JP2007232433A - 自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】チムニ11は、原子炉圧力容器に内蔵したチムニ胴11dによって、冷却材が流れる流路Rを形成されている。チムニ胴11d内には、冷却材の流路Rをそれぞれ形成する管11bが上下方向に向けて複数配設されている。管11bは、それぞれの管11bと管11bとの間に、隙間Lを介在して配置すると共に、少なくとも一部、または、全部が高耐食性金属から形成されている。
【選択図】図2
Description
この自然循環式沸騰水型原子炉の炉内構造物では、中性子の照射を受けることと、高温水中で使用されることとによって、材料の硬さやクリープといった機械的特性の変化、および応力腐食割れが発生して、材料が劣化するという問題点がある(例えば、非特許文献1参照)。
また、炉内構造物における応力腐食割れは、一般に、使用環境の水質条件の悪化と、負荷応力の増加と、材料組織の変化とが重畳したときに発生すると言われている。
また、耐食性金属は、一般的に高価で、かつ硬度が高いため、加工性が悪く、複雑形状の炉内構造物の機器には適用が難しいという問題点がある。
そして、チムニは、冷却材によって腐食するので定期的な交換が必要なため、全体が一体型で製作された場合には、チムニ全体を交換しなければならないので、管理コストがかかるという問題点もある。
さらに、耐食性金属を用いてチムニを製作する場合には、費用が嵩むだけでなく、さらに、加工性が悪いため、切削加工や形彫加工が難しいという問題点がある。
その結果、チムニ胴内の胴内流路を流れる冷却材の流れが整流化される。
その結果、各管は、平板部材を折り曲げて一辺のみを溶接すれば製作が可能であり、安価に製造することができるようになる。例えば、1本の管が腐食、または、照射損傷した場合には、その1本の管のみを交換することができるので、交換する作業が容易で、短時間で行えるため、材料コストや管理コストや放射性廃棄物量の増大を抑制することができる。
さらに、チムニ胴内に配設された管は、高耐食性金属から形成されていることにより、材料の劣化を抑制することができる。
まず、図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニを説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの設置状態を示す概略断面図である。
まず、図1を参照して自然循環式沸騰水型原子炉1を説明する。
自然循環式沸騰水型原子炉(以下、単に「原子炉」という)1は、再循環ポンプを用いないで自然循環によって、原子炉1内の冷却材(軽水)を駆動させる方式のものである。この原子炉1は、原子炉圧力容器6内に核燃料が装荷された燃料集合体21を設置し、炉心7で原子炉1内を循環する冷却材(軽水)を沸騰させて、水と蒸気の気液から水を分離する気水分離器12と通過し、さらに、蒸気を乾燥させる蒸気乾燥器14を通過した蒸気を使ってタービン2を回転させ、発電機(図示せず)を回転させて発電を行うものである。
その代わり、原子炉1の炉心7の上には、チムニ11と呼ばれる構造物が設置され、水を自然循環させる仕組みになっている。
炉心シュラウド9と、原子炉1の内壁との間には、胴外流路R1を下降した冷却材を炉心7の下部の炉心下部プレナム10に導き入れる下流流路が形成されている。
炉心7の上には、炉心7から出た気液二相流の冷却材を上方に導いて自然循環駆動力を増加させるチムニ11が設けられている。
次に、図1および図2を参照してチムニ11を説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニに内設される管を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図、(c)は胴内流路を流れる冷却材の説明図である。
以下、本第1実施形態では、管11bとして四角管を例に挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、断面が多角形や円形等であっても、管状を形成していれば同様の効果がある。
図1に示すチムニ胴11dは、原子炉圧力容器6の内径より小さな内径で形成された円筒状体からなる。このチムニ胴11dは、原子炉圧力容器6の内壁に、所定間隔を介して炉心7の上に配設することにより、冷却材が気水分離器12から炉心下部プレナム10側に流れる環状の胴外流路R1と、冷却却材が炉心シュラウド9の内側を上方にシュラウドヘッド12a側に流れる略格子状の胴内流路R2と、を形成している。
チムニ胴11dの上方には、複数の管11bによって個々の格子状の流路Rとなった胴内流路R2から上方に流れる冷却材を、チムニ11内の上部で合流するようするために、上部プレナム11cが設けられている。
チムニ胴11dの下端は、上部格子板23に環状に形成された係合部23a(図2(b)参照)に装着されて、胴外流路R1を下降する冷却材と、炉心7を出た冷却材とが混じり合わないような組み合わせ構造になっている。
図2(b)に示す上部格子板23は、チムニ胴11d(図2(c)参照)の下端部に配設される略円盤状の部材であって、各管11bを所定間隔で直立した状態に保持するための係合部23aが、格子状に配置して穿設されている。
係合部23aは、例えば、大きさが30cm×30cmの平面視して正方形の貫通孔を切削加工して形成されている。
次に、図2(a)、(b)、(c)を参照してチムニ胴11d内に配設される管11bを説明する。
図2(a)、(b)に示すように、各管11bは、起動時にチムニ胴11d内の上向き方向の圧力降下に伴なってフラッシング(沸騰)が生じ、これに起因する冷却材の流動応力によって当該管11bが振動する流動不安定現象等を解消して安定化させるために、胴内流路R2(図2(c)参照)を水平方向に多数配置して細分化するものである。
すなわち、各管11bは、前後左右方向(平面方向)に対して1つ置きに配置され、斜め左右方向に連続して千鳥状に配置されて、それぞれの管11bが規則正しく均一に上部方向に向けて垂直に配置されている。
なお、管11bと上部格子板23との接続方法は、溶接手段であってもよく、特に限定されない。
ここで、前記のように配置された管11bの作用効果を前もって説明する。
このように配設された管11bは、1つ1つが個々の状態に、所定間隔の隙間Lを介して配列されていることにより、それぞれの管11b同士を溶接して連結することが不要となるため、溶接箇所や溶接量を従来と比較して少なくすることができる。
その結果、溶接時の熱等による変形や、残留応力や、圧力変動荷重に対する強度の減少等を抑制することができる。
また、それぞれの管11bと管11bとの間には、隙間Lがあるため、流路壁面にかかる圧力変動荷重を減少させて、冷却材の流れをスムーズにすることができる。
その結果、チムニ胴11dに中心側に配設された内周側管11iを流れる冷却材の流量は、その流速Vに比例して多くなるため、内壁11g側に配置された内周側管11iを流れる冷却材より多量の冷却材が流れて通過することになる。
このため、チムニ胴11dに中心側に配設された流心側管11hは、フラッシングによるボイド(蒸気泡)によって腐食し易く、また、中性子の照射量が高く照射損傷を受け易くなっている。
このようなことからも、中性子束の低下と共に材料劣化の可能性も低下すると考えることができるため、炉心7に近接した部位のみを高耐食性金属で形成した管11b(流心側管11h)にすれば、材料劣化や腐食損傷の発生を抑制できることになる。
そこで、本発明の第1実施形態では、図2(a)、(b)、(c)に示すように、チムニ胴11dの中央部に配置される流心側管11hは、例えば、ジルカロイあるいはジルコニウムを含有するジルコニウム合金等の高耐食性金属で形成された断面が四角形の筒状体からなる。それ以外の管11b、すなわち、チムニ胴11dの内壁11g側に配置される内周側管11iは、ステンレス鋼から形成されている。
ステンレス鋼は、例えば、高温での耐酸化性と、高純水およびアルカリに対する耐蝕性とに優れ、応力腐食割れに強いインコネル600(商品名)やAlloy600(商品名)等の高ニッケル合金からなる。
気水分離器12の上部には、蒸気乾燥器14が設けられ、気水分離器12を出た飽和蒸気に含まれる湿分を除去されて、タービン2に飽和蒸気が送られるようになっている。
一方、飽和水は、矢印Dで示すように、原子炉圧力容器6内の冷却材に混合され、給水入口ノズル16から供給される冷却材とさらに混合されて、再び胴外流路R1を下降して原子炉圧力容器6内を循環する。
本発明の第1実施形態における管11bは、このように設けられたことにより、次のような作用および効果を奏する。
(a) 管11bは、図2(c)に示すように、管11b内が空洞であるため、沸騰した水や蒸気が通過することが可能であり、また、管11bをそれぞれ1本ずつ単体で上部格子板23から取り外すことや交換することも容易にできるようになる。
例えば、参考図書(火力原子力発電必携、改訂第6版、P243)によれば、中性子の吸収特性はホウ素入りステンレス鋼に対して、ジルカロイが1/20である。
次に、図3〜図6を参照して、チムニ11の後部等に照射損傷が発生した場合の処理について、従来の管一体型チムニ(図示せず)と比較しながら説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニに照射損傷が発生した場合の処理作業の手順を示す工程図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの移送手順を示す概略図である。
次に、燃料を図4に示すクレーン42bによって原子炉1内から取り出し(ステップS4)、さらに、使用済みの腐食損傷したチムニ11をクレーン42bによって原子炉1内から旧チムニを取り出す(ステップS5)。
続いて、図5に示すように、仮置き切断用プール42aの水中内に配置された前記腐食損傷したチムニ11は、架台に移動自在に設置された上下移動装置42cによって廃棄用の切断装置42dを上下動させることによって廃棄できるような適当な大きさに裁断される(ステップS7)。
なお、このときの切断作業は、管11bを3箇所、あるいは、4箇所程度を輪切りにするだけなので、短時間で作業が完了する。
このように、チムニ11は、腐食損傷した管11bのみを交換するため、低コストで腐食損傷の対策が可能であり、移送作業や切断作業も短時間に実施できる。その結果、付帯設備や放射性廃棄物発生量を極力抑制することができる。
次に、図6に示すように、原子炉圧力容器6内に新品のチムニ(新品の管11b)11をクレーン42bによって設置する(ステップS10)。
また、仮置き切断用プール42aは、水面での放射線量の増加を防止するために、所定の水深を確保しなければならないが、新品のチムニ11は、1本ずつになっていることにより、体積が少ないので、水の量が少なくて済む。
さらに、管11bが放射化されている場合でも、横方向へ寝かせた状態で設置すれば、水深が浅くても、チムニ11の交換作業を行うことができるため、水の量が少なくて済む。
このような水を用いない密閉容器の場合、例えば、従来の一体型チムニでは、チムニが大型であるため、鉛板等の遮蔽物が多量必要となるが、これに対して、本発明のチムニ11では、各管11bが完全に一体になっていないので、一本ずつにすれば、体積が小さくなるため、使用する遮蔽物の量が少なくて済む。
さらに、解体されたチムニ11は、全て廃棄保管プールへ移送され、放射性廃棄物として管理されるが、このときも、交換する管11bの数が少なくて済むため、廃棄保管プールが小さくて済む。
さらに、管11bは、それぞれの管11bと管11bの間に、隙間L(図2(a)、(b)、(c)参照)を介在して互い違いに配置すると共に、高耐食性金属から形成したことにより、不溶解性の放射性物質が付着し難く、かつ、剥がれ易いため、管11bの交換作業時に放射線の遮蔽設備を簡素化することができる。
また、炉心7(流心)に近接した部分のみ高耐食性金属製の管11bを用いることでも解決できる。
このように、本発明は、管11bを単体で交換できることから、放射性廃棄物量も少量に抑制できる。
次に、図7(a)、(b)を参照して、本発明の第2実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11Aを説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの管を示す図あり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
なお、図1および図2に示した第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11Bを説明する。
図8は、本発明の第3実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの管と、水および蒸気の流れを示す説明図である。
を示す説明図である。
なお、図1および図2に示した第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
次に、図9、および図10(a)、(b)、(c)を参照して、本発明の第4実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11Cを説明する。
図9は、本発明の第4実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの管に使用される金属材料の特性を示す表である。図10は、本発明の第4実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの管を示す図であり、(a)はステンレス鋼管の製造手順を示す工程図、(b)はジルコニウム合金管の製造手順を示す工程図、(c)はステンレス鋼管とジルコニウム合金管との接合部を示す要部拡大断面図である。
なお、図1、図2、および図7に示した第1〜3実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11,11A,11Bと同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
そこで、図10(c)に示すように、接合時に熱を発生しない材料からなるリベット48によって、ジルコニウム合金管45Cとステンレス鋼管46Cとを接合することが好ましい。
この四角管は、例えば、平板部材を端面から等間隔で直角に折り曲げて、接合部40Bを溶接すれば製作することができる。これは、加工性が悪い高耐食性金属であっても、切削することなく、折り曲げる塑性加工であるため、容易に実施可能である。
このようにして形成されたジルコニウム合金管45Cと、ステンレス鋼管46Cは、図10(c)に示すように、リベット48で連結する。
次に、図11(a)、(b)を参照して、本発明の第5実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニを説明する。
図11は、本発明の第5実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉のチムニの管を示す図であり、(a)は接続部分の部分拡大斜視図、(b)は接続部分の拡大断面図である。
なお、図1および図2に示した第1実施形態に係る自然循環式沸騰水型原子炉1のチムニ11と同一機能を有する部材には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
6 原子炉圧力容器
9 ダウンカマ
11,11A,11B,11C,11D チムニ
11b,44A,44B,44C、44D 管
11d チムニ胴
11h 流心側管
11i 内周側管
40A,40B 接合部
41A,41B 連結部
45A,45B,45C,45D ジルコニウム合金管
46A,46B,46C,46D ステンレス鋼管
L 隙間
R 流路
R1 胴外流路
R2 胴内流路
R3 管内流路
R4 管外流路
Claims (7)
- 原子炉圧力容器に内蔵したチムニ胴によって、冷却材が流れる流路を形成した自然循環式沸騰水型原子炉のチムニであって、
前記チムニ胴内には、前記冷却材の流路をそれぞれ形成する管が上下方向に向けて複数配設され、
前記管は、それぞれの管と管との間に、隙間を介在して配置すると共に、少なくとも一部、または、全部が高耐食性金属から形成されていることを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。 - 原子炉圧力容器に内蔵したチムニ胴によって、冷却材が流れる流路を形成した自然循環式沸騰水型原子炉のチムニであって、
前記チムニ胴内には、前記冷却材の流路をそれぞれ形成する管が上下方向に向けて複数配設され、
前記管は、管と管との間に、隙間を介在して配置すると共に、
前記チムニ胴の流心に近接した部位に配置した流心側の管が、高耐食性金属から形成されていることを特徴とする自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。 - 前記高耐食性金属は、ジルカロイあるいはジルコニウムを含有する合金からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
- 前記チムニ胴内に配置された前記管は、ジルコニウム合金からなるジルコニウム合金管と、ステンレス鋼からなるステンレス鋼管とを連設してなることを特徴とする請求項1に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
- 前記チムニ胴内に配置された複数の前記管は、前記チムニ胴の流心側に配置した流心側管が、ジルコニウム合金からなり、
前記チムニ胴の内周側に配置した内周側管が、ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項2に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。 - 前記チムニ胴の流心側に配置した流心側管は、ステンレス鋼管に対して、ジルコニウム合金管の占める割合を多くして配置すると共に、
前記チムニ胴の内周側に近接した部位に配置した内周側管は、前記ジルコニウム合金管に対して、前記ステンレス鋼管の占める割合を多くして配置したことを特徴とする請求項4に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。 - 前記流路は、前記原子炉圧力容器の内壁とチムニ胴の外壁とで形成した胴外流路と、前記チムニ胴の内壁内に形成された胴内流路とからなると共に、
前記胴内流路は、前記管内を冷却材が流れる管内流路と、前記管外を前記冷却材が流れる管外流路とからなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の自然循環式沸騰水型原子炉のチムニ。
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