しかしながら、上記従来の光情報記録媒体判別手法を用いた再生装置では、前述した新たに提案されつつある多層超解像技術を用いたバリエーションが追加された場合に、全てのバリエーションに、十分に対応することができないという問題点を有している。なぜならば、前述の2方法では、情報記録層の数は判別できても、様々なバリエーションが既に存在するため、情報記録再生層に設けられている薄膜が超解像を生じさせる超解像膜であるか否か、すなわち、情報記録層が超解像再生膜か非超解像再生膜かの種類を反射率によって判断することができないためである。
理由の詳細を、多層超解像光情報記録媒体を再生する場合において、該多層超解像光情報記録媒体が、従来の2層非超解像光情報記録媒体のように第1情報記録層と第2情報記録層との薄膜の領域がほぼ等しい範囲であり、ほぼ重なっている光情報記録媒体の場合(以後、「ケース1構造」と呼ぶ)と、特許文献1のように第2情報記録層に設けられている薄膜の領域の方が第1情報記録層に設けられている薄膜の領域よりも広い光情報記録媒体の場合(以後、「ケース2構造」と呼ぶ)とに分けて以下に説明する。
まず、ケース1構造について説明する。通常の非超解像光情報記録媒体再生装置は、最初に前述した方法により、光情報記録媒体を2層であると識別した後、情報記録層にフォーカスをかけ、トラッキング(回転している光情報記録媒体に設けられた情報記録層の再生の要求されたトラックとよばれる同心円、又はスパイラル状に配列された凹凸上に再生光が追従している状態)して再生を開始する。ところで、光情報記録媒体では、一般に、再生装置の再生方法については規格が定められていない。したがって、例えば2層情報記録媒体を再生するときに、再生光入射面から遠い情報記録層である第2情報記録層に対してフォーカスを最初にかけることにより再生を開始する再生装置が存在する可能性がある。
また、再生装置は、一般に、消費電力を抑えるため、再生開始時の再生光パワーを最低限に抑制している。そのため、2層超解像情報記録媒体を再生する場合であっても、光情報記録媒体が超解像光情報記録媒体であるか否かを判断できないため、再生光パワーは、2層超解像光情報記録媒体に適応した高い再生光パワーでなく、2層非超解像光情報記録媒体に適合した低い再生光パワーである場合が多い。したがって、2層非超解像光情報記録媒体に適合した低いパワーの再生光が、前述した非超解像光情報記録媒体よりも透過率の低い2層超解像光情報記録媒体の第1情報記録層を透過して、第2情報記録層に照射されることになる。その後、第2情報記録層で反射した光が、再び2層超解像光情報記録媒体の第1情報記録層を透過し、戻り光として、ディテクターに検出されるので、戻り光量が不足し、フォーカス又はトラッキングがかからないという問題が生じる可能性がある。
次に、ケース2構造について説明する。なお、第1情報記録層及び第2情報記録層に設けられた薄膜が重なっている部分にフォーカスする場合は、ケース1構造と同様であるため、以降では、第1情報記録層の薄膜を透過することなく第1情報記録層に再生光を照射できる位置で2層超解像光情報記録媒体の再生を開始する場合についてのみ説明する。
上記の場合、再生装置は、光情報記録媒体を1層と判断し、前述の理由により単層非超解像光情報記録媒体に適したパワーの再生光が、第2情報記録層に照射される。ところで、超解像光情報記録媒体の第2情報記録層の反射率は、超解像光情報記録媒体に適したパワーで再生光を照射した場合、前述したように非超解像光情報記録媒体に比較して低い透過率である第1情報記録層を2回透過した場合でも、戻り光量が保てるように、単層非超解像光情報記録媒体の情報記録層の反射率よりも高くなっている。このため、戻り光量が過剰となりフォーカス、又はトラッキングがかからないという問題が生じる可能性がある。
上記のように、従来の再生開始時における非超解像光情報記録媒体のバリエーション対応法には、超解像光情報記録媒体に対しては多くの問題があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る光情報記録媒体及び光情報記録媒体駆動装置を提供することにある。
本発明の光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、凹又は凸の少なくとも一方からなるプリピットにより情報が記録され、上記プリピット上に1層以上の薄膜が積層されている情報記録層を2層以上有し、かつ再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも短い長さを含む長さの上記プリピットを有する多層再生専用の光情報記録媒体であって、再生光入射面に最も近い第1情報記録層は、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い記録マークのみで情報が記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有していると共に、上記第1情報記録層とは異なる他の情報記録層の薄膜よりも広範囲の領域を有していることを特徴としている。
多層超解像光情報記録媒体においては、各情報記録層には、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも短い長さを含む長さのプリピットにて記録され、かつ各情報記録層は非超解像光情報記録媒体よりも反射率が高い等の非超解像光情報記録媒体とは異なる特性を有している。このため、非超解像光情報記録媒体及び超解像光情報記録媒体の両方を再生可能な再生装置においては、再生装置にセットされた光情報記録媒体が、非超解像光情報記録媒体又は超解像光情報記録媒体のいずれの種類であるかを識別できないので、各情報記録層の再生条件も設定できないという問題を有していた。
これに対して、本発明では、多層超解像光情報記録媒体において、第1情報記録層は、非超解像光情報記録媒体用である再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い非超解像光情報記録媒体用のプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は非超解像光情報記録媒体用である再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い記録マークのみで情報が記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有している。
このため、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができ、その結果から、再生装置にセットされた光情報記録媒体が非超解像光情報記録媒体又は超解像光情報記録媒体のいずれの種類であるかを識別することができる。例えば、再生できないことから超解像媒体と識別することができる。
そして、本発明では、第1情報記録層は、他の情報記録層の薄膜よりも広範囲の領域を有している。このため、この広範囲の領域に、光情報記録媒体が非超解像光情報記録媒体又は超解像光情報記録媒体のいずれの種類であるかの媒体情報を記録しておくことができる。
したがって、多層再生専用の光情報記録媒体において、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る光情報記録媒体を提供することができる。
また、本発明の光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、薄膜に再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも短い長さを含む長さの記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される情報記録層を2層以上有する多層記録型の光情報記録媒体であって、再生光入射面に最も近い第1情報記録層は、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い凹若しくは凸のいずれか一方、又は凹及び凸の両方からなるプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い記録マークのみでコンテンツが記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有している共に、上記第1情報記録層とは異なる他の情報記録層の薄膜よりも広範囲の領域を有していることを特徴としている。
上記の発明によれば、多層記録型の光情報記録媒体において、多層超解像光情報記録媒体であっても、第1情報記録層には非超解像光情報記録媒体用のプリピットにて記録されているか又は非超解像光情報記録媒体用の記録マークのみでコンテンツが記録されるので、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができ、光情報記録媒体に記録されている情報を再生することが可能となる。
したがって、多層記録型の光情報記録媒体において、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る光情報記録媒体を提供することができる。
また、本発明の光情報記録媒体では、前記第1情報記録層は、該第1情報記録層とは異なる他の情報記録層の薄膜よりも内周側に広範囲の領域を有していることが好ましい。
これにより、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、様々な光情報記録媒体を再生するための情報が記録されているリードイン領域が一般的に設けられている最内周部で、第1情報記録層にフォーカスをかけることができるので、光情報記録媒体に記録されている情報を効率的に再生することが可能になる。
また、本発明の光情報記録媒体では、前記第1情報記録層における、該第1情報記録層とは異なる他の情報記録層の薄膜よりも広範囲の領域には、光情報記録媒体の種類を示す媒体情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されていることが好ましい。なお、光情報記録媒体の種類とは、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類をいう。
すなわち、本発明では、第1情報記録層における他の情報記録層よりも拡大された領域に、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類を示す媒体情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されている。
このため、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層における広範囲の領域にフォーカスをかけることができ、超解像光情報記録媒体であるか否かの光情報記録媒体の種類を識別することが可能である。なお、光情報記録媒体の種類が識別できれば、情報記録層の存在を示すフォーカスエラー信号のS字特性を検出することにより、層数を判別することが可能である。
また、本発明の光情報記録媒体では、前記第1情報記録層には、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されていることが好ましい。なお、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報とは、各情報記録層に最適な再生条件を設定するための再生情報をいう。最適な再生条件とは例えば、再生パワーや再生速度である。
これにより、第1情報記録層における広範囲の領域又はデータ領域のいずれかに、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が非超解像光情報記録媒体用のプリピットのみで記録されているので、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができ、そのときに、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が再生できる。その結果、各情報記録層において最適な再生条件で再生を開始できることになり、各情報記録層での再生光パワー調整が不要となり、各情報記録層における再生までの時間を短縮することができる。
また、本発明の光情報記録媒体では、前記第1情報記録層における、該第1情報記録層とは異なる他の情報記録層の薄膜よりも広範囲の領域には、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されていることが好ましい。
これにより、第1情報記録層における広範囲の領域に、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が非超解像光情報記録媒体用のプリピットのみで記録されているので、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができ、そのときに各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報を再生することができる。その結果、各情報記録層において最適な再生条件で再生を開始できることになり、各情報記録層での再生光パワー調整が不要となり、各情報記録層における再生までの時間を短縮することができる。
また、本発明の光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、凹又は凸の少なくとも一方からなるプリピットにより情報が記録され、上記プリピット上に1層以上の薄膜が積層されている情報記録層を2層以上有し、かつ再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも短い上記プリピットを有する多層再生専用の光情報記録媒体であって、再生光入射面に最も近い第1情報記録層は、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い記録マークのみで情報が記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有していると共に、上記第1情報記録層には、光情報記録媒体の種類を示す媒体情報と、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報とが、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されていることを特徴としている。なお、光情報記録媒体の種類とは、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類をいう。また、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報とは、各情報記録層に最適な再生条件を設定するための再生情報をいう。最適な再生条件とは例えば、再生パワーや再生速度である。
上記の発明によれば、多層超解像光情報記録媒体において、第1情報記録層は、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い非超解像光情報記録媒体用のプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い非超解像光情報記録媒体用の記録マークのみで情報が記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有している。
このため、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができ、その内容を読み取ることができる。
そして、本発明では、第1情報記録層には、光情報記録媒体の種類を示す媒体情報と、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報とが、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されている。
このため、第1情報記録層に非超解像光情報記録媒体用のプリピットで記録された光情報記録媒体の種類を示す媒体情報によって、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができ、その内容を読み取って、再生装置にセットされた光情報記録媒体が非超解像光情報記録媒体又は超解像光情報記録媒体のいずれの種類であるかを識別することができる。
また、第1情報記録層に非超解像光情報記録媒体用のプリピットで記録された、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報によって、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができ、そのときに各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報を再生することができる。その結果、各情報記録層において最適な再生条件で再生を開始できることになり、各情報記録層での再生光パワー調整が不要となり、各情報記録層における再生までの時間を短縮することができる。
したがって、多層再生専用の光情報記録媒体において、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る光情報記録媒体を提供することができる。
また、本発明の光情報記録媒体は、上記課題を解決するために、薄膜に再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも短い長さの記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される情報記録層を2層以上有する多層記録型の光情報記録媒体であって、再生光入射面に最も近い第1情報記録層は、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い凹若しくは凸のいずれか一方、又は凹及び凸の両方からなるプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い記録マークのみでコンテンツが記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有していると共に、上記第1情報記録層には、光情報記録媒体の種類を示す媒体情報と、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報とが、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されていることを特徴としている。
上記の発明によれば、多層記録型の光情報記録媒体において、多層超解像光情報記録媒体であっても、多層超解像光情報記録媒体であっても、第1情報記録層には非超解像光情報記録媒体用のプリピットにて記録されているか又は非超解像光情報記録媒体用の記録マークのみでコンテンツが記録されるので、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができる。そして、そのときに、光情報記録媒体の種類を識別でき、同時に各記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報を再生することができる。このため、各情報記録層において最適な条件で再生を開始できることになり、各情報記録層での再生光パワー調整が不要となり、各情報記録層における再生までの時間を短縮することができる。
したがって、多層記録型の光情報記録媒体において、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る光情報記録媒体を提供することができる。
また、本発明の光情報記録媒体駆動装置は、上記課題を解決するために、上記記載の光情報記録媒体を再生する光情報記録媒体駆動装置であって、前記第1情報記録層に記録されている他の各情報記録層の再生情報を利用して、再生を行うことを特徴としている。
上記の発明によれば、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る光情報記録媒体駆動装置を提供することができる。
本発明の光情報記録媒体は、以上のように、再生光入射面に最も近い第1情報記録層は、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い記録マークのみで情報が記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有していると共に、上記第1情報記録層とは異なる他の情報記録層の薄膜よりも広範囲の領域を有しているものである。
また、本発明の光情報記録媒体は、以上のように、再生光入射面に最も近い第1情報記録層は、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い記録マークのみで情報が記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有していると共に、上記第1情報記録層には、光情報記録媒体の種類を示す媒体情報と、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報とが、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されているものである。
また、本発明の光情報記録媒体駆動装置は、以上のように、前記第1情報記録層に記録されている他の各情報記録層の再生情報を利用して、再生を行うものである。
それゆえ、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る光情報記録媒体及び光情報記録媒体駆動装置を提供するという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
最初に、本実施の形態の超解像光情報記録媒体である多層光情報記録媒体の再生システムについて説明する。本実施の形態では、例えば4層の光情報記録媒体を再生する再生システムの構成について、図5を用いて以下に説明する。ただし、必ずしも4層に限らず、他の複層の光情報記録媒体を再生する再生システムとすることも可能である。また、本実施の形態の再生システム100は、超解像光情報記録媒体と非超解像光情報記録媒体との両方が再生可能となっている。
図2に示すように、本実施の形態の光情報記録媒体駆動装置としての再生システム100では、ディスク状の例えば光情報記録媒体10(断面構造は図4参照)は、ディスク駆動モータ101によって、所定の速度で回転駆動される。このディスク駆動モータ101は、モータ制御回路109によって、制御されている。このように回転駆動されている光情報記録媒体10からの、情報の読み取りは、光学ピックアップ102によって行われる。
この光学ピックアップ102はフィードモータ111の駆動力によって、光情報記録媒体10の半径方向に移動されるようになっている。このフィードモータ111はフィードモータ制御回路108によって制御されている。フィードモータ111はその回転速度が速度検出器112によって検出されるようになっている。
この速度検出器112から得られる速度信号は、フィードモータ制御回路108に供給される。
上記光学ピックアップ102は、対物レンズ102aを備えている。この対物レンズ102aはフォーカス方向(光軸方向)とトラッキング方向(光情報記録媒体10の半径方向)とに、それぞれ移動可能に支持されている。そして、この対物レンズ102aは、フォーカス駆動コイル102cに制御信号が供給されることによってフォーカス方向に位置が制御され、トラッキング駆動コイル102bに制御信号が供給されることによってトラッキング方向に位置が制御される。
また、レーザ制御回路103は、光学ピックアップ102内の半導体レーザ発振器102fを駆動し、レーザ光を発生させている。この半導体レーザ発振器102fは、発生されたレーザ光の光量が光量検出器102gによって検出され、その検出結果がレーザ制御回路103に帰還されることにより、一定の光量のレーザ光が発生されるように制御されている。この半導体レーザ発振器102fから発生されたレーザ光は、コリメータレンズ102eを通過してハーフプリズム102dに直角に折曲された後、対物レンズ102aにより、光情報記録媒体10の何れかの情報記録層(後述する第1情報記録層3、第2情報記録層4等)上に集光されることになる。また、光情報記録媒体10からの反射光は、対物レンズ102aを逆行し、ハーフプリズム102dを直進した後、集光レンズ102h及びシリンドリカルレンズ102iを介して、光電変換器102jに受光される。この光電変換器102jは、受光量に応じた電気信号を発生する4つのフォトディテクタ102j1〜102j4によって構成されている。この場合、フォトディテクタ102j1・102j2の並び方向及びフォトディテクタ102j3・102j4の並び方向が、光情報記録媒体10のトラッキング方向に対応し、フォトディテクタ102j1・102j4の並び方向及びフォトディテクタ102j2・102j3の並び方向が、光情報記録媒体10の接線方向に対応している。
この、光電変換器102jのフォトディテクタ102j1から出力された電気信号は、増幅回路114aを介して加算回路113a・113dの各1端に供給され、フォトディテクタ102j2から出力された電気信号は、増幅回路114bを介して加算回路113b・113cの各1端に供給され、フォトディテクタ102j3から出力された電気信号は、増幅回路114cを介して加算回路113a・113cの各他端に供給され、フォトディテクタ102j4から出力された電気信号は、増幅回路114dを介して加算回路113b・113dの各他端に供給されている。上記加算回路113aの出力信号は、差動増幅回路104の反転入力端−に供給され、上記加算回路113bの出力信号は、差動増幅回路104の反転入力端+に供給されている。この差動増幅回路104は、両加算回路113a・113bの出力信号の差を算出してフォーカスエラー信号を生成し、フォーカス制御回路105に供給している。このフォーカス制御回路105は、入力されたフォーカスエラー信号が0レベルとなるようにフォーカス駆動コイル102cに与える制御信号を生成し、対物レンズ102aに対するフォーカスサーボが行われる。
ここで、差動増幅回路104から出力されるフォーカスエラー信号は、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、その初期位置(通常、光情報記録媒体10における第1情報記録層3の下方であって、光情報記録媒体10から光軸方向に最も離れた位置)からフォーカス方向に順次移動させてフォーカスサーチ処理を行った場合、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置が、図4に示す各情報記録層(第1情報記録層3、第2情報記録層4等)を通過する毎に、図6に示すように、S字特性を描くようになる。
例えば、再生開始時には、最初に、光学ピックアップ102内の半導体レーザ発振器102fにて、単層光情報記録媒体に対応した再生光を発生させる。
次に、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、光情報記録媒体におけるリードインエリアRに対向する上記初期位置から駆動上限位置(通常、光情報記録媒体10から、光軸方向に最も遠い位置)まで移動させる。そして、フォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントすることにより、光情報記録媒体の情報記録層数を認識する。
次に、非超解像光情報記録媒体が有する情報記録層数に基づいて定められた再生光パワーに再生光パワーを変更する。そして、変更された再生光パワーにて、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を駆動上限位置から初期位置まで移動させる。そのときに、最初にフォーカスサーチ処理される情報記録層から検出されるフォーカスエラー信号の電圧値が、適切な値となるようフォーカス制御回路105等に含まれる増幅器のゲインを変更する。
そして、例えば、第4情報記録層にフォーカスサーチ処理する場合、フォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントし、4回目となった後、最初に0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態とすることにより、第4情報記録層に対するフォーカスサーチ処理が終了される。
なお、図7(a)(b)は上記のような、フォーカスサーチが行われたときの対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置(図7(a))とフォーカスエラー信号(図7(b))とを表している。
また、例えば、第2情報記録層4から第4情報記録層にレイヤージャンプする場合は、フォーカスサーボを一旦OFF状態にし、第2情報記録層4から第4情報記録層に対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を順次移動させ、差動増幅回路104から出力されるフォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントし、2回目となった後、最初に0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態とすることにより、レイヤージャンプ処理が終了する(フォーカスサーチ処理とほぼ同じ処理のため、図示せず)。
また、これらのフォーカスサーチ処理が行われた状態で、位相差検出回路107により、光電変換器102jのフォトディテクタ102j1・102j4の出力信号の和と、フォトディテクタ102j2・102j3の出力信号の和との位相差が検出され、その検出結果がトラッキングエラー信号としてトラッキング制御回路106に供給される。
このトラッキング制御回路106は入力されたトラッキングエラー信号に基づいてトラッキング駆動コイル102bに与える制御信号を生成し、対物レンズ102aに対するトラッキングサーボが施される。そして、このトラッキングサーボが行われている状態で光情報記録媒体10の再生が行われる。そして、加算回路113c・113dから出力された電気信号が加算回路113eで合計され、データ再生回路110でデジタル信号に変換される。
また、再生システム100のフォーカスエラー信号の値は、反射率が大きくなるに伴って大きくなる。さらに、光情報記録媒体の各バリエーション(ROM,RE,RW,RAM等)が有する反射率は、各々異なることが多い。そこで、本実施の形態の再生システム100においては、フォーカスエラー信号の値と、光情報記録媒体の各バリエーションが有する反射率応じた複数の所定の基準電圧値とを比較することにより、光情報記録媒体のバリエーションを特定することもできる。
なお、図8は、上記多層光情報記録媒体再生工程を表すフローチャートである。すなわち、まず、情報記録媒体装填後、ディスク駆動モータ101により、情報記録媒体を所定回転数で回転させる(S1)。次いで、情報記録媒体のリードインエリアRに対向する位置に、光学ピックアップ102を移動し、所望のレイヤーにフォーカスサーチ処理する(S2)。次いで、トラッキング処理を行い(S3)、情報再生処理を行う(S4)。
次に、本実施の形態の光情報記録媒体10・20・30について以下に説明する。なお、以下の説明では、第1情報記録層と第2情報記録層との薄膜の領域がほぼ等しい範囲となっている光情報記録媒体20(以下、「ケース1構造」と呼ぶ)と、第2情報記録層に設けられている薄膜の領域の方が第1情報記録層に設けられている薄膜の領域よりも広い光情報記録媒体30(以下、「ケース2構造」と呼ぶ)とを比較して説明する。図1は光情報記録媒体10の断面図であり、図2はケース1構造の光情報記録媒体20を示す断面図であり、図3はケース2構造の光情報記録媒体30を示す断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の光情報記録媒体10は、再生光入射面側から順に、透光層1と第1情報記録層3と中間層2と第2情報記録層4と基板5とが積層された構造となっている。なお、本発明の光情報記録媒体においては、2層の情報記録層に限らず、さらに多くの情報記録層を有することが可能である。
詳細には、図4に示すように、上記透光層1は、厚さ55μmのポリカーボネートフィルム1aと厚さ20μmの透明粘着樹脂層1bとからなっている。また、第1情報記録層3は、厚さ206nmの酸化亜鉛からなる第1再生膜3aと、厚さ9nmのシリコン(Si)からなる第1吸光膜3bとからなっている。
中間層2は、厚さ25μmの透明紫外線硬化樹脂からなっている。第2情報記録層4は、厚さ180nmの酸化亜鉛からなる第2再生膜4aと、厚さ50nmのSUS304からなる第2吸光膜4bとからなっている。
この第2情報記録層4の上側には、ポリオレフィン系樹脂からなる基板5が積層されている。
なお、第1情報記録層3の上記第1再生膜3aには、凹又は凸の少なくとも一方からなるプリピットにより情報が記録されている。また、本実施の形態では、第1再生膜3aには、第1吸光膜3bの1層の薄膜しか積層されていないが、必ずしもこれに限らず、第1再生膜3aの上に多層を積層することも可能である。
ここで、本実施の形態の第1情報記録層3は、図1に示すように、第2情報記録層4よりも内周側から設けられており、その結果、第1情報記録層3は第2情報記録層4に比べて拡張領域である広範囲の領域としてのリードインエリアRを有している。そして、本実施の形態では、このリードインエリアRに、再生システム100が有する光学系解像限界の長さよりも長い例えば凹及び凸からなるプリピット(最小プリピット長:0.15μm)を用いて、媒体情報が記録されている。上記媒体情報とは、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類を示す媒体情報をいう。
また、第1情報記録層3におけるリードインエリアRの外周側に設けられたデータ領域D、及び第2情報記録層4のデータ領域Dには、例えば凹及び凸からなる図示しないプリピット(最小プリピット長:0.12μm)により、コンテンツが記録されている。上記データ領域Dに設けられたプリピットには、再生システム100の有する光学系解像限界の長さ以下の長さを有するものが含まれている(コンテンツは、ランダムパターンにて記録されている。以降も同様である。)。
次に、第1情報記録層と第2情報記録層との薄膜の領域がほぼ等しい範囲となっているケース1構造の光情報記録媒体20について、図2に基づいて説明する。図2は、ケース1構造の光情報記録媒体20の断面図である。なお、本発明の光情報記録媒体においては、2層の情報記録層に限らず、さらに多くの情報記録層を有することが可能である。
図2に示すように、光情報記録媒体20は、再生光入射面側から順に透光層21(ポリカーボネートフィルム:55μm、透明粘着樹脂層:20μm)と、第1情報記録層23(第1再生膜(酸化亜鉛:206nm)及び第1吸光膜(Si:9nm))と、中間層22(透明紫外線硬化樹脂:25μm)と、第2情報記録層24(第2再生膜(酸化亜鉛:180nm)及び第2吸光膜(SUS304:50nm))と、基板25(ポリオレフィン系樹脂基板)とが積層された構造となっている。
上記第1情報記録層23は、第2情報記録層24と略同一半径となっており、各層の内周部の設けられたリードインエリアRに再生装置の有する光学系解像限界の長さよりも長い例えば凹及び凸からなる図示しないプリピットにより、媒体情報が記録されている。さらに、第1情報記録層23及び第2情報記録層24の内周にはそれぞれリードインエリアRが設けられていると共に、各リードインエリアRの外周に設けられたデータ領域Dには、例えば凹及び凸からなるプリピットにより、コンテンツが記録されている。なお、データ領域Dに設けられたプリピットには再生装置の有する光学系解像限界の長さ以下の長さのものが含まれている。
最後に、第2情報記録層に設けられている薄膜の領域の方が第1情報記録層に設けられている薄膜の領域よりも広いケース2構造の光情報記録媒体30について、図3に基づいて説明する。図3は、ケース2構造の光情報記録媒体30の断面図である。なお、本発明の光情報記録媒体においては、2層の情報記録層に限らず、さらに多くの情報記録層を有することが可能である。
図3に示すように、光情報記録媒体30は、再生光入射面側から順に透光層31(ポリカーボネートフィルム:80μm、透明粘着樹脂層:20μm)と、第1情報記録層33(第1再生膜(酸化亜鉛:206nm)及び第1吸光膜(Si:9nm))と、中間層32(透明紫外線硬化樹脂:25μm)と、第2情報記録層34(第2再生膜(酸化亜鉛:180nm)及び第2吸光膜(SUS304:50nm))と、基板35(ポリオレフィン系樹脂基板)とが積層された構造となっている。
上記第2情報記録層34は、第1情報記録層33よりも内周から設けられており、この第1情報記録層33よりも拡張された領域であるリードインエリアRに再生装置の有する光学系解像限界の長さよりも長い例えば凹及び凸からなる図示しないプリピットにより、媒体情報が記録されている。
また、第1情報記録層33のデータ領域D、及び第2情報記録層304のリードインエリアRの外周に設けられたデータ領域Dには、例えば凹及び凸からなるプリピットにより、コンテンツが記録されている。なお、データ領域Dに設けられたプリピットには再生装置の有する光学系解像限界の長さ以下の長さのものが含まれている。
上記各構成の光情報記録媒体10・20・30を、本実施の形態の再生システム100(再生光波長:405nm,N.A.:0.85)にて再生を行う場合の再生方法について説明する。
まず、本実施の形態の光情報記録媒体10を再生システム100において、非超解像光情報記録媒体用の再生光波長:405nm,N.A.:0.85にて再生する場合、図1に示すように、リードインエリアRが設けられている内周には、情報記録層は1層しか設けられていない。そのため、単層非超解像光情報記録媒体におけるパワーで再生光を照射しながら対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、光情報記録媒体10におけるリードインエリアRに対向する初期位置から駆動上限位置まで移動させるときに(図7(a)(b)参照)、フォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を越える回数も一回となる。そのため、光情報記録媒体10の情報記録層数は1と認識される。次いで、単層非超解像光情報記録媒体における再生光パワーのままで、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を駆動上限位置から初期位置まで移動させる。そのときに、第1情報記録層3から検出されるフォーカスエラー信号の電圧値は、第1情報記録層3の反射率RE(17.4%)が、単層非超解像光情報記録媒体の反射率RE(12〜20%)と同様(範囲内)であるので、フォーカス制御回路105等に含まれる増幅器のゲインを変更することにより、適切な値にすることができる。そして、フォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントし、1回目となった後、最初に0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態とすることにより、第1情報記録層3に対するフォーカスサーチ処理が終了される。その後、上記と同様の手法によりトラッキングサーボが施される。
そして、トラッキングされているリードインエリアRに再生システム100の有する光学系解像限界の長さよりも長い凹凸からなる図示しないプリピットにより、媒体情報が記録されているので、単層非超解像光情報記録媒体における再生光パワーのままで、媒体情報が再生される。
この結果、本実施の形態の光情報記録媒体10が、2層の超解像光情報記録媒体であることが認識されることになる。
したがって、2層超解像光情報記録媒体に対応した再生光パワーでデータ領域Dを良好に再生できる。
なお、本願では前記のように第1情報記録層3の反射率REが単層非超解像光情報記録媒体の反射率REの規格範囲内にあるとき、第1情報記録層3の反射率REと単層非超解像光情報記録媒体の反射率REとは等しいと呼ぶ。
次に、第1情報記録層と第2情報記録層との薄膜の領域がほぼ等しい範囲となっているケース1構造の光情報記録媒体20を再生システム100において、非超解像光情報記録媒体用の再生光波長:405nm,N.A.:0.85にて再生する場合について説明する。
光情報記録媒体20では、図2に示すように、リードインエリアRが設けられている内周には、情報記録層は2層設けられている。したがって、光情報記録媒体20を非超解像光情報記録媒体用の再生光波長にて再生する場合には、単層非超解像光情報記録媒体におけるパワーで再生光を照射しながら前記対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を、光情報記録媒体20におけるリードインエリアRに対向する初期位置から駆動上限位置まで移動させるときに、フォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を越える回数も2回となる。
そのため、光情報記録媒体20の情報記録層数は2と認識される。しかしながら、超解像光情報記録媒体とは判断できない。以降も上記と同様にしてフォーカスサーチを行うのであるが、情報記録層が2層あるため、どちらか一方の情報記録層にフォーカスサーチを行うことになる。しかしながら、光情報記録媒体20を規定している規格には、再生システム100に対する制限がない。このため、再生システム100によって、第1情報記録層23と第2情報記録層24とのいずれの情報記録層にフォーカスサーチされるかは異なる。また、新たに規格される光情報記録媒体に対しては、第1情報記録層23と第2情報記録層24とのいずれの情報記録層に最初にフォーカスサーチされてもよい再生システム100とする必要がある。
そこで、例えば、2層光情報記録媒体の場合において、再生を行う再生システム100が最初に第2情報記録層204にフォーカスサーチされる再生システムであった場合について説明する。
再生光が、2層非超解像光情報記録媒体に対応した再生光パワーに変更された後、対物レンズ102aによるレーザ光の集光位置を駆動上限位置から初期位置まで移動させる。そのときに、第2情報記録層24から検出されるフォーカスエラー信号の電圧値は、非常に低くなるので、再生光パワーを上げずにフォーカス制御回路105等に含まれる増幅器のゲインを変更しても、適切な値にすることができない場合がある。
なお、フォーカスエラー信号の電圧値が非常に低いものとなる理由を以下に記載する。
ケース1構造の光情報記録媒体20のみならず、2層超解像光情報記録媒体においては、第1情報記録層の透過率が、2層非超解像光情報記録媒体における第1情報記録層の透過率よりも低いものが多い。それは、反射するだけで再生できる2層非超解像光情報記録媒体の第1情報記録層とは異なり、2層超解像光情報記録媒体における第1情報記録層を再生するためには、再生光照射時に発生する熱を利用して超解像再生を行う必要があるためである。したがって、第2情報記録層に照射された再生光は、この第1情報記録層を行きと帰りとの両方で通過して再生光が戻ってくるので、2層非超解像光情報記録媒体に対応した再生光パワーでは、第2情報記録層からの戻り光量が、非常に小さくなるためである。
したがって、フォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントし、2回目となった後、最初に0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態にすることができなくなる場合が生じる。その場合は当然、フォーカスサーチ処理が終了しないため、リードインエリアRの情報が再生されず、光情報記録媒体20が、2層の超解像光情報記録媒体であることが認識されることはない。
最後に、第2情報記録層に設けられている薄膜の領域の方が第1情報記録層に設けられている薄膜の領域よりも広いケース2構造の光情報記録媒体30を再生システム100において非超解像光情報記録媒体用の再生光波長にて再生する場合について説明する。
図3に示すように、光情報記録媒体30では、リードインエリアRが設けられている内周には、情報記録層は1層しか設けられていない。したがって、光情報記録媒体30を再生システム100において非超解像光情報記録媒体用の再生光波長にて再生する場合には、光情報記録媒体30におけるリードインエリアRに対向する初期位置から単層非超解像光情報記録媒体におけるパワーで再生光を照射しながら対物レンズ102aを駆動上限位置まで移動させるときに、フォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を越える回数も一回となる。そのため、光情報記録媒体30の情報記録層数は1と認識される。
したがって、光情報記録媒体30を再生する場合には、単層非超解像光情報記録媒体の再生光パワーのままで、対物レンズ102aを駆動上限位置から初期位置まで移動させる。そのときに、第2情報記録層34から検出されるフォーカスエラー信号の電圧値は、非常に高いものとなるので、フォーカス制御回路105等に含まれる増幅器のゲインを変更しても、適切な値にすることができない場合がある。
なお、フォーカスエラー信号の電圧値が非常に高いものとなる理由を以下に記載する。
上述したように、2層超解像光情報記録媒体においては、第1情報記録層の透過率が、2層非超解像光情報記録媒体における第1情報記録層の透過率より低いものが多い。したがって、2層超解像光情報記録媒体における第2情報記録層の自体の反射率は非常に高いものにする必要がある。これは、2層超解像光情報記録媒体に対応したパワーで再生光を、第2情報記録層に第1情報記録層を通して、照射した場合には、十分な戻り光を得るためである。
したがって、第1情報記録層が存在しない領域で再生光が、第2情報記録層に照射された場合、その戻り光量は、一度も第1情報記録層を透過せず、かつ第2情報記録層自体の反射率が非常に高いので、非常に大きなものとなるためである。
したがって、フォーカスエラー信号が、所定の基準電圧+V0を越えた回数をカウントし、2回目となった後、最初に0レベル(フォーカスサーボ動作の中心レベル)となった時点でフォーカスサーボをON状態にすることができなくなる場合が生じる。その場合は当然フォーカスサーチ処理が終了しないため、リードインエリアRの情報が再生されず、光情報記録媒体30が、2層の超解像光情報記録媒体であることが認識されることはない。
このように、本実施の形態の光情報記録媒体10は、光情報記録媒体20及び光情報記録媒体30に比較して、確実に、リードインエリアRで、フォーカスをかけることができるため、再生システム100に新たな媒体識別手段を設けなくとも再生に必要な情報であるリードインエリアRの媒体情報等が再生できる。したがって、光情報記録媒体が特定できるため、超解像光情報記録媒体がバリエーションに含まれる光情報記録媒体の再生開始時における再生不良を解決し、データ領域Dにおける記録情報再生の信頼性が向上する。
また、光情報記録媒体10には、超解像再生可能な膜が設けられているので、そのデータ領域Dに、非超解像光情報記録媒体よりも高密度に記録されたコンテンツが再生可能になる。このため、実質的な記録密度が向上する。
なお、光情報記録媒体10では、リードインエリアRに再生装置の有する光学系解像限界の長さよりも長い凹凸からなるプリピットにより、光情報記録媒体情報を記録したが、プリピットがなくとも良い。なぜならば、例えば、リードインエリアRに情報がない場合に、光情報記録媒体が特定できるように規格が定められている場合は、光情報記録媒体情報自体が必要ないためである。
また、データ領域Dにプリピットによってコンテンツが記録されているいわゆる再生専用光情報記録媒体でなくとも良く、コンテンツを記録できる記録型光情報記録媒体であってもよい。例えば、薄膜に再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも短い長さを含む長さの記録マークが形成されることによりコンテンツが記録される情報記録層を2層以上有する多層記録型の光情報記録媒体であってもよい。
その場合は、上記効果以外に、データ領域Dに、非超解像光情報記録媒体よりも高密度にコンテンツを記録することが可能になる。
さらに、情報記録層に設けられている薄膜は、酸化亜鉛、シリコン(Si)、SUS304等でなくてもよく、超解像再生が可能となる薄膜であれば、単層でも、2層以上の多層膜であっても良い。
また、第1情報記録層3における、第2情報記録層4よりも拡張された領域は、内周側になくとも良い。しかしながら、一般的なリードインエリアRの位置と異なってしまうので、他の光情報記録媒体との共用が困難になる可能性がある。また、光情報記録媒体では、一般にスパッタ等で、情報記録層となる薄膜を成膜するので、コストダウンのため、各情報記録層の薄膜は、同一範囲で積層成膜することが多い。また、成膜時に異なる径の内外周を覆うマスクを用いて2度成膜することによって中周部に薄膜のない情報記録層を設けることはできるが、2度同じ薄膜を成膜することについてはコストアップとなる。当然異なる膜種を同一面に設ける場合もコストアップとなる。したがって、第1情報記録層3における、第2情報記録層4よりも拡張された領域は、内周側にある方がコストを抑えられる。
また、第1情報記録層3のリードインエリアRに各層の再生情報が再生装置の有する光学系解像限界の長さよりも長い凹および/または凸からなるプリピットにより記録されていても良い。その場合、再生システム100に、第1情報記録層のリードインエリアRに記録されている各情報記録層の再生情報にしたがって、各情報記録層の再生を行う機能を新たに設けた再生システム100を用いることにより、各情報記録層において最適な条件で再生を開始できることになる。その結果、各層毎での再生光パワー調整が不要となり、各情報記録層における再生までの時間を短縮することができる。
また、規格によっては、或いは実質的に全ての駆動装置が第1情報記録層3からフォーカスサーチする場合には、第1情報記録層3の拡張領域は不要になる。しかしながら、そのような場合であっても、媒体情報及び再生情報をリードインエリアRに記録することは、各情報記録層において最適な条件で再生を開始できることになり、各層毎での再生光パワー調整が不要となり、各情報記録層における再生までの時間を短縮することができる。
その場合には、上記光情報記録媒体20・30においても、媒体情報及び再生情報をリードインエリアRに記録することによって、各情報記録層において最適な条件で再生を開始することができる。
なお、再生情報とは、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための、ROM、RW、RE又はRAM等のバリエーションに応じた再生条件を設定するための再生情報をいう。
なお、光情報記録媒体10・20・30としては、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD−R(Compact Disk Recordable)、CD−RW(Compact Disk Rewritable)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disk Rewritable)、BD(Blue-ray Disc)、BD(Blue-ray Disc)−ROM等の光学読取式のディスクや、光磁気ディスク、相変化型ディスク等、種々の光ディスクを適応する光情報記録媒体の形式として挙げることができる。なお、本発明は、記録の方式や大きさを問うものではない。
このように、本実施の形態の多層超解像光情報記録媒体である光情報記録媒体20では、第1情報記録層3は、非超解像光情報記録媒体用である再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い非超解像光情報記録媒体用のプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は非超解像光情報記録媒体用である再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い記録マークのみで情報が記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有している。
このため、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生システム100であれば、第1情報記録層3にフォーカスをかけることができ、その結果から、再生システム100にセットされた光情報記録媒体20が非超解像光情報記録媒体又は超解像光情報記録媒体のいずれの種類であるかを識別することができる。例えば、プリピットが解像限界以下の場合は再生できないことから超解像媒体と識別することができる。
そして、本実施の形態では、第1情報記録層3は、他の第2情報記録層4の薄膜よりも広範囲の領域であるリードインエリアRを有している。このため、このリードインエリアRに、光情報記録媒体20が非超解像光情報記録媒体又は超解像光情報記録媒体のいずれの種類であるかの媒体情報を記録しておくことができる。
したがって、多層再生専用又は多層記録型の光情報記録媒体10において、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る光情報記録媒体10を提供することができる。
また、本実施の形態の光情報記録媒体10では、第1情報記録層3における第2情報記録層4等よりも広範囲の領域であるリードインエリアRには、光情報記録媒体の種類を示す媒体情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されていることが好ましい。
この結果、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生システム100であれば、第1情報記録層3におけるリードインエリアRにフォーカスをかけることができ、超解像光情報記録媒体であるか否かの光情報記録媒体の種類を識別することが可能である。なお、光情報記録媒体の種類が識別できれば、情報記録層の存在を示すフォーカスエラー信号のS字特性を検出することにより、層数を判別することが可能である。
また、本実施の形態の光情報記録媒体20では、第1情報記録層3には、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されていることが好ましい。
これにより、第1情報記録層3におけるリードインエリアR又はデータ領域Dのいずれかに、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が非超解像光情報記録媒体用のプリピットのみで記録されているので、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生システム100であれば、第1情報記録層3にフォーカスをかけることができ、そのときに、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が再生できる。その結果、各情報記録層において最適な再生条件で再生を開始できることになり、各情報記録層での再生光パワー調整が不要となり、各情報記録層における再生までの時間を短縮することができる。
また、本実施の形態の光情報記録媒体20では、第1情報記録層3におけるリードインエリアRには、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されていることが好ましい。
これにより、第1情報記録層3におけるリードインエリアRに、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報が非超解像光情報記録媒体用のプリピットのみで記録されているので、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生システム100であれば、第1情報記録層3にフォーカスをかけることができ、そのときに各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報を再生することができる。その結果、各情報記録層において最適な再生条件で再生を開始できることになり、各情報記録層での再生光パワー調整が不要となり、各情報記録層における再生までの時間を短縮することができる。
また、本実施の形態の光情報記録媒体10・20・30では、多層超解像光情報記録媒体において、第1情報記録層3・23・33は、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い非超解像光情報記録媒体用のプリピットのみを有する単層再生専用光情報記録媒体と等しい反射率を有するか、又は再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長い非超解像光情報記録媒体用の記録マークのみで情報が記録される単層記録型光情報記録媒体と等しい反射率を有している。
このため、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができ、その内容を読み取ることができる。
そして、本実施の形態では、第1情報記録層3・23・33には、光情報記録媒体10・20・30の種類を示す媒体情報と、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報とが、再生装置が有する光学系解像限界の長さよりも長いプリピットのみで記録されているとすることが可能である。
このため、第1情報記録層3・23・33に非超解像光情報記録媒体用のプリピットで記録された光情報記録媒体の種類を示す媒体情報によって、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生装置であれば、第1情報記録層にフォーカスをかけることができ、その内容を読み取って、再生システム100にセットされた光情報記録媒体が非超解像光情報記録媒体又は超解像光情報記録媒体のいずれの種類であるかを識別することができる。
また、第1情報記録層3・23・33に非超解像光情報記録媒体用のプリピットで記録された、各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報によって、多層超解像光情報記録媒体であっても、単層非超解像光情報記録媒体を再生できる再生システム100であれば、第1情報記録層3・23・33にフォーカスをかけることができ、そのときに各情報記録層に記録されたコンテンツを再生するための再生情報を再生することができる。その結果、各情報記録層において最適な再生条件で再生を開始できることになり、各情報記録層での再生光パワー調整が不要となり、各情報記録層における再生までの時間を短縮することができる。
したがって、多層再生専用又は多層記録型の光情報記録媒体において、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る光情報記録媒体10・20・30を提供することができる。
また、本実施の形態の再生システム100は、第1情報記録層3・23・33に記録されている他の各情報記録層の再生情報を利用して、再生を行う。これにより、超解像光情報記録媒体であるか又は非超解像光情報記録媒体であるかの種類の識別を容易に行い得る再生システム100を提供することができる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。