JP2010185749A - 放射線画像検出装置 - Google Patents

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和也 塚田
Naoko Furusawa
直子 古澤
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Abstract

【課題】シンチレータパネルと光電変換パネルとの密着性を向上させることにより位置ずれが生じることを防ぐことができる放射線画像検出装置を提供する。
【解決手段】光電変換パネルと当接する第1の面は該光電変換パネル表面の凹凸に沿った形状とし、シンチレータパネルと当接する第2の面は該シンチレータパネル表面の凹凸に沿った形状とした中間層を設けた放射線画像検出装置とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、被写体の放射線画像を形成する放射線画像検出装置に関する。
X線画像のデジタル技術の一つとして光電変換パネルに薄膜トランジスタ(TFT)を用いた平板X線検出装置(FPD:Flat Panel Detector)が開発されている。
FPDでは照射されたX線を可視光に変換するためにX線により発光する特性を有するX線蛍光体で作られたシンチレータパネルが使用される。放射線画像の取得は、シンチレータにX線を照射させ、照射された放射線量に応じて発光する可視光を光電変換パネルにより電荷に変換してコンデンサに蓄積し、コンデンサに蓄積した電荷を読み出すことにより放射線画像を得るものである。
そのシンチレータパネルの気体層法による製造方法としては、アルミやアモルファスカーボンなどの構成した基板上に蛍光体層を形成し、その上にシンチレータの表面全体を保護膜で被覆させることが一般的である(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
しかしながら、アルミやアモルファスカーボンは剛直であり、光電変換パネルとの密着不良が発生し、受光面内で均一な画質特性が得られないという欠点がある。このような問題は近年のFPDの大型化に伴い深刻化してきている。
このような課題を解決するために、高分子フィルムなどの可撓性を有する基板に、蒸着によりシンチレータパネルを形成する方法も考えられる。この方法により、シンチレータパネルの表面形状が、光電変換パネルパネルの平面受光素子の表面形状に沿った形状に変形し、FPD受光面全体で均一な当接状態は得られる。しかし、シンチレータパネル表面には気体層法に起因するスプラッシュや異物による凸部が多数存在することになる。これらの凸部と光電変換パネルの平面受光素子の表面とは、点で接触することになり両者は滑り易い状態となる。結果、温度変化、外部からの衝撃等により、シンチレータパネルと光電変換パネルパネルとの位置ずれが生じることになる。
特許第3566926号公報 特開2002−116258号公報
位置ずれが生じることにより以下の問題が生じる。
(1)平面受光素子は、フォトダイオードなどの受光部とTFTの変換素子部から構成されるが、これらが積層されておらず同一平面上に形成されたような場合には、その表面に凹凸が生じることになる。光電変換パネル表面の凹凸がシンチレータ表面の凹凸の位相と一致しない場合には、位置ずれが生じやすくなったり、位置ずれが発生する際に平面受光素子表面の凸部とシンチレータ表面の凸部が強い圧力で接触してしまうことにより平面受光素子がダメージを受けたりする。
(2)更に、シンチレータパネルはその一部に欠陥があると、その箇所では入射されたX線に対する感度が周囲の正常な位置とは異なることになる。このような問題への対応としては、欠陥部に対応する画素データに対して、画素毎に補間やキャリブレーションなどの補正処理を行うことが考えられる。しかし平面受光素子とシンチレータパネルとの位置ずれが発生すると、位置ずれ前後で各画素データに対する感度は異なることになる。このような場合には、位置ずれが生じるたびにキャリブレーションをやり直さなくてはならないという問題が生じる。
本願発明は、上記問題に鑑みシンチレータパネルと光電変換パネルとの密着性を向上させることにより位置ずれが生じることを防ぐことができる放射線画像検出装置を提供することを目的とする。
上記の目的は、下記に記載する発明により達成される。
1.基板上に蛍光体柱状結晶を含有する蛍光体層を形成したシンチレータパネルと、光電変換パネルと、を具備した放射線画像検出装置であって、
前記光電変換パネルと前記シンチレータパネルとの間に中間層を有し、
前記中間層の前記光電変換パネルと当接する第1の面は、該光電変換パネル表面の凹凸に沿った形状とし、前記シンチレータパネルと当接する第2の面は、該シンチレータパネル表面の凹凸に沿った形状であることを特徴とする放射線画像検出装置。
2.前記中間層が塑性変形する材料で構成されていることを特徴とする前記1に記載の放射線画像検出装置。
3.前記中間層の側面に当接する側壁を有し、
前記中間層は前記側壁に囲まれることにより平面方向への変形が規制されていることを特徴とする前記2に記載の放射線画像検出装置。
4.前記シンチレータパネルの蛍光体層は、可撓性を有する基板上に設けられていることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の放射線画像検出装置。
5.前記蛍光体層がヨウ化セシウムとタリウムを含む添加材を原材料として形成されたことを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の放射線画像検出装置。
6.前記中間層は、85%以上の可視光透過性を有する材料で構成されていることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の放射線画像検出装置。
本願発明によれば、光電変換パネルと当接する第1の面は該光電変換パネル表面の凹凸に沿った形状とし、シンチレータパネルと当接する第2の面は該シンチレータパネル表面の凹凸に沿った形状とした中間層を設けることにより、シンチレータパネルと光電変換パネルとの密着性を向上させることが可能となりひいては位置ずれが生じることを防ぐことが可能となる。
放射線画像検出装置100の概略構成を示す一部破断斜視図である。 放射線画像検出装置100の拡大断面図である。 中間層30周辺の拡大断面図である。 図4(a)及び図4(b)は、放射線用シンチレータパネル12の概略構成を示す断面図である。図4(c)は、本発明の放射線用シンチレータパネル12の拡大断面図である。 蒸着装置61の概略構成を示す図である。
以下、本発明と構成要素等について詳細な説明をするが、本発明は該実施の形態に限られない。
(放射線画像検出装置100)
以下に、上記シンチレータパネル12の一適用例として、図1から図3を参照しながら、当該放射線用シンチレータプレート10を具備した放射線画像検出装置100の構成について説明する。なお、図1は放射線画像検出装置100の概略構成を示す一部破断斜視図である。図2は放射線画像検出装置100の拡大断面図であり、図3は中間層30周辺の拡大断面図である。
図1に示す通り、放射線画像検出装置100には、光電変換パネル20、放射線画像検出装置100の動作を制御する制御部52、書き換え可能な専用メモリ(例えばフラッシュメモリ)等を用いて光電変換パネル20から出力された画像信号を記憶する記憶手段であるメモリ部53、光電変換パネル20を駆動して画像信号を得るために必要とされる電力を供給する電力供給手段である電源部54、等が筐体55の内部に設けられている。筐体55には必要に応じて放射線画像検出装置100から外部に通信を行うための通信用のコネクタ56、放射線画像検出装置100の動作を切り換えるための操作部57、放射線画像の撮影準備の完了やメモリ部53に所定量の画像信号が書き込まれたことを示す表示部58、等が設けられている。
ここで、放射線画像検出装置100に電源部54を設けるとともに放射線画像の画像信号を記憶するメモリ部53を設け、コネクタ56を介して放射線画像検出装置100を着脱自在にすれば、放射線画像検出装置100を持ち運びできる可搬構造とすることができる。
図2に示すように、光電変換パネル20は、シンチレータパネル12と、シンチレータパネル12からの可視光その他の電磁波を吸収して画像信号を出力する光電変換パネル20と、光電変換パネル20とシンチレータパネル12との間に設けた中間層30から構成されている。同図において矢印Yは厚み方向であり矢印Y方向で放射線が照射される。矢印Xは、厚み方向に直交する平面方向である。
シンチレータパネル12は、放射線照射面側に配置されており、入射した放射線の強度に応じた電磁波を発光するように構成されている。
(中間層30の構成)
図3に示すように、本発明の中間層30の第1の面s1は光電変換パネル20に当接しており、第2の面s2は、シンチレータパネル12に当接している。第1の面s1の形状は光電変換パネル20の表面の凹凸に沿った形状であり、第2の面s2の形状はシンチレータパネル12の凹凸に沿った形状である。また中間層30の側面は側壁100Wに当接している。
中間層30の可視光透過性は85%以上であれば(1)有機膜でも(2)無機膜でもよく、あるいは(3)有機と無機の複合膜、(4)有機膜と無機膜を積層した膜、(5)有機膜の複数層と無機膜の複数層を組み合わせた膜でもよい。更に防湿性を付与するためにアルミナなどの無機膜を設けても良い。中間層の膜厚は0.1〜10μmが好ましく、1.0〜5.0μmがより好ましい。中間層の膜厚をこの範囲とすることで粒状性、感度を向上させることができる。
中間層30の第1の面S1に光電変換パネル20の表面の凹凸に沿った形状を形成する方法及び、第2の面S2にシンチレータパネル12の凹凸に沿った形状を形成する方法について説明する。
(第1の面S1の表面形状の形成方法)
予め光電変換パネル20の表面を模った型を形成する。そして当該型に感光性樹脂、ホットメルト樹脂等の樹脂を流し込んだ後に、紫外線照射もしくは加熱することによって樹脂を硬化さる。すると光電変換パネル20の凹凸形状が転写された嵌め合うことが可能な表面形状を形成することができる。このようにして中間層30の第1の面S1の表面形状を形成する。なお型により作成可能なのは、同一種類の光電変換パネル20であれば凹凸の周期、深さ等の表面形状は同一だからである。
また、型を用いないで表面形状を作成してもよい。そのような場合は光電変換パネル20上に上記樹脂を直接塗布し、紫外線照射もしくは加熱することによって樹脂を硬化させる。
(第2の面S2の表面形状の形成方法)
一方、シンチレータパネル12は個々でその表面形状は異なる。そのためにシンチレータパネル12の表面に当接する第2の面S2は第1の面S1と異なり、型を用いてその表面を作成することはできない。
光電変換パネル20に上記樹脂を塗布した後に、当該樹脂層の上に更にシンチレータパネル12を押しつけて重ねることにより、樹脂層を光電変換パネル20とシンチレータパネル12で挟み込む。この状態で紫外線照射もしくは加熱することによって樹脂を硬化させる。このようにすることにより、硬化させた樹脂が中間層30となる。このようにして当該中間層30の第2の面S2をシンチレータパネル12の表面の凹凸に沿った表面形状とし、第1の面S1を光電変換パネル20の凹凸に沿った表面形状とすることができる。
(塑性変形樹脂を用いた中間層30)
また、中間層30を塑性変形樹脂の材料により構成し、当該中間層30を光電変換パネル20とシンチレータパネル12で挟み込みことにより、中間層30の第1の面S1を光電変換パネル20の凹凸に沿った表面形状に、第2の面S2をシンチレータパネル12の表面の凹凸に沿った表面形状とすることができる。
このような塑性変形樹脂の材料としては、ポリオレフィン系のポリマーから選択することができ、例えば、以下の(1)〜(3)のいずれかの材料、構造を備えた樹脂としてもよい。また本発明では塑性変形樹脂をこの好ましく用い、その中でも透明性が高い樹脂がより好ましく選択される。
(1)ポリイソブテン樹脂、ポリブテン樹脂のいずれかもしくは、混合物もしくは、共重合物。
(2)特開昭61−282416号公報、特開平2−293407号公報にある超高分子量のポリエチレンを特殊なスクリュー押出機にて溶融し、特定のL(長さ)/D(径)比のダイから押し出し、除例して1本の糸にし、この糸を特定の延伸比で延伸して、塑性変形性を付与させたポリエチレン。
(3)超高分子量のポリエチレンに代えて、極限粘度(η)が3.5dl/g未満の汎用ポリエチレンを使用して、特開平7−238417号公報にある、汎用ポリエチレン又は、当該汎用ポリエチレンと他のポリオレフィンとを溶融し押し出しスクリュウ押出機にて溶融し、特定のL/D比のダイから押し出し、除例して比較的太い(0.25mm以上)1本の糸にし、この糸を特定の延伸比で延伸して、塑性変形性を付与させたポリエチレン。
更に、中間層30の材料として塑性変形樹脂を用いた場合には、中間層30の周囲を囲む側壁100Wを設けることが好ましい。中間層30の周囲を側壁100Wで囲むことにより塑性変形樹脂で構成した中間層30は、厚み方向と直交する平面方向への変形を規制することができるので、(1)中間層30とシンチレータパネル12の平面方向へのずれ及び(2)中間層30と光電変換パネル20の平面方向へのずれを抑制することができ、ひいては、シンチレータパネル12と光電変換パネル20の平面方向へのずれを抑制することが可能となる。なお、側壁100Wを設けても厚み方向への変形は自由に行うことが可能であるから、中間層30の表面形状は、シンチレータパネル12あるいは光電変換パネル20の凹凸に沿った形状に変形する機能は損なわれない。
(シンチレータパネル12の構成)
本発明のシンチレータパネル12は、高分子フィルム基板121上に柱状結晶からなる蛍光体層を設けて成るシンチレータパネルが好ましく、基板121と蛍光体層の間に下引層121bを有する態様がより好ましい。また基板121上に反射層121aを設け、反射層121a、下引層121b、及び蛍光体層の構成であってもよい。以下、各構成層及び構成要素等について説明する。
(蛍光体層122:シンチレータ層)
本発明に係る蛍光体層122は、蛍光体柱状結晶からなる蛍光体層122であることを特徴とする。また蛍光体層122表面に複数の凹部を有することを特徴とする。
蛍光体層122を形成する材料としては、種々の公知の蛍光体材料を使用することができるが、X線から可視光に対する変更率が比較的高く、蒸着によって容易に蛍光体を柱状結晶構造に形成できるため、光ガイド効果により結晶内での発光光の散乱が抑えられ、蛍光体層122の厚さを厚くすることが可能であることから、ヨウ化セシウム(CsI)が好ましい。
但し、CsIのみでは発光効率が低いために、各種の賦活剤が添加される。例えば、特公昭54−35060号公報の如く、CsIとヨウ化ナトリウム(NaI)を任意のモル比で混合したものが挙げられる。また、例えば特開2001−59899号公報に開示されているようなCsIを蒸着で、タリウム(Tl)、ユウロピウム(Eu)、インジウム(In)、リチウム(Li)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、ナトリウム(Na)などの賦活物質を含有するCsIが好ましい。本発明においては、特に、タリウム(Tl)、ユウロピウム(Eu)が好ましい。更に、タリウム(Tl)が好ましい。
なお、本発明においては、特に、1種類以上のタリウム化合物を含む添加剤とヨウ化セシウムとを原材料とすることが好ましい。すなわち、タリウム賦活ヨウ化セシウム(CsI:Tl)は400nmから750nmまでの広い発光波長を持つことから好ましい。
本発明に係る1種類以上のタリウム化合物を含有する添加剤のタリウム化合物としては、種々のタリウム化合物(+Iと+IIIの酸化数の化合物)を使用することができる。
本発明において、好ましいタリウム化合物は、臭化タリウム(TlBr)、塩化タリウム(TlCl)、又はフッ化タリウム(TlF、TlF)等である。
また、本発明に係るタリウム化合物の融点は、400〜700℃の範囲内にあることが好ましい。700℃以内を超えると、柱状結晶内での添加剤が不均一に存在してしまい、発光効率が低下する。なお、本発明での融点とは、常温常圧下における融点である。
本発明に係る蛍光体層122において、当該添加剤の含有量は目的性能等に応じて、最適量にすることが望ましいが、ヨウ化セシウムの含有量に対して、0.001mol%〜50mol%、更に0.1〜10.0mol%であることが好ましい。
ここで、ヨウ化セシウムに対し、添加剤が0.001mol%以上であると、ヨウ化セシウム単独使用で得られる発光輝度の向上がみられ、目的とする発光輝度を得る点で好ましい。また、50mol%以下であるとヨウ化セシウムの性質・機能を保持することができて好ましい。
なお、シンチレータ層(蛍光体層122)の厚さは、100〜800μmであることが好ましく、120〜700μmであることが、輝度と鮮鋭性の特性をバランスよく得られる点からより好ましい。
(反射層121a)
本発明においては、高分子基板121上には反射層121aを設けることが好ましい、蛍光体(シンチレータ)から発した光を反射して、光の取り出し効率を高めるためのものである。当該反射層121aは、Al、Ag、Cr、Cu、Ni、Ti、Mg、Rh、Pt及びAuからなる元素群の中から選ばれるいずれかの元素を含む材料により形成されることが好ましい。特に、上記の元素からなる金属薄膜、例えば、Ag膜、Al膜などを用いることが好ましい。また、このような金属薄膜を2層以上形成するようにしても良い。なお、反射層121aの厚さは、0.005〜0.3μm、より好ましくは0.01〜0.2μmであることが、発光光取り出し効率の観点から好ましい。
(下引層121b)
本発明においては、基板121と蛍光体層122の間、又は反射層121aと蛍光体層122の間に膜付の観点から、下引き層を設けることが好ましい。当該下引層121bは、高分子結合材(バインダー)、分散剤等を含有することが好ましい。なお、下引層121bの厚さは、0.5〜4μmが好ましい、4μm以上になると下引層121b内での光散乱が大きくなり鮮鋭性が悪化する。また下引層121bの厚さが5μmより大きくなると熱処理より柱状結晶性の乱れが発生する。以下、下引層121bの構成要素について説明する。
(高分子結合材)
本発明に係る下引層121bは、溶剤に溶解又は分散した高分子結合材(以下「バインダー」ともいう。)を塗布、乾燥して形成することが好ましい。高分子結合材としては、具体的には、ポリウレタン、塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、セルロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースを使用することが好ましい。
本発明に係る高分子結合材としては、特に蛍光体層122との密着の点でポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロースなどが好ましい。また、ガラス転位温度(Tg)が30〜100℃のポリマーであることが、蒸着結晶と基板121との膜付の点で好ましい。この観点からは、特にポリエステル樹脂であることが好ましい。
下引層121bの調製に用いることができる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどの低級アルコール、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどの塩素原子含有炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエステル、エチレングリコールモノメチルエステルなどのエーテル及びそれらの混合物を挙げることができる。
なお、本発明に係る下引層121bには、蛍光体(シンチレータ)が発光する光の散乱の防止し、鮮鋭性等を向上させるために顔料や染料を含有させても良い。
(保護層)
保護層123は、蛍光体層122の保護を主眼とするものである。すなわち、ヨウ化セシウム(CsI)は、吸湿性が高く露出したままにしておくと空気中の水蒸気を吸湿して潮解してしまうため、これを防止することを主眼とする。
当該保護層123は、種々の材料を用いて形成することができる。例えば、CVD法によりポリパラキシリレン膜を形成する。即ち、蛍光体(シンチレータ)及び基板121の表面全体にポリパラキシリレン膜を形成し、保護層123とすることができる。
また、別の態様の保護層123として、蛍光体層122上に高分子フィルムを設けることもできる。なお、高分子フィルムの材料としては、後述する基板121材料としての高分子フィルムと同様のフィルムを用いることができる。
上記高分子フィルムの厚さは、空隙部の形成性、蛍光体層122の保護性、鮮鋭性、防湿性、作業性等を考慮し、12μm以上、120μm以下が好ましく、更には20μm以上、80μm以下が好ましい。また、ヘイズ率は、鮮鋭性、放射線画像ムラ、製造安定性及び作業性等を考慮し、3%以上、40%以下が好ましく、更には3%以上、10%以下が好ましい。ヘイズ率は、例えば、日本電色工業株式会社NDH5000Wにより測定できる。必要とするヘイズ率は、市販されている高分子フィルムから適宜選択し、容易に入手することが可能である。
保護フィルムの光透過率は、光電変換効率、蛍光体(シンチレータ)発光波長等を考慮し、550nmで70%以上あることが好ましいが、99%以上の光透過率のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に99%〜70%が好ましい。
保護フィルムの透湿度は、蛍光体層122の保護性、潮解性等を考慮し50g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には10g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましいが、0.01g/m・day(40℃・90%RH)以下の透湿度のフィルムは工業的に入手が困難であるため実質的に、0.01g/m・day(40℃・90%RH)以上、50g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましく、更には0.1g/m・day(40℃・90%RH)以上、10g/m・day(40℃・90%RH)(JIS Z0208に準じて測定)以下が好ましい。
(基板121)
本発明のシンチレータパネルは、基板121として、高分子フィルムを用いることが好ましい。高分子フィルムとしては、セルロースアセテートフイルム、ポリエステルフイルム、ポリエチレンテレフタレート(PEN)フィルム、ポリアミドフイルム、ポリイミド(PI)フィルム、トリアセテートフイルム、ポリカーボネートフイルム、炭素繊維強化樹脂シート等の高分子フィルム(プラスチックフィルム)を用いることができる。特に、ポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが、ヨウ化セシウムを原材料として気相法にて蛍光体柱状結晶を形成する場合に、好適である。
なお、本発明に係る基板121としての高分子フィルムは、厚さ50〜500μmであること、更に可とう性を有する高分子フィルムであることが好ましい。
ここで、「可とう性を有する基板121」とは、120℃での弾性率(E120)が1000〜6000N/mmである基板121をいい、かかる基板121としてポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
なお、「弾性率」とは、引張試験機を用い、JIS C 2318に準拠したサンプルの標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めたものである。これがヤング率と呼ばれる値であり、本発明では、かかるヤング率を弾性率と定義する。
本発明に用いられる基板121は、上記のように120℃での弾性率(E120)が1000〜6000N/mmであることが好ましい。より好ましくは1200〜5000N/mmである。
具体的には、ポリエチレンナフタレート(E120=4100N/mm)、ポリエチレンテレフタレート(E120=1500N/mm)、ポリブチレンナフタレート(E120=1600N/mm)、ポリカーボネート(E120=1700N/mm)、シンジオタクチックポリスチレン(E120=2200N/mm)、ポリエーテルイミド(E120=1900N/mm)、ポリアリレート(E120=1700N/mm)、ポリスルホン(E120=1800N/mm)、ポリエーテルスルホン(E120=1700N/mm)等からなる高分子フィルムが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく積層あるいは混合して用いてもよい。なかでも、特に好ましい高分子フィルムとしては、上述のように、ポリイミド又はポリエチレンナフタレートを含有する高分子フィルムが好ましい。
なお、シンチレータパネルと平面受光素子面を貼り合せる際に、基板121の変形や蒸着時の反りなどの影響を受け、フラットパネルデテイクタの受光面内で均一な画質特性が得られないという点に関して、基板121を、厚さ50〜500μmの高分子フィルムとすることでシンチレータパネルが平面受光素子面の形状に合った形状に変形し、フラットパネルデテイクタの受光面全体で均一な鮮鋭性が得られる。
(シンチレータパネル12の作製方法)
本発明に関わるシンチレータパネル12の作製方法の典型的例について、図を参照しながら説明する。なお、図4(a)及び図4(b)は、放射線用シンチレータパネル12の概略構成を示す断面図である。図4(c)は、本発明の放射線用シンチレータパネル12の拡大断面図であり、基板121、反射層121a、下引層121b及び蛍光体層122の順に形成されている。蛍光体層122の表面には凹部521が存在する。
(蒸着装置)
図5に示す通り、蒸着装置61は箱状の真空容器62を有しており、真空容器62の内部には真空蒸着用のボート63が配されている。ボート63は蒸着源の被充填部材であり、当該ボート63には電極が接続されている。当該電極を通じてボート63に電流が流れると、ボート63がジュール熱で発熱するようになっている。放射線用シンチレータパネル12の製造時においては、ヨウ化セシウムと賦活剤化合物とを含む混合物がボート63に充填され、そのボート63に電流が流れることで、上記混合物を加熱・蒸発させることができるようになっている。
なお、被充填部材として、ヒータを巻回したアルミナ製のるつぼを適用してもよいし、高融点金属製のヒータを適用してもよい。
真空容器62の内部であってボート63の直上には基板121を保持するホルダ64が配されている。ホルダ64にはヒータ(図示略)が配されており、当該ヒータを作動させることでホルダ64に装着した基板121を加熱することができるようになっている。基板121を加熱した場合には、基板121の表面の吸着物を離脱・除去したり、基板121とその表面に形成される蛍光体層122との間に不純物層が形成されるのを防止したり、基板121とその表面に形成される蛍光体層122との密着性を強化したり、基板121の表面に形成される蛍光体層122の膜質の調整を行ったりすることができるようになっている。
ホルダ64には当該ホルダ64を回転させる回転機構65が配されている。回転機構65は、ホルダ64に接続された回転軸65aとその駆動源となるモータ(図示略)から構成されたもので、当該モータを駆動させると、回転軸65aが回転してホルダ64をボート63に対向させた状態で回転させることができるようになっている。
蒸着装置61では、上記構成の他に、真空容器62に真空ポンプ66が配されている。真空ポンプ66は、真空容器62の内部の排気と真空容器62の内部へのガスの導入とを行うもので、当該真空ポンプ66を作動させることにより、真空容器62の内部を一定圧力のガス雰囲気下に維持することができるようになっている。
(シンチレータパネル12)
次に、本発明に係るシンチレータパネル12の作製方法について説明する。
当該放射線用シンチレータパネル12の作製方法においては、上記で説明した蒸着装置61を好適に用いることができる。蒸着装置61を用いて放射線用シンチレータパネル12を作製する方法について説明する。
(反射層121aの形成)
基板1の一方の表面に反射層121aとしての金属薄膜(Al膜、Ag膜等)をスパッタ法により形成する。また高分子フィルム上にAl膜をスパッタ蒸着したフィルムは、各種の品種が市場で流通しており、これらを本発明の基板121として使用することも可能である。
(下引層121bの形成)
下引層121bは、有機溶剤に高分子結合材を分散・溶解した組成物を塗布、乾燥して形成する。高分子結合材としては接着性、反射層121aの耐腐食性の観点でポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の疎水性樹脂が好ましい。
(蛍光体層122の形成)
上記のように反射層121aと下引層121bを設けた基板121をホルダ64に取り付けるとともに、複数個(図示しない)のボート63にヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む粉末状の混合物を充填する(準備工程)。この場合、ボート63と基板121との間隔を100〜1500mmに設定し、その設定値の範囲内のままで後述の蒸着工程の処理を行う。より好ましくはボート63と基板121との間隔を400mm以上、1500mm以下とし、複数個のボート63を同時に加熱し蒸着を行う。これにより、スプラシュによる異常成長は蒸着後半から発生するようになり、スプラシュにより発生する凸部の径を蛍光体層122厚の1/2以下に制御が可能となる。
準備工程の処理を終えたら、真空ポンプ66を作動させて真空容器62の内部を排気し、真空容器62の内部を0.1Pa以下の真空雰囲気下にする(真空雰囲気形成工程)。ここでいう「真空雰囲気下」とは100Pa以下の圧力雰囲気下のことを意味し、0.1Pa以下の圧力雰囲気下であるのが好適である。
次にアルゴン等の不活性ガスを真空容器62の内部に導入し、当該真空容器62の内部を0.001〜5Pa、より好ましくは0.01〜2Paの真空雰囲気下に維持する。その後、ホルダ64のヒータと回転機構65のモータとを駆動させ、ホルダ64に取付け済みの基板121をボート63に対向させた状態で加熱しながら回転させる。蛍光体層122が形成される基板121の温度は、蒸着開始時は室温25〜50℃に設定することが好ましく、蒸着中は100〜300℃、より好ましくは150〜250℃に設定することが好ましい。
この状態において、電極からボート63に電流を流し、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとを含む混合物を700℃程度で所定時間加熱してその混合物を蒸発させる。その結果、基板121の表面に無数の柱状結晶体が順次成長して所望の厚さの結晶が得られる(蒸着工程)。この後、ヨウ化セシウムが蒸着された基板121を取り出し、粘着ローラにより蛍光体表面をクリーニングすることで、異常成長部分を除去し蛍光体表面に多数の凹部を形成する。
なお、上記記載事項においては、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計変更を行ってもよい。
一の改良・設計変更事項として、上記蒸着工程では抵抗加熱法による処理としたが、当該各工程の処理は電子ビームによる処理であってもよいし、高周波誘導による処理でもよい。本実施形態では、比較的簡単な構成で取り扱いが容易、安価、かつ、非常に多くの物質に適用可能である点から、上記の通り、抵抗加熱法による加熱処理を適用するのが好ましい。抵抗加熱法による加熱処理を実行すると、同一のボート63において、ヨウ化セシウムとヨウ化タリウムとの混合物の加熱処理と蒸着処理という両処理を両立することができる。
他の改良・設計変更事項として、蒸着装置61のボート63とホルダ64との間に、ボート63からホルダ64に至る空間部を遮断するシャッタ(図示略)を配してもよい。この場合、当該シャッタによってボート63上の混合物の表面に付着した目的物以外の物質が蒸着工程の初期段階で蒸発し、その物質が基板121に付着するのを防止することができ、蒸着初期に発生する異物による柱状結晶の異常成長を防止できる。
(光電変換パネルの構成)
光電変換パネル20は、放射線用のシンチレータパネル12の放射線照射面と反対側の面に設けられており、シンチレータパネル12側から順に、隔膜20a、光電変換素子20b、画像信号出力層20c及び基板20dを備えている。
隔膜20aは、シンチレータパネル12と他の層を分離するためのものである。
光電変換素子20bは、透明電極21と、透明電極21を透過して入光した電磁波により励起されて電荷を発生する電荷発生層22と、透明電極21に対しての対極になる対電極23とから構成されており、隔膜20a側から順に透明電極21、電荷発生層22、対電極23が配置される。
透明電極21とは、光電変換される電磁波を透過させる電極であり、例えばインジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnOなどの導電性透明材料を用いて形成される。
電荷発生層22は、透明電極21の一面側に薄膜状に形成されており、光電変換可能な化合物として光によって電荷分離する有機化合物を含有するものであり、電荷を発生し得る電子供与体及び電子受容体としての導電性化合物をそれぞれ含有している。電荷発生層22では、電磁波が入射されると、電子供与体は励起されて電子を放出し、放出された電子は電子受容体に移動して、電荷発生層22内に電荷、すなわち、正孔と電子のキャリアが発生するようになっている。
ここで、電子供与体としての導電性化合物としては、p型導電性高分子化合物が挙げられ、p型導電性高分子化合物としては、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフルオレン、ポリ(p−フェニレン)又はポリアニリンの基本骨格を持つものが好ましい。
また、電子受容体としての導電性化合物としては、n型導電性高分子化合物が挙げられ、n型導電性高分子化合物としては、ポリピリジンの基本骨格を持つものが好ましく、特にポリ(p−ピリジルビニレン)の基本骨格を持つものが好ましい。
電荷発生層22の膜厚は、光吸収量を確保するといった観点から、10nm以上(特に100nm以上)が好ましく、また電気抵抗が大きくなりすぎないといった観点から、1μm以下(特に300nm以下)が好ましい。
対電極23は、電荷発生層22の電磁波が入光される側の面と反対側に配置されている。対電極23は、例えば、金、銀、アルミニウム、クロムなどの一般の金属電極や、透明電極21の中から選択して用いることが可能であるが、良好な特性を得るためには仕事関数の小さい(4.5eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするのが好ましい。
また、電荷発生層22を挟む各電極(透明電極21及び対電極23)との間には、電荷発生層22とこれら電極が反応しないように緩衝地帯として作用させるためのバッファー層を設けてもよい。バッファー層は、例えば、フッ化リチウム及びポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(4−スチレンスルホナート)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル[1,10]フェナントロリンなどを用いて形成される。
画像信号出力層20cは、光電変換素子20bで得られた電荷の蓄積及び蓄積された電荷に基づく信号の出力を行うものであり、光電変換素子20bで生成された電荷を画素毎に蓄積する電荷蓄積素子であるコンデンサ24と、蓄積された電荷を信号として出力する画像信号出力素子であるトランジスタ25とを用いて構成されている。
トランジスタ25は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)を用いるものとする。このTFTは、液晶ディスプレイ等に使用されている無機半導体系のものでも、有機半導体を用いたものでもよく、好ましくはプラスチックフィルム上に形成されたTFTである。プラスチックフィルム上に形成されたTFTとしては、アモルファスシリコン系のものが知られているが、その他、米国Alien Technology社が開発しているFSA(Fluidic Self Assembly)技術、即ち、単結晶シリコンで作製した微小CMOS(Nanoblocks)をエンボス加工したプラスチックフィルム上に配列させることで、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを形成するものとしても良い。更に、Science,283,822(1999)やAppl.Phys.Lett,771488(1998)、Nature,403,521(2000)等の文献に記載されているような有機半導体を用いたTFTであってもよい。
このように、本発明に用いられるトランジスタ25としては、上記FSA技術で作製したTFT及び有機半導体を用いたTFTが好ましく、特に好ましいものは有機半導体を用いたTFTである。この有機半導体を用いてTFTを構成すれば、シリコンを用いてTFTを構成する場合のように真空蒸着装置等の設備が不要となり、印刷技術やインクジェット技術を活用してTFTを形成できるので、製造コストが安価となる。更に、加工温度を低くできることから熱に弱いプラスチック基板121上にも形成できる。
トランジスタ25には、光電変換素子20bで発生した電荷を蓄積するとともに、コンデンサ24の一方の電極となる収集電極(図示せず)が電気的に接続されている。コンデンサ24には光電変換素子20bで生成された電荷が蓄積されるとともに、この蓄積された電荷はトランジスタ25を駆動することで読み出される。すなわちトランジスタ25を駆動させることで放射線画像の画素毎の信号を出力させることができる。
基板20dは、光電変換パネル20の支持体として機能するものであり、基板1と同様の素材で構成することが可能である。
次に、放射線画像検出装置100の作用について説明する。
まず、放射線画像検出装置100に対し入射された放射線は、光電変換パネル20のシンチレータパネル12側から基板20d側に向けて放射線を入射する。
すると、シンチレータパネル12に入射された放射線は、シンチレータパネル12中の蛍光体層122が放射線のエネルギーを吸収し、その強度に応じた電磁波を発光する。発光された電磁波のうち、光電変換パネル20に入光される電磁波は、光電変換パネル20の隔膜20a、透明電極21を貫通し、電荷発生層22に到達する。そして、電荷発生層22において電磁波は吸収され、その強度に応じて正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。
その後、発生した電荷は、電源部54によるバイアス電圧の印加により生じる内部電界により正孔と電子はそれぞれ異なる電極(透明電極膜及び導電層)へ運ばれ、光電流が流れる。
その後、対電極23側に運ばれた正孔は画像信号出力層20cのコンデンサ24に蓄積される。蓄積された正孔はコンデンサ24に接続されているトランジスタ25を駆動させると、画像信号を出力するとともに、出力された画像信号はメモリ部53に記憶される。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(基板121の作製)
厚さ125μm、250x200mmサイズのポリイミドフイルム(ガラス転移温度は285℃)(宇部興産製ユーピレックス)にアルミをスパッタして反射層121a(0.10μm)を形成した。
(下引層121bの作製)
バイロン20SS(東洋紡社製:高分子ポリエステル樹脂) 300質量部
メチルエチルケトン(MEK) 200質量部
トルエン 300質量部
シクロヘキサノン 150質量部
上記処方を混合し、ビーズミルにて15時間分散し、下引き塗設用の塗布液を得た。この塗布液を上記基板121の反射層121a側に乾燥層厚が1.0μmになるようにスピンコーターで塗布したのち100℃で8時間乾燥することで下引き層を作製した。
(蛍光体層122の形成)
基板121の下引き層側に蛍光体(CsI:0.03Tlmol%)を、図9に示した蒸着装置を使用して蒸着させ基板121の全面に500μmの蛍光体層122を形成した。ボート63とホルダ64との間にシャッタ(図示略)を配し、蒸着開始時に目的物以外の物質が蛍光体層122に付着するのを防止した。
すなわち、まず、蛍光体原料を蒸着材料として抵抗加熱ルツボに充填し、また回転する支持体ホルダに基板121を設置し、基板121と蒸発源との間隔を500mmに調節した。
続いて蒸着装置内を一旦排気し、Arガスを導入して0.5Paに真空度を調整した後、10rpmの速度で基板121を回転しながら基板121の温度を200℃に保持した。次いで、抵抗加熱ルツボを加熱して蛍光体を蒸着し表1の(1)層厚に示した層厚の蛍光体層122を形成した。
(中間層の形成)
次に光電変換パネルとなるPaxScan(Varian社製FPD:2520)の受光素子面上表面に、アクリル系樹脂(デュポン製ルーサイト)を3.0g/m(固型分)の塗布量で塗布し、160℃で2分間熱処理し、中間層とした。中間層の膜厚は2.5μmであった。中間層のある光電変換パネル上に上記で得られたシンチレータパネルを載せ、80℃に加熱した状態で圧力をかけシンチレータパネルがわずかに沈み込み固定された時点で加熱を停止した。この操作によってシンチレータパネルの凹凸及び光電変換パネルの凹凸が嵌め込まれた中間層を形成できる。なお、本発明に用いた樹脂は95%の可視光透過性を有する。
次に、シンチレータパネル12の上に厚さ12mmのウレタン性フォームからなる発泡部材を順次セットして、カーボン板からなる保護カバーを取り付けた。このとき圧縮されたフォーム部材の圧力によりシンチレータパネル12が受光素子に対して100gf/cm(0.98N/cm)の圧力で圧接されるようになっている。
上記のシンチレータパネル12がセットされた放射線検出装置の放射線入射面側に管電圧70kVpで3.0mRのX線を照射し、シンチレータパネル12の発光強度ムラを含めて入射X線に対する各画素からの出力が同一になるようにキャリブレーション(Gain補正)を実施した。次に、管電圧70kVpで1.0mRのX線を照射し、得られたデジタル信号をハードディスクに記録した。次にハードディスク上の記録をコンピュータで分析して、画像信号の電気信号の平均値をSとし、この平均強度Sからずれる信号(ノイズ)を2乗平均の平方根値Nとして、20×log10(S/N)dBを計算し、この計算値に基づいて粒状性を評価した。
(振動温度サイクル試験)
次に放射線検出装置を振動試験機に固定し、振動試験機で25Hz(2.5G)の振動を1時間与えた後、環境試験機内に設置し−10℃から60℃の温度変化を10サイクル与えた。
(評価)
上記、振動温度サイクル試験後、再度、管電圧70kVpで1.0mRのX線を照射し、粒状性を評価した。なお、このとき使用したキャリブレーション(Gain補正)データは、振動温度サイクル試験前の粒状性測定に使用したものと同じである。
振動温度サイクル試験前後の粒状性を表1の(c)粒状性に示した。なお、粒状性は振動温度サイクル試験前の値を1.0とし、振動温度サイクル試験後の粒状性を比で表示した。
振動温度サイクル試験により受光素子とシンチレータパネル12の位置ずれが発生すると、それまで用いていたシンチレータパネルの各位置に対応する各画素(各受光素子)で行っていたキャリブレーション値が不適となり、その結果、粒状性が悪化する。
表1では、振動温度サイクル試験後の粒状性の値が1.0に近いほど受光素子とシンチレータパネル12の位置ずれが少ないことを意味する。
評価結果を表1に示す。表1には中間層を形成せず直接シンチレータパネルと光電変換素子パネルとを接触させた場合を比較として用い、同様な振動温度サイクル試験を行った結果も記した。
本発明、比較ともに振動温度サイクル試験前後の画像平均信号の高さ(感度)も評価し合わせて記した。
Figure 2010185749
表1に示すように、本発明の如くシンチレータパネル、光電変換パネルの両パネルの凹凸を吸収する中間層を用いたことで互いのパネルのずれが抑制され、粒状性が良化することがわかる。
12 シンチレータパネル
20 光電変換パネル
30 中間層
121 基板
122 蛍光体層
121a 反射層
121b 下引層
61 蒸着装置
62 真空容器
63 ボート
64 ホルダ
65 回転機構
66 真空ポンプ
100 放射線画像検出装置

Claims (6)

  1. 基板上に蛍光体柱状結晶を含有する蛍光体層を形成したシンチレータパネルと、光電変換パネルと、を具備した放射線画像検出装置であって、
    前記光電変換パネルと前記シンチレータパネルとの間に中間層を有し、
    前記中間層の前記光電変換パネルと当接する第1の面は、該光電変換パネル表面の凹凸に沿った形状とし、前記シンチレータパネルと当接する第2の面は、該シンチレータパネル表面の凹凸に沿った形状であることを特徴とする放射線画像検出装置。
  2. 前記中間層が塑性変形する材料で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像検出装置。
  3. 前記中間層の側面に当接する側壁を有し、
    前記中間層は前記側壁に囲まれることにより平面方向への変形が規制されていることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像検出装置。
  4. 前記シンチレータパネルの蛍光体層は、可撓性を有する基板上に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射線画像検出装置。
  5. 前記蛍光体層がヨウ化セシウムとタリウムを含む添加材を原材料として形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の放射線画像検出装置。
  6. 前記中間層は、85%以上の可視光透過性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放射線画像検出装置。
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