JP2008262677A - 微小粒子の製造方法 - Google Patents

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宣孝 井原
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拓也 渦巻
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厚志 田中
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悟 百瀬
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Abstract

【課題】比較的に簡単に微小ホールに均一に磁性体を充填することができる複合材およびその製造方法を提供する。または、結晶核の大きさや分散を十分に制御することができる多結晶構造膜を提供する。
【解決手段】複合材39は非磁性の基体41を備える。基体41の表面には微小ホール42が穿たれる。微小ホール42内には磁性の微小粒子43が配置される。こうした複合材39では、微小粒子43は微小ホール42内に確実に配置されることができる。しかも、微小ホール42の位置は規則的に制御されることができる。こうした微小ホール42に基づき微小粒子43は規則的に配置されることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばハードディスク(HD)といった磁気記録媒体に使用されることができる複合材、構造体およびその製造方法、多結晶構造膜並びに微小粒子の製造方法に関する。
例えばハードディスクといった磁気記録媒体の分野ではいわゆるナノホールといった微小ホールは広く知られる。こうした微小ホールは例えば基板上でアルミナ膜の表面に穿たれる。アルミナ膜の表面で微小ホールは微細な間隔で規則的に配列される。微小ホールには例えばCoやCo系合金といった磁性体が充填される。微小ホールごとに磁性結晶粒は形作られる。磁気記録媒体では磁気情報の記録密度は高められることができる。
例えば日本国特開平11−224422号公報や日本国特開2002−175621号公報に記載されるように、微小ホールへの磁性体の充填にあたって真空蒸着法やスパッタリング法、電気メッキ法は用いられる。こうした方法では記録磁性層の表面に余分な磁性体は堆積する。余分な磁性体は研磨やエッチング、イオンミリングに基づき除去されなければならない。しかも、微小ホールのアスペクト比が大きい場合には、磁性体は微小ホールに均一に充填されることができない。
鉄白金(FePt)のナノ粒子を利用した磁気記録媒体は提案される。磁気記録媒体の製造にあたって、例えばオレイン酸やオレイルアミンに包まれたナノ粒子は準備される。こういったナノ粒子は例えばヘキサンといった有機溶剤中で保存される。ナノ粒子は磁気記録媒体の基板に有機溶剤とともに塗布される。
その後、ナノ粒子にはアニール処理が施される。このアニール処理に基づきナノ粒子は結晶化する。しかしながら、これまでのところ、こういったアニール処理が実施されると大きな熱エネルギに基づきナノ粒子の融合が引き起こされてしまう。その結果、結晶粒は肥大化してしまう。
記録磁性層には広く磁性多結晶層が用いられる。磁性多結晶層で結晶粒の微細化が達成されれば、いま以上に磁気情報の記録密度は高められることができる。こういった結晶粒の微細化にあたっていわゆるシード層すなわち微細な結晶核は用いられる。シード層上で磁性材料のスパッタリングが実施されると、結晶核から微細な結晶粒は成長することができる。
シード層の形成にあたってスパッタリングは用いられる。基板上ではスパッタリングに基づき例えば金属材料の超薄膜が形成される。堆積した超薄膜に加熱処理が施されると、超薄膜中で微細な結晶核は形成されることができる。しかしながら、こういった超薄膜では、結晶核の大きさや分散は十分に制御されることができない。その結果、磁性多結晶層では結晶粒の大きさや分布にばらつきが生じてしまう。
例えば日本国特開2000−54012号公報に開示されるように、いわゆるポリオール法に基づくナノ金属粒子の製造方法は広く知られる。このポリオール法は例えばコバルト粒子の生成にあたって広く用いられる。還元剤すなわちジオールの働きで酢酸コバルトといった塩からコバルトは還元される。しかしながら、このポリオール法ではナノ粒子同士の凝集が引き起こされやすい。特に、金属合金のナノ粒子が製造される場合にはナノ粒子の肥大化は回避されることができない。
日本国特開2000−46430号公報 Sun et al.「Monodisperse FePt Nanoparticles and Ferromagnetic FePt Nanocrystal Superlattices」,Science,Vol 287,2000年3月,p.1989−1992 Sun et al.「Self Assembling Magnetic Nanomaterials」,J.Mag.Soc.Japan,Vol 25,2001年,p.1434−1440 Masuda et al.「Highly ordered nanochannel−array architecture in anodic alumina」,Appl.Phys.Lett.71(19),1997年11月,p.2770−2772 高橋 秀明 「アルミニウムの酸化皮膜の構造と性質(Structure and Property of Oxide Films Formed on Aluminum)」,表面科学 第9巻 第9号,1988年,p.76−82
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、比較的に簡単に微小ホールに均一に磁性体を充填することができる複合材およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、これまで以上に微細な結晶粒を形成することができる構造体およびその製造方法を提供することを目的とする。本発明は、結晶核の大きさや分散を十分に制御することができる多結晶構造膜を提供することを目的とする。本発明は、比較的に簡単に微細で均一な微小粒子の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1発明によれば、基体と、基体の表面に穿たれる微小ホール内に配置される微小粒子とを備えることを特徴とする複合材が提供される。
こうした複合材では、微小粒子は微小ホール内に確実に配置されることができる。すなわち、微小粒子は微小ホール内に完全に収容される。しかも、微小ホールの位置は規則的に制御されることができる。こうした微小ホールに基づき微小粒子は規則的に配置されることができる。
こういった複合材では、基体の表面に積層されて、微小ホール内に微小粒子を閉じ込める被覆層が形成されてもよい。こういった被覆層によれば微小粒子は微小ホール内に完全に収容される。基体の表面に微小粒子は存在しない。
以上のような複合材では、基体および微小粒子のうち一方は磁性体から構成され、他方は非磁性体から構成されてもよい。その一方で、基体および微小粒子のうち一方は導電体から構成され、他方は絶縁体から構成されてもよい。
こうした複合材では、微小粒子は金属元素から構成されればよい。微小粒子は結晶粒から構成されてもよい。微小粒子では、基体の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸が確立されてもよい。微小ホールの直径は4nm〜50nmの範囲で設定されればよく、深さは2〜10のアスペクト比で設定されればよい。
第2発明によれば、表面に穿たれる微小ホールを有する基体を用意する工程と、基体の表面に、特定の溶媒中に微小粒子を含む液体を塗布する工程と、微小ホールから基体の表面に溢れる微小粒子を拭い去る工程とを備えることを特徴とする複合材の製造方法が提供される。
以上のような製造方法によれば、基体の表面に、特定の溶媒中に微小粒子を含む液体が塗布されることから、微小粒子は比較的に簡単に微小ホール内に流れ込むことができる。微小粒子は微小ホール内に均一に充填されることができる。こうした微小粒子を含む液体の塗布にあたってスピンコート法またはディップ法が実施されればよい。
以上のような複合材の製造にあたって、基体および微小粒子のうち一方は磁性体から構成され、他方は非磁性体から構成されてもよい。微小ホールの直径は4nm〜50nm程度に設定されればよく、深さは2〜10のアスペクト比で設定されればよい。
なお、以上のような複合材は、例えばハードディスク(HD)といった垂直磁気記録媒体に利用されてもよく、その他の磁気記録媒体に利用されてもよい。
第3発明によれば、微小粒子の集合体と、微小粒子同士の間に存在する炭素原子とを備え、微小粒子を構成する原子の原子数および炭素原子の原子数の総計に対して炭素原子単独の原子数は45原子%〜96原子%の範囲に設定されることを特徴とする構造体が提供される。
こうした微小粒子の直径は1nm〜30nmの範囲で設定されればよい。微小粒子は、Fe、CoおよびNiの少なくともいずれかを含む磁性体で構成されればよい。また、微小粒子には結晶粒が含まれればよい。
第4発明によれば、対象物の表面に、有機化合物で包まれる微小金属粒子を含む有機溶剤を塗布する工程と、有機溶剤の乾燥後に、真空環境下で微小金属粒子にアニール処理を施す工程とを備え、微小金属粒子を構成する原子の原子数と有機化合物中の炭素原子の原子数との総計に対して有機化合物中の炭素原子の原子数は45原子%〜96原子%の範囲に設定されることを特徴とする構造体の製造方法が提供される。
かかる製造方法によれば、比較的に多量の有機化合物の働きで、アニール処理の実施にも拘わらず微小金属粒子の凝集は回避されることができる。微小金属粒子は微細な結晶粒のまま維持される。
こういった製造方法は、アニール処理の実施に先立って、不活性ガス雰囲気下で有機化合物に加熱処理を施す工程をさらに備えてもよい。こうした製造方法によれば、有機安定剤の増量にも拘わらず、微小金属粒子および有機安定剤で構成される層の表面には平坦面が確立されることができる。
第5発明によれば、基層と、基層の表面に配置される微小粒子と、微小粒子に基づき成長する結晶粒を含む結晶層とを備えることを特徴とする多結晶構造膜が提供される。
こういった多結晶構造膜によれば、結晶層の結晶粒は微小粒子に基づき成長する。微小粒子の大きさや分散は十分に制御されることから、結晶層では結晶粒の大きさや分布は確実に制御されることができる。
こうした多結晶構造膜では、微小粒子には金属元素が含まれればよい。微小粒子の直径は1nm〜30nmの範囲で設定されればよい。微小粒子は、基層の表面に途切れなく広がる連続層を形成すればよい。
以上のような多結晶構造膜は磁気記録媒体に用いられることができる。磁気記録媒体では、微小粒子に基づき成長する結晶粒で構成される下地多結晶層と、下地多結晶層の個々の結晶粒から成長する結晶粒で構成される磁性多結晶層とが積層形成されればよい。
同様に、以上のような多結晶構造膜は、いわゆる垂直磁気記録媒体に用いられることができる。このとき、垂直磁気記録媒体では、微小粒子に基づき成長する結晶粒で構成される磁性多結晶層が積層形成されればよく、非磁性層で磁性多結晶層から隔てられる軟磁性の裏打ち層がさらに形成されればよい。
こういった磁気記録媒体では、下地多結晶層の結晶粒は微小粒子に基づき成長する。微小粒子の大きさや分散は十分に制御されることから、下地多結晶層では結晶粒の大きさや分布は確実に制御されることができる。磁性多結晶層は、下地多結晶層の個々の結晶粒から成長する結晶粒で構成されることから、結晶粒の大きさや分布は確実に制御されることができる。磁気記録媒体では磁気情報の記録密度はこれまで以上に高められることができる。
微小粒子には、前述と同様に、金属元素が含まれればよい。しかも、微小粒子の直径は1nm〜30nmの範囲で設定されればよい。
第6発明によれば、有機溶媒中に、有機溶媒に対して難溶を示す還元剤、金属化合物および有機安定剤を含む溶液を生成する工程と、所定の反応温度下で溶液を撹拌する工程とを備えることを特徴とする微小粒子の製造方法が提供される。
こういった製造方法によれば、還元剤は有機溶媒に溶け難いことから、還元剤と有機溶媒とは相分離されることができる。溶液の極性は低く保持される結果、微小粒子の凝集は十分に阻止されることができる。比較的に簡単に微細かつ均一な微小粒子は形成されることができる。
こうした微小粒子の製造方法では、金属化合物は、アセチルアセトナト塩、炭素数1〜20の有機酸の塩、臭化物およびヨウ化物の少なくともいずれかから選択されればよい。しかも、生成される溶液には2種類以上の前記金属化合物が含まれてもよい。
有機溶媒は炭素数6〜20の非プロトン性有機溶媒で構成されればよい。こういった有機溶媒は、炭化水素、エーテルおよびエステルのいずれかから選択されればよい。還元剤には炭素数2〜6の1,2-ジオールが用いられればよい。
有機安定剤はカルボン酸R−COOHを含めばよい。このとき、カルボン酸中のRはC1223、C1733およびC2141のいずれかから選択されればよい。有機安定剤はアミンR−NHを含んでもよい。このとき、アミン中のRはC1325、C1835およびC2243のいずれかから選択されればよい。
以上のような製造方法では溶液の反応温度は100℃〜300℃の範囲で設定されればよい。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は磁気記録媒体駆動装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)11の内部構造を概略的に示す。このHDD11は、例えば平たい直方体の内部空間を区画する箱形の筐体本体12を備える。収容空間には、磁気記録媒体としての1枚以上の磁気ディスク13が収容される。磁気ディスク13はスピンドルモータ14の回転軸に装着される。スピンドルモータ14は例えば7200rpmや10000rpmといった高速度で磁気ディスク13を回転させることができる。筐体本体12には、筐体本体12との間で収容空間を密閉する蓋体すなわちカバー(図示されず)が結合される。
収容空間では、垂直方向に延びる支軸15にヘッドアクチュエータ16が装着される。ヘッドアクチュエータ16は、支軸15から水平方向に延びる剛体のアクチュエータアーム17と、このアクチュエータアーム17の先端に取り付けられてアクチュエータアーム17から前方に延びる弾性サスペンション18とを備える。周知の通り、弾性サスペンション18の先端では、いわゆるジンバルばね(図示されず)の働きで浮上ヘッドスライダ19は片持ち支持される。浮上ヘッドスライダ19には、磁気ディスク13の表面に向かって弾性サスペンション18から押し付け力が作用する。磁気ディスク13が回転すると、磁気ディスク13の表面で生成される気流の働きで浮上ヘッドスライダ19には浮力が作用する。弾性サスペンション18の押し付け力と浮力とのバランスで磁気ディスク13の回転中に比較的に高い剛性で浮上ヘッドスライダ19は浮上し続けることができる。
浮上ヘッドスライダ19には、周知の通りに、磁気ヘッドすなわち電磁変換素子(図示されず)が搭載される。この電磁変換素子は、例えば、スピンバルブ膜やトンネル接合膜の抵抗変化を利用して磁気ディスク13から情報を読み出す巨大磁気抵抗効果(GMR)素子やトンネル接合磁気抵抗効果(TMR)素子といった読み出し素子と、薄膜コイルパターンで生成される磁界を利用して磁気ディスク13に情報を書き込む単磁極ヘッドや誘導書き込みヘッドといった書き込み素子(図示されず)とで構成されればよい。
浮上ヘッドスライダ19の浮上中に、ヘッドアクチュエータ16が支軸15回りで回転すると、浮上ヘッドスライダ19は半径方向に磁気ディスク13の表面を横切ることができる。こうした移動に基づき浮上ヘッドスライダ19上の電磁変換素子は磁気ディスク13上の所望の記録トラックに位置決めされる。ヘッドアクチュエータ16の回転は例えばボイスコイルモータ(VCM)といった駆動源21の働きを通じて実現されればよい。周知の通り、複数枚の磁気ディスク13が筐体本体12内に組み込まれる場合には、隣接する磁気ディスク13同士の間で2本のアクチュエータアーム17すなわち2つの浮上ヘッドスライダ19が配置される。
図2は本発明の第1実施形態に係る磁気ディスク13の断面構造を詳細に示す。この磁気ディスク13はいわゆる垂直磁気記録媒体として構成される。磁気ディスク13は、支持体としての基板31と、この基板31の表裏面に広がる多層構造膜32とを備える。基板31は、例えば、ディスク形のSi本体33と、Si本体33の表裏面に広がる非晶質のSiO膜34とで構成されればよい。ただし、基板31にはガラス基板やアルミニウム基板、セラミック基板が用いられてもよい。多層構造膜32に磁気情報は記録される。多層構造膜32の表面は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜といった保護膜35や、例えばパーフルオロポリエーテル(PFPE)膜といった潤滑膜36で被覆される。
多層構造膜32は、基板31の表面に広がる裏打ち層37を備える。裏打ち層37は例えばFeTaC膜やNiFe膜といった軟磁性体から構成されればよい。ここでは、裏打ち層37に例えば膜厚200nm程度のFeTaC膜が用いられればよい。裏打ち層37では基板31の表面に平行に規定される面内方向に磁化容易軸は確立される。
裏打ち層37の表面には中間層38が広がる。中間層38は例えばアルミニウム膜といった非磁性体から構成されればよい。中間層38の表面には複合材すなわち記録磁性層39が広がる。記録磁性層39は、中間層38の表面に広がる基体すなわち基質層41を備える。基質層41には例えばアルミナ(Al)といった非磁性体が用いられればよい。
基質層41の表面には微小ホールすなわちナノホール42が穿たれる。ナノホール42は基質層41の表面に規則的に配置される。ナノホール42は、例えば、基板31の周方向に等間隔で並行する列に沿って配置されればよい。各列では、列同士の間隔と等しい間隔でナノホール42は配列されればよい。ナノホール42同士の間隔は例えば4nm〜30nm程度に設定されればよい。ナノホール42の直径は4nm〜50nm程度に設定されればよい。ナノホール42の深さは2〜10のアスペクト比に基づき設定されればよい。アスペクト比はナノホール42の直径に対する深さの比率を示す。
ナノホール42内に微小粒子すなわちナノ粒子43が配置される。ナノ粒子43は金属元素を含む。ナノ粒子43には例えばFe、CoおよびNiといった磁性体のいずれかが少なくとも含まれればよい。ナノ粒子43には例えばCrやPt、Pdといった材料がさらに含まれてもよい。ここでは、ナノ粒子43には例えば磁性のFePt合金が用いられればよい。
こういったナノ粒子43は結晶粒から構成される。個々の結晶粒では基質層41の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸が確立される。結晶粒の表面は炭素原子(図示されず)に包まれる。炭素原子によれば、個々の結晶粒はナノホール42内で単独に存在することができる。その一方で、結晶粒同士はナノホール42内で融合してもよい。融合した結晶粒の表面は炭素原子に包まれる。
ナノ粒子43の粒径は、前述のナノホール42の直径よりも常に小さな粒径に設定される。ナノ粒子43の粒径は、例えばナノホール42の直径に対して5分の2〜2分の1程度の比率に基づき設定されればよい。ナノ粒子43の平均粒径Dに対する粒径分布の標準偏差σの比率すなわち粒径分散σ/Dは10%以下に設定されればよい。ナノホール42内でナノ粒子43同士の間隔は0.2nm〜5.0nm程度に設定されればよい。
図2から明らかなように、基質層41の表面に保護膜35は積層形成される。保護膜35によれば、ナノホール42内にナノ粒子43は閉じ込められる。すなわち、保護膜35は被覆層として機能する。保護膜35によればナノ粒子43はナノホール42内に完全に収容される。ナノ粒子43は、ナノホール42内にのみ配置され基質層41の表面には配置されない。
こういった磁気ディスク13ではナノ粒子43に基づき記録磁性層39の磁化方向は特定されることができる。ナノホール42に基づきナノ粒子43は規則的に配置されることができる。個々の磁化領域ごとに明確に輪郭線は描き出されることができる。いわゆる遷移ノイズは抑制される。こういった磁気ディスク13では、確実に磁気情報の記録密度は高められることができる。
次に、磁気ディスク13の製造方法を詳述する。まず、ディスク形の基板31が用意される。基板31の表面には裏打ち層37やアルミニウム層が順番に形成される。裏打ち層37やアルミニウム層の形成にあたって例えばスパッタリング法や真空蒸着法が用いられればよい。続いてアルミニウム層に基づきナノホール42が穿たれる。ナノホール42の形成の過程でアルミニウム層の表面は酸化していく。こうしてアルミニウム層から中間層38および基質層41が形成される。ナノホール42の形成方法の詳細は後述される。
その後、個々のナノホール42にはナノ粒子43が充填される。ナノ粒子43には加熱処理が施される。加熱処理にあたって基板31はアニールチャンバ内に設置される。チャンバ内では3x10−5[Pa]以下の真空環境が確立される。チャンバ内の温度は200℃〜900℃の範囲で設定されればよい。例えば30分間にわたって800℃の温度が維持されればよい。チャンバ内の温度は室温から800℃まで10分間で上昇すればよい。加熱中、ナノ粒子43には所定の磁場が適用される。磁場の大きさは例えば0.1〜10.0[T]の範囲で設定されればよい。こうして個々のナノ粒子43で磁化容易軸の方向は制御される。その後、基板31は室温まで冷却される。
ナノ粒子43の充填後、基質層41の表面には保護膜35や潤滑膜36が形成される。保護膜35の形成には例えばスパッタリング法が用いられればよい。潤滑膜36は例えばディップ法に基づき塗布されればよい。
次に、ナノホール43の形成方法を詳述する。図3に示されるように、基板31上で、アルミニウム膜44の表面に鋳型45が押し付けられる。鋳型45の表面には所定の間隔で突起46が形成される。突起46の押し付けに基づきアルミニウム膜45の表面に微細な窪み47が形成される。
続いて、アルミニウム膜44に陽極酸化が実施される。アルミニウム膜44は水溶液に浸される。水溶液には例えば25℃の蓚酸水溶液0.5[M]が使用される。印加電圧は例えば40[V]に設定される。陽極酸化の反応に基づき、アルミニウム膜44は表面から酸化していく。前述の窪み47からナノホール42が成長していく。こうして、図4に示されるように、基質層41の表面にナノホール42が形成される。その後、基質層41は燐酸溶液中に浸される。燐酸溶液との反応に基づきナノホール42の内周面はエッチングされる。こうしてナノホール42の直径は例えば10nm程度に設定される。同様に、ナノホール42の深さは30nm程度に設定される。なお、陽極酸化されない部分はアルミニウムの中間層38を形成する。
次に、ナノ粒子43のナノホール42への充填方法を簡単に説明する。ナノ粒子43の形成にあたって周知のスーパーハイドライド法やポリオール法が用いられればよい。ナノ粒子43の直径は例えば7nm程度に設定される。こうして形成された個々のナノ粒子43は有機化合物すなわち有機安定剤で包まれる。有機安定剤は例えばカルボン酸R−COOHやアミンR−NHから構成されればよい。このとき、Rは直鎖または分岐のアルキルおよびアルケニル炭化水素が用いられればよい。有機安定剤に包まれるナノ粒子43は特定の有機溶剤に添加される。有機溶剤中でナノ粒子43は再分散する。再分散にあたってヘキサンやヘプタン、オクタンといった有機溶剤が用いられればよい。
続いて、前述のナノホール42を有する基質層41は用意される。例えば図5に示されるように、形成されたナノ粒子43はナノホール42に充填される。基質層41の表面に、有機安定剤に包まれるナノ粒子43を含む液体が塗布される。塗布にあたって例えばスピンコート法やディップ法が実施されればよい。
続いて、図6に示されるように、ナノホール42から基質層41の表面に溢れるナノ粒子43は拭い去られる。ナノ粒子43の除去にあたって基板31は回転させられる。このとき、基質層41の表面にはワイパー49が押し当てられる。ワイパー49は例えばゴムといった弾性体から構成されればよい。ワイパー49に基づき基質層41の表面に残存するナノ粒子43は確実に拭い去られる。こうしてナノ粒子43はナノホール42内に完全に収容される。
以上のように製造された磁気ディスク13では、基質層41の表面に、特定の溶媒中にナノ粒子43を含む液体が塗布されることから、ナノ粒子43は比較的に簡単にナノホール42内に流れ込むことができる。しかも、微小粒ホール42から基質層41の表面に溢れるナノ粒子43は拭い去られる。磁性体のナノ粒子43はナノホール42内にのみ残存することができる。
以上のような磁気ディスク13では、前述されるように、記録磁性層39は非磁性体の基質層41と、磁性体のナノ粒子43とから構成されればよい。その一方で、基質層41が磁性体から構成され、ナノ粒子43が非磁性体されてもよい。同様に、基質層41およびナノ粒子43のうち一方は導電体から構成され、他方は絶縁体から構成されてもよい。
図7は、本発明の第2実施形態に係る磁気ディスク13aの断面構造を詳細に示す。この磁気ディスク13aはいわゆる垂直磁気記録媒体として構成される。磁気ディスク13aは、支持体としての基板51と、この基板51の表裏面に広がる多層構造膜52とを備える。基板51は、例えば、ディスク形のSi本体53と、Si本体53の表裏面に広がる非晶質のSiO膜54とで構成されればよい。ただし、基板51にはガラス基板やアルミニウム基板、セラミック基板が用いられてもよい。多層構造膜52に磁気情報は記録される。多層構造膜52の表面は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜といった保護膜55や、例えばパーフルオロポリエーテル(PFPE)膜といった潤滑膜56で被覆される。
多層構造膜52は、基板51の表面に広がる裏打ち層57を備える。裏打ち層57は例えばFeTaC膜やNiFe膜といった軟磁性体から構成されればよい。ここでは、裏打ち層57に例えば膜厚200nm程度のFeTaC膜が用いられればよい。裏打ち層57では基板51の表面に平行に規定される面内方向に磁化容易軸は確立される。
裏打ち層57の表面には中間層58が広がる。中間層58は例えば炭素膜といった非磁性体から構成されればよい。ここでは、中間層58に例えば膜厚5nm程度の炭素膜が用いられればよい。
中間層58の表面には構造体すなわち記録磁性層59が広がる。記録磁性層59の膜厚は例えば30nm程度に設定されればよい。記録磁性層59は、中間層58の表面に広がる微小粒子すなわちナノ金属粒子61の集合体を備える。ナノ金属粒子61は例えばFe、CoおよびNiの少なくともいずれかを含む磁性体の微小金属粒子から構成されればよい。ナノ金属粒子61にはその他にPtやPdといった材料が添加されてもよい。ここでは、ナノ金属粒子61に例えば磁性のFePt合金が用いられればよい。こういったナノ金属粒子61は結晶粒から構成される。個々の結晶粒では基板51の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸が確立される。
ナノ金属粒子61の直径は例えば2nm〜10nmの範囲に設定されればよい。ナノ金属粒子61同士の間隔は0.2nm〜5.0nmの範囲で設定されればよい。ナノ金属粒子61の平均粒径Dに対する粒径分布の標準偏差σの比率すなわち粒径分散σ/Dは10%以下に設定されればよい。
記録磁性層59ではナノ金属粒子61同士の間に炭素原子62が存在する。炭素原子62はナノ金属粒子61同士をつなぎ合わせる。記録磁性層59では、ナノ金属粒子61を構成する原子の原子数および炭素原子62の原子数の総計に対して炭素原子62単独の原子数は45原子%〜96原子%の範囲に設定される。
次に磁気ディスク13aの製造方法を詳述する。まず、ディスク形の基板51が用意される。基板51の表面には裏打ち層57や中間層58が順番に形成される。裏打ち層57や中間層58の形成にあたって例えばスパッタリング法や真空蒸着法が用いられればよい。続いて中間層58の表面にはナノ金属粒子61の集合体が形成される。形成方法の詳細は後述される。ナノ金属粒子61の集合体の表面には保護膜55や潤滑膜56が形成される。保護膜55の形成には例えばスパッタリング法が用いられればよい。潤滑膜56は例えばディップ法に基づき塗布されればよい。
ナノ金属粒子61の集合体の形成にあたって、例えばヘキサンといった有機溶剤中にナノ金属粒子61を含む液体は用意される。ナノ金属粒子61は例えばFePt合金から構成されればよい。ナノ金属粒子61の直径は例えば7nm程度に設定される。個々のナノ金属粒子61は有機化合物すなわち有機安定剤で包まれる。有機安定剤は例えばカルボン酸R−COOHやアミンR−NHで構成されればよい。このとき、Rには直鎖または分岐のアルキルやアルケニル炭化水素が用いられればよい。有機安定剤中の炭素原子の原子数は、微小金属粒子を構成する原子の原子数と有機化合物中の炭素原子の原子数との総計に対して45原子%〜96原子%の範囲で設定される。
ナノ金属粒子61および有機安定剤は有機溶剤とともに中間層58の表面に塗布される。塗布にあたって例えばスピンコート法やディップ法が用いられればよい。その後、有機溶剤は乾燥する。ナノ金属粒子61および有機安定剤は中間層58の表面に残存する。前述のように比較的に多量の有機安定剤が有機溶剤中に含まれることから、図8に示されるように、中間層58の表面ではナノ金属粒子61の分布に濃淡が生じる。ナノ金属粒子61および有機安定剤で構成される液層63の表面には凹凸が形成される。
続いて中間層58の表面では加熱処理が施される。例えば窒素ガスといった不活性ガス雰囲気下で有機安定剤は100℃〜300℃といった高温に曝される。加熱処理は例えば1分〜60分にわたって持続される。その結果、図9に示されるように、中間層58の表面ではナノ金属粒子61の分布は均一化される。ナノ金属粒子61および有機安定剤で構成される液層63の表面には平坦面が確立される。凹凸は解消される。
その後、真空環境下でナノ金属粒子61にアニール処理が施される。アニール処理にあたって基板51はアニールチャンバ内に設置される。チャンバ内では3x10−5[Pa]以下の真空環境が確立される。チャンバ内の温度は200℃〜900℃の範囲で設定されればよい。例えば30分間にわたって800℃の温度が維持されればよい。チャンバ内の温度は室温から800℃まで10分間で上昇すればよい。加熱中、ナノ金属粒子61には所定の磁場が適用される。磁場の大きさは例えば0.1〜10.0[T]の範囲で設定されればよい。加熱に基づき個々のナノ金属粒子61は結晶化する。磁場の働きでナノ金属粒子61の磁化容易軸は所定の方向に揃えられる。その後、基板51は室温まで冷却される。
以上のような製造方法によれば、比較的に多量の有機安定剤の働きで、アニール処理の実施にも拘わらずナノ金属粒子61の凝集は回避されることができる。ナノ金属粒子61は微細な結晶粒のまま維持される。いわゆる磁区は微細化される。磁区の微細化は記録密度の向上に大いに貢献する。
しかも、アニール処理に先立って加熱処理が実施されることから、有機安定剤の増量にも拘わらず、ナノ金属粒子61および有機安定剤で構成される液層63の表面には平坦面が確立される。磁気ディスク13aの表面で凹凸は大幅に抑制される。したがって、ハードディスク駆動装置11では、浮上ヘッドスライダ19は確実に安定した姿勢で浮上し続けることができる。
本発明者は、FE−SEM(電界放射型走査電子顕微鏡)の画像に基づきナノ金属粒子61の集合体を観察した。観察にあたって第1具体例および第1比較例は用意された。第1具体例では、ナノ金属粒子61および有機安定剤の塗布にあたって従来よりも多量の有機安定剤がナノ金属粒子61の周囲に配置された。第1具体例では、ナノ金属粒子61および有機安定剤の塗布にあたって従来と同様に少量の有機安定剤がナノ金属粒子61の周囲に配置された。ここで、少量とは、個々のナノ金属粒子61の周囲に付着する最大限の分子数を意味する。したがって、第1具体例では、有機安定剤がナノ金属粒子61に付着するだけでなく、ナノ金属粒子61同士の間で有機安定剤が漂うことが予想される。いずれの試料でも前述のようにナノ金属粒子61にアニール処理が施された。観察の結果、第1具体例では微細なナノ金属粒子61すなわち結晶粒が維持されることが確認された。ただし、ナノ金属粒子61の集合体の表面には比較的に大きな段差の凹凸が確認された。その一方で、第1比較例では、ナノ金属粒子61の集合体の表面で平坦面は維持されるものの、ナノ金属粒子61同士の合体に基づき結晶粒が肥大化することが確認された。
同様に、本発明者は、ナノ金属粒子61および有機安定剤の塗布の時点で、ナノ金属粒子61および有機安定剤で構成される液層63の表面を観察した。観察には第1具体例および第1比較例が用いられた。第1具体例では、液層63の表面に凹凸が観察された。したがって、こういった凹凸はアニール処理の前後で維持されることが実証された。その一方で、第1比較例では、ナノ金属粒子61および有機安定剤で構成される液層63の表面に平坦面が確保された。
さらに本発明者はAFM(原子間力顕微鏡)の画像に基づきナノ金属粒子61の集合体を観察した。観察にあたって第2具体例および第2比較例は用意された。いずれの試料でも、前述の第1具体例と同様に、ナノ金属粒子61および有機安定剤の塗布にあたって従来よりも多量の有機安定剤がナノ金属粒子61の周囲に配置された。いずれの試料でも前述のようにナノ金属粒子61にアニール処理が施された。しかも、第2具体例ではアニール処理に先立って前述の加熱処理が実施された。ナノ金属粒子61および有機安定剤は窒素雰囲気下で5分間にわたって200℃の高温に曝された。その一方で、第2比較例ではナノ金属粒子61および有機安定剤の塗布後にアニール処理が実施された。すなわち、第2比較例では前述の加熱処理は実施されなかった。図10に示されるように、第2具体例ではナノ金属粒子61の集合体の表面に平坦面は確保された。1μm四方で44pmの表面粗さRaが記録された。図11から明らかなように、第2比較例ではナノ金属粒子61の集合体の表面に凹凸は形成された。1μm四方で909pmの表面粗さRaが記録された。
さらにまた、本発明者は前述と同様にFE−SEMの画像に基づきナノ金属粒子61の集合体を観察した。観察にあたって3種類の試料は用意された。いずれの試料でも、前述の第1具体例と同様に、ナノ金属粒子61および有機安定剤の塗布にあたって従来よりも多量の有機安定剤がナノ金属粒子61の周囲に配置された。いずれの試料でも前述のようにナノ金属粒子61にアニール処理が施された。ただし、いずれの試料でもアニール処理に先立って前述の加熱処理が実施された。加熱時間は各試料ごとに5分間、30分間および45分間に設定された。加熱時間が5分間や30分間に設定されると、微細なナノ金属粒子61が維持されたまま、ナノ金属粒子61の集合体の表面で平坦面が確保された。その一方で、加熱時間が45分に設定されると、ナノ金属粒子61の融合が観察された。微細なナノ金属粒子61は確保されることができなかった。
図12は、本発明の第3実施形態に係る磁気ディスク13bの断面構造を詳細に示す。この磁気ディスク13bは面内磁気記録媒体として構成される。磁気ディスク13bは、支持体としての基板71と、この基板71の表裏面に広がる多結晶構造膜72とを備える。基板71は、例えばガラス基板から構成されればよい。ただし、基板71にはアルミニウム基板やシリコン基板、セラミック基板が用いられてもよい。多結晶構造膜72に磁気情報は記録される。多結晶構造膜72の表面は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜といった保護膜73や、例えばパーフルオロポリエーテル(PFPE)膜といった潤滑膜74で被覆される。
多結晶構造膜72は、基層すなわち基板71の表面に配置される微小粒子すなわちナノ粒子75を備える。ナノ粒子75は基板71の表面に途切れなく広がる連続層を形成する。ナノ粒子75の連続層の厚さは例えば20nm程度に設定されればよい。ナノ粒子75は金属元素を含む。こういった金属元素には例えばFeおよびPtが含まれればよい。ここでは、ナノ粒子75に例えばFePt合金が用いられればよい。ナノ粒子75の直径は2nm〜10nmの範囲に設定されればよい。ナノ粒子75の平均粒径Dに対する粒径分布の標準偏差σの比率すなわち粒径分散σ/Dは20%以下に設定されればよい。
なお、図12から明らかなように、基板71とナノ粒子75との間には密着層76が挟み込まれてもよい。こういった密着層76には例えば炭素膜が用いられることができる。密着膜76の働きによれば、基板71およびナノ粒子75の間の密着力は高められることができる。
ナノ粒子75の表面には下地多結晶層77が広がる。下地多結晶層77は、ナノ粒子75に基づき成長する結晶粒で構成される。下地多結晶層77は例えばPtおよびPdを含む合金から構成されればよい。ここでは、下地多結晶層77に例えば膜厚5nm程度のPtPd膜が用いられる。
下地多結晶層77の表面には磁性多結晶層78が広がる。磁性多結晶層78は、下地多結晶層77の個々の結晶粒から成長する結晶粒で構成される。磁性多結晶層78に磁気情報は記録される。磁性多結晶層78は、例えばCoやNi、Feのいずれかを少なくとも含む合金から構成されればよい。ここでは、例えば膜厚15nm程度のCoCrPt膜が用いられる。
こういった多結晶構造膜72によれば、下地多結晶層77の結晶粒はナノ粒子75に基づき成長する。ナノ粒子75の大きさや分散は十分に制御されることから、下地多結晶層77では結晶粒の大きさや分布は確実に制御されることができる。磁性多結晶層78は、下地多結晶層77の個々の結晶粒から成長する結晶粒で構成されることから、結晶粒の大きさや分布は確実に制御されることができる。磁気ディスク13bでは磁気情報の記録密度はこれまで以上に高められることができる。
次に磁気ディスク13bの製造方法を簡単に説明する。まず、ディスク形の基板71が用意される。基板71の表面には炭素の密着層76が形成される。密着層76の形成にあたって例えば真空蒸着法は用いられる。密着層76の膜厚は例えば4nm程度に設定されればよい。
密着層76の表面にはいわゆるスピンコート法に基づきナノ粒子75が塗布される。スピンコート法の実施にあたって基板71は300rpmの回転速度で駆動される。その後、基板71は例えばヘキサン雰囲気下に置かれる。続いて基板71の回転速度は60rpmに落とされる。このとき、基板71の表面には、有機溶剤中でナノ粒子を含む液体が滴下される。滴下後、基板71の回転速度は1000rpmに高められる。1000rpmの回転が10秒にわたって持続される結果、滴下された液体は基板71の表面に満遍なく均一に行き渡る。
その後、基板71の表面は窒素ガス雰囲気に曝される。窒素ガスの働きで基板71の表面では残存するヘキサンは乾燥する。こうしてナノ粒子75の連続膜は形成される。いわゆる自己組織化に基づきナノ粒子75は規則的な配列で配置される。
その後、基板71はスパッタリング装置に装着される。PdPtターゲットに基づきスパッタリングは実施される。その結果、PdPt合金膜すなわち下地多結晶層77は形成される。下地多結晶層77ではナノ粒子75に基づき個々の結晶粒は成長していく。下地多結晶層77の膜厚は例えば5nm程度に設定されればよい。
続いてスパッタリング装置ではCoCrPtターゲットに基づきスパッタリングが実施される。下地多結晶層77上には磁性多結晶層78が形成される。磁性多結晶層78の結晶粒は下地多結晶層77の結晶粒からエピタキシャル成長に基づき成長する。磁性多結晶層78の膜厚は例えば15nm程度に設定されればよい。
次にナノ粒子75の形成方法を簡単に説明する。例えばアルゴンガス雰囲気下でフラスコは用意される。フラスコ内には、197mg(0.5mM相当)のビスアセチルアセトナト白金および390mgの1,2-ヘキサデカンジオールが配置される。フラスコには20mL(ミリリットル)のジオクチルエーテルが加えられる。その後、フラスコには0.32mL(1.0mM相当)のオレイン酸および0.34mL(1.0mM相当)のオレイルアミンが加えられる。続いてフラスコには0.13mL(1.0mM相当)の鉄カルボニルFe(CO)が加えられる。こうしてフラスコ内で生成される溶液は230℃の温度下で撹拌される。その結果、溶液内では化学反応が引き起こされる。鉄白金(FePt)ナノ粒子は生成される。ナノ粒子はオレイン酸やオレイルアミンといった有機安定剤に包まれる。
その後、フラスコ内の溶液は室温まで冷却される。フラスコ内には40mLのエタノールが加えられる。遠心分離に基づきナノ粒子および有機安定剤の沈殿物が取り出される。取り出されたナノ粒子および有機安定剤はヘキサンに添加される。こうしてヘキサン中に分散するナノ粒子は得られる。以上のような条件に従えば、平均粒径4.3nmのFePtナノ粒子は生成されることができる。
図13は、本発明の第3実施形態の変形例に係る磁気ディスク13cの断面構造を詳細に示す。磁気ディスク13cはいわゆる垂直磁気記録媒体として構成される。磁気ディスク13cは、支持体としての基板91と、この基板91の表裏面に広がる多結晶構造膜92とを備える。多結晶構造膜92は、基板91の表面に広がる裏打ち層95を備える。裏打ち層95は例えばFeTaC膜やNiFe膜といった軟磁性体から構成されればよい。ここでは、裏打ち層95に例えば膜厚200nm程度のFeTaC膜が用いられればよい。裏打ち層95では基板91の表面に平行に規定される面内方向に磁化容易軸は確立される。
多結晶構造膜92は、基層すなわち裏打ち層95の表面に配置される微小粒子すなわちナノ粒子96を備える。ナノ粒子96は裏打ち層95の表面に途切れなく広がる連続層すなわち非磁性層を形成する。ナノ粒子96の連続層の厚さは例えば20nm程度に設定されればよい。ナノ粒子96の直径は2nm〜10nmの範囲に設定されればよい。ナノ粒子96の平均粒径Dに対する粒径分布の標準偏差σの比率すなわち粒径分散σ/Dは20%以下に設定されればよい。
ナノ粒子96の表面には磁性多結晶層97が広がる。磁性多結晶層97は、ナノ粒子96に基づき成長する結晶粒で構成される。磁性多結晶層97に磁気情報は記録される。磁性多結晶層97は、例えばCoやNi、Feのいずれかを少なくとも含む合金から構成されればよい。ここでは、例えば膜厚15nm程度のCoCrPt膜が用いられる。磁性多結晶層97では基板91の表面に直交する垂直方向に磁化容易軸は確立される。
なお、図13から明らかなように、基板91と裏打ち層95との間には配向制御層98が挟み込まれてもよい。こういった配向制御層98には例えばCrやCrを含む合金膜が用いられることができる。配向制御膜98の働きによれば、磁性多結晶層98の結晶粒の配向は十分に揃えられることができる。
こういった多結晶構造膜92によれば、磁性多結晶層97の結晶粒はナノ粒子96に基づき成長する。ナノ粒子96の大きさや分散は十分に制御されることから、磁性多結晶層97では結晶粒の大きさや分布は確実に制御されることができる。
次に、磁気ディスク13cの製造方法を簡単に説明する。まず、ディスク形の基板91が用意される。基板91には配向制御層98や裏打ち層96が形成されればよい。形成にあたって例えばスパッタリング法は用いられる。
続いて、裏打ち層96の表面にはいわゆるスピンコート法に基づきナノ粒子96が塗布される。ナノ粒子96の連続膜は形成される。いわゆる自己組織化に基づきナノ粒子96は規則的な配列で配置される。
続いて、基板91はスパッタリング装置に装着される。CoCrPtターゲットに基づきスパッタリングは実施される。その結果、CoCrPt合金膜すなわち磁性多結晶層97は形成される。磁性多結晶層97ではナノ粒子96に基づき個々の結晶粒は成長していく。磁性多結晶層97の膜厚は例えば15nm程度に設定されればよい。
いずれの実施形態でもスピンコート法の実現にあたってスピンコータは利用されることができる。図14はスピンコータの構成を概略的に示す。このスピンコータ101は密閉型のチャンバ102を備える。チャンバ102内には回転軸103が配置される。この回転軸103に磁気ディスク13(13a、13b、13c)は受け止められる。回転軸103の回転に伴い磁気ディスク13は中心軸回りで回転することができる。
チャンバ103内の空間には第1および第2滴下ノズル104、105が臨む。第1滴下ノズル104の先端は、回転軸103に装着される磁気ディスク13の表面に向き合わせられる。第1滴下ノズル104は、回転軸103の中心軸を含む1垂直平面に沿って水平方向に移動することができる。すなわち、第1滴下ノズル104は、回転軸103に装着される磁気ディスク13の半径方向に移動することができる。第1滴下ノズル104には例えば所定の液溜めから液体が供給される。回転軸103の回転と第1滴下ノズル104の水平移動との組み合わせに基づき、磁気ディスク13上には例えば渦巻き形の経路に沿って液体が滴下されることができる。こうした第1滴下ノズル104には、前述のように有機溶剤中でナノ粒子を含む液体が供給されればよい。
第2滴下ノズル105の先端には気化装置106が向き合わせられる。第2滴下ノズル105から滴下される液体は気化装置106で受け止められる。チャンバ102内は、気化装置106で気化される気化ガスで満たされることができる。チャンバ102内では気化ガスの蒸気圧が蒸気圧センサ107で検出される。第2滴下ノズル105から滴下される液体の液量は検出される蒸気圧に基づき調整されることができる。こうした第2滴下ノズル105の働きでチャンバ102内にはヘキサン雰囲気が確立されることができる。
チャンバ102にはガス導入口108が形成される。こういったガス導入口108は、回転軸103に装着される磁気ディスク13の表面に向き合わせられる。こういったガス導入口108の働きに基づき、前述のように窒素ガスは磁気ディスク13の表面に向かって噴き出すことができる。チャンバ102にはドレイン109が接続される。余分な液体はドレイン109からチャンバ102外に排出されることができる。
ナノ粒子43、61、75、96は例えば以下の製造方法で製造されてもよい。ナノ粒子の形成にあたって不揮発性の金属化合物が用意される。金属化合物には、例えばアセチルアセトナト塩が用いられることができる。その他、カルボン酸の塩、青酸の塩、スルホン酸の塩、ホスホン酸の塩から選択される有機酸の塩が用いられてもよい。こういった有機酸の塩では炭素数は1〜20の範囲で設定される。さらに、金属化合物には臭化物およびヨウ化物が用いられることができる。こういった金属化合物に含まれる金属元素には、例えばFe、Co、Ni、Pt、Cr、Cu、Ag、MnおよびPbが含まれればよい。ナノ粒子の形成にあたって例えば2種類以上の金属化合物が含まれてもよい。
ナノ粒子の形成にあたって特定の有機溶媒が用意される。有機溶媒には、例えば炭化水素、エーテルおよびエステルといった非プロトン性の有機溶媒が用いられることができる。こういった有機溶媒では炭素数は2〜20に設定されればよい。エーテルには例えばジオクチルエーテルが含まれる。
同様に、ナノ粒子の形成にあたって非プロトン性の有機溶媒に溶け難い還元剤が用意される。還元剤には例えば1,2-ジオールが用いられることができる。1,2-ジオールでは炭素数は2〜6の範囲で設定されればよい。こういった1,2-ジオールには例えば1,2-ブタンジオールが挙げられる。
さらに、ナノ粒子の形成にあたって特定の有機安定剤が用意される。有機安定剤は例えばカルボン酸R−COOHを含む。こういったカルボン酸中のRは、二重結合を含む直鎖型炭化水素基から選択されればよい。こういった直鎖型炭化水素基は例えばC1223、C1733およびC2141のいずれかから選択されればよい。その他、有機安定剤は例えばアミンR−NHを含んでもよい。こういったアミン中のRは、同様に、二重結合を含む直鎖型炭化水素基から選択されればよい。こういった直鎖型炭化水素基は例えばC1325、C1835およびC2243のいずれかから選択されればよい。有機安定剤はカルボン酸R−COOHおよびアミンR−NHのいずれか一方を含んでもよく両者を含んでもよい。
ナノ粒子の形成にあたって例えば窒素ガスやアルゴンガスといった不活性ガス雰囲気下でフラスコは用意される。フラスコ内では、前述の金属化合物、有機溶媒、還元剤および有機安定剤とが混合されて溶液が生成される。こうしてフラスコ内で生成される溶液は所定の反応温度下で撹拌される。反応温度は例えば100℃〜300℃の範囲で設定される。その結果、溶液内では還元剤に基づき金属化合物から金属が還元される。こうしてナノ粒子は形成される。ナノ粒子はオレイン酸やオレイルアミンといった有機安定剤に包まれる。
その後、フラスコ内の溶液は室温まで冷却される。フラスコ内にはエタノールといった溶剤が加えられる。遠心分離に基づきナノ粒子および有機安定剤の沈殿物が取り出される。取り出されたナノ粒子および有機安定剤はヘキサンといった有機溶剤に投入される。こうしてヘキサン溶液中に分散するナノ粒子は得られる。
以上のような製造方法によれば、還元剤の1,2-ジオールは炭化水素やエーテル、エステルといった非プロトン性有機溶媒に溶け難いことから、還元剤と有機溶媒とは相分離されることができる。溶液の極性は低く保持される結果、ナノ粒子の凝集は十分に阻止されることができる。比較的に簡単に微細かつ均一なナノ粒子は形成されることができる。
本発明者は、前述の製造方法に基づき鉄白金(FePt)ナノ粒子を製造した。アルゴンガス雰囲気下でフラスコは用意された。フラスコ内には、金属化合物すなわち197mg(0.5mM相当)の白金(II)アセチルアセトナトと、177mg(0.5mM相当)の鉄(III)アセチルアセトナトとが配置された。フラスコには、10mLの有機溶剤すなわちジオクチルエーテルが加えられた。同様に、フラスコには、0.91mLの還元剤すなわち1,2-ブタンジオールが加えられた。同様に、フラスコに、有機安定剤すなわち0.16mL(0.05mM相当)のオレイン酸と0.17mL(0.5mM相当)のオレイルアミンとが加えられた。
こうしてフラスコ内で生成された溶液は190℃の温度下で30分間撹拌された。その後、フラスコ内の溶液は室温まで冷却された。フラスコ内には10mLのエタノールが加えられた。遠心分離に基づきナノ粒子および有機安定剤の沈殿物が取り出された。取り出されたナノ粒子および有機安定剤はヘキサン溶液に投入された。こうしてヘキサン溶液中に分散するFePtナノ粒子は得られた。
本発明者は、以上のように形成したFePtナノ粒子を検証した。その結果、FePtナノ粒子の平均粒径は2.9nm程度であることが確認された。すなわち、非常に微細で均一なナノ粒子が形成されることが確認された。FePtナノ粒子では、組成比Fe:Ptは45:55[%]であることが確認された。
次に本発明者は金属化合物の使用量とナノ粒子の組成比との関係を検証した。ナノ粒子の製造にあたって、前述と同様に、金属化合物には白金(II)アセチルアセトナトと鉄(III)アセチルアセトナトとが用いられた。この検証では本発明者は各金属化合物の使用量を変化させた。図15に示されるように、FePtナノ粒子の組成比は白金(II)アセチルアセトナトの使用量と鉄(III)アセチルアセトナトの使用量との比を反映することが確認された。すなわち、前述の製造方法によれば、金属化合物の使用量に基づきナノ粒子中の金属の組成比は制御されることができる。
本発明者の検証によれば、前述の白金(II)アセチルアセトナトは、酢酸白金(II)や安息香酸白金(II)、シアン化白金(II)、ベンゼンスルホン酸白金(II)、プロピルホスホン酸白金(II)、臭化白金(II)、ヨウ化白金(II)に置き換えられることが確認された。同様に、鉄(III)アセチルアセトナトは、酢酸鉄(III)や安息香酸鉄(III)、シアン化鉄(III)、ベンゼンスルホン酸鉄(III)、プロピルホスホン酸鉄(III)、臭化鉄(III)、ヨウ化鉄(III)、鉄(II)アセチルアセトナト、酢酸鉄(II)、安息香酸鉄(II)、シアン化鉄(II)、ベンゼンスルホン酸鉄(II)、プロピルホスホン酸鉄(II)、臭化鉄(II)に置き換えられることが確認された。しかも、本発明者の検証によれば、1,2-ブタンジオールは、2、3、5および6のいずれかの炭素数を有する1,2-ジオールに置き換えられることが確認された。
さらに、本発明者は、白金(II)アセチルアセトナト、鉄(III)アセチルアセトナトおよびビスアセチルアセトナト銅(II)に基づき前述の製造方法に従ってナノ粒子を製造した。その結果、平均粒径2.7nm〜3.5nmの白金鉄銅(FePtCu)ナノ粒子が得られた。白金鉄銅ナノ粒子の組成比は各金属化合物の使用量を反映することが確認された。
本発明者は、白金(II)アセチルアセトナト、鉄(III)アセチルアセトナトおよび酢酸銀(I)に基づき前述の製造方法に従ってナノ粒子を製造した。その結果、平均粒径2.6nm〜3.4nmの白金鉄銀(PtFeAg)ナノ粒子が得られた。白金鉄銀ナノ粒子の組成比は各金属化合物の使用量を反映することが確認された。
さらにまた、本発明者は前述の製造方法に基づきナノ粒子を製造した。製造にあたって、金属化合物には、前述の白金(II)アセチルアセトナトおよび鉄(III)アセチルアセトナトに加え、コバルト(I)アセチルアセトナトやクロム(III)アセチルアセトナト、ニッケル(II)アセチルアセトナト、マンガン(II)アセチルアセトナト、鉛(II)アセチルアセトナトのいずれかが用いられた。その結果、平均粒径2.6nm〜3.6nmのFePtCoナノ粒子やFePtCrナノ粒子、FePtNiナノ粒子、FePtMnナノ粒子、FePtPbナノ粒子が得られた。こういったナノ粒子の組成比は各金属化合物の使用量を反映することが確認された。
磁気記録媒体駆動装置の一具体例すなわちハードディスク駆動装置(HDD)の内部構造を概略的に示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る磁気ディスクの構造を詳細に示す拡大垂直断面図である。 アルミニウム膜の表面に窪みを形成する工程を概略的に示す基板の拡大部分断面図である。 基質層の表面にナノホールを形成する工程を概略的に示す基板の拡大部分断面図である。 基質層の表面にナノ粒子を含む液体を塗布する工程を概略的に示す基板の拡大部分断面図である。 基質層の表面に残存するナノ粒子を拭い去る工程を概略的に示す基板の拡大部分断面図である。 本発明の第2実施形態に係る磁気ディスクの構造を詳細に示す拡大垂直断面図である。 液層に加熱処理を施す工程を概略的に示す基板の拡大垂直断面図である。 液層に加熱処理を施した後の構造を概略的に示す基板の拡大垂直断面図である。 一具体例に係る磁気ディスクのAFM(原子間力顕微鏡)像の断面図である。 一比較例に係る磁気ディスクのAFM像の断面図である。 本発明の第3実施形態に係る磁気ディスクの構造を詳細に示す拡大垂直断面図である。 第3実施形態の変形例に係る磁気ディスクの構造を詳細に示す拡大垂直断面図である。 スピンコータの内部構造を概略的に示す側面図である。 金属化合物の使用量とナノ粒子の組成比との関係を示す表である。

Claims (26)

  1. 基体と、基体の表面に穿たれる微小ホール内に配置される微小粒子とを備えることを特徴とする複合材。
  2. 請求の範囲第1項に記載の複合材において、前記基体の表面に積層されて、微小ホール内に微小粒子を閉じ込める被覆層をさらに備えることを特徴とする複合材。
  3. 請求の範囲第1項または第2項に記載の複合材において、前記基体および微小粒子のうち一方は磁性体から構成され、他方は非磁性体から構成されることを特徴とする複合材。
  4. 請求の範囲第1項または第2項に記載の複合材において、前記基体および微小粒子のうち一方は導電体から構成され、他方は絶縁体から構成されることを特徴とする複合材。
  5. 表面に穿たれる微小ホールを有する基体を用意する工程と、基体の表面に、特定の溶媒中に微小粒子を含む液体を塗布する工程と、微小ホールから基体の表面に溢れる微小粒子を拭い去る工程とを備えることを特徴とする複合材の製造方法。
  6. 請求の範囲第5項に記載の複合材の製造方法において、前記微小粒子を含む液体の塗布にあたってスピンコート法またはディップ法が実施されることを特徴とする複合材の製造方法。
  7. 請求の範囲第5項または第6項に記載の複合材の製造方法において、前記基体および微小粒子のうち一方は磁性体から構成され、他方は非磁性体から構成されることを特徴とする複合材の製造方法。
  8. 微小粒子の集合体と、微小粒子同士の間に存在する炭素原子とを備え、微小粒子を構成する原子の原子数および炭素原子の原子数の総計に対して炭素原子単独の原子数は45原子%〜96原子%の範囲に設定されることを特徴とする構造体。
  9. 請求の範囲第8項に記載の構造体において、前記微小粒子の直径は1nm〜30nmの範囲で設定されることを特徴とする構造体。
  10. 請求の範囲第8項または第9項に記載の構造体において、前記微小粒子は結晶粒を含むことを特徴とする構造体。
  11. 対象物の表面に、有機化合物で包まれる微小金属粒子を含む有機溶剤を塗布する工程と、有機溶剤の乾燥後に、真空環境下で微小金属粒子にアニール処理を施す工程とを備え、微小金属粒子を構成する原子の原子数と有機化合物中の炭素原子の原子数との総計に対して有機化合物中の炭素原子の原子数は45原子%〜96原子%の範囲に設定されることを特徴とする構造体の製造方法。
  12. 請求の範囲第11項に記載の構造体の製造方法において、前記アニール処理の実施に先立って、不活性ガス雰囲気下で有機化合物に加熱処理を施す工程をさらに備えることを特徴とする構造体の製造方法。
  13. 基層と、基層の表面に配置される微小粒子と、微小粒子に基づき成長する結晶粒を含む結晶層とを備えることを特徴とする多結晶構造膜。
  14. 請求の範囲第13項に記載の多結晶構造膜において、前記微小粒子は金属元素を含むことを特徴とする多結晶構造膜。
  15. 請求の範囲第13項または第14項 に記載の多結晶構造膜において、前記微小粒子は、前記基層の表面に途切れなく広がる連続層を形成することを特徴とする多結晶構造膜。
  16. 微小粒子に基づき成長する結晶粒で構成される下地多結晶層と、下地多結晶層の個々の結晶粒から成長する結晶粒で構成される磁性多結晶層とを備えることを特徴とする磁気記録媒体。
  17. 請求の範囲第16項に記載の磁気記録媒体において、前記微小粒子は金属元素を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  18. 微小粒子に基づき成長する結晶粒で構成される磁性多結晶層を備えることを特徴とする磁気記録媒体。
  19. 請求の範囲第18項に記載の磁気記録媒体において、非磁性層で前記磁性多結晶層から隔てられる軟磁性の裏打ち層をさらに備えることを特徴とする磁気記録媒体。
  20. 請求の範囲第18項または第19項に記載の磁気記録媒体において、前記微小粒子は金属元素を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  21. 有機溶媒中に、有機溶媒に対して難溶を示す還元剤、金属化合物および有機安定剤を含む溶液を生成する工程と、所定の反応温度下で溶液を撹拌する工程とを備えることを特徴とする微小粒子の製造方法。
  22. 請求の範囲第21項に記載の微小粒子の製造方法において、前記溶液は2種類以上の前記金属化合物を含むことを特徴とする微小粒子の製造方法。
  23. 請求の範囲第21項または第22項に記載の微小粒子の製造方法において、前記有機溶媒は炭素数6〜20の非プロトン性有機溶媒で構成されることを特徴とする微小粒子の製造方法。
  24. 請求の範囲第21項〜第23項のいずれかに記載の微小粒子の製造方法において、前記還元剤は炭素数2〜6の1,2-ジオールであることを特徴とする微小粒子の製造方法。
  25. 請求の範囲第21項〜第24項のいずれかに記載の微小粒子の製造方法において、前記有機安定剤はカルボン酸R−COOHを含むことを特徴とする微小粒子の製造方法。
  26. 請求の範囲第21項〜第25項のいずれかに記載の微小粒子の製造方法において、前記有機安定剤はアミンR−NHを含むことを特徴とする微小粒子の製造方法。
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