対する輝度変化の割合が大きくなり、最も有機化合物層の膜厚が厚くなる赤色素子の膜厚管理が厳しくなってしまうからである。
また、膜厚が5nm以上20nm未満の半透明性電極7は、スパッタリング法で形成された金属薄膜であることが好ましい。本発明の構成では、半透明性電極7のみでカソードの導通を確保することとなる。しかしながら、膜厚が5nm以上20nm未満の金属薄膜を蒸着法で形成すると島状の(連続膜でない)膜となり、画素分離膜やコンタクトホールなどの凹凸部で断線するなど信頼性の面で問題となる場合が多い。また、金属薄膜のプロセス管理が厳しくなってしまう。それに対して、スパッタリング法で形成する場合には連続膜となりやすく、本発明者の検討では、膜厚が5nm以上20nm未満という薄膜であればスパッタ時間が短く、スパッタリング法による有機化合物層へのダメージは特段の問題とならない。またこの時、電子注入層6には、有機化合物に金属又は金属化合物(電子供与性のドナードーパント)を混合した電子注入層が好ましい。LiFなどの薄膜の電子注入層と違って厚膜化が可能であり、膜厚が5nm以上20nm未満という薄膜のスパッタリングであればダメージ緩和層として機能すると考えられる。
バッファ層8は、実質的に透明性を有した蒸着膜を用いることができる。透明性を有することで、光吸収によるロスを少なくすることができる。本発明者は、共振器構造を有したトップエミッション型の有機EL素子の上に無機保護層をCVD法で成膜する構成において、バッファ層8を挿入することで著しく寿命特性を改善できることを実験により見出した。このメカニズムは、共振器構造を有したトップエミッション型の有機EL素子においては、半透明性電極7から発光面までの光学的距離が発光波長の略1/4の奇数倍となり、発光層4から半透明性電極7までの膜厚が薄いことに起因する。即ち、半透明性電極7上にCVD法により無機保護層を成膜する場合、製造工程中の有機EL素子がプラズマ中の高エネルギーイオン雰囲気に晒され、また成膜粒子自体も高エネルギーをもって半透明性電極7上に打ち込まれる。半透明性電極7から発光層4までの距離が近い場合は半透明性電極7のみならず下層にまで成膜の影響が及び、発光層4にもダメージを与えてしまう。このような構成においては、バッファ層8がダメージ緩和層として顕著な効果を示すことがわかった。バッファ層8は蒸着法を用いるので素子をプラズマに晒すことなく成膜ができ、且つその上にCVD法で成膜する際の保護膜としても作用する。本発明者の実験によって得られたバッファ層8の典型的な効果は、25mA/cm2で発光させて輝度が1.5%低下する劣化時間で比較した場合に、バッファ層8がない場合に対して1.2倍乃至5.0倍に劣化時間が改善された。
共振器構造のない従来の有機EL素子であれば、スパッタリング法やCVD法によるダメージを緩和する方法として、電子注入層6などを厚く形成する方法が考えられる。しかしながら、共振器構造を有したトップエミッション型の有機EL素子においては、特にピーク波長が短い青色素子において共振器構造に最適な膜厚が薄いために、ダメージを十分に緩和できるほどに電子注入層6を厚くすることが難しい。電子注入層6を厚くするために、発光面から半透明性電極7までの光学的距離を発光層4の発光波長の略3/4倍や5/4倍の値などでもよいが、厚膜化による光吸収や材料消費の問題、またプロセスのタクトが長くなる等の問題が生じる。よって、発光面から半透明性電極7までの光学的距離を発光層4の発光波長の略1/4とすることが好ましい。また、本発明の共振器構造に用いる半透明性電極7は十数nmと非常に薄いために、ダメージ緩和層としては機能しない。
バッファ層8は前述のように蒸着法により形成され、従来のカバレッジ層などに用いられる熱硬化樹脂や光硬化樹脂は好ましくない。これらの樹脂の場合、硬化時の熱や光によるEL層の劣化や、硬化時の応力による膜剥がれが問題となる場合がある。また、塗布プロセスでのモノマーや溶剤の半透明性電極7を通した有機化合物層への浸透の問題や、非真空プロセスでのコンタミや有機化合物層の劣化が問題となる場合がある。
バッファ層8の材料としては、透明で且つ蒸着法での成膜が容易であるという点から、有機化合物が好適に用いられる。例えば、有機化合物層を構成するいずれかと同一の材料(正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料など)を用いることができ、材料を共通化することで、コストを抑えることができる。本発明の有機EL素子では、バッファ層8を通して半透明性電極7の導通がとられる構成ではないため、この点においてバッファ層8の導電率は問題とならない。
以下に、本発明のバッファ層8の膜厚について詳しく説明する。
本発明のバッファ層8の光学的な厚さ(バッファ層8の屈折率と膜厚との積)は、発光層4の発光波長の略1/4の奇数倍であることが好ましい。このような膜厚とすることで、バッファ層8と第1の無機保護層9との界面で反射されて戻る光と、半透明性電極7で反射されて戻る光の位相が揃う関係となり、本発明の共振器構造を更に強めることができる。共振器構造を強める方法として、半透明性電極7の膜厚を厚くして反射率を高くする方法も考えられるが、実際には膜厚を厚くすることで光吸収が大きくなってしまうことが問題となる。特に、最も短い発光波長である青色(ピーク波長460nm近辺)に対して、半透明性電極7の厚膜化による光吸収が大きくなってしまう。また一般的に、短波長側の青色の半透明性電極7での反射率は、長波長側の赤色に対して小さくなってしまう。このようなことから、特に青色の発光波長に対してバッファ層8の光学的な厚さを発光波長の略1/4の奇数倍とすることが好ましい。
バッファ層8の光学的な厚さは発光層4の発光波長の略3/4倍や5/4倍の値でもよいが、厚膜化による光吸収や材料消費の問題に比べてメリットが無いので、バッファ層8の光学的な厚さは発光層4の発光波長の略1/4であることが好ましい。よって、最も波長の長い赤色のEL発光波長(ピーク波長620nm近辺)と、一般的な有機材料の屈折率1.8を考慮すると、バッファ層8の膜厚は100nm未満が好ましい。
本発明は、バッファ層8の光干渉層としての機能を強めて光取り出し効率を高めるために、バッファ層8に隣接して、バッファ層8とは屈折率の異なる第1の無機保護層9を設け、さらに防湿性の高い第2の無機保護層10を設ける。第1の無機保護層9と第2の無機保護層10との間にも屈折率段差を設け、第1の無機保護層9の光学的な厚さを発光層4の発光波長の略1/4とすることで、第1の無機保護層9の両界面で干渉効果を得ることができ、より高効率の有機EL素子を実現できる。屈折率差が大きいほど、バッファ層8と第1の無機保護層9との界面及び第1の無機保護層9と第2の無機保護層10との界面での反射率が大きくなり、干渉をより強めることができる。よって、バッファ層8と第1の無機保護層9との屈折率差、及び、第1の無機保護層9と第2の無機保護層10との屈折率差はそれぞれ、0.2以上が好ましく、さらに0.5以上がよい。
一般的に防湿効果の高い材料としてよく知られた膜として、CVD法で成膜した窒化ケイ素が挙げられ、屈折率はおよそ2.0である。第2の保護層10はこの窒化ケイ素を主成分とすることが好ましい。また、バッファ層8として用いる有機材料の屈折率が1.8なので、第1の無機保護層9として低屈折率である酸化ケイ素を主成分とした膜を用いることで、第1の無機保護層9の両界面で屈折率段差を設けることができる。第1の無機保護層9は酸化ケイ素を主成分とすることで屈折率を下げることができるが、第1の無機保護層9についても防湿性を求めるのであれば窒素を添加してもよく、効率を重視して低屈折率膜とするのであればフッ素を添加しても良い。尚、主成分とは、層を構成する材料のうち最も多い成分のことであり、少なくとも30質量%以上含まれることが好ましい。
何れにしても第1の無機保護層9と第2の無機保護層10が共通の主成分としてケイ素を用いている場合、どちらもCVD法で成膜することができる。即ち、第1の無機保護層9を成膜した後にプロセスガスを入れ替えて、第2の無機保護層10を連続成膜することが可能である。CVD法は蒸着法に比べて成膜速度も速いので、第2の無機保護層10が厚すぎなければ一つのCVDチャンバで2層を成膜したとしてもタクトに対する律速段階にはならず生産性を落とすこともない。
尚、本実施形態では、低屈折率である第1の無機保護層9の上に第2の無機保護層10を積層しているが、これらの膜を発光層4の発光波長の略1/4の膜厚でさらに積層することで効率をさらに向上させることもできる。また、本実施形態では基板1上の反射性電極2が陽極となる構成で説明してきたが、本発明はこの形態に限定されるものではない。基板1側より反射性電極(陰極)、電子注入層、発光層、正孔輸送層、半透明性電極(陽極)、バッファ層、無機保護層の順序で構成されてもよい。
(実施例1)
図1に示す構成の有機EL素子を以下に示す方法で作製した。
基板1としてのガラス基板上に、反射性電極2として、先ずアルミニウム合金(AlNd)を100nmの膜厚でスパッタリング法にて成膜し、更に、ITOをスパッタリング法にて70nmの膜厚で形成した。次に、高さ1μmでテーパー角40°の画素分離膜をポリイミドにより形成し、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)で順次超音波洗浄した後、IPAで煮沸洗浄して乾燥した。更に、この基板表面に対してUV/オゾン洗浄を施した。
先ず、下記構造式1で示される正孔輸送材料を40nmの膜厚となるように成膜して正孔輸送層3を形成した。次に、下記構造式2で示される正孔輸送(電子ブロック)材料を10nmの膜厚となるように成膜して電子ブロック層(不図示)を形成した。次に、下記構造式3で示されるホスト材料と、構造式4で示されるゲスト材料とを共蒸着(質量比95:5)して膜厚25nmの発光層4を形成した。次に、前記発光層4の上に下記構造式5で示される電子輸送(正孔ブロック)材料を10nmの膜厚となるように成膜して正孔ブロック層(不図示)を形成した。更に、前記正孔ブロック層の上に下記構造式6で示されるフェナントロリン化合物を10nmの膜厚となるように成膜して電子輸送層5を形成した。
Figure 2012151060
次に、上記構造式6で示されるフェナントロリン化合物と炭酸セシウムを、層中のセシウム濃度が8.3質量%となるように共蒸着して、膜厚15nmの電子注入層6を形成した。次に、前記電子注入層6の上に銀(Ag)を加熱蒸着法で成膜して、膜厚16nmの半透明性電極7を形成した。次に、半透明性電極7の上に、上記構造式6で示されるフェナントロリン化合物を蒸着して、膜厚80nmのバッファ層8を形成した。バッファ層8の屈折率は1.8であった。
さらに、前記バッファ層8の上に第1の無機保護層9として屈折率1.5のSiOxを成膜した。この際、CVDチャンバ内にシラン、酸素を導入し、RF出力50Wにて80nmの膜厚を成膜した。成膜後、一旦チャンバ内を1×10-3Paまで真空排気してからシラン、窒素、水素を導入し、膜厚1000nmの第2の無機保護層10を形成した。この第2の無機保護層10は窒化ケイ素からなり屈折率は2.0であった。この時、CVDの成膜速度は約30Å/secであり、材料ガスの入替え時間を含めても500secほどで2層分の成膜が完了した。有機化合物層の蒸着速度は約1Å/secであり、バッファ層8を80nmの厚さまで成膜するのに約800secかかるため、有機プロセスよりも十分短い時間でCVD膜の成膜が完了した。
このようにして得られた有機EL素子は、反射性電極2から発光面までの光学的距離が、発光層4の発光波長の略3/4で、且つ、発光面から半透明性電極7までの光学的距離が発光波長の略1/4であった。また、半透明性電極7からバッファ層8の上面までの距離、バッファ層8の上面から第1無機保護層9の上面までの距離がそれぞれ、発光層4の発光波長の略1/4という共振器構造の関係となり、光取り出し効率が向上し、電流効率3.3cd/Aが得られた。
また、無機保護層9,10の形成によりダークスポットや膜剥がれなどの水分由来の劣化は観測されなかった。
また本実施例では、SiOxのCVDプロセスダメージをバッファ層8により緩和することができ、優れた寿命特性を達成することができ、25mA/cm2で発光させて輝度が1.5%低下する劣化時間がおよそ200時間であった。
(実施例2)
第1の無機保護層9として屈折率1.6のSiONを用いた以外は実施例1と同様な条件にて有機EL素子を作製した。第1の無機保護層9の成膜時のプロセスガスとしては、シラン、酸素、窒素の混合ガスを用いた。
本実施例では第1の無機保護層9とバッファ層8、第2の無機保護層10との屈折率差が実施例1よりもやや小さいために光取り出し効率はやや下がるが、電流効率3.0cd/Aが得られた。
また、保護層の形成によりダークスポットや膜剥がれなどの水分由来の劣化が観測されず、寿命特性に関しても25mA/cm2で発光させて輝度が1.5%低下する劣化時間はおよそ200時間となった。
(実施例3)
第1の無機保護層9として屈折率1.4のSiOFを用いた以外は実施例1と同様な条件にて有機EL素子を作製した。第1の無機保護層9の成膜時のプロセスガスとしては、シラン、酸素、フッ素の混合ガスを用いた。
本実施例では第1の無機保護層9とバッファ層8、第2の無機保護層10との屈折率差が実施例1よりもやや大きいために光取り出し効率が更に上がり、電流効率3.5cd/Aが得られた。
また、保護層の形成によりダークスポットや膜剥がれなどの水分由来の劣化が観測されず、寿命特性に関しても25mA/cm2で発光させて輝度が1.5%低下する劣化時間はおよそ200時間となった。
(比較例1)
バッファ層8を除いて第1の無機保護層9を半透明性電極7の上に直接成膜した以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。その結果、CVD膜成膜時のプロセスダメージにより、25mA/cm2で発光させて輝度が1.5%低下する劣化時間はおよそ50時間となった。
(比較例2)
第1の無機保護層9を形成せず、バッファ層8の上に直接第2の無機保護層10を成膜した以外は実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。その結果、半透明性電極7上部での干渉効果がほとんど得られず、電流効率は2.6cd/Aまで低下した。
2:反射性電極、4:発光層、7:半透明性電極、8:バッファ層、9:第1の無機保護層、10:第2の無機保護層

Claims (4)

  1. 第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された発光層を含む有機化合物層と、を有し、前記第2の電極側から光が出射する有機EL素子において、
    前記第2の電極の光出射側に、
    蒸着膜であるバッファ層と、
    前記バッファ層に接し、CVD法で形成され、前記バッファ層と屈折率が異なる第1の無機保護層と、
    前記第1の無機保護層に接して、CVD法で形成され、前記第1の無機保護層と屈折率が異なる第2の無機保護層と、
    が順次積層されていることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記第1の無機保護層と前記第2の無機保護層は、それぞれ主成分がケイ素であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記第1の無機保護層の主成分が酸化ケイ素であり、前記第2の無機保護層の主成分が窒化ケイ素であることを特徴とする請求項2に記載の有機EL素子。
  4. 前記第2の電極は、5nm以上20nm以下の膜厚からなる金属薄膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の有機EL素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017112052A (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 東京エレクトロン株式会社 成膜方法および成膜装置
US11217772B2 (en) 2018-10-01 2022-01-04 Samsung Display Co., Ltd. Thin film encapsulation structure for display apparatus
US11258042B2 (en) 2019-04-22 2022-02-22 Samsung Display Co., Ltd. Display apparatus having a barrier wall

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