JP2005008536A - トリアルカノールアミンの精製方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反応によって得られたアルカノールアミンからトリアルカノールアミンを精製する方法であって、トリアルカノールアミンの沸点未満の低沸点化合物を原料トリアルカノールアミンに添加して蒸留することを特徴とするトリアルカノールアミンの精製方法。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルキレンオキシドとアンモニアとの反応によって得られたアルカノールアミンから、トリアルカノールアミンの精製する方法に関する。さらに詳細には、原料トリアルカノールアミンに低沸点化合物を添加した後に蒸留する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレンオキシドとアンモニアとの反応でエタノールアミン類を製造する方法としては、工業的には、エチレンオキシドとアンモニア水とを反応させる方法が従来行われてきた(安水法)。
【0003】
安水法の他に、ゼオライト触媒を用い、エチレンオキシドと液体アンモニアとを反応させてエタノールアミン類を製造する方法も開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
トリエタノールアミンの着色を改良する方法として、ケイ素、アルミニウムなどの無機化合物の存在下に、酸素を遮断した条件下で加熱処理した後蒸留する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特許第3154984号公報
【特許文献2】
特公平5−8693号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
触媒法で得られた反応生成物は、ジエタノールアミンの比率が高く、トリエタノールアミンが低い。この反応生成物を減圧蒸留で処理してトリエタノールアミンを得ようとすると、反応生成物中に含まれる不純物がトリエタノールアミン中に濃縮されているため高純度の製品が得られず、高品質のトリエタノールアミンを容易に得られないという問題点があった。
【0007】
一方、トリエタノールアミンは化粧品、洗剤、乳化剤などの原料として使用されるため、脂肪酸アミドや高級アルキル硫酸エステルに加工される。その際、高純度でなおかつ無水酢酸、硫酸、リン酸などの無機酸やクエン酸などの有機酸との中和反応で、できるだけ着色を示さない製品が要求される。そのため、製品となるトリエタノールアミンは所定の特性を備えていることが求められる。
【0008】
安水法による製造方法では、トリエタノールアミンを減圧蒸留で得る際に、留出分を細かく分取することで高品質のトリエタノールアミンを得ることが必要であり、色相の優れたトリエタノールアミン収量は低かった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記問題点を解決し、色相に優れた高純度トリアルカノールアミンの製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の発明を完成した。
【0011】
本発明は、反応によって得られたアルカノールアミンからトリアルカノールアミンを精製する方法であって、トリアルカノールアミンの沸点未満の低沸点化合物を原料トリアルカノールアミンに添加して蒸留することを特徴とするトリアルカノールアミンの精製方法、によって達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本明細書で用いられるアルカノールアミンには、炭素数2〜5のアルカノールアミンが含まれるが、エタノールアミン、プロパノールアミンが例示される。本明細書では、エタノールアミンを代表例として、その製造方法を説明する。
【0013】
(エタノールアミンの調製)
エタノールアミンの工業的製造方法としては、安水法、触媒法などの公知の方法が挙げられる。安水法では、エチレンオキシドとアンモニア水とを反応させる。また、触媒法では、エチレンオキシドと液体アンモニアをゼオライト触媒の存在下で反応させる。さらに、安水法で得られたエタノールアミンと触媒法で得られたエタノールアミンとを混合して、エタノールアミンが得られる。ゼオライトタイプ触媒の存在下にエチレンオキシドと液体アンモニアとの反応およびエチレンオキシドとアンモニア水との反応によって連続的にエタノールアミン類を製造する方法を代表例として説明する。
【0014】
図1は触媒法と安水法を組み合わせたエタノールアミンの製造方法のフローシートの一例を示す図面である。図1において、上部ブロック1Aは触媒法によるエタノールアミンの製造方法を用いたフローを、下部左のブロック1Bは安水法によるエタノールアミンの製造プロセス、下部中央のブロック1Cはアンモニア回収系を、下部右のブロック1Dは精製系である。
【0015】
触媒法エタノールアミンの製造方法:反応は液体アンモニアとエチレンオキシドとを原料として、液相状態において加圧系固定床反応器を用いて行なう。アンモニアの使用量は、エチレンオキシド1モルに対し、通常、2〜30モルの範囲である。アンモニアの使用量がエチレンオキシドとの反応の理論量よりも過剰に用いることから、通常、反応生成物からアンモニアを分離、回収し、再度反応器へ供給する。また、反応で得られるエタノールアミンは、例えば、モノエタノールアミン(以後、「MEA」と略称する)、ジエタノールアミン(以後、「DEA」と略称する)、トリエタノールアミン(以後、「TEA」と略称する)の混合物である。DEA、TEAを選択的に得る場合には、混合物を反応器へリサイクルできる。また、選択的にDEAを得る場合には、MEAだけを分離し、反応器へリサイクルする。
【0016】
反応器は固定床反応器であり、通常、反応液体をアップフローで流す。さらに、反応器は反応効率の点から断熱型反応器であることが好ましい。
【0017】
反応温度は、常温〜200℃、反応圧は8〜15MPa程度が好ましい。反応器内を流れる液量は、通常、0.1リットル/h以上であり、0.1〜100、000リットル/hの範囲が好ましい。このとき、LHSV(液空間速度)は、反応温度、触媒の種類や使用量によって変るが、通常、0.5〜100h−1の範囲である。
【0018】
原料液体アンモニアタンク102および回収液体アンモニアタンク106からそれぞれ高圧ポンプによって液体アンモニアを、原料予熱器(例えば、20〜100℃)103を経て反応器104に供給する。一方、EOタンク101から高圧ポンプによってEOを反応器104に供給する。反応器104は圧力制御弁107によって8〜15MPa程度に制御されている。制御弁107を出た反応生成物は、1〜3MPa程度に制御されたアンモニア回収塔105の中段に送られる。アンモニア回収塔105の塔頂から出たアンモニアは冷却器(冷媒は通常の冷却水)108で冷却され、液体アンモニアタンク106に回収される。一方、アンモニア回収塔105のボトム液はエタノールアミン混合物と4〜20質量%のアンモニアを含んでいる。このボトム液は安水法のアンモニア放散塔132へ送られる。
【0019】
一方、安水法であるアンモニア水を原料とするエタノールアミンを製造する方法は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、アンモニア水溶液タンク133からアンモニア水が、原料EOタンク101からEOが反応器124へ送られる。使用するアンモニアとEOとの比率によって、得られるMEA,DEA,TEAの比率が変化するので、目的に応じて適宜設定することができる。例えば、EOの1モルに対し、1〜40モルまでのアンモニアが例示できる。反応は、通常、常圧〜16MPaの圧力で、反応温度は常温〜150℃の範囲で、多管式反応器で行われる。アンモニア/水/エタノールアミンを含む反応液は、前記アンモニア回収塔105のボトム液と混合して、アンモニア放散塔132の中段へ送られる。
【0020】
アンモニア放散塔132でアンモニアを塔頂から水とアンモニアが放散され、冷却器136を経てアンモニア水溶液タンク133に回収され、このアンモニア水は希釈され、安水法の反応原料として再利用される。
【0021】
アンモニア放散塔132のボトム液は精製系1Dで精製することができる。ボトム液には水とエタノールアミンが含まれる。このボトム液は脱水塔144に投入される。脱水塔144では塔頂から水を除去し、ボトム液はMEA精留塔145に投入する。MEA精留塔145の塔頂液は、その一部をポンプを介して予熱器103に投入する。符号146はDEA精留塔、147はTEA蒸留塔、148はTEA精留塔を示す。リサイクルするMEA量は、目的とするDEAに依存する。なお、MEAのリサイクルの関係を説明するために、エタノールアミンの調製だけでなく、精製系を含めた全工程を説明した。本発明の方法では、得られたエタノールアミンの生成比率および触媒法と安水法の生産比率は異なっていても問題とならない。
【0022】
(原料TEAの調製)
このようにして得られたエタノールアミン(アンモニア放散塔132の入口)には、MEA、DEA、TEA、未反応原料であるアンモニア、反応副生物である水が含まれている。ここで、分別蒸留により、アンモニア、水、MEA、DEAの順に除いて、原料TEAを得る。水、MEA、DEAの蒸留は、従来公知の装置および方法で行う。
【0023】
具体的には、水、MEA、DEAは減圧蒸留によってそれぞれ留出させて除く。ここで、蒸留の際の減圧条件は、通常、55℃〜180℃、110〜5.3hPaの範囲である。減圧蒸留は、通常、0.5〜36時間の範囲である。なお、蒸留には、通常、棚段塔、充填塔、濡壁塔、スプレー塔を用いる。
【0024】
原料TEAは、DEA蒸留塔の塔底液として得られ、通常、TEAが96〜85質量%、DEAが10質量%以下、高沸点化合物が15質量%以下である。
【0025】
(原料TEAの蒸留)
このようにして得られた原料TEAに、TEAの沸点未満の低沸点化合物(以後、「低沸点化合物」と略称する。)を添加して蒸留する。ここで、TEAの沸点は360℃である。低沸点化合物としては、蒸留水、イオン交換水などの水、MEA、;エタノール、メタノール(無水)(含水)、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン:エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル;モノエチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール;四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素が例示される。低沸点化合物としては、品質の改善の点からDEAの沸点未満の低沸点化合物が好ましい。なお、DEAの沸点は270℃である。また、低沸点化合物としては、取り扱い性が優れる点から30℃以上の沸点を有する化合物が好ましい。低沸点化合物の中でも、精製効果の点から、有機化合物、TEAに可溶性であること、液体であることおよび水が好ましい。さらに、DEAを除いたエタノールアミンの合成反応で得られた化合物、水および/またはMEAが好ましい。エタノールアミンの合成反応で得られた化合物であれば、前者以外の第三物質を添加する場合に比べて、得られた精製品に新たな不純物が発生しないことに加え、回収して再利用することが可能である。また、水を用いる場合には、通常、蒸留過程で副生水が発生、製品TEA中にも極少量だが含まれているため、問題はない。
【0026】
低沸点化合物の添加方法は、蒸留の前に予め低沸点化合物を原料TEAに添加し、混合する方法、蒸留塔に原料TEAと低沸点化合物を別々に投入する方法が挙げられる。作業に簡便性の点から、蒸留前に添加する方法が好ましい。また、低沸点化合物の添加量は、精製TEAの色相、リン酸着色について精製効果が認められる量であれば特に制限はされないが、原料TEA100質量部に対し、通常、0.1〜1000質量部、好ましくは0.5〜100質量部、さらに好ましくは0.5〜30質量部の範囲である。0.1質量部未満であると、TEAの品質改善効果が十分ではなく、一方、1000質量部を越えると、添加量に比例する品質改善効果が得られない。
【0027】
蒸留は、連続式または回分式で行なう。生産性の点から、連続式が好ましい。蒸留前に、蒸留容器内および原料液を窒素、ヘリウムなどの不活性ガスで置換することが好ましい。酸素などの酸化性ガスを除去することにより、原料液のその後の反応を防止することができるからである。蒸留の際の操作温度/操作圧力は、通常、120℃〜210℃/0.5〜18.0hPa、好ましくは130℃〜200℃/0.5〜12.0hPaの範囲である。蒸留における操作時間は、通常、0.5〜36時間、好ましくは0.5〜24時間の範囲が望ましい。なお、蒸留には、棚段塔、充填塔、濡壁塔、スプレー塔などが一般的に用いられている装置を用いる。蒸留の結果、TEAが97〜85質量%、DEAが10質量%以下、高沸点化合物が5質量%以下である(粗TEAとも称する)。なお、APHA色相値は、低沸点化合物を添加しない場合には85に対し、添加した場合には約23(20〜35)であり、リン酸着色値は、低沸点化合物を添加しない場合には波長510nmで0.20に対し、添加した場合には510nmで0.03である。
【0028】
純度、色相、リン酸着色などについてさらに高品質のTEAが要求される場合には、必要によりさらに蒸留し(以後、「精留」と称する。)、精製を行う。
【0029】
得られた精留用の原料TEAに、低沸点化合物を添加して蒸留する。低沸点化合物の添加方法、添加量などについては、上記蒸留の場合と同じである。
【0030】
精留は、通常、充填物を充填しない空塔を用いて回分式で行う。回分式で行うのは、初留分と後留分を効率的に除去するためである。精留用の原料TEAには、TEAの沸点を基準としてDEAなどの低沸点化合物、および高沸点化合物がかなり含まれている。つまり、低沸点化合物及び高沸点化合物を効率的に除去することが望まれる。そこで、連続式ではなくて回分式を採用し、低沸点化合物を初留分として、高沸点化合物を後留分として除去し、残りの中留分を目的の高品質TEAとして得る。この回分式蒸留においては、留出液をガスクロマトグラフなどの分析手段によって、連続的にまたは間欠的に測定することにより、得られた分析結果に基づいて生成物の純度を制御することができる。
【0031】
精留用の原料TEAを、蒸留装置の塔底液として仕込み、減圧蒸留で低沸点化合物を含む初留分と高沸点化合物を含む後留分を除いた中留分を高品質TEAとして得る。精留の際の操作温度/操作圧力は、通常、100℃〜200℃/0.5〜12.0hPa、好ましくは120℃〜190℃/0.5〜8.0hPaの範囲である。精留における操作時間は、通常、0.5〜36時間、好ましくは0.5〜24時間の範囲が望ましい。
【0032】
得られた高品質TEAは、通常、次の特性を示す。純度98%以上、好ましくは99%以上;色相(APHA)40以下、好ましくは25以下;リン酸呈色試験の吸光度は、波長420、510、530nmにおいて、通常、それぞれ0.12、0.06、0.08以下、好ましくは0.10、0.04、0.06以下である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0034】
(LHSVの定義)
LHSV(/h)=
(反応器に供給した反応液の単位時間当りの質量(kg/h))/
(反応器内の触媒質量(kg))
(分析方法)
エタノールアミン類の組成分析は、水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフを用いて分析を行った。カラムは、無極性キャピラリーカラムを取り付け、内部標準法で分析した。
【0035】
(色相)
APHA標準原液として試薬特級塩化第二白金酸カリウム1.245gと試薬特級塩化コバルト六水和物1.00gを精秤して1000mlメスフラスコに投入する。さらに、イオン交換水約100mlと試薬特級塩酸(36%含有)を100ml加えて加熱、溶解する。冷却後、イオン交換水で1000mlとした液はAPHA No.500に相当する。このAPHA標準原液を100mlメスフラスコにピペットで採取し、イオン交換水で希釈した液をAPHA標準液とする。APHA標準液のAPHA No.は、5xVとなる。ここで、Vは標準原液の採取量(ml)である。標準液は、0からAPHA No.5目盛りで調整する。この標準液は、蓋付きで外径25mm、内径22mm、全長250mmの石英ガラス製またはパイレックス(登録商標)製のもので、底面は平底、融着仕上げのものに底面より130mmの高さ(約50ml)に標線を引き、標線まで標準液を入れて用いる。取得したTEAは同一のガラス管に標線まで仕込み、白色紙上に置き、自然光で肉眼により、上方からAPHA標準液と比色して色相を測定する。
【0036】
(リン酸呈色試験)
100mlの共栓三角フラスコに取得したTEA27gを計り取り、イオン交換水3gを加える。そこに、プロピレングリコール7.5gと試薬特級リン酸6.0gを加え、激しく攪拌、混合する。75±1℃のウォーターバス中に20分間浸して加熱する。ウォーターバスから取り出し、激しく攪拌した後、20分間放冷する。放冷後、再び攪拌し、超音波洗浄器で脱気する。その後、50mmのガラスセラミックを用い、分光光度計で波長420,510および530nmにおける吸光度を測定する。
【0037】
(経日変化試験)
TEA250gをステンレス製ボトルに投入し、窒素雰囲気下の120℃オーブン中で2日間放置した後に、色相の変化を調べた。
(蒸留塔サイズ)
充填式、共通すりあわせ型
内径26mm、長さ400mm
充填物なし。
【0038】
(実施例1)
エタノールアミン製造プラントにおいて、触媒法は、EO、液体アンモニアおよびMEAをそれぞれ18.1,70.9,11.0質量%となるように、触媒を充填した反応器に連続投入した。断熱反応下、反応圧10MPa、入口温度45℃、LHSV 5.9で反応を行った。ここで、触媒とはランタンでイオン交換されたZSM−5型ゼオライトである。安水法は、EOと37%アンモニア水溶液とを、EOとアンモニアとのモル比が0.28となるように反応器に連続投入した。触媒法および安水法のエタノールアミン製造プラントにおけるEOの転化率はほぼ100%であった。得られた反応液は、触媒法の未反応アンモニアを加圧蒸留により取り除いた後、安水法反応液と混合した。混合比率(質量)は、触媒法/安水法=60/40であった。
【0039】
図2は、反応液を蒸留する際の概略フローを示す図面である。図2において、反応液201(触媒法と安水法との混合液)は、最初にアンモニア放散塔202で連続蒸留してアンモニア水を留出させ、次に脱水塔203で連続蒸留して水を留出させ、MEA精留塔204で連続蒸留してMEAを留出させ、さらにDEA精留塔205で連続蒸留してDEAを留出させて、塔底液として原料TEAを得た。塔底液の組成は、TEA91.7質量%、DEA7.6質量%、及び高沸点化合物0.7質量%であった。
【0040】
図2において、原料TEAに低沸点化合物208を混合した後にTEA精留塔206で回分蒸留してTEAを留出させる。具体的には、塔底液(原料TEA)500gに蒸留水15gを添加、混合した後、毛細管を備えた500mlのガラス製3つ口フラスコに仕込み、窒素置換を十分行った。その後、加熱と減圧を行い、90℃〜170℃/400〜10hPaの条件で添加した水を除去した後、160℃〜167℃の条件で蒸留を行ったところ、純度99.7質量%のTEAが300g(収率59.9%)得られた。なお、蒸留は、毛細管から窒素を吹き込みながら行った。得られた精製TEAについて、APHAを測定し、その結果を表1に示す。
【0041】
得られた精製TEAのリン酸呈色試験における吸光度は、波長420、510、530nmにおいて、それぞれ0.09、0.03、0.03であった。また、サンプルの外観は、無色透明浮遊物なしで、臭気において微香はあったものの刺激臭はなかった。経日変化試験では、APHAが20から25に変化した。
【0042】
(比較例1)
原料TEAに水を加えないことを除いて、実施例1の方法を繰り返してTEAを得た。得られたTEAについて、APHAの測定結果を表1に示す。
【0043】
得られた精製TEAのリン酸呈色試験における吸光度は、波長420、510、530nmにおいて、それぞれ0.66、0.20、0.13であった。また、サンプルの外観は、無色透明浮遊物なしで、臭気において微香はあったものの刺激臭はなかった。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から、実施例1と比較例1とを対比すると、実施例1の方が格段に優れていることがわかる。具体的には、実施例1ではTEA純度99%以上におけるAPHA値の平均値が24.1で、比較例1では86.0で、(実施例1)/(比較例1)=0.28である。よって、実施例1では、比較例1に対し、APHA値が72%改善された。
【0046】
また、リン酸呈色試験における吸光度は、実施例1と比較例1とを対比すると、実施例1のTEAが全波長において優れていた。
【0047】
(実施例2)
原料TEAに蒸留水2.5gを添加したことを除いて、実施例1の方法を繰り返してTEAを得た。得られた精製TEAについて、APHAを測定し、その結果を表2に示す。
【0048】
得られた精製TEAの純度は99,7質量%、収率304g(60.9%)、平均APHA値28.3であった。リン酸呈色試験における吸光度は、波長420、510、530nmにおいて、それぞれ0.11、0.04、0.05であった。また、サンプルの外観は、無色透明浮遊物なしで、臭気において微香はあったものの刺激臭はなかった。経日変化試験では、APHAが23から30に変化した。
【0049】
(実施例3)
原料TEAに蒸留水100gを添加したことを除いて、実施例1の方法を繰り返してTEAを得た。得られた精製TEAについて、APHAを測定し、その結果を表2に示す。
【0050】
得られた精製TEAの純度は99,7質量%、収率308g(61.6%)、平均APHA値20.0であった。リン酸呈色試験における吸光度は、波長420、510、530nmにおいて、それぞれ0.07、0.02、0.02であった。また、サンプルの外観は、無色透明浮遊物なしで、臭気において微香はあったものの刺激臭はなかった。経日変化試験では、APHAが18から22に変化した。
【0051】
【表2】
【0052】
表2から、添加蒸留水の多い方がAPHA色相が改善されていることがわかる。
【0053】
(実施例4)
図3は、反応液を蒸留する際の概略フローを示す図面である。図3において、反応液301(触媒法と安水法との混合液)は、最初にアンモニア放散塔302で連続蒸留してアンモニア水を留出させ、次に脱水塔303で連続蒸留して水を留出させ、MEA精留塔304で連続蒸留してMEAを留出させ、さらにDEA精留塔305で連続蒸留してDEAを留出させて、塔底液として原料TEAを得た。原料TEAをTEA蒸留塔306で連続蒸留して粗TEAを留出した。塔底液の組成は、TEA95.0質量%、DEA4.9質量%、及び高沸点化合物0.1質量%であった。
【0054】
さらに、粗TEAに低沸点混合物308を混合した後に、TEA精留塔307において回分蒸留して精製TEAを留出させた。具体的には、塔底液(粗TEA)500gに蒸留水15gを添加、混合した後、毛細管を備えた500mlのガラス製3つ口フラスコに仕込み、窒素置換を十分に行なった。その後、加熱と減圧を行い、90℃〜170℃/400〜10hPaの条件で添加した水を除去した後、173℃〜175℃/6.6〜3.0hPaの条件で蒸留を行ったところ、純度99.7質量%のTEAが372g(収率74.4%)得られた。得られた精製TEAについて、APHAを測定し、その結果を表3に示す。
【0055】
得られた精製TEAのリン酸呈色試験における吸光度は、波長420、510、530nmにおいて、それぞれ0.08、0.03、0.02であった。また、サンプルの外観は、無色透明浮遊物なしで、臭気において微香はあったものの刺激臭はなかった。経日変化試験では、APHAが10から15に変化した。
【0056】
(比較例2)
精留用の原料TEA液に水を加えないことを除いては、実施例4の方法を繰り返して精製TEAを得た。得られた精製TEAについて、APHAを測定し、その結果を表3に示す。
【0057】
得られた精製TEAについて、APHAの測定結果を表2に示す。得られた精製TEAのリン酸呈色試験における吸光度は、波長420、510、530nmにおいて、それぞれ0.09、0.04、0.02であった。また、サンプルの外観は、無色透明浮遊物なしで、臭気において微香はあったものの刺激臭はなかった。経日変化試験では、APHAが15から25に変化した。
【0058】
【表3】
【0059】
表3から、実施例4と比較例2とを対比すると、実施例4の方が優れていることがわかる。具体的には、実施例4ではTEA純度99%以上におけるAPHA値の平均値が10.9で、比較例2では15.9で、(実施例4)/(比較例2)=0.69である。よって、実施例4では、比較例2に対し、APHA値が31%改善された。
【0060】
また、リン酸呈色試験においても、波長420,510nmにおいて、実施例4のTEAの方が比較例2のものより優れていた。さらに、APHA経日変化試験においても、実施例4のTEAの方が比較例2のものよりも、変化が少なかった。
【0061】
(実施例5,6,7、8および比較例3)
その他の精留用の原料TEA液に、MEA3質量%添加(実施例5)、水3質量%+MEA1質量%添加(実施例6)、蒸留水3質量%添加(実施例7)、エタノール3質量%添加(実施例8)および水を加えない(比較例3)ことを除いては、実施例1の方法を繰り返して精製TEAを得た。得られた精製TEAについて、APHAを測定し、その結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】
表4から、実施例5〜8と比較例3とを対比すると、実施例5〜8の方が優れていることがわかる。具体的には、実施例5〜8ではTEA純度99%以上におけるAPHA値の平均値がそれぞれ15.9、12.1、16.1、17.0で、比較例3では30.0で、(実施例5)/(比較例3)=0.53、(実施例6)/(比較例3)=0.41、(実施例7)/(比較例3)=0.52、(実施例8)/(比較例3)=0.57である。よって、比較例2に対し、実施例5では、APHA値が47%、実施例6では、APHA値が59%、実施例7では、APHA値が48%、実施例8では、APHA値が43%改善された。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、トリアルカノールアミンの沸点以下の低沸点化合物を原料トリアルカノールアミンに添加して蒸留するという簡便な方法によって、トリアルカノールアミンの純度を上げるとともに、色相についての品質を改良することができる。さらに、品質については、リン酸呈色試験、経日変化試験においても改良効果が求められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、エタノールアミン製造法の別の例を示すフロー図である。
【図2】は、反応液を蒸留する際の概略フローを示す図である。
【図3】は、反応液を蒸留する際のその他の概略フローを示す図である。
【符号の説明】
101…EOタンク
102…原料液体アンモニアタンク
103…予熱器
104,124…反応器
105…アンモニア回収塔
106…液体アンモニアタンク
107…制御弁
108…冷却器
109…リボイラー
132,202,302…アンモニア放散塔
133…アンモニア水溶液タンク
144,203,303…脱水塔
145,204,304…MEA精留塔
146,205,305…DEA精留塔
147,306…TEA蒸留塔
148,206,307…TEA精留塔
201,301…反応液
208,308…低沸点化合物
Claims (2)
- 反応によって得られたアルカノールアミンからトリアルカノールアミンを精製する方法であって、トリアルカノールアミンの沸点未満の低沸点化合物を原料トリアルカノールアミンに添加して蒸留することを特徴とするトリアルカノールアミンの精製方法。
- 前記低沸点化合物が、水および/またはモノアルカノールアミンであることを特徴とする請求項1記載の方法。
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