JP2005224637A - X線ct装置及びそのミスアライメント補正方法 - Google Patents

X線ct装置及びそのミスアライメント補正方法 Download PDF

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Abstract

【課題】X線検出器のミスアライメントまたは焦点のミスアライメントに伴って画像再構成時に原理的に発生するアーティファクトを除去し、良好な再構成画像を得ること。
【解決手段】X線源3と、X線源と被検体が配置される空間を隔てて対向配置された多数のチャネルを有するX線検出器7とを具備し、被検体が配置される空間の周囲に少なくともX線源をチャンネル配列方向に回転させるスキャンにより得られた情報について再構成パラメータ及びまたはビーム位置情報を使用して再構成するX線CT装置において、スキャン前あるいはスキャン中にX線検出器に対するX線源のスライス方向の相対的な焦点位置を検出する焦点位置検出器9と、検出された相対的な焦点位置に基づきスライス方向におけるX線パスのずれを補正して再構成を行う再構成装置25とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、被検体の断層面の撮影に供されるX線CT装置またはそのミスアライメント補正方法に係り、特に、システムの回転軸回りの方向(チャンネル方向)とこれに直角な回転軸の方向(スライス方向)との2次元にX線検出器素子が配列されたマルチスライスCT装置またはコーンビームCT装置及びそのミスアライメント補正方法に関する。
従来よりファンビームX線CT装置が知られている。これは、X線源からファン(扇)状のX線ビームを照射し、回転軸回りに1列に並べられた1000チャンネル程度のX線検出器で被写体を通過したX線をデータ収集するCT装置である。通常、被写体周囲を回転しながら1回転で1000回程度データ収集し(1回のデータ収集を1ビューと称する)、そのデータを元に画像を再構成する。 このようなファンビームX線CT装置における再構成法としては、ファンビーム投影データを並べ換えかつ補間することにより、ファンビーム投影データからパラレルビーム投影データに変換し、この変換−作成されたパラレルビーム投影データを逆投影して所望の断層像を得るファン−パラ変換法と、ファンビーム投影データを一度基準軸(センタリング軸)に逆投影し、再度再構成画像のピクセル列毎に逆投影するセンタリング法との2種類の方法が考案され採用されている。
いずれの方法も、専用のハードウェアを用いて高速に処理しているが、これらの再構成法は、当然ながら、スライス厚方向(被検体の体軸方向)のパラメータを持っておらず、再構成はそれぞれの平面内の処理で完結する。
また、データ収集時間を短縮する方法として、ヘリカルスキャン法が知られている。前記ファンビームX線CT装置の基本形は、被検体の同一断面上をX線焦点が回転し、1回転する毎に被検体をスライス厚づつ体軸方向に送るという原理であったが、最近では、被検体の体軸方向のより広い範囲を短時間でスキャンしたいという要求に対して、被検体をその体軸方向に相対的に移動させながらスキャンする(被検体に対して、X線焦点は、円軌道ではなく螺旋軌跡を描く)ヘリカルスキャン法が考案され実用化されている。
ヘリカルスキャン法では、焦点の角度毎に焦点の体軸方向の位置がずれるため、そのままファンビーム再構成を行うと強いアーティファクト(偽像)を生じる。この対策として、再構成平面を挟んだ等価な回転位相の2つのデータから補間して、対応する回転位相の再構成平面の投影データを変換−作成して、ファンビーム再構成を行う方法を採っている。この補間法としては、再構成平面を挟んだ2回転分の投影データを用いる360°補間法と、再構成平面を挾んだ1回転分の投影データを用い、対向ビームも使用して再構成平面の投影データを変換−作成する対向ビーム補間法(180°補間法)の2種類が考案され、目的に応じて使い分けられている。
ヘリカルスキャンにおける再構成法は、投影ビームの補間において、体軸方向のパラメータを使用しているが、逆投影においてはファンビームX線CT装置の基本形と同じで、スライス厚方向(被検体の体軸方向)のパラメータを持っておらず、同一平面内の処理となっている。
一般に、従来のシングルスライスCT装置および上記ファンビームCT装置におけるチャンネル方向のX線管球アライメント調整は、焦点のチャンネル方向の位置を測定し、これが設計上の位置に一致するように管球を移動させる微調整機構を利用している。しかし、機械的に管球を移動させる限界および管球の加工組立精度の限界から、最終的には数十ミクロン程度の位置誤差(ミスアライメント)が残る。この様な状態では、設計上のX線パスと、実際のX線パスとがズレるため、そのままでは、再構成(特に高解像モード)においてアーティファクトが発生する問題がある。そこで、アライメント調整時の限界により最終的に残ったミスアライメント量を用いて、再構成パラメータを修正し、実際のX線パスに合わせる補正が行われている。
次に、従来のファンビームX線CT装置における焦点移動とその対策について説明する。
ファンビームX線CT装置の原理上、焦点は同一平面内を回転していることが
前提であり、また、X線検出器に入射するファンビームの位置も安定であることが必要ある。ヘリカルスキャン法でも、被検体に対して相対的に螺旋軌跡になるものの、現実的には焦点の回転と、被検体の体軸方向の直線移動を組み合わせたものとなっている。
ところが実際には、X線管球やX線検出器等の位置調整(アライメント)の限界から、X線検出器、光学系(プリコリメータなど)の中心平面に対する焦点位置のズレ(焦点のミスアライメント)を0にできなかったり、X線の発生時のターゲットの温度上昇による熱膨張等、管球構造に依存して、焦点位置がスライス厚方向に移動することが知られている。
焦点位置のズレは0.1mm以下に抑えることが可能であり、現在のX線CT装置ではその影響は許容範囲内であり大きな問題とはならない。
一方、焦点移動については無視できない問題であり、図16に示すような回転陽極型X線管球の焦点移動を例にして説明する。
通常、X線管球は、フィラメント(陰極)101より放出された熱電子を陰極・陽極間に印加された高電圧により加速・集束させて、この高速度の電子をターゲット(陽極)103に衝突させて、X線を発生させている。
電気エネルギーからX線エネルギーへの変換効率は、加速電圧とターゲット材料の原子番号(Z)との積に比例し、例えば、管電圧100kV、ターゲット材料タングステン(Z=74)とすれば、X線の変換効率はわずか0.74%であり、残りの99%以上は、熱に変換される。
このため、ターゲットは融点が高く原子番号が高い材料が使用されているが、さらにターゲットの単位面積当たりの発熱量を実効的に小さくするため、回転陽極構造が採用されている。すなわち、ターゲット103を円盤状とし、その中心に接続された回転シャフト105にロータ111を固着し、このロータ111をガラスバルブ113の外部から回転磁界を生成するステータ(図示せず)により回転駆動する。
このような回転陽極構造では、陽極を直接冷却することが困難であるため、ターゲット103で発生した熱の大部分は、放射エネルギーとして、ターゲット103から周囲に放出されるが、発生熱の一部は熱伝導により回転シャフト105を介して放出される。そして、このような回転陽極X線管球からX線照射を繰り返すと、X線管内のターゲット103に蓄積される熱量が増大し、回転シャフト105などの温度上昇をもたらす。この温度上昇に伴って、回転シャフト105などは熱膨脹を生じ、X線焦点は、設計上の焦点位置121(黒丸)から焦点移動した位置123(白丸)に示すようにスライス方向に移動する(図16では、熱膨張を誇張して表現されている。)。
X線CT装置は、スリット115等の光学系によってX線ビーム形状を調整しているため、焦点移動が生じると、図示されないX線検出器に入射するビーム位置が実線の矢印から破線の矢印に示すように変動を引き起こす。ビーム位置が変化するとX線検出器側の感度分布(スライス厚方向)によって、X線検出器出力データが変動し、感度分布がX線検出器の各素子毎にばらついている場合、最終的に画像上のアーティファクトの原因となる。
この焦点移動によるアーティファクトの対策としては、焦点移動を減らすこと、焦点移動してもビームのX線検出器入射位置が変化しないようにする方法、X線検出器の感度分布ばらつきを小さくすることなどに加えて、X線検出器の感度変化を補正する方法が考案されている。
これらの補正法の詳細については、特開平6−169914号公報(公開日1994年6月21日、特願平4−325159号、出願日1992年12月4日)及び、特開平6−269443号公報(公開日1994年9月27日、特願平5−57645号、出願日1993年3月18日)に開示されている。この補正方法は、焦点移動範囲をいくつかに分割し、それぞれの小範囲毎に予めX線検出器感度補正データを収集、保管しておき、被検体のデータ収集時の焦点位置に対応するX線検出器感度補正データを用いて、X線検出器感度を補正する方法である。
また、円すい状のX線ビームを放射するX線源と、複数のファンビーム用X線検出器列をZ軸(回転軸、被検体の体軸)方向にN列積み重ねたように円筒面上にX線検出器の素子(Mチャンネル×N列)を配列した2次元X線検出器から構成されているコーンビーム(マルチスライス)X線CT装置が知られている。
このコーンビームX線CT装置における代表的な再構成(Feldkamp再構成)法は、非特許文献1に開示されている。
この再構成法は、数学的に厳密な再構成法であるファンビーム(2次元平面内)再構成アルゴリズム[Filtered−Backprojection(フィルタ補正逆投影法)]をZ軸方向に拡張することによって得られた近似的な3次元再構成アルゴリズムであり、コーンビームによるコンベンショナルスキャン(スタティックスキャン)を対象としており、次に示す(a)〜(c)のステップからなる。
(a)投影データの重み付けステップ
投影データに,Z座標に依存した項とcos項を乗算する。
(b)コンボリューション演算ステップ
ステップ(a)のデータと、ファンビームと同じ再構成関数とのコンボリューション演算を行う。
(c)BackProjection(逆投影)ステップ
ステップ(b)のデータを、X線が通過した(焦点からX線検出器のチャンネルまでの)パス上に逆投影する。すなわち焦点から、逆投影するボクセルを通る直線がX線検出器面と交差する点を計算し、その点の周囲のステップ(b)のデータから逆投影するデータを補間などで作成し、それをFCD/FVD2で重み付けして逆投影する。逆投影は360°にわたって行われる。
次に、ファンビーム再構成法とコーンビーム再構成(Feldkamp再構成)法とは非常に似ているが、逆投影方法が大きく異なることを説明する。2次元のファンビーム再構成においては、再構成面内の全画素(ピクセル)に対して1次元に配列されたX線検出器のデータから逆投影するのに対し、コーンビーム(Feldkamp)再構成においては焦点と再構成するボクセルを結んだ直線が2次元のX線検出器面と交差する点を求め、この交点に位置するX線検出器のデータをその直線上のボクセルに逆投影する。
従って、ある面を再構成する場合には、特定のX線検出器列の特定のX線検出器チャンネルのデータは、再構成面の一部のボクセルにのみ逆投影されるため、各ボクセルに対して逆投影するデータ(X線検出器列とX線検出器チャンネル)を選択する必要があるので、再構成ボクセルと焦点を結んだ直線とX線検出器面の3次元的な位置関係が重要になる。しかもZ座標が同じX線検出器列を考え、そのX線検出器素子と焦点を結んだ直線を考え場合、そのボクセルは焦点を中心としたX線検出器面の相似図形(円筒検出器の場合、同心円)上に並ぶため、この位置関係の計算は非常に複雑になる。
次に、コーンビームX線CT装置におけるヘリカルスキャンの再構成法(Feldkamp−Helical)について説明する。
2次元面状検出器を使って被写体周囲をらせん状にヘリカルスキャンし、Feldkamp再構成法を応用した3次元再構成法で再構成する方法は非特許文献2、特許文献1に開示されている。
次に、コーンビームX線CT装置におけるファンビームみなしマルチスライス再構成について説明する。
コーンビームデータを収集するものの、コーンビーム再構成を行わずに、コーンビームデータをファンビームデータとみなして、ファンビーム再構成を行う方法も種々提案されている。
特にヘリカルスキャンにおける補間方法は、特許文献2、3などによって開示されている。
特許文献3に記載の方法は、フィルタ補間方法と称しており、任意の位相についてスライス位置を少しずらした複数の補間データを得る手順1と、それらの補間データを重み付け加算して目的の位相のデータを得る手順2とから構成される。スライス位置をずらして補間したデータを重み付け加算するので実行スライス厚は若干増加するが、X線検出器列の切り替えの影響が補間データの数に反比例して低減するため、アーティファクトが少なくなり画質が改善する。
次に、コーンビーム(マルチスライス)X線CT装置における焦点移動に伴う線量変化とその対策について説明する。
コーンビーム(マルチスライス)X線CT装置におても、ファンビームX線CT装置と同様に焦点位置のズレや、焦点移動の現象が生じることが予想される。
焦点移動に対しては、補正法も含めて、ファンビームX線CT装置の項で述べた対策が考えられる。この補正法は、「焦点移動→ビーム位置変動→X線検出器の感度分布ばらつきに起因するアーティファクトの発生」の補正を狙ったものであるが、コーンビーム(マルチスライス)X線CT装置では、ビーム位置が変動すると、X線検出器のスライス方向感度分布がばらつかなくても、各列の検出素子の出力が変化する問題があり、そのための対策が必要となる。この対策として補正方法の詳細については、特許文献4において開示されている。これは各X線検出器列毎の線量をモニターするプロファイル検出器を備え、各列の主検出器毎の線量変化を補正する方法である。
以上、焦点位置の精度について、ファンビームX線CT装置においては、焦点のミスアライメント(経時的な変化ではなく、調整ズレ)と、熱による経時的な移動とがあり、前者についてはズレを許容レベルに抑えることが可能なため問題とならず、後者については補正を含むいくつかの対策を施すことで問題を解決している。
一方、コーンビーム(マルチスライス)X線CT装置においても、経時的な焦点移動について、X線検出器の出力変動を補正する方法が既にあるこを説明した。
また、マルチスライスCTシステムにおいて、セグメント束ね方式と呼ばれるデータの処理方法が知られている。この方法は、スライス厚方向に配列された複数の検出素子により収集されたデータを加算、または補間等により束ねて、厚いスライスに対応するデータを求めてから処理する方法であり、特許文献5、6等により開示されている。
また、スライス厚方向に配列する検出素子のスライス方向の大きさについても、同じ大きさのものを並べるだけではなく、例えば、特許文献7のように、異なる大きさの素子を配列したものも提案されている。
しかしながら、従来のシングルスライスCT装置及びマルチスライスCT装置におけるチャンネル方向のミスアライメント補正は、管球アライメント時に残ったミスアライメントの補正が目的であり、熱的膨張等による焦点移動など、経時的に変化するミスアライメントや、検出素子それぞれの組立誤差によるミスアライメントなどを想定したものではなく、これらが原因となってアーティファクトが生じるという問題点がある。
また、コーンビーム(マルチスライス)X線CT装置では、焦点位置に関係して、以下に説明する問題点がある。
まず、コーンビーム再構成を行うX線CT装置では、ある再構成平面内の一つのピクセル(ボクセル)に逆投影する投影データは、焦点とそのボクセルとを結ぶ直線が2次元X線検出器と交差する点の投影データであることが必要である。設計上、2次元X線検出器のスライス方向の中心を通り、回転軸に直交する平面を中央断面(Mid−Plane)と定義し、その断面上に焦点があることを再構成の前提にして、何らかの原因で焦点位置が中央断面からずれていた場合(設計上の位置に対して、X線検出器がズレて取り付けられていても再構成上は相対的に同じことで、ここでは、X線検出器を基準に、焦点がズレている場合で記述する。)を考える。
設計上のX線パスから想定されていた2次元X線検出器上の点での出力データ(直接得られるか、あるいはその点の周囲の検出素子の出力データを補間して得られた、その点における出力データ)は、実際には全く別のX線パスの投影データということになる。つまり、対象となる再構成平面を考えると、あるボクセルに対して、別のボクセルに逆投影すべきデータを逆投影してしまうことが生ずる。投影データを、全く別の位置に逆投影すれば、アーティファクトの原因になることは容易に推定できる。
この問題は、焦点移動だけでなく、X線検出器をシステムに取り付ける場合のミスアライメント(プリコリメータに平行なミスアライメント)など、チャンネル方向に一定なミスアライメントでも同様に発生する。しかも、この問題は、X線検出器のスライス方向感度分布ばらつきや、X線検出器上でのビームの変動による出力変化と異なるため、従来技術に示した補正方法の効果はない。
また、ファンビームみなし再構成を行うマルチスライスX線CT装置においても、焦点のスライス厚方向の移動があると、収集したデータのZ座標が設計値からずれてくるため、再構成した画像の位置がずれたり、前述したヘリカルモードにおけるフィルタ補間などにおいて誤差を発生させるという問題が生じてくる。
以上は、X線検出器全体を取り付ける際のミスアライメントや、位置のミスアライメント、及び経時的な移動などによる、焦点とX線検出器との相対的な位置ズレに伴う問題であり、さらに、これらとは別に、X線検出器内部にも問題を含んでいる。X線検出器の構造上、すべての素子を一体に組み立てることは、コスト面などに大きな問題があり、複数の素子を持つ幾つかのブロックに分割して組み立てることが一般的である。
最終的にX線検出器を配列する場合に、ブロック毎あるいはチャンネル毎にスライス方向のアライメントが狂うことが避けられないため、上で述べた収集データのZ座標のズレが、ブロック毎、あるいはチャンネル毎に異なるという問題につながる。焦点移動や、X線検出器の取り付けのミスアライメントが無くても、収集データのZ座標が設計値からズレてくるのである。またこの問題は、X線検出器内部だけでなく、X線検出器をシステムに取り付ける場合のプリコリメータとのねじれなど、チャンネル方向に変化する、スライス方向のミスアライメントでも同様に発生する。
また、マルチスライスCTシステムにおいて、実際のシステムでは、検出器の組立精度の限界から、上記スライス方向のミスアライメントのみならず、チャンネル方向のミスアライメントも残留することがある。
このため、セグメント束ね方式のデータ処理を行う場合、束ねられる元のデータを供給する複数のスライス厚方向に配列された検出素子それぞれのチャンネル方向のミスアライメント量が異なることも予想され、束ねたデータのミスアライメント量が元データの位置によって異なるという新たな問題点が生じる。
特開平9−19425号公報 特開平8−19532号公報 特開平9−234195号公報 特開平8−154926号公報 特許第1513867号 特開平4−224736号公報 特開平6−169912号公報 "Practical cone−beam algorithm " L.A. Feldkamp, L.C. Davis,and J.W. Kress、J. Opt. Soc. Am. A/Vol.1, No.6, pp.612−619/June 1984. "円すいビーム投影を用いた3次元ヘリカルスキャンCT"、東北大学 工藤博幸、筑波大学 斎藤恒雄、電子情報通信学会論文誌 DII Vol. J74−D−II, No.8,pp.1108−1114,1991年8月。
本発明の目的は、X線検出器全体をシステムに取り付ける場合のミスアライメント(プリコリメータに平行なミスアライメント)または焦点のミスアライメント(経時的な位置変動(焦点移動)および位置調整の精度の限界によるミスアライメント)に伴って画像再構成時に原理的に発生するアーティファクトを除去し、良好な再構成画像を得ることである。
上記課題を解決するため本発明は、第1局面において、X線ビームを被検体に向けて曝射するX線源と、このX線源と被検体が配置される空間を隔てて対向配置されたそれぞれ多数のチャネルを有するX線検出器とを具備し、前記被検体が配置される空間の周囲に少なくとも前記X線源を前記チャンネル配列方向に回転させるスキャンにより得られた情報について再構成パラメータ及びまたはビーム位置情報を使用して再構成するX線CT装置において、前記スキャン前あるいはスキャン中に前記X線検出器に対する前記X線源のスライス方向の相対的な焦点位置を検出する焦点位置検出手段と、前記検出された相対的な焦点位置に基づきスライス方向におけるX線パスのずれを補正して再構成を行うように、前記再構成パラメータ及びまたは前記ビーム位置情報を変更する補正手段と、を備えることを特徴とする。
本発明は、第2局面において、X線ビームを被検体に向けて曝射するX線源と、このX線源と被検体が配置される空間を隔てて対向配置されたそれぞれ多数のチャネルを有する複数のX線検出セグメントからなるX線検出器とを具備し、前記被検体が配置される空間の周囲に少なくとも前記X線源を前記チャンネル配列方向に回転させるスキャンにより得られた情報について再構成パラメータ及びまたはビーム位置情報を使用して再構成するX線CT装置のミスアライメント補正方法であって、前記スキャン前あるいはスキャン中に前記X線検出器に対するX線源のスライス方向の相対的な焦点位置を検出する位置検出過程と、前記検出された相対的な焦点位置に基づき、スライス方向におけるX線パスのズレを補正して再構成を行うように、再構成パラメータ及びまたはビーム位置情報を変更するパラメータ変更過程と、前記変更された再構成パラメータ及びまたはビーム位置情報を使用して、断層像を再構成する再構成過程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、X線検出器全体をシステムに取り付ける場合のミスアライメント(プリコリメータに平行なミスアライメント)または焦点のミスアライメント(経時的な位置変動(焦点移動)および位置調整の精度の限界によるミスアライメント)に伴って画像再構成時に原理的に発生するアーティファクトを除去し、良好な再構成画像を得ることができる。
次に、本発明に係るX線CT装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係るX線CT装置1を示すシステム構成図である。同図に示すように、X線CT装置1は、X線ビーム発生器であるX線管球3と、スリット5と、2次元に検出素子が配列された主X線検出器7と、プロファイル検出器9と、主X線検出器用データ収集装置11と、プロファイル検出器用データ収集装置13と、データ処理装置15と、予め複数の焦点位置(a,b,…)にそれぞれ対応した複数の再構成パラメータ31a,31b,…及び複数の焦点位置にそれぞれ対応した複数のビーム位置情報33a,33b,…を記憶した記憶装置17と、高電圧発生装置19と、ホストコントローラ21と、表示装置23と、再構成装置25と、補助記憶装置27と、これら装置間を接続するバス29とを備えて構成されている。
図1において、ホストコントローラ21は、本X線CT装置1全体の動作を制御する中央制御装置である。高電圧発生装置19は、ホストコントローラ21からの制御信号によってX線管球3に高電圧を供給しX線を発生させる。発生したX線は、被検体P内を透過し、X線管球3と対向配置された主X線検出器7によってそのエネルギーが電流に変換される。
この時、X線管球3、スリット5、主X線検出器7及びプロファイル検出器9は、図示されない架台の回転装置によって被検体Pの周囲を一体的に回転する。架台の回転装置はホストコントローラ21からの制御信号によって制御される。主X線検出器7及びプロファイル検出器9によって電流として検出された信号は、それぞれ主検出器用データ収集装置11、プロファイル検出器用データ収集装置13によって増幅され、電圧信号に変換され、A/D変換された後ディジタル信号の投影データとしてデータ処理装置15に転送される。
データ処理装置15では、それぞれの投影データについてX線検出器の各素子毎の暗電流補正等を行った後、対数変換を施して、記憶装置17に記憶させる。
記憶装置17内に蓄えられた投影データは、画像再構成装置25に転送される。画像再構成装置25によって画像化された断層像は、表示装置23に転送され、表示される。また、収集された投影データあるいは画像化された断層像は、補助記憶装置27に転送され、記憶保存される。
X線管球3の焦点移動を検出するため、スリット5には、プロファイル検出器9用のX線ビームXPを通過させる間隙が設けられている。このX線ビームXPを検出するプロファイル検出器9、プロファイル検出器用データ収集装置13及びデータ処理装置15に内蔵された焦点位置計算機能が、主X線検出器7に対するX線管球3の相対的な焦点位置を検出する焦点位置手段を構成している。
プロファイル検出器9とプロファイル検出器用データ収集装置13について、その一例を説明する。図2に示すように、プロファイル検出器9はX線検出器の2つの検出素子AおよびBから構成されており、各素子は、図3に示すように、シンチレータ41とその下部に配設されているフォトダイオード43によって構成されている。シンチレータ41は、入射したX線強度に応じて発光し、シンチレータ41の発光は、フォトダイオード43によって電流に変換される。その電流はプロファイル検出器用データ収集装置13により増幅され、電圧信号に変換され、A/D変換後ディジタル信号となる。
これらのディジタル電圧信号は、入射したX線エネルギーに比例するように補正処理を行った後、データ処理装置15によりその比が計算される。計算されたディジタル電圧信号は、プロファイル検出器9の素子Aおよび素子B上のX線照射面積の比を示す。図4(a)に示すように、スリット5とプロファイル検出器9とを組み合わせることにより、X線焦点のスライス方向の移動量を検出することができる。
図5に補正処理の流れを示す。2次元X線検出器を使用するモードは、収集法として、寝台固定のスタティックモードとヘリカルモードの2種、再構成法としてコーンビーム再構成法とファンビームみなし再構成法の2種、合計4種類のモードを備えているものとする。(すべてを備えていなくてもよく、例えば1つのモードしかない場合は、モード固定となる。)
まず、オペレータからの指示により、上記4種のモードからスキャンモードが選択される(ステップS10)。モード選択後、オペレータの指示によりスキャン開始する(ステップS20)。スキャンが開始されると、X線管球3からのX線の曝射が始まり、主X線検出器7及び主X線検出器用データ収集装置11とによる被検体Pの投影データ収集(ステップS30)と平行して、プロファイル検出器9及びプロファイル検出器用データ収集装置による焦点位置の測定(ステップS40)、データ処理装置15による焦点位置の計算(ステップS50)が行われる。
得られた焦点位置に基づいて、記憶装置17に記憶された複数の焦点位置にそれぞれ対応する再構成パラメータ31a,31b,…から実際の焦点位置に最も近い再構成パラメータが選ばれて再構成装置25に送られ、同様に、記憶装置17に記憶された複数の焦点位置にそれぞれ対応するビーム位置情報33a,33b,…から実際の焦点位置に最も近いビーム位置情報が選ばれて再構成装置25に送られて、ミスアライメントの補正が行われる(ステップS60)。
次いで、収集された投影データと補正された再構成パラメータとを使用して画像再構成(ステップS70)、画像表示(ステップS80)と進む。ステップS60において、再構成パラメータの補正は、再構成の一部と考えても良く、図1のブロック図中では、再構成装置25にその機能を持たせてもよい。
次に、各スキャンモード毎に、補正方法について説明する。
第1にコーンビーム再構成における補正について説明する。スタティックモードと、ヘリカルモードと特に区別せずに述べる。
図6は、コーンビームCT装置設計上のジオメトリを示す。縦軸に回転軸をとり、スライス面に平行な面に横軸を設定する。向かって左側に焦点があり、右側にX線検出器がある位相での横方向の断面である。X線検出器は16素子として説明する。既に述べたように、コーンビーム再構成においては焦点と再構成するボクセルを結んだ直線が2次元のX線検出器面と交差する点を求め、それをその直線上に逆投影する。同図に示す再構成平面内のボクセルa、ボクセルbで考えると、No.12、No.13のX線検出器のほぼ中央に入射するビームAのデータ(例えば、No.12、No.13のX線検出器のデータから補間で求める。)をボクセルaに逆投影し、No.11のX線検出器のほぼ中間(No.10寄り)に入射するビームBのデータ(例えば、No.10、No11のX線検出器のデータから補間で求める。)をボクセルbに逆投影することになる。
ここで、熱的な焦点移動など何らかの原因で焦点のX線検出器に対する相対的位置が変化する(以下では焦点移動として述べる。)と、図7の状態となる。図6におけるビームA(図7では点線で示す。)のデータとして、例えば、No.12。No.13のX線検出器のデータから補間で求めたデータは、焦点移動した実際には図7に示すビームAの位置をとおってX線検出器に入射したものである。(ビームBについても同様)。つまり、ボクセルaには、ボクセルaを通ってきたと思って、全く別のところを通ってきたデータを逆投影することになる。(ボクセルbも同様)。ビームが通ってきたパス上のボクセルに逆投影するのが再構成の基本であり、この図7の状態でアーティファクトが発生することは容易に類推される。
そこで、本発明では、図8及び、図9に示す方法で、このずれを補正する。
図8では、実際の焦点位置に合わせて、ボクセルaに逆投影すべきデータとして、ビームAを想定して、例えば、No.12、No.13のX線検出器のデータから補間で求めたデータでなく、ビームA′を想定し、例えば、No.14、No.15のX線検出器のデータから補間で求めたデータを選択する。ボクセルbについても同様に、No.10、No.11のX線検出器のデータら補間して得られたデータではなく、ビームB′のデータ(例えば、No.10、No.11のX線検出器のデータから補間して得られたデータ)を逆投影する方法をとる。この結果、該当するボクセルを実際に通ってきたデータを、そのボクセルに逆投影することになり、コーンビーム再構成本来の性能を発揮できるようになる。
ここで、図8の簡易的な実現方法について述べる。図8の方法の基本は、実際の焦点位置に合わせて、該当するボクセルに逆投影すべきデータを求めるための補間の組合せ(検出素子の組合せと、重み)を換えることである。連続的に変化する焦点位置について、それぞれ補間の組合せを換えるためには、その都度補間の組合せを計算して求める必要が出てくる。従って、まず、予め予想される焦点移動の範囲を、ミスアライメントによるアーティファクトが許容される幅で分割し、その範囲の代表として一つの補間の組合せを設定する。そして、実際のデータ収集時には、測定した焦点位置に最も近い位置の補間の組合せを選択し補間する方法を採る。予め補間の組合せを設定し、記憶させておくことで、補間の組合せを計算するための余分な時間が不要となる。
図9は、実際の焦点位置でのビームAのデータを、実際に通ってきたボクセルa′に逆投影する方法である。実際の焦点位置と、該当するビームが入射するX線検出器上の位置とを結ぶ直線が再構成平面と交差する位置にあるボクセルa′を想定し、設計上ではボクセルaに逆投影するはずだったデータを、このボクセルa′に逆投影するのである。この結果、該当するボクセルを実際に通ってきたデータを、そのボクセルに逆投影することになり、コーンビーム再構成本来の性能を発揮できるようになる。
図8の方法は、ボクセル位置を基準にして、このボクセルに逆投影すべきデータを焦点移動に応じて変更するものであり、一方、図9の方法は、検出器で検出されたデータを基準にして、このデータまたはこのデータから補間されたデータを逆投影すべきボクセル位置を焦点移動に応じて変更する方法である。結果的には、図8の方法と図9の方法とは同じことであり、再構成装置の構成に応じていずれの方法を選択しても、得られる効果は同じである。
第2に、ファンビームみなし再構成方法を用いるモードについて説明する。図10に、設計上のジオメトリを示す。縦軸に回転軸をとり、スライス面に平行に横軸を設定する。向かって左側に焦点があり、右側にX線検出器がある位相での横方向の断面である。ここでは、X線検出器は8素子として説明する。既に述べたように、コーンビームデータをファンビームデータとみなして、ファンビーム再構成を行う方法であるから、例えばNo.6のX線検出器で得られたデータを、網掛け部分の平面のファンビームデータとみなして再構成する方法である。たとえば、No.6の検出素子の中央と焦点位置とを結ぶ直線ビームAと、回転中心軸との交差する位置が、再構成平面の中央となり、これが、画像のスライス厚方向(Z軸とする)の座標となる。
nview:viewの番号
Zview:任意のviewにおける、設計上の焦点を含む平面のZ座標(スタティックモードでは一定、ヘリカルモードではヘリカルピッチに応じて変化する)
nseg:X線検出器segの番号
Zseg:X線検出器の任意のseg.のX線検出面における設計上の焦点を含む平面からの距離
FCD:焦点から回転軸(Z軸)までの距離
FDD:焦点からX線検出面までの距離とすると、(nview、nseg)におけるビームのZ座標:Z(nview、nseg)は、
Z(nview、nseg )=Zview+Zseg × FCD/FDD …(1)
式(1)となる。スタティックモードでは、この座標がそのまま画像のZ座標とり、ヘリカルモードではそれぞれの収集データのZ座標として、補間の重みなどを決めるパラメータとなる。
ここで、熱的な焦点移動など何らか原因で焦点のX線検出器に対する相対的位置が変化する(以下では焦点移動として述べる。)と、図11の状態となる。例えば、No.6の検出素子の中央と実際の焦点位置とを結ぶ直線ビームAが、図11のように変化し、回転中心軸と交差する位置(再構成平面の中央)が、設計上の位置(薄い網掛け)に対してずれている。
ここで、Δf:焦点の移動量とすると、(nview、nseg)における焦点移動状態でのビームのZ座標:Z′(nview、nseg)は、
Z(nview、nseg )
=Zview+(Zseg −Δf)× FCD/FDD +Δf =Zview+Zseg × FCD/FDD +Δf×(1− FCD/FDD )
=Z(nview、nseg )+Δf×(1− FCD/FDD ) …(2)
式(2)となる。画像のZ座標、あるいは、収集データのZ座標として、設計値であるZ(nview、nseg)ではなく、実測した焦点位置に基づくZ′(nview、nseg)を用いることにより、焦点位置の相対的な変動によるミスアライメントの影響を抑えることができる。
コーンビーム再構成では補間の組合せを調整するために複雑な補正処理が必要となるが、ファンビームみなし再構成法の場合は、収集データのZ座標に補正を加えることで済むためより簡単な処理でミスアライメントの補正が可能となる。
続いて、チャンネル方向に変化する、スライス方向のミスアライメントの補正方法について説明する。
この場合には、まず各検出素子のシステムに対する配列位置ズレを測定する必要がある。X線検出器内部の素子配列は製造工程内で測定することができる。例えば、X線検出器後方にX線フィルムを配置して、前方からX線を曝射し、X線検出器の影から各検出素子の配列位置ズレを測定する方法がある。X線フィルムを別のX線検出器に置き換えて測定しても良い。ここで測定した検出素子データはX線検出器本体と合わせて管理し、X線検出器をシステムに取り付けた際に、X線検出器素子配列データをシステムに入力して補正に用いる。
次に、X線検出器をシステムに取り付ける際に、プリコリメータに対してねじれているかどうかを測定する。X線検出器のチャンネル方向の両端にある素子において、プリコリメータのプロフィールを測定し、両端のプロフィールの差と、予め測定しシステムに入力してある検出素子配列データのなかの該当する両端の検出素子の配列データとから、プリコリメータとX線検出器中心線(例えば、すべてのチャンネルの平均値)とのねじれとが求められる。
次に、これらのデータから、各チャンネルの各seg.毎に、システムに対する配列位置(Z座標)を計算する。ここで得られた、Z座標(Zseg
(nch、nseg))を、上で述べたZsegの代わりに用いることで、それぞれの素子で得られたデータのビーム位置を規定することができる。
その後の具体的な補正は、基本的に上で述べてチャンネル方向に一定な、スライス方向のミスアライメントの補正と同等で良い。コーンビーム再構成の場合は、ビーム位置に合わせて補間する組合せで調整し、ファンビームみなしマルチスライスのヘリカルの場合は、検出素子毎にフィルタ補間の重み計算する。X線検出器の構造上、素子毎のばらつきは小さくブロック単位でばらつく場合は、素子毎に計算するのではなく、ブロック単位で計算しても十分な効果が得られる。
ただし、ファンビームみなしマルチスライスのスタティックモードの場合は、新たな方法も提案する。図12(a)に示すように、それぞれが4つのチャンネルと、セグメント方向に1から8までの合計32素子を備える検出器ブロックを6ブロック使用してX線検出器を構成する場合を考える。そして、各検出器ブロックをシステムに組み込む場合に、各ブロック毎にZ方向のズレが生じたとする。このシステムで、複数のseg.に渡るビームA,Bを照射し、データを束ねて2つの厚いスライスの画像を作る場合を考える。このZ方向のミスアライメントを考えずに、そのままデータ加算すると、図12(b)のように、凸凹したビームとして処理してしまう。
そこで、本実施の形態では、ビームが照射された素子のデータを、配列データに基づいて重み付け加算する方法を採る。アライメントが合っているブロックNo.1、No.4、No.6では、それぞれビームA及びビームBに対応するseg.No.3、No.4及びseg.No.5、No.6のデータをそれぞれ加算する。一方、その他のブロックでは、それぞれのビームを受けた(受けたかどうかは、検出素子配列データから判断できる)seg.のデータを重み付け加算してデータを得る。この結果、図12(b)ではなく、図12(a)のビームを再現できることになる。
このように、スライス方向のミスアライメントがチャンネル方向に変化する場合でも、先に述べたチャンネル方向に一定なミスアライメントの場合と同様に、その影響を抑えることができる。
以上の実施形態では、スライス方向のミスアライメントについて説明したが、本発明は、チャンネル方向のミスアライメントにも適用することができる。
すなわち、図4(a)に示したプロファイル検出器において、検出素子の配列を2次元に拡張し、チャンネル方向にも強度分布を持つプロファイル検出用X線ビームを使用することにより、スライス方向の焦点移動のみならず、チャンネル方向の焦点移動をも検出することができる。
図4(b)に示すように、例えば、4つの検出素子A,B,C,Dを方形に配置したプロファイル検出器に向かって、正方形に成形されたプロファイル検出用X線ビームを照射する。検出素子A及びBの信号比率により、スライス方向の焦点移動が検出されることは、図4(a)と変わりがないが、これに加えて、チャンネル方向の焦点移動が検出素子A及びCの信号比率(またはB及びDの信号比率)により検出可能となっている。
また、検出素子の配列誤差のデータ収集方法についても、製造工程内でX線フィルムなどを用いる方法を示したが、これもスライス方向だけでなく、チャンネル方向の位置情報も収集するだけで、チャンネル方向のミスアライメント補正に必要な情報が得られる。
次に、マルチスライスシステムにおいて、複数のX線検出素子のデータを束ねる場合のミスアライメント補正の実施形態について説明する。
まず、図13に示すように、スライス方向の検出素子の大きさが等しい場合には、束ねられるそれぞれの素子のミスアライメント量の平均値を求め、この平均値を束ねたデータのミスアライメント量とみなして、そのデータに対応する再構成パラメータを変更する。
図13の場合であれば、それぞれ検出素子の大きさが等しいセグメント1からセグメント4までのデータが束ねられる。すなわち、それぞれのセグメント1、2、3、4に属する素子のそれぞれのミスアライメント量をδ1、δ2、δ3、δ4とすれば、束ねたデータのミスアライメント量は、(δ1+δ2+δ3+δ4)/4となる。
次いで、図14に示すように、スライス方向の検出素子の大きさが等しくない場合には、束ねられるそれぞれの素子の大きさに応じてミスアライメント量の重み付け平均値(加重平均値)を求め、この加重平均値を束ねたデータのミスアライメント量とみなして、そのデータに対応する再構成パラメータを変更する。
すなわち、それぞれのセグメント1、2、3、4に属する素子の大きさをL1、L2、L3、L4とし、それぞれのミスアライメント量をδ1、δ2、δ3、δ4とすれば、束ねたデータのミスアライメント量は、(δ1L1+δ2L2+δ3L3+δ4L4)/(L1+L2+L3+L4)となる。
また、図15に示すように、簡易的な方法として、スライス方向の検出素子の大きさが等しくない場合には、束ねられる素子の中で最も大きい素子(L1)のミスアライメント量δ1を束ねたデータのミスアライメント量とみなして、そのデータに対応する再構成パラメータを変更してもよい。
以上、好ましい実施の形態について説明したが、これらは本発明を限定するものではない。本発明の思想の本質は、X線CTスキャナの世代やスキャン方式、スキャンモードの種類や、補間方法の違いに依らず、焦点位置検出手段により検出された焦点位置のX線検出器に対する実際の相対位置に応じて、補間の組合せなどの再構成パラメータやビームの位置情報などを変更し、再構成のためのデータを処理することにある。
本発明に係るコーンビームX線CT装置の実施の形態を示すブロック図である。 焦点位置検出手段の焦点位置検出原理説明図である。 焦点位置検出手段の構成を示すブロック図である。 焦点位置検出手段の動作説明図である。 本発明に係るコーンビームX線CT装置における焦点移動補正の手順を示すフローチャート図である。 コーンビームX線CT装置の設計上のジオメトリを説明する要部断面図である。 コーンビームX線CT装置において焦点移動などミスアライメントが生じた場合の補正前の状態を説明する部分断面図である。 本発明に係るX線CT装置(コーンビーム)において焦点移動などミスアライメントが生じた状態の第1の補正方法を説明する図である。 本発明に係るX線CT装置(コーンビーム)において焦点移動などミスアライメントが生じた状態の第2の補正方法を説明する図である。 ファンビームみなし再構成を行うマルチスライスX線CT装置の設計上のジオメトリを説明する要部断面図である。 ファンビームみなしマルチスライスX線CT装置の焦点移動時のビームの位置ズレを説明する要部断面図である。 ブロック間のばらつきがある場合のビームの位置ズレを説明するX線検出器展開図である。 同じサイズの複数セグメントのX線検出データを束ねて使う場合のミスアライメント量を説明する図である。 異なるサイズの複数セグメントのX線検出データを束ねて使う場合のミスアライメント量を説明する図である。 異なるサイズの複数セグメントのX線検出データを束ねて使う場合のミスアライメント量(簡易的な定義)を説明する図である。 回転陽極X線管球の焦点移動説明図である。
符号の説明
1…X線CT装置、3…X線管球、5…スリット、7…主X線検出器、9…プロファイル検出器、11…主X線検出器用データ収集装置、13…プロファイル検出器用データ収集装置、15…データ処理装置、17…記憶装置、19…高電圧発生装置、21…ホストコントローラ、23…表示装置、25…再構成装置、27…補助記憶装置、29…バス、31…再構成パラメータ、33…ビーム位置情報。

Claims (6)

  1. X線ビームを被検体に向けて曝射するX線源と、このX線源と被検体が配置される空間を隔てて対向配置されたそれぞれ多数のチャネルを有するX線検出器とを具備し、前記被検体が配置される空間の周囲に少なくとも前記X線源を前記チャンネル配列方向に回転させるスキャンにより得られた情報について再構成パラメータ及びまたはビーム位置情報を使用して再構成するX線CT装置において、
    前記スキャン前あるいはスキャン中に前記X線検出器に対する前記X線源のスライス方向の相対的な焦点位置を検出する焦点位置検出手段と、
    前記検出された相対的な焦点位置に基づきスライス方向におけるX線パスのずれを補正して再構成を行うように、前記再構成パラメータ及びまたは前記ビーム位置情報を変更する補正手段と、を備えることを特徴とするX線CT装置。
  2. 前記X線検出器に対する前記X線源の複数の相対的な焦点位置に応じてそれぞれ前記再構成パラメータ及びまたは前記ビーム位置情報を予め記憶する記憶手段をさらに備えてなり、前記補正手段は、前記検出された相対的な焦点位置に最も近い焦点位置に応じて記憶された前記再構成パラメータ及びまたは前記ビーム位置情報を使用することを特徴とする請求項1記載のX線CT装置。
  3. X線ビームを被検体に向けて曝射するX線源と、このX線源と被検体が配置される空間を隔てて対向配置されたそれぞれ多数のチャネルを有する複数のX線検出セグメントからなるX線検出器とを具備し、前記被検体が配置される空間の周囲に少なくとも前記X線源を前記チャンネル配列方向に回転させるスキャンにより得られた情報について再構成パラメータ及びまたはビーム位置情報を使用して再構成するX線CT装置のミスアライメント補正方法であって、
    前記スキャン前あるいはスキャン中に前記X線検出器に対するX線源のスライス方向の相対的な焦点位置を検出する位置検出過程と、
    前記検出された相対的な焦点位置に基づき、スライス方向におけるX線パスのズレを補正して再構成を行うように、再構成パラメータ及びまたはビーム位置情報を変更するパラメータ変更過程と、
    前記変更された再構成パラメータ及びまたはビーム位置情報を使用して、断層像を再構成する再構成過程と、
    を備えたことを特徴とするX線CT装置のミスアライメント補正方法。
  4. 前記パラメータ変更過程は、
    任意のボクセルに逆投影すべきデータを求めるための補間におけるX線検出データを収集した前記X線検出器セグメントとそのデータの重みとの組合せを前記検出された相対的な焦点位置に基づくX線パスに従って変更することを特徴とする請求項3記載のX線CT装置のミスアライメント補正方法。
  5. 前記パラメータ変更過程は、
    X線検出データを収集した前記X線検出器セグメントとそのデータの重みとの組合せを用いて補間されたデータを設計上の焦点位置に基づいて計算された逆投影すべきボクセルの位置から前記検出された相対的な焦点位置に基づくX線パス上に移動させることを特徴とする請求項3記載のX線CT装置のミスアライメント補正方法。
  6. 前記パラメータ変更過程は、
    検出器の各セグメントで得られたデータのスライス方向位置情報を前記検出された相対的な焦点位置に基づくX線パスと回転中心軸との交点のスライス方向位置情報に変更することを特徴とする請求項3記載のX線CT装置のミスアライメント補正方法。
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