JP2007138325A - 不織布用エマルション - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリル酸を必須単量体成分とした酸価が200mgKOH/g以上である水溶性重合体の中和物の存在下に、アクリル酸アルキルを必須成分とする単量体混合物を乳化重合させることにより得られるガラス転移温度が80℃以下の不織布用エマルション。
該水溶性重合体の中和物のpHが3〜6.5であり、該単量体混合物がアクリル酸アルキル、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを必須成分とするものであって、アクリル酸アルキルの割合が該混合物に対し55質量%以上であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
〔1〕アクリル酸を必須単量体成分とした酸価が200mgKOH/g以上である水溶性重合体の中和物の存在下に、アクリル酸アルキルを必須成分とする単量体混合物を乳化重合させることにより得られるガラス転移温度が80℃以下の不織布用エマルション。
〔2〕水溶性重合体の中和物のpHが3〜6.5である〔1〕に記載の不織布用エマルション。
〔3〕水溶性重合体がアクリル酸、またはアクリル酸単量体と、アクリル酸アルキル、(メタ)アクリルアミドおよびアクリルアミドアルカンスルホン酸(塩)からなる群より選ばれた1種以上の単量体を共重合させたものである〔1〕〜〔2〕のいずれかに記載の不織布用エマルション。
〔4〕アクリル酸アルキルを必須成分とする単量体混合物が、混合物の全単量体に対しアクリル酸アルキルの割合が55質量%以上のものである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の不織布用エマルション。
〔5〕アクリル酸アルキルを必須成分とする単量体混合物が、アクリル酸アルキル、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを必須成分とするものである〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の不織布用エマルション。
〔6〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の不織布用エマルションおよびセルロース系繊維からなる不織布。
である。
その他の共重合体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル等のアクリル酸アルキル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類(なお、アクリルアミドとメタクリルアミドを総称して(メタ)アクリルアミドという)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドブタンスルホン酸等のアクリルアミドアルカンスルホン酸(その塩であってもよい。塩として用いる場合はナトリウム塩、カリウム塩などが例示され、ナトリウム塩が好ましい。以下、アクリルアミドアルカンスルホン酸およびその塩をアクリルアミドアルカンスルホン酸(塩)と総称する。)類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン類、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の官能基含有単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類が例示される(なお、以後アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを総称して(メタ)アクリル酸エステルという)。
柔軟性が良く、不織布に処理しやすいエマルションを得るために、その他の単量体には、アクリル酸アルキル、(メタ)アクリルアミド、アクリルアミドアルカンスルホン酸(塩)の少なくとも1種以上を使用することが好ましい。より好ましい単量体は、アクリル酸アルキルおよび/または(メタ)アクリルアミドである。
アクリル酸アルキルとしては、柔軟性や安定性を高めるために該アルキル基がC=1〜18の整数のいずれかが好ましく、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルを使用することがより好ましい。
(メタ)アクリルアミドとしては、共重合性が良い点からアクリルアミドが好ましい。
アクリルアミドアルカンスルホン酸(塩)としては、入手のし易さから2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)が好ましい。
もちろん、上記の3種類の単量体に変えて、または上記の単量体とともに、水溶性重合体の物性を損なわない範囲で、その他の単量体を共重合しても良い。
前記水溶性重合体におけるアクリル酸と前記アクリル酸アルキル等のその他単量体との比率は、該重合体の酸価が200mgKOH/g以上になるようにすれば良い。
水溶性重合体の分子量は、GPCで測定した重量平均分子量が1000〜50万であり、好ましくは3000〜5万である。1000未満となるとウェット強度が低下し、かつホルマリン発生量を十分低減できない。50万を超えると、出来上がったエマルションの粘度が高くなり、使用上の問題がある。
本発明の水溶性重合体のガラス転移温度(以下、Tgという)については、特に制限ないが、不織布の柔軟性の点から100℃未満が好適に使用できる。
かかる中和に用いる塩基性化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジメタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン類、水酸化ナトリウム等の無機水酸化物、アンモニア等が例示される。好ましい塩基性化合物は、不織布作成時の加熱により揮発可能なアンモニアである。
かかる単量体混合物と水溶性重合体の割合は、単量体混合物が100質量部に対して水溶性重合体が0.5〜50質量部(固形分換算)であり、好ましくは1〜30質量部である。0.5質量部未満であると、該エマルションのホルムアルデヒドの発生量が増え、50質量部を超えると不織布のウェット強度が低下する可能性がある。
かかるアクリル酸アルキルの使用量は、単量体混合物の全単量体を基準にして55質量%以上が最終製品の強度と柔軟性のバランスの点から好ましい。
本発明に使用するN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドとしては、 N− メトキシメチル(メタ)アクリルアミドおよび N− ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド(以下これらを架橋性アミドと総称する)では、N−メチロール(メタ)アクリルアミドがより好ましい。本発明における共重合エマルションを不織布の繊維バインダーとして使用するとき、加熱処理の工程において、該共重合体を構成する上記架橋性アミドによる自己架橋またはセルロース繊維の水酸基との架橋反応が起こり、その結果不織布の強靱性と耐水性が得られると同時に、ウェット強度が向上する。
また、もう一つの好ましい単量体は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸である。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のカルボキシル基は、架橋性アミドの自己架橋および架橋性アミドと水酸基との架橋において触媒として作用し、得られる不織布のウェット強度を向上させることができる。
以下、試験例および比較例を挙げることにより、本発明をさらに具体的に説明する。なお、各例における「部」または「%」は、いずれも質量基準である。
1)共重合体の性質
a)ガラス転移温度
共重合体を40℃で24時間乾燥した後、150℃で4分間熱処理した樹脂について、示差走査熱量測定装置〔セイコー電子工業(株) ディスクステーションSSC5200H〕で測定した。
共重合体を固形分換算で1gとり、フェノールフタレイン指示薬を添加し、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液で滴定し中和するまでの水酸化ナトリウムの固形分のmg数として求めた。
昭和49年厚生省令34号に定められたアセチルアセトン法に従って、エマルションから遊離するホルムマリンの量を評価した。既知量のホルマリン溶液で検量線を作成し、エマルションに含まれるホルマリン量をppmとして求めた。
以下の条件でGPCの測定をおこない、共重合体の分子量を算出した。
検出器 日立 L−3300 RI410nm
ポンプ 日立 L−6200
恒温槽 日立 L−5020
カラム 東ソー TSK-GEL G-6000PWxl、G-4000PWxl、G-2500PWxl
基準 ポリアクリル酸ナトリウム
溶離液 0.1M-リン酸バッファー+0.1M−NaCl 水溶液
a)評価用不織布の作成
市販のパルプ不織布を以下のように処理したものを用いて、不織布用エマルションの性能評価を実施した。繊維目付量約40グラム/m2のパルプ不織布を1時間熱水で処理したのち、40℃で24時間乾燥した。このパルプ不織布にエマルションの固形分が、繊維目付量に対して15%量付着するように含浸加工した後、150℃で4分間乾燥し、さらに190℃で1分間熱処理を実施した。
評価用不織布(以下単に試験布という)を手で触り、その風合いを市販のパルプ不織布を普通とした時、軟らかい、やや軟らかい、普通、やや硬い、硬いの5 段階で評価した。
試験布を25mm幅に裁断し、23℃で24時間水に浸漬した後、水から取り出し直ちに、引張試験機〔東洋精機(株) TENSILON/UTM−4 L〕を用いて、引張速度200mm/分、チャック間距離50mm、23℃、湿度65%の雰囲気下で引張試験を行った。
試験布を100mm×100mmの正方形に切断し、5枚を重ね、四隅をホッチキスで止めたものを、試験片とした。試験片を20℃に調整した水に静かに落とし、5枚全体が濡れるまでの時間を測定した。吸水時間が短いほどその不織布は吸水性に優れることになる。目標よりも極めて短い吸水時間が得られた場合は◎、短い吸水時間が得られた場合は○、さらに目標よりも長い吸水時間しか得られない場合は×とした。
温度計、攪拌機、還流冷却器、滴下装置および窒素導入管を備えた反応器内を窒素ガスで置換した後、イソプロピルアルコール200部を仕込んだ。別にアクリル酸50部、アクリル酸メチル50部、水100部を混ぜて単量体液とした。反応器を80℃まで加熱した後、過硫酸アンモニウムの25%水溶液を3部添加し、前記単量体液と過硫酸アンモニウムの25%水溶液を20部3時間かけて滴下した。滴下終了後1.5時間反応を継続した後、水を添加しながらイソプロピルアルコールを減圧除去した後、25%アンモニア水でpH5.5に調整することで、固形分40%、重量平均分子量8000、酸価390mgKOH/gの水溶性重合体a1を得た。
参考例1と同様にして水溶性重合体a2〜a5を得た。結果を表1に示した。
アクリル酸n−ブチル(BA)35部、アクリル酸エチル(EA)28部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)1部、N−メチロールアクリルアミド(N−MAM)1部、スチレン(St)35部を水30部およびラウリル硫酸ナトリウム0. 5部と混合し、ホモミキサーを使用して単量体混合物の乳化液を作製した。水90部、参考例1の水溶性重合体a1を10部(固形分4.0部)仕込んだフラスコを85℃に加温した後、25%過硫酸アンモニウム0.8部を添加した。次に単量体混合物の乳化液と25%過硫酸アンモニウム2部を4時間かけて滴下した。
乳化液滴下終了後、2時間放置した後冷却し、目的の不織布用エマルションを得た。結果を表2に示した。
アクリル酸n−ブチル30部、アクリル酸エチル27部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)1部、N−メトキシメチルアクリルアミド(N−MMA)2部、スチレン40部に変えた以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
アクリル酸n−ブチル60部、アクリル酸2−エチルへキシル(HA)7部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1部、N−メトキシメチルアクリルアミド2部、スチレン30部に変えた以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
アクリル酸n−ブチル40部、メタクリル酸ブチル(BMA)16部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2部、N−メチロールアクリルアミド2部、スチレン40部に変えた以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
参考例1のa1を30部(固形分12.0部)仕込んだ以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
参考例1のa1を70部(固形分28.0部)仕込んだ以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
参考例1のa1を110部(固形分44.0部)仕込んだ以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
参考例1のa3を10部(固形分4.0部)仕込んだ以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
参考例1のa2を10部(固形分4.0部)仕込んだ以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
アクリル酸ブチル16部、アクリル酸エチル26部、メタクリル酸ブチル14部、、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2部、N−メチロールアクリルアミド2部、スチレン40部に変えた以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
アクリル酸n−ブチル20部、アクリル酸エチル6部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2部、N−メチロールアクリルアミド2部、スチレン70部に変えた以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
参考例1のa4を10部(固形分4.0部)仕込んだ以外は試験例1と同様に重合した。結果を表2に示した。
スチレン35部、アクリル酸n−ブチル35部、アクリル酸エチル28部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル1部、N−メチロールアクリルアミド1部を水30部およびラウリル硫酸ナトリウム1.5部と混合し、ホモミキサーを使用して単量体エマルションを作製した。水90部、参考例1のa5を30部(固形分12.0部)仕込んだフラスコを85℃に加温した後、25%過硫酸アンモニウム0.8部を添加した。次に単量体エマルションと25%過硫酸アンモニウム2部を4時間かけて滴下した。
単量体エマルション滴下終了後、2時間放置した後冷却し、目的のエマルションを得た。結果を表3に示した。
スチレン80部、アクリル酸n−ブチル10部、アクリル酸エチル6部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2部、N−メチロールアクリルアミド2部を変えた以外は試験例1と同様に重合した。結果を表3に示した。
Claims (6)
- アクリル酸を必須単量体成分とした酸価が200mgKOH/g以上である水溶性重合体の中和物の存在下に、アクリル酸アルキルを必須成分とする単量体混合物を乳化重合させることにより得られるガラス転移温度が80℃以下の不織布用エマルション。
- 水溶性重合体の中和物のpHが3〜6.5である請求項1に記載の不織布用エマルション。
- 水溶性重合体がアクリル酸、またはアクリル酸単量体と、アクリル酸アルキル、(メタ)アクリルアミドおよびアクリルアミドアルカンスルホン酸(塩)からなる群より選ばれた1種以上の単量体を共重合させたものである請求項1〜2のいずれかに記載の不織布用エマルション。
- アクリル酸アルキルを必須成分とする単量体混合物が、混合物の全単量体に対しアクリル酸アルキルの割合が55質量%以上のものである請求項1〜3のいずれかに記載の不織布用エマルション。
- アクリル酸アルキルを必須成分とする単量体混合物が、アクリル酸アルキル、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド、および(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルを必須成分とするものである請求項1〜4のいずれかに記載の不織布用エマルション。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の不織布用エマルションおよびセルロース系繊維からなる不織布。
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