JP2010523703A - ジクロロヒドリンの共沸回収方法及び装置 - Google Patents

ジクロロヒドリンの共沸回収方法及び装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010523703A
JP2010523703A JP2010503224A JP2010503224A JP2010523703A JP 2010523703 A JP2010523703 A JP 2010523703A JP 2010503224 A JP2010503224 A JP 2010503224A JP 2010503224 A JP2010503224 A JP 2010503224A JP 2010523703 A JP2010523703 A JP 2010523703A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
mixture
phase
dichlorohydrin
contact device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010503224A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010523703A5 (ja
Inventor
ティルトウィッドジョジョ,ダン
メレノフ,アンドレイ
ディー. ニュッパー,クリスチャン
ディー. フック,ブルース
メータ,アニル
Original Assignee
ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド filed Critical ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド
Publication of JP2010523703A publication Critical patent/JP2010523703A/ja
Publication of JP2010523703A5 publication Critical patent/JP2010523703A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D3/00Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping
    • B01D3/34Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping with one or more auxiliary substances
    • B01D3/38Steam distillation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C29/00Preparation of compounds having hydroxy or O-metal groups bound to a carbon atom not belonging to a six-membered aromatic ring
    • C07C29/74Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation
    • C07C29/76Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation by physical treatment
    • C07C29/80Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation by physical treatment by distillation
    • C07C29/82Separation; Purification; Use of additives, e.g. for stabilisation by physical treatment by distillation by azeotropic distillation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D3/00Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping
    • B01D3/14Fractional distillation or use of a fractionation or rectification column
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D3/00Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping
    • B01D3/14Fractional distillation or use of a fractionation or rectification column
    • B01D3/143Fractional distillation or use of a fractionation or rectification column by two or more of a fractionation, separation or rectification step
    • B01D3/146Multiple effect distillation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D3/00Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping
    • B01D3/34Distillation or related exchange processes in which liquids are contacted with gaseous media, e.g. stripping with one or more auxiliary substances
    • B01D3/36Azeotropic distillation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C31/00Saturated compounds having hydroxy or O-metal groups bound to acyclic carbon atoms
    • C07C31/34Halogenated alcohols
    • C07C31/42Polyhydroxylic acyclic alcohols

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

ジクロロヒドリン、水、ジクロロヒドリンのエステル、モノクロロヒドリン及び/若しくはこれらのエステル並びに多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物及び/若しくはこれらのエステルから選択された1種又はそれ以上の化合物並びに、任意的に、塩素化剤、触媒及び/又は触媒のエステルを含む1種又はそれ以上の物質を含む混合物からジクロロヒドリンを回収する方法及び装置を開示する。この混合物を蒸留又は分別して、この混合物からジクロロヒドリン(類)及び水を分離しながら、液体水相を蒸留塔にリサイクルする。利点には、所定の蒸留塔についてのジクロロヒドリンの一層効率的な回収、重質副生物の生成に至る条件を回避することによるより少ない廃物及び回収装置に於ける減少した資本投資が含まれる。

Description

本発明はジクロロヒドリンを含有する混合物、例えば多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/又はそのエステル(類)をクロロヒドリンに転化する方法によって発生した排出物(effluent)から、ジクロロヒドリンを回収する方法及び装置に関する。
ジクロロヒドリンはエピクロロヒドリンのようなエポキシドを製造する際に有用である。エピクロロヒドリンは、広く使用されているエポキシ樹脂への前駆体である。エピクロロヒドリンはパラ−ビスフェノールAのアルキル化のために普通に使用されているモノマーである。遊離モノマー又はオリゴマー性ジエポキシドとしての得られるジエポキシドは、例えば電気用積層板、缶被覆、自動車用トップコート及びクリアコート中に使用される高分子量樹脂にまで進めることができる。
グリセリンは、燃料を製造するバイオディーゼル方法の副産物である、低コストの再生可能な原料であると考えられている。他の再生可能な原料、例えばフルクトース、グルコース及びソルビトールを水素化分解して、ビシナルジオール及びトリオール、例えば、グリセリン、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール等の混合物を製造できることが知られている。豊富で低コストのグリセリン又は混合グリコールで、上記の方法によって製造された排出液からジクロロヒドリンを回収するための経済的に魅力的な方法が望まれる。
下記の図式1に示されるような、グリセロール(本明細書に於いて、「グリセリン」としても参照される)のジクロロプロパノール、即ち、化合物I及びIIの混合物への転化のための方法が公知である。この反応は、無水HCl及び酢酸(HOAc)触媒の存在下で、水を除去しながら実施される。次いで、化合物I及び化合物IIは、苛性又は石灰で処理することによって、エピクロロヒドリンに転化させることができる。
Figure 2010523703
図式1に於ける上記の化学反応を使用する種々の方法は、先行技術に於いて報告されている。例えばエピクロロヒドリンはジクロロプロパノール、例えば2,3−ジクロロ−1−プロパノール又は1,3−ジクロロ−2−プロパノールを塩基と反応させることによって製造することができる。同様にジクロロプロパノールは、大気圧で、グリセロール、無水塩酸及び酸触媒から製造することができる。この反応の過程の間に形成される水の共沸的除去を促進するために、大過剰の塩化水素(HCl)が推奨された。
特許文献1には、多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物、多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステル又はこれらの混合物を、有機酸触媒の存在下で、塩化水素の超大気圧分圧の源泉と接触させて、クロロヒドリン、クロロヒドリンのエステル又はこれらの混合物を製造する工程を含む、グリセロール若しくはエステル又はこれらの混合物のクロロヒドリンへの転化方法が記載されている。この方法は、また、本明細書に於いて、「ドライプロセス」として参照される。高いクロロヒドリン収率を得るために、大過剰の塩化水素によるドライプロセスでの水の共沸除去は必要ではない。反応混合物からの生成物流の分離は、適切な分離容器、例えば1個又はそれ以上の蒸留塔、フラッシュ容器、抽出塔又は吸着塔で実施することができる。特許文献1には、特殊な蒸留方法又は重質副生物の生成を最小にするための方法は記載されていない。
特許文献2には、大気分圧の塩化水素、触媒としての酢酸及びループ、好ましくは3個のループのカスケード(それぞれのループは、反応器及び蒸留塔を含み、蒸留塔内で、反応の水、残留する塩化水素及びジクロロプロパノールを反応排出液から除去する)を使用する方法が記載されている。反応器/蒸留ループのカスケードを必要とするこの蒸留方法は、それが、プロセス内に数個の反応器/塔を必要とするので、非常に高価である。特許文献2には、また、特殊な蒸留方法又は重質副生物の生成を最小にするための方法は記載されていない。更に、価値のある酢酸が蒸留によって失われ、蒸留の際の触媒損失を補うためにより多くの酢酸を添加することが必要である。
特許文献3には、大気条件下で、クロロヒドリン、クロロヒドリンのエステル又はこれらの混合物を製造するための、多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素及び/又はこれらのエステルと塩化水素水溶液との間の反応によって、クロロヒドリンを製造するための別の方法が開示されており、この方法に於いては、反応器底からの排出物を、ストリッパーに供給し、ストリッパー中で、反応混合物からの、未反応の塩化水素、塩化水素水溶液反応剤からの水及び反応の過程の間に生成する水(本明細書に於いて、「反応の水(water of reaction)」としても参照する)の大部分の部分的ストリッピングを実施し、そして蒸留又はストリッピング塔に、ストリッパーからの液相を供給する。未反応の塩化水素、塩化水素水溶液反応剤からの過剰の水及び反応混合物からの反応副生物水の大部分を含有する、ストリッパーからの気相は、反応器によって生成された蒸気を供給する蒸留塔に導かれるか又は反応器に直接的にリサイクルされる。ジクロロプロパノールの主部分は蒸留塔又はストリッピング塔の頂部から集める。塔残渣は、反応器にリサイクルする。この方法(本明細書に於いて、「ウエットプロセス」としても参照される)は、プロセス中に塩化水素水溶液反応剤によって水を添加するのみならず、プロセス中に反応の水を生成する。ストリッパーによるウエットプロセス中の大過剰の水の除去は、エネルギー効率が低く、ドライプロセスについては不必要である。ストリッパーのより良い利用は、ジクロロプロパノールの回収に於いて行うことができる。特許文献3には、また、重質副生物の生成を最小にするための特殊な蒸留方法は記載されていない。
特許文献4には、直列で2個の反応器を有する、ウエットプロセス及びドライプロセスを組み合わせた別の方法が記載されており、この方法に於いては、第一反応器として管型反応器が使用され、第二反応器として発泡槽(foaming-tank)反応器が使用されている。塩化水素水溶液、グリセリン、カルボン酸触媒が混合され、第一反応器に供給され、気体状塩化水素が第二反応器に供給される。発泡槽反応器内の反応混合物からの水のストリッピング効率を改良するために、不活性不純物が、供給される気体状塩化水素に添加される。発生した水、ジクロロプロパノール及び塩化水素の共沸組成物並びに触媒の一部は発泡槽反応器の頂部から蒸発される。発泡槽反応器の液体底生成物は分離用の精留塔に入る。ジクロロプロパノール生成物は精留塔留出物から得られ、塔底残渣は発泡槽反応器にリサイクルされる。この方法は、ドライプロセスのものよりも低い塩化水素転化率を示し、過剰の水を発生し、水の共沸除去が必要であり、これはドライプロセスのものよりも大きいプロセス装置を伴う。特許文献4には、また、重質副生物の生成を最小にするための特殊な蒸留方法は記載されていない。
次の転化、例えばエピクロロヒドリンへの転化で使用することができる形でのジクロロヒドリンの回収を更に改良するための機会が残っている。
国際特許出願公開第WO2006/020234 A1号明細書 国際特許出願公開第WO2005/021476 A1号明細書 欧州特許出願公開第1,752,435 A1号明細書 CN101007751A号明細書
本発明の一つの面は、ジクロロヒドリン(類)、水、クロロヒドリン(類)のエステル(類)、モノクロロヒドリン(類)及び多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)並びに/又はこれらのエステル(類)から選択された1種又はそれ以上の化合物並びに、任意的に、塩素化剤(類)、触媒(類)、触媒(類)のエステル(類)及び/又は重質副生物(類)を含む1種又はそれ以上の物質を含む液相混合物からのジクロロヒドリン(類)の回収方法であって、
(a)ジクロロヒドリン(類)、水、クロロヒドリン(類)のエステル(類)、モノクロロヒドリン(類)及び多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)並びに/又はこれらのエステル(類)から選択された1種又はそれ以上の化合物並びに、任意的に、塩素化剤(類)、触媒(類)、触媒(類)のエステル(類)及び/又は重質副生物(類)を含む1種又はそれ以上の物質を含む液相混合物を提供する工程、
(b)1個又はそれ以上の単位操作に於いて工程(a)の液相混合物を蒸留又は分別して、工程(a)の液相混合物から、液相混合物中に存在するジクロロヒドリン(類)及び水並びに他の低沸点成分を含む蒸気相フラクションを分離する工程、
(c)工程(b)の蒸気相フラクションを凝縮させて、液体水相及びジクロロヒドリン(類)を含む液体有機相を形成する工程、
(d)工程(c)の液体有機相から工程(c)の液体水相を分離する工程並びに
(e)工程(d)の液体水相の少なくとも一部を、工程(b)にリサイクルする工程
を含んでなる方法である。
本発明の他の面は、ジクロロヒドリン(類)の製造方法であって、工程(a)に於いて提供される混合物が、モノクロロヒドリン(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)並びに/又は多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)の塩化水素化から製造又は誘導される方法である。
本発明の更に他の面は、
(1)少なくとも1個の反応器、
(2)液体−蒸気接触装置内の物質に、底端部から頂端部まで徐々に低下する温度勾配を適用するための、底端部及び頂端部を有する少なくとも1個の液体−蒸気接触装置を含む少なくとも1個の分離装置、
(3)任意的に、分離装置(2)の液体−蒸気接触装置からの留出物流を凝縮させるための1個又はそれ以上の冷却装置並びに
(4)液体有機相から液体水相を分離するための少なくとも1個の液体−液体相分離装置
を含んでなる、多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/又はこれらのエステル(類)からジクロロヒドリン(類)を製造するために適した装置であって、
少なくとも1個の反応器(1)が、少なくとも1個の反応器(1)からの液体反応器排出物流を、蒸留及び/又は分別のための少なくとも1個の分離装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の方に導くために、少なくとも1個の分離装置(2)に直接的に又は間接的に連結されており、
少なくとも1個の液体−蒸気接触装置が、液体−蒸気接触装置からのジクロロヒドリン(類)及び水を含む凝縮した留出物流を、液体水相と液体有機相とに分離するための液体−液体相分離装置(4)の方に導くために、少なくとも1個の液体−液体相分離装置(4)に、直接的に又は任意的な冷却装置(類)(3)を介して連結されており、そして
液体−液体相分離器(4)が液体−液体相分離器(4)からの液体水相を液体−蒸気接触装置の方に導くために少なくとも1個の分離装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に直接的に又は間接的に連結されている装置である。
上記のことから、本発明の利点には下記のものが含まれることが判る。
1.真空装置のより広い選択及び一層経済的なスチーム−ジェットエジェクターの使用のための能力、それによって、資本及び運転コストを低下させる。
2.より高い圧力で運転する能力のために、所定の供給物体積のための塔サイズの減少、更に、必要な資本投資を減少する。及び
3.増加した生成物収率及び減少した副生物廃棄のためのエネルギー必要量のために、低下した蒸留底温度に起因する減少した重質副生物生成。
図1は、本発明の方法の一態様を例示するプロセスダイヤグラムである。
定義
本明細書中に使用される用語「多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物」(以下、「MAHC」と略記する)は、2個の分離した隣接する炭素原子に共有結合された少なくとも2個のヒドロキシル基を含有し、エーテル結合基を含有していない化合物を指す。これらは、それぞれ、OH基を有する少なくとも2個のsp3混成炭素を含有する。MAHCは、より高次の近接する又は隣接する繰り返し単位を含有する、任意のビシナル−ジオール(1,2−ジオール)又はトリオール(1,2,3−トリオール)含有炭化水素を含有する。MAHCの定義は、また、例えば1種又はそれ以上の1,3−、1,4−、1,5−及び1,6−ジオール官能基も含有する。例えばジェミナル−ジオールは、MAHCのこの種類から排除される。
MAHCは少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個で、約60個以下、好ましくは20個以下、更に好ましくは10個以下、なお更に好ましくは4個以下、なお更に好ましくは3個以下の炭素原子を含有し、脂肪族炭化水素に加えて、芳香族部分又は、例えばハロゲン化物、硫黄、リン、窒素、酸素、ケイ素及びホウ素ヘテロ原子を含むヘテロ原子並びにこれらの混合物を含有することができる。MAHCはポリビニルアルコールのようなポリマーであってもよい。
用語「グリセリン(glycerin)」、「グリセロール」及び「グリセリン(glycerine)」並びにこれらのエステルは化合物1,2,3−トリヒドロキシプロパン及びそのエステルについて同義語として使用することができる。
本明細書中に使用される用語「クロロヒドリン」は、少なくとも1個のヒドロキシル基及び2個の分離している隣接する脂肪族炭素原子に共有結合している少なくとも1個の塩素原子を含有し、エーテル結合基を含有していない化合物を意味する。クロロヒドリンは、MAHCの1個又はそれ以上のヒドロキシル基を、塩化水素化によって、共有結合している塩素原子で置換することによって得ることができる。クロロヒドリンは少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個で、約60個以下、好ましくは20個以下、更に好ましくは10個以下、なお更に好ましくは4個以下、なお更に好ましくは3個以下の炭素原子を含有し、脂肪族炭化水素に加えて、芳香族部分又は、例えばハロゲン化物、硫黄、リン、窒素、酸素、ケイ素及びホウ素ヘテロ原子を含むヘテロ原子並びにこれらの混合物を含有できる。少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するクロロヒドリンは、また、MAHCである。
本明細書中に使用される用語「モノクロロヒドリン」は、1個の塩素原子及び少なくとも2個のヒドロキシル基を含有し、この塩素原子及び少なくとも1個のヒドロキシル基が2個の分離している隣接する脂肪族炭素原子に共有結合しているクロロヒドリンを意味する(以下、略語「MCH」によって参照する)。グリセリン又はグリセリンエステルの塩化水素化によって製造されたMCHには、例えば3−クロロ−1,2−プロパンジオール及び2−クロロ−1,3−プロパンジオールが含まれる。
本明細書中に使用される用語「ジクロロヒドリン」は、2個の塩素原子及び少なくとも1個のヒドロキシル基を含有し、少なくとも1個の塩素原子及び少なくとも1個のヒドロキシル基が2個の分離している隣接する脂肪族炭素原子に共有結合しているクロロヒドリンを意味する(以下、略語「DCH」によって参照する)。グリセリン又はグリセリンエステルの塩化水素化によって製造されたジクロロヒドリンには、1,3−ジクロロ−2−プロパノール及び2,3−ジクロロ−1−プロパノールが含まれる。
本明細書中に使用される表現「塩化水素化条件下」は、混合物及び/又は供給物流中に存在するMAHC、MCH並びにMAHC及びMCHのエステルの、少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、更に好ましくは少なくとも10重量%を、DCH(類)及び/又はこれらのエステル(類)に転化させることができる条件を意味する。
本明細書中に使用される用語「副生物」は、クロロヒドリン(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)並びに/又は塩素化剤(類)ではなく、そして本発明に従って選択された塩化水素化条件下でクロロヒドリン(類)及び/又はこれらのエステル(類)を形成しない化合物を意味する。
表現「重質副生物(類)」は、混合物(a)成分のオリゴマー、例えばMAHC及び/又はこれらのエステルのオリゴマー並びにクロロヒドリン及び/又はこれらのエステルのオリゴマー並びにオリゴマー、例えば塩素化されたオリゴマーの数平均分子量以上の数平均分子量を有する、このようなオリゴマーの誘導体、例えばこれらのエステル、塩素化されたオリゴマー及び/又はこれらの塩素化されたエステルを指す。用語「クロロヒドリン(類)」、「MCH(類)」及び「DCH(類)」並びにこれらのエステル(類)は重質副生物を含有するように意図されない。
用語「エポキシド」は少なくとも1個の、炭素−炭素結合上の酸素ブリッジを含有する化合物を意味する。一般的に、炭素−炭素結合の炭素原子は近接しており、この化合物は、例えば水素及びハロゲンのような、炭素及び酸素以外の他の原子を含有することができる。好ましいエポキシドはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドール及びエピクロロヒドリンである。
本明細書中に使用される表現「液相」は、任意的に、少量の気体及び/又は固体分離相(類)を含有していてよい、気相と固相との間の連続中間相を指す。液相は、1個又はそれ以上の非混和性液相からなっていてよく、1種又はそれ以上の溶解された固体、例えば1種又はそれ以上の酸、塩基又は塩を含有していてよい。
本明細書中に使用される表現「蒸気相」は、任意的に、少量の液体及び/又は固体分離相(類)を含有していてよい連続気相(例えばエアロゾル)を指す。蒸気相は、単一気体又は混合物、例えば2個若しくはそれ以上の気体、2個若しくはそれ以上の液体分離相及び/又は2個若しくはそれ以上の固体分離相を含有していてよい。
本明細書中に使用される表現「液体−蒸気接触装置」は装置内の液体と蒸気との間の少なくとも1個の界面の接触及び発達を提供するように機能する装置を指す。液体−蒸気接触装置の例には、棚段塔、充填塔、濡れ壁(流下薄膜型)塔、スプレーチャンバー、熱交換器又はこれらの任意の組合せが含まれる。棚段塔及び充填塔を含む装置の例には蒸留塔、分別塔及びストリッピング塔が含まれる。
本明細書中に使用される用語「凝縮器」は、プロセス流体から物理的に分離されている第二流体によって、プロセス流体から熱を除去するための非断熱システムを意味する。プロセス流体及び第二流体は、それぞれ、蒸気、液体又は液体と蒸気との組合せでであってよい。凝縮器は、一般的に、蒸留塔又は分別塔の一部に付属している。これは、蒸留塔に対して外部の単位操作であってよく又はこれは、蒸留塔に対して内部の単位操作であってよい。物理的分離は管の形態であってよく、凝縮は管の内側又は外側上で実施することができる。凝縮器は、蒸留塔分別トレイのデッキ上の冷却要素又は蒸留塔充填床の間の冷却要素の形を取ることができる。
混合物(a)
混合物(a)は、当該技術分野で公知の任意の塩化水素化方法から、直接的に又は間接的に得ることができる。例えばドイツ特許第197308号明細書には無水塩化水素の手段によるグリセリンの接触塩化水素化によるクロロヒドリンの製造方法が教示されている。特許文献2には気体状塩化水素でカルボン酸の触媒でのグリセリン及び/又はモノクロロプロパンジオールの塩化水素化によるジクロロプロパノールの連続式製造方法が開示されている。特許文献1には、MAHC、MAHCのエステル又はこれらの混合物を、有機酸触媒の存在下で、水を実質的に除去することなく、塩化水素の超大気圧分圧の源泉と接触させて、クロロヒドリン、クロロヒドリンのエステル又はこれらの混合物を製造する工程からなる、グリセロール若しくはエステル又はこれらの混合物のクロロヒドリンへの転化方法が記載されている。上記の文献は上記の開示に関して参照することによって本明細書中に含める。
例示的塩化水素化方法に於いて、MAHC及び塩化水素化触媒は、塩化水素化反応器に装入する。次いで、塩素化剤、例えば塩化水素を反応器に添加する。反応器圧力を所望の圧力に調節し、反応器内容物を、所望の時間の長さのために望ましい温度まで加熱する。塩化水素化反応が完結した後又は塩化水素化反応を実施しながら、反応排出流としての反応器内容物を、反応器から排出し、別の反応器又は他の介在工程を経て、本発明に従ったDCH回収システムを含み、任意的に他の分離システム又は装置、例えばフラッシュ容器及び/又はリボイラーを含む分離システムに、直接的に又は間接的に、供給する。
上記の塩化水素化反応は、1個又はそれ以上の塩化水素化反応器容器、例えば単一の若しくは複数の連続撹拌式槽反応器(以下、略語「CSTR」によって参照する)、単一の若しくは複数の管型反応器(類)、栓流(プラグフロー)反応器(以下、略語「PFR」によって参照する)又はこれらの組合せ内で実施することができる。塩化水素化反応器は、例えば1個の反応器又は互いに直列で又は並列で連結された複数の反応器であってよく、例えば1個又はそれ以上のCSTR、1個又はそれ以上の管型反応器、1個又はそれ以上のPFR、1個又はそれ以上の気泡塔反応器及びこれらの組合せを含んでよい。
好ましい態様に於いて、塩化水素化排出流の一部又は全部は、PFRからの供給物流である。PFRは、長さ/直径(L/D)比の高い、反応器の長さに沿った組成プロフィールを有する反応器の1種である。PFRの中に供給されている反応剤の濃度はPFRの流路に沿って入口から出口の方に減少し、DCHの濃度はPFRの流路に沿って入口から出口の方に増加する。グリセロールの塩化水素化の場合に、HCl及びグリセロールの濃度はPFRの入口からPFRの出口の方に減少し、一方、1,3−ジクロロ−2−プロパノール及び2,3−ジクロロ−1−プロパノールの合計濃度はPFRの入口からPFRの出口の方に増加する。
塩化水素化反応を実施するために有用な装置は、当該技術分野で公知の任意の装置であってよく、塩化水素化の条件で反応混合物を含有できなくてはならない。適切な装置は、プロセス成分による腐食に対して耐性である材料から製作することができ、例えば金属、例えばタンタル、適切な金属合金(特に、ニッケル−モリブデン合金、例えば、ハステロイ(Hastelloy)C(登録商標))又は、例えばガラスライニングされた装置を含んでよい。
混合物(a)は、水、例えば塩化水素化反応の副生物として生成される水、塩化水素化反応用の出発物質中に存在する水及び/又はストリッピング剤として導入される水を含有している。混合物(a)は、少なくとも1重量%、更に好ましくは少なくとも5重量%の水で、90重量%以下、更に好ましくは50重量%以下の水を含有していてよい。
1種又はそれ以上のMAHC(類)、MCH(類)、MAHC(類)、MCH(類)及び/若しくはDCH(類)の1種又はそれ以上のエステル(類)、塩素化剤(類)並びに/又は触媒(類)が混合物(a)中に存在していてよい。MAHC(類)、MCH(類)、MCHエステル、DCHエステル、塩素化剤(類)及び/又は触媒(類)の1種又はそれ以上がプロセス中の前の工程、例えば更なる塩化水素化のための反応器にリサイクルされるリサイクルプロセスが好ましい。このようなリサイクルプロセスは、好ましくは連続式である。この方法に於いて、原材料効率が最大化され及び/又は触媒が再使用される。
このようなプロセス図式に於いて、触媒を再使用するとき、触媒が単一通過プロセスに於いて使用されるよりも高い濃度で使用することが望ましいであろう。これは、より速い反応又はより小さいプロセス装置になり得、これは使用される装置についてより低い資本コストになる。
連続式リサイクルプロセスに於いて、望ましくない不純物及び/又は反応副生物がプロセス中に蓄積するであろう。従って、例えば1個又はそれ以上のパージ出口により又は分離工程により、プロセスからこのような不純物を除去するための手段を提供することが望ましい。更に、パージされた流れを更に処理して、パージされた流れの有用な部分を回収することができる。
本発明に従って処理された混合物中に任意的に存在していてよい塩素化剤は、好ましくは塩化水素又は塩化水素源泉であり、気体、液体若しくは溶液中又はこれらの混合物であってよい。塩化水素は、好ましくは気体状態で導入され、塩化水素化反応混合物が液相であるとき、塩化水素ガスの少なくとも一部(some)は、好ましくは液体反応混合物中に溶解される。しかしながら、塩化水素は、所望により、溶媒、例えばアルコール(例えばメタノール)中に又は担体ガス、例えば窒素中に希釈することができる。
本発明の塩化水素化工程は、超大気圧条件下で実施することが好ましい。「超大気圧(superatmospheric pressure)」は、本明細書に於いて、塩化水素(HCl)分圧が、大気圧よりも高い、即ち15psia(103kPa)以上であることを意味する。一般的に、塩化水素化方法に於いて使用される塩化水素分圧は、少なくとも約15psia(103kPa)以上である。塩化水素化方法に於いて使用される塩化水素分圧は、好ましくは約25psia(172kPa)以上、更に好ましくは約35psia(241kPa)以上、最も好ましくは約55psia(379kPa)以上、好ましくは約1000psia(6.9MPa)以下、更に好ましくは約600psia(4.1MPa)以下、最も好ましくは約150psia(1.0MPa)以下である。
また、塩化水素化の間に製造及び転化されたクロロヒドリン(類)を、工程(b)及び(c)に於ける回収のために反応混合物の液相に保持するために、塩化水素化工程を、また、塩化水素化工程の間の所定の圧力条件について最低の沸点を有する反応混合物中のクロロヒドリン(類)の沸点よりも低い、塩化水素化のために十分な温度で実施することが好ましい。この好ましい温度範囲の上限は圧力条件を調節することによって調節することができる。塩化水素化の間のより高い圧力は反応混合物中のクロロヒドリン(類)の沸点温度を上昇させるように選択することができ、そうして、DCH(類)を液相に保持するための好ましい温度範囲を、圧力条件を上昇させることによって、上昇させることができる。
好ましくは塩化水素化排出物中に存在するDCHの、50%未満、更に好ましくは10%未満、なお更に好ましくは5%未満、なお更に好ましくは1%未満が、工程(b)の前に、塩化水素化排出物から除去される。
塩化水素化排出物は、1種又はそれ以上のDCH、DCH(類)のエステル(類)、MCH(類)及び/又はこれらのエステル(類)並びにMAHC(類)及び/又はこれらのエステル(類)を含む1種又はそれ以上の化合物並びに、任意的に、水、塩素化剤(類)、触媒(類)及び/又は触媒(類)のエステル(類)を含む1種又はそれ以上の物質を含む。追加の任意的成分が、また、出発物質、反応条件及び塩化水素化反応と本発明に従ったDCHの回収との間に介在する任意のプロセス工程に依存して、排出物中に存在していてもよい。塩化水素化排出物は、好ましくは塩化水素化排出物が塩化水素化工程及び/又は反応器から取り出されるとき液相であり、工程(a)で提供される混合物は、塩化水素化工程の液相排出物の少なくとも一部を含む。
好ましい態様に於いて、少なくとも1種のMAHC及び/又はこれらのエステルは、工程(a)で提供される混合物中に存在する。MAHC(類)及び/又はこれらのエステル(類)が工程(a)で提供される混合物中に存在するとき、同じMAHC(類)及び/又はこれらのエステル(類)がまた、工程(b)の高沸点フラクション中に存在してよい。
本発明に従って処理された排出物中に見出されるMAHCには、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、3−クロロ−1,2−プロパンジオール、2−クロロ−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2,3−プロパントリオール(また、「グリセリン」、「グリセリン」又は「グリセロール」として知られ、本明細書に於いて、互換的に使用する)及びこれらの混合物が含まれる。好ましくは、本発明に従って処理される排出物中のMAHCには、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール及び1,2,3−プロパントリオールが含まれ、1,2,3−プロパントリオールが最も好ましい。
本発明に従って処理される排出物中に見出されるMAHCのエステルの例には、例えばエチレングリコールモノアセテート、プロパンジオールモノアセテート、グリセリンモノアセテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジアセテート及びこれらの混合物が含まれる。一つの態様に於いて、このようなエステルは、MAHCと完全にエステル化されたMAHCとの混合物、例えばグリセロールトリアセテートとグリセロールとの混合物から製造することができる。
同じ又は別の好ましい態様に於いて、少なくとも1種のMCH及び/又はこれらのエステルは工程(a)で提供される混合物中に存在する。MCH(類)及び/又はこれらのエステル(類)が工程(a)で提供される混合物中に存在するとき、同じMCH(類)及び/又はこれらのエステル(類)が、工程(b)の高沸点フラクション中にも存在してよい。
MCHは、一般的に、2個の分離した隣接する炭素原子に共有結合された一対のヒドロキシル基の1個が、共有結合された塩素原子によって置換されている塩化水素化されたMAHCに相当する。MCHのエステル(類)はMAHCエステル(類)の塩化水素化又は、例えば酸触媒との反応の結果であってよい。
DCHは、一般的に、2個の分離した隣接する炭素原子に共有結合された2個のヒドロキシル基(その少なくとも1個は、ヒドロキシル基を有する第三の炭素原子に隣接している)が、それぞれ、共有結合された塩素原子によって置換されている塩化水素化されたMAHCに相当する。DCHのエステル(類)はMAHCエステル(類)、MCHエステル(類)の塩化水素化又は、例えば酸触媒との反応の結果であってよい。
出発物質としてのMAHC(類)のエステル(類)又はMAHC(類)とこれらのエステル(類)との混合物に対するものとして、MAHC(類)がプロセスに供給される出発物質である本発明の態様に於いて、クロロヒドリンの生成が1種又はそれ以上の触媒(類)及び/又はこれらのエステル(類)の存在によって促進されることが一般的に好ましい。MAHC(類)のエステル(類)又はMAHC(類)とこれらのエステル(類)との混合物が出発物質である場合に、塩化水素化反応を更に加速するために、触媒(類)及び/又はこれらのエステル(類)が存在してもよい。
カルボン酸RCOOHは、MAHCのクロロヒドリンへの塩化水素化に触媒作用する。選択される特定のカルボン酸触媒は、例えば触媒としてのその効力、そのコスト、反応条件に対するその安定性及びその物理的特性を含む多数の要因に基づいてよい。触媒が使用されるべき特定の方法及び方法図式も、特別の触媒を選択する際の要因であり得る。カルボン酸の「R」基は、水素又はアルキル、アリール、アラルキル及びアルカリールを含むヒドロカルビル基から独立に選択することができる。このヒドロカルビル基は、直鎖、分枝鎖又は環式であってよく、そして置換されていてよく又は置換されていなくてよい。許容される置換基には、触媒の性能に有害に干渉しない任意の官能基が含まれてよく、そしてヘテロ原子が含まれてよい。許容される官能基の限定されない例には、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ヒドロキシル、フェノール、エーテル、アミド、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム、スルホネート、スルホン酸、ホスホネート及びホスホン酸が含まれる。
塩化水素化触媒として有用であるカルボン酸は、一塩基性、例えば酢酸、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、4−メチル吉草酸、ヘプタン酸、オレイン酸若しくはステアリン酸又は多塩基性、例えばコハク酸、アジピン酸若しくはテレフタル酸であってよい。アラルキルカルボン酸の例には、フェニル酢酸及び4−アミノフェニル酢酸が含まれる。置換されたカルボン酸の例には、4−アミノ酪酸、4−ジメチルアミノ酪酸、6−アミノカプロン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、6−クロロヘキサン酸、6−アミノヘキサン酸、4−アミノフェニル酢酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、乳酸、グリコール酸、4−ジメチルアミノ酪酸及び4−トリメチルアンモニウム酪酸が含まれる。更に、例えばカルボン酸ハライド、例えばアセチルクロリド、6−クロロヘキサノイルクロリド、6−ヒドロキシヘキサノイルクロリド、6−ヒドロキシヘキサン酸及び4−トリメチルアンモニウム酪酸クロリド;カルボン酸無水物、例えば無水酢酸及び無水マレイン酸;カルボン酸エステル、例えば酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ピバル酸メチル、酪酸メチル、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロパンジオールモノアセテート、プロパンジオールジアセテート、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート及びカルボン酸のグリセリンエステル(グリセリンモノ−、ジ−及びトリ−エステルを含む);MAHCアセテート、例えばグリセロール1,2−ジアセテート;カルボン酸アミド、例えばε−カプロラクタム及びγ−ブチロラクタム並びにカルボン酸ラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトンを含む、反応条件下でカルボン酸に転化させることができる物質も本発明に於いて使用することができる。酢酸亜鉛は金属有機化合物の例である。上記の触媒及び触媒前駆体の混合物も使用することができる。
超大気圧方法に於いて触媒を使用するとき、この触媒は、例えばカルボン酸、無水物、酸クロリド、エステル、ラクトン、ラクタム、アミド、金属有機化合物、例えば酢酸ナトリウム又はこれらの組合せであってよい。塩化水素化反応条件下でカルボン酸又は官能化されたカルボン酸に転化可能である任意の化合物も使用することができる。超大気圧方法のために好ましいカルボン酸は、ハロゲン、アミン、アルコール、アルキル化アミン、スルフヒドリル、アリール基若しくはアルキル基又はこれらの組合せを含む官能基(但し、この部分はカルボン酸基を立体的に妨害しない)を有する酸である。
或る種の触媒は、また、超大気圧で、大気圧で又は大気圧よりも低い圧力で、特に、特許請求の範囲に記載された本発明に従ってDCH(類)を回収するときの、望ましく高いレベルにまで転化を駆動するために、水が反応混合物から連続的に又は周期的に除去される状況に於いて、有利に使用することができる。例えばMAHC(類)の塩化水素化反応は、例えば塩化水素ガスを液相反応混合物に通過させて散布することにより、塩化水素ガスを、MAHC(類)及び触媒(類)の混合物を接触状態に導入することによって、実施される。このような方法に於いて、揮発性の低い触媒、例えば6−ヒドロキシヘキサン酸、4−アミノ酪酸;ジメチル 4−アミノ酪酸;6−クロロヘキサン酸;カプロラクトン;カルボン酸アミド、例えばε−カプロラクタム及びγ−ブチロラクタム;カルボン酸ラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン;カプロラクタム;4−ヒドロキシフェニル酢酸;6−アミノ−カプロン酸;4−アミノフェニル酢酸;乳酸;グリコール酸;4−ジメチルアミノ−酪酸;4−トリメチルアンモニウム酪酸並びにこれらの組合せ等の使用が好ましい。これらの大気圧又は大気圧よりも低い条件下で、製造され、回収されるDCH(類)よりも低い揮発性である触媒を使用することが最も望ましい。
本発明に於いて使用される好ましい触媒には、カルボン酸、カルボン酸のエステル及びこれらの組合せ、特に、触媒を除去することなくDCH(類)を除去できるように、反応混合物中に生成される所望の最高沸点のDCHのものよりも高い沸点を有するエステル及び酸(即ち、この触媒(類)は、好ましくは、混合物中のDCHよりも低い揮発性である)が含まれる。この定義に適合し、本発明に於いて有用である触媒には、例えばポリアクリル酸、カルボン酸のグリセリンエステル(グリセリンモノ−、ジ−及びトリ−エステルを含む)、アクリル酸でグラフト化されたポリエチレン、ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマー、6−クロロヘキサン酸、4−クロロブタン酸、カプロラクトン、ヘプタン酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、4−アミノフェニル酢酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、4−アミノ酪酸、4−ジメチルアミノ−酪酸、4−トリメチルアンモニウム酪酸クロリド、ステアリン酸、5−クロロ吉草酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、4−アミノフェニル酢酸及びこれらの混合物が含まれる。カルボン酸基の周りに立体的に邪魔物がないカルボン酸が一般的に好ましい。
更に、触媒(類)は、好ましくは使用されるMAHC(類)と混和性である。この理由のために、触媒(類)には、極性ヘテロ原子置換基、例えばヒドロキシル、アミノ若しくは置換されたアミノ又はハロゲン化物基(これらは触媒を反応混合物中のMAHC(類)、例えばグリセロールと混和性にする)が含有されていてよい。
存在してよい触媒の一つの態様は、一般的に、下記に示される式(a)によって表され、式中、官能基「R’」には、アミン、アルコール、ハロゲン、スルフヒドリル、エーテルを含む官能基又は該官能基を含有する炭素数1〜約20のアルキル、アリール若しくはアラルキル基又はこれらの組合せが含まれ、そして官能基「R」には、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属若しくは遷移金属又は炭化水素官能基が含まれてよい。
Figure 2010523703
触媒がリサイクルされ、繰り返して使用される場合、このようなリサイクルされた触媒は、存在するMAHCのモル数での量を基準にして、約0.1モル%から、好ましくは約1モル%から、更に好ましくは約5モル%から、約99.9モル%以下、好ましくは70モル%以下、更に好ましくは50モル%以下の量で存在していてよい。反応時間を短くし、プロセス装置のサイズを最小にするために、より高い触媒濃度を望ましく使用することができる。
工程(a)の混合物は液相と蒸気相との組合せであってよい。工程(a)の混合物は、好ましくは、気相又は蒸気相に対して、液相として分離工程に供給される。
一つの態様に於いて、工程(a)の混合物は、塩化水素化反応排出流を、工程(b)の前に蒸気相排出流及び液相排出流に分離し、そして液相排出流又は蒸気相排出流及び液相排出流の両方を、別々に又は一緒にして、工程(b)に導入することによって供給される。反応排出流の分離は、例えば工程(b)から分離された又は工程(b)と一体のフラッシュ容器内で実施することができる。
混合物(a)からのDCHの回収
本発明に従って、混合物(a)を工程(b)に於いて、蒸留又は分別して、工程(a)の液相混合物からDCH(類)及び水を含む蒸気相フラクションを分離し、工程(c)に従って、工程(b)の蒸気相フラクションを凝縮させて、液体水相及びDCH(類)を含む液体有機相を形成し、工程(d)に従って、液体有機相から工程(c)の液体水相を分離し、そして、工程(d)の液体水相の少なくとも一部を、蒸留又は分別工程(b)にリサイクルする。DCH(類)は、工程(c)で凝縮し、工程(d)で分離された液体有機相から回収することができる。
工程(d)の液体水相は、工程(b)に従った蒸留又は分別の間の還流のための追加の液体を提供するのみならず、工程(a)に於いて提供される混合物からDCH(類)を除去するための共沸剤としての水も提供する。従って、工程(b)及び/又は工程(c)に於いて追加の還流活性を提供するために必要な最小値よりも多い工程(e)に於ける液体水相をリサイクルすることが好ましい。このような好ましい態様に於いて、工程(c)の液体水相は、蒸留又は分別塔の頂端部付近で、蒸留又は分別塔を通して下方に浸透するために十分な速度で導入され、そうして液体水相中の水の少なくとも一部は、還流が起こる点又は帯域よりも下に浸透する。
特に好ましい態様に於いて、液体水相は、工程(b)に於いて蒸留又は分別を受けながら、液体水相の少なくとも一部を液相混合物(a)の中に再導入するために十分な速度で導入される。
蒸留又は分別工程(b)は、好ましくは少なくとも1個の分別蒸留塔及び/又は充填塔内で実施される。蒸留又は分別工程(b)は、好ましくは還流することからなる。リサイクル工程(e)は、好ましくは工程(d)の液体水相を還流にリサイクルすることからなる。
DCH(類)の共沸回収によって、蒸留及び/又は分別工程(b)を、共沸回収の不存在下でDCH回収を最適化するために必要なものよりも穏和な分離条件下で実施することが可能になる。
穏和な分離条件には、蒸留底の温度を低下させて、工程(b)の間の、エネルギー消費を減少すること及び重質副生物生成の速度を低下させることが含まれてよい。蒸留塔をより低い底温度で運転するとき、安全性及び効率が改良される。
蒸留又は分別工程(b)は、好ましくは少なくとも25℃、更に好ましくは少なくとも50℃、なお更に好ましくは少なくとも80℃、なお更に好ましくは少なくとも100℃、なお更に好ましくは少なくとも110℃で、200℃以下、更に好ましくは160℃以下、なお更に好ましくは140℃以下、なお更に好ましくは139℃以下、なお更に好ましくは135℃以下、なお更に好ましくは132℃以下、なお更に好ましくは125℃以下、なお更に好ましくは120℃以下の、蒸留底で測定された温度で行われる。
穏和な分離条件には、また、反応器排出物からDCHを分離するために従来の方法に於いて使用されているものよりも高い圧力条件下で、工程(b)を運転することが含まれる。より高い圧力条件方法によって、エネルギー節約及びより真空装置の広い選択が可能になる。一層経済的なスチーム−ジェットエジェクター又は真空ポンプを使用することができ、これは固定資本及び運転コストを減少させる。運転信頼性もスチーム−ジェットエジェクターの使用によって改良される。それは、スチーム−ジェットエジェクターは可動部品を有しておらず、一方、低圧力、高真空運転は、一般的に、ロータリー・オイルシールド真空ポンプ又はスチーム−ジェットエジェクターの多段の使用を必要とするからである。また、より高い蒸留塔圧力運転は、塔サイズを減少し、それによって償却すべき資本投資を減少する。
蒸留又は分別工程(b)は、好ましくは少なくとも0.1kPa、更に好ましくは少なくとも1kPa、なお更に好ましくは少なくとも3kPa、なお更に好ましくは少なくとも6kPa、なお更に好ましくは少なくとも10kPaで、1MPa以下、更に好ましくは0.12MPa以下、なお更に好ましくは0.05MPa以下、なお更に好ましくは0.02MPa以下の圧力で実施される。
工程(b)の中に導入された混合物から回収されたDCH(類)のパーセントは、一般的に、選択された温度及び圧力条件の組合せに依存する。工程(b)に於いて所定のDCH回収率を得るために、温度における低下は、一般的に、運転圧力に於ける低下を必要とし、逆に、運転圧力に於ける上昇は、一般的に、所定のDCH回収速度パーセントを得るために、運転温度に於ける上昇を必要とする。選択される特定の温度及び圧力条件は、低い温度及びより高い圧力運転に関するそれぞれの利点の実現が望まれる程度に依存するであろう。
工程(b)は、好ましくは、工程(b)の残渣中の重質副生物の量が、工程(a)で提供される混合物中の重質副生物の量の、110%を超えない、更に好ましくは108%以下である、なお更に好ましくは105%以下である、なお更に好ましくは102%以下であるような条件下で実施される。
工程(b)の間の条件は、好ましくは、工程(a)で提供される混合物中に存在する塩素化剤(類)の、50%未満、更に好ましくは20%未満、なお更に好ましくは10%未満、なお更に好ましくは5%未満を含有する工程(b)の残渣を製造するように調節される。温度及び圧力のような工程(b)の1個又はそれ以上の条件は、工程(b)に供給される混合物(a)から塩素化剤(類)を除去するように調節することができる。液体水相も、塩素化剤(類)のための共沸剤又はストリッピング剤として機能することができる。
塩素化剤が、例えば塩化水素であるとき、この塩化水素は工程(a)で提供される混合物中に存在する塩化水素の溶解を維持するために必要とされる圧力よりも低い工程(b)の間の圧力を維持することによって、工程(a)で提供される混合物中に存在する塩化水素の溶解を維持するために必要とされる温度よりも高い工程(b)の間の温度を維持することによって及び/又は液体水相が、工程(e)に従って工程(b)にリサイクルされる速度を調節することによって、工程(b)の間に混合物(a)から除去することができる。
好ましい態様に於いて、工程(a)で提供される混合物を、混合物を蒸留及び/又は分別する前に、混合物を脱気するための圧力低下工程に通過させる。蒸留及び/又は分別工程から上流で流動変動又は揺動が存在するとき、蒸留及び/又は分別工程への混合物の流れを調節することを助けるために、圧力低下工程及び/又はサージ容器を使用することもできる。
工程(b)は、好ましくは蒸留塔、例えば分別蒸留塔内で実施される。適切な蒸留塔の例には、棚段又はトレイ塔、泡鐘塔及び充填塔が含まれる。
一つの態様に於いて、追加のMAHC(類)及び/又はこれらのエステル(類)を、反応的蒸留/分別のために工程(b)の中に導入することができる。追加のMAHC(類)及び/又はこれらのエステル(類)は、塩素化剤と反応して、追加のMCH(類)及び/又はこれらのエステル(類)を製造することができる。追加のMAHC(類)は、また、DCH(類)及びMCH(類)と反応して、これらを非エステル(類)に転化させて、DCH(類)の回収を容易にすることができる。追加のMAHC(類)及び/又はこれらのエステル(類)は、好ましくは、液相として還流の中に導入されて、還流のための追加の液相を提供する。
一つの態様に於いて、液相混合物からDCH(類)を同時に蒸留及びストリッピングするために、一種又はそれ以上のストリッピング剤を工程(b)に従って蒸留又は分別を受ける工程(a)の液相混合物の中に導入することができる。好ましいストリッピング剤には、スチーム、窒素、メタン及び二酸化炭素並びにこれらの混合物が含まれる。スチーム、特に過熱されたスチームが特に好ましい。
ストリッピング剤は、好ましくは、また、工程(b)条件下でDCH(類)のための共沸剤である。ストリッピング剤は、有利にはまた、例えば重質副生物の生成速度を更に低下させるために、工程(c)の間に存在していてもよい、除去が望まれる、任意の塩素化剤(類)及び/又は任意の揮発性触媒(類)のためのストリッピング剤及び/又は共沸剤であってよい。
ストリッピング剤は、好ましくは工程(b)の間の液相混合物の温度と同じか又はそれ以上の温度で液相混合物の中に導入され、好ましくは工程(b)の圧力条件でDCH及び水共沸混合物の沸点と同じかそれ以上の温度で導入される。ストリッピング剤は、好ましくは工程(b)の間の熱損失を補償するために、工程(b)の間の液相混合物の温度よりも高い、例えば少なくとも10℃又は20℃又は30℃より高い温度で、液相混合物の中に導入され、それによって、液相混合物を所望の上昇した温度で維持する。
工程(e)の間に製造され、工程(d)に於いて分離された液体有機相を、更なる処理工程に付すことができる。更なる処理工程に依存して、DCH(類)の、更なる処理なしの他の化合物への化学的転化のために、この液体有機相をDCH(類)を供給するために使用することができる。液体有機相は、他の工業的に有用な化学製品へのDCH(類)の転化のための方法に於いて使用することができる。
工程(d)で分離された液体有機相は、例えば工程(b3)に於いて水相をリサイクルするための前記の任意の液体−液体相分離によること以外の、ジクロロヒドリン(類)の追加の精製なしに、エピクロロヒドリンを生成するためのエポキシ化に付すことができる。
本発明の利点は、工程(d)に於いて分離された過剰の液体水相を、液体水相リサイクルからパージし、エポキシ化の間に形成される塩化ナトリウムの濃度を、飽和よりも低い濃度で保持して、エポキシ化の間の望ましくない塩化ナトリウム結晶化を回避するための、下流のエポキシ化方法で使用できることである。
上記のプロセス工程は互いに独立に又は同時に実施することができる。好ましい態様に於いて、上記のプロセス工程の1個又はそれ以上は互いに同時に実施される。
上記のプロセス工程の1個又はそれ以上は、連続的に又は断続的に実施することができる。上記のプロセス工程の1個又はそれ以上は、好ましくは少なくとも1時間の間、連続的に(即ち、中断なしに)実施される。好ましくは、任意の上記のプロセス工程は、少なくとも1時間の間、連続的に実施される。
工程(b)に於いて処理される混合物の少なくとも一部は、好ましくは塩化水素化工程にリサイクルされる。更に好ましい態様に於いて、工程(b)に於いて処理される実質的に全ての混合物は、塩化水素化工程にリサイクルされる。塩化水素化工程は、好ましくは混合物(a)の成分を含有する塩化水素化排出物を製造するために使用される塩化水素化方法に於ける最初の工程である。
処理された混合物をリサイクルすることによって、追加のDCHを形成するための、MAHC(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)並びに/又はMCH(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)の更なる反応が可能になり、これは、一般的に、総塩化水素化転化率及び回収率を増加する。本発明に従った方法は、塩化水素化の間に製造されたDCH(類)の、少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%、なお更に好ましくは少なくとも95%、なお更に好ましくは少なくとも99%、なお更に好ましくは少なくとも99.9%を回収することができる。
上記の方法は本発明に従った装置を使用して実施することができる。この装置を図1を参照して更に詳細に説明する。
図1は使用することができる例示的装置及びそれらのそれぞれの供給物流の主な特徴を示すブロックダイヤグラムである。この装置は、少なくとも1個の反応器(1)及び液体−蒸気接触装置内の物質に、底端部から頂端部まで徐々に低下する温度勾配を適用するための、底端部及び頂端部を有する少なくとも1個の液体−蒸気接触装置からなる少なくとも1個の分離装置(2)並びに、任意的に、液体−蒸気接触装置からの蒸気相排出物を冷却し、凝縮させるための、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に連結された少なくとも1個の冷却装置からなる。この冷却装置は、1個又はそれ以上の凝縮器からなっていてよい。
少なくとも1個の反応器(1)は、種々の公知の反応器、例えばCSTR、管型反応器及びPFR並びにこれらの組合せから選択することができる。複数の反応器が存在するとき、反応器を互いに直列で又は並列で連結することができる。少なくとも1個の反応器(1)は、MAHC(類)を含む第一供給物流(4)及び塩素化剤を含む第二供給物流(5)に直接的に又は間接的に連結されている。
少なくとも1個の反応器(1)は、少なくとも1個の反応器(1)からの液相反応器排出供給物流(6)の少なくとも一部を、蒸留及び/又は分別のための、装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の方に導くために、少なくとも1個の装置(2)に直接的に又は間接的に連結されている。少なくとも1個の装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置は、好ましくは、蒸留又は分別塔、例えば充填蒸留塔及び/又は還流を実施するための還流帯域を有する、還流条件下で分別蒸留を実施するように適合された蒸留塔である。
少なくとも1個の装置(2)は、少なくとも1個の装置(2)からの液相留出物流(7)を導くための連結部によって、液体−液体相分離器(3)に連結されている。液体−液体相分離器(3)は液体有機相から液体水相を分離する。液体−液体相分離器(3)は、例えばデカンターであってよい。
液体−液体相分離器(3)は、液体−液体分離器(3)からの液体水性リサイクル流(8)を導くために、少なくとも1個の装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に連結されている。この連結は、好ましくは、液体水性リサイクル流(8)を、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の頂端部に近接して又は少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の意図する還流帯域に近接して、導入するように適合されている。液体水性リサイクル流(8)は、好ましくは液体水性リサイクル流(8)から過剰の水性液体相を除去するための第一パージ(9)を含む。
液体−液体相分離器(3)によって製造された液体有機相は液体有機出口流(10)から取り出すことができる。
少なくとも1個の装置(2)は、好ましくは少なくとも1個の装置(2)から蒸気相を除去するためのベント(11)を有する。
少なくとも1個の装置(2)は、好ましくは少なくとも1個のフラッシュ容器を含み、少なくとも1個の反応器(1)は、好ましくは少なくとも1個のフラッシュ容器によって、少なくとも1個の装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に連結されており、それによって、反応器排出供給物流(6)は、液相上の圧力を低下させることによって、フラッシュ容器内で蒸気相と液相とに分離される。分離された液相は蒸留又は分別のために装置(2)の液体−蒸気接触装置の中に導入される。
少なくとも1個の装置(2)は、また、好ましくは、少なくとも1個の装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に導かれた供給物流(類)を加熱するために、少なくとも1個の装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に連結されているリボイラーを含む。
少なくとも1個の装置(2)は、好ましくは少なくとも1個の液体−蒸気接触装置内の圧力を、環境大気圧よりも下に低下させるための、少なくとも1個の装置の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に真空を適用するための手段を含む。この手段は、好ましくはスチーム−ジェットエジェクターである。
装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置は、任意的に、1種又はそれ以上のストリッピング剤を、分離装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の底に導入するために、少なくとも1個のストリッピング剤の源泉(12)に直接的に又は間接的に連結されている。
装置(2)は、装置(2)からストリッピングされた蒸留残渣供給物流を取り出すためのポート(13)を有する。ポート(13)は、好ましくは蒸留残渣を含むリサイクル供給物流を、少なくとも1個の装置(2)から少なくとも1個の反応器(1)の方に導くために、蒸留残渣リサイクル供給物流(14)によって少なくとも1個の反応器(1)に連結されている。リサイクル供給物流(14)は、好ましくは蒸留残渣リサイクル供給物流(14)から重質副生物を除去するための蒸留残渣リサイクルパージ(15)を有する。
上記の装置のコンポーネントは、腐食性物質に曝露されるので、このようなコンポーネントは、好ましくはプロセス成分による腐食に耐性である材料から製作されている。カーク・オスマー、化学技術百科事典(Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)、第2版(John Wiley and Sons、1966年)、第11巻、第323-327頁には、塩酸及び塩化水素設備に於いて使用することができる金属及び非金属の耐蝕性の詳細な検討が示されている。適切な材料の特別の例は、特許文献1に開示されている。具体例には、金属、例えばタンタル、適切な金属合金(特に、ニッケル−モリブデン合金、例えばハステロイC(登録商標))又はガラスライニングされた装置が含まれる。
本発明に従ってDCHを回収するために、より穏和な温度条件を使用するとき、反応器(類)から下流の1個又はそれ以上の装置のコンポーネント、例えば分離装置(類)(2)、液体−液体相分離器(3)並びに/又はこれらのコンポーネントを互いに対して若しくは他の下流のコンポーネントに対して連結するコンポーネント及び導管に於いて、あまりより安価な耐蝕性材料を使用することができる。これは、償却すべき製造設備を建設するための資本投資コストを減少し、本発明に従った方法の総コストを減少する。
下記の実施例は、例示目的のみのためであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
実施例に於いて使用した装置
蒸留は、6mmのセラミック・インタロックス(Intalox)サドルを充填し、2個の充填床部分を含有する、ガラス製蒸留塔を使用して実施する。塔への供給は、2個の充填床部分の間に配置されている。塔には、ガラス製リボイラー及び塔から出る蒸気流を冷却するための、これもガラスから作られた、直列になった2個の部分凝縮器が設けられている。第一凝縮器は、冷却されたグリコールで冷却されている。第一凝縮器からの凝縮物の一部は、還流として塔の方に戻され、凝縮物の残りは、生成物として集められる。
第一凝縮器からの凝縮しなかった蒸気は、より低い温度で操作され、冷却されたグリコールで冷却されている第二凝縮器内で凝縮される。第二凝縮器から出る凝縮しなかった蒸気は、一組のコールドトラップを通過し、その後、システム全体に真空を与える真空ポンプに入る。第二凝縮器からの第二の凝縮された液相排出物は、生成物として集められる。
供給物流混合物(a)の組成及び条件
下記の表1に示す供給物流組成及び条件を、それぞれの実施例のための混合物(a)を提供するために使用する。
Figure 2010523703
表1に示すように、1,3−ジクロロ−2−プロパノール速度は2.5kg/時供給速度の38.7重量%又は0.97kg/時であり、2,3−ジクロロ−1−プロパノール速度は2.5kg/時供給速度の4.9重量%又は0.12kg/時である。1,3−ジクロロ−2−プロパノール供給速度(0.97kg/時)及び2,3−ジクロロ−1−プロパノール供給速度(0.12kg/時)の合計は1.09kg/時である。
実施例1
この実施例に於いて、DCH回収方法は、表1に示す供給物組成及び条件に基づいて、本発明に従ってコンピュータ−シミュレートする。実施例1に於いてシミュレートした蒸留塔プロセス条件を、下記の表2に示す。
Figure 2010523703
コンピュータシミュレーションによって表3に示される蒸留データが発生した。
Figure 2010523703
「ベント」は、図1に於ける流11を指す。「水性オーバーヘッド」は、凝縮後に、図1のオーバーヘッド流7を分離するために使用した図1の液体−液体相分離器(3)に相当する、2相液体−液体デカンターの水相を指す。「有機オーバーヘッド」は、凝縮後に、図1のオーバーヘッド流7を分離するために使用した2相液体−液体デカンターの有機相を指す。「底」は、図1の蒸留残渣流13を指す。ハイフン(「−」)は、重量%値が0.01未満であったことを示す。
DCHが、蒸留工程(b)によりオーバーヘッド中で回収される速度は、DCH供給速度(表1についての上記の説明で示されるように1.09kg/時)とDCH底速度(0.073kg/時)との間の差又は1.017kg/時として計算することができる。
従って、DCH回収率は、93.3%(1.017÷1.09×100)である。
実施例2
この実施例に於いて、DCH回収方法は、大気圧(101kPa)下で実施例1と同じ供給物組成及び装置について、コンピュータ−シミュレートする。実施例2のシミュレートした蒸留塔プロセス条件を、下記の表4に示す。
Figure 2010523703
コンピュータシミュレーションによって、表5に示される蒸留データが発生した。
Figure 2010523703
水性還流物速度は0.71kg/時である。
DCHが、蒸留工程(b)によりオーバーヘッド中で回収される速度は、DCH供給速度(表1についての説明で示されるように、1.09kg/時)とDCH底速度(0.617kg/時)との間の差又は0.473kg/時として計算することができる。
従って、DCH回収率は、43.4%(0.473÷1.09×100)である。
比較例1
この比較例に於いて、液体水性流を蒸留塔にリサイクルすることなく蒸留を実施する以外は、実施例2と同じ蒸留プロセス装置、条件及び供給物流に基づいて、DCH回収をコンピュータシミュレートする。
得られたデータを下記の表6に示す。
Figure 2010523703
DCHが回収される速度はDCH供給速度とDCH底速度(1.019kg/時)との間の差又は0.071kg/時として計算することができる。従って、DCH回収率は、6.5%(0.071kg/時÷1.09kg/時×100)である。
上記のことから判るように、本発明に従った実施例2は、液体水相を蒸留塔にリサイクルすることなく蒸留を実施する以外は実質的に同じ条件下でコンピュータシミュレートした比較例1よりも高いDCH回収率を得ることができる。
実施例3
この実施例に於いて、DCH回収方法は、前記実施例と同じ装置、供給物組成及び供給条件に基づいて本発明に従って、コンピュータ−シミュレートする。実施例3に於いてシミュレートした蒸留塔プロセス条件を、下記の表7に示す。
Figure 2010523703
コンピュータシミュレーションによって発生した蒸留データを、表8に示す。
Figure 2010523703
水性還流物速度は0.76kg/時である。
DCHが、蒸留工程(b)によりオーバーヘッド中で回収される速度は、DCH供給速度(表1についての前記の説明で示されるように1.09kg/時)とDCH底速度(0.389kg/時)との間の差又は0.701kg/時として計算することができる。
従って、DCH回収率は、64.3%(0.701÷1.09×100)である。
比較例2
この比較例に於いて、液体水相を蒸留塔にリサイクルすることなく蒸留を実施した以外は、実施例3と同じ蒸留プロセス装置、条件及び供給物流に基づいて、DCH回収をコンピュータシミュレートする。コンピュータシミュレーションによって発生したデータを表9に示す。
Figure 2010523703
DCHが回収される速度は、DCH供給速度(1.09kg/時)とDCH底速度(0.955kg/時)との間の差又は0.135kg/時として計算することができる。従って、DCH回収率は、12.4%(0.135kg/時÷1.09kg/時×100)である。
上記のことから判るように、本発明に従った実施例3は、蒸留塔に液体水相をリサイクルする以外は実質的に同じ条件下でコンピュータシミュレートした比較例2よりも高いDCH回収率を得ることができる。

Claims (54)

  1. ジクロロヒドリン(類)、水、クロロヒドリン(類)のエステル(類)、モノクロロヒドリン(類)及び多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)並びに/又はこれらのエステル(類)から選択された1種又はそれ以上の化合物並びに、任意的に、塩素化剤(類)、触媒(類)、触媒(類)のエステル(類)及び/又は重質副生物(類)を含む1種又はそれ以上の物質を含んでなる液相混合物からのジクロロヒドリン(類)の回収方法であって、
    (a)ジクロロヒドリン(類)、水、クロロヒドリン(類)のエステル(類)、モノクロロヒドリン(類)及び多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)並びに/又はこれらのエステル(類)から選択された1種又はそれ以上の化合物並びに、任意的に、塩素化剤(類)、触媒(類)、触媒(類)のエステル(類)及び/又は重質副生物(類)を含む1種又はそれ以上の物質を含んでなる液相混合物を提供する工程、
    (b)1個又はそれ以上の単位操作に於いて工程(a)の液相混合物を蒸留又は分別して、工程(a)の液相混合物から、液相混合物中に存在するジクロロヒドリン(類)及び水並びに他の低沸点成分を含む蒸気相を分離する工程、
    (c)工程(b)の蒸気相フラクションを凝縮させて、液体水相及びジクロロヒドリン(類)を含む液体有機相を形成する工程、
    (d)工程(c)の液体有機相から工程(c)の液体水相を分離する工程並びに
    (e)工程(d)の液体水相の少なくとも一部を、工程(b)にリサイクルする工程を含んでなる方法。
  2. 蒸留又は分別工程(b)が液体−蒸気接触装置内で還流することを含む請求項1に記載の方法。
  3. リサイクル工程(e)が工程(d)の液体水相を還流までリサイクルすることを含む請求項2に記載の方法。
  4. 工程(a)で提供される混合物中のジクロロヒドリン(類)の全量の少なくとも25%が工程(d)の液体有機相中に回収される前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(b)を、1kPa〜0.12MPaの範囲内の圧力で実施する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程(b)の間の液相混合物の温度が50℃〜139℃の範囲内である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  7. 工程(a)で提供される混合物中に少なくとも1種のモノクロロヒドリン又はこれらのエステルが存在する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  8. 工程(a)で提供される混合物中に少なくとも1種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物が存在する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  9. 工程(a)で提供される混合物中の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/又はこれらのエステル(類)がグリセリン及び/又はこれらのエステル(類)を含む請求項8に記載の方法。
  10. 工程(a)で提供される混合物が、更に、モノクロロヒドリン(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)並びに/又は多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)を塩化水素化するための触媒を含有する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  11. 触媒が、工程(b)の間の最高沸点のジクロロヒドリンの沸点よりも高い、工程(b)の間の沸点を有する、少なくとも1種のカルボン酸、少なくとも1種のカルボン酸の少なくとも1種のエステル又はこれらの組合せである請求項10に記載の方法。
  12. 触媒が(i)2〜約20個の炭素原子を有し、アミン、アルコール、ハロゲン、スルフヒドリル、エーテル、エステル又はこれらの組合せを含む群から選択された少なくとも1種の官能基(但し、この官能基は、アルファ炭素よりも近くない酸官能基に結合されている)を含有するカルボキシレート誘導体であり、(ii)ジクロロヒドリン(類)よりも揮発性ではなくそして(iii)ヘテロ原子置換基を含有している請求項10又は11に記載の方法。
  13. 工程(a)で提供される混合物が、更に、1種又はそれ以上の塩素化剤(類)を含有し、工程(b)が、少なくとも一部の塩素化剤(類)を混合物から分離する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  14. 混合物(a)中に存在する塩素化剤(類)の少なくとも50重量%が工程(b)の間に、混合物(a)から除去される請求項13に記載の方法。
  15. 塩素化剤(類)が塩化水素を含む請求項13又は14に記載の方法。
  16. 蒸留又は分別工程(b)を充填蒸留塔内で実施する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  17. 工程(b)が、工程(a)の液相混合物から、ジクロロヒドリン(類)及び水の共沸混合物を蒸発させることを含む請求項16に記載の方法。
  18. 少なくとも1種の多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物及び/又はこれらのエステルを、凝縮工程(c)の中に導入する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  19. 工程(b)の蒸留残渣中の重質副生物の量が工程(a)で提供される液相混合物中の重質副生物の量の110%を超えない前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  20. ジクロロヒドリン(類)が工程(c)で製造された液体有機相から回収される前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  21. 工程(c)で製造される液体有機相を、ジクロロヒドリン(類)の追加の精製をすることなく、エピクロロヒドリンを生成させるエポキシ化に付す前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  22. 液相混合物からジクロロヒドリン(類)を同時に蒸留及びストリッピングするために、ストリッピング剤を工程(b)の間に液相混合物の中に導入する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  23. ストリッピング剤を、工程(b)から液相混合物を取り出した後、液相混合物の中に導入する前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
  24. ストリッピング剤がスチームである請求項22又は23に記載の方法。
  25. ストリッピング剤の少なくとも一部が工程(e)に於いて工程(b)にリサイクルされる液体水相である請求項22又は23に記載の方法。
  26. 工程(a)で提供される混合物が、モノクロロヒドリン(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)並びに/又は多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)の塩化水素化から、製造又は誘導される前記請求項のいずれか1項に記載の方法を含んでなるジクロロヒドリン(類)の製造方法。
  27. 塩化水素化を、モノクロロヒドリン(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)並びに/又は多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/若しくはこれらのエステル(類)を塩化水素化する触媒の存在下で、実施する請求項26に記載の方法。
  28. 塩化水素化工程を、混合物中の最低沸点のクロロヒドリンの沸点よりも低い温度で液相中で実施し、工程(a)で提供される混合物が、塩化水素化工程の液相排出物の少なくとも一部を含む請求項26又は27に記載の方法。
  29. 塩化水素化剤として塩化水素ガスを使用して塩化水素化を実施する請求項28に記載の方法。
  30. 塩化水素化剤として塩化水素の超大気圧分圧の源泉を使用して塩化水素化を実施する請求項28又は29に記載の方法。
  31. 液体排出物中に溶解している塩化水素の逃避を許容する圧力の低下によって、少なくとも一部の塩化水素を、工程(b)の前の液相塩化水素化反応排出物から除去する請求項29又は30に記載の方法。
  32. 塩化水素の少なくとも50%を工程(b)の前の液相塩化水素化反応排出物から除去する請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 塩化水素の少なくとも一部を、工程(b)の間に液相混合物から除去し、そして塩化水素化剤として塩化水素化工程にリサイクルする請求項29〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 1%よりも少ないジクロロヒドリン(類)を、工程(b)の前の液相塩化水素化反応排出物から除去する請求項26〜32のいずれか1項に記載の方法。
  35. プロセスの全ての工程を互いに同時に実施し、このプロセスを少なくとも1時間の間、連続的に実施する請求項26〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 液相混合物を、工程(b)に従った処理の後に、塩化水素化工程にリサイクルする請求項26〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 塩化水素化の間に製造されるジクロロヒドリン(類)の少なくとも95%を、工程(d)に於いて回収する請求項36に記載の方法。
  38. (1)少なくとも1個の反応器、
    (2)液体−蒸気接触装置内の物質に、底端部から頂端部まで徐々に低下する温度勾配を適用するための、底端部及び頂端部を有する少なくとも1個の液体−蒸気接触装置並びに、任意的に、液体−蒸気接触装置からの蒸気相留出物流を凝縮させるための1個又はそれ以上の冷却装置を含む少なくとも1個の分離装置並びに
    (3)液体有機相から液体水相を分離するための少なくとも1個の液体−液体相分離装置を含んでなる、多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素化合物(類)及び/又はこれらのエステル(類)からジクロロヒドリン(類)を製造するために適した装置であって、少なくとも1個の反応器(1)が、少なくとも1個の反応器(1)からの液体反応器排出物流を、蒸留及び/又は分別のための少なくとも1個の分離装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の方に導くために、少なくとも1個の分離装置(2)に、直接的に又は間接的に、連結されており、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置が、液体−蒸気接触装置からのジクロロヒドリン(類)及び水を含む凝縮した留出物流を、液体水相と液体有機相とに分離する液体−液体相分離装置(3)の方に導くために、少なくとも1個の液体−液体相分離装置(3)に、直接的に又は任意的な冷却装置(類)を介して連結されており、そして液体−液体相分離器(3)が、液体−液体相分離器(3)からの液体水相を液体−蒸気接触装置の方に導くために、少なくとも1個の分離装置(2)の少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に直接的に又は間接的に連結されている装置。
  39. 少なくとも1個の液体−蒸気接触装置と任意の冷却装置(類)との間の連結及び少なくとも1個の液体−液体相分離器(3)と少なくとも1個の液体−蒸気接触装置との間の連結が、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の頂端部に近接している請求項38に記載の装置。
  40. 任意の冷却装置が存在しており、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置からの留出物流を液体−液体相分離器(3)の中に導入する前に、これを冷却するための凝縮器を含む請求項38又は39に記載の装置。
  41. 少なくとも1個の液体−蒸気接触装置内の圧力を、環境大気圧よりも下に低下させるために、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に真空を適用するための手段を更に含む請求項38〜40のいずれか1項に記載の装置。
  42. この手段がスチーム−ジェットエジェクターである請求項41に記載の装置。
  43. 少なくとも1個の液体−蒸気接触装置が液体−蒸気接触装置の頂部で気体を除去するためのベントを有する請求項38〜42のいずれか1項に記載の装置。
  44. 少なくとも1個の液体−蒸気接触装置が充填蒸留塔である請求項38〜43のいずれか1項に記載の装置。
  45. 少なくとも1個の液体−蒸気接触装置が還流を実施するための還流ゾーンを有する、還流条件下で分別蒸留を実施するように適合された蒸留塔である請求項38〜44のいずれか1項に記載の装置。
  46. 液体−液体相分離器(3)が、凝縮された液体有機相から凝縮された液体水相を分離するために、そして水相を、少なくとも1個の液体−液体相分離器(3)から少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の還流ゾーンの方に導くために、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の頂端部に近接して、直接的に又は任意的な冷却装置を介して連結されている請求項45に記載の装置。
  47. 少なくとも1個の分離装置(2)が、蒸留残渣を含むリサイクル供給物流を、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置から少なくとも1個の反応器(1)の方に導くために、リサイクル導管により少なくとも1個の反応器(1)に連結されている請求項38〜46のいずれか1項に記載の装置。
  48. 少なくとも1個の分離装置(2)が、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置の底からの蒸留残渣を少なくとも1個のストリッピング容器の方に導くために、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に連結されているストリッピング塔を含む請求項38〜47のいずれか1項に記載の装置。
  49. 少なくとも1個のストリッピング容器が、ストリッパー処理された蒸留残渣を含むリサイクル供給物流を、少なくとも1個のストリッピング容器から少なくとも1個の反応器(1)の方に導くためのリサイクル導管によって、少なくとも1個の反応器(1)に連結されている請求項48に記載の装置。
  50. 重質副生物を除去するリサイクル導管内のパージを更に含む請求項47又は49に記載の装置。
  51. 分離装置(2)が、更に、互いに、少なくとも1個の反応器(1)及び/又は少なくとも1個の液体−蒸気接触装置と連結された、1個又はそれ以上の、蒸留塔、フラッシュ容器、抽出塔、吸収塔、リボイラー及び/若しくは凝縮器又はこれらの組合せを含む請求項38〜50のいずれか1項に記載の装置。
  52. 少なくとも1個の分離装置(2)が、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に導かれた供給物流(類)を加熱するために、少なくとも1個の液体−蒸気接触装置に連結されているリボイラーを含む請求項38〜51のいずれか1項に記載の装置。
  53. 反応器(1)が栓流反応器を含む請求項38〜52のいずれか1項に記載の装置。
  54. 液体−蒸気接触装置がフラッシュ容器によって栓流反応器に連結されている請求項53に記載の装置。
JP2010503224A 2007-04-12 2008-04-11 ジクロロヒドリンの共沸回収方法及び装置 Pending JP2010523703A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US92302007P 2007-04-12 2007-04-12
PCT/US2008/059979 WO2008128013A1 (en) 2007-04-12 2008-04-11 Process and apparatus for azeotropic recovery of dichlorohydrins

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010523703A true JP2010523703A (ja) 2010-07-15
JP2010523703A5 JP2010523703A5 (ja) 2011-05-19

Family

ID=39643205

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010503224A Pending JP2010523703A (ja) 2007-04-12 2008-04-11 ジクロロヒドリンの共沸回収方法及び装置

Country Status (7)

Country Link
US (1) US8629305B2 (ja)
EP (1) EP2137124A1 (ja)
JP (1) JP2010523703A (ja)
KR (1) KR20090130123A (ja)
CN (1) CN101657405A (ja)
TW (2) TW201518267A (ja)
WO (1) WO2008128013A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017109993A (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司 ジクロロプロパノールの製造方法

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TW201518267A (zh) 2007-04-12 2015-05-16 Dow Global Technologies Llc 用於二氯丙醇的共沸回收之方法與設備
TWI426066B (zh) * 2007-04-12 2014-02-11 Dow Global Technologies Llc 經共蒸餾用於二氯丙醇回收之方法與裝置
WO2009126414A1 (en) * 2008-04-09 2009-10-15 Dow Global Technologies Inc. Process and apparatus for efficient recovery of dichlorohydrins
US9242916B2 (en) 2009-07-03 2016-01-26 Akzo Nobel Chemicals International B.V. Process for preparing dichlorohydrin
JP2013531635A (ja) * 2010-05-26 2013-08-08 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー 多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素の塩化水素化方法
EP3496835A1 (en) * 2016-08-11 2019-06-19 Versalis S.p.A. Process for the purification of the solvent deriving from the production of elastomeric blends
CN109107207B (zh) * 2018-07-18 2021-07-23 万华化学集团股份有限公司 一种带有外循环***的反应精馏装置及其应用
CN111875477A (zh) * 2020-08-03 2020-11-03 岳阳隆兴实业公司 一种邻氯醇共沸提纯方法
CN111943805A (zh) * 2020-09-16 2020-11-17 安徽工业大学 一种(r)-3-氯-1,2-丙二醇的制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005054167A1 (en) * 2003-11-20 2005-06-16 Solvay (Société Anonyme) Process for producing dichloropropanol from glycerol, the glycerol coming eventually from the conversion of animal fats in the manufacture of biodiesel
WO2006020234A1 (en) * 2004-07-21 2006-02-23 Dow Global Technologies Inc. Conversion of a multihydroxylated-aliphatic hydrocarbon or ester thereof to a chlorohydrin
WO2006100318A2 (fr) * 2005-05-20 2006-09-28 Solvay (Société Anonyme) Procede de fabrication d'un epoxyde au depart d'un hydrocarbure aliphatique poly hydroxyle et d'un agent de chloration

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE197308C (ja)
JPS60258171A (ja) * 1984-06-04 1985-12-20 Showa Denko Kk エピクロルヒドリンの製造方法
CZ294890B6 (cs) 2003-09-01 2005-04-13 Spolek Pro Chemickou A Hutní Výrobu,A.S. Způsob přípravy dichlorpropanolů z glycerinu
US6908038B1 (en) * 2004-02-27 2005-06-21 Imotion Corp. Multi-connector memory card with retractable sheath to protect the connectors
EP1762556A1 (en) * 2005-05-20 2007-03-14 SOLVAY (Société Anonyme) Process for producing dichloropropanol from glycerol
CN100509726C (zh) 2007-01-26 2009-07-08 江苏工业学院 一种从甘油制备二氯丙醇的方法
TW201518267A (zh) 2007-04-12 2015-05-16 Dow Global Technologies Llc 用於二氯丙醇的共沸回收之方法與設備
US8664453B2 (en) * 2007-04-12 2014-03-04 Dow Global Technologies Inc. Multi-stage process and apparatus for recovering dichlorohydrins
TWI426066B (zh) * 2007-04-12 2014-02-11 Dow Global Technologies Llc 經共蒸餾用於二氯丙醇回收之方法與裝置

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005054167A1 (en) * 2003-11-20 2005-06-16 Solvay (Société Anonyme) Process for producing dichloropropanol from glycerol, the glycerol coming eventually from the conversion of animal fats in the manufacture of biodiesel
JP2007511583A (ja) * 2003-11-20 2007-05-10 ソルヴェイ グリセロールからジクロロプロパノールを製造するための方法であって、該グリセロールが最終的にバイオディーゼルの製造における動物性脂肪の転化から生じる方法
WO2006020234A1 (en) * 2004-07-21 2006-02-23 Dow Global Technologies Inc. Conversion of a multihydroxylated-aliphatic hydrocarbon or ester thereof to a chlorohydrin
JP2008507526A (ja) * 2004-07-21 2008-03-13 ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド 多ヒドロキシル化脂肪族炭化水素又はそのエステルのクロロヒドリンへの転化
WO2006100318A2 (fr) * 2005-05-20 2006-09-28 Solvay (Société Anonyme) Procede de fabrication d'un epoxyde au depart d'un hydrocarbure aliphatique poly hydroxyle et d'un agent de chloration
WO2006100312A2 (en) * 2005-05-20 2006-09-28 Solvay (Societe Anonyme) Process for producing a chlorhydrin from a multihydroxylated aliphatic hydrocarbon and/or ester thereof in the presence of metal salts
WO2006100314A1 (fr) * 2005-05-20 2006-09-28 Solvay (Société Anonyme) Procede de fabrication d'une chlorhydrine au depart d'un hydrocarbure aliphatique poly hydroxyle
JP2008540613A (ja) * 2005-05-20 2008-11-20 ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) ポリヒドロキシ化された脂肪族炭化水素および塩素化剤からのエポキシドの調製方法
JP2008540609A (ja) * 2005-05-20 2008-11-20 ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) ポリヒドロキシ化脂肪族炭化水素から出発するクロロヒドリンの調製方法
JP2008545640A (ja) * 2005-05-20 2008-12-18 ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) 有機化合物の製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017109993A (ja) * 2015-12-18 2017-06-22 長春人造樹脂廠股▲分▼有限公司 ジクロロプロパノールの製造方法
US9850190B2 (en) 2015-12-18 2017-12-26 Chang Chun Plastics Co., Ltd. Process for preparing dichloropropanol

Also Published As

Publication number Publication date
TW200906779A (en) 2009-02-16
KR20090130123A (ko) 2009-12-17
EP2137124A1 (en) 2009-12-30
WO2008128013A1 (en) 2008-10-23
CN101657405A (zh) 2010-02-24
TW201518267A (zh) 2015-05-16
US8629305B2 (en) 2014-01-14
US20100105965A1 (en) 2010-04-29
TWI490193B (zh) 2015-07-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8664453B2 (en) Multi-stage process and apparatus for recovering dichlorohydrins
US8845972B2 (en) Process and apparatus for efficient recovery of dichlorohydrins
US8629305B2 (en) Process and apparatus for azeotropic recovery of dichlorohydrins
US8926916B2 (en) Process and apparatus for recovery of dichlorohydrins via codistillation
US8334415B2 (en) Process and apparatus for reducing heavy byproduct formation during distillation
US7982061B2 (en) Process for producing epoxides
US8586802B2 (en) Multi-stage process and apparatus for recovering dichlorohydrins

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110401

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130311

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130507

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131015