JP2008256923A - 樹脂乳化液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】得られる樹脂粒子の粒径が小粒径で、生産性に優れた樹脂乳化液の製造方法、該樹脂乳化液から得られる画像性能に優れた電子写真用トナー、及びその製造方法に関する。
【解決手段】。
(A)着色剤及び/又は荷電制御剤を、80〜200MPaの圧力で水系媒体中で分散処理する工程、及び(B)工程(A)で得られた着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液と、樹脂とを液相媒体中で混合させて樹脂を乳化させる工程、を有する、樹脂乳化液の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて使用される電子写真用トナーの製造に用いられる樹脂乳化液を製造する方法、及び該方法により得られる樹脂乳化液に関する。
ケミカルトナーの製造方法として、乳化重合法や乳化分散法が知られている。これらの方法によるトナーの製造方法においては、例えば結着樹脂と着色剤等との混合物を媒体中で分散、乳化させてトナーを得る。
このような結着樹脂と着色剤等との混合物を分散、乳化させてトナーを得る技術として、例えば、樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、着色剤を水系媒体に分散させてなる着色剤分散液とを混合し、該樹脂粒子と該着色剤とを凝集させて凝集粒子分散液を調製する工程を含むトナーの製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、ポリエステル樹脂及び着色剤を含有するトナー用原料を加熱溶融することにより該トナー用原料の溶融体を製造し、水性媒体中に乳化させることにより樹脂微粒子を形成させてトナーを製造する方法が開示されている(特許文献2参照)。
更に、離型剤、前記顔料および重合性単量体を必須成分として混合して離型剤・顔料混合液を得る工程と、高圧式微粒化機器を用いて10MPa以上200MPa以下の圧力下、離型剤・顔料分散処理液を得る工程と、前記離型剤・顔料分散処理液を含む重合性組成物を重合して重合体粒子を得る工程とを有するトナーの製造方法、が開示されている(特許文献3参照)。
特開平10−301333号公報 特開2002−351140号公報 特開2006−154773号公報
前記特許文献1〜3の技術は、乳化時の未反応物や粗大粒子の発生が多い等、トナーの生産性において未だ十分でないか、得られるトナーの画像性能について不十分である等の課題を有していた。
本発明は、得られる樹脂粒子が小粒径で、生産性に優れた樹脂乳化液の製造方法、該樹脂乳化液から得られる画像性能に優れた電子写真用トナー、及びその製造方法に関する。
本発明は、
(1)(A)着色剤及び/又は荷電制御剤を、80〜200MPaの圧力で水系媒体中で分散処理する工程、及び(B)工程(A)で得られた着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液と樹脂とを液相媒体中で混合させて樹脂を乳化させる工程、を有する、樹脂乳化液の製造方法、
(2)上記(1)記載の製造方法により得られる樹脂乳化液、
(3)(C)上記(1)に記載の製造方法で得られる樹脂乳化液中の樹脂粒子を凝集及び合一させる工程を有する、電子写真用トナーの製造方法、及び
(4)上記(3)記載の製造方法で得られた電子写真用トナー、
に関する。
本発明によれば、得られる樹脂粒子が小粒径で、生産性に優れた樹脂乳化液の製造方法、並びに該樹脂乳化液から得られる画像性能に優れた電子写真用トナー、及びその製造方法を得ることができる。
(樹脂乳化液及びその製造方法)
本発明の樹脂乳化液の製造方法は、(A)着色剤及び/又は荷電制御剤を、80〜200MPaの圧力で水系媒体中で分散処理する工程、及び(B)工程(A)で得られた着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液と樹脂とを液相媒体中で混合させて樹脂を乳化させる工程、を有するものである。
すなわち、本発明の樹脂乳化液の製造方法によれば、小粒径で、未反応物や粗大粒子の発生が少ない樹脂粒子が高い生産性で得られ、また、これを電子写真用トナーの製造に用いた場合、得られるトナーは、画像濃度が高く、紙面カブリが少ない等画像性能に優れたものとなる。本発明の樹脂乳化液の製造方法では、結着樹脂が、着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液中の着色剤粒子及び/又は荷電制御剤粒子を核としてこれら粒子を内包するように乳化すると考えられる。この着色剤粒子及び/又は荷電制御剤粒子は80〜200MPaと高い圧力で分散されているため小粒径で粗大粒子の少ないシャープな分布の粒子となるため、乳化により得られる樹脂粒子も小粒径で粗大粒子の少ない粒子となると考えられる。
以下、上記工程(A)及び工程(B)について説明する。
工程(A)
この工程は、着色剤及び/又は荷電制御剤を、80〜200MPaの圧力で水系媒体中で分散処理する工程である。本発明において、分散処理とは、着色剤及び/又は荷電制御剤の体積中位粒径(D50)を、水系媒体中で700nm以下にする工程である。
着色剤及び/又は荷電制御剤を分散処理する際の圧力は、80〜200MPaであるが、本発明においては、100〜200MPaであることが好ましく、100〜180MPaであることがより好ましい。上記圧力範囲の下限値以上であれば、着色剤、荷電制御剤の分散性が良好であり、また、上限値以下であれば生産性が良好であり、いずれも好ましい。
工程(A)における上記分散処理に使用する分散機は、上記分散圧力で分散を行うことができるものであれば、特に制限はないが、高圧分散機を使用することが好ましい。
使用することができる高圧分散機としては、例えば、原料混合液あるいは分散液を、高圧で液−液対向衝突させることができるもの、オリフィスを高圧で通過させることができるもの等が挙げられ、一般に高圧ホモジナイザーと称される装置をいずれも使用することができる。具体的には、高圧分散機としては、マイクロフルイディスク社製のマイクロフルイダイザー、スギノマシン社製のアルティマイザー、ナノマイザー社製のナノマイザー等が挙げられる。
分散処理回数については、目的とする分散性等に応じ適宜調整することができ、分散圧力にも依存するが、本発明においては、2回以上行うことが好ましく、より好ましくは5回以上、更に好ましくは5〜10回行う。
本発明において使用する着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用でき、適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、チアゾール系等の各種染料を1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、耐光性
の観点から、顔料を使用することが好ましく、表面処理をしている顔料を使用することがより好ましい。
工程(A)における着色剤の使用量は、生産性の観点から、工程(A)で得られる分散液中、20〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜30重量%である。また、この着色剤は、トナーの帯電性、耐久性、印字濃度などの観点から、樹脂100重量部に対して、好ましくは、1〜20重量部、より好ましくは3〜15重量部となるような量で使用して本発明の樹脂乳化液を調整する。
荷電制御剤としては、例えば安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、
色相や彩度が要求されるカラートナーへの適用の観点から、無色の荷電制御剤であるサリチル酸の金属塩が好ましく用いられ、金属塩を形成する金属としては、亜鉛、ジルコニウム、クロム、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト等が挙げられる。
工程(A)における荷電制御剤の使用量は、生産性の観点から、工程(A)で得られる分散液中、20〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜30重量%である。また、この荷電制御剤は、分散性向上の観点から、樹脂100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは0.01〜5重量部となるような量で使用して本発明の樹脂乳化液を調整する。
工程(A)においては、上記着色剤及び/又は荷電制御剤に加え、分散性向上の観点から、分散処理の際にアニオン性界面活性剤を使用することができる。
アニオン性界面活性剤としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤等が挙げられ、上記観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
工程(A)における上記アニオン性界面活性剤の使用量は、着色剤・荷電制御剤の分散性、トナーへの残留性の観点から、着色剤・荷電制御剤100重量部に対して1〜35重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜30重量部である。
工程(A)においては、上記着色剤及び/又は荷電制御剤を、前記圧力下で水系媒体中で分散処理するが、水系媒体としては、水を主成分とするものであり、環境保全の観点から、水の含有量は、水性媒体中80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、100重量%がさらに好ましい。本発明では、実質的に有機溶媒を用いることなく水のみを用いて着色剤、荷電制御剤を分散させることが好ましい。水以外の成分を使用する場合は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒が好ましい。
工程(A)としては、具体的には、上記着色剤及び/又は荷電制御剤、水、及び必要に応じアニオン性界面活性剤等を、好ましくはホモミキサー等の混合機で予め混合し、得られた混合液を前記高圧分散機を用いて、所定の高圧で、好ましくは2回以上分散することにより行うことができる。なお、工程(A)においては、着色剤と荷電制御剤は、同時に分散処理してもよいが、生産性・分散性の観点からは、各々別個に分散処理したものを工程(B)でそれぞれ単独で又は組み合わせて用いることが好ましい。
工程(A)において得られる着色剤分散液中の着色剤粒子及び/又は荷電制御剤分散液中の荷電制御剤粒子の体積中位粒径(D50)は、トナー中での分散性の観点から、好ましくは300nm以下であり、より好ましくは30〜250nm、更に好ましくは50〜200nmである。本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味し、分散粒子の体積中位粒径(D50)の値は後述するようにレーザー回折型粒径測定法で得ることができる。また、粒度分布の変動係数(CV値)(粒度分布の標準偏差/体積平均粒径(D4)×100)は、好ましくは10〜50、より好ましくは15〜35である。ここで、体積平均粒径(D4)とは、体積分率で計算した平均粒径を意味する。
また、本発明においては、粒径が510nm以上の着色剤粒子及び/又は荷電制御剤粒子の割合が、全粒子に対して1体積%以下であることがトナーの着色性・帯電性の点で好ましく、0.8体積%以下であることがより好ましく、0.5体積%以下であることが更に好ましい。本発明においては、前記体積中位粒径(D50)を有する場合に、粒径が510nm以上の粒子の割合が上記範囲内にあることが好ましい。
工程(B)
この工程は、工程(A)で得られた着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液と樹脂とを液相媒体中で混合させて樹脂を乳化させる工程である。本発明において「混合」させるとは、着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液と樹脂とを「接触」させる工程を含むものであり、好ましくは、着色剤分散液中の着色剤粒子及び/又は荷電制御剤分散液中の荷電制御剤粒子と樹脂とを「接触」させる工程を含む。
工程(B)においては、樹脂と、着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液と、必要に応じて用いられる各種添加剤とを混合させて乳化させるが、この際、得られた混合液を中和させ、更に水性液を添加して液相媒体中で乳化することが好ましい。
上記樹脂と着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液との混合は、これらをカイ型攪拌機等の通常の攪拌機による攪拌下で行うことができる。
中和に用いられる塩基性化合物としては、ポリエステルが塩になったとき、その界面活性能を高めるようなものが好ましく、無機塩基性化合物及び有機塩基性化合物のいずれであってもよい。無機塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、それらの炭酸塩や酢酸塩などの弱酸の塩あるいは部分中和塩、及びアンモニアなどが挙げられる。有機塩基性化合物としては、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、コハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩等が挙げられる。これらの塩基性化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記塩基性化合物は水性液として使用することができ、該塩基性化合物水溶液は1〜20重量%の濃度のものが好ましく、1〜10重量%の濃度のものがより好ましく、1.5〜7.5重量%の濃度のものが更に好ましい。
また、上記塩基性化合物は、乳化安定性の点から、乳化時のpHが25℃で5.6〜8、5.8〜7となるように使用することが好ましい。
上記中和の度合いは、樹脂粒子を作製するのに必要な親水性を樹脂に付与できる程度でよく、必ずしも100%中和する必要はない。例えば、極性基を多く有する親水性の高い樹脂を用いる場合は、中和度は低くてもよく、逆に親水性の低い樹脂を用いる場合は、中和度は高くするほうが好ましい。本発明においては、上記中和度は、乳化性、小粒径かつ均一な粒子を得る観点から、50%以上であることが好ましく、60〜100%であることがより好ましく、70〜100%であることが更に好ましい。中和度は、一般に中和前後の酸基のモル数の比(中和後の酸基のモル数/中和前の酸基のモル数)で表わすことができる。
樹脂を均一に中和する観点から、中和は攪拌して行うことが好ましく、攪拌時間は好ましくは30分以上、より好ましくは1時間以上である。
工程(B)においては、前記中和された分散液に水性液を添加して、攪拌しながら液相媒体中で乳化を行う。
乳化に用いられる水性液としては、前記工程(A)で使用した水系媒体と同様のものが使用でき、該水性液の添加速度は、乳化を効果的に実施し得る点から、樹脂100g当たり、好ましくは0.5〜50g/分、より好ましくは0.5〜30g/分、さらに好ましくは1〜20g/分である。この添加速度は、一般にO/W型の乳化液を実質的に形成するまで維持されていればよく、O/W型の乳化液を形成した後の水性液の添加速度に特に制限はない。
工程(B)は、前記樹脂の軟化点未満の温度で行うことが好ましく、ガラス転移点以上かつ軟化点未満の温度で行うことがより好ましい。前記範囲の温度で行うことにより、中和が十分に行われ、また、乳化処理がスムースに行われ、大きな粒子の生成が抑制され、更に、加熱に特別な装置を必要としない。この点で、上記温度は、該樹脂の軟化点より5℃低い温度(以下、「樹脂の軟化点−5℃」と記す)以下の温度であることがより好ましく、ガラス転移点+10℃以上の温度であることが更に好ましい。
本発明においては、具体的には、前記樹脂と、着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液と、必要に応じて用いられる各種添加剤との混合液を、攪拌しながら好ましくは該樹脂の軟化点未満、より好ましくはガラス転移点以上の温度、例えば樹脂として、ガラス転移点が60〜65℃程度で軟化点が110〜120℃程度のカルボキシル基をもつポリエステルを用いた場合には、90〜100℃程度の温度に昇温し、その温度で適当な時間保持して前記中和及び乳化を行うことができる。
このようにして得られた樹脂乳化液の固形分濃度は、乳化液の安定性及び後で実施することができる凝集工程での樹脂乳化液の取扱い性の観点から、7〜50重量%が好ましく、7〜45重量%がより好ましく、10〜40重量%がさらに好ましい。
また、O/W型の乳化液を形成した後の樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、凝集工程を行う場合、均一な凝集を行うために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μmである。本明細書において、樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、後述するようにレーザー回折型粒径測定法で得ることができる。
また、樹脂乳化液中の樹脂粒子の体積基準の粒度分布における変動係数は、画像濃度が高く耐久性の高いトナーを得る観点から35以下であるが、28以下であることが好ましく、26以下であることがより好ましい。粒度分布の変動係数(CV値)は、上記体積基準の粒度分布の測定において得られた粒度分布から、下記の式に従って算出することができる。
変動係数(CV値)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径(D4))×100
本発明の製造方法により得られる樹脂乳化液は、未反応物及び例えば粒径2μm以上程度の粗大粒子の発生が少なく、生産性に優れたものである。
着色剤粒子及び/又は荷電制御剤粒子については、前述のとおりである。また、液相媒体としては、公知の有機溶剤、水系媒体及びこれらの混合媒体がいずれも使用できるが、分散性・生産性の観点から、前記工程(A)で用いたものと同様の水系媒体を使用することが好ましい。
着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液と混合させる樹脂には、定着性及び耐久性の観点から、ポリエステルが含有されることが好ましい。樹脂中のポリエステルの含有量は、定着性及び耐久性の観点から、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。ポリエステル以外の樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
上記ポリエステルの原料モノマーは、特に限定されないが、公知のアルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分とが用いられる。
アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2〜4)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。このアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、カルボン酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等のジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。このカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステルは、例えば、上記アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。
得られたトナーの保存性の観点から、ポリエステルの軟化点は80〜165℃が好ましく、ガラス転移温度は50〜85℃が好ましい。酸価は、乳化する際の製造性の観点から、6〜35mgKOH/gが好ましく、10〜35mgKOH/gがより好ましく、15〜35mgKOH/gがさらに好ましい。軟化点や酸価は用いるモノマーの種類・配合比率、縮重合の温度、反応時間を調節することにより所望のものを得ることができる。
さらに、本発明においては樹脂として、定着性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することができ、一方のポリエステル(イ)の軟化点は70以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(ロ)の軟化点のポリエステルの軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(イ)とポリエステル(ロ)の重量比(イ/ロ)は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
得られるトナーの耐久性等の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜10,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましい。
尚、本発明において、ポリエステルには、ポリエステルのみならず、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルも含まれる。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
工程(B)においては、樹脂、着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液に加えて、界面活性剤を添加することができる。その添加量は、発泡抑制及び最終的に得られる樹脂乳化液の乳化安定性の向上などを目的として、樹脂に対して好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.2〜5重量%、更に好ましくは0.5〜4重量%、より好ましくは1〜3重量%である。
界面活性剤としては、例えば工程(A)で用いたものと同様のアニオン性界面活性剤;ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらの中で、乳化安定性などの観点から、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該工程(B)においては、さらに必要に応じて離型剤を添加することができる。
離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスなどが挙げられる。これらの離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
離型剤の添加量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、樹脂100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
尚、離型剤は、離型剤を水系媒体中で分散させて離型剤分散液と使用することも好ましい方法であり、この場合、着色剤分散液及び荷電制御剤分散液と同様に、離型剤を80〜200MPaの圧力で水系媒体中で分散処理しても良い。
(電子写真用トナー及びその製造方法)
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、(C)上記樹脂乳化液の製造方法で得られる樹脂乳化液中の樹脂粒子を凝集及び合一させる工程を有する。以下、工程(C)について説明する。
工程(C)
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。
凝集剤としては、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。本発明においては、凝集剤として、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、1価の塩を用いることが好ましい。ここで1価の塩とは、該塩を構成する金属イオン又は陽イオンの価数が1であることを意味する。1価の塩としては、4級塩のカチオン性界面活性剤等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩等の無機系凝集剤が用いられるが、本発明においては、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、分子量350以下の水溶性含窒素化合物が好ましく用いられる。
分子量350以下の水溶性含窒素化合物は、樹脂粒子を速やかに凝集させる観点から、酸性を示す化合物であることが好ましく、その10重量%水溶液の25℃でのpH値が4〜6であるものが好ましく、4.2〜6のものがより好ましい。また、高温高湿における帯電性等の観点から、その分子量が350以下のものが好ましく、300以下のものがより好ましい。このような水溶性含窒素化合物としては、例えば、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、安息香酸アンモニウム、サリチル酸アンモニウム等のアンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩等が挙げられるが、生産性の点から、硫酸アンモニウム(10重量%水溶液の25℃でのpH値、以下「pH値」という:5.4)、塩化アンモニウム(pH値:4.6)、臭化テトラエチルアンモニウム(pH値:5.6)、臭化テトラブチルアンモニウム(pH値:5.8)が好ましく挙げられる。
凝集剤の使用量は、使用する凝集剤の電荷の価数により異なるが、1価の凝集剤を用いた場合、凝集性の観点から、樹脂100重量部に対して、2〜50重量部が好ましく、3.5〜40重量部がより好ましく、3.5〜30重量部がさらに好ましい。
凝集剤の添加は、均一な凝集を行うために、系内のpHを好ましくは2〜10、より好ましくは2〜9、さらに好ましくは3〜8に調整した後で、かつ樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移点以下の温度、好ましくは(ガラス転移点―10℃)以下の温度で行うのが望ましい。凝集剤は、一時に添加してもよいし、断続的あるいは連続的に添加してもよい。さらに、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
凝集剤は、水性媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
本発明においては、ワックス等の離型剤等の流出を防止したり、カラートナーにおいて、各色間の帯電量を同レベルにする等の観点から、凝集時に、得られた樹脂粒子に、他の樹脂微粒子を添加することができる(樹脂粒子をコア材、添加する他の樹脂微粒子をシェル材ともいう)。
添加される樹脂微粒子としては、特に制限はなく、本発明の樹脂乳化液に含有される樹脂粒子と同様にして調製されたものを使用することができる。
上記他の樹脂微粒子は、樹脂以外に、必要に応じて着色剤、離型剤、荷電制御剤、さらには界面活性剤、定着性向上剤などの添加剤を適宜含有することができる。
上記他の樹脂微粒子は、本発明の樹脂乳化液中の樹脂粒子と同じものであってもよく、異なるものであってもよいが、着色剤、荷電制御剤を用いる場合は、画像性能に優れたトナーを得る観点から、前述の工程(A)で得られたものを用いることが好ましい。特に、他の樹脂微粒子として、工程(A)で得られる荷電制御剤分散液中の荷電制御剤粒子を用いることがトナーの帯電均一性の点で好ましい。更にこの工程においては、上記他の樹脂微粒子を、本発明の樹脂乳化液に前述のように凝集剤を添加して得られた凝集粒子と混合させてもよい。
本発明においては、上記他の樹脂微粒子の添加時期は、特に制限はないが、生産性の観点から凝集剤の添加終了後、合一工程までの間であることが好ましい。
上記他の樹脂微粒子の凝集粒子に対する添加量は、凝集粒子に対する樹脂微粒子による均一な被覆を行う観点から、凝集粒子中の樹脂100重量部に対して、添加する樹脂微粒子を構成する樹脂が、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜90重量部、更に好ましくは20〜80重量部となるような量である。
当該工程においては、上記他の樹脂微粒子を1回又は複数回に分割して添加することができる。本発明においては、得られるトナー粒子の狭い粒度分布の達成の観点から、複数回に分割して添加することが好ましい。
他の樹脂微粒子を1回又は複数回に分割して添加する場合、形成される凝集粒子の粒度分布の制御などの観点から、凝集粒子中の樹脂100重量部に対して、添加する樹脂微粒子を構成する樹脂が30重量部未満添加される場合は、凝集剤の添加は任意である。30重量部以上添加する場合は、凝集性及び形成する凝集粒子の粒度分布の観点から、凝集剤を添加することが好ましく、凝集剤としては、前述のものを同様に用いることができる。この場合、樹脂粒子と凝集剤とを独立して同時に添加するか、又は交互に添加することがより好ましく、独立して同時に添加することがさらに好ましい。
当該工程において、他の樹脂微粒子を複数回に分割して添加する場合、各々の樹脂微粒子の量は同量であることが好ましく、また、凝集剤を分割して添加する場合には、各々の凝集剤は同量であることが好ましい。
前記のように他の樹脂微粒子を複数回分割して添加する場合、その回数については特に制限はないが、形成される凝集粒子の粒度分布及び生産性などの観点から、2〜10回が好ましく、2〜8回がより好ましい。
また、凝集性及び形成される凝集粒子の粒度分布などの観点から、複数回の樹脂微粒子の添加においては、添加の後5〜15分間、更には5〜30分間、特に5分〜2時間熟成させることが好ましく、複数回添加の各添加において、上記熟成時間を設けることがより好ましい。
本発明においては、樹脂粒子を凝集させた後に、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩などの界面活性剤を添加することが好ましい。
アルキルエーテル硫酸塩としては、下記式(1)で表わされるものが好ましい。
1−O−(CH2CH2O)pSO31 (1)
式中、R1はアルキル基を示し、凝集粒子への吸着性およびトナーへの残留性の観点から、好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数8〜15のアルキル基が挙げられる。pは0〜15の平均付加モル数を示し、粒径制御の観点から、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の数である。M1は1価のカチオンを示し、粒径制御の観点から、好ましくはナトリウム、カリウム、アンモニウムであり、より好ましくはナトリウム、アンモニウムである。
また、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、特に制限はないが、凝集粒子への吸着性およびトナーへの残留性の観点から、式(2)で表わされるものが好ましい。
2−Ph−SO32 (2)
式中、R2は直鎖のアルキル基を示し、式(1)のR1のうち直鎖のものと同じである。Phはフェニル基、M2は1価のカチオンである。直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、硫酸ナトリウム塩が好適に用いられる。
上記界面活性剤の添加量は、凝集停止性およびトナーへの残留性の観点から、凝集粒子を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部である。
高画質化の観点から、凝集粒子の体積中位粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
工程(3)においては、凝集粒子の体積中位粒径が3μmになった時点での固形分濃度が15〜40重量%、更に20〜35重量%であることが、粒径制御の観点から好ましい。
合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、樹脂のガラス転移点以上、軟化点+20℃以下が好ましく、ガラス転移点+5℃以上、軟化点+15℃以下がより好ましく、ガラス転移点+10℃以上、軟化点+10℃以下が更に好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度であることが好ましい。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。
得られた合一粒子を、必要に応じ、適宣、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、トナー(外添剤で表面処理をしていないトナーをトナー母粒子ともいう)を得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー母粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー母粒子の乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、上述のようにして得られた合一粒子を含むものであるが、該合一粒子のトナー中における含有量は、トナーの帯電性及び定着性の点から、95〜100重量%であることが好ましく、96.5〜99重量%であることが更に好ましい。
また、高画質化と生産性の観点から、トナーの体積中位粒径(D50)は1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmがさらに好ましい。粒度分布は、同様の観点から、変動係数(粒度分布の標準偏差/体積平均粒径(D4)×100)は30以下が好ましく、27以下がより好ましく、25以下がより好ましい。
また、トナーの軟化点は、低温定着性の観点から、60〜140℃あることが好ましく、より好ましくは60〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃である。また、ガラス転移点は、耐久性の観点から、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。なお、軟化点及びガラス転移点の測定方法は、樹脂におけるこれらの測定方法に準ずる。
本発明のトナーには、外添剤として流動化剤等の助剤を合一粒子表面に添加処理することができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
本発明の電子写真用トナーが適用される被転写体(記録材)としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンターなどに使用される普通紙、OHPシートなどが挙げられる。本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
各性状値は以下の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070に規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
[樹脂及びトナーの軟化点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の低温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。
[着色剤粒子、荷電制御剤粒子、離型剤粒子又は樹脂粒子の粒径及び粒度分布]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、水に対する相対屈折率を1.2として、吸光度が適正範囲になる濃度で得られた粒径分布からメジアン径(すなわち、体積中位粒径(D50))、及び、体積平均粒径(D4)及び標準偏差を測定、算出する。また、変動係数(CV値)は下記の式に従って算出する。
変動係数(CV値)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径(D4))×100
[粒径510nm以上の着色剤粒子又は荷電制御剤粒子の体積%]
レーザー回折型粒径測定機(HORIBA製、「LA−920」)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、水に対する相対屈折率を1.2として、吸光度が適正範囲になる濃度で得られた粒径分布から粒径510nm以上の体積%を測定する。
[樹脂乳化液中の粒径2μm以上の粒子数]
光学顕微鏡(KEYENCE製、「VH−5910」)を用いて、樹脂乳化液を微量スライドグラスの上に滴下し、カバーガラスをして2500倍の倍率で観察する。顕微鏡写真からソフトウェア「Scion Image」を用い、全視野(視野サイズ:57μm×137μm)において凝集した粒子と分散した粒子とを二値化により分離し、円相当径で2μm以上の凝集した粒子の個数をカウントする。
[着色剤分散液、荷電制御剤分散液、離型剤分散液、又は樹脂乳化液の固形分濃度]
赤外線水分計(株式会社ケツト科学研究所:FD−230)を用いて、分散液又は乳化液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分は下記の式に従って算出した。
固形分(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[粗大粒子の残留率]
乳化液を製造終了後に150メッシュ(目開き105μm)の金網を通した際に、メッシュ上に残存した残留物を粗大粒子として秤量する。粗大粒子の残留率は、下記の式に従って算出した。
粗大粒子の残留率(重量%)=(粗大粒子の重量/樹脂の総重量)×100
[トナーの粒径及び粒度分布]
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させて分散液を得る。
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。また、トナーの変動係数(CV値)は下記の式に従って算出する。
変動係数(CV値)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径(D4))×100
製造例1 ポリエステル樹脂Aの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン8320g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン80g、テレフタル酸1592g及びジブチル錫オキサイド(エステル化触媒)32gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)下230℃で5時間反応させ、更に減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸1672g、ハイドロキノン8gを加え、5時間反応させた後に、更に減圧下でASTM D36−86に従って測定した軟化点が110℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Aを得た。
得られたポリエステル樹脂Aの軟化点は110℃、ガラス転移点は66℃であり、酸価は24.4mgKOH/gであった。
製造例2 ポリエステル樹脂Bの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン17500g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン16250g、テレフタル酸11454g、ドデセニルコハク酸無水物1608g、トリメリット酸無水物4800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Bを得た。
得られたポリエステル樹脂Bの軟化点は121℃、ガラス転移点は65℃であり、酸価は18.5mgKOH/gであった。
製造例3 ポリエステル樹脂Cの製造
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン34090g、フマル酸5800g及びジブチル錫オキサイド15gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、230℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が100℃に達するまで反応させて、ポリエステル樹脂Cを得た。
得られたポリエステル樹脂Cの軟化点は98℃、ガラス転移点は56℃であり、酸価は22.4mgKOH/gであった。
製造例4 マスターバッチAの製造
製造例3で得られたポリエステル樹脂Cの微粉末50重量部及びジメチルキナクリドンのスラリー顔料(大日精化製ECR1864Y:固形分25.8重量%)50重量部をヘンシェルミキサーに仕込み5分間混合し湿潤させた。次にこの混合物をニーダー型ミキサーに仕込み徐々に加熱した。ほぼ90〜110℃にて樹脂が溶融し、水が混在した状態で混練し、水を蒸発させながら20分間90〜110℃で混練を続けた。
更に120℃にて混練を続け残留している水分を蒸発させ、脱水乾燥させた。更に120〜130℃にて10分間混練を続けた。冷却後更に加熱三本ロールにより混練し、冷却、粗粉砕して赤色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗粉砕品(マスターバッチA)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
製造例5 マスターバッチBの製造
製造例4のマスターバッチAの製造において、ポリエステル樹脂Cの微粉末を70重量部とし、ジメチルキナクリドンのスラリー顔料(大日精化製ECR1864Y:固形分25.8重量%)を顔料分30重量部になるように仕込んだ以外は同様にして、赤色顔料を30重量%の濃度で含有する高濃度着色組成物の粗粉砕品(マスターバッチB)を得た。これをスライドグラスに乗せて加熱溶融させて顕微鏡で観察したところ、顔料粒子は微細に分散しており、粗大粒子は認められなかった。
製造例6 着色剤水分散液Aの製造
2L容のビーカーにジメチルキナクリドンの顔料(大日精化製ECR1864Y)263g、アニオン性界面活性「ネオペレックスG−15(花王製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:15重量%)233g、脱イオン水589gを投入し、ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、5000rpmで5分間混合した。この混合液をマイクロフルイダイザー M−140K(マイクロフルイディックス社製)を用いて、150MPaで10回分散し着色剤分散液Aを得た。着色剤分散液Aの着色剤分散粒子の体積中位粒径は130nm、CV値は25、固形分濃度は27.5重量%であり、粒径が510nm以上の着色剤粒子は認められなかった。
製造例7〜12 着色剤分散液B〜F及び荷電制御剤分散液Aの製造
製造例6において、着色剤の種類及び量、アニオン性界面活性剤「ネオペレックスG−15(花王製)」の量、脱イオン水の量及び分散条件を表1に示すように代えた以外は同様にして着色剤分散液B〜F及び荷電制御剤分散液Aをそれぞれ得た。得られた着色剤分散液B〜F及び荷電制御剤分散液Aの各々の体積中位粒径、CV値、固形分濃度、粒径が510nm以上の着色剤粒子の割合及び荷電制御剤粒子の割合を表1に示す。
Figure 2008256923
製造例13 顔料とポリエステル樹脂との混練物Aの製造
製造例1で得られたポリエステル樹脂A 3900gと、製造例2で得られたポリエステル樹脂B 2100gと、大日本インキ化学工業製ジメチルキナクリドンの生顔料(supermagentaR)450gとの混合物を、羽根回転数を1500回/分に設定したヘンシェルミキサー(容量20リットル)を用いて、5分間予備混合した。
得られた混合物を、10kg/hの供給速度でテーブルフィーダーを用いて、連続式2本オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山(株)製、ロール外径:140cm、有効ロール長:80cm)に供給し、混練物Aを得た。なお、混練機の運転条件は、高回転ロール(前ロール)の回転数を75r/min、低回転ロール(後ロール)の回転数を50r/min、ロールの間隙を0.1mmに調整した。また、ロール内の加熱及び冷却媒体温度は、高回転ロールの原料投入側を145℃、混練物排出側を100℃、低回転ロールの原料投入側を75℃、混練物排出側を30℃に、それぞれ設定した。
得られた混練物Aを冷却ベルトにて冷却後、2mmφのスクリーンを有するミルにて粗粉砕した。
製造例14 離型剤分散液の製造
2リットル容のビーカーで、脱イオン水800gにアルケニルコハク酸ジカリウム水溶液「ラテムルASK(花王(株)社製)、有効濃度28%」7.14gを溶解させた後、カルナウバロウワックス(加藤洋行社製、融点85℃)200gを分散させた。この分散液を90〜95℃に温度を保持しながら、Ultrasonic Homogenizer 600W (日本精機社製)で30分間分散処理を行い、体積中位粒径(D50):0.51μm、CV値:32、固形分濃度:22%の離型剤分散液を得た。
実施例1 樹脂乳化液Aの製造
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂A 390g、ポリエステル樹脂B210g、着色剤分散液A 185g、ノニオン界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g、アニオン界面活性剤「ネオペレックスG−15(花王製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:15重量%)20g、脱イオン水153g、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:20重量%)を69.6g加えて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させて、内容物が95℃に達してから2時間攪拌した。次いで、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水1095gを183分かけて滴下し、150メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、樹脂乳化液Aを得た。このとき、金網上には仕込み(樹脂及び顔料の総量)に対して1.7重量%の粗大粒子が残った。また、得られた樹脂乳化液Aの固形分濃度は32.1重量%、樹脂粒子の体積中位粒径は0.18μm、CV値は34であり、粒径が2μm以上の粒子は認められなかった。
実施例2〜6 樹脂乳化液B〜Fの製造
実施例1において、着色剤分散液Aを、それぞれ着色剤分散液B 210g(実施例2)、着色剤分散液C 136g(実施例3)、着色剤分散液D 128g(実施例4)、着色剤分散液E 143g(実施例5)、荷電制御剤分散液A 30.2g(実施例6)とし、アニオン界面活性剤「ネオペレックスG−15(花王製)」20gを実施例2及び3の各々において除き、実施例4〜6の各々において40gとした以外は、実施例1と同様にして樹脂乳化液B〜Fを得た。このとき、金網上の粗大粒子の残留率、得られた各樹脂乳化液の固形濃度、樹脂粒子の体積中位粒径、CV値、粒径が2μm以上の粒子数を表2に示す。
実施例7 樹脂乳化液Gの製造
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂A 975g、ポリエステル樹脂B525g、着色剤分散液F 384g、ノニオン界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)15.0g、脱イオン水605g、中和剤として水酸化カリウム(和光純薬工業製 特級)を34.8g加えて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させて、内容物が95℃に達してから2時間攪拌した。次いで、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水2600gを163分かけて滴下し、150メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、樹脂乳化液Gを得た。このとき、金網上の粗大粒子の残留率、得られた各樹脂乳化液の固形濃度、樹脂粒子の体積中位粒径、CV値、粒径が2μm以上の粒子数を表2に示す。
実施例8 樹脂乳化液Hの製造
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂A325g、ポリエステル樹脂B175g、着色剤分散液F 128g、電荷調整剤分散液A 21.9g、ノニオン界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)5.0g、脱イオン水187g、中和剤として水酸化カリウム(和光純薬工業製 特級)を11.6g加えて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させて、内容物が95℃に達してから2時間攪拌した。次いで、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水882gを176分かけて滴下し、150メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、樹脂乳化液Hを得た。このとき、金網上の粗大粒子の残留率、得られた各樹脂乳化液の固形濃度、樹脂粒子の体積中位粒径、CV値、粒径が2μm以上の粒子数を表2に示す。
比較例1 樹脂乳化液Iの製造
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステル樹脂Aの重量を345g、ポリエステル樹脂B 210g、マスターバッチA 90g、ノニオン界面活性剤「エマルゲン430(花王製)」ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:16.2)6.0g、アニオン界面活性剤「ネオペレックスG−25(花王製)」ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(固形分:26重量%)24.0g、中和剤として水酸化カリウム水溶液(濃度:5重量%)を279g加えて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、95℃で分散させて、内容物が95℃に達してから2時間攪拌した。次いで、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水2139gを357分かけて滴下し、150メッシュ(目開き:105μm)の金網を通して、樹脂乳化液Iを得た。このとき、金網上の粗大粒子の残留率、得られた各樹脂乳化液の固形濃度、樹脂粒子の体積中位粒径、CV値、粒径が2μm以上の粒子数を表2に示す。
比較例2 樹脂乳化液Jの製造
比較例1において、ポリエステル樹脂Aの重量を285gとし、マスターバッチAをマスターバッチB150gとし、5重量%水酸化カリウム水溶液の使用量を269gとし、脱イオン水を1458g滴下すること以外は、比較例1と同様にして樹脂乳化液Jを得た。このとき、金網上の粗大粒子の残留率、得られた各樹脂乳化液の固形濃度、樹脂粒子の体積中位粒径、CV値、粒径が2μm以上の粒子数を表2に示す。
比較例3 樹脂乳化液Kの製造
比較例1において、ポリエステル樹脂A、ポリエステル樹脂B、及びマスターバッチAを用いるかわりに製造例6で得られた混練物Aを645g用い、脱イオン水を1450g滴下すること以外は、比較例1と同様にして樹脂乳化液Kを得た。このとき、金網上の未反応物量、得られた各樹脂乳化液の固形濃度、樹脂粒子の体積中位粒径、CV値、粒径が2μm以上の粒子数を表2に示す。

以上得られた各樹脂分散液A〜Kの各々について、その組成、性状について、まとめて以下の表2に示す。
Figure 2008256923
実施例9 トナー1の製造
樹脂乳化液A 500g、製造例14で得た離型剤分散液33g、脱イオン水115gを脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容四つ口フラスコに入れ、室温下混合した。次に、カイ型の攪拌機で攪拌下、この混合物に硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)32gを270gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で10分かけて滴下した。その後、混合分散液を55℃まで昇温し凝集粒子を形成させ、55℃で3時間保持した。シェル材として、樹脂乳化液A 50gと脱イオン水11gを混合したものを1.6mL/minで滴下し、その後55℃で20分間保持した。この操作を更に2回繰り返した後、樹脂乳化液A 50gと脱イオン水11gを混合したもの、及び、硫酸アンモニウム3.2gを脱イオン水44gに溶解させた水溶液を別々に同時に1.6mL/minで滴下し、その後55℃で20分間保持した。この操作を更に1回繰り返した後、ポリオキシエチレン(2モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(固形分:28重量%)40gを脱イオン水358gで希釈した水溶液を添加した。この時、凝集粒子の体積中位粒径(D50)は4.1μm、CV値は26であった。添加後、80℃まで昇温した。80℃で1時間保持した後、室温まで冷却した。この間で、トナー形状が凝集粒子から合一粒子へ変化した。合一粒子の体積中位粒径(D50)は4.7μm、CV値は27であった。
吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂粒子粉末(トナー母粒子)を得た。このトナー母粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(キャボット社製、キャボシールTS720)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、トナー1とした。トナー1の体積中位粒径(D50)は4.1μm、CV値は27であった。製造条件を表3に示す。
実施例10〜14 トナー2〜6の製造
実施例9において、コア剤及びシェル材として用いた樹脂乳化液Aを表3に示すように代えた以外は同様にして、対応するトナー2〜6をそれぞれ調製した。各トナーの体積中位粒径(D50)、CV値を表4に示す。
比較例4〜6 トナー7〜9の製造
2リットル容の容器において、比較例1〜3で調製した樹脂乳化液I〜Kの各々400gを脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容四つ口フラスコに入れ、室温下、カイ型の攪拌機で100r/minで攪拌しながら、凝集剤として硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)6.8gを231gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で15分かけて滴下した。その後、60分かけて混合分散液を80℃/60minで昇熱し、60分かけて更に90℃まで昇温を行い、90℃に固定して、体積中位粒径(D50)が4.5〜6.0μmになるまで、凝集・合一を行った。また、この保持工程中に形状が凝集粒子から合一粒子へ変化することを確認した。
次いで、室温まで徐冷し、吸引ろ過工程、洗浄工程及び乾燥工程を経て着色樹脂微粒子粉末(トナー母粒子)を得た。得られたトナー母粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(キャボット社製、キャボシールTS720)をヘンシェルミキサーで外添し、トナー7〜9をそれぞれ得た。製造条件を表3に示す。
得られた各トナー1〜9の各々について、その組成及び性状、並びに、以下の方法で、画像性能の評価として印字画像の濃度、及び紙面カブリを測定した。結果を表4に示す。
[印字画像の濃度測定]
市販のプリンタ(OKI製、「ML5400」)を用いて画像を出力し、該画像を測色計(Gretag−Macbeth社製、「SpectroEye」)を用いて、光射条件を標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DIN NBにおいて絶対白基準で測色し、画像濃度を測定した。
[紙面カブリ]
市販のプリンタ(OKI社製、「ML5400」)を用いて、標準の現像バイアスで未定着画像を印字した。紙面カブリをブランクの白色度との差(ΔE)を測定した。ΔE値が0.5以下であれば実使用上は良好と判断される。
Figure 2008256923
Figure 2008256923
本発明の樹脂乳化液及びその製造方法は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて使用される電子写真用トナーの製造に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. (A)着色剤及び/又は荷電制御剤を、80〜200MPaの圧力で水系媒体中で分散処理する工程、及び(B)工程(A)で得られた着色剤分散液及び/又は荷電制御剤分散液と樹脂とを液相媒体中で混合させて樹脂を乳化させる工程、を有する、樹脂乳化液の製造方法。
  2. 工程(A)において、高圧分散機を用いて分散処理を行う、請求項1記載の樹脂乳化液の製造方法。
  3. 工程(A)で得られる分散液中の着色剤粒子又は荷電制御剤粒子の体積中位粒径が300nm以下であり、かつ粒径が510nm以上の上記粒子の割合が、全粒子に対し1体積%以下である、請求項1又は2に記載の樹脂乳化液の製造方法。
  4. 樹脂がポリエステルを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂乳化液の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られる樹脂乳化液。
  6. (C)請求項5記載の樹脂乳化液中の樹脂粒子を凝集及び合一させる工程を有する、電子写真用トナーの製造方法。
  7. 工程(C)の請求項5記載の樹脂乳化液中の樹脂粒子を凝集させる工程において、更に請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られた樹脂乳化液を添加する、請求項6記載の電子写真用トナーの製造方法。
  8. 請求項6又は7に記載の製造方法により得られる電子写真用トナー。
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