JP2008157397A - シールリング - Google Patents
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Abstract
【課題】合口を押し拡げるときに永久変形や折損が生じないカットタイプのシールリングを提供することである。
【解決手段】合口対向部3を含む近傍領域を内径側へ凸形状となる厚肉部4とし、厚肉部4の凸形状となった内径側を、両側の隣接領域と滑らかなテーパ形状5で接続することにより、合口2を押し拡げるときの曲げひずみが、両側の薄肉の隣接領域との境界に集中しないようにし、永久変形や折損が生じないようにした。
【選択図】図1
【解決手段】合口対向部3を含む近傍領域を内径側へ凸形状となる厚肉部4とし、厚肉部4の凸形状となった内径側を、両側の隣接領域と滑らかなテーパ形状5で接続することにより、合口2を押し拡げるときの曲げひずみが、両側の薄肉の隣接領域との境界に集中しないようにし、永久変形や折損が生じないようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、円周方向の一箇所に切断された合口を有するカットタイプのシールリングに関する。
自動車の自動変速機や無段変速機の油圧装置等に用いられるシールリングには、無端状のエンドレスタイプのものと、円周方向の一箇所に切断された合口を有するカットタイプのものとがある。カットタイプのものは、合口を押し拡げるように拡径してシール溝に装着できるので、金属製のものと樹脂製のものがあり、エンドレスタイプのものは、金属製では拡径できないので、樹脂製のものに限定される。
前記カットタイプのシールリングは、合口を押し拡げてシール溝に装着する際に、合口と円周の反対側で対向する合口対向部に曲げモーメントが集中し、合口対向部で永久変形や折損が生じる恐れがある。特に、射出成形で形成された樹脂製のものは、均一な射出成形体を得るために、通常、樹脂を注入するゲート部が、シールリングの中央部となる合口対向部に設けられ、合口対向部の強度が若干弱くなるので、変形や折損が生じやすい。
このような問題に対して、樹脂製のシールリングの合口対向部を含む近傍領域を、内径側へ凸形状となる厚肉部とし、合口対向部の強度を高めたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載されたシールリングは、合口対向部での永久変形や折損は防止できるが、厚肉部とした合口対向部の曲げ剛性が大きくなるので、合口を押し拡げるときの曲げひずみが、厚肉部と段差で接続された両側の薄肉の隣接領域との境界に集中するようになり、この隣接領域との境界で永久変形や折損が生じる恐れがある。
そこで、本発明の課題は、合口を押し拡げるときに永久変形や折損が生じないカットタイプのシールリングを提供することである。
上記の課題を解決するために、本発明は、円周方向の一箇所に切断された合口を有し、この合口と円周の反対側で対向する合口対向部を含む近傍領域を、内径側へ凸形状となる厚肉部としたシールリングにおいて、前記厚肉部の凸形状となった内径側を、両側の隣接領域と滑らかな形状で接続した構成を採用した。
すなわち、厚肉部の凸形状となった内径側を、両側の隣接領域と滑らかな形状で接続することにより、合口を押し拡げるときの曲げひずみが、両側の薄肉の隣接領域との境界に集中しないようにし、永久変形や折損が生じないようにした。
前記厚肉部の内径側を両側の隣接領域と接続する滑らかな形状は、厚肉部から両側の隣接領域へ傾斜するテーパ形状とすることができる。
上述した各シールリングは、射出成形で形成された樹脂製のものに好適である。
前記シールリングを射出成形で形成する樹脂としては、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等のポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)等のポリイミド樹脂、46ナイロン、9Tナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリシアノアリールエーテル樹脂等や、これらの混合物を用いることができる。また、必要に応じて、これらの樹脂材料に、炭素繊維、ガラス繊維等の繊維状補強材、マイカ、タルク等の鱗状補強材、チタン酸カリウムウィスカ等の微小繊維補強材、球状シリカ、球状炭素等の充填材、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、グラファイト、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等の摺動補強材等を配合することもできる。
本発明のシールリングは、厚肉部の凸形状となった内径側を、両側の隣接領域と滑らかな形状で接続することにより、合口を押し拡げるときの曲げひずみが、両側の薄肉の隣接領域との境界に集中しないようにしたので、カットタイプのシールリングに永久変形や折損が生じないようにすることができる。
以下、図面に基づき、この発明の実施形態を説明する。図1(a)、(b)に示すように、このシールリング1は矩形断面とされ、円周方向の一箇所に切断された合口2を有するカットタイプのものであり、合口2と円周の反対側で対向する合口対向部3を含む近傍領域が内径側へ凸形状となる厚肉部4とされ、この厚肉部4の内径側が、両側の薄肉の隣接領域と滑らかなテーパ形状5で接続されている。
前記シールリング1は、PEEKに炭素繊維を配合して射出成形で形成した樹脂製のものであり、合口2の両側にも内径側へ凸形状となる厚肉部6が形成され、その内径側が隣接領域と段差で接続されている。この厚肉部6と合口対向部3側の厚肉部4の内径側側面には、射出成形型から離型する際の突き出しピンが押し当てられ、シール面となる外径側側面に突き出しピンの跡が付かないようにされている。
図2(a)、(b)は、上述した厚肉部4の内径側を隣接領域と滑らかなテーパ形状5で接続したもの(実施例)と、特許文献1に記載されたように、厚肉部4の内径側を隣接領域と段差11で接続したもの(比較例)について、合口2を押し拡げたときの、厚肉部4と隣接領域との境界部分における曲げひずみεの分布を示す。なお、曲げひずみεの分布は左右対称であるので、図2(a)、(b)は片側の半円分のみを示す。いずれの場合も、剛性の大きい厚肉部4では曲げひずみεがほとんど生じないが、図2(b)に示した比較例のものでは、曲げひずみεが段差11の部分に集中し、その最大値εMAXが非常に大きくなる。これに対して、図2(a)に示した実施例のものでは、曲げひずみεがテーパ形状5の部分に分散し、その最大値εMAXもかなり小さくなる。したがって、実施例のものでは、合口2を押し拡げるときに、厚肉部4と隣接領域との境界部分で永久変形や折損が生じることはない。
上述した実施形態では、シールリングの断面形状を矩形断面とし、合口対向部近傍の厚肉部を両側の隣接領域とテーパ形状で接続したが、この隣接領域との接続は滑らかであればよく、緩やかなR形状等で接続することもできる。
また、上述した実施形態では、射出成形で形成された樹脂製のものとし、その断面形状を矩形断面としたが、本発明に係るシールリングは、切削加工等の他の方法で形成された樹脂製のものや金属製のものにも適用することができ、断面形状も矩形断面のものに限定されることはない。なお、射出成形で形成された樹脂製のものでない場合は、合口の両側の厚肉部は不要とすることができる。
1 シールリング
2 合口
3 合口対向部
4 厚肉部
5 テーパ形状
6 厚肉部
2 合口
3 合口対向部
4 厚肉部
5 テーパ形状
6 厚肉部
Claims (3)
- 円周方向の一箇所に切断された合口を有し、この合口と円周の反対側で対向する合口対向部を含む近傍領域を、内径側へ凸形状となる厚肉部としたシールリングにおいて、前記厚肉部の凸形状となった内径側を、両側の隣接領域と滑らかな形状で接続したことを特徴とするシールリング。
- 前記厚肉部の内径側を両側の隣接領域と接続する滑らかな形状を、厚肉部から両側の隣接領域へ傾斜するテーパ形状とした請求項1に記載のシールリング。
- 前記シールリングが、射出成形で形成された樹脂製のものである請求項1または2に記載のシールリング。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006349021A JP2008157397A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | シールリング |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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JP2006349021A Pending JP2008157397A (ja) | 2006-12-26 | 2006-12-26 | シールリング |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015148339A (ja) * | 2008-11-07 | 2015-08-20 | サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション | 大直径熱可塑性シール |
JP2015218790A (ja) * | 2014-05-15 | 2015-12-07 | Nok株式会社 | シールリング |
JP2015218791A (ja) * | 2014-05-15 | 2015-12-07 | Nok株式会社 | シールリング |
JPWO2021251319A1 (ja) * | 2020-06-09 | 2021-12-16 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS5615437A (en) * | 1979-07-11 | 1981-02-14 | Toray Industries | Production of fabric |
JP2004353760A (ja) * | 2003-05-29 | 2004-12-16 | Ntn Corp | 樹脂製シールリング |
-
2006
- 2006-12-26 JP JP2006349021A patent/JP2008157397A/ja active Pending
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WO2021251319A1 (ja) * | 2020-06-09 | 2021-12-16 | Nok株式会社 | 密封構造 |
JP7375197B2 (ja) | 2020-06-09 | 2023-11-07 | Nok株式会社 | 密封構造 |
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