以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図2はこの発明の実施の形態1に係る画像位置検知装置を適用した画像形成装置としてのタンデム型のカラープリンタを示す構成図である。また、図3は同カラープリンタの画像形成部を示す構成図である。
この画像形成装置は、図2に示すように、パーソナルコンピュータや図示しない画像読取装置等から出力される画像データ、あるいは電話回線やLAN等を介して送られてくる画像データに応じて、フルカラーやモノクロなどの画像を出力するものである。
上記画像形成装置本体1の内部には、図2に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)2や図示しない画像読取装置等から送られてくる画像データに対して、必要に応じて、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理を施す画像処理部3が配置されているとともに、カラープリンタ全体の動作を制御する制御部4が配置されている。
そして、上記の如く画像処理装置3で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理部3によって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の画像データに変換され、次に述べるように、カラープリンタ本体1の内部に設けられた画像出力部5によってフルカラー画像やモノクロ画像などとして出力される。
上記画像形成装置本体1の内部には、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット(画像形成手段)6Y、6M、6C、6Kが、第1色目のイエロー(Y)の画像形成ユニット6Yが相対的に高く、黒の(K)の画像形成ユニット7Kが相対的に低くなるように、水平方向に対して予め定められた角度(例えば、約10度)だけ傾斜した状態で一定の間隔を隔てて並列的に配置されている。なお、上記画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの傾斜角度は、約10度に限定されるものではなく、これより大きな角度であっても小さな角度であっても良いことは勿論である。
このように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kを、予め定められた角度だけ傾斜した状態で配置することにより、これら4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kを水平に配置した場合と比較して、画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K間の距離を短く設定することができ、カラープリンタ本体1の配列方向に沿った幅を小さくして小型化が可能となる。
これら4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kは、基本的に、形成する画像の色以外は同様に構成されており、図2及び図3に示すように、大別して、図示しない駆動手段により矢印A方向に沿って予め定められた速度で回転駆動される像保持体としての感光体ドラム8と、この感光体ドラム8の表面を帯電する一次帯電用の帯電ロール9と、当該感光体ドラム8の表面に予め定められた色に対応した画像を露光して静電潜像を形成するLEDプリントヘッドからなる画像露光装置7と、感光体ドラム8上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像する現像装置10と、感光体ドラム8の表面を清掃するクリーニング装置11とから構成されている。
上記感光体ドラム8としては、例えば、直径約30mm程度のドラム状に形成され、表面に有機光導電体(OPC)等からなる感光体層を被覆したものが用いられ、図示しない駆動モータにより矢印A方向に沿って予め定められた速度で回転駆動される。
また、上記帯電ロール9としては、例えば、芯金の表面に合成樹脂や合成ゴムからなり電気抵抗を調整した導電層を被覆したロール状の帯電器が用いられ、この帯電ロール9の芯金には、予め定められた帯電バイアスが印加される。
上記画像露光装置7は、図2に示すように、4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6K毎に個別に配置されており、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに設けられる画像露光装置7としては、LED発光素子を予め定められたピッチ(例えば、600dpi〜1200dpi)で感光体ドラム8の軸方向に沿って直線状に配列したLED発光素子アレイと、当該LED発光素子アレイの各LED発光素子から出射された光を感光体ドラム8上にスポット状に結像するロッドレンズアレイとを備えたものが用いられる。また、上記画像露光装置7は、図2及び図3に示すように、下方から感光体ドラム8上に画像を走査露光するように配置されている。
なお、上記画像露光装置7としてLED発光素子アレイからなるものを用いた場合には、画像露光装置7を大幅に小型化することができるため望ましいが、画像露光装置7としては、LED発光素子アレイからなるものに限らず、レーザービームを各感光体ドラム8の軸方向に沿って偏向走査するものなどを用いても良い。この場合には、例えば、4つの画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに対して1つの画像露光装置が配置される。
上記画像処理部3からは、上述したように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kに個別に設けられた画像露光装置7Y、7M、7C、7Kに、各色に対応した画像データが順次出力され、これらの画像露光装置7Y、7M、7C、7Kから画像データに応じて出射された光束は、対応する感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kの表面に走査露光され、各感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kの表面には、画像データに応じた静電潜像が形成される。上記感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に形成された静電潜像は、現像装置10Y、10M、10C、10Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
上記各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8K上に、順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの上方にわたって傾斜した状態で配置された被検知媒体としての無端ベルト状の中間転写ベルト12上に、4つの一次転写ロール13Y、13M、13C、13Kによって順次多重に一次転写される。
なお、この実施の形態では、被検知媒体として中間転写ベルト12を用いているが、被検知媒体としては、記録媒体を保持した状態で搬送する搬送ベルトなどを用いても良いことは勿論である。
この中間転写ベルト12は、複数のロールによって張り渡された無端ベルト状部材であり、当該ベルト状部材の下辺走行領域が、その走行方向に沿った下流側が相対的に低く、且つ上流側が相対的に高くなるように、水平方向に対して画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの傾斜角度と等しい角度だけ傾斜した状態で配置されている。
即ち、上記中間転写ベルト12は、図2に示すように、二次転写部の背面支持ロールとしての機能を兼ね備えた駆動ロール15と、従動ロール14との間に予め定められた張力で掛け回されており、図示しない定速性に優れた駆動モータによって回転駆動される駆動ロール15により、矢印B方向に沿って予め定められた速度で循環駆動される。上記中間転写ベルト12としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムによって無端ベルト状に形成したものが用いられる。上記中間転写ベルト12は、その下辺走行領域において、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kの感光体ドラム8Y、8M、8C、8Kに接触するように配置されている。
また、上記中間転写ベルト12には、図2に示すように、当該中間転写ベルト12の走行領域の低位側端部に配置され、中間転写ベルト12上に多重に一次転写されたトナー像を記録媒体16上に一括して二次転写する二次転写手段としての二次転写ロール17が、駆動ロール15によって張架された中間転写ベルト12の表面に接触するように配置されている。
上記中間転写ベルト12上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図2に示すように、駆動ロール15に中間転写ベルト12を介して接触する二次転写ロール17によって、記録媒体としての記録用紙16上に一括して二次転写され、これらの各色のトナー像が転写された記録用紙16は、鉛直方向の上方に位置する定着装置18へと搬送される。上記二次転写ロール17は、駆動ロール15の側方に中間転写ベルト12を介して圧接しており、鉛直方向の下方から上方に沿って搬送される記録用紙16上に、各色のトナー像を一括して二次転写するように構成されている。
上記二次転写ロール17としては、例えば、ステンレス等の金属からなる芯金の外周に、導電剤を添加した合成ゴム材料等の導電性弾性体からなる弾性体層を予め定められた厚さに被覆したものが用いられる。
そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙16は、定着手段としての定着装置18の加熱ロール19及び加圧ベルト(又は加圧ロール)20によって熱及び圧力で定着処理を受けた後、排出ロール21によってプリンタ本体1の上端部に設けられた排出トレイ22上に画像面を下にした状態で排出される。
上記記録用紙16は、図2に示すように、プリンタ本体1内の底部に配置された給紙トレイ23から予め定められたサイズ及び材質のものが、給紙ロール24及び用紙分離ロール25により一枚ずつ分離された状態で給紙され、レジストロール26まで一旦搬送されて停止される。そして、上記給紙トレイ23から供給された記録用紙16は、予め定められたタイミングで回転するレジストロール26によって中間転写ベルト12の二次転写位置へと送り出される。上記記録用紙16としては、普通紙以外にも、表面又は表裏両面にコーティング処理が施されたコート紙等の厚紙や、OHPシートなども供給可能となっており、コート紙からなる記録用紙16には、写真画像なども出力される。
その際、上記記録用紙16は、例えば、その給紙方向と交差する方向の中央部を基準として給紙搬送されて、中間転写ベルト12上からトナー像が転写されると共に定着され、同じく、その給紙方向と交差する方向の中央部を基準として排出トレイ22上に排出される。ただし、必ずしもこれに限定される訳ではなく、上記記録用紙16は、例えば、その給紙方向と交差する方向の一端部を基準として給紙搬送されるように構成しても良い。
なお、トナー像の一次転写工程が終了した感光体ドラム8の表面は、図2及び図3に示すように、クリーニング装置11によって残留トナーが除去されて、次の画像形成工程に備える。また、トナー像の二次転写工程が終了した中間転写ベルト12の表面は、図2に示すように、駆動ロール15の下流側の近傍に設けられたベルトクリーニング装置27によって残留トナー等が除去されて、次の画像形成工程に備える。
ところで、上記画像形成装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kにおいて、形成する画像に応じて1色乃至4色の各色のトナー像を形成し、これらの各色のトナー像を中間転写ベルト12上に互いに重ね合わせた状態で一次転写し、所望の色の画像を形成するものである。そのため、この画像形成装置は、各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kで形成される各色のトナー像に画像の濃度ムラや画像の位置ズレ等があると、カラー画像の色調が変動したり色ズレ等が発生し、画質が低下する虞れがある。
そこで、上記画像形成装置では、装置の電源投入時や予め定められた枚数だけ記録用紙に画像を形成する毎、あるいは休止動作からの復帰時、現像装置にトナーを供給する図示しないトナーカートリッジを交換した時などの予め定められたタイミングで、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kによって中間転写ベルト12上に、画像濃度検知用のトナー像及び画像位置検知用のトナー像を形成し、当該画像濃度検知用のトナー像及び画像位置検知用のトナー像の双方を正反射型のトナー検知手段によって検知することにより、前記制御部4によって各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kにおける画像濃度や画像位置を制御するように構成されている。
上記画像濃度検知用のトナー像及び画像位置検知用のトナー像は、例えば、黒色及び少なくとも1色のカラーのトナーを用いて形成されるが、この実施の形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のすべての色のトナーを用いて形成するように構成されている。
上記画像濃度検知用のトナー像としては、例えば、図4に示すように、画像濃度Cinが30%や70%程度の中間調濃度、及び必要に応じて100%の最高濃度など、少なくとも1種類の濃度で、正方形等の平面矩形状に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナーパッチ31Y、31M、31C、31Kが用いられる。また、上記画像位置検知用のトナー像としては、例えば、図4に示すように、画像濃度Cinが80〜100%程度の高濃度で、感光体ドラム8の軸方向である副走査方向に沿って予め定められた幅及び長さを有するように比較的細い直線状に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kが用いられる。
なお、上記画像位置検知用のトナー像としては、図4に示すように、感光体ドラム8の軸方向である副走査方向に沿って予め定められた幅及び長さを有するように比較的細い直線状の第1のトナー像33aと、当該第1のトナー像33aの副走査方向の一端部から感光体ドラム8の周方向である主走査方向に沿って予め定められた角度(例えば、45度)だけ傾斜した状態で予め定められた幅及び長さを有するように比較的細い直線状の第2のトナー像33bとからなるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のレジずれ検知用パターン33Y、33M、33C、33Kを用いても良い。これらのレジずれ検知用パターン33Y、33M、33C、33Kを用いた場合には、画像の副走査方向及び主走査方向の両方の位置を検知することができ、画像の形成位置を副走査方向及び主走査方向の両方で制御することができ、画質をより向上させることができる。
上記トナーパッチ31Y、31M、31C、31K及びレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kは、例えば、図4に示すように、中間転写ベルト12の移動方向と交差する方向であって当該中間転写ベルト12の表面に沿った方向の一端部に形成されるが、これに限定されるものではなく、トナーパッチ31Y、31M、31C、31K及びレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kの形成位置は、トナー像検知手段40の位置に対応していれば良く、中間転写ベルト12の移動方向と交差する方向であって当該中間転写ベルト12の表面に沿った方向の中央部あるいは他方の端部に設定したり、中間転写ベルト12の表面に沿った方向の中央部と少なくとも一方の端部など複数設けても良い。
また、上記トナーパッチ31Y、31M、31C、31K及びレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kを検知するトナー像検知手段40は、図2に示すように、例えば、黒色の画像形成ユニット6Kの中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側であって、駆動ロール15によって保持された中間転写ベルト12の表面あるいはその近傍に配置されている。
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像位置検知装置のトナー像検知手段を示す構成図である。
このトナー像検知手段としてのトナー像検知センサ40は、上述したように、トナーパッチ31Y、31M、31C、31Kとレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kの双方を検知する兼用タンプのセンサであり、図1に示すように、発光素子としての例えば赤外領域乃至赤色領域の波長の光を出射するLED41と、受光素子としてのフォトトランジスタ42とを備えた正反射型のセンサから構成されている。上記LED41とフォトトランジスタ42とは、被検知媒体としての中間転写ベルト12表面の検知位置に立てられた垂線Hに対して、入射角度θ1及び反射角度θ2が共に10度となるように設定されている。ただし、上記LED41とフォトトランジスタ42の入射角度θ1及び反射角度θ2は、10度に限定されないことは勿論である。
また、上記トナー像検知センサ40のハウジング43には、図1に示すように、LED41から出射される光束を被検知媒体としての中間転写ベルト12の表面に照射する第1の開口部44と、被検知媒体としての中間転写ベルト12表面からの反射光を受光するための第2の開口部45が設けられている。この実施の形態では、例えば、第1の開口部44の開口(アパーチャ)径がφ2.8mmに、第2の開口部45の開口(アパーチャ)径がφ1.3mmにそれぞれ設定されており、第1の開口部44の開口径が第2の開口部45の開口径よりも2倍以上大きく設定されている。
上記第1の開口部44は、図1に示すように、LED41から出射される光束を予め定められた開口径に絞って中間転写ベルト12の表面に照射するように構成されており、上述したように、第1の開口部44の出射端部の開口径がφ2.8mmに設定されている。
一方、上記第2の開口部45は、図1に示すように、中間転写ベルト12の表面に形成されるレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32K等からの反射光の光束を予め定められた開口径に絞って受光素子42に入射するように構成されており、上述したように、第2の開口部45の入射端部の開口径が例えばφ1.3mmに設定されている。さらに、受光素子42の先端部は、中間転写ベルト12表面からの反射光の光束を第2の開口部45によって効果的に絞るため、トナー像検知センサ40のハウジング43の端面から約4.2mm程奥側に位置するように配置されている。
さらに、上記トナー像検知センサ40は、図1に示すように、LED41の発光部から出射された光束が第1の開口部44で遮られて、円形状に設定された第1の照射領域46を予め定められた明度で照射するようになっている。一方、上記トナー像検知センサ40では、LED41の発光部から出射された光束が照射された第1の照射領域46のうち、中間転写ベルト12表面からの反射光が第2の開口部45で遮られて、円形状に設定された第2の照射領域47から反射する光のみがフォトトランジスタ42に入射され、当該フォトトランジスタ42によって受光されるように設定されている。なお、図5中、符号48は、トナー像検知センサ40を取り付けるための取付孔を示している。
その際、上記トナー像検知センサ40は、図1及び図5に示すように、ハウジング43の端部である第1及び第2の開口部44、45から被検知媒体としての中間転写ベルト12表面までの距離(以下、便宜上「焦点距離」という)が8mmとなるように固定した状態で配置されている。また、上記トナー像検知センサ40は、図1に示すように、ハウジング43の端部からLED41及び受光素子42の中心線が互いに交差する位置までの距離が11.5mmとなるように設定されている。
図6は上記画像位置検知装置の検知回路の構成を示すブロック図である。
図6において、符号41はLEDを、符号42は受光素子をそれぞれ示しており、受光素子42から出力される信号は、電流−電圧変換器51によって電圧値に変換された後、増幅器(オペアンプ)52によって予め定められた増幅率(ゲイン)で増幅される。
上記増幅器52によって増幅された信号は、図7に示すように、比較手段としてのコンパレータ53によって予め定められた閾値と比較され、コンパレータ53からは、増幅器52によって増幅された信号が予め定められた閾値以下となっている間、例えば“H”レベルの出力信号が出力される。そして、タイミング判別回路54では、増幅器52によって増幅された信号が予め定められた閾値以下となったとき、即ちコンパレータ53の出力が“L”レベルから“H”レベルに変化したときのタイミングが判別され、カウンタ55では、増幅器52によって増幅された信号が予め定められた閾値以下となったときのタイミングにおける図示しない基準パルス発生器から出力される基準パルスのカウント値と、増幅器52によって増幅された信号が予め定められた閾値を超えたとき、即ちコンパレータ53の出力が“H”レベルから“L”レベルに変化したときのタイミングにおける図示しない基準パルス発生器から出力される基準パルスのカウント値とがカウントされる。
上記カウンタ55からのカウント値は、図6に示すように、制御部4に設けられたカラープリンタのマイクロコンピュータ56に入力され、このマイクロコンピュータ56では、例えば、カウンタ55から出力される増幅器52によって増幅された信号が予め定められた閾値以下となったときのカウント値と、増幅器52によって増幅された信号が予め定められた閾値を超えたときのカウント値との中央値を演算することによって、レジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kの位置を検出する。そして、マイクロコンピュータ56は、例えば、黒(K)色のレジずれ検知用パターン32Kの位置を基準として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のレジずれ検知用パターン33Y、33M、33Cとの間の副走査方向に沿った距離が予め定められた値と等しいか、又は予め定められた値との誤差が決められた範囲内となるように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各画像形成ユニット6Y、6M、6Cにおける画像位置の補正値を算出して画像位置を補正する動作を実行する。なお、同様に、マイクロコンピュータ56は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナーパッチ31Y、31M、31C、31Kの検知濃度に基づいて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kにおける画像濃度の補正値を算出して画像濃度を補正する動作を実行する。
ところで、上記トナー像検知センサ40として従来の画像濃度センサをそのまま用いて、レジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kの位置を検知した場合には、図4に示すように、イエロー色のレジずれ検知用パターン32Yと黒色のレジずれ検知用パターン32Kとの間の距離(Y−M)、マゼンタ色のレジずれ検知用パターン32Mと黒色のレジずれ検知用パターン32Kとの間の距離(M−K)、シアン色のレジずれ検知用パターン32Cと黒色のレジずれ検知用パターン32Kとの間の距離(C−K)をそれぞれ検知した場合の検知誤差を調べたところ、図8に試作品(TR1)として示すように、−100.0μm〜−120.0μm程度の検知誤差が発生していることが判った。
本発明者は、従来の画像濃度センサをそのままレジずれ検知用センサとして用いた場合、図8に示すように、−100.0μm〜−120.0μm程度の大きな検知誤差が発生する原因について鋭意研究した結果、レジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32K及び当該レジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kが形成された中間転写ベルト12表面の正反射光の分布と拡散反射光の分布に依存していることを明らかにした。
上記トナー像検知センサ40は、上述したように、トナーパッチとレジずれ検知用パターンの双方を検知するものであるが、トナー像検知センサ40によってトナーパッチを検知する場合には、トナーパッチの濃度に依存したトナー像検知センサ40の出力の大小が重要となる。
これに対して、上記トナー像検知センサ40によってレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kを検知する場合には、トナー像の濃度に依存したトナー像検知センサ40の出力の大小ではなく、レジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kの位置に依存したトナー像検知センサ40の出力の位置情報が重要となる。
上記中間転写ベルト12表面のトナー像が形成された領域では、トナー像が黒色のトナーからなる場合、LED41から出射される光束は、図9(a)に示すように、黒色のトナーでは照射光が殆どすべて吸収され、黒色のトナー像で正反射されてトナー像検知センサ40のフォトトランジスタ42で受光される光はほとんどない。
これに対して、LED41から出射される光束は、レジずれ検知用パターンがイエロー、マゼンタ、シアンのカラーのトナーからなる場合には、図9(b)に示すように、照射光のうち、微量の光が拡散反射され、カラートナーからの拡散反射光が、トナー像検知センサ40のフォトトランジスタ42で受光されてしまい、イエロー、マゼンタ、シアンのカラーのトナーからなるレジずれ検知用パターンの場合には、当該レジずれ検知用パターンからの正反射光がパターンの位置に対応して比較的幅が狭く大きなピーク値を示すのに対して、レジずれ検知用パターンからの拡散反射光は、パターンの位置に対応して幅が広く比較的小さなピーク値を示す。
そこで、上記正反射型のトナー像検知センサ40を用いて黒色及びイエロー、マゼンタ、シアンのカラーのトナーからなるレジずれ検知用パターンの位置の検知精度を向上させるためには、受光素子による正反射光の受光量を可能な限り減少させずに、如何にしてレジずれ検知用パターンからの拡散反射光の影響を低減するかが重要となる。
そこで、本発明者は、図1に示す正反射型のトナー像検知センサ40において、レジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kからの拡散反射光の影響を低減するため、受光素子42の開口部45の開口径を小さく設定する構成を採用した。ただし、従来の画像濃度センサとして用いられる正反射型のトナー像検知センサ40では、光量のバランス等の観点から、受光素子42の開口部45の開口径と発光素子41の開口部44の開口径とが等しく設定されていたため、受光素子42の開口径の小径化に伴って発光素子41の開口径をも小径化すると、発光素子41の光量を増加させない限り、レジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kに照射される光量が低下し、受光素子に入射する正反射光の受光量も減少することになる。
そのため、この実施の形態に係るトナー像検知センサ40では、非対称の光学系を採用し、発光側である第1の開口部44の開口径を受光側である第2の開口部45の開口径よりも大きく設定している。
次に、本発明者は、第1の開口部44の開口径と、受光側である第2の開口部45の開口径を、図8(b)に示すようにそれぞれ変化させた場合に、レジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kの位置の検知誤差がどのように変化するのか確認する実験を行った。
図8(a)はトナー像検知センサ40において、第1の開口部44の開口径と第2の開口部45の開口径とをそれぞれ1.35mmと2.40mm、1.00mmと1.50mm、1.30mmと2.80mmに設定したセンサ(TR1〜TR4)をそれぞれ試作し、レジずれ検知用パターンの検知誤差がどのように変化するかを確認した結果を示すグラフである。
その結果、図8(a)の試作品(TR2)に示すように、受光素子42の開口径を従来の2.40mmに対して1.35mmと約1/2程度小径となるように変更することにより、イエロー、マゼンタ、シアンのいずれの色のレジずれ検知用パターンとも検知誤差を−80.0μm程度まで低下することができることがわかった。
また、同じく図8(a)の試作品(TR3)に示すように、受光素子の開口径を1.00mmに変更するとともに、発光素子の開口径を1.50mmに変更することにより、イエロー、マゼンタ、シアンのいずれの色のレジずれ検知用パターンとも検知誤差を−40.0μm程度まで大幅に低下させることができることが判る。
これは、主に、受光素子42の開口径を1.00mmまで小径化することによって、拡散反射光の影響を大幅に低減することができたためと考えられる。
ただし、受光素子42の開口径を1.00mmにまで小径化すると、イエロー、マゼンタ、シアンの各色ともに大幅な改善効果がみられるものの、マゼンタ色のレジずれ検知用パターンの検知誤差が−40.0μmを超えており、目標とする検知誤差である−40.0μm以下に抑え込むことができていないことが判る。
その理由は、受光素子42の開口径を1.00mmまで小径化すると、外乱や取付誤差等の不確定な要素変動に対する安定性を示すロバスト性が低下して出力変動が大きくなり、その結果がマゼンタ色のレジずれ検知用パターンの検知誤差における低下として現れているものと考えられる。
そこで、この実施の形態では、拡散反射光の影響を大幅に低減するため、受光素子42の開口径の小径化を図りつつ、ロバスト性を確保するため、受光素子42の開口径をある程度確保し、しかも、受光素子42の出力値を安定させるために発光素子41の開口径をある程度大きく設定しても、受光素子42の開口径を小径化することで拡散反射光の影響を大幅に低減することができるとの上述した知見から、発光素子41側の開口部44の開口径を受光素子42側の開口部45の開口径よりも大きく設定し、望ましくは、発光素子41側の開口部44の開口径を、受光素子42側の開口部45の開口径よりも2.15倍以上大きく設定するように構成したものである。また、発光素子41側の開口部44の開口径を基準とした場合、受光素子42側の開口部45の開口径を発光素子41側の開口部44の開口径よりも1/2.15程度小さく設定するように構成したものである。
次に、本発明者は、図5に示すトナー像検知センサ40における発光素子41側の開口部44の開口径と、受光素子42側の開口部45の開口径の比を、図10(b)に示すように種々変化させた場合、レジずれ検知用パターンの黒色に対するカラーの近似値がどのように変化するかを確認する実験を行った。
図10(a)は上記実験の結果を示すグラフである。
この図10(a)から明らかなように、発光素子41側の開口部44の開口径と、受光素子42側の開口部45の開口径の比を2.15以上に設定することにより、検知誤差の値を目標とする40.0μm以下に抑えることができることがわかった。
更に、本発明者は、トナー像検知センサ40におけるロバスト性を確認するため、図11(b)に示すように、第1の開口部44の開口径と第2の開口部45の開口径とをそれぞれ異ならせたセンサを試作し、当該センサを予め定められた焦点距離からマイナス方向、即ち被検知媒体に近づける方向、及びプラス方向、即ち被検知媒体から遠ざける方向に移動させた場合に、トナー像検知センサ40の正反射成分の出力値がピーク値を100%としたとき、どの程度変化するかを確認する実験を行った。
図11(a)は上記実験の結果を示すグラフである。
この図11(a)に示すグラフから明らかなように、どの試作品も焦点距離からプラス方向及びマイナス方向にずれると、センサの出力電圧がピーク位置から低下する傾向を示すが、プラス方向及びマイナス方向に1.0mm以上ずれた場合にセンサの出力電圧がピーク値から10%以上ずれたものを不可と判断したが、不可と判定された試作品は、1つのみであり、いずれも比較的良好な結果が得られた。
また、図11(a)から明らかなように、受光素子42の開口径が1.00mmや1.15mmまで小径化すると、トナー像検知センサ40の正反射成分の出力値が10%程度変化してしまい望ましくないことが判る。
さらに、図11(a)から明らかなように、受光素子42の開口径が1.30mmで発光素子41の開口径が2.40mm、及び受光素子の開口径が1.30mmで発光素子の開口径が2.80mmのセンサは、焦点距離の変動に対して正反射成分の出力値の変動が小さく良好な結果が得られた。
次に、本発明者は、トナー像検知センサ40の発光素子及び受光素子の設置角度をそれぞれ変化させることにより、トナー像検知センサ40の焦点距離の値を4.2mm〜10.2mm程度まで変化させた場合に、トナー像検知センサ40の正反射成分及び拡散反射成分の出力値プロファイルがどのように変化するかを確認する実験を行った。
図12はトナー像検知センサ40の正反射成分の出力値プロファイルを示すグラフである。
この図12から明らかなように、トナー像検知センサ40の正反射成分の出力値プロファイルは、大きく分けて2つのグループからなり、第1のグループは、約5.4mm〜6.0mm程度の範囲にピークを有するグループであり、第2のグループは、約8.0mm程度にピークを有するグループである。また、第1のグループであっても、発光素子の開口部と受光素子の開口部の比が大きくなるに従って焦点距離が長くなるようにシフトすることが判る。
一方、第2のグループは、略同じような特性を示しているが、発光素子の開口部と受光素子の開口部の比が大きくなるに従って、正反射成分の出力値のピークがやや大きな値を示すと思われる。
一方、図13はトナー像検知センサ40の拡散反射成分の出力値プロファイルを示すグラフである。
この図13から明らかなように、トナー像検知センサ40の拡散反射成分の出力値プロファイルは、正反射成分の出力値プロファイルと大きく異なり、略すべてのケースにおいて、焦点距離が約5.4mm〜6.9mmの位置にピークを有し、焦点距離が大きくなるに従って徐々にピーク値が低下していく傾向がみられる。
図13及び図14に示す結果から明らかなように、トナー像検知センサ40によるイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各レジずれ検知用パターンの位置の検知精度を向上させるためには、正反射成分の出力値プロファイルのピーク値を可能な限り高い値に設定するとともに、拡散反射成分の出力値プロファイルのピーク値を可能な限り低い値に設定し、且つ正反射成分の出力値プロファイルのピークと拡散反射成分の出力値プロファイルのピークとの間の距離を大きく設定し、両者の出力値の差を大きく設定するのが望ましい。
そこで、図12及び図13に示す結果などに基づいて、正反射成分の出力値プロファイルのピークと拡散反射成分の出力値プロファイルのピークとの距離をパラメータとして、トナー像検知センサ40の検知誤差がどのように変化するかを確認したところ、図14に示すように、正反射成分の出力値プロファイルのピークと拡散反射成分の出力値プロファイルのピークとの距離を約1.0mm以上大きくなるように設定すれば、レジずれ検知用パターンの検知誤差を目標とする40μm以下とすることができることがわかった。この実施の形態では、正反射成分の出力値プロファイルのピーク位置が、焦点距離が8.0mmに位置し、拡散反射成分の出力値プロファイルのピーク位置が、焦点距離が6.0mmに位置し、正反射成分の出力値プロファイルのピークと拡散反射成分の出力値プロファイルのピークとの距離を2.0mmとなるように設定されている。
以上の構成において、この実施の形態に係る画像形成装置では、次のようにして、低コストで画像位置検知用トナー像の位置を精度よく検知することが可能となっている。
すなわち、この画像形成装置では、図4に示すように、非画像形成時の予め定められたタイミングで、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット6Y、6M、6C、6Kによって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナーでトナーパッチ31Y、31M、31C、31K及びレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kの双方が中間転写ベルト12上に形成される。
上記中間転写ベルト12上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナーパッチ31Y、31M、31C、31K及びレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kは、図2及び図6に示すように、黒(K)色の画像形成ユニット6Kの中間転写ベルト12の移動方向に沿った下流側に配置されたトナー像検知センサ40によって検知される。
上記トナー像検知センサ40は、図1に示すように、LED41から出射される光束を中間転写ベルト12の表面に照射し、当該中間転写ベルト12表面及び中間転写ベルト12上に形成されたトナーパッチ31Y、31M、31C、31K及びレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kからの反射光が、受光素子としてのフォトトランジスタ42によって受光される。
上記フォトトランジスタ42によって受光されたトナーパッチ31Y、31M、31C、31K及びレジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kからの反射光は、図6に示すように、フォトトランジスタ42による光電変換作用によって受光量に応じた電流値に変換された後、電流−電圧変換器51によって電圧値に変換されるとともに、増幅器52によって予め定められたゲインで増幅される。
上記増幅器52によって増幅された信号は、比較手段としてのコンパレータ53によって予め定められた閾値と比較され、コンパレータ53からは、例えば、増幅器52によって増幅された信号が予め定められた閾値以下となっている間、“H”レベルの出力信号が出力される。
この実施の形態では、図1に示すように、トナー像検知センサ40が、その発光素子41側の開口部44の開口径が受光素子42側の開口部45の開口径よりも大きく設定されており、しかも発光素子41側の開口部44の開口径と受光素子42側の開口部45の開口径との比が、2.15以上となるように設定されている。
そのため、上記トナー像検知センサ40では、図10(a)に示すように、黒色のレジずれ検知用パターン32Kを基準として、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のレジずれ検知用パターン32Y、32M、32Cを検知したときの検知誤差がいずれも目標とする40μm以下に抑えることができ、レジずれ検知用パターン32Y、32M、32C、32Kの位置を精度良く検知することができる。
また、この実施の形態では、図14に示すように、正反射成分の出力値プロファイルのピークと拡散反射成分の出力値プロファイルのピークとの距離を約1.0mm以上大きくなるように設定されているため、この点からもレジずれ検知用パターンの検知誤差を目標とする40μm以下とすることができる。