JP2008275813A - トナー及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久時の安定性が向上し、且つ、フルカラー画像形成時にカラー色再現性を長期にわたり安定化することができるトナーを提供することにある。
【解決手段】結着樹脂と着色剤を有するトナー粒子と外添剤を含むトナーであって、
該トナーをメタノール中に分散させた状態でのゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が1mV以上10.0mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−50.0mVであり、且つ
該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において、100℃粘度が10000Pa・s乃至45000Pa・sであることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法を利用した画像形成方法に用いられるトナーに関する。詳しくは、結着樹脂、着色剤及び離型剤を有するトナー粒子と無機微粉末からなるトナー及び画像形成方法に関する。
一般的に電子写真用のトナーは、トナー粒子表面の荷電制御剤や樹脂中の帯電部位が電荷を帯びることで電場応答性が発現し静電荷像を顕像化することが可能になる。静電記録で安定した画像形成を行うためには、トナーの表面電荷のみならず、トナーの表面電荷のばらつきを制御する必要がある。
従来、トナーは、その帯電量を適正な範囲に制御する目的で、荷電制御剤をトナー粒子中に含有している。かかるトナーの帯電性は、トナーの構成成分と荷電制御剤の組み合わせを考慮して設計され、その帯電量の絶対値は、一般的には荷電制御剤の種類や量や存在形態をコントロールするものである。
トナー電荷のばらつきは、従来から知られている方法としては、レーザードップラー電荷測定法(E−SpartAnalyzer(細川ミクロン社製)を使用したE−Spart法)による帯電量分布測定法がある。かかる方法によるトナーの帯電性測定は広く使用されている。
E−Spart法による測定結果は、帯電を付与した状態でのトナー帯電量を気流中で測定するため、現像状態を把握する上で有益な情報が得られる。しかし、測定前にトナーに対する帯電付与状態のばらつきが大きい場合は、帯電付与状態のばらつきを拾い易いといった欠点がある。その結果、レーザードップラー電荷測定法ではトナー表面の電荷ポテンシャル(より均一な帯電付与条件下での電荷保持量)を直接的に捕らえるものではない。
さらに、帯電の非常に高いトナーは、測定時の飛翔が困難であるため、高帯電量トナー測定には不向きであるといった欠点がある。一般的に高トリボトナーは低湿環境下でトナーの微粒子側で多く発生するものであるが、トナーとしてこのような高トリボ化が起こっていても、E−Spart法で検出することが難しいといった欠点がある。
特に、トナー表面の電荷ポテンシャルが粒子ごとでばらつく場合は、現像時に現像されるトナーが選択的に消費される現象、すなわち選択現像が生じ易い。
トナーの選択現像が生じた場合は、耐久枚数に応じた画像弊害が生じることがある。特にトナー補給を持たないトナー使いきり型のカートリッジにおいて、この選択現像が生じた場合は、現像されやすいトナーだけが耐久の前半に消費され、耐久後半には現像されにくいトナーが残留することになる。その結果耐久後半において現像されるトナー量が減ることによって画像濃度が低下する問題、白地部分へのトナーのカブリを生じる問題、静電潜像担持体上のトナーが転写されにくくなる転写不良の問題といった多くの問題を生じることになる。
従って、E−Spart法による結果から実際の選択現像によるトナーの画像弊害を予測することは困難であり、更なる指針によるトナー設計が求められている。
ところで、トナーの過帯電や低帯電を改善し、トナーの選択現像性を減らすためには、(1)トナーの帯電受容能力(電荷ポテンシャル)と、(2)トナーの帯電保持能力の双方が、適度なバランスを持っていることが必要である。
(1)トナーの帯電受容能力(電荷ポテンシャル)について
トナーの帯電受容能力(電荷ポテンシャル)を高める手段としては、トナー表面の化学的組成を調整したトナー組成を用いる、トナー形状を凹凸の少ないものとしてトナーの摩擦帯電サイトを増やす、帯電付与部材と摩擦帯電に適する関係にする等の方法がある。特にトナー表面の化学的組成について種々の検討がなされている。具体的には、トナーに広く使用されている外添装置を用いてトナー表面に荷電制御剤を外添付着させることによって改質する方法や、たとえば荷電制御剤とトナー粒子を混合した後にハイブリタイザー(奈良機械工業社製)などを用いて機械的摩擦力によってトナー粒子表面に荷電制御剤を埋め込む方法が挙げられる。また、湿式造粒において、最表層に帯電受容能力のある物質をコーティングする方法なども知られている。このような方法によってトナーの帯電受容能力を改善することができる。
しかし、単なるトナーの帯電受容能力向上だけでは、本願の効果を得ることはできない。本願の課題の一つであるトナーの選択現像性を改善するためには、トナーの帯電受容能力を測定し、好ましい範囲内にコントロールすることが必要である。
そこで、トナーの帯電受容能力を直接的に測定する方法として、トナーを水溶液中に分散させた状態での粒子表面状態を測定する方法が開示されている。
例えば、特許文献1では、トナー母粒子とトナー母粒子の表面に選択的に固着化された無機微粒子とを備えたトナーであってトナー母粒子表面のゼータ電位とトナー表面のゼータ電位差が0.5以上のトナーが開示されている。かかるトナーによると、トナーの表面電荷のばらつきを改善し、均一に帯電した静電潜像現像用トナーが得られるものである。
また、球形トナーを調湿してゼータ電位の範囲を規定し、且つ50℃環境に放置した後のゼータ電位と放置前のゼータ電位差が一定の範囲にあるトナーが開示されている(例えば、特許文献2)。かかるトナーによると保存性及び流動性に優れると共に環境変動による画質低下の少ないトナーが得られるものである。
さらに、トナーの製造工程でトナー粒子を形成するトナー原材料やトナー構成材料のゼータ電位を特定の範囲にすることで種々のトナーを得る方法が開示されている(例えば、特許文献3〜5)。
これらの測定方法によるトナーにおいては個々の効果が得られるものの、本願の課題の一つであるトナーの選択現像を改善するには至っていない。このことは、従来の手法によるゼータ電位測定だけではトナーの選択現像の程度を判断できないということを意味している。
(2)トナーの帯電保持能力について
さらに選択現像を防止する上で、トナーの帯電保持能力が必要である。トナーの帯電保持能力は一般的に荷電制御剤の種類や量、存在状態によってコントロールされることが広く知られている。さらに加えて、トナー表面の水分吸着状態によって湿度環境の異なる条件下での帯電保持能力が影響されるものである。
トナー表面の水分吸着のしやすさを直接測定する方法としては一定環境下に放置したトナーの水分量を測定装置(例えばカールフィッシャー法など)で測定することで、水分吸着量を定量化する手法や、蒸気圧水分吸着法により測定することが知られている。
また、トナーの表面状態を直接観察する手法として、トナーが有する疎水特性についてアルコール/水混合系を用いて透過率を測定し、濡れ特性を測定するトナーに関する技術が知られている(例えば、特許文献6、7参照)。
かかる発明はトナーの疎水化状態を表現することが可能になるため、トナー表面の湿度環境の異なる条件下での帯電保持能力がある特定のトナーが得られる方法はすでに開示されている。しかし、実際のトナーの選択現像性との関係においては、必ずしも相関あるとも言えないものである。
従ってトナーの表面状態特性と実際のトナーの選択現像性との間には、さらに他の要素を加えていくことが必要であると考えられる。
以上のように、トナーの選択現像によって生じる耐久後半の画像濃度の低下、白地部分へのトナーのカブリ、転写不良といった画像弊害を解決するためには、トナー選択現像を抑制するトナー設計が必要である。トナー選択現像は、トナーの過帯電や低帯電時に生じ易いために、トナーの摩擦帯電時の帯電受容能力と、帯電保持能力の双方が、適度なバランスを持っていることが必要となり、従来の技術、およびこれらの単純な組み合わせでは達成が困難である。
さらにフルカラーの画像形成方法においては、ハーフトーンの階調性や2次色の転写抜けなどの点、及び高画質化の要求から、上記の課題に対するさらに高い次元の要求があり、これらの要求を満たすためには新たな視点による新たなトナーが必要である。
また、プロセス速度の速いカラー機種での高い要求を満たしていく上では、従来にない非常に高い技術が要求されるため、更なる改良が求められる。
特開平8−137125号公報 特開2005−107381号公報 特開2005−140987号公報 特開2004−139071号公報 特開平08−114947号公報 特開2002−278146号公報 特開2003−207924号公報
本発明の第1課題は、耐久時のトナー選択現像性を低減し、白地部のトナーカブリが少なく画像濃度変化の少ない安定した画像形成を達成する高耐久性トナーを得ることにある。
さらに、本発明の第2課題は、フルカラー画像形成時にカラー色再現性が安定したトナーを得ることにある。
さらに第3課題は、耐久を通して安定した転写性能を維持するトナーを得ることにある。
そこで、本発明者は、(1)トナーの帯電受容能力(電荷ポテンシャル)と、(2)トナーの帯電保持能力の双方を適度にコントロールすることで、トナーの特性改善を行うことを試み、鋭意検討を行った。その結果、トナーの摩擦帯電時の帯電受容能力と、帯電保持能力を適正化することが可能になり本願の課題を達成することを見出したため、本発明に至った。
すなわち、トナーの摩擦帯電時の帯電受容能力としては、トナーの表面特性を直接的にメタノール溶媒下でのゼータ電位測定を行うことで適切なトナーの表面特性を明確にすることが可能になった。
特に、トナーのゼータ電位測定で得られるゼータ電位値と、トナーのゼータ電位分布のばらつきの2点を特定の範囲にコントロールすることが、本願の課題を克服する上で必要であることが分かった。
しかし、ゼータ電位の絶対値だけでは現像時のトナー選択現像性は効果があるものの、さらなる改善が必要であった。
一般的に低Tgの樹脂の帯電保有能力は低いものである。そこでトナーの硬さに着目してトナーの摩擦帯電時の帯電受容能力と、帯電保持能力を検討したところ、トナー樹脂の硬さのうち、100℃での溶融状態の粘度とトナーの帯電保持能力に関係性を見出すことができた。
トナーの熱安定性が適切な範囲にあることで、トナー組成中の樹脂成分の分子運動が特定の範囲に制限されるため、トナー表面の帯電保持能力が最適化されることが考えられる。
トナーの100℃での溶融粘度とトナーの帯電保持能力の関係する理由は定かではないが、トナーのTgよりも高い温度域でマクロな物理変化が起こることが予想される。トナーのマクロな物理変化は、フローテスターにより軟化点温度(℃)として観測される。このため100℃のトナー粘度がトナー帯電保持力と相関するものと考えられる。
その結果、トナーの選択現像が抑制できトナーの耐久画質安定性が向上するものと考えられる。
さらにトナーの溶融粘度は、定着性や定着グロス、フルカラーでの2次色の発色性に影響することが知られている。トナーの定着性の観点からトナーの溶融粘度は低い方が好ましいものであるが、上述のトナー表面の帯電保持能力効果を得るためには、トナーの溶融粘度ある程度高めの範囲が好ましいといった矛盾を生じている。
そこでトナーの100℃での溶融粘度の観点で適切な硬さを有する範囲が生じる。トナーがこの適切な溶融粘度範囲にあることで、トナー定着性において定着性や定着グロス、フルカラーでの2次色の発色性が改善され、且つ、トナー表面の帯電保持能力が最適化される。
このような効果を使って、耐久時の安定性が向上し、且つ、フルカラー画像形成時にカラー色再現性を長期にわたり安定化することが明らかにできたので本発明に至った。
すなわち本発明は、以下の条件を有するトナーである。
(1)少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナー粒子と外添剤を含むトナーであって、
該トナーをメタノール中に分散させた状態でのゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が1mV以上10.0mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−50.0mVであり、且つ
該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において、100℃粘度が10000Pa・s乃至45000Pa・sであることを特徴とするトナー。
更に好ましくは以下の条件を有するトナー及び画像形成方法である。
(2)該トナーのゼータ電位(mV)とフローテスターによる軟化点温度(℃)で割った値、粘度電位指数ZF((mV/℃))が、−1.35乃至−0.50であることを特徴とする(1)に記載のトナー。
(3)該トナーはメタノール中のゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が3.8mV以上9.5mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−50.0mVであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のトナー。
(4)該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において100℃粘度が20000Pa・s乃至40000Pa・sであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のトナー。
(5)該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において、1/2法温度が100℃乃至130℃であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載のトナー。
(6)該トナーは、少なくとも疎水化シリカ、酸化チタンより選ばれた1つ以上の外添剤を有することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載のトナー。
(7)該トナー粒子は、少なくとも結着樹脂、着色剤と離型剤からなるトナー粒子であり、該離型剤はトナー粒子に対して5乃至20質量%含有することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載のトナー。
(8)該トナー粒子が、少なくとも重合性単量体、ワックスおよび着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で重合することによって製造されたトナー粒子であることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載のトナー。
(9)該トナー粒子が、外添処理以外に表面処理工程を有することを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載のトナー。
(10)該トナー粒子が、シリコーンオイルによって処理したトナー粒子を使用することを特徴とする(9)に記載のトナー。
(11)該シリコーンオイルが、変性シリコーンオイルであることを特徴とする(10)に記載のトナー。
(12)該シリコーンオイルが、親水性の変性ジメチルシロキサンオイルであることを特徴とする(9)乃至(11)に記載のトナー。
(13)少なくとも複数の静電荷像担持体を用い、各静電荷像担持体が異なる色相のトナーを用いて顕像化した潜像を中間転写体上に逐次転写を行った後に、転写材上に一括転写し、さらに転写材上の未定着画像を定着する画像形成方法において、
該トナーとして、少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナー粒子と外添剤を含むトナーであって、
該トナーをメタノール中に分散させた状態でのゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が1mV以上10.0mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−50.0mVであり、
該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において、100℃粘度が10000Pa・s乃至45000Pa・sであることを特徴とするトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
(14)少なくとも複数の静電荷像担持体を用い、各静電荷像担持体が異なる色相のトナーを用いて顕像化した潜像を転写材上に逐次転写し、さらに転写材上の未定着画像を定着する画像形成方法において、
該トナーとして、少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナー粒子と外添剤を含むトナーであって、
該トナーをメタノール中に分散させた状態でのゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が1mV以上10.0mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−50.0mVであり、
該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において、100℃粘度が10000Pa・s乃至45000Pa・sであることを特徴とするトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、トナーの選択現像が抑制でき、耐久時の安定性も向上し、安定したカラー再現性のフルカラー画像を得ることができる。
本発明の実施形態について、詳細に説明する。
ここではまず、本発明のトナーの一実施形態について説明する。
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナー粒子と外添剤を含むトナーであって、ゼータ電位が特定の範囲にあり、溶融粘度測が特定の範囲を有するトナーである。
本発明のトナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプル測定における溶融粘度測定において100℃粘度が10000Pa・s乃至45000Pa・sになるよう調整することによって、トナーの帯電保持能力が向上しトナーの選択現像が抑制できトナーの耐久画質安定性が向上する。また、トナー定着性において定着性や定着グロス、フルカラーでの2次色の発色性が改善されるものである。
トナーの100℃粘度が10000Pa・s未満では、定着性は良いものが得られるが、トナーに帯電付与した時の帯電減衰が大きくなり、耐久時の低トリボ化を生じて画像カブリや濃度薄といった画像弊害を生じるために好ましくない。一方、トナーの100℃粘度が45000Pa・s超のときは、耐久時のトナー低トリボ化に伴う現象は生じにくいものの、トナー定着性において定着性や定着グロス、フルカラーでの2次色の発色性に問題を生じるために好ましくない。
これらの特性を鑑みた上で、トナーの100℃粘度は、さらに20000Pa・s乃至40000Pa・sがより好ましい。また、トナーの溶融特性としては溶融粘度測定において1/2法温度が100℃乃至130℃であることが、プロセス速度が例えば毎秒200mm以上の中高速マシンでの使用時における現像安定性を向上させる上で更に好ましい。
このようなトナーの溶融粘度を達成するときの結着樹脂としては、トナー化したときに本願のゼータ電位特性と100℃粘度とを達成するものであれば特に限定されず、公知のスチレン−アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂が使用可能である。
本発明のトナーの100℃粘度を達成するための具体的な調整手段としては、懸濁重合を利用して、分散剤が存在する水媒体中で着色剤を含有するモノマー溶液を2段重合することで分子量の異なる樹脂のトナー粒子を混合する方法がある。他に、懸濁重合法で分散剤が存在する水媒体中で複数の開始剤を併用して重合を行い、樹脂を合成する方法、乳化凝集法により分子量の異なる2種以上の樹脂乳化粒子を凝集させた後に加熱して溶融する方法が挙げられる。更には、懸濁造粒法により複数の異なる分子量分布の樹脂を溶媒中で混合した後に分散剤が存在する水媒体中で造粒し、その後に溶媒除去する方法など、種々の合成方法が使用可能である。
より好ましい分子量調整手段は、ビニルモノマーを溶液重合にて重合した後に溶剤除去して低分子量のポリマーを得た後に、さらに、この低分子量樹脂をトナー材料に用いてトナーを形成する、いわゆる2段重合法によって達成することができる。
ここで使用可能な低分子量成分は、結着樹脂全体の分子量よりも低い分子量成分である。具体的には、低分子量ポリマーのTHF可溶成分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による測定結果をポリスチレン換算して求めたMwにおいて2000以上6000以下のものが本発明の溶融粘度をコントロールする上で好ましい。
なお、本発明でのフローテスター測定においては、測定装置として高架式フローテスター(島津製作所製 フローテスターCFT−500型)を使用した。該装置を用い、荷重9.807×105Pa、ダイ径1.0mmを用い、昇温速度3.0℃/minで連続的に加熱したときのプランジャーの降下量を測定した。測定に用いた試料は粉体を直径10mm、10mm厚となるように加圧成型したものを使用した。
低分子樹脂成分の具体的な製造方法としては、公知の合成方法が使用可能である。中でも好ましくは、ラジカル重合法やアニオン重合法、カチオン重合法などの公知のビニル系ポリマー重合方法が使用可能である。また、脱水や脱アルコール、脱塩酸等の重縮合反応によるエステル化反応を使用するポリエステル合成反応方法も使用可能である。さらに、ポリエステル反応性記官能基とビニル重合可能なビニル結合を分子中に有するモノマーを用いたポリエステル成分とビニル成分のブロック重合体やグラフト重合体を生成する公知の重合方法も使用可能である。更に好ましくは、ラジカル重合法である。
ラジカル重合法での低分子量成分を合成する具体的な方法としては、好ましくはモノマー及び生成ポリマーを溶解する溶液中での溶液重合である。他に、重合中の温度を高温側で制御し連鎖移動反応を積極的に行うことで低分子量成分を合成する連鎖移動重合、低分子量から高分子量まで複数回にわけて、それぞれ公知の方法で合成した後、同一有機溶媒の溶液として再沈させる方法が挙げられる。また、混合溶液の溶媒を留去して混合する方法も挙げられる。
本発明において、トナーのTHF可溶成分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムの分子量分布は以下の条件で測定される。
[試料]
本発明トナーの分子量測定試料は以下のようにして作製する。
20mLのTHF中にトナー試料を5mg入れ、振とうし12時間以上静置する。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ 0.45〜0.5μm,たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製など)を通過させたものを、GPCの試料とする。
[GPC測定装置]
GPC測定装置において、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
GPCの分子量分離用カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良い。例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,808Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(Hx1),G2000H(Hx1),G3000H(Hx1),G4000H(Hx1),G5000H(Hx1),G6000H(Hx1),G7000H(Hx1),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
一方、本発明トナーのゼータ電位特性について説明する。
本発明のトナーは、メタノール中に分散させた状態でのゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が1mV以上10.0mV以下で、ゼータ電位が−110.0mV乃至−50.0mVであることが好ましい。さらには、ゼータ電位の標準偏差が3.8mV以上9.5mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−60.0mVであることがより好ましい。
トナーのゼータ電位の標準偏差が1mV以下のトナーは品質上の問題が少なく、理想的な物性である。しかし、トナー製造工程でこのようなトナーのゼータ電位の標準偏差が1mV以下のトナーを達成しようとすると、例えば分級操作を厳しくして粒度分布を単分散に近いものとした上で更に本発明の如き処理を必要とするといったことが必要になる。このような製造時の問題からトナーのコストが上がってしまうために好ましくない。よって、このようなコストの観点から、トナーのゼータ電位の標準偏差が1.0mV以上、コスト的な観点から、より好ましくはトナーのゼータ電位の標準偏差が3.8mV以上であることが良い。
一方、トナーのゼータ電位の標準偏差が10.0mV超では、トナーの帯電受容能力のばらつきが大きいため、本発明の課題となるトナーの選択現像性を改善することが困難である。そこでトナーのゼータ電位の標準偏差が10.0mV以下、より好ましくは9.5mV以下となるようにトナーの帯電受容能力をそろえることで、耐久時のトナーの選択現像性を改善することが可能になり、本発明の効果が達成できる。
また、トナーのゼータ電位は、−110.0mV乃至−50.0mVであることが、耐久後半の画像濃度の低下、白地部分へのトナーのカブリ、転写不良の観点から好ましく、−110.0mV乃至−60.0mVであることがより好ましい。
トナーのゼータ電位が−110.0mV未満の場合、帯電能力が高すぎてしまい、チャージアップすることにより転写時のバイアスに追従しにくくなることで、転写不良を生じ易い。また、現像時にもチャージアップしすぎたトナーが選択的に蓄積される選択現像現象を生じ、このようなトナーが現像されずにトナー容器内、または現像剤担持体上に濃縮されることで、耐久後半の画質劣化につながるために問題である。さらにこのような選択現像により濃縮された高帯電量トナーが連続的に物理的なストレスを受けることで、高帯電トナー表面の外添剤が劣化して、現像器内の部材に付着し規制不良を生じるために問題である。
トナーのゼータ電位が−50.0mV超の場合、トナーの選択現像を生じやすく、耐久時にカブリや画像濃度低下を生じるために問題である。
特に高温高湿下でのトナーの画像特性を悪くすることが多く、高画質マシンには不向きである。
本願でのトナーのゼータ電位測定について説明する。
一般的に、固体微粒子を溶媒に分散させると、粒子はプラス或いはマイナスに帯電し、固体微粒子表面には粒子とは反対の符号を持った対イオンが静電気的に引き寄せられる。一方、対イオンは熱運動で拡散しているため、固体表面の近傍では対イオンの密度が高く、遠ざかるにつれて次第に低下していくようなイオン分布(イオン雰囲気)、つまり拡散電気二重層を形成する。拡散電気二重層中で、特に固体表面近傍では対イオンが強く引き寄せられ、固体表面に固定されているシュテルン層と呼ばれる層が存在し、またシュテルン層の外側にあるイオン雰囲気は拡散層と呼ばれる。
トナーを溶媒に分散させるとトナー粒子近傍でも、この電気二重層が形成されているものと考えられる。この状態に対して、この系の外部から電場を与えると、粒子は電場から力を受けて動き出し、いわゆる電気泳動現象を起こす。液体中を粒子が移動するときに、粒子から液体の流れを見ると、遠くの液体ほど早く動いているように見え、粒子表面近傍では止まっているように見える。この止まっているように見える部分とそれより向こう側の部分との境界面はすべり面と称されるものであり、あたかも粒子がある量の液体を従えて同時に移動しているように観察される。ゼータ電位とはこのすべり面における電位をいうものである。
本願のゼータ電位測定はメタノール溶媒によるものである。
本願ではトナー粒子表面のゼータ電位測定の精度を上げるために、トナー表面にメカニカルに付着した外添剤粒子の影響を少なくする目的で、トナーに馴染む溶媒を選択する必要があった。種々の溶媒の中から適切な溶剤のひとつとしてメタノールを選択した。この測定によると、界面活性剤を加えた水系での測定結果よりも、トナー粒子表面の状態情報を得ることができるものであった。
さらにこの測定結果と、選択現像が起こった状態の耐久後半でのトナー摩擦帯電時の帯電受容能力と、帯電保持能力状態の測定結果に近い相関が得られた。一方、水系に界面活性剤を入れて測定する一般的な方法で得られた測定結果は、トナー耐久時の選択現像現象と相関が低かった。
そのため、水系に界面活性剤を入れて測定する一般的な方法よりも、粒子表面の状態が寄り忠実に測定できるため、現実のトナー選択現像に近い特性値が得られると考えている。
本発明におけるゼータ電位の測定は、以下の方法によって行った。
使用する溶剤は、メタノール試薬(純度99%以上、和光純薬製)であり、ゼータ電位に対する水分の影響を除去する目的で脱水剤(モレキユラーシーブ3A、関東化学)にて0.1%以下に脱水したものを使用した。
ゼータ電位の測定は、トナー10mgを、メタノール試薬20mL中に加え、超音波分散(BRANSON3510)にて3分間分散させてゼータ電位測定サンプルとした。得られたサンプルを、動的光散乱法によるゼータ電位測定装置であるゼータサイザーナノZS(シスメックス株式会社製)を用い、メンテナンスフリーキャピラリーゼータ電位セルを用いて測定を行った。なお、測定条件としては、23℃、印加電圧120Vで行った。
さらに、本願のトナーは、選択現像の観点から検討を行った結果、トナーのゼータ電位のみでは選択現像を低減するためには不十分であり、さらにトナーの硬さとの関係性が有ることを見出した。
トナーの硬さについては、フローテスターでのトナーの溶融粘度測定において、溶融開始で試料の高さが変化していく過程の特性が良好な相関関係。
すなわちトナーのゼータ電位(mV)をフローテスターによる軟化点温度(℃)で割った値、粘度電位指数ZF((mV/℃))が、―1.35乃至−0.50であることが、トナーの帯電受容能力と帯電保持能力の双方におけるバランスをとる上で好ましい。
粘度電位指数ZFが−1.35未満、すなわち、フローテスターによる軟化点温度が低く、且つ、ゼータ電位が負で絶対値が大きい場合、トナーの帯電受容能力の高すぎるトナーが多くてこれらの熱特性が弱いようなトナーを表している。このようなトナーが現像容器内で使用されるとき、トナーの帯電量が高まることで現像時にも帯電量が高すぎる粒子が現像されずにトナー容器内、または現像剤担持体上に濃縮され易い。さらに、このトナーは熱特性が弱いために、現像器内の部材に付着し易いものであることから、規制部材に融着しやすく、規制部材汚染によるトナー帯電能力を阻害して帯電不良を誘発するために好ましくない。
一方、粘度電位指数ZFが−0.50超の場合、フルカラー画像形成時の2次色の均質性と発色性が悪化する。粘度電位指数ZFが−0.50超とは、フローテスターによる軟化点温度が高く、且つ、ゼータ電位が負で絶対値が小さい場合を意味している。この場合、トナー構成成分の樹脂が軟化するための温度が高いため、このようなトナーを使用した画像形成において、定着時の溶融性が悪化してしまい、2次色の発色性が悪化する問題がある。さらに、このようなトナーは帯電性の低いものが含まれるため、特に2次色でトナー載り量が多い場合の2次転写において、転写バイアスの適正値であっても転写特性に劣るという欠点を生じやすい。特にフルカラー画像形成時の2次色の均質性が悪化するといった問題が生じるために好ましくない。
本発明においてトナーの製造方法は本願の特性を達成可能なものであれば特に限定することがなく、公知の製造方法が使用可能である。すなわち、溶融混練粉砕法、懸濁重合方法、乳化重合方法、懸濁造粒法などが使用可能である。これらの中で、水系媒体中でトナーを製造する工程を含んだ、懸濁重合方法、乳化重合方法、懸濁造粒法の系が好ましく、中でも懸濁重合法、懸濁造粒法がより好ましい。
本発明の効果が得られるトナー達成手段について鋭意検討した結果、トナー粒子表面もしくはトナー粒子表面近傍に荷電制御能のある材料を適量、局在化させること、及び、トナー粒子間で荷電制御能のある材料がばらつき少なく付着している状態が良い。
本発明トナーの具体的な達成手段については、本願の好ましい範囲を達成できるものであれば特に限定するものではない。
一例としては、トナー粒子を水系媒体中、樹脂性の荷電制御剤存在下で造粒することによって製造したトナー粒子に対して、荷電制御剤やシリコーンオイルなどの帯電性制御材料を付着させることが好ましい。
さらに、トナー粒子に対して帯電性制御材料を付着させる時に、トナー粒子に対して、液体を用いて処理する方法、すなわち固・液処理が好ましく使用できる。
ゼータ電位及びその標準偏差を本発明の範囲にする方法としては、トナー粒子を乾式で攪拌中に、荷電制御剤やシリコーンオイルなどの帯電性をコントロールする材料を溶剤で希釈した液を噴霧する乾式スプレーコーティング法が挙げられる。その他、トナー粒子を水系中に分散させ、上記帯電性をコントロールする材料を加えて攪拌する湿式固液処理法が挙げられる。更には、湿式造粒系でトナー粒子を作るときに水系媒体に配向し易い成分を有する帯電制御剤をトナー構成成分に加えて湿式造粒を行う方法が使用可能である。
好ましくは、水系媒体中、樹脂性の荷電制御剤存在下で造粒、あるいは重合してトナー粒子を得、更に、荷電制御剤をトナー粒子表面にばらつきが少ない状態で付着させる方法である。また上記のようにして得られたトナー粒子の表面をシリコーンオイル類で処理する方法も好ましい。
さらには、トナー粒子表面への荷電制御剤、或いは、シリコーンオイル類での処理を湿式で行うことがより好ましい。
トナー粒子の表面処理に使用可能な荷電制御剤の具体的な例としては、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
これらの中で、モノアゾ金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ダイカルボン酸の金属錯体、及びこれらの金属塩が好ましい。更には、中心金属がFe、Al、Cr、Niのモノアゾ金属錯体、中心金属がFe、Alの芳香族ハイドロキシカルボン酸金属錯体、中心金属がFe、Alの芳香族ダイカルボン酸金属錯体、及びこれらの金属塩がより好ましい。
さらには、荷電制御剤の形態としては、平均粒子径を100nm以下に調整した固体形状か、もしくは、溶剤に溶かして溶解した状態での荷電制御剤を使用することが、トナーのゼータ電位の標準偏差を少なくして、選択現像を少なくする観点より好ましい。
固体形状の荷電制御剤の平均粒子径は、たとえばレーザー式光散乱粒度計(例えばマイクロトラックLS コールター社製)を用いて測定できる平均粒子径を、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下に調整したものが使用できる。
荷電制御剤を、このような粒子径に制御するためには、メカのケミカル的に機械粉砕手段を利用する方法、荷電制御剤の合成時に結晶化する程度を制御する結晶制御方法などによってコントロールすることが可能である。
一方、トナー粒子の表面処理に使用可能なシリコーンオイル類の具体的な例としては、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルが使用可能である。中でも、変性シリコーンオイルが好ましく、親水性官能基を導入し部分疎水化した変性シリコーンオイルが好ましい。さらには粘度が50以上1000以下の部分親水変性シリコーンオイルがより好ましい。
本発明のトナー粒子には、上述の表面処理に使用可能な材料単独でトナー粒子の表面処理を行っても良いが、これに加えて、トナーを負荷電性に制御する公知の荷電制御剤を併用することも更に良い。
例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。また、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルカルボン酸系化合物等が挙げられる。
さらには、これらの中で、モノアゾ金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ダイカルボン酸の金属錯体、及びこれらの金属塩が好ましい。更には、中心金属がFe、Al、Cr、Niのモノアゾ金属錯体、中心金属がFe、Alの芳香族ハイドロキシカルボン酸金属錯体、中心金属がFe、Alの芳香族ダイカルボン酸金属錯体、及びこれらの金属塩、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体がより好ましい。
特に、水系媒体中で重合することによってトナー粒子を製造する場合、重合反応中の層構造制御の観点から、中心金属がFe、Alの芳香族ハイドロキシカルボン酸金属錯体や、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体が好ましい。
より詳細な荷電制御能のある材料の使用方法については実施例中で述べる。
次いで、本発明で好適に使用可能なトナー粒子の好ましい例について具体的に述べる。前述の通り、本発明においてトナーの製造方法は本願の特性を達成可能なものであれば特に限定することがなく、公知の溶融混練粉砕法、懸濁重合方法、乳化重合方法、懸濁造粒法が使用可能である。
結着樹脂として使用可能な樹脂を構成する低分子量ビニル系樹脂としては、トナーとして使用可能なものなら特に限定するものではなく公知の樹脂が使用可能である。
スチレン−アクリル系樹脂の具体的な例としては、以下の重合性単量体の重合体、又は、重合性単量体単独の重合体の混合物、あるいは、2種類以上の重合性単量体の共重合生成物が挙げられる。
スチレン系重合性単量体としては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、3、4−ジクロロスチレン、p−エチルスチレン、2、4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその誘導体が挙げられる。
アクリル酸エステル系重合性単量体としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
更に具体的には、スチレン−アクリル酸共重合体あるいはスチレン−メタクリル酸系共重合体が好ましい。
本発明に用いられる結着樹脂を得るために、以下に例示するような重合開始剤を用いることが好ましい。
具体的には、過酸化物系開始剤の例として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレートなど及びこれらの誘導体が挙げられる。
また、アゾ系及びジアゾ系開始剤の例として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など、及びこれらの誘導体が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用してもよく、また複数併用して使用しても良い。その使用量は重合性単量体100質量部に対し、0.05乃至15質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部の濃度で用いられる。
また、本発明に係わるトナーに使用可能なポリエステル系樹脂の具体例としては、アルコール成分とカルボン酸成分を縮合して構成される公知のポリエステル樹脂を用いることができる。
アルコール成分としては、ジオール、三価以上のポリオールが使用できる。具体的には、ジオールとしては、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;ビスフェノールA等のビスフェノール類;上記脂環式ジオールのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、α−オレフィンオキシド等の、上記脂環式ジオールの炭素数2乃至18のアルキレンオキシド付加物;上記ビスフェノール類のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、α−オレフィンオキシド等の、上記ビスフェノール類の炭素数2乃至18のアルキレンオキシド付加物;等が挙げられる。
三価以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の、三から八価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノールPA等のトリスフェノール類;フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック樹脂;上記トリスフェノール類の炭素数2乃至18のアルキレンオキシド付加物;上記ノボラック樹脂の炭素数2乃至18のアルキレンオキシド付加物;等が挙げられる。
また、前記カルボン酸成分としては、ジカルボン酸、三価以上のポリカルボン酸及びその酸無水物、又は前記ポリカルボン酸とメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、エチレングリコールエステル等との低級アルコールのエステル等が挙げられる。これらのうち、ジカルボン酸、その酸無水物、及びこれらと他のポリカルボン酸の併用が好ましい。
ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ダイマー酸等のアルキレンジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸等のアルケニレンジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;等が挙げられる。
本発明のトナーは、白黒トナーをはじめ、カラートナーとしても使用可能である。本発明のトナーを白黒トナーとして使用する場合は、従来知られている無機、有機の染料、顔料が使用可能である。具体的にはカーボンブラック、黒鉛、黒色酸化チタンやニグロシンなど公知の黒色着色剤が使用可能である。
また、本発明のカラートナーに使用しうる着色剤としては、従来知られている無機、有機の染料、顔料が使用可能である。具体的には次の様なものが挙げられる。
イエロー用着色顔料の具体例としては、縮合アゾ化合物,イソインドリノン化合物,アンスラキノン化合物,アゾ金属錯体,メチン化合物,アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。さらに具体的には、C.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,83,93,94,95,97,109,110,111,120,127,128,129,147,168,174,176,180,181,191、C.I.バットイエロー1,3,20等が挙げられる。また、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなども使用することができる。
マゼンタ用着色顔料の具体的な例としては、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,163,202,206,207,209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35等が挙げられる。
さらに、染料としては、C.I.ソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40等の塩基性染料、C.I.アシッドレッド1、C.I.ダイレクトレッド1,4、C.I.モーダントレッド30等が挙げられる。
シアン用着色顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17、C.I.ベーシックブルー3,5、C.I.バットブルー6、C.I.ダイレクトブルー1,2、C.I.アシッドブルー9,15,45、C.I.モーダントブルー7、又は銅フタロシアニン顔料等がある。
黒用着色顔料の具体例としては、カーボンブラック、アリニンブラック、アセチレンブラック、オイルブラック等がある。また、色用の着色剤を混合し、黒色着色剤として使用することも可能である。
また、上記着色剤の他に、チタンホワイト、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4,6、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、クロムグリーン、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28、C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を使用して、上記色以外の色トナー用着色剤として使用することも可能である。
これらは、単独、あるいは組み合わせて使用することができ、通常、電子写真特性的観点、及び透過性の観点から、結着樹脂100質量部に対して0.5乃至60質量部、好ましくは3.0乃至20質量部使用される。
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上の目的で、外添剤をトナー粒子に外添することが好ましい。外添剤の具体的な例としては、シリカ微粉末、疎水化シリカ微粉末、酸化チタン、表面疎水化酸化チタン、各種樹脂粒子、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これら単独あるいは複数併用して用いられることが好ましい。
本発明に好適に用いられるシリカ微粉末は、公知のシリカ微粉末が使用可能であるが、好ましくはBET法で測定した窒素吸着による比表面積が20m2/g以上、より好ましくは30乃至400m2/gの範囲内のものが使用できる。
該シリカ微粉末は、必要に応じ、疎水化及び帯電性コントロールの目的で、表面処理剤で処理することが好ましい。表面処理剤の具体例としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独でもあるいは混合して使用しても良い。
これらの中で好ましくは、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤であり、特に好ましくは、シリコーンオイルである。
また、シリコーンオイルの種類としては、200cps以下の粘度を有するジメチルシリコーンオイルが好ましい。
該シリカ微粉末の使用量としては、特に定めるものではないが、トナー粒子100質量部に対してシリカ微粉体0.01乃至8質量部、好ましくは0.1乃至5質量部使用するのが良い。
更に公知の滑剤粉末をトナーに添加しても良い。滑剤粉末としては例えばポリフッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂;フッ化カーボンの如きフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルの如き脂肪酸誘導体;硫化モリブデンが挙げられる。
本発明のトナーは、良好な定着画像を得るために、結着樹脂100質量部に対して0.5乃至50質量部の離型剤を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、各種のワックス等が例示できる。
本発明に係わるトナーに使用可能な離型剤としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックスおよびその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレンに代表されるポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックス等天然ワックス及びその誘導体などである。これらの誘導体には酸化物や、ビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物を含む。さらには、高級脂肪族アルコール、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸、あるいはその化合物、酸アミドワックス、エステルワックス、ケトン、硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物系ワックス、動物性ワックス等が挙げられる。これらのワックスの中では、示差熱分析における吸熱ピークが40℃乃至110℃であるものが好ましく、更には45℃乃至90℃であるものがより好ましい。より好ましくは吸熱温度ピークが70.0℃乃至85.0℃であるパラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスである。
離型剤成分の最大吸熱ピーク温度の測定は、「ASTM D 3418−82」に準じて行う。測定には、例えばパーキンエルマー社製DSC−7を用いる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行う。
離型剤を使用する際の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して0.5乃至50質量部の範囲が好ましい。含有量が0.5質量部未満では低温オフセット抑制効果に乏しく、50質量部を超えてしまうと長期間の保存性が悪化すると共に、他のトナー材料の分散性が悪くなり、トナーの流動性の低下や画像特性の低下につながる。トナー粒子に対しては5乃至20質量%含有するのが好ましい。
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)は、高画質化の面から3乃至15μmであることが好ましく、5乃至10μmであることがより好ましい。
重量平均粒子径はコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用い、定法により測定可能である。
また、本発明のトナーは、帯電安定性、現像性、転写性、流動性向上の目的で形状を制御することが好ましい。
本発明のトナーにおける形状制御の好ましい範囲としては、フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーの平均円形度が0.920乃至0.995で、円形度標準偏差が0.040以下である。より好ましくは平均円形度が0.950乃至0.990で、円形度標準偏差が0.040以下である。
トナーの平均円形度が0.920未満のトナーとは、形状が球形から離れて不定形に近づいたトナーを意味する。このような不定形トナーは、現像中に現像器内でトナーが破砕され易いために、粒度分布が変動し易く、帯電付与が十分に与えられないために帯電不良によるカブリを生じやすいため好ましくない。
トナーの平均円形度が0.995超のトナーとは、形状が真球状のトナーを意味する。このような真球状トナーは、帯電性や転写性に優れるものの、現像後に潜像担持体上に残留した残トナーをブレードクリーニング機構で除去しにくくなる。その結果、クリーニング不良による画像欠陥や、帯電・露光妨害による画像欠陥を生じるといった現像上不都合な現象を生じやすくなるため好ましくない。
本発明におけるトナーの円相当径、円形度及びそれらの頻度分布は、フロー式粒子像測定装置FPIA−3000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
Figure 2008275813
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.00を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
本発明において、個数基準のトナー粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
Figure 2008275813
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度と円形度標準偏差SDcは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci,頻度をfciとすると、次式から算出される。
Figure 2008275813
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料約0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする、その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が8000個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、トナーの円相当径や円形度頻度分布等を求める。
以下本発明に好適な画像形成方法について述べる。
本発明の画像形成方法は、複数の静電荷像担持体を用い、各静電荷像担持体が異なる色相のトナーを用いて顕像化した潜像を、中間転写体を用い/あるいは用いずに転写材上に転写し、さらに転写材上の未定着画像を定着する画像形成方法である。
かかる画像形成方法において、本願のトナーの特徴がより顕在化するものである。すなわち、上記の如き画像形成方法ではハーフトーンの階調性や2次色の転写抜けに対してトナー特性のコントロールが特に重要となる。
さらに、カラー機の高画質化の要求から、上記の課題に対するさらに高い次元の要求があり、これらの要求を満たすためには新たな視点による新たなトナーが必要である。
本発明に好適に使用可能な画像形成方法の具体例について、図を用いて説明する。
図1は転写搬送ベルト方式の一例である。転写材Pは吸着ローラー63でバイアスを印加され、転写搬送ベルト16に吸着し搬送される。感光体上に形成された各色の画像は、転写搬送ベルト上に吸着された転写材Pに転写ローラー17からトナーと逆極性のバイアスを印加されて順次転写され、4色合成された後、定着装置15で加熱定着されてフルカラー画像を得るものである。
図1において、41乃至44は現像装置、1は感光体、63は転写部材、15は定着装置、2は感光体1に接触して直接帯電を行う一次帯電部材を示す。
一次帯電部材2には、感光体1表面を一様に帯電するようにバイアス電源34が接続されている。
転写部材63には感光体1と反対極性の転写バイアス電源34が接続されている。
ここで、感光体1とトナー担持体の接触部分における回転方向の長さ、いわゆる現像ニップ幅は0.2乃至8.0mmが好ましい。0.2mm未満では現像量が不足して満足な画像濃度が得られにくく、転写残トナーの回収も不十分となりやすい。8.0mmを超えてしまうと、トナーの供給量が過剰となり、カブリが生じやすく、また、感光体の摩耗が顕著となる傾向にある。
帯電部材としては、非接触式のコロナ帯電器と、ローラー等を用いる接触型の帯電部材がありいずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のためには、接触方式のものが好ましく用いられる。
図1においては、接触型の帯電部材を用いている。
図1で用いている一次帯電部材2は、中心の芯金とその外周を形成した導電性弾性層とを基本構成とする帯電ローラーである。一次帯電部材2は、静電潜像担持体一面に押圧力を持って当接され、静電潜像担持体1の回転に伴い従動回転する。
帯電ローラーを用いた時の好ましいプロセス条件は以下の通りである。ローラーの当接圧としては4.9乃至490N/m(5乃至500gf/cm)が好ましい。そして、直流電圧に交流電圧を重畳したものを印加電圧として用いた時には、交流電圧=0.5乃至5kVpp、交流周波数=50Hz乃至5kHz、直流電圧=±0.2乃至±1.5kVが好ましい。直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2乃至±5kVが好ましい。尚、ドラムの削れ量を抑制できるために、印加電圧として直流電圧のみを用いる場合の方がより好ましい。この他の接触帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、非接触のコロナ帯電に比べて、高電圧が不必要であり、またオゾンの発生が低減するといった点で優れている。接触帯電手段としての帯電ローラーおよび帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜を設けても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
尚、図1に記載の画像形成装置の説明として、接触帯電手段について述べたが、その他の構成の画像形成装置においても接触帯電手段を用いる場合には、同様の装置及び条件を用いることができる。
一次帯電工程に次いで、発光素子からの露光3によって感光体1上に情報信号に応じた静電潜像を形成し、トナー担持体と当接する位置においてトナーにより静電潜像を現像し可視像化する。さらに、本発明の画像形成方法において、特に感光体上にデジタル潜像を形成した現像システムと組み合わせることで、潜像を乱さないためにドット潜像に対して忠実に現像することが可能となる。該可視像は転写部材63により被転写体Pに転写され、定着装置15を通過して定着され、定着画像を得る。なお、加熱加圧定着手段としては、ハロゲンヒーター等の発熱体を内蔵した加熱ローラーとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラーを基本構成とする熱ローラー方式以外に、フィルムを介してヒーターにより加熱定着する方式も用いられる。
一方、転写されずに感光体1上に残った転写残トナーは、感光体1の表面に当接されるクリーニングブレードを有するクリーナー13で回収され、感光体1はクリーニングされる。
次に、本発明のトナーを用いた画像形成方法に関して、好適な現像装置の一例を図2を用いて説明する。
図2中の現像装置90はトナー98を収容しており、静電潜像担持体(感光体)99と接触して矢印方向に回転するトナー担持体94を具備する。さらに、トナー量規制及び帯電付与のための現像ブレード96と、トナー98をトナー担持体94に付着させ、かつトナー担持体94との摩擦でトナーへの帯電付与を行うため矢印方向に回転する塗布ローラー95を備えている。トナー担持体94には現像バイアス電源が接続されている。塗布ローラー94にも図示しないバイアス電源が接続されており、負帯電性トナーを使用する場合は現像バイアスよりも負側に、正帯電性トナーを使用する場合は現像バイアスよりも正側に電圧が設定される。
トナーコート量は現像ブレード96により制御されるが、この現像ブレード96はトナー層を介してトナー担持体94に接触している。この時の接触圧は、4.9乃至49N/m(5〜50gf/cm)が好ましい範囲である。4.9N/mよりも小さいとトナーコート量の制御に加え均一な摩擦帯電も難しくなり、カブリが生じる原因となる。一方、49N/mよりも大きくなるとトナー粒子が過剰な負荷を受けるため、粒子の変形や現像ブレードあるいはトナー担持体へのトナーの融着等が発生しやすくなり、好ましくない。
規制部材の自由端部は、好ましいNE長(現像ブレードのトナー担持体に対する当接部から自由端までの長さ)を与える範囲であればどのような形状でもよい。例えば断面形状が直線状のもの以外にも、先端近傍で屈曲したL字形状のものや、先端近傍が球状に膨らんだ形状のもの等が好適に用いられる。
トナーコート量の規制部材としては、トナーを圧接塗布するための弾性ブレード以外にも、剛性のある金属ブレード等を用いても良い。
弾性の規制部材には、所望の極性にトナーを帯電させるのに適した摩擦帯電系列の材質を選択することが好ましい。例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体、ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体、ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体が使用できる。また、それらの複合体であっても良い。
また、弾性の規制部材とトナー担持体に耐久性が要求される場合には、金属弾性体に樹脂やゴムをスリーブ当接部に当たるように貼り合わせたり、コーティングしたりしたものが好ましい。
更に、弾性の規制部材中に有機物や無機物を添加することも良い。例えば、金属酸化物、金属粉、セラミックス、炭素同素体、ウィスカー、無機繊維、染料、顔料、界面活性剤などを添加することにより、トナーの帯電性をコントロールできる。特に、弾性体がゴムや樹脂等の成型体の場合には、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化錫、ジルコニア、酸化亜鉛等の金属酸化物微粉末、カーボンブラック、一般にトナーに用いられる荷電制御剤等を含有させることも好ましい。
またさらに、規制部材に直流電場及び/または交流電場を印加することによっても、トナーへのほぐし作用のため、均一薄層塗布性、均一帯電性がより向上し、充分な画像濃度の達成及び良質の画像を得ることができる。
図3には、本発明の画像形成方法を、中間転写体を用いて中間転写体上に逐次転写を行った後に多重トナー像を記録材に一括転写する画像形成装置の概略図を示す。
図3は中間転写ベルトを使用した装置である。複数配列した感光体1に形成された静電潜像をトナー41〜44で顕像化し、次いで、中間転写ベルト5に順次転写され4色合成された後に、二次転写ローラー7でトナーと逆極性のバイアスを印加され、転写材Pの上に一括転写される。次いで、この転写材Pを定着装置15で加熱加圧定着することでフルカラー画像を得るものである。中間転写ベルトに残留した現像剤は、クリーニング装置18で除去される。
感光体1の表面上に残存する転写残トナーは、感光体1の表面に当接するクリーニングブレードを有するクリーナー13で回収され、クリーニングされる。
感光体1から中間転写ベルト5への一次転写は、第1の転写装置としての中間転写ベルト5の導電性支持体に、一次転写電源30より転写バイアスを印加することによって行われる。
感光体1から中間転写ベルト5への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための一次転写バイアスは、トナーとは逆極性で、バイアス電源30から印加される。
感光体1から中間転写ベルト5への第1〜第3色のトナー画像の一次転写工程において、二次転写ローラー7及びクリーニング用帯電部材18は中間転写ベルト5から離間することも可能である。
中間転写ベルト5上に転写された多色カラートナー画像の転写材Pへの二次転写は、当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送され、二次転写バイアスがバイアス電源31から二次転写ローラー7に印加されて行われる。
前記中間転写ベルト上の転写残トナーは、感光体1とのニップ部およびその近傍において感光体1に静電的に転写されることにより、中間転写体がクリーニングされる。
中間転写ベルトは、ベルト形状の基層と基層の上に設けられる表面処理層よりなる。なお、表面処理層は複数の層により構成されていても良い。基層及び表面処理層には、ゴム、エラストマー、樹脂を使用することができる。
例えばゴム、エラストマーとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム及び熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系及びフッ素樹脂系等)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
また、樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート等の樹脂を使用することができる。これら樹脂の共重合体や混合物を用いても良い。
基層としては、織布形状、不織布形状、糸状、フィルム形状をした芯体層の片面あるいは両面に、上述のゴム、エラストマー、樹脂を被覆、浸漬、噴霧したものを使用しても良い。
芯体層を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば綿、絹、麻及び羊毛等の天然繊維;キチン繊維、アルギン酸繊維及び再生セルロース繊維等の再生繊維;アセテート繊維等の半合成繊維;ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアルキルパラオキシベンゾエート繊維、ポリアセタール繊維、アラミド繊維、ポリフロロエチレン繊維及びフェノール繊維等の合成繊維;炭素繊維、ガラス繊維及びボロン繊維等の無機繊維;鉄繊維及び銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用いることができる。
さらに、中間転写ベルトの抵抗値を調節するために基層および表面処理層中に導電剤を添加しても良い。導電剤としては特に限定されるものではないが、例えば、カーボン、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化チタン等の金属酸化物、及び4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミン、含硼素高分子化合物及びポリピロール等の導電性高分子化合物等からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用いることができる。
また、中間転写ベルト表面の滑り性を上げ、転写性を向上するために必要に応じて滑剤を添加しても良い。滑剤としては、中間転写ドラムの弾性層に用いるものと同様の滑剤を用いることができる。
なお画像形成方法の詳細については、実施例中で説明する。
[トナーの製造例1]
トナー溶融粘度を調整する目的で下記のようなトナーを作製した。
低分子樹脂成分(1)の製造
温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけたガラス製4リットルの4つ口フラスコを油浴槽内に設置した。これに下記組成物を充填した。
・キシレン 500質量部
・スチレン 98質量部
・ブチルアクリレート 2質量部
・1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル) 12質量部
このフラスコを撹拌装置により150rpmにて撹拌しながら、油浴槽の温度を80〜90℃に段階的に調整し10時間反応させ重合を行った。
反応後、得られた内容物をエバポレータにより溶剤除去し、メタノール中に沈殿させ低分子樹脂を精製した。得られた低分子樹脂(1)の分子量を測定したところ、Mwで3500であった。
続いて、下記の手順によって重合トナーを作製した。
60℃に加温したイオン交換水900質量部に、懸濁分散安定剤としてリン酸マグネシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、9,000rpmにて撹拌して、水系媒体を作製した。
一方で、下記処方を60℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて9,000rpmにて攪拌し、溶解、分散を行った。
・スチレン 68質量部
・n−ブチルアクリレート 22質量部
・低分子樹脂(1) 10質量部
・シアン顔料(銅フタロシアニン15:3 大日精化製) 7質量部
・アゾ系金属錯体(ボントロンS−34:オリエント化学社製) 2質量部
・ポリエステル樹脂(エチレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮
合物、酸価8.8mgKOH/g,Tg=61℃,Mw=10000) 7質量部
・フィシャートロプシュワックス(日本精鑞社製HNP−10 融点Tp=75℃)
10質量部
これに重合開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 2.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
次いで、前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーを用いて8,000rpmで攪拌し造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置を用いて攪拌しつつ、2時間かけて70℃に昇温して第一の重合を行った。
続いて、トナー溶融粘度を調整する目的で、第2の重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4質量部を添加した。
その後更に4時間70℃にて重合反応を継続した後、重合反応を完結させる目的で80℃まで昇温して2時間反応を行った。次いでトナー中の残存モノマーを除去する目的で減圧蒸留を行って残存モノマー量を100ppm以下にするよう操作した後に、室温以下まで冷却し、重合体粒子を得た。
次いで、懸濁分散安定剤として使用したリン酸マグネシウムを除去する目的で塩酸を用いて洗浄した後にろ過により固形分を分離した。
次いで本願トナーのゼータ電位を調整する目的で以下のゼータ電位調整操作を行った。
微量の界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)を含有するイオン交換水中に、サリチル酸系金属錯体(オリエント:ボントロンE−84)を1000ppm濃度になるよう分散させた水を、先の重合体粒子固形分の7倍量用意した。この液体をプロペラ式攪拌機にて攪拌したところへ、先の重合体粒子固形分をゆっくり投入してから60分間攪拌した。
この着色粒子含有液体を加圧ろ過にて固液分離した後に流動層乾燥装置(株式会社大河原製作所製)にて乾燥を行い、分級し、トナー粒子(1)を得た。
一方、シリカ(日本アエロジル株式会社製R972)に対して、粘度50cpsのジメチルシリコーンオイル(KF96、信越シリコーン社製)を気流中で処理し、シリカに対して15wt%処理した。これをR972改とする。
上記トナー粒子(1)100質量部に対して、シリカ(R972改)1.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合してトナー(1)を得た。
得られたトナー(1)10mgを、脱水したメタノール試薬(1級試薬、純度99%以上、和光純薬製)20mL中に加え、超音波分散にて3分分散させてゼータ電位測定サンプルとした。 得られたサンプルをゼータサイザーナノZS(シスメックス株式会社製)を用い、メンテナンスフリーキャピラリーゼータ電位セルを用いて測定を行った。なお、測定条件としては、23℃環境にて印加電圧120Vで行った。得られたゼータ電位の標準偏差は5.2mV、ゼータ電位は−88.4mVであった。
また、トナー(1)の溶融挙動を測定した。なお測定条件は以下のものを使用した。
測定装置:高架式フローテスター
(島津フローテスターCFT−500型)
試料:トナー試料を1.0g秤量し、加圧成型器を用いて成型した。
測定方法:荷重;9.80×105Pa
ダイス;直径1mm、長さ1mm
昇温速度3.0℃/minで連続的に加熱したときの
プランジャーの降下量を測定した。
このような方法でトナー(1)のフローテスター粘度を測定した結果、軟化温度は89.0℃、100℃の粘度値は41000Pa・s、1/2温度は114.2℃であった。
これら得られた結果から、ゼータ電位(−88.4mV)を軟化温度(89.0℃)で除することで求められる粘度電位指数は−0.993であった。
さらに、トナー(1)の粒度と円形度を測定した。コールターマルチサイザー3(コールター社製)で測定した重量平均粒子径は6.5μm、FPIA3000(シスメックス株式会社製)で測定した平均円形度は0.978であった。
[トナーの製造例2]
トナーの製造例1中の「シアン顔料」に変えて「C.I.ピグメントイエロー93 クラリアント社製 6.5質量部」に変更するほかはトナーの製造例1と同様にして、トナー(2)を得た。
[トナーの製造例3]
トナーの製造例1中の「シアン顔料」に変えて「C.I.ピグメントレッド120 クラリアント社製 7.4質量部」に変更するほかはトナーの製造例1と同様にして、トナー(3)を得た。
[トナーの製造例4]
トナーの製造例1中の「シアン顔料」に変えて「カーボンブラック トーカブラック#4400 東海カーボン社製 8.0質量部」に変更するほかはトナーの製造例1と同様にして、トナー(4)を得た。
[トナーの製造例5]
下記の手順によって重合トナーを作製した。
60℃に加温したイオン交換水900gに、懸濁分散安定剤としてリン酸マグネシウム3質量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、9,000rpmにて撹拌して、水系媒体を作製した。
一方で、下記処方を60℃に加温した後にTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて9,000rpmにて攪拌し、溶解、分散を行った。
・スチレン 62.5質量部
・n−ブチルアクリレート 17.5質量部
・低分子樹脂(1) 20質量部
・シアン顔料(銅フタロシアニン15:3 大日精化製) 7質量部
・アゾ系金属錯体(ボントロンS−34:オリエント化学社製) 0.8質量部
・ポリマー型電荷制御剤(FCA―1001―NS:藤倉化成) 0.5質量部
・ポリエステル樹脂(エチレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重縮
合物) 7質量部
・フィシャートロプシュワックス(日本精鑞社製 FT−100 Tp=72℃)
8質量部
これに重合開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 3.5質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
次いで、前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーを用いて8,000rpmで攪拌し造粒した。
その後、プロペラ式攪拌装置を用いて攪拌しつつ、2時間かけて70℃に昇温した後に4時間重合を行った。
さらに重合反応を完結させる目的で80℃まで昇温して2時間反応を行った。次いでトナー中の残存モノマーを除去する目的で減圧蒸留を行って残存モノマー量を100ppm以下にするよう操作した後に、室温以下まで冷却し、重合体粒子を得た。
次いで、懸濁分散安定剤として使用したリン酸マグネシウムを除去する目的で塩酸を用いて洗浄した後にろ過により固形分を分離した。
次いで本願トナーのゼータ電位を調整する目的で以下のゼータ電位調整操作を行った。
微量の界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)を含有するイオン交換水中に、サリチル酸系金属錯体(オリエント:ボントロンE−84)を2000ppm濃度になるよう分散させた水を、先の重合体粒子固形分の7倍量用意した。この液体をプロペラ式攪拌機にて充分攪拌したところへ、先の重合体粒子固形分をゆっくり投入してから60分間攪拌した。
この着色粒子含有液体を加圧ろ過にて固液分離した後に、流動層乾燥装置(株式会社大河原製作所製)にて42℃で7時間かけて乾燥を行い、分級し、トナー粒子(2)を得た。
上記トナー粒子(2)100質量部に対して、シリカ(R972改)1.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合してトナー(2)を得た。
[トナーの製造例6]
トナーの製造例5中の「シアン顔料」に変えて「C.I.ピグメントイエロー93 クラリアント社製 6.5質量部」に変更するほかはトナーの製造例5と同様にして、トナー(6)を得た。
[トナーの製造例7]
トナーの製造例5中の「シアン顔料」に変えて「C.I.ピグメントレッド120 クラリアント社製 7.4質量部」に変更するほかはトナーの製造例5と同様にして、トナー(7)を得た。
[トナーの製造例8]
トナーの製造例5中の「シアン顔料」に変えて「カーボンブラック トーカブラック#4400 東海カーボン社製 8.0質量部」に変更するほかはトナーの製造例5と同様にして、トナー(8)を得た。
[トナーの製造例9]
トナーの製造例5中で、離型剤HNP10を5質量部に変更し、且つ「ゼータ電位を調整する操作」中のサリチル酸系金属錯体(オリエント:ボントロンE−84)の濃度を300ppmになるよう変更する他はトナーの製造例5と同様にして、トナー(9)を得た。
[トナーの製造例10]
トナーの製造例5中で、離型剤HNP10を15質量部に変更し、且つ、「ゼータ電位を調整する操作」を行った後に、乾燥工程を回転式の円錐状混合装置であるリボコーン乾燥機(株式会社奈良機械製作所製)に変更する他は同様にしてトナー粒子を得た。次いでこのトナー粒子100質量部に対して、アルミ処理微粒子酸化チタン(テイカ株式社製、JR405)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合してトナー(10)を得た。
なお、リボコーン乾燥機は粉体の乾燥時に粉体に対してスクリューで攪拌を与える時に、物理的な混合を行うものである。このようにトナーを混合することによってトナーのゼータ電位バラツキを低減する効果が得られるものである。
[トナーの製造例11]
トナー(5)を用いて、さらに表面球形化装置であるハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)に変更する他はトナーの製造例5と同様にして、トナー(11)を得た。ここで用いたハイブリダイゼーションシステムは、トナー粒子を一定のギャップを介して流動化させるときに、複数のトナー粒子表面同士を擦り合わせるように作用するものである。この「複数のトナー粒子表面同士の擦り合わせ」によってゼータ電位分布を均質化、すなわちゼータ電位の標準偏差を低減する効果が得られるものである。
[トナーの製造例12]
トナーの製造例5で、「ゼータ電位を調整する操作」としてサリチル酸系金属錯体処理に替えて、以下の操作を行った。
「トナーのゼータ電位を調整する操作」は、イオン交換水中に親水性特殊変性シリコーンオイル(信越シリコーンKF−905、信越化学工業社製)を0.5質量%濃度になるよう分散させた水を、重合体粒子固形分の7倍量用意した。この液体をプロペラ式攪拌機にて充分攪拌したところへ、先の重合体粒子固形分をゆっくり投入し60分間攪拌した。
その後、乾燥、分級をトナーの製造例5と同様に行いトナー粒子(12)を得た。
上記トナー粒子(12)100質量部に対して、シリカ(R972改)1.5質量部と、酸化チタン(ルチル型、JR 株式会社テイカ社製)0.3質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合してトナー(12)を得た。
[トナーの製造例13]
トナーの製造例12において、トナーの離型剤量を18質量部に変更し、且つ、「トナーのゼータ電位を調整する操作」においてKF−905に替えて、ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越シリコーンKF−354、信越化学工業社製)を使用するほかは同様にしてトナー(13)を得た。
[トナーの製造例14]
トナーの製造例12において、トナーの離型剤をエステルワックス(1)7.5質量部に変更し、且つ、「トナーのゼータ電位を調整する操作」においてKF−905に替えて、ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越シリコーンKF−354、信越化学工業社製)を使用するほかは同様にしてトナー(14)を得た。
なお、エステルワックス(1)は、ベヘン酸ベヘニルのエステルワックスで純度が95%以上、酸価5のものを粉砕してパウダー化したものである。
[トナーの製造例15]
下記組成に変更する他は、トナーの製造例5同様にしてトナー(15)を得た。
・スチレン 76.5質量部
・n−ブチルアクリレート 8.5質量部
・低分子樹脂(1) 15質量部
・フィシャートロプシュワックス(日本精鑞社製FT100) 10質量部
[トナーの製造例16]
トナーの製造例12において下記の処方とし、且つ、以下に示す「トナーのゼータ電位を調整する操作」を行った。
微量の界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)を含有するイオン交換水中に、ベンジル酸金属錯体(LR147、日本カーリット社製)を500ppm濃度になるよう分散させた水を、先の重合体粒子固形分の7倍量用意した。この液体をプロペラ式攪拌機にて攪拌したところへ、先の重合体粒子固形分をゆっくり投入してから60分間攪拌した。
次いで、その他の操作はトナーの製造例12と同様にしてトナー(16)を得た。
・スチレン 52.0質量部
・n−ブチルアクリレート 13.0質量部
・低分子樹脂(1) 35質量部
・エステルワックス(1) 12.0質量部
[トナーの製造例17]
下記組成に変更する他は、トナーの製造例16同様にしてトナー(17)を得た。
・スチレン 74.4質量部
・n−ブチルアクリレート 18.6質量部
・低分子樹脂(1) 7質量部
[トナーの比較製造例1]
・ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との 重縮合物、酸価10.3mgKOH/g,Tg=60℃,Mw=9700)
65質量部
・シアン顔料(銅フタロシアニン15:3 大日精化製) 35質量部
上記材料をニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させ、充分に前混合する。その後3本ロールで2回混練して第一の混練物を得た。
さらに、下記の材料をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行い、二軸式押出し機で溶融混練した。
・上記第一の混練物 20質量部
・ポリエステル樹脂(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとテレフタル酸との重 縮合物、酸価10.3mgKOH/g,Tg=60℃,Mw=9700)
80.0質量部
・ベンジル酸錯体(LR147 日本カーリット社製) 4.0質量部
・パラフィンワックス(日本精鑞社製 パラフィンワックス155) 5.0質量部
混練物を冷却後しハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。更に得られた微粉砕物を多分割分級装置で微粉及び粗粉を同時に厳密に除去した後に、表面球形化装置であるハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)で処理し、次いで分級操作を行って、比較トナー粒子(1)を得た。
得られた比較トナー粒子(1)100質量部に対して、シリカ(日本アエロジル株式会社製RX200)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合して比較トナー(1)を得た。
[トナーの比較製造例2]
トナーの比較製造例1中の「シアン顔料」に変えて「C.I.ピグメントイエロー93 クラリアント社製 6.5質量部」に変更するほかはトナーの比較製造例1と同様にして、比較トナー(2)を得た。
[トナーの比較製造例3]
トナーの比較製造例1中の「シアン顔料」に変えて「C.I.ピグメントレッド120 クラリアント社製 7.4質量部」に変更するほかはトナーの比較製造例1と同様にして、比較トナー(3)を得た。
[トナーの比較製造例4]
トナーの比較製造例1中の「シアン顔料」に変えて「カーボンブラック トーカブラック#4400 東海カーボン社製 8.0質量部」に変更するほかはトナーの製造例5と同様にして、比較トナー(4)を得た。
[トナーの比較製造例5]
比較トナー粒子(1)100質量部に対して「ゼータ電位を調整する操作」として下記の操作を行った。まず、アゾ系金属錯体(ボントロンS−34:オリエント化学社製)2質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合した。さらに、これをハイブリダイゼーションシステム(HB)処理し比較トナー粒子(1)の表面処理を行うことで比較トナー粒子(5)を得た。
得られた比較トナー粒子(5)100質量部に対して、シリカ(R972改)1.7質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合して比較トナー(5)を得た。
[トナーの比較製造例6]
・スチレン−アクリル酸エステル共重合体 100質量部
(ピーク分子量15000、Tg67℃)
・カーボンブラック(トーカブラック#4400 東海カーボン社製) 7.5質量部
・ベンジル酸錯体(LR147 日本カーリット社製)
・エステルワックス(1) 3.0質量部
上記材料をニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させ、充分に混合し、その後3本ロールで2回混練した。次いで混錬物を冷却後しハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。次いで分級操作を行った。
その後、以下に示す「トナーのゼータ電位を調整する操作」を行った。
微量の界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)を含有するイオン交換水中に、アゾ系錯体(スピンブラックTRH、保土ヶ谷化学社製)を2000ppm濃度になるよう分散させた水を、先の重合体粒子固形分の7倍量用意した。この液体をプロペラ式攪拌機にて攪拌したところへ、先の重合体粒子固形分をゆっくり投入してから60分間攪拌した。
次いで、乾燥、分級操作を行い比較トナー粒子(6)を得た。
得られた比較トナー粒子(6)100質量部に対して、シリカ(日本アエロジル株式会社製RX200)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合して比較トナー(3)を得た。
[トナーの比較製造例4]
・スチレン−アクリル酸エステル共重合体 100質量部
(ピーク分子量12000、Tg55℃)
・シアン顔料(銅フタロシアニン15:3 大日精化製) 6.0質量部
・ベンジル酸錯体(LR147 日本カーリット社製)
・エステルワックス(1) 6.0質量部
上記材料をニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させ、充分に混合し、その後3本ロールで2回混練した。次いで混錬物を冷却後しハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。更に得られた微粉砕物を多分割分級装置で微粉及び粗粉を同時に厳密に除去した後に、表面球形化装置であるハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)で処理し、次いで分級操作を行って、比較トナー粒子(6)を得た。
得られた比較トナー粒子(6)100質量部に対して、シリカ(日本アエロジル株式会社製RX200)1.5質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合して比較トナー(6)を得た。
以上得られたトナーの物性測定結果を表1にまとめる。
Figure 2008275813
[実施例1]
本実施例で使用した画像形成装置について、以下に説明する。
本実施例1では図1に示すような画像形成装置を用いて画像評価を行った。
図1は、非磁性一成分接触現像方式の電子写真プロセスを利用した、1200dpiレーザービームプリンタ(キヤノン製:LBP−5500)改造機の概略図である。転写材Pは吸着ローラー63でバイアスを印加され、転写搬送ベルト16に吸着し搬送される。感光体上に形成された各色の画像は転写搬送ベルト上に吸着された転写材Pに転写ローラー17からトナーと逆極性のバイアスを印加されて逐次転写され、重ね合わされた後、定着装置15で加熱定着される。
本評価機は、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの4色トナーを具備した現像プロセスカートリッジを4本配置し、各トナーを用いて顕像化した静電潜像を転写材上に逐次転写し、さらに転写材上の未定着画像を定着する画像形成方法である。
また、各プロセスカートリッジは、図2に示すような一成分現像装置を静電潜像担持体に圧接して現像を行う非磁性一成分接触現像方式のカートリッジであり、この4本をインライン状に配置したものである。
本実施例では以下の(a)〜(f)の部分を改造した装置を使用した。
(a)トナー担持体は4色とも該感光体回転周速に対し順方向で134%となるように 駆動した。
(b)該トナー担持体上トナーのコート層制御のために、ステンレス製ブレードを用い た。
(c)現像時の印加電圧を−330Vに固定した。
(d)感光体は、暗部電位を−700Vとし、明部電位を−150Vとした。
(e)各ステーションの転写電圧を1770Vとした。
(f)A4縦送りで出力速度が16枚/分となるよう設定した。
実施例1として、下記のトナーを充填し評価の用意を行った。図1の17a〜17dにそれぞれ、トナー製造例(1)で得られたシアンのトナー(1)、トナー製造例(2)で得られたイエローのトナー(2)、トナー製造例(3)で得られたマゼンタのトナー(3)、トナー製造例(4)得られたブラックのトナー(4)を充填した。
本実施例での評価条件
トナーの充填量は250gとした。
低温低湿環境(15℃,10%RH)環境下で画像印字比率が1%となるよう調整した横ライン画像を連続通紙した。評価は耐久初期(10枚〜50枚)、耐久中期(5000枚)、耐久後期(15000枚)で行い、各測定項目について後述の方法で評価した。
[実施例2]
実施例1において使用したトナー(1)、トナー(2)、トナー(3)、トナー(4)を、トナー(5)、トナー(6)、トナー(7)、トナー(8)に替える他は実施例(1)同様にして、耐久評価を行い、各測定項目について後述の方法で評価した。
[実施例3〜11]
実施例1において使用したトナー(1)に変えて、トナー(9)〜(17)を用いる他は実施例1同様にして、耐久評価を行い、各測定項目について後述の方法で評価した。
[実施例12]
実施例1で使用した画像形成装置1中の(f)プロセス速度を40枚/分となるよう改造した画像形成装置1Bを使用した。また、トナーとしては、実施例(2)で用いたトナー(5)、トナー(6)、トナー(7)、トナー(8)とする他は実施例1同様にして、耐久評価を行い、各測定項目について後述の方法で評価した。
[実施例13]
本実施例13では図3に示すような画像形成装置2を用いて画像評価を行った。図3は中間転写ベルトを有する非磁性一成分接触現像方式の電子写真プロセスを利用した、1200dpiレーザービームプリンタの概略図である。
画像形成装置1との相違点は、中間転写ベルト5を有することである。
本評価機は、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックのトナーを用いて顕像化した静電潜像を一次転写材上に逐次転写して未定着画像を重ねた後に、一括して、転写材に6及び7で示した2次転写装置で転写し、さらに転写材上の未定着画像を定着する画像形成装置である。
また、各プロセスカートリッジは、図2に示すような一成分現像装置を静電潜像担持体に圧接して現像を行う非磁性一成分接触現像方式のカートリッジであり、この4本をインライン状に配置したものである。
プロセスカートリッジ及び本体の設定を以下のものとした。
(a)トナー担持体は4色とも該感光体回転周速に対し順方向で134%となるように 駆動した。
(b)該トナー担持体上トナーのコート層制御のために、ステンレス製ブレードを用い た。
(c)現像時の印加電圧を−350Vに固定した。
(d)感光体は、暗部電位を−700Vとし、明部電位を−150Vとした。
(e)各ステーションの1次転写電圧を1500Vとした。
(f)2次転写の電圧を1750Vとした。
(g)A4縦送りで出力速度が16枚/分となるよう設定した。
以上の構成の画像形成装置2を用いて、トナー(5)、トナー(6)、トナー(7)、トナー(8)のトナーを充填したプロセスカートリッジを用いて評価を行った。
本実施例での評価条件
トナーの充填量は250gとした。
低温低湿環境(15℃,10%RH)環境下で画像印字比率が1%となるよう調整した横ライン画像を連続通紙した。評価は耐久初期(10枚〜50枚)、耐久中期(5000枚)、耐久後期(15000枚)で行い、各測定項目について後述の方法で評価した。
[比較例1]
画像形成装置1を用い、トナー(1)、トナー(2)、トナー(3)、トナー(4)を、比較トナー(1)、比較トナー(2)、比較トナー(3)、比較トナー(4)に替える他は実施例1と同様にして、耐久評価を行った。各測定項目について後述の方法で評価した。
[比較例2〜4]
画像形成装置1を用い、比較トナー(1)を比較トナー(5)〜比較トナー(7)に替える他は比較例1同様にして、耐久評価を行い、各測定項目について後述の方法で評価した。
[比較例5]
画像形成装置2を用い、トナー(5)、トナー(6)、トナー(7)、トナー(8)を、比較トナー(1)、比較トナー(2)、比較トナー(3)、比較トナー(4)に変える他は実施例13と同様にして、耐久評価を行った。各測定項目について後述の方法で評価した。
以上、得られた評価結果の一覧を表2にまとめる。
Figure 2008275813
本評価結果において、トナーの100℃での溶融状態の粘度と、トナーのゼータ電位値およびゼータ電位分布の少ないトナーを用いることで良好な結果が得られることが明らかである。その理由としては、トナーの摩擦帯電時の帯電受容能力とトナーの帯電保持能力という双方のバランスが取れたトナー設計となることで、トナーの選択現像、選択転写が抑制され、常に安定した画像形成を達成できたことによるものを考えられる。
上述のように、本発明の効果が得られることがわかった。
評価項目
<耐久時のトナーの濃度>
各耐久枚数において、複写機用普通紙(80g/m2 CLCペーパー キヤノン株式会社製)A4サイズで全ベタ黒画像出力を3枚連続で行い、1枚の先端6cm、中央、後端6cmの3点を3枚分測定した。得られた9点の測定結果を相加平均して画像濃度を求め、下記の基準に基づいて評価した。
ランクA:非常に良好 画像濃度1.40以上
ランクB:良好 画像濃度1.30以上、1.40未満
ランクC:実用上問題なし 画像濃度1.25以上、1.30未満
ランクD:やや難あり 画像濃度1.15以上、1.25未満
ランクE:問題あり 画像濃度1.15未満
<カブリ>
各耐久枚数において、複写機用普通紙(80g/m2 CLCペーパー キヤノン株式会社製)に白地部分を含むチャートを出力した。これを「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを下記の判断基準に基づいて評価した。
ランクA:非常に良好 反射濃度0.3%以下
ランクB:良好 反射濃度0.5%以上、1.0%未満
ランクC:実用上問題なし 反射濃度1.0%以上、2.0%未満
ランクD:やや難あり 反射濃度2.0%以上、3.0%未満
ランクE:問題あり 反射濃度3.0%以上
<カラー色再現性>
各耐久枚数において、複写機用普通紙(80g/m2 CLCペーパー キヤノン株式会社製)にA4サイズでイエロー、マゼンタ、シアン、赤、緑、青が縦帯状になるような評価チャートを3枚連続出力した。得られた画像の先端6cm、中央、後端6cmの3点について3枚分を色相角測定装置「スペクトロフォトメータ」(東京電色社製)にて測定した。なお、測定条件はAnsi 50、光源はc光源とした。
得られた測定結果において、最大Eと最小Eの差をΔEとし、このΔEから色再現性を下記の判断基準に基づいて評価した。
ランクA:非常に良好 ΔE0.5以下
ランクB:良好 ΔE0.5以上、1.5未満
ランクC:実用上問題なし ΔE1.5以上、3.0未満
ランクD:やや難あり ΔE3.0以上、5.0未満
ランクE:問題あり ΔE5.0以上
<転写性>
各耐久枚数において、Bond紙(90g/m2)に縦25mm横40mmの単色ベタ画像を用意した。次いで、単色紙上の画像濃度が0.50mg/cm2になるよう現像バイアスをコントロールして出力し、記録材上にトナー像が転写された直後に印字を中断し、定着前のトナー像を得た。この記録材上のトナー像のトナー重量(トナーA)、及び、転写されずに残留した転写残トナー量(トナーB)の比率を下記計算方法にて計算し転写効率を求めた。次いで、得られた転写効率の値を下記の判断基準に基づいて評価した。
転写効率(%)=(トナーB)/[(トナーA)+(トナーB)] × 100
ランクA:非常に良好 転写効率97.0%以上
ランクB:良好 転写効率93.0%以上、97.0%未満
ランクC:実用上問題なし 転写効率90.0%以上、93.0%未満
ランクD:やや難あり 転写効率87.0%以上、90.0未満
ランクE:問題あり 転写効率87.0%未満
本願の実施例で好適に用いられるフルカラー画像形成装置の概略図である。 本願の実施例で好適に用いられる現像装置例の概略図である。 本願の実施例で用いられる中間転写ベルトを有するフルカラー画像形成装置の概略図である。

Claims (10)

  1. 少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナー粒子と外添剤を含むトナーであって、
    該トナーをメタノール中に分散させた状態でのゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が1mV以上10.0mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−50.0mVであり、且つ
    該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において、100℃粘度が10000Pa・s乃至45000Pa・sであることを特徴とするトナー。
  2. 該トナーのゼータ電位(mV)をフローテスターによる軟化点温度(℃)で割った値、粘度電位指数ZF((mV/℃))が、−1.35乃至−0.50であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 該トナーはメタノール中のゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が3.8mV以上9.5mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−60.0mVであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において、100℃粘度が20000Pa・s乃至40000Pa・sであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において1/2法温度が100℃乃至130℃であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 該トナー粒子は、少なくとも結着樹脂、着色剤と離型剤からなるトナー粒子であり、該離型剤はトナー粒子に対して5乃至20質量%含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
  7. 該トナー粒子が、少なくとも重合性単量体、ワックスおよび着色剤を含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中で重合することによって製造されたトナー粒子であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  8. 該トナー粒子が、外添処理以外の表面処理工程を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
  9. 少なくとも複数の静電荷像担持体を用い、各静電荷像担持体が異なる色相のトナーを用いて顕像化した潜像を中間転写体上に逐次転写を行った後に、転写材上に一括転写し、さらに転写材上の未定着画像を定着する画像形成方法において、
    該トナーとして、少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナー粒子と外添剤を含むトナーであって、
    該トナーをメタノール中に分散させた状態でのゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が1mV以上10.0mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−50.0mVであり、
    該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において、100℃粘度が10000Pa・s乃至45000Pa・sであることを特徴とするトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
  10. 少なくとも複数の静電荷像担持体を用い、各静電荷像担持体が異なる色相のトナーを用いて顕像化した潜像を転写材上に逐次転写し、さらに転写材上の未定着画像を定着する画像形成方法において、
    該トナーとして、少なくとも結着樹脂と着色剤を有するトナー粒子と外添剤を含むトナーであって、
    該トナーをメタノール中に分散させた状態でのゼータ電位測定において、ゼータ電位の標準偏差が1mV以上10.0mV以下であり、ゼータ電位が−110.0mV乃至−50.0mVであり、
    該トナーのフローテスターによる9.807×105Pa、ダイ径1.0mmの10mmサンプルの測定における溶融粘度測定において、100℃粘度が10000Pa・s乃至45000Pa・sであることを特徴とするトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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