JP2008184648A - 溶銑の脱珪・脱燐処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 溶銑を酸化鉄及び酸素ガスを用いて、脱珪処理した後に脱燐処理するに際して、処理終了時の溶銑温度を従来に比べて高い水準に維持することのできる溶銑の脱珪・脱燐処理方法を提供することである。
【解決手段】 処理容器内の溶銑5を酸化鉄及び酸素ガスを用いて脱珪処理した後に脱燐処理する溶銑の脱珪・脱燐処理方法において、先ず、酸素ガスを上吹きすることなく、酸化鉄及び酸素ガスを溶銑中に吹き込んで処理を開始し、次いで、該処理中に計測される排ガスのCO2 ガス濃度の立ち上がりが検知された以降、酸素ガスを溶銑中に吹き込むことなく、酸素ガスを上吹きするとともに不活性ガスを搬送用ガスとしてCaO系脱燐精錬剤及び酸化鉄を溶銑中に吹き込んで処理する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、混銑車などの処理容器内の溶銑を酸化鉄及び酸素ガスを用いて、脱珪処理した後に脱燐処理する脱珪・脱燐処理方法に関し、詳しくは、処理後の溶銑の温度を従来に比べて高く維持することのできる、溶銑の脱珪・脱燐処理方法に関するものである。
近年、高炉から出銑された溶銑は、転炉で精錬される前に、溶銑予備処理と呼ばれる脱珪処理、脱燐処理及び脱硫処理が施される場合が多い。当初、これらの溶銑予備処理は、鋼材の品質面上から低燐化や低硫化が要求されるものについて実施されていたが、近年では、転炉における生産性向上、転炉でのMn鉱石の還元によるコスト削減効果などにより、銑鋼一貫の製鉄所における製鋼工程のトータルコストを削減する手段として、出銑されるほぼ全ての溶銑に対して溶銑予備処理が施されるようになってきた。
このうち、脱珪処理及び脱燐処理は、鉄鉱石やミルスケールなどの酸化鉄からなる固体酸素源または酸素ガスや酸素含有ガスなどの気体酸素源を溶銑に吹き付けまたは吹き込み、溶銑中の珪素及び燐をこれらの酸素源中の酸素によって酸化・除去することによって行われている。不純物を酸化して除去することは酸化精錬と呼ばれており、脱珪処理及び脱燐処理はともに酸化精錬に分類される。但し、珪素の方が燐に比べて酸素との親和力が強いので、溶銑を酸化すると、先ず脱珪反応が起こり、溶銑中の珪素が少なくなった以降、脱燐反応が進行する。
従って、脱珪処理を高炉鋳床で行い、その後に混銑車や溶銑鍋などで脱燐処理を行う場合もあるが、酸化精錬を2回に別けて処理することによる溶銑温度の低下や作業費用の増加などを鑑み、同一の処理容器を用いて脱珪・脱燐処理を実施することも行われている。
例えば、特許文献1には、実質的に脱珪処理の施されていない溶銑を用い、CaOを主体とする脱燐精錬剤で溶銑を覆った後、酸素ガスを上吹きすると同時に、インジェクションランスから気体酸素源及び酸化鉄を主体とする脱珪精錬用フラックスを吹き込んで脱珪処理を行い、脱珪処理の終了後は、酸素ガスを上吹きすると同時にインジェクションランスから気体酸素源を吹き込んで脱燐処理する方法が提案されている。
特許文献2には、混銑車内の溶銑を酸化鉄及び酸素ガスを用いて脱珪処理した後、脱燐処理する溶銑予備処理方法において、溶銑中の珪素を0.05〜0.10質量%まで脱珪する過程で、予め混銑車を適当な角度に傾転した状態のまま、酸化鉄及び酸素ガスのみにより処理を行い、流動性の良好な低融点のSiO2 に富むスラグを生成し、生成したSiO2 に富むスラグを混銑車から連続的に流出せしめ、溶銑中珪素が0.05〜0.10質量%になった時点で、引続き酸化鉄、酸素ガス及びCaO系脱燐精錬剤により脱燐処理を行う方法が提案されている。
また、特許文献3には、処理容器内の溶銑にインジェクションランスを介して酸化鉄及び精錬用フラックスを吹き込むとともに、溶銑の浴面上方に設けた上吹きランスを介して酸素ガスを溶銑浴面に吹き付け、溶銑の脱珪・脱燐処理を順次行うに際して、脱珪処理中及び脱燐処理中の溶銑の成分変化に応じて、上吹きする酸素ガスの流量を変更して精錬する方法が提案されている。
特開昭62−109913号公報 特開平5−5114号公報 特開2004−149876号公報
ところで近年、地球温暖化対策から地球的規模でCO2 の排出量削減が望まれており、鉄鋼の製錬・精錬過程においてもCO2 の排出量削減が要求されている。溶銑から溶鋼を溶製する際に、鉄スクラップの配合量を多くすればするほど、単位質量当たりの鉄鋼製品を製造する上でCO2の排出量は削減される。但し、鉄スクラップを再溶解するためには熱源が必要であり、この熱源としては、溶銑の有する熱エネルギー及び溶銑の含有する炭素及び珪素の燃焼熱が利用される。
この観点から、溶銑の温度を高く維持した状態で溶銑予備処理を終了させれば、転炉において多くの鉄スクラップを溶解することが可能となる。しかしながら、従来、上記特許文献1〜3を含め、溶銑温度を高く維持しながら溶銑の脱珪・脱燐処理を実施する方法は提案されていない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、混銑車などの処理容器内の溶銑を酸化鉄及び酸素ガスを用いて、脱珪処理した後に脱燐処理するに際して、処理終了時の溶銑温度を従来に比べて高い水準に維持することのできる溶銑の脱珪・脱燐処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱珪・脱燐処理方法は、処理容器内の溶銑を酸化鉄及び酸素ガスを用いて脱珪処理した後に脱燐処理する溶銑の脱珪・脱燐処理方法において、先ず、酸素ガスを上吹きすることなく、酸化鉄及び酸素ガスを溶銑中に吹き込んで処理を開始し、次いで、該処理中に計測される排ガスのCO2 ガス濃度の立ち上がりが検知された以降、酸素ガスを溶銑中に吹き込むことなく、酸素ガスを上吹きするとともに不活性ガスを搬送用ガスとしてCaO系脱燐精錬剤及び酸化鉄を溶銑中に吹き込んで処理することを特徴とするものである。
第2の発明に係る溶銑の脱珪・脱燐処理方法は、第1の発明において、排ガスのCO2 ガス濃度の立ち上がりが検知された以降、更に、CaO系脱燐精錬剤を処理容器内に上置き投入することを特徴とするものである。
第3の発明に係る溶銑の脱珪・脱燐処理方法は、処理容器内の溶銑を酸化鉄及び酸素ガスを用いて脱珪処理した後に脱燐処理する溶銑の脱珪・脱燐処理方法において、先ず、酸素ガスを上吹きすることなく、酸化鉄及び酸素ガスを溶銑中に吹き込んで処理を開始し、次いで、該処理中に計測される排ガスのCO2 ガス濃度の立ち上がりが検知された以降、CaO系脱燐精錬剤を処理容器内に上置き投入し、且つ、酸素ガスを溶銑中に吹き込むことなく、酸素ガスを上吹きするとともに不活性ガスを搬送用ガスとして酸化鉄を溶銑中に吹き込んで処理することを特徴とするものである。
本発明によれば、溶銑を脱珪・脱燐処理するに当たり、溶銑中の珪素の大半が除去されて脱燐反応が優勢になる時期を排ガス中のCO2 ガス濃度の立ち上がりで検知し、脱燐反応に伴って発生する脱炭反応が開始される以降に上吹き酸素を供給するので、脱炭反応により生じたCOガスと上吹きされる酸素ガスとで二次燃焼が起こり、溶銑はこの二次燃焼により発生する熱により加熱され、脱珪・脱燐処理の終了時には、従来に比べて高い温度の溶銑を得ることができる。その結果、溶銑の熱余裕が増大し、次工程の転炉脱炭精錬では、鉄スクラップの配合量を従来に比べて増加させることが可能となる。
以下、処理容器として混銑車を使用した場合を例とし、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、混銑車に収容された溶銑に対して本発明の脱珪・脱燐処理を実施している様子を示す概略図である。
図1において、高炉(図示せず)から出銑された溶銑5を混銑車炉体2に収容した混銑車1が、上吹きランス3、インジェクションランス4、集塵フード6、集塵フード6につながる集塵ダクト7を備えた予備処理設備に搬送されている。ここで、上吹きランス3は、上下移動可能であって、酸素ガスを溶銑5の浴面に向けて吹き付けるための装置であり、インジェクションランス4は、酸素ガスまたは不活性ガスを搬送用ガスとして酸化鉄を溶銑5に吹き込むとともに、酸素ガスを溶銑5に吹き込むための装置である。搬送用ガスとして酸素ガスを使用するか、または不活性ガスを使用するかは、ガス供給配管(図示せず)に設けた切替弁(図示せず)によって調整できるようになっている。尚、インジェクションランス4を2本配置し、一方を酸素ガスの吹き込み用とし、他方を不活性ガスを搬送用ガスとする酸化鉄の吹込み用としてもよい。集塵フード6及び集塵ダクト7は、脱珪・脱燐処理により発生する排ガス及びダストを集塵するためのものであり、集塵ダクト7は集塵機(図示せず)に連結されている。この集塵ダクト7には、排ガス中のCO2 ガス濃度などを分析するためのガス分析器8が設置されている。
このような予備処理設備を用いて、混銑車1に積載された溶銑5に対して本発明に係る脱珪・脱燐処理を以下のようにして実施する。
先ず、混銑車1を予備処理設備の所定の位置に配置した後、インジェクションランス4を溶銑5に浸漬させ、インジェクションランス4から鉄鉱石、焼結鉱、ミルスケールなどからなる酸化鉄を、酸素ガスを搬送用ガスとして溶銑5に吹き込んで脱珪・脱燐処理を開始する。但し、上吹きランス3からは酸素ガスを供給することなく脱珪・脱燐処理を開始する。酸化鉄中の酸素及び酸素ガス中の酸素と溶銑中の珪素とが反応して、SiO2 を主体とするスラグが形成されて脱珪反応(Si+2O→SiO2)が進行する。溶銑に含有される成分の中で酸化反応により除去される成分は、珪素、燐、炭素、マンガンであるが、酸素との親和力は珪素が最も強く、しかも、高炉から出銑された溶銑5には、珪素が0.2〜0.4質量%程度、燐が0.08〜0.2質量%程度、炭素が4.0〜4.7質量%程度、マンガンが0.2〜0.4質量%程度含有されているので、溶銑5に酸素を供給すると、脱珪反応が優先的に進行する。本発明の脱珪・脱燐処理においては、脱珪反応が優先的に進行する期間を脱珪期間と称し、その後の脱燐反応が進行する期間を脱燐期間と称する。
この場合、混銑車炉体2を適当な角度に傾転させておき、脱珪反応によって生成するSiO2 を主体とするスラグを混銑車炉体2から流出させるようにしてもよい。また、生成するスラグの塩基度を調整するために、生石灰などを溶銑5に上置き投入する、或いは、インジェクションランス4を介して溶銑5に吹き込むなどしてもよい。尚、使用する溶銑5としては、脱珪・脱燐処理を施すことから、予め脱珪処理する必要はないが、高炉鋳床などで或る程度の脱珪処理を予め施した溶銑であっても構わない。
ガス分析器8で排ガス中のCO2 ガス濃度を分析しながら上記の精錬を継続する。脱珪反応が主体である場合には、脱炭反応(C+O→CO)は起こらないので、排ガス中のCO2ガス濃度は1体積%以下、実質的にゼロであるが、脱珪反応によって溶銑中の珪素が減少するに伴って脱炭反応が並行して発生する。脱炭反応が起こると、脱炭反応の反応生成物であるCOガスが生成される。雰囲気が高温であることから、このCOガスの一部は空気中の酸素と反応してCO2ガスが生成され、排ガス中のCO2 ガス濃度が徐々に上昇してくる。尚、脱炭反応の反応生成物であるCOガスが空気中の酸素や供給する酸素ガスによってCO2ガスに燃焼することを「二次燃焼」と称している。
つまり、脱珪反応が進行して溶銑中の珪素濃度が減少すると、排ガス中のCO2 ガス濃度が上昇してくるので、本発明では、排ガス中のCO2ガス濃度の立ち上がりが検知されたなら、これ以降を脱燐期間とみなし、脱燐反応(2P+5O→P25 )に適し且つ溶銑温度を上昇させることのできる精錬方法に切りかえる。排ガス中のCO2ガス濃度が立ち上がったと検知する時期は、例えばCO2 ガス濃度が1〜2体積%になった時点などとすればよい。検知時期に1分間程度の誤差が生じても何ら問題にならない。
従って、排ガス中のCO2 ガス濃度の立ち上がりが検知されたなら、上吹きランス3からの酸素ガスの供給を開始するとともに、インジェクションランス4の搬送用ガスをArガスや窒素ガスなどの不活性ガスとし、この不活性ガスとともに酸化鉄をインジェクションランス4から溶銑5に吹き込む。インジェクションランス4からの酸素ガスの吹き込みは停止する。
溶銑5の脱燐反応は、酸化鉄中の酸素或いは酸素ガス中の酸素と、溶銑中の燐とが反応して燐酸化物(P25 )が形成され、この燐酸化物がスラグに吸収されることによって進行する。この場合、スラグの燐酸化物の吸収能はスラグの塩基度(CaO/SiO2)が高いほど高くなるので、脱燐能に優れたスラグを形成させるために、排ガス中のCO2 ガス濃度の立ち上がりが検知されたなら、CaO系脱燐精錬剤を溶銑5に添加する。CaO系脱燐精錬剤の添加方法は、溶銑5に上置き添加する、または、不活性ガスを搬送用ガスとしてインジェクションランス4を介して吹き込み添加する、若しくは両者を併用する、などして行えばよい。生成されるスラグの塩基度(CaO/SiO2)が質量比で1.5〜3.0程度になるように、CaO系脱燐精錬剤の添加量を調整することが好ましい。この脱燐期間においては、混銑車炉体2からスラグを排出する必要はなく、逆にCaO系脱燐精錬剤を無駄にしないためには、スラグは排出しない方が好ましい。尚、CaO系脱燐精錬剤の添加量を少なくするためにも、脱珪期間で生成するSiO2を主体とするスラグは混銑車炉体2から排出させることが好ましい。
上吹きランス3から供給される酸素ガス及びインジェクションランス4から吹き込まれる酸化鉄によって脱燐反応が進行し、且つ、脱炭反応も進行する。この脱炭反応で生成したCOガスは、上吹きランス3から供給される酸素ガスによって二次燃焼され、この二次燃焼熱によって溶銑5は加熱される。また、上吹き酸素ガスの一部は二次燃焼に費やされるので、上吹き酸素ガスによる溶銑5の過剰な酸化が防止され、これによって溶銑5の脱炭反応が抑制される。
溶銑中の燐濃度が所定値になったなら、酸素ガス及び酸化鉄の供給を停止し、脱珪・脱燐処理を終了する。
このようにして溶銑5の脱珪・脱燐処理を実施することで、溶銑5は二次燃焼熱により加熱され、脱珪・脱燐処理終了時には、従来に比べて高い温度の溶銑5を得ることができる。その結果、溶銑5の熱余裕が増大し、次工程の転炉脱炭精錬では、鉄スクラップの配合量を従来に比べて増加させることが可能となる。
尚、本発明は上記説明の範囲に限るものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記説明では処理容器として混銑車1を用いているが、混銑車1の代わりに溶銑鍋としても上記に沿って本発明を適用することができる。また、インジェクションランスを二重管構造とし、内部から酸素ガスを供給し、その周囲から不活性ガスを搬送用ガスとして酸化鉄を吹き込むようにしてもよい。
図1に示す溶銑予備処理設備を用い、混銑車に収容された約320トンの溶銑に本発明を適用して脱珪・脱燐処理した例(本発明例)を説明する。脱珪・脱燐処理前の溶銑成分は、炭素(C):4.40質量%、珪素(Si):0.20質量%、燐(P):0.15質量%に調整し、溶銑温度は1370℃に調整した。
この溶銑に対してインジェクションランスから、酸素ガスを0.05〜0.08Nm3 /分・トンの供給速度で溶銑に吹き込むとともに、この酸素ガスを搬送用ガスとして酸化鉄(鉄鉱石)を1.1〜1.5kg/分・トンの供給速度で溶銑に吹き込み、集塵ダクトに設置したガス分析器で排ガス中のCO2ガス濃度及びCOガス濃度を分析しながら、脱珪・脱燐処理を開始した。混銑車は傾転させ、生成するスラグを混銑車炉体から排出させながら処理を続けた。
処理開始後、約10分経過した時点で排ガス中のCO2 ガス濃度の立ち上がりが確認されたので、混銑車を垂直に戻し、インジェクションランスからの酸素ガス供給を停止し、代わりに窒素ガスを搬送用ガスとして、酸化鉄(鉄鉱石)を1.1〜1.5kg/分・トンの供給速度で溶銑に吹き込み、且つ、上吹きランスから酸素ガスを0.05〜0.08Nm3/分・トンの供給速度で溶銑に向けて吹き付けた。また、上吹きランスからの酸素ガスの供給に先立ち、95質量%CaO−5質量%CaF2 の脱燐精錬剤を5〜6kg/トンの添加量で溶銑上に上置き添加した。処理末期には、インジェクションランスからの酸化鉄(鉄鉱石)の供給速度を0.7〜1.0kg/分・トンに低下させた。
また、比較のために、処理の開始から、インジェクションランスから、酸素ガスを0.05〜0.08Nm3 /分・トンの供給速度で溶銑に吹き込むとともに、この酸素ガスを搬送用ガスとして酸化鉄(鉄鉱石)を1.1〜1.5kg/分・トンの供給速度で溶銑に吹き込み、且つ、上吹きランスから酸素ガスを0.05〜0.08Nm3/分・トンの供給速度で溶銑に向けて吹き付けた脱珪・脱燐処理も実施(比較例)した。そして、処理末期には、インジェクションランスからの酸化鉄(鉄鉱石)の供給速度を0.7〜1.0kg/分・トンに低下させた。比較例において、脱燐精錬剤の種類、使用量、投入時期、脱珪期間のスラグの排出など、酸素源の供給速度以外の条件は本発明例と同一にした。
図2は、本発明例による脱珪・脱燐処理方法における酸素源の供給パターンと、溶銑中の炭素濃度、珪素濃度、燐濃度及び排ガス中のCO2 ガス濃度及びCOガス濃度の推移を示す図である。同様に、図3は、比較例による脱珪・脱燐処理方法における酸素源の供給パターンと、溶銑中の炭素濃度、珪素濃度、燐濃度及び排ガス中のCO2ガス濃度及びCOガス濃度の推移を示す図である。
図2及び図3を比較すると明らかなように、本発明例においては、脱炭反応によって生成したCOガスは、二次燃焼されて比較例に比べて約2体積%低下し、逆に、排ガス中のCO2 ガス濃度は、比較例に比べて約0.5体積%増加した。また、溶銑中の珪素及び燐の挙動は本発明例と比較例とで大差はないが、溶銑中の炭素濃度は本発明例では比較例に比べて処理終了時点で約1質量%増加した。つまり、溶銑の脱炭反応が抑制された。
また、処理終了時の溶銑温度は本発明例では平均値で1265℃であったのに対し、比較例では1250℃であり、本発明例では約15℃溶銑温度が上昇した。
このように本発明例においては、溶銑温度が従来に比べて高くなるとともに、溶銑中の炭素濃度が高く維持されることから、次工程の転炉脱炭精錬では熱余裕が増大し、鉄スクラップの配合量を従来に比べて増加させることが可能であった。
混銑車に収容された溶銑に対して本発明の脱珪・脱燐処理を実施している様子を示す概略図である。 本発明例における酸素源の供給パターンと、溶銑中の炭素濃度、珪素濃度、燐濃度及び排ガス中のCO2 ガス濃度及びCOガス濃度の推移を示す図である。 比較例における酸素源の供給パターンと、溶銑中の炭素濃度、珪素濃度、燐濃度及び排ガス中のCO2 ガス濃度及びCOガス濃度の推移を示す図である。
符号の説明
1 混銑車
2 混銑車炉体
3 上吹きランス
4 インジェクションランス
5 溶銑
6 集塵フード
7 集塵ダクト
8 ガス分析器

Claims (3)

  1. 処理容器内の溶銑を酸化鉄及び酸素ガスを用いて脱珪処理した後に脱燐処理する溶銑の脱珪・脱燐処理方法において、先ず、酸素ガスを上吹きすることなく、酸化鉄及び酸素ガスを溶銑中に吹き込んで処理を開始し、次いで、該処理中に計測される排ガスのCO2 ガス濃度の立ち上がりが検知された以降、酸素ガスを溶銑中に吹き込むことなく、酸素ガスを上吹きするとともに不活性ガスを搬送用ガスとしてCaO系脱燐精錬剤及び酸化鉄を溶銑中に吹き込んで処理することを特徴とする、溶銑の脱珪・脱燐処理方法。
  2. 排ガスのCO2 ガス濃度の立ち上がりが検知された以降、更に、CaO系脱燐精錬剤を処理容器内に上置き投入することを特徴とする、請求項1に記載の溶銑の脱珪・脱燐処理方法。
  3. 処理容器内の溶銑を酸化鉄及び酸素ガスを用いて脱珪処理した後に脱燐処理する溶銑の脱珪・脱燐処理方法において、先ず、酸素ガスを上吹きすることなく、酸化鉄及び酸素ガスを溶銑中に吹き込んで処理を開始し、次いで、該処理中に計測される排ガスのCO2 ガス濃度の立ち上がりが検知された以降、CaO系脱燐精錬剤を処理容器内に上置き投入し、且つ、酸素ガスを溶銑中に吹き込むことなく、酸素ガスを上吹きするとともに不活性ガスを搬送用ガスとして酸化鉄を溶銑中に吹き込んで処理することを特徴とする、溶銑の脱珪・脱燐処理方法。
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