JP2008257310A - 公的年金財政予測システム及び公的年金財政予測プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】公的年金財政に関する2004年改正に基づく新たなルールを取り込み、公的年金財政の予測を行い、確率的にリスクを分析することを可能にするシステム及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率の少なくとも一つが確率的に変動するとして、これらの変数の値に基づいて、変数を入れ替えながら、年金財政予測処理を実行する、モンテカルロシミュレーションの手法により、被保険者数及び保険料収入の予測、受給者数及び年金支給額の予測、基礎年金拠出金及び国庫負担額の予測、それらに基づくマクロ経済スライド終了年、積立度合い、モデル代替率等の各種の指標を確率的に求めるための処理を実行する手段を設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、厚生年金を中心とする公的年金の将来の財政を予測し、そのリスクを分析するためのシステム及びプログラムに関するものである。
我が国の公的年金制度は、高齢者の生活のかなりの部分を支えるものとして、極めて重要な役割を果たしており、現役世代にとっても、公的年金によって、親の経済的な生活の心配をすることなく安心して暮らすことができるようになっている。この公的年金制度は、高齢世代の年金の支給に要する費用をそのときの現役世代の負担により賄う世代間扶養の賦課方式を基本としつつ、一定の積立金を保有し活用することにより、将来世代の負担を緩和する財政方式としてきたが、このような方式では、少子高齢化が進行すれば、現役世代の負担の増加は避けられないものとなる。
公的年金制度は、少なくとも5年に一度、財政再計算が行われ、その際、必要な見直しが行われてきた。平成11年財政再計算においては、平成9年1月の将来推計人口の中位推計をベースとしていたが、少子高齢化の進展はそれまでの予想を越えて進行しており、平成14年1月に公表された将来推計人口においては、将来の少子化、高齢化の見通しが大きく見直された。この新しい将来推計人口に基づく年金財政の将来見通しを厚生労働省が作成したところ、当時の年金給付及び基礎年金国庫負担割合を維持すれば、厚生年金及び国民年金保険料を2倍以上に引き上げることが必要と見込まれ、逆に保険料水準を引き上げなかった場合には、将来積立金が枯渇し、財源不足状態に陥り年金の支給に支障が生じるという見通しとなった。
そこで、2004年に成立した年金改正法では、将来の現役世代の負担が過重にならないよう配慮し、世代間・世代内の公平の観点から給付と負担の見直しを行う以下の重要な改正が行われた。
・保険料水準固定方式の導入:厚生年金の保険料率(賃金を基準に決定される標準報酬に対して賦課される)を段階的に引き上げ、2017年以降は18.3%で固定するものである。また、国民年金の保険料を段階的に引き上げ、2017年以降は16,900円(平成16年度価格)で固定するものである。
・マクロ経済スライドの導入:被保険者(現役世代)数の減少率と、年金の受給者の余命の伸びに合わせて年金額の増額を抑制し、実質的に年金給付を削減することになった。既に年金の支給を受けている人の年金額(既裁定者年金額)は、これまで物価上昇率に連動して年金が増額されていたが、改正後は、「給付調整期間」中では、物価上昇率により年金は増額されるが、増額率は抑制される。ただし、年金額の抑制には下限が設けられていて、物価上昇率がプラスである限り名目年金額は維持される。一方、物価上昇率がマイナスの場合には、物価下落分だけ年金額が減額され、マクロ経済スライドによる給付調整は行われない。マクロ経済スライドによる給付調整は、年金財政が均衡した場合に終了するが、均衡したかの判断に「有限均衡方式」が導入された。これは、財政均衡期間(将来約100年間)の最後において一年分の支出に相当する積立金を確保し、年金財政の均衡を図る方式である。また、給付水準が大幅に低下することを避けるために、法律附則に、所得代替率(年金額の現役世代の平均手取り収入額に対する比率)の50%確保が明記され、財政が均衡する前であっても、所得代替率が50%を下回ることが見込まれる場合には、給付調整を終了させる。
上述した改正により財政は安定するとしても、保険料の上限を18.3%に固定し、かつ、所得代替率50%以上の給付水準を確保するという目標の達成は簡単ではない。保険料(収入)に上限、給付(支出)に下限という、上下2つの制約の両方を満たす答えを見つけなくてはならないからである。
2004年6月に公的年金制度の改正法が成立した後、厚生労働省は2005年3月に「厚生年金・国民年金 平成16年財政再計算結果」を公表し、少子化改善かつ経済好転ケースや少子化進行かつ経済悪化ケースなど数通りの人口・経済前提を使った財政見通しが示された。この厚生労働省による財政予測は、予測を行うにあたり将来の前提条件を設定するが、シナリオは確率的に変更するとは考えず、ある一つのシナリオで推移すると仮定して、将来の財政状態の分析を行うものであり、複数のシナリオを検討することで、将来の不確実性に対応しようとするものである。このようなシミュレーションの方法を以下「決定論的シミュレーション」という。
このような決定論的シミュレーションはわかりやすい反面、問題もある。第1に、それぞれのシナリオに確率が付されていない。例えば、悲観シナリオがどのくらいの確率で起こるのかがわからない。第2に、人口(出生率や死亡率)や経済(賃金上昇率、インフレ率)、あるいは資産運用利回りなど、変数同士の関係が明確でない。各要因が与える影響が互いに増幅した場合、あるいは互いの影響が打ち消しあう場合の年金財政の状況を把握するのが難しい。第3に財政予測が前提により左右されてしまうため、その前提についての決着するはずのない議論が続いてしまうことである。
こうした問題を克服する一つの方法が、モンテカルロシミュレーションを用いた確率論的な予測であり、本願発明が係る公的年金財政予測においてもこの手法を用いている。特に、2004年の公的年金制度の法改正によって、確率論的な手法を用いることにより意義が見出せるようになった。というのも、今改正で導入されたマクロ経済スライドが、(1)給付額のスライド率を計算する際に実質物価上昇率の3年平均を用いる、(2)既裁定年金のスライド率(年金受給者の年金改定率)が新規裁定年金のスライド率(退職後に新規に受給が始まる年金に対する改定率)を上回った場合は既裁定年金のスライド率を新規裁定年金のスライド率と同率まで下げる、(3)デフレの場合を除いて名目年金額を維持する、(4)財政状態が健全化すればマクロ経済スライドが終了する、などの金融証券取引でいうデリバティブ(派生証券)の性質を含んでいるからである。
ところで、本願出願人は、公的年金財政の予測に関連した発明について公開特許出願を調査したが、出願人の調査範囲においては、このような先行特許あるいは先行特許出願は一件も見出すことはできなかった。一方、公的年金制度の2004年改正及びその草案を対象とした年金財政分析に関しては、以下に記載した文献が存在する。非特許文献1は、ライフサイクル一般均衡モデルに基づくものである。年金財政に保険料率の固定やマクロ経済スライドを考慮し、積立金残高の推移から年金財政の持続可能性を論じている。しかし、このモデルでは本来マクロ経済の影響を受けて変動するマクロ経済スライドの削減幅や終了年を外生的に与えている。そのため、年金財政部分と他の一般均衡モデル部分との整合性が不十分で、年金財政の将来予測は信頼性が低い。非特許文献2は、年金財政予測モデルに基づくものであり、非特許文献3で独自の出生率関数にモンテカルロシミュレーションを使って将来人口予測を得ているので、この人口予測を2004年改正に沿った年金財政モデルに組み込み、将来の厚生年金収支の分布やリスク時の給付水準を試算している。しかし、厚生労働省と異なった前提で試算しているにもかかわらず、マクロ経済スライドの削減率や終了年は厚生労働省の試算を使って外生的にあたえているため、年金財政の将来予測に問題がある。また、出生率のみが確率変動するため、マクロ経済スライドに組み込まれたデリバティブの性質を反映していない。
また、これらの非特許技術文献は、公的年金財政の予測についての手法を開示するだけであり、年金財政を予測するためのシステムやプログラムを開示するものではない。
北浦義朗・木村真著「2004年年金改革のシミュレーション分析−多世代重複ライフサイクル一般均衡モデルによる評価」第62回日本財政学会報告資料
鈴木亘著「下限公約と保険料凍結の前倒しを」日本経済研究センター発行「日本経済研究センター会報」2004年4月号22−25頁
鈴木亘・湯田道生・川崎一泰著「人口予測の不確実性と年金財政:モンテカルロシミュレーションを用いた人口予測の信頼区間算出と年金財政収支への影響」会計検査院発行「会計検査研究」28号101−112頁
本願発明は、公的年金財政に関する2004年改正に基づく新たなルールを取り込み、モンテカルロシミュレーションにより公的年金財政の予測を行い、確率的にリスクを分析することを可能にする、公的年金財政予測システム及び公的年金財政予測プログラムを提供することを目的とする。
本発明による公的年金財政予測システムは、死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率の少なくとも1つが確率的に変動するとして、確率変数に基づきシミュレーション実行年度の第1の財政方式に従う財政予測処理を実行し、当該年度の年金財政収支予測データを記憶する、第1の財政予測処理手段と、第1の財政予測処理手段によって記憶された年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定する第1の設定手段と、前年度の年金財政収支データとあらかじめ設定された翌年度のデータとに基づいて、翌年度を当年度として第2の財政方式に従って財政予測処理を実行し、当年度の年金財政収支予測データを記憶する、第2の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理手段により実行された年金財政予測処理が所定の回数Aまで実行されたか否かを判断する第1の判断手段と、第1の判断手段が、第2の財政予測処理手段により実行される財政予測処理を所定の回数Aまで実行されていないと判断した場合に、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、所定の回数Aに至るまで第2の財政予測処理手段による財政予測処理を繰り返させる第1の制御手段と、第1の判断手段が、第2の財政予測処理手段により実行される財政予測処理を所定の回数Aまで実行されたと判断した場合に、所定の設定条件に従って第1の財政方式を変更するか否かを判断する第2の判断手段と、シミュレーション実行年度から所定の年度数Bに至るまで年金財政予測処理が実行されたか否かを判断する第3の判断手段と、第2の判断手段が、第1の財政方式を変更しないと判断し、さらに第3の判断手段が所定の年度数Bに至るまで財政予測処理が実行されていないと判断した場合に、シミュレーション実行年度を翌年度に設定して、第1の財政予測処理手段による処理から第3の判断手段による判断処理までを繰り返させる第2の制御手段と、第2の判断手段が、第1の財政方式を変更すると判断した場合に、財政方式を第2の財政方式に変更し、財政方式変更年度を記憶する財政方式変更手段と、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、翌年度を当年度として死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率の少なくとも1つの確率変数に基づいて第2の財政方式に従って財政予測処理を実行し、当年度の年金財政収支予測データを記憶する、第3の財政予測処理手段と、第3の財政予測処理手段により実行された財政予測処理が、第3の判断手段を用いて所定の年度数Bまで実行されたと判断するまで、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、第3の財政予測処理手段による財政予測処理を繰り返させる第3の制御手段と、第2または第3の制御手段において、第2または第3の財政予測処理手段による財政予測処理が所定の年度数Bまで実行されたと判断された場合に、指定された回数Cあるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切な回数に至ったと判断するまで、標本経路毎の財政予測処理を実行したか否か判断する第4の判断手段と、第4の判断手段が、標本経路毎の財政予測処理を、指定された回数Cまであるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切な回数に至るまで実行していないと判断した場合に、計算の基礎とするデータを初期化した上で、第1の財政予測処理手段による年金財政予測処理から第4の判断手段による判断処理の実行までの処理を、所定の回数Cあるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切と判断される回数に至るまで繰り返させる第4の制御手段と、を備えている。
本発明による公的年金財政予測システムは、さらに、第1の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理段と、第3の財政予測処理手段と、によって記憶された年金財政収支予測データに基づいてリスクを分析するための指標の統計値・分布・密度を示す図表を出力する出力手段、または、財政方式変更手段によって記憶された財政方式変更年度に基づいて、財政方式変更年の統計値・分布・密度を示す図表を出力する出力手段を備えている。
本発明による公的年金財政予測システムは、さらに、第1の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理段と、第3の財政予測処理手段と、によって記憶された年金財政収支予測データに基づいて、将来支給されるであろう各年金制度の年金給付予測額の範囲・統計値・分布・密度を示す図表や内容を、あらかじめ記憶されている加入者のデータに基づいて加入者に郵送するための郵送書類を出力する出力手段あるいはコンピュータネットワークを介して加入者に送信する送信手段を、設けてもよい。
また、上に述べた公的年金財政予測システムにおいて、第1〜第3の財政予測処理手段は、当年度の年金制度毎の被保険者数及び保険料収入を、人口予測・労働力率・2号被保険者率・3号被保険者率・共済加入者・昇給指数・1号被保険者未加入率データ及び賃金上昇率に基づいて推計して記憶装置に記録し、マクロ経済スライド調整率を、算出された年金制度毎の被保険者数に基づいて、所定の計算式により算出し、新規裁定スライド率と既裁定スライド率とを、物価上昇率・賃金上昇率・算出されたマクロ経済スライド調整率及び財政方式データとを用いて所定の計算式に基づいて算出し、当年度の年金制度毎の受給者数・年金単価・年金給付額・基礎年金拠出金・国庫負担額及び運用収益を、前年度の受給者数・当年度の死亡率に基づいて算出する脱退率・当年度の受給者数・当年度の待機者数・前年度の累積報酬額・算出された新規裁定スライド率・前年度の年金単価・算出された既裁定スライド率・累積報酬額・給付乗率・前年度の積立金・積立金収益率に基づいて推計し、記憶装置に記録し、記録された当年度の保険料収入額・国庫負担額・積立金運用収益から収入を、年金給付額・基礎年金拠出金から支出を、これらの収入と支出から財政収支を算出し記憶装置に記録し、当年度の積立金を前年度の積立金に算出した財政収支を加算して推計し記憶装置に記録し、当年度の積立度合を前年度の積立金と当年度の支出より推計し記憶装置に記録し、当年度のモデル賃金額を、前年度のモデル賃金額に賃金上昇率を乗じて推計し、当年度のモデル年金額を、前年度のモデル年金額にで算出した新規裁定スライド率を乗じて算出し、当年度のモデル所得代替率を、モデル年金額をモデル賃金額で除して算出し、あるいは、当年度のモデル所得代替率を、前年度のモデル所得代替率・賃金上昇率及び算出した新規裁定スライド率を利用して算出し、記憶装置に記録するようにすることが出来る。
本発明による公的年金財政予測プログラムは、コンピュータを、死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率の少なくとも1つが確率的に変動するとして、確率変数に基づきシミュレーション実行年度の第1の財政方式に従う財政予測処理を実行し、当該年度の年金財政収支予測データを記憶する、第1の財政予測処理手段と、第1の財政予測処理手段によって記憶された年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定する第1の設定手段と、前年度の年金財政収支データとあらかじめ設定された翌年度のデータとに基づいて、翌年度を当年度として第2の財政方式に従って財政予測処理を実行し、当年度の年金財政収支予測データを記憶する、第2の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理手段により実行された年金財政予測処理が所定の回数Aまで実行されたか否かを判断する第1の判断手段と、第1の判断手段が、第2の財政予測処理手段により実行される財政予測処理を所定の回数Aまで実行されていないと判断した場合に、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、所定の回数Aに至るまで第2の財政予測処理手段による財政予測処理を繰り返させる第1の制御手段と、第1の判断手段が、第2の財政予測処理手段により実行される財政予測処理を所定の回数Aまで実行されたと判断した場合に、所定の設定条件に従って第1の財政方式を変更するか否かを判断する第2の判断手段と、シミュレーション実行年度から所定の年度数Bに至るまで年金財政予測処理が実行されたか否かを判断する第3の判断手段と、第2の判断手段が、第1の財政方式を変更しないと判断し、さらに第3の判断手段が所定の年度数Bに至るまで財政予測処理が実行されていないと判断した場合に、シミュレーション実行年度を翌年度に設定して、第1の財政予測処理手段による処理から第3の判断手段による判断処理までを繰り返させる第2の制御手段と、第2の判断手段が、第1の財政方式を変更すると判断した場合に、財政方式を第2の財政方式に変更し、財政方式変更年度を記憶する財政方式変更手段と、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、翌年度を当年度として死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率の少なくとも1つの確率変数に基づいて第2の財政方式に従って財政予測処理を実行し、当年度の年金財政収支予測データを記憶する、第3の財政予測処理手段と、第3の財政予測処理手段により実行された財政予測処理が、第3の判断手段を用いて所定の年度数Bまで実行されたと判断するまで、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、第3の財政予測処理手段による財政予測処理を繰り返させる第3の制御手段と、第2または第3の制御手段において、第2または第3の財政予測処理手段による財政予測処理が所定の年度数Bまで実行されたと判断された場合に、指定された回数Cあるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切な回数に至ったと判断するまで、標本経路毎の財政予測処理を実行したか否か判断する第4の判断手段と、第4の判断手段が、標本経路毎の財政予測処理を、指定された回数Cまであるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切な回数に至るまで実行していないと判断した場合に、計算の基礎とするデータを初期化した上で、第1の財政予測処理手段による年金財政財政予測処理から第4の判断手段による判断処理の実行までの処理を、所定の回数Cあるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切と判断される回数に至るまで繰り返させる第4の制御手段と、して機能させる。
本発明による公的年金財政予測プログラムは、コンピュータを、さらに、第1の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理段と、第3の財政予測処理手段と、によって記憶された年金財政収支予測データに基づいてリスクを分析するための指標の統計値・分布・密度を示す図表を出力する出力手段、または、財政方式変更手段によって記憶された財政方式変更年度に基づいて、財政方式変更年の統計値・分布・密度を示す図表を出力する出力手段として、機能させる。
本発明による公的年金財政予測プログラムは、コンピュータを、さらに、第1の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理段と、第3の財政予測処理手段と、によって記憶された年金財政収支予測データに基づいて、将来支給されるであろう各年金制度の年金給付予測額の範囲・統計値・分布・密度を示す図表や内容を、あらかじめ記憶されている加入者のデータに基づいて加入者に郵送するための郵送書類を出力する出力手段あるいはコンピュータネットワークを介して加入者に送信する送信手段として、機能させてもよい。
また、上に述べた公的年金財政予測プログラムにおいて、第1〜第3の財政予測処理手段は、当年度の年金制度毎の被保険者数及び保険料収入を、人口予測・労働力率・2号被保険者率・3号被保険者率・共済加入者・昇給指数・1号被保険者未加入率データ及び賃金上昇率に基づいて推計して記憶装置に記録し、マクロ経済スライド調整率を、算出された年金制度毎の被保険者数に基づいて、所定の計算式により算出し、新規裁定スライド率と既裁定スライド率とを、物価上昇率・賃金上昇率・算出されたマクロ経済スライド調整率及び財政方式データとを用いて所定の計算式に基づいて算出し、当年度の年金制度毎の受給者数・年金単価・年金給付額・基礎年金拠出金・国庫負担額及び運用収益を、前年度の受給者数・当年度の死亡率に基づいて算出する脱退率・当年度の受給者数・当年度の待機者数・前年度の累積報酬額・算出された新規裁定スライド率・前年度の年金単価・算出された既裁定スライド率・累積報酬額・給付乗率・前年度の積立金・積立金収益率に基づいて推計し、記憶装置に記録し、記録された当年度の保険料収入額・国庫負担額・積立金運用収益から収入を、年金給付額・基礎年金拠出金から支出を、これらの収入と支出から財政収支を算出し記憶装置に記録し、当年度の積立金を前年度の積立金に算出した財政収支を加算して推計し記憶装置に記録し、当年度の積立度合を前年度の積立金と当年度の支出より推計し記憶装置に記録し、当年度のモデル賃金額を、前年度のモデル賃金額に賃金上昇率を乗じて推計し、当年度のモデル年金額を、前年度のモデル年金額にで算出した新規裁定スライド率を乗じて算出し、当年度のモデル所得代替率を、モデル年金額をモデル賃金額で除して算出し、あるいは、当年度のモデル所得代替率を、前年度のモデル所得代替率・賃金上昇率及び算出した新規裁定スライド率を利用して算出し、記憶装置に記録するようにすることが出来る。
本発明によれば、公的年金財政の将来について、確率的にリスクを分析することが可能となる。特に、マクロ経済スライドのメカニズムを組み込むことが出来るので、マクロ経済スライドの終了年等についても確率的に分析することが可能となる。また、死亡率、出生率、物価上昇率、賃金上昇率、積立金収益率の確率的に変動する要素について、前提条件や相関を様々に設定することが可能なので、例えば、給付調整期間(つまりマクロ経済スライドによる給付削減期間)の終了年、終了時のモデル所得代替率の期待値や分散などの統計値、バリュー・アット・リスク(VaR)、分布、密度の表示、将来の積立金額、財政収支額、積立度合、扶養比率、収支比率の統計値、バリュー・アット・リスク(VaR)、分布、密度の表示、バランスシートの作成・表示など、様々な観点からのリスク分析が可能になる。また、各年金制度から将来得るであろう、年金給付予測額について、その範囲、期待値や分散などの統計値、バリュー・アット・リスク(VaR)、分布、密度の表示を、加入者へ郵送やコンピュータネットワークを利用して通知することにより、加入者がリスク分析を行うことを補助することが可能になる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
まず、本発明による公的年金財政予測システムの具体的な構成の説明に先立ち、このシステムにおける年金財政予測の手順の概要を、図3を用いて説明する。図3中、単一の線で描くブロックは計算の基礎とするパラメータ及びデータを、二重線で描くブロックは推計する指標を示している。
図3において、年金財政予測における主要部分は、被保険者数(S1)及び保険料収入の予測(S3)、受給者数(S9)及び年金支給額の予測(S10)、基礎年金拠出金及び国庫負担額の予測(S12)、の3つの部分である。これらの予測のために、前提条件である、予測人口(D1)、死亡率(P1)、出生率(P2)、物価上昇率(P3)、賃金上昇率(P4)、積立金収益率(P5)を設定する。
被保険者数の予測(S1)は、男女別年齢別の将来の人口予測(D1)をスタートとして、労働力率・第2号被保険者率・第3号被保険者率等(D2)を推定して、人口に乗じることにより、各被保険者数を求める。保険料収入の予測(S3)は、男女別年齢別に物価上昇率(P3)及び実質賃金上昇率(P4)による上昇と加齢に伴う定期昇給(D3)を考慮して将来の報酬額を予測し(S2)、上記で予測した厚生年金被保険者数に乗じることにより、総報酬額を計算する。さらに、保険料引き上げ計画(段階保険料率)(D4)を考慮して保険料収入の予測(S3)を行う。
受給者数(S9)及び年金支給額の予測(S10)において、受給者数の予測(S9)は、男女年齢別に現在の受給者数・待機者数(D7)をベースに、時間の経過とともに脱退(死亡)する者を死亡率(P1)等から予測する。新規受給者に関しては、将来の被保険者数(S1)から算出する。また、年金の支給開始年齢の引き上げ等(D5)を考慮している。年金支給額の予測(S10)は、年金単価(S8)に上記で予測した受給者数(S9)を乗じて予測している。既裁定者の年金単価は、物価上昇率(P3)と実質賃金上昇率(P4)に基づいて計算される既裁定年金スライド率(S5)を利用して算出を行う。新規受給者の年金単価は、物価上昇率(P3)と実質賃金上昇率(P4)に基づいて計算される新規裁定年金スライド率(S6)と、報酬額(S2)より、男女年齢別に退職するまでの累積報酬額(S7)を計算し、生まれ年に応じた給付乗率を乗じることにより計算する。なお、マクロ経済スライドモデルでは、被保険者の予測(S1)からスライド調整率を予測し(S4)、既裁定年金スライド率(S5)や新規裁定年金スライド率(S6)に反映させている。ここで、既裁定年金とは、すでに年金の支給が開始されている受給者の年金であり、新規裁定年金とは、退職後に新規に受給が始まる年金のことである。
基礎年金拠出金とは、基礎年金給付に対する負担額であり、厚生年金から基礎年金勘定へ被保険者の構成割合に応じて拠出する。基礎年金拠出金及び国庫負担額の予測(S12)においては、まず、基礎年金受給者と基礎年金単価の予測を行う(S11)。基礎年金受給者の予測は、60歳以上の予測人口(D1)に、基礎年金受給者割合を乗じて受給者数を算出する。予測をするにあたり、支給開始年齢の引き上げ(D5)を考慮している。基礎年金単価は実績データを用いて、既裁定年金スライド率(S5)や新規裁定年金スライド率(S6)を考慮して予測する。基礎年金拠出金は、上記で予測した被保険者の構成割合に、基礎年金総支給額(受給者×年金単価)を乗じた額である。国庫負担額とは、基礎年金拠出に対する国庫負担であり、2005年度までは基礎年金拠出額の3分の1、それ以降は2分の1としている。
運用収入は、前年末の積立金(D8)に前提とした積立金収益率(P5)を乗じて、算出する。最後に、その他の収入、遺族年金支給や障害年金支給、加入期間の違いによる通算年金額を考慮するために、保険料収入、年金給付、基礎年金拠出金の修正を行う(D6)。ある年度の収入は、保険料収入、運用収入、国庫負担収入を加えたものであり、支出は、年金給付と基礎年金拠出金を加えたもので、収支は収入から支出を減じた額である。積立金残高は、前年度の積立金残高に当年度の収支を加えた額である。
以上から、さらに、積立度合、モデル代替率、マクロ経済スライト終了年等の指標を求める(S13)。積立度合とは、積立金を支出で除したもので、いわば、積立金が支出の何年分に相当するかを表す指標である。この数値が大きいほど財政は健全といえる。モデル所得代替率は、新規裁定スライド率(S6)を利用して算出されるモデル年金額を、物価上昇率(P3)と実質賃金上昇率(P4)を利用して算出されるモデル賃金で除した指標で、受給者と被保険者の所得の比をあらわしている。この数値が大きいほど、給付水準が手厚いことを意味している。マクロ経済スライドが終了するかどうかは、例えば次の基準で判断する。その年にマクロ経済スライドを終了して給付水準維持方式に戻ったと仮定して有限均衡方式に基づく厚生年金のバランスシートを作成し、それが均衡していなければマクロ経済スライドによる給付削減を継続し、均衡していればマクロ経済スライドを終了させると判断する。
以上に述べた公的年金財政の予測の手順において、前提条件である、予測人口(D1)、死亡率(P1)、出生率(P2)、物価上昇率(P3)、賃金上昇率(P4)、積立金収益率(P5)をある値に設定して実行した場合、1つのシナリオに基づくシミュレーションであるから、決定論的シミュレーションという。本願発明では、死亡率(P1)、出生率(P2)、物価上昇率(P3)、賃金上昇率(P4)、積立金収益率(P5)が確率的に変動するとして、これらの変数の値に基づいて、変数を入れ替えながらこの決定論的シミュレーションを繰り返すモンテカルロシミュレーションの手法を採用した。モンテカルロシミュレーションにより図3の処理を繰り返して、S13で求めた指標に基づいて、統計値や分布や密度等のリスクを分析するための図表を作成し出力する。

次に、図1を用いて、本発明による公的年金財政予測システムの構成の一例を説明する。図1に示す公的年金財政予測システムは、プログラムを実行するために命令を取り出し解読し指令を出すなどシステム全体を制御するとともに演算処理を実行するためのCPUと主記憶装置として機能するデータやプログラムを一時的に格納するメモリとを少なくとも含んでいる演算装置1と、データや命令の入力を行うキーボードやマウス等の入力装置2と、データを表示しあるいは出力するためのディスプレイやプリンタ等の出力装置3と、本発明による公的年金財政予測処理を実行するためのプログラムを格納したプログラム格納部4と、財政予測の計算を実行するために用いるパラメータやデータを格納する計算用基礎データ格納部5と、プログラムによる演算処理によって計算された年金財政収支予測データを格納する年金財政収支予測データ格納部6とを含んで構成されている。
入力装置2から、本発明による公的年金財政予測処理を実行するための必要な命令が入力されると、プログラム格納部4から公的年金財政予測プログラムが演算装置1にロードされ、演算装置1は、計算や処理に必要なデータを計算用基礎データ格納部5から読み込みながら、必要な計算や処理を実行し、計算結果を順次、年金財政収支予測データ格納部6に記憶する。また、演算装置1は、年金財政収支予測データ格納部6に記憶されたデータを読み出して、さらに必要な処理を続行し、またリスク分析のための指標、指標に基づく図表等を、主力装置3に出力させる。
なお、図1による公的年金財政予測システムは、コンピュータ単体で実施する構成として示されているが、例えば、通常当該コンピュータの外部記憶装置に設けられる計算用基礎データ格納部は、通信回線を介して接続されたデータベース等のデータ保存サーバであって、必要に応じてデータを取り込むようにしてもよいし、あるいは、全ての演算処理を通信回線で接続されたサーバ側で行い、ユーザーはその結果のみを自己が操作するコンピュータ上に表示させるようにするなど、クライアントサーバシステムにより実行することも可能である。また、計算用基礎データ格納部は、計算に用いる全てのデータやパラメータを格納するように図面上は表現しているが、物理的には必ずしもこのような構成で保存する必要はない。これは、プログラム格納部4や年金財政収支予測データ格納部6についても同様である。

次に、図2を用いて、公的年金財政予測の処理に用いるために計算用基礎データ格納部5に格納されているデータの内容について説明する。格納されているパラメータやデータは、その内容によって、以下の(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)に分けることが出来る。
(1)年度別に、計算に必要な将来年度まであらかじめ蓄積されたパラメータ
本実施の形態においては、死亡率、出生率、物価上昇率、賃金上昇率、積立金収益率を確率的に変動するとして扱うので、死亡率に相当する乱数、出生率に相当する乱数、物価上昇率に相当する乱数、賃金上昇率に相当する乱数、積立金収益率に相当する乱数、が年度別に蓄積されている。これらの乱数は、あらかじめコンピュータにより発生させておき、それらを計算用に蓄積したものである。従って、これらの乱数をどのように発生させるかによって、どのような前提条件で年金財政予測処理を行うか、自由に設定することが可能になっている。例えば、死亡率、出生率、物価上昇率、賃金上昇率、積立金収益率の少なくも1つが確率的に変動するとしてもよい。また、これらの確率的な要素の相関についても自由に設定することが出来る。これらの乱数を生成するための、死亡率期待値、出生率期待値、物価上昇率期待値、賃金上昇率期待値、あるいはその他必要なパラメータも保存しておく。また、段階保険料率、1号被保険者未加入者予測、基礎年金支払開始年齢、国庫負担率、給付乗率、退職年齢、報酬比例部分年金支払開始年齢のパラメータが、年度別に蓄積されている。これらのパラメータは、既存の資料に基づいて蓄積してもよいし、必要に応じてあらかじめ推定することによってデータを作成してもよい。
(2)実行しようとするシミュレーションの内容を指定するためにあらかじめ設定しておくパラメータ
これは、実行するシミュレーションの処理内容を定める条件としてのデータである。財政方式データとは、本発明においてはある財政方式に従ってシミュレーションを実行し、途中で財政方式を変更してシミュレーションを続行する場合を想定しているので、どちらの財政方式であるかを識別するためのデータである。本実施の形態においては、財政方式としてシミュレーション実行開始においてマクロ経済スライドを行う有限均衡法(第1の財政方式)を採用し、一定の条件を満たす場合には、給付水準維持方式(第2の財政方式)に切り替えることとしている。シミュレーション回数は、乱数を用いて変数の値を別のものとしながら実行する決定的シミュレーションの実行回数を設定したものであり、例えば10,000回と設定する。シミュレーションの年数とは、将来年度のいつまで年金財政を予測するかを指定するためのものであり、例えば2007年度にシミュレーションを実行する場合に、2057年度まで予測を行いたい場合は、年数は50となる。第1の財政方式の計算期間とは、第1の財政方式を第2の財政方式に切り替えるための判断に利用する指標を計算する場合に、その計算を行う年数を指定するためのデータである。年金改正法によって導入されたマクロ経済スライドによる給付調整では、財政均衡期間(約100年)における財政収支バランスによりマクロ経済スライドによる給付調整を終了するか否か判断するので、設定する計算期間は100年となる。
(3)シミュレーション実行年度を考慮し、初期値として設定しておくパラメータ
これは、シミュレーションを実行するに当たって、シミュレーション開始年度に対する初期値として、設定しておくパラメータのデータである。人口に占める国民年金受給者の比率、初任給、国民年金単価、厚生年金単価、積立金、物価上昇率、賃金上昇率、新規裁定スライド率、既裁定スライド率、マクロ経済スライド調整率、モデル年金額、モデル報酬額、モデル所得代替率について、実績あるいは統計等に基づいた合理的な数値を初期値として設定しておく。これらの初期値は、シミュレーション実行開始に際して、前年度のデータとして扱われる。
(4)性別・年齢別・年度別に必要な将来年度まであらかじめ蓄積されているデータ
将来人口(人口予測データ)、労働力率、2号被保険者率、3号被保険者率、共済加入者、昇給指数、1号被保険者加入率のデータが、性別・年齢別・年度別に蓄積されている。これらのデータは、既存の資料に基づいて蓄積してもよいし、必要に応じてあらかじめ推定することによってデータを作成してもよい。
(5)シミュレーション実行年度を考慮し、性別・年齢別に設定しておくデータ
これは、シミュレーションを実行するに当たって、シミュレーション開始年度の前年度の値として、設定しておくデータである。報酬額、累積報酬額、初任給、厚生年金受給者数、国民年金受給者数、その他年金制度受給者数、各年金制度の年金単価及び年金額、待機者数初期値について、性別、年齢別に、実績あるいは統計等に基づいた合理的な数値を設定しておく。

次に、図4を用いて、本発明による公的年金財政予測処理の全体の流れを説明する。なお、個々の処理についての詳しい説明は、さらに図5以下を用いて後段にて行う。
まず、計算に必要な計算用基礎データを、計算用基礎データ格納部5から読み込む(F1)。
次に、読み込んだデータから必要なデータを読み出し、シミュレーション実行年度の確率的に変動する変数を用いて、1つ目の標本経路の当年度の財政予測処理を第1の財政方式に従って実行し、年金財政収支の予測データを年金財政収支予測データ格納部6に保存する(F2)。実行する財政予測処理の内容は、図3を用いて説明した通りであり、死亡率P1、出生率P2、物価上昇率P3、賃金上昇率P4、積立金収益率P5を確率的に変動するものとして扱うので、これらに相当する乱数のデータを計算用基礎データ格納部5から適宜取り出し処理を行う。なお、このように、確率的に変動する変数を用いて行う財政予測処理を、以下「確率論的財政予測処理」という。
ステップF2で保存された年金財政収支予測データを前年度のデータとして設定し(F3)、この確定された前年度の年金財政収支データと、新たに計算する翌年度(これを図4では当年度と記載している)に該当する年度用に蓄積されている計算用基礎データとを用いて、当年度の財政予測処理を第2の財政方式に従って実行し、当年度の年金財政収支の予測データを年金財政収支予測データ格納部6に保存する(F4)。ステップF4で実行される財政予測処理の内容は、図3を用いて説明した通りである。ステップF4では、ステップF2と異なり、確率変数に基づく計算を行うのではなく、ステップF2で求め前年度のデータとして固定されたデータと、当年度用として設定されているデータを用いて計算を行う。このように、変数を用いるのではなく、固定されたデータに基づいて行う財政予測処理を、以下「決定論的財政予測処理」という。
次に、設定された年度まで決定論的財政予測処理が実行されたか判断する(F5)。この判断は、計算用基礎データ中の、第1の財政方式の計算期間のデータに基づいて判断する。もし、設定された年度まで実行されていない場合(F6)は、ステップF4で保存された年金財政収支データを、翌年度の決定論的財政予測処理を実行するための前年度のデータとして設定する(F7)。そして、第1の財政方式の設定された計算期間の最終年度に至るまで、ステップF4〜F7を繰り返す。
第1の財政方式の設定された計算期間まで決定論的財政予測処理が実行されたと判断すると(F6)、それまでに保存された年金財政収支データに基づいて、所定の設定条件を用いて、第1の財政方式を変更するか否か判断する(F8)。
財政方式を変更しないと判断した場合(F9)には、確率論的財政予測処理がシミュレーションの最終年度まで実行されたか判断する(F10)。この最終年度まで実行されたか否かの判断は、計算用基礎データ中の、シミュレーション年数のデータに基づいて判断する。もし、設定された最終年度まで実行されていない場合(F10)は、シミュレーション実行年度の年度を翌年度とする(F11)。そして、ステップF2に戻り、新たなシミュレーション実行年度の確率的に変動する変数を用いて、その標本経路の当年度の財政予測処理から始まり、最終年度まで実行されたと判断するか、財政方式を変更すると判断するまで、ステップF2〜ステップF11を繰り返す。
ステップF8において、財政方式を変更すると判断した場合には、第1の財政方式の終了年を記憶し、第2の財政方式に基づく計算方法に設定し(F12)、前ステップまでに保存された年金財政収支データを、翌年度の確率的財政予測処理を実行するための前年度のデータとして設定し(F13)、この前年度の年金財政収支データと、新たに計算する翌年度用に蓄積されている確率的に変動する変数を用いて、第2の財政方式に従って、この標本経路の当年度の確率論的財政予測処理を実行し、当年度の年金財政収支の予測データを年金財政収支予測データ格納部6に保存する(F15)。そして、確率論的財政予測処理が設定された最終年度まで実行されるまで、ステップF13〜F15を繰り返す。
ステップF10またはステップF15において、シミュレーションの最終年度まで指定された財政予測処理が実行されたと判断すると、次に指定された回数の標本経路毎のシミュレーションを実行したか否か判断する。(F16)。この指定された回数が実行されたかどうかは、計算用基礎データ中の、シミュレーション回数のデータに基づいて判断する。指定された回数が実行されていないと判断すると(F17)と、標本経路に依存するパラメータを初期値に戻し、新たな確率変数を用いて、ステップF2に戻って、新たな標本経路の財政シミュレーションをステップF2〜ステップF18に従って実行する。
シミュレーションを指定回数実行したか、あるいは、これまでの計算結果から終了してもよいと判断される回数を実行したと判断すると(F17)、それまでに保存された標本経路毎・各年度毎のデータに基づいて、統計値や分布や密度等の図表を作成し、出力する(F19)。さらに、将来支給されるであろう各年金制度の年金給付予測額の範囲・統計値・分布・密度を示す図表や内容を、あらかじめ記憶されている加入者のデータに基づいて加入者に郵送するための郵送書類を出力させ、あるいはコンピュータネットワークを介して加入者に送信するようにしてもよい。
なお、ステップF4〜F8の処理を行う代わりに、ステップF3までの財政予測処理の結果に基づいて予め定めた条件に該当するか否か判断して、ステップF9に進むようなシステムとしてもよい。
さらに、ステップF12の処理を行わず、ステップF13へ進んでもよいし、ステップF12〜F15までの処理を行わず、ステップF16へ進んでもよい。
また、ステップF4〜F9の処理を行わず、ステップF10に進むようにすれば、財政方式を変更しないで一つの財政方式で継続した場合の財政予測処理を実行することが出来る。
次に図5を用いて、図4中のステップF2の処理についてより詳細に説明する。ステップF2では、確率的な死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率に基づいて、年金財政収支予測処理を実行するステップである。まず、パラメータ・データ格納部5から当年度の物価上昇率、賃金上昇率、死亡率、出生率及び積立金収益率に相当する乱数を読み込む(F201)。
次に、当年度の年金制度毎の被保険者数及び保険料収入を、計算用基礎データ格納部6から読み出した人口予測・労働力率・2号被保険者率・3号被保険者率・共済加入者・昇給指数、1号被保険者加入率データ及び賃金上昇率に相当する乱数に基づいて推計し、記憶装置に記録する(F202)。
ステップF202における処理をここではさらに具体的に説明する。2号被保険者数は、人口予測に労働力率及び2号被保険者率を乗じて推計する。3号被保険者数は、異性の2号被保険者数に3号保険者率を乗じて推計する。1号被保険者数は、人口予測より2号被保険者数及び3号被保険者数を減じた数値に、1号被保険者未加入率を乗じて推計する。厚生年金の被保険者数は、2号被保険者数から共済加入者数を減じて推計する。当年度の報酬額は、前年度の報酬額に(確率的な)賃金上昇率と昇給指数を乗じて推計する。保険料収入額は、報酬額に被保険者数を乗じて総報酬額を推計し、これに段階保険料率を乗じて推計する。
次に、マクロ経済スライド調整率を、前ステップで算出された年金制度毎の被保険者数等に基づいて、所定の計算式により算出する(F203)。
さらに、新規裁定スライド率と既裁定スライド率とを、物価上昇率に相当する乱数と、賃金上昇率に相当する乱数と、前ステップで算出されたマクロ経済スライド調整率と、財政方式データとを用いて所定の計算式に基づいて算出する(F204)。なお、これらの計算式についての実施例は後段にて説明する。
次に、当年度の年金制度毎の受給者数、年金単価、年金給付額、基礎年金拠出金、国庫負担額及び運用収益を、前年度の受給者数・当年度の死亡率に相当する乱数に基づいて算出する脱退率、当年度の受給者数、当年度の待機者数、前年度の累積報酬額、前ステップで算出された新規裁定スライド率、前年度の年金単価、前ステップで算出された既裁定スライド率、累積報酬額、給付乗率、前年度の積立金、積立金収益率に相当する乱数に基づいて推計し、記憶装置に記録する(F205)。
ステップF205における処理をここではさらに具体的に説明する。当年度の待機者数は、前年度の待機者数に(確率的な)死亡率等に基づいて算出する脱退率を乗じ、パラメータ・データより読み込んだ当年度の報酬比例部分年金支払開始年齢を利用して、新規に受給者となる者を算出して減じ、当年度に待機者となる者を加算して推計する。ここで、当年度に待機者となる者は、ステップF202で推計される厚生年金の被保険者数とパラメータ・データより読み込んだ退職年齢より算出する。当年度の受給者数は前年度の受給者数に、当年度の(確率的な)死亡率に基づいて算出する脱退率を乗じ、上述の当年度に受給者となったものを加算して推計する。当年度の被保険者の累積報酬額は、前年度の累積報酬額に、ステップF204で求めた新規裁定スライド率を乗じ、今年度の報酬額を加算して推計する。当年度の待機者の累積報酬額は、前年度の累積報酬額に、同じく新規裁定スライド率を乗じて推計する。当年度に新規に裁定される年金の年金単価は、その年齢の累積報酬額に給付乗率を乗じ適当な修正を行って推計する。当年度の年金給付額は受給者に年金単価を乗じて推計する。当年度の基礎年金拠出金は、国民年金給付額に適当な被保険者比率を乗じて算出する。当年度の国庫負担額を、基礎年金拠出金を基に算出する。今年度の運用収益は、前年の積立金に積立金収益率に相当する乱数を乗じて推計する。
前ステップまでに記録された当年度の保険料収入額、国庫負担額、積立金運用収益より収入、年金給付額、基礎年金拠出金より支出、これらの収入と支出より財政収支を算出し記憶装置に記録する。また、当年度の積立金を前年度の積立金に前段階までに算出した財政収支を加算して推計し記憶装置に記録する。当年度の積立度合を前年度の積立金と当年度の支出より推計し記憶装置に記録する(F206)。
当年度のモデル賃金額は、前年度のモデル賃金額に賃金上昇率を乗じて推計する。当年度のモデル年金額は、前年度のモデル年金額に、ステップF204で算出した新規裁定スライド率を乗じて算出する。当年度のモデル所得代替率を、モデル年金額をモデル賃金額で除して算出し記憶装置に記録する(F207)。

次に図6を用いて、図4中のステップF4の処理の内容についてより詳細に説明する。ステップF4では、ステップF2で確率的なパラメータにより求めた財政収支等の予測データを前年度の固定されたデータとして扱い、この前年度のデータに基づいて、当年度の年金財政収支予測データを決定論的財政シミュレーションにより求める処理を行う。そこで、前ステップまでに計算され記憶された標本経路の被保険者数、受給者数、物価上昇率、賃金上昇率、新規裁定スライド率、既裁定スライド率のパラメータやデータを読み込む(F401)。また、当年度の設定された物価上昇率期待値、賃金上昇率期待値。財政方式データを読み込み、新規裁定スライド率期待値、既裁定スライド率期待値を所定の計算式を用いて算出する(F402)。
次に、当年度の年金制度毎の被保険者数及び保険料収入を、当年度の人口予測・労働力率・2号被保険者率・3号被保険者率・共済被保険者数・昇給指数・1号被保険者加入率データ及び賃金上昇率期待値に基づいて推計し、記憶装置に記録する(F403)。
ステップF403における処理をここではさらに具体的に説明する。2号被保険者数は、人口予測に労働力率及び2号被保険者率を乗じて推計する。3号被保険者数は、異性の2号被保険者数に3号保険者率を乗じて推計する。1号被保険者数は、人口予測より2号被保険者数及び3号被保険者数を減じた数値に1号被保険者加入率を乗じて推計する。厚生年金の被保険者数は、2号被保険者数から共済加入者数を減じて推計する。当年度の報酬額は、前年度の報酬額に賃金上昇率期待値と昇給指数を乗じて推計する。保険料収入額は、報酬額に被保険者数を乗じて総報酬額を推計し、これに段階保険料率を乗じて推計する。
次に、当年度の年金制度毎の受給者数、年金単価、年金給付額、基礎年金拠出金、国庫負担額及び運用収益を、前年度の受給者数・当年度の設定された死亡率から算出する脱退率・当年度の受給者数・当年度の待機者数・前年度の累積報酬額・ステップF402で算出された当年度の新規裁定スライド率期待値・前年度の年金単価・ステップF402で算出された当年度の既裁定スライド率期待値・累積報酬額・給付乗率・前年度の積立金・当年度の設定された積立金収益率期待値に基づいて推計し、記憶装置に記録する(F404)。
ステップF404における処理をここではさらに具体的に説明する。当年度の待機者数は、前年度の待機者数に死亡率期待値に基づいて算出する脱退率を乗じ、パラメータ・データより読み込んだ当年度の報酬比例部分年金支払開始年齢を利用して、当年度に新規に受給者となる者を算出して減じ、当年度に待機者となる者を加算して推計する。ここで、当年度に待機者となる者は、ステップF403で推計される厚生年金の被保険者数とパラメータ・データより読み込んだ退職年齢を利用して算出する。当年度の受給者数は前年度の受給者数に、当年度の死亡率期待値に基づいて算出する脱退率を乗じ、上述の当年度に新規に受給者となったものを加算して推計する。当年度の被保険者の累積報酬額は、前年度の累積報酬額に、ステップF402で算出した新規裁定スライド率期待値を乗じ、今年度の報酬額を加算して推計する。当年度の待機者の累積報酬額は、前年度の累積報酬額に、同じく新規裁定スライド率期待値を乗じて推計する。当年度に新規に裁定される年金の年金単価は、その年齢の累積報酬額に給付乗率を乗じ適当な修正を行って推計する。当年度の年金給付額は受給者に年金単価を乗じて推計する。当年度の基礎年金拠出金は、国民年金給付額に適当な被保険者比率を乗じて算出する。当年度の国庫負担額を、基礎年金拠出金を基に算出する。今年度の運用収益は前年の積立金に積立金収益率期待値を乗じて推計する。
次に、前ステップまでに記録された当年度の保険料収入額に、国庫負担額と、運用収益を足して収入を算出する。また、年金給付額に、基礎年金拠出金を加算して支出を算出する、これらの収入と支出より財政収支を算出し記憶装置に記録する。また、当年度の積立金を前年度の積立金に前段階までに算出した財政収支を加算して推計し記憶装置に記録する(F405)。

次に図7を用いて、図4中のステップF8の処理の内容についてより詳細に説明する。前ステップまでで計算され記憶された、将来の保険料収入、年金給付額、基礎年金拠出金、国庫負担額に基づいて、適切な財政方式に基づく保険料収入現価、年金給付現価、国庫負担額を考慮したネット基礎年金拠出金現価を所定の計算式に基づいて推計し、記憶装置に記録する(F801)。上記の現価と前ステップまでで計算された積立金額から財政収支バランスを算出する(F802)。
次に、マクロ経済スライドを終了させるかどうかを判断するためにステップに移るが、以下に説明するのは、一つの例であり、どのような基準でマクロ経済スライドを終了させるかは様々な基準が考えられる。
前ステップで算出された財政収支バランスと、あらかじめ設定された目標値とを比較し、目標が達成されているかどうか判断する(F803)。例えば、ステップF802で算出されるその年にマクロ経済スライドを終了して給付水準維持方式に戻ったと仮定して有限均衡方式に基づく厚生年金のバランスシートを作成し、その財政収支バランスが均衡していなければマクロ経済スライドによる給付削減を継続し、均衡していればマクロ経済スライドを終了させると判断する。
また、ステップF207で算出したモデル所得代替率が、あらかじめ設定された目標値が達成されているかどうか判断する(F804)。例えば、年金の給付水準が大幅に低下することを避けるために、年金財政が均衡する前であっても、所得代替率が50%を下回ることが見込まれる場合には、マクロ経済スライドによる給付削減を終了させると判断する。
その他の条件に対して、目標が達成されていれかどうか判断する(F805)。

最後に、図4のステップF20で出力する図表の例として図8〜図12を提出する。図8は、マクロ経済スライドの終了年の予測の一例を示したグラフである。図9は、特定の年度におけるモデル所得代替率の予測の一例を示したグラフである。図10は、特定の年度における積立度合の予測の一例を示したグラフである。図11は、モデル所得代替率の変化の予測の一例を示したグラフである。図12は、積立度合の変化の予測の一例を示したグラフである。
以下、マクロ経済スライド調整率、新規裁定スライド率、既裁定スライド率等を求める計算式等の一例について説明する。
既裁定スライド率(年金受給者の年金改定率)と,新規裁定スライド率(退職後に新規に受給が始まる年金に対する改定率)の算出方法を以下に記述する。当期をtで表す。マクロ経済スライドによる給付調整の終了時点をτとする。最初に、給付調整終了後(τ< t)の既裁定スライド率a(t)と新規裁定スライド率 b(t) を算出する。まず、実質賃金上昇率
y(t)の過去3年幾何平均を
Figure 2008257310
名目賃金上昇率を
Figure 2008257310
として算出する。名目賃金上昇率が、物価上昇率を上回る場合以外の処理として、以下の条件1〜条件3の場合分けを設定する。
Figure 2008257310
条件1は、1期前の物価上昇率と名目賃金上昇率が共に正で、1期前の物価上昇率が名目賃金上昇率を上回る場合である。条件2は、1期前の物価上昇率が正であるが、名目賃金上昇率が負の場合である。条件3は、1期前の物価上昇率と名目賃金上昇率が共に負で、1期前の物価上昇率が名目賃金上昇率を上回る場合である。これら条件を利用して、給付調整終了後の既裁定スライド率を、
Figure 2008257310
同様に、給付調整終了後の新規裁定スライド率を、
Figure 2008257310
として算出する。すなわち、給付調整終了後の既裁定スライド率は、条件1の場合には名目賃金上昇率、条件2の場合はゼロ、それ以外の場合は1期前の物価上昇率とする。給付調整終了後の新規裁定スライド率は、条件3の場合は1期前の物価上昇率、条件2の場合はゼロ、それ以外の場合は名目賃金上昇率とする。
次に、マクロ経済スライド調整率を算出する。年金給付の抑制は各スライド率からマクロ経済スライド調整率を減じることにより行われる。マクロ経済スライド調整率は、被保険者数の減少と、高齢者の年金受給期間の増加(余命の伸び)の2つを考慮する。1号被保険者総数、2号被保険者総数、3号被保険者総数より、これらの合計である公的年金全体の被保険者数を算出する。この公的年金全体の被験者数の増減率を算出し、短期的な変動による影響を軽減するため、増減率の過去3年の幾何平均g(t)を算出する。マクロ経済スライド調整率は、
Figure 2008257310
として算出する。ここで、例えば、h=0.003等と設定する。この数値は、高齢者の年金受給期間の増加(余命の伸び)に対応する部分で予め適切な統計等より推計する。この式より、公的年金全体の被保険者数がhよりも増加した際には、年金を増額せず調整率はゼロとなる。マクロ経済スライドを考慮した既裁定スライド率は、
Figure 2008257310
同様に、マクロ経済スライド終了後を考慮した新規裁定スライド率は、
Figure 2008257310
として算出する。上の2式の右辺上段の式は、給付調整期間中における年金改定率であり、右辺第二項により、スライド調整率であるc(t) を減じることにより改定率を抑制する。ただし、max演算子によりスライド調整率を減じたときでも、改定率は負にはならない(名目年金額は維持)。また、右辺第一項により、a(t)やb(t)が負となる場合には、スライド調整率による調整は行わない。すなわち、マクロ経済スライドを考慮した既裁定スライド率は、給付調整期間中は、上記で算出した給付調整終了後の既裁定スライド率が負である場合にはその値を利用し、正である場合は、スライド調整率を減じる。ただし、減じた結果、負となる場合にはゼロとする。給付調整終了後は、上記で算出した給付調整終了後の既裁定スライド率を利用する。また、マクロ経済スライドを考慮した新規裁定スライド率は、給付調整期間中は、上記で算出した給付調整終了後の新規裁定スライド率が負である場合には、その値を利用し、正である場合は、スライド調整率を減じる。ただし、減じた結果、負となる場合にはゼロとする。給付調整終了後は、上記で算出した給付調整終了後の新規規定スライド率を利用する。
次に、モデル所得代替率の算出方法を記す。モデル所得代替率は、被保険者のモデル賃金に対するモデル新規裁定年金額の比率であり、この数値が高いほど給付が手厚いと言える。これを算出するための名目賃金上昇率を
Figure 2008257310
とすると、モデル所得代替率は、
Figure 2008257310
として算出する。
次に、積立金A(t)は、保険料収入額をU(t)、国庫負担額をG(t)、年金給付額をB(t)、基礎年金拠出金をK(t)、積立金収益率をr(t)とすると、
A(t) = ( 1+r(t) ) A(t) + U(t) + G(t) - B(t) - K(t)
として算出する。すなわち、1期前の積立金に、その期の運用収入、保険料収入額、基礎年金国庫負担を加算し、年金給付額と基礎年金拠出金を減じたものである。
次に、積立度合は、t時点の支出に対して積立金(1年前)が何倍(何年分)あるかを表す指標で、この数値が高いほど財政は健全であると言える。積立度合は、
Figure 2008257310
として算出する。すなわち、1期前の積立金を、当期の年金給付額と国庫負担額を考慮したネット基礎年金拠出金を加えたもので除したものである。
次に、ステップF802で算出する、時刻tにおいてマクロ経済スライドが終了し、第2の財政方式である給付水準維持方式に戻ると仮定して作成する有限均衡方式に基づく厚生年金のバランスシートにおける財政収支バランス F(t) の算出方法を記す。ステップF801までに算出された有限均衡方式における年金給付現価を BPV(t)、保険料収入現価を UPV(t)、国庫負担額を控除したネット基礎年金拠出金現価を KPV(t)、積立金をA(t)とすると、
F(t) = A(t) - BVP(t) - KPV(t) + UPV(t)
として算出する。すなわち、積立金に保険料収入現価を加算し、年金給付現価とネット基礎年金拠出金現価を減じたものである。
最後に、ステップF803で算出される給付調整期間終了年τの算出方法を記す。sをシミュレーションの開始年、Tをシミュレーションの最終年とする。T-s がシミュレーション年数である。給付調整は、上記で算出した収支バランス差が正になったか(F(t)が正)、所得代替率が50%を下回ったか、あるいは、Tに達したか、いずれか速い時刻とする。すなわち、τ1を財政が初めて均衡した時刻、τ2を所得代替率が50%を初めて下回った時刻とすると、給付調整期間終了年は、τ1、τ2、Tのいずれか早いほうの時刻であり、数式で表現すれば、
Figure 2008257310
ただし、
Figure 2008257310
として算出する。
本発明によるシステムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 パラメータ・データ及び計算用基礎データの具体的なデータの内容を示すブロック図である。 本発明によるシステムの処理手順を模式的に示した図である。 本発明によるシステムの処理の全体の流れを示すフロー図である。 図4中のステップF2の処理をより詳細に示すフロー図である。 図4中のステップF4の処理をより詳細に示すフロー図である。 図4中のステップF8の処理をより詳細に示すフロー図である。 マクロ経済スライドの終了年の予測の一例を示したグラフである。 特定の年度におけるモデル所得代替率の予測の一例を示したグラフである。 特定の年度における積立度合の予測の一例を示したグラフである。 モデル所得代替率の変化の予測の一例を示したグラフである。 積立度合の変化の予測の一例を示したグラフである。
符号の説明
1 演算装置
2 入力装置
3 出力装置
4 プログラム格納部
5 パラメータ・データ格納部
6 計算用基礎データ格納部
7 年金財政収支予測データ格納部

Claims (10)

  1. 死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率の少なくとも1つが確率的に変動するとして、確率変数に基づきシミュレーション実行年度の第1の財政方式に従う財政予測処理を実行し、当該年度の年金財政収支予測データを記憶する、第1の財政予測処理手段と、
    第1の財政予測処理手段によって記憶された年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定する第1の設定手段と、
    前年度の年金財政収支データとあらかじめ設定された翌年度のデータとに基づいて、翌年度を当年度として第2の財政方式に従って財政予測処理を実行し、当年度の年金財政収支予測データを記憶する、第2の財政予測処理手段と、
    第2の財政予測処理手段により実行された年金財政予測処理が所定の回数Aまで実行されたか否かを判断する第1の判断手段と、
    第1の判断手段が、第2の財政予測処理手段により実行される財政予測処理を所定の回数Aまで実行されていないと判断した場合に、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、所定の回数Aに至るまで第2の財政予測処理手段による財政予測処理を繰り返させる第1の制御手段と、
    第1の判断手段が、第2の財政予測処理手段により実行される財政財政予測処理を所定の回数Aまで実行されたと判断した場合に、所定の設定条件に従って第1の財政方式を変更するか否かを判断する第2の判断手段と、
    シミュレーション実行年度から所定の年度数Bに至るまで年金財政予測処理が実行されたか否かを判断する第3の判断手段と、
    第2の判断手段が、第1の財政方式を変更しないと判断し、さらに第3の判断手段が所定の年度数Bに至るまで財政予測処理が実行されていないと判断した場合に、シミュレーション実行年度を翌年度に設定して、第1の財政予測処理手段による処理から第3の判断手段による判断処理までを繰り返させる第2の制御手段と、
    第2の判断手段が、第1の財政方式を変更すると判断した場合に、財政方式を第2の財政方式に変更し、財政方式変更年度を記憶する財政方式変更手段と、
    当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、翌年度を当年度として死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率の少なくとも1つの確率変数に基づいて第2の財政方式に従って財政予測処理を実行し、当年度の年金財政収支予測データを記憶する、第3の財政予測処理手段と、
    第3の財政予測処理手段により実行された財政予測処理が、第3の判断手段を用いて所定の年度数Bまで実行されたと判断するまで、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、第3の財政予測処理手段による財政予測処理を繰り返させる第3の制御手段と、
    第2または第3の制御手段において、第2または第3の財政予測処理手段による財政予測処理が所定の年度数Bまで実行されたと判断された場合に、指定された回数Cあるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切な回数に至ったと判断するまで、標本経路毎の財政予測処理を実行したか否か判断する第4の判断手段と、
    第4の判断手段が、標本経路毎の財政予測処理を、指定された回数Cまであるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切な回数に至るまで実行していないと判断した場合に、計算の基礎とするデータを初期化した上で、第1の財政予測処理手段による年金財政財政予測処理から第4の判断手段による判断処理の実行までの処理を、所定の回数Cあるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切と判断される回数に至るまで繰り返させる第4の制御手段と、
    を有する、公的年金財政予測システム。
  2. 第1の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理段と、第3の財政予測処理手段と、によって記憶された年金財政収支予測データに基づいてリスクを分析するための指標の統計値・分布・密度を示す図表を出力する出力手段を有する、請求項1に記載の公的年金財政予測システム。
  3. 財政方式変更手段によって記憶された財政方式変更年度に基づいて、財政方式変更年の統計値・分布・密度を示す図表を出力する出力手段を有する、請求項1に記載の公的年金財政予測システム。
  4. 第1の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理段と、第3の財政予測処理手段と、によって記憶された年金財政収支予測データに基づいて、将来支給されるであろう各年金制度の年金給付予測額の範囲・統計値・分布・密度を示す図表や内容を、あらかじめ記憶されている加入者のデータに基づいて加入者に郵送するための郵送書類を出力する出力手段あるいはコンピュータネットワークを介して加入者に送信する送信手段を、さらに備えた、請求項1に記載の公的年金財政予測システム。
  5. 請求項1に記載の第1〜第3の財政予測処理手段は、
    当年度の年金制度毎の被保険者数及び保険料収入を、人口予測・労働力率・2号被保険者率・3号被保険者率・共済加入者・昇給指数・1号被保険者未加入率データ及び賃金上昇率に基づいて推計して記憶装置に記録し、
    マクロ経済スライド調整率を、算出された年金制度毎の被保険者数に基づいて、所定の計算式により算出し、
    新規裁定スライド率と既裁定スライド率とを、物価上昇率・賃金上昇率・算出されたマクロ経済スライド調整率及び財政方式データとを用いて所定の計算式に基づいて算出し、
    当年度の年金制度毎の受給者数・年金単価・年金給付額・基礎年金拠出金・国庫負担額及び運用収益を、前年度の受給者数・当年度の死亡率に基づいて算出する脱退率・当年度の受給者数・当年度の待機者数・前年度の累積報酬額・算出された新規裁定スライド率・前年度の年金単価・算出された既裁定スライド率・累積報酬額・給付乗率・前年度の積立金・積立金収益率に基づいて推計し、記憶装置に記録し、
    記録された当年度の保険料収入額・国庫負担額・積立金運用収益から収入を、年金給付額・基礎年金拠出金から支出を、これらの収入と支出から財政収支を算出し記憶装置に記録し、
    当年度の積立金を前年度の積立金に算出した財政収支を加算して推計し記憶装置に記録し、
    当年度の積立度合を前年度の積立金と当年度の支出より推計し記憶装置に記録し、
    当年度のモデル賃金額を、前年度のモデル賃金額に賃金上昇率を乗じて推計し、当年度のモデル年金額を、前年度のモデル年金額にで算出した新規裁定スライド率を乗じて算出し、当年度のモデル所得代替率を、モデル年金額をモデル賃金額で除して算出し、あるいは、当年度のモデル所得代替率を、前年度のモデル所得代替率・賃金上昇率及び算出した新規裁定スライド率を利用して算出し、記憶装置に記録する
    請求項1に記載の公的年金財政予測システム。
  6. コンピュータを、
    死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率の少なくとも1つが確率的に変動するとして、確率変数に基づきシミュレーション実行年度の第1の財政方式に従う財政予測処理を実行し、当該年度の年金財政収支予測データを記憶する、第1の財政予測処理手段と、
    第1の財政予測処理手段によって記憶された年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定する第1の設定手段と、
    前年度の年金財政収支データとあらかじめ設定された翌年度のデータとに基づいて、翌年度を当年度として第2の財政方式に従って財政予測処理を実行し、当年度の年金財政収支予測データを記憶する、第2の財政予測処理手段と、
    第2の財政予測処理手段により実行された年金財政予測処理が所定の回数Aまで実行されたか否かを判断する第1の判断手段と、
    第1の判断手段が、第2の財政予測処理手段により実行される財政予測処理を所定の回数Aまで実行されていないと判断した場合に、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、所定の回数Aに至るまで第2の財政予測処理手段による財政予測処理を繰り返させる第1の制御手段と、
    第1の判断手段が、第2の財政予測処理手段により実行される財政財政予測処理を所定の回数Aまで実行されたと判断した場合に、所定の設定条件に従って第1の財政方式を変更するか否かを判断する第2の判断手段と、
    シミュレーション実行年度から所定の年度数Bに至るまで年金財政予測処理が実行されたか否かを判断する第3の判断手段と、
    第2の判断手段が、第1の財政方式を変更しないと判断し、さらに第3の判断手段が所定の年度数Bに至るまで財政予測処理が実行されていないと判断した場合に、シミュレーション実行年度を翌年度に設定して、第1の財政予測処理手段による処理から第3の判断手段による判断処理までを繰り返させる第2の制御手段と、
    第2の判断手段が、第1の財政方式を変更すると判断した場合に、財政方式を第2の財政方式に変更し、財政方式変更年度を記憶する財政方式変更手段と、
    当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、翌年度を当年度として死亡率・出生率・物価上昇率・賃金上昇率・積立金収益率の少なくとも1つの確率変数に基づいて第2の財政方式に従って財政予測処理を実行し、当年度の年金財政収支予測データを記憶する、第3の財政予測処理手段と、
    第3の財政予測処理手段により実行された財政予測処理が、第3の判断手段を用いて所定の年度数Bまで実行されたと判断するまで、当年度の年金財政収支予測データを前年度の年金財政収支データとして設定し、第3の財政予測処理手段による財政予測処理を繰り返させる第3の制御手段と、
    第2または第3の制御手段において、第2または第3の財政予測処理手段による財政予測処理が所定の年度数Bまで実行されたと判断された場合に、指定された回数Cあるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切な回数に至ったと判断するまで、標本経路毎の財政予測処理を実行したか否か判断する第4の判断手段と、
    第4の判断手段が、標本経路毎の財政予測処理を、指定された回数Cまであるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切な回数に至るまで実行していないと判断した場合に、計算の基礎とするデータを初期化した上で、第1の財政予測処理手段による年金財政予測処理から第4の判断手段による判断処理の実行までの処理を、所定の回数Cあるいはそれまでに実行した財政予測処理に結果に基づいて適切と判断される回数に至るまで繰り返させる第4の制御手段と、
    して機能させるための、公的年金財政予測プログラム。
  7. コンピュータを、第1の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理段と、第3の財政予測処理手段と、によって記憶された年金財政収支予測データに基づいてリスクを分析するための指標の統計値・分布・密度を示す図表を出力する出力手段として機能させる、請求項6に記載の公的年金財政予測プログラム。
  8. コンピュータを、財政方式変更手段によって記憶された財政方式変更年度に基づいて、財政方式変更年の統計値・分布・密度を示す図表を出力する出力手段として機能させる、請求項6に記載の公的年金財政予測プログラム。
  9. コンピュータを、第1の財政予測処理手段と、第2の財政予測処理段と、第3の財政予測処理手段と、によって記憶された年金財政収支予測データに基づいて、将来支給されるであろう各年金制度の年金給付予測額の範囲・統計値・分布・密度を示す図表や内容を、あらかじめ記憶されている加入者のデータに基づいて加入者に郵送するための郵送書類を出力する出力手段あるいはコンピュータネットワークを介して加入者に送信する送信手段として機能させる、請求項6に記載の公的年金財政予測システム。
  10. 請求項6に記載の第1〜第3の財政予測処理手段は、
    当年度の年金制度毎の被保険者数及び保険料収入を、人口予測・労働力率・2号被保険者率・3号被保険者率・共済加入者・昇給指数・1号被保険者未加入率データ及び賃金上昇率に基づいて推計して記憶装置に記録し、
    マクロ経済スライド調整率を、算出された年金制度毎の被保険者数に基づいて、所定の計算式により算出し、
    新規裁定スライド率と既裁定スライド率とを、物価上昇率・賃金上昇率・算出されたマクロ経済スライド調整率及び財政方式データとを用いて所定の計算式に基づいて算出し、
    当年度の年金制度毎の受給者数・年金単価・年金給付額・基礎年金拠出金・国庫負担額及び運用収益を、前年度の受給者数・当年度の死亡率に基づいて算出する脱退率・当年度の受給者数・当年度の待機者数・前年度の累積報酬額・算出された新規裁定スライド率・前年度の年金単価・算出された既裁定スライド率・累積報酬額・給付乗率・前年度の積立金・積立金収益率に基づいて推計し、記憶装置に記録し、
    記録された当年度の保険料収入額・国庫負担額・積立金運用収益から収入を、年金給付額・基礎年金拠出金から支出を、これらの収入と支出から財政収支を算出し記憶装置に記録し、
    当年度の積立金を前年度の積立金に算出した財政収支を加算して推計し記憶装置に記録し、
    当年度の積立度合を前年度の積立金と当年度の支出より推計し記憶装置に記録し、
    当年度のモデル賃金額を、前年度のモデル賃金額に賃金上昇率を乗じて推計し、当年度のモデル年金額を、前年度のモデル年金額にで算出した新規裁定スライド率を乗じて算出し、当年度のモデル所得代替率を、モデル年金額をモデル賃金額で除して算出し、あるいは、当年度のモデル所得代替率を、前年度のモデル所得代替率・賃金上昇率及び算出した新規裁定スライド率を利用して算出し、記憶装置に記録する
    請求項6に記載の公的年金財政予測プログラム。
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