JP2006098537A - ビーム整形素子、光源装置及び光ピックアップ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のビーム整形素子は、光源から出射される水平方向と垂直方向で異なる放射角を有する光束を断面形状が略円形の光束に変換して出射する単玉の光学素子であり、脂環式構造を有する重合体を含有する樹脂からなり、且つ線膨張係数αnが以下の条件式を満たし、環境温度変化による非点収差の発生量を抑える。
5.0×10-5<αn<8.0×10-5
【選択図】図1
Description
光束の断面形状を楕円形から円形に整形するビーム整形素子(ビームシェイパー)として、その光学面がアナモフィック面やシリンドリカル面からなるものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
ところが、光ピックアップ装置の低コスト化・小型化・軽量化等の観点からは、プラスチック製の光学素子を用いることが好ましい。しかし、一般的にプラスチックはガラスに比べて温度変化による性能変化が大きいので、プラスチック製のビーム整形素子では、上述したような環境温度変化による非点収差の発生を抑えることが困難である。
また、複数の媒体に適用可能な情報機器では、ビーム整形素子等の光学素子を、個々の媒体に対応できるよう、光学機能面に溝や段差(回折格子)を設けて焦点距離や球面収差を調節できる構成としているが、従来のプラスチックは十分な熱可塑性を有さないため、例えば射出成形で成形する際、金型に形成された溝や段差の対応部分の先端まで溶融したプラスチックが行き渡らず、光学素子の溝や段差が設計通りの形状とならなかった。そのため、光学素子が所要の光学特性を具備せず、この光学素子を適用した光ピックアップ素子においても所要のピックアップ特性が得られないという問題があった。
5.0×10-5<αn<8.0×10-5
ここで、線膨張係数αnは常温域(約−30℃〜70℃)における平均線膨張係数を指す。
また、「非点収差の発生量を抑える」とは、非点収差をゼロにするものだけでなく、実質、情報の記録及び/又は再生に影響を及ぼさない程度に非点収差が抑制されているものも含むものとする。
また、例えば、上記樹脂組成物に、酸化防止剤を添加することにより、例えば400nmといった短波長の光の照射を継続的に受けても、白濁や屈折率の変動が抑えられる。よって、HDやBDといった高い情報密度を有する光情報記録媒体に対して、長期間にわたって良好なピックアップ特性で情報の読み書きを行うことができる。したがって、光ピックアップ装置として信頼性の高いものを得ることができる。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、環境温度変化による前記ビーム整形素子の屈折率変化と線膨張による形状変化に伴う屈折力変化と線膨張による前記光源から前記ビーム整形素子の入射面までの距離の変化とを利用して前記非点収差の発生量を抑えることを特徴とする。
軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、kx、ky、Axi及びAyiは非円弧係数であ
る。
軸曲率半径、RyはYZ面での近軸曲率半径、kx、ky、Axi及びAyiは非円弧係数であ
る。
0.5<(L/S)×fc<1.0
を満たすように構成されることを特徴とする。
なお、L:ビーム整形素子の軸上厚(mm)
S:光源とビーム整形素子の入射面との光軸上の距離(mm)
fc:発散角変換素子の焦点距離(mm)
また、上記式の上限以上であると、温度変化により屈折率が変化することによって発生する非点収差は、温度変化によって軸上厚及び光源とビーム整形素子間の間隔が変化することによって変化するが、変化する非点収差量が過剰であるため、やはり非点収差が残ってしまう。そのため、請求項12に記載の式の範囲にすることで、温度変化時に発生する非点収差を適切に抑えることができる。
請求項14〜16に記載の発明によれば、環境温度の変化に伴う非点収差の発生を、プラスチック製のビーム整形素子自身が線膨張して光源と素子入射面との間隔変化により生ずる非点収差によって抑制するため、ビーム整形素子が取り付けられる部材の材料や寸法等の自由度が広がる。また、ビーム整形素子を固定する固定部材を線膨張係数αnが1.0×10-5<αn<3.0×10-5を満たす材料で構成した場合には、光源装置、光ピックアップ装置全体として低コスト・小型・軽量なものを提供できる。
本実施の形態においては、図1に示すように、本発明に係るビーム整形素子20(以下、ビームシェイパーともいう。)を、特定波長のレーザ光(光束)を用いて光情報記録媒体の情報記録面31に対して情報の記録及び/又は読取を行う光ピックアップ装置10に適用している。
光源11から出射される光束は、光軸Lに対して直交する方向であって、かつ互いに直交するXY方向(水平方向及び垂直方向)へ異なる広がり角を有している。そして、この光束のXY断面はX方向を短径、Y方向を長径とする略楕円形状となっている。
光源11から出射された光束は、まずビームシェイパー20により断面形状が整形されて出射される。この際のビームシェイパー20による光束に対する作用については後述する。
次に、この光束はカップリングレンズ12を通過して平行光となり、ビームスプリッタ13を経て、ビームエキスパンダー14により拡径された状態、即ち、ビームエキスパンダー14への入射時点よりも光束径を大きくされた状態で出射される。そして第1対物レンズ16aを通過して絞り15によって絞られ、第2対物レンズ16bにより光情報記録媒体の保護基板30を介して情報記録面31上に集光スポットを形成する。
具体的に説明すると、ビームシェイパーは、脂環式構造を有する重合体を含有する樹脂からなる。
共重合体のガラス転移温度(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50℃〜250℃、好ましくは70℃〜200℃、より好ましくは90℃〜180℃である。
本発明の脂環式炭化水素系共重合体の製造方法は、(1)芳香族ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、主鎖及び芳香環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法、(2)脂環式ビニル系化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、必要に応じて水素化する方法等が挙げられる。
上記の方法で本発明の脂環式炭化水素系共重合体を製造する場合には、芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物(a’)と共重合可能なその他のモノマー(b’)との共重合体で、共重合体中の化合物(a’)由来の繰り返し単位が、D=(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位連鎖の重量平均分子量)、E=(炭化水素系共重合体の重量平均分子量(Mw)×(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位数/炭化水素系共重合体を構成する全繰り返し単位数))、とした時、DがEの30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である連鎖構造を有する共重合体の、主鎖、及び芳香環やシクロアルケン環等の不飽和環の炭素−炭素不飽和結合を水素化する方法により効率的に得ることができる。 Dが上記範囲外では、得られる脂環式炭化水素系共重合体の低複屈折性が劣る。
上記水素化前の共重合体は、さらに、F=(芳香族ビニル系化合物及び/又は脂環式ビニル系化合物由来の繰り返し単位の連鎖の数平均分子量)、としたときの、D/Fが一定の範囲であるのが好ましい。具体的には、D/Fが、好ましくは1.3以上、より好ましくは1.3以上、8以下、最も好ましくは1.7以上、6以下の範囲である。D/Fがこの範囲外では、得られる脂環式炭化水素系共重合体の低複屈折性が劣る。
上記化合物(a’)由来の繰り返し単位の連鎖の重量平均分子量および数平均分子量は、例えば、文献Macromorecules 1983, 16,1925−1928記載の、芳香族ビニル系共重合体の主鎖中不飽和二重結合をオゾン付加した後還元分解し、取り出した芳香族ビニル連鎖の分子量を測定する方法等により確認できる。
上記(2)の方法において使用する脂環式ビニル系化合物の具体例としては、例えば、シクロブチルエチレン、シクロペンチルエチレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘプチルエチレン、シクロオクチルエチレン、ノルボルニルエチレン、ジシクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレン、α−t−ブチルシクロヘキシルエチレン、シクロペンテニルエチレン、シクロヘキセニルエチレン、シクロヘプテニルエチレン、シクロオクテニルエチレン、シクロデケニルエチレン、ノルボルネニルエチレン、α−メチルシクロヘキセニルエチレン、及びα−t−ブチルシクロヘキセニルエチレン等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキシルエチレン、α−メチルシクロヘキシルエチレンが好ましい。
共重合可能なその他のモノマーとしては、格別な限定はないが、鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジエン化合物等が用いられ、鎖状共役ジエンを用いた場合、製造過程における操作性に優れ、また得られる脂環式炭化水素系共重合体の強度特性に優れる。
これらの鎖状ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記モノマー逐次添加法によれば、均一に混合された混合モノマーが重合系内に逐次的に添加されるため、バッチ法とは異なり、ポリマーの重合による成長過程においてモノマーの重合選択性をより下げることができるので、得られる共重合体がよりランダムな連鎖構造になる。また、重合系内での重合反応熱の蓄積が小さくてすむので重合温度を低く安定に保つことがでる。
上記初期モノマーの重合転化率を70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上になるまで反応を継続すると、得られる共重合体の連鎖構造がよりランダムになる。その後、前記モノマーの残部を継続的に添加するが、添加の速度は重合系内のモノマーの消費速度を考慮して決定される。
ラジカル重合の場合は、開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜150℃で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法を用いることができるが、特に樹脂中への不純物等の混入等を防止する必要のある場合は、塊状重合、懸濁重合が望ましい。ラジカル開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物、アゾイソブチロニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノペンタン酸、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムに代表される水溶性触媒やレドックス開始剤などが使用可能である。
重合反応においては、また、重合促進剤や、ランダマイザー(或る1成分の連鎖が長くなるのを防止する機能を有する添加剤)などを使用できる。アニオン重合の場合には、例えばルイス塩基化合物をランダマイザーとして使用できる。ルイス塩基化合物の具体例としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物が挙げられる。これらのルイス塩基化合物は、それぞれ単独で、或いは2種類以上を組み合わせて使用できる。
水素化前の共重合体の芳香環やシクロアルケン環などの不飽和環の炭素−炭素二重結合や主鎖の不飽和結合等の水素化反応を行う場合は、反応方法、反応形態に特別な制限はなく、公知の方法にしたがって行えばよいが、水素化率を高くでき、且つ水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましく、例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムから選ばれる少なくとも1つの金属を含む触媒を用いて行う方法が挙げられる。水素化触媒は、不均一触媒、均一触媒のいずれも使用可能である。
有機金属錯体触媒の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ベンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリド−クロロ−トリフェニルホスフィン)錯体等の金属錯体が使用される。これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、或いは2種類以上組み合わせて使用することができ、その使用量は、重合体に対して、重量基準にて、通常、0.01〜100部、好ましくは0.05〜50部、より好ましくは0.1〜30部である。
水素化反応終了後に水素化物を回収する方法は特に限定されていない。通常、濾過、遠心分離等の方法により水素化触媒残渣を除去した後、水素化物の溶液から溶媒を直接乾燥により除去する方法、水素化物の溶液を水素化物にとっての貧溶媒中に注ぎ、水素化物を凝固させる方法を用いることができる。
重合体ブロック〔B〕は、前記繰り返し単位〔1〕ならびに下記式(2)で表される繰り返し単位〔2〕または/および下記式(3)で表される繰り返し単位〔3〕を含有する。重合体ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔1〕の含有量は、好ましくは40〜95モル%、より好ましくは50〜90モル%である。繰り返し単位〔1〕の含有量が上記範囲にあると、透明性および機械的強度に優れる。ブロック〔B〕中の繰り返し単位〔2〕のモル分率をm2(モル%)および、繰り返し単位〔3〕のモル分率をm3(モル%)としたときに、2×m2+m3が、好ましくは2モル%以上、より好ましくは5〜60モル%、最も好ましくは10〜50モル%である。
上記式(2)で表される繰り返し単位〔2〕の好ましい構造は、R13が水素またはメチル基のものである。
重合体ブロック〔B〕中の、前記繰り返し単位〔2〕または繰り返し単位〔3〕の含有量が少なすぎると、機械的強度が低下する。したがって、繰り返し単位〔2〕および繰り返し単位〔3〕の含有量が上記範囲にあると、透明性および機械的強度に優れる。重合体ブロック〔B〕は、さらに、下記式(X)で表される繰り返し単位〔X〕を含有していてもよい。繰り返し単位〔X〕の含有量は、本発明のブロック共重合体の特性を損なわない範囲の量であり、好ましくはブロック共重合体全体に対し、30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
さらに、本発明に用いるブロック共重合体は、ブロック〔A〕を構成する全繰り返し単位のモル数をma 、ブロック〔B〕を構成する全繰り返し単位のモル数をmb とした場合に、その比(ma :mb )が、好ましくは5:95〜95:5、より好ましくは30:70〜95:5、特に好ましくは40:60〜90:10である。(ma :mb )が上記範囲にある場合に、機械的強度および耐熱性に優れる。
ブロック共重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算のMwと数平均分子量(以下、Mnと記す。)との比(Mw/Mn)で、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、機械的強度や耐熱性に優れる。
本発明に用いる上記ブロック共重合体は、重合体ブロック〔A〕および重合体ブロック〔B〕を有し、(〔A〕−〔B〕)型のジブロック共重合体であっても、(〔A〕−〔B〕−〔A〕)型や(〔B〕−〔A〕−〔B〕)型のトリブロック共重合体であっても、重合体ブロック〔A〕と重合体ブロック〔B〕とが、交互に合計4個以上つながったブロック共重合体であってもよい。また、これらのブロックがラジアル型に結合したブロック共重合体であってもよい。
上記(1)の方法における芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレン等や、これらにヒドロキシル基、アルコキシ基などの置換基を有するもの等が挙げられる。中でもスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン等が好ましい。
これらの芳香族ビニル化合物および脂環族ビニル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできるが、本発明においては、モノマー混合物〔a’〕および〔b’〕のいずれにも、芳香族ビニル化合物を用いるのが好ましく、中でも、スチレンまたはα−メチルスチレンを用いるのがより好ましい。
上記方法で使用するビニル系モノマーには、鎖状ビニル化合物および鎖状共役ジエン化合物が含まれる。
鎖状ビニル化合物の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の鎖状オレフィンモノマー等が挙げられ、中でも、鎖状オレフィンモノマーが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテンが最も好ましい。
上記のモノマーを含有するモノマー混合物を重合する場合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等のいずれの方法で重合反応を行ってもよいが、アニオン重合によるのが好ましく、不活性溶媒の存在下にリビングアニオン重合を行うのが最も好ましい。
アニオン重合は、重合開始剤の存在下、通常0℃〜200℃、好ましくは20℃〜100℃、特に好ましくは20℃〜80℃の温度範囲において行う。開始剤としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウムなどのモノ有機リチウム、ジリチオメタン、1,4−ジオブタン、1,4−ジリチオー2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
逐次付加重合反応法により、重合体ブロック〔A’〕および重合体ブロック〔B’〕を有する上記ブロック共重合体を得る場合には、重合体ブロック〔A’〕を得る工程と、重合体ブロック〔B’〕を得る工程は、順次連続して行われる。具体的には、不活性溶媒中で、上記リビングアニオン重合触媒存在下、モノマー混合物〔a’〕を重合して重合体ブロック〔A’〕を得、引き続きその反応系にモノマー混合物〔b’〕を添加して重合を続け、重合体ブロック〔A’〕とつながった重合体ブロック〔B’〕を得る。さらに所望に応じて、再びモノマー混合物〔a’〕を添加して重合し、重合体ブロック〔A’〕をつなげてトリブロック体とし、さらには再びモノマー混合物〔b’〕を添加して重合し、重合体ブロック〔B’〕をつなげたテトラブロック体を得る。
得られたブロック共重合体は、例えばスチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法によって回収する。重合反応において、水素化反応で不活性な溶媒を用いた場合には、重合溶液そのままを水素化反応工程にも使用することができるので、重合溶液からブロック共重合体を回収しなくてもよい。
好ましい水素化前ブロック共重合体を構成する重合体ブロック〔A’〕は、下記式(4)で表される繰り返し単位〔4〕を50モル%以上含有する重合体ブロックである。
さらに、ブロック〔B’〕中には、下記式(Y)で示される繰り返し単位〔Y〕を含有していてもよい。
さらに、好ましい水素化前ブロック共重合体は、ブロック〔A’〕を構成する全繰り返し単位のモル数をma ’、ブロック〔B’〕を構成する全繰り返し単位のモル数をmb ’とした場合に、その比(ma’:mb’)が、5:95〜95:5、より好ましくは30:70〜95:5、特に好ましくは40:60〜90:10である。(ma’:mb’)が上記範囲にある場合に、機械的強度や耐熱性に優れる。
好ましい水素化前のブロック共重合体の分子量分布は、使用目的に応じて適宜選択できるが、GPCにより測定されるポリスチレン(またはポリイソプレン)換算のMwとMnとの比(Mw/Mn)で、5以下、より好ましくは4以下、特に好ましくは3以下の範囲である。Mw/Mnがこの範囲にあると、水素添加率が向上する。
好ましい水素化前のブロック共重合体のTgは、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、DSCによる高温側の測定値で、70℃〜150℃、より好ましくは80℃〜140℃、特に好ましくは90℃〜130℃である。
水素化反応は、通常10℃〜250℃であるが、水素化率を高くでき、且つ、重合体鎖切断反応を小さくできるという理由から、好ましくは50℃〜200℃、より好ましくは80℃〜180℃である。また水素圧力は、好ましくは0.1MPa〜30MPaであるが、上記理由に加え、操作性の観点から、より好ましくは1MPa〜20MPa、特に好ましくは2MPa〜10MPaである。
このようにして得られた、ブロック共重合体の水素化率は、 1H−NMRによる測定において、主鎖および側鎖の炭素−炭素不飽和結合、芳香環やシクロアルケン環の炭素−炭素不飽和結合のいずれも、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等が低下する。
上記の本発明に係る重合体には、必要に応じて各種配合剤を配合することができる。ブロック共重合体に配合することができる配合剤は格別限定はないが、酸化防止剤、熱安定剤、耐光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤などの安定剤;滑剤、可塑剤などの樹脂改質剤;染料や顔料などの着色剤;帯電防止剤、難燃剤、フィラーなどが挙げられる。これらの配合剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合せて用いることができ、その配合量は本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択される。
また、本発明に係る重合体に、最も低いガラス転移温度が30℃以下である軟質重合体を配合することにより、透明性、耐熱性、機械的強度などの諸特性を低下させることなく、長時間の高温高湿度環境下での白濁を防止できる。
ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサンなどのケイ素含有軟質重合体;ポリブチルアクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのアクリル系軟質重合体;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エピクロルヒドリンゴムなどのエポキシ系軟質重合体;フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン−プロピレンゴムなどのフッ素系軟質重合体;天然ゴム、ポリペプチド、蛋白質、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのその他の軟質重合体などが挙げられる。これらの軟質重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性反応により官能基を導入したものでもよい。
本発明で用いる重合体に上記配合剤を配合して重合体組成物を形成する方法は、例えば、ミキサー、二軸混錬機、ロール、ブラベンダー、押出機などでブロック共重合体を溶融状態にして配合剤と混練する方法、適当な溶剤に溶解して分散させ凝固する方法などが挙げられる。二軸混練機を用いる場合、混錬後に通常は溶融状態でストランド状に押し出し、ペレタイザーにてペレット状にカットして用いられることが多い。
ビームシェイパー20の入射面21は、光軸Lに対して回転非対称面に形成されている。
図2は非円弧トロイダル面の形状を表す断面図であり、図中の点線はビームシェイパー20内を通過する光束の光路を示す。なお、非円弧トロイダル面を表す式(形状関数)については後述する。
ビームシェイパー20の入射面は、YZ面内における非円形の線分L1(非円弧)を、この非円弧と直交する平面内にある半径R=R1の円弧L2の中心点をY方向に通過する軸(回転軸A1)で回転させた面で構成されている。
ビームシェイパー20の出射面22は、XZ面での曲率半径とYZ面での曲率半径とが異なるトロイダル面となっている。
また、ビームシェイパー20の出射面22側は図示しない取付部材により光ピックアップ装置10本体に固定されており、出射面22の光軸方向の位置が光源11に対して相対的に実質変化しない構成となっている。
さらに、従来より用いられているビームシェイパー20では、主にXZ断面とYZ断面とで屈折力が異なることに起因して環境温度の変化時に非点収差が発生する。しかし本発明のビームシェイパー20を備えた光ピックアップ装置10では、ビームシェーパー20の出射面22の光軸方向の位置が光源11に対して実質移動しないように固定されており、温度変化によるビームシェーパー20自身の線膨張により生ずる光源11から入射面21までの距離変化が、上記非点収差が発生しても逆にキャンセルする方向に働くため、結果として上記非点収差が抑制される形となっている。勿論、温度変化によりビームシェーパー20自身の線膨張により形状も変化するため、更に効果的に上記非点収差を抑制できる。
なお、ビームシェーパー20を光ピックアップ装置10に対して固定する固定部材40は、環境温度の変化によっても実質的に線膨張が生じないような材料、即ち線膨張係数αnが1.0×10-5<αn<3.0×10-5を満たす材料を用いる事ができ、例えばアルミニウムでも良い。
なお、環境温度の変化により出射光束の波長変動が生じる場合には、この波長変動に起因した出射角変化も考慮してビームシェイパー20の設計を行うものとする。
なお、ビームシェイパー20及び光ピックアップ装置10の構成は上記実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上記実施の形態においては、ビームエキスパンダー14と対物レンズ16がそれぞれ2つの光学素子(第1ビームエキスパンダー14a及び第2ビームエキスパンダー14b、第1対物レンズ16a及び第2対物レンズ16b)を組み合わせて構成されるものとしたが、これに限らず、それぞれ単玉のレンズ構成としてもよい。また、波長が異なる複数の光束を用いて複数種類の光情報記録媒体に対する情報の記録及び/又は再生が可能な、いわゆる互換性を有する光ピックアップ装置の構成としてもよい。
また、ビームシェイパー20の光学面の形状も、例えばシリンドリカル面やアナモフィック面等適宜変更可能である。
プラスチック製のビームシェイパーの両面をシリンドリカル面で構成することにより、温度変化に対する非点収差を実用上支障が無い程度に抑えることができるが、グラフに示すように、温度変化時の非点収差と残留収差(4thAS(四葉収差))とを両立させることができるビームシェイパーを、両面シリンドリカル面で構成することは容易ではない。
そこで、このような温度変化時の非点収差と残留収差(4thAS(四葉収差))とを両立させるには、ビームシェイパーの入射面と出射面のうち少なくとも一方をトロイダル面で構成することが好ましい。
また、本実施の形態においては、ビームシェイパー20が光源11付近に配置されるものとしたが、これに限らず、出射光束の光路中に配置すればよい。
また、上記実施の形態では、光源11とビームシェイパー20とを別体の構成としたが、ビームシェイパー20を光源11に近接して配置し、同一の筐体内に格納する構成としてもよく、これにより、環境温度変化時においても非点収差の発生を抑える機能を有した光源装置を得られる。
また、ビームシェイパー20を光ピックアップ装置10に適用した場合について説明したが、これに限らず、例えば、レーザービームプリンタや複写機等、光束の断面形状を円形に整形して使用する全ての装置に適用可能である。
各実施例における光ピックアップ装置は図1に示したものと同様の構成となっている。
表1に示すように、実施例1〜3はビームシェイパーの整形倍率mを一定にして、S(光源からビームシェイパーの入射面までの光軸上の距離)とL(ビームシェイパーの軸上厚)を変化させたものであり、実施例4〜6はSを一定にしてmとLを変化させたものである。
なお、表2〜7において例えば「−1.3672×E−1」は、「−1.3672×10-1」を意味する。
また、カップリングレンズの出射面、第1ビームエキスパンダーの入射面及び出射面、第1対物レンズの入射面及び出射面、第2対物レンズの入射面は、それぞれ数5式に表2〜7に示す係数を代入した数式で規定される光軸Lの周りに軸対称な非球面に形成されている。
また、第2ビームエキスパンダーの入射面及び出射面には光軸を中心とした回折輪帯が形成されており、回折輪帯のピッチは数6の光路差関数に、表2〜7に示す係数を代入した数式で規定される。
なお、表2〜7中、「基準波長」とあるのは、いわゆるブレーズ波長を指し、その波長の光束が入射した場合に回折構造により生じるある次数の回折光の回折効率が最大(例えば100%)となる波長のことである。
表1から、本実施例におけるビームシェイパー及び光ピックアップ装置によれば、環境温度が変化した場合でも非点収差の発生を抑えることができることが分かる。
表8(b)は、実施例4〜6の構成において、L/Sとビームシェイパーの整形倍率mとの関係を表すグラフである。
表8(a)より、光ピックアップ装置及びビームシェイパーを、SとLとの間に比例関係が成立することに着目して設計することにより、温度変化時の非点収差の変化量をほぼゼロに抑えることができることが分かる。
表8(b)より、光ピックアップ装置及びビームシェイパーを、L/Sとmとの関係に着目して設計することにより、温度変化時の非点収差の変化量をほぼゼロに抑えることができることが分かる。
各実施例における光ピックアップ装置は図4に示したものと同様の構成となっており、詳しい説明は省略するが、図1に示した光ピックアップ装置10の構成から、ビームエキスパンダー14を取り除くと共に対物レンズ16を単玉の構成としている。
実施例7のビームシェイパーは、入射面(第3面)と出射面(第4面)が共にシリンドリカル面で構成されており、入射面の面形状は数3式に表9に示す係数を代入した数式で規定されており、出射面の面形状は数1式に表9に示す係数を代入した数式で規定されている。
なお、実施例7のように、シリンドリカル面が数1式、数3式を用いて規定される場合には、数1式、数3式においてRx=∞を代入し、シリンドリカル面が数2式、数4式を用いて規定される場合には、数2式、数4式においてRy=∞を代入することになる。
実施例9のビームシェイパーは、入射面が数4式に示すトロイダル面、出射面が数1式に示す非円弧トロイダル面で構成されており、入射面及び出射面の面形状は、各式に表11に示す係数を代入した数式で規定される。
実施例11のビームシェイパーは、入射面が数3式に示すトロイダル面、出射面が数1式に示す非円弧トロイダル面で構成されており、入射面及び出射面の面形状は、各式に表13に示す係数を代入した数式で規定される。
また、対物レンズの入射面(第10面)には、更に、光軸を中心とした回折輪帯が形成されており、回折輪帯のピッチは数6の光路差関数に、表9〜13に示す係数を代入した数式で規定される。
以上より、実施例7のように、プラスチック製のビームシェイパーの両面をシリンドリカル面で構成することにより、温度変化時の非点収差を実用上支障が無い程度に抑えることができるが、実施例8〜11のように、ビームシェイパーの光学面をトロイダル面で構成することにより、温度変化時の非点収差のみならず、残留収差(4thAS(四葉収差))の抑制も可能となり、より良好な光学特性を得られることが分かる。
11 光源
16 集光素子
20 ビーム整形素子
21 入射面
22 出射面
31 情報記録面
Claims (17)
- 光源から出射される水平方向と垂直方向で異なる放射角を有する光束を断面形状が略円形の光束に変換して出射する単玉のビーム整形素子において、
前記ビーム整形素子は、脂環式構造を有する重合体を含有する樹脂からなり、且つ線膨張係数αnが以下の条件式を満たし、
環境温度変化による非点収差の発生量を抑えることを特徴とするビーム整形素子。
5.0×10-5<αn<8.0×10-5 - 請求項1に記載のビーム整形素子において、
前記脂環式構造を有する重合体は、重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000である重合体全繰り返し単位中に、下記一般式(1)で表される脂環式構造を有する繰り返し単位(a)と、下記一般式(2)及び/又は下記一般式(3)及び/又は下記一般式(4)で表される鎖状構造の繰り返し単位(b)とを、合計含有量が90重量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位(b)の含有量が1重量%以上10重量%未満である脂環式炭化水素系共重合体であることを特徴とするビーム整形素子。
- 請求項1に記載のビーム整形素子において、
前記脂環式構造を有する重合体は、ノルボルネン系開環重合体であることを特徴とするビーム整形素子。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、
環境温度変化による前記ビーム整形素子の屈折率変化と線膨張による形状変化に伴う屈折力変化と線膨張による前記光源から前記ビーム整形素子の入射面までの距離の変化とを利用して前記非点収差の発生量を抑えることを特徴とするビーム整形素子。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のビーム整形素子において、
入射面と出射面のうち少なくとも一方の光学面の水平方向又は垂直方向の断面形状が非円弧であることを特徴とするビーム整形素子。 - 水平方向と垂直方向で異なる放射角を有する光束を出射する光源と、請求項1〜10のいずれか一項に記載のビーム整形素子と、前記光束を光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子とを備え、前記光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことを特徴とする光ピックアップ装置。
- 請求項11に記載の光ピックアップ装置において、
前記ビーム整形素子の出射面から出射された光束の発散角を変換する発散角変換素子を有し、次の関係式
0.5<(L/S)×fc<1.0
を満たすように構成されることを特徴とする光ピックアップ装置。
なお、L:ビーム整形素子の軸上厚(mm)
S:光源とビーム整形素子の入射面との光軸上の距離(mm)
fc:発散角変換素子の焦点距離(mm) - 水平方向と垂直方向とで異なる放射角を有する光束を出射する光源と、請求項1〜10のいずれか一項に記載のビーム整形素子と、を有し、
前記ビーム整形素子の一部を、前記光源に対して、温度変化により生ずる前記ビーム整形素子の屈折率変化に伴って発生する非点収差を前記ビーム整形素子の線膨張により生ずる前記光源と前記ビーム整形素子の入射面との間隔変化で抑制するように固定配置したことを特徴とする光源装置。 - 請求項13に記載の光源装置において、
前記ビーム整形素子は、その出射面を前記光源に対して光軸方向に実質変化しない様に固定したことを特徴とする光源装置。 - 請求項14に記載の光源装置において、
前記ビーム整形素子は、温度変化により発生する非点収差を、前記ビーム整形素子の温度変化による形状変化に伴って発生する非点収差を利用して抑制するように構成されることを特徴とする光源装置。 - 請求項15に記載の光源装置において、
前記ビーム整形素子の出射面を固定する固定部材は、線膨張係数αnが1.0×10-5<αn<3.0×10-5を満たす材料からなることを特徴とする光源装置。 - 請求項13〜16のいずれか一項に記載の光源装置と、前記光束を光情報記録媒体の情報記録面上に集光させる集光素子とを備え、前記光情報記録媒体に対して情報の再生及び/又は記録を行うことを特徴とする光ピックアップ装置。
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