JP2004177164A - 水質分析装置及び水質分析方法 - Google Patents

水質分析装置及び水質分析方法 Download PDF

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Yuichi Morioka
雄一 森岡
Masatoshi Endo
昌敏 遠藤
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Abstract

【課題】測定対象である試料水の流量を制御することにより、正確なTOC値を連続して測定する。
【解決手段】本発明にかかる水質分析装置は、測定対象となる試料水の流路にレギュレータ20が配設されていることにより、試料水の圧力の変動を低減し、試料水の流量を略一定に保つことができる。流量が略一定に保たれた試料水を連続して測定することにより、不純物である有機物量を連続して正確に測定することが可能となる。また、レギュレータ20とオリフィス47とを連係させることにより流量の変動をさらに低減し、正確にTOC値を測定することができる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水に含まれる全有機体炭素量(Total Organic Carbon:以下、TOCと称す)を定量分析することができる水質分析装置及び水質分析方法に関する。特に、水に含まれる有機物に紫外線を照射することにより有機物を酸化させ、紫外線を照射する前後の水の導電率の差に基づいて水に含まれる炭素量を定量分析することができる湿式紫外線酸化法を用いた水質分析装置及び水質分析方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水の清浄度を表す指標の一つとして、水中の有機物中の炭素量である全有機炭素(TOC)値(μg/l 又はppbで表される)がある。特に、不純物を殆ど含まない水を用いることが重要である半導体洗浄では、0.20μg/l以下のTOC値が要求される場合がある。
【0003】
水のTOC値を測定する水質分析装置として、湿式紫外線酸化法を用いたTOC計が広く使用されている。湿式紫外線酸化法を用いたTOC計は、測定対象となる試料水の導電率を導電率センサで測定した後、かかる試料水に紫外線を照射することにより試料水に含まれる有機物を酸化させ、再度導電率を測定する。TOC計は、紫外線が照射される前後の試料水の導電率の差に基づいて、かかる試料水のTOC値を算出することができる。
【0004】
上述のTOC計は、半導体の洗浄を行う洗浄工程に設置され、洗浄に用いられる水の清浄度をリアルタイムでモニターすることができる。半導体の清浄工程では、有機溶媒の如き有機物を含む水の清浄度をリアルタイムでモニターするインラインリアルタイム計測を行うことにより水質を管理し、清浄度が良好な水を常時使用することが重要となる。また、上述の半導体洗浄工程に限らず、TOC計は、清浄度が良好な水を必要とする製造工程、又は各種有機物を取り扱う製薬プロセス工程において使用される水の清浄度を測定するためにも用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の如き工程で使用される水の清浄度を管理するためには、使用される水をTOC計に連続供給し、水のTOC値を精度良く且つリアルタイムで測定することが重要となる。
【0006】
しかしながら、このような工程に配設された配管内では、水の圧力変動が生じる場合が多い。測定対象となる水に圧力変動が生じた場合、工程からTOC計に供給される試料水の流量が変動することになり、常時一定量の試料水に対して紫外線を照射することが困難となる。常時一定量の試料水に対して紫外線が照射されないことにより、試料水に含まれる有機物の酸化度にばらつきが生じ、正確なTOC値を測定することが難しくなる。
【0007】
また、試料水の流量を一定に維持するためにマスフローコントローラによる流量制御を行う技術も知られているが、コストの増大を招く場合が多く、マスフローコントローラに替わる流量制御技術が求められている。
【0008】
さらに、測定対象となる試料水には、流量のばらつきの原因やTOC値の測定の障害となる気泡が含まれることが多く、このような気泡を滞留させる不要なスペースがTOC計の内部に形成されている場合もある。従って、このような気泡を除去する技術、及び気泡を滞留させるスペースが低減された構造を有するTOC計によりTOC値を精度良く測定する技術も求められている。
【0009】
また、上述の如き工程で使用されるTOC計は、工程の稼動中に連続してTOC値を測定することが出来る信頼性も重要となる。特に、長期間に亘ってTOC計を使用した場合、測定対象となる試料水が送り込まれるチャンバーが長期間紫外線の照射を受けることになり、チャンバーを形成する材質の劣化を招く。
【0010】
例えば、チャンバーを形成する材質として、TOC計の軽量化を図る目的で比較的軽量であるアルミニウムを用いた場合、チャンバーの内壁により紫外線が反射されることにより試料水への照射効率を高めることもできるが、光源である紫外線ランプに臨むチャンバーの内壁が酸化される。チャンバーの内壁で生成された酸化アルミニウムは、粉状となって紫外線ランプに付着し、紫外線ランプから出射される紫外線を遮ることになり、紫外線の照射効率を低下させる。さらに、チャンバー内に配設され、測定対象となる試料水の流路とされる反応器に酸化アルミニウムが付着した場合、試料水に対する紫外線照射の妨げとなる。
【0011】
このように紫外線ランプ及び反応器に酸化アルミニウムが付着すると、試料水に対して常時一定量の紫外線を照射することが困難となり、試料水に含まれる有機物が一様に酸化されず、正確なTOC値を測定することが難しくなる。
【0012】
さらに、試料水の流路とされる反応器は、試料水を流動させながら効率良く紫外線が照射されるように紫外線ランプを巻回するようなスパイラル形状とされる管状のものが広く用いられている。しかしながら、反応器としてガラス管を用いた場合、ガラス管は機械的強度が低く、特に、TOC計を組み立てる際のガラス管とチャンバーとの取り付け部に衝撃が加わると破損することが多い。また、ガラス管をスパイラル形状に加工するためには高度な加工技術が要求され、ガラス管の加工コストが高いだけでなく、量産することも困難とされる。従って、TOC計の組み立て時、及びTOC計を使用する際のガラス管の破損を低減することによりTOC計の製造コストの増大を抑制し、長期間正確にTOC値を測定することができる信頼性を確保することも重要となる。
【0013】
また、上述の如きガラス管は、紫外線を効率良く試料水に照射するための反応器としては汎用とされるが、TOC値を精度良く測定するためには、試料水に均一に紫外線を照射することにより試料水に含まれる有機物の分解を一様に行うことが重要となる。このように、試料水に含まれる有機物を一様に分解するためには、反応器は肉厚が略一定であると共にスパイラル形状のピッチが略一定であることが重要となる。
【0014】
しかしながら、既に述べたようにガラス管をスパイラル形状に成形するためには高度な技術が要求されるだけでなく、ガラス管の肉厚が略一定になるように成形することも難しい場合がある。このような実情から、反応管を形成するための材質として各種材質が検討されており、例えば、加工の容易さ及び紫外線の透過率が良好な点からフッ素樹脂により反応器を形成することも考えられる。フッ素樹脂は主として紫外線の波長が254nm近辺の波長帯で用いる殺菌装置等では汎用とされているが、加工の容易さ及び紫外線の透過率が良好な点からフッ素樹脂により形成された反応器を、試料水に含まれる有機物を分解するために必要とされる185nm近辺の波長帯の紫外線を用いる測定、又は分析に用いる技術も求められていた。
【0015】
さらに、ガラス管の如き反応器を用いることなく、簡単な構造のTOC計により試料水を流動させながらTOC値を正確に測定する技術も求められている。
【0016】
さらにまた、チャンバーに供給される前の紫外線が照射されていない試料水の導電率を導電率センサにより測定し、チャンバー内で紫外線が照射された試料水の導電率をチャンバーの出口側で測定した場合、同時刻に導電率が測定された試料水は実質的に同一の試料水とならない問題が生じ、チャンバーの入口側で測定された導電率と出口側で測定された導電率とに基づいてそのままTOC値を算出すると、TOC値の正確な値が得られない問題もある。
【0017】
具体的には、試料水がチャンバーを流れる際に要する通過時間をtとすると、チャンバーの入口側において測定された試料水の導電率と、チャンバーの入口側で導電率を測定した時刻から通過時間tだけ前にチャンバーの入口側を通過した試料水がチャンバーの出口側で測定された導電率とに基づいて試料水に含まれるTOC値が算出されることになる。従って、TOC値における試料水の流量を略一定に維持したとしても、チャンバーを通過した試料水分だけ測定対象となる試料水が入れ替わることになり、正確にTOC値を測定することが難しい。このように、TOC値を算出するために、同時刻にチャンバーの入口側で導電率が測定される試料水と、チャンバーの出口側で導電率が測定される試料水とが異なるため、TOC値をリアルタイムで精度良く測定することが困難とされていた。
【0018】
一方、TOC計による測定を繰り返し行う場合、紫外線ランプを繰り返し点滅させることになり、特に、装置サイズが小型化され、容易に持ち運びすることができるTOC計により水のTOC値の測定を行う場合、複数の設置場所で順次測定を行うこともあり、測定を行う度に紫外線ランプが点灯及び消灯される。紫外線ランプに対する点灯及び消灯が長期間に亘って繰り返されると、紫外線ランプに封入されたガスを放電させるためのフィラメントに熱的なストレスが加わり、フィラメントの劣化が進行する。フィラメントが劣化した状態で紫外線ランプの点灯及び消灯を引き続き行った場合、フィラメントが断線し、紫外線ランプから試料水に紫外線を照射することができなくなる。また、TOC計は常時振動にさらされる環境下で使用される場合もあり、この振動がフィラメントの断線の原因となることもある。
【0019】
試料水に照射される紫外線の光源とされる紫外線ランプとしては、熱電子を利用して放電を発生させる熱陰極管方式のものが広く用いられており、紫外線ランプを点灯させる電源の一例として、インバータ安定器が用いられる場合もある。しかしながら、熱陰極管方式に使用されるインバータ安定器は、フィラメントが断線した状態では紫外線ランプを点灯させるための充分な電圧をフィラメントに印加することができない場合があり、紫外線ランプを長期間に亘って安定した状態で使用することができる技術も求められている。
【0020】
よって、本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、測定対象である試料水の流量を制御することにより、正確なTOC値を常時測定することができる水質分析装置を提供することを目的とする。
【0021】
また、本発明は、紫外線を照射するために試料水が送り込まれるチャンバーの劣化を低減することにより、長期間に亘ってTOC値を正確に測定することができる水質分析装置を提供することを目的とする。さらに、組み立て時や使用時の反応器の破損を低減することができる水質分析装置を提供することを目的とする。
【0022】
さらに、本発明は、ガラス管に比べて容易に成形することができ、且つ試料水に含まれる有機物を分解するための十分な紫外線を透過することが可能である反応器を備えることにより精度良くTOC値を測定することができる水質分析装置を提供することを目的とする。
【0023】
また、本発明は、別途反応器を備えることなく、簡単な構造を有すると共に試料水を流動させながら紫外線を照射することができるチャンバーを備えることにより、正確にTOC値を測定することができる水質分析装置を提供することを目的とする。
【0024】
さらにまた、同一の試料水に対して、紫外線が照射される前後の導電率に基づいてTOC値を算出することにより、試料水を流しながら精度良くTOC値を測定することが可能となる水質分析方法を提供することを目的とする。
【0025】
さらに、本発明は、フィラメントが断線した状態でも、長期間紫外線ランプを点灯及び消灯することを可能なものとし、TOC値を長期間に亘って安定して測定することができる水質分析装置を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明にかかる水質分析装置は、測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析装置であって、試料水に紫外線を照射するための紫外線照射手段と、試料水の流量を制御するための流量制御手段とを有し、流量制御手段は、紫外線照射手段を含む試料水の流路において、流量が略一定になるように試料水の圧力を制御することを特徴とする。
【0027】
このような本発明にかかる水質分析装置における流量制御手段は、圧力を減圧するための減圧弁を備える。減圧弁は水質分析装置が配設される工程から供給される試料水の圧力を低減し、試料水の流量を略一定に制御することができる。
【0028】
さらにまた、このような本発明にかかる水質分析装置においては、流量制御手段が、試料水の注入部と試料水に含まれる炭素量を検出する炭素量検出手段との間の流路に配設されている。注入部と炭素量検出手段との間に配設された流量制御手段では、試料水の置換が迅速に行われると共に、TOC値を測定する際の障害となる気泡の混入を低減することができる。
【0029】
また、このような本発明にかかる水質分析装置は、流量制御手段から試料水を送り出す送出側には試料水に含まれる気泡を除去するための気泡除去手段が配設され、気泡除去手段は、流路から分岐された排出路に気泡を含む試料水を送り出すことにより気泡を排出する。このような気泡除去手段によれば、試料水にエアーが混入することによる流量のばらつきを低減し、且つTOC値を正確に測定することができる。
【0030】
さらに、このような本発明にかかる水質分析装置においては、流量制御手段により圧力の制御が行われる際に圧力が過剰に減圧されることを制限する圧力制限手段が、排出路から気泡を含む試料水を排出する排出部に配設されている。このような圧力制限手段によれば、試料水の圧力が急激に低下する場合でも圧力を維持することができ、流量を略一定に保つことが可能となる。
【0031】
また、本発明にかかる水質分析装置は、測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析装置であって、試料水に紫外線を照射する紫外線照射手段を有し、紫外線照射手段は、試料水に紫外線を照射する光源と、試料水の流路とされると共に該試料水に含まれる有機物を分解するための反応器と、光源及び反応器を収納するチャンバーとを備え、光源及び反応器に臨むチャンバーの内壁は、酸化防止のための耐候性を有する樹脂により被覆されている。
【0032】
このような本発明にかかる水質分析装置においては、チャンバーの内壁を被覆する樹脂として、紫外線照射に対して化学的に安定な樹脂とすることにより、チャンバーの内壁を十分に保護することができる。
【0033】
さらにまた、このような本発明にかかる水質分析装置においては、反応器はガラス管とされると共に、反応器の端部は反応管が光源に対して巻回される軸方向に対して平行に引き出され、反応器に加わる衝撃や応力を低減することができる構造とされる。従って、長期間に亘るTOC値の測定を高い信頼性を維持しながら行うことが可能となる。さらに、反応器がガラス管とされる場合、装置を組み立てる際の衝撃や応力によるガラス管の破損を低減することができる。
【0034】
また、このような本発明にかかる水質分析装置においては、紫外線照射手段は、チャンバーの端部を封止する封止部材を備え、封止部材はフッ素樹脂により形成される。このような封止部材によれば、反応器とされるガラス管と試料水の出入口とされる外部の流路との接続が容易に行えるだけでなく、チャンバーの密閉性を高めることができる。
【0035】
さらに、このような本発明にかかる水質分析装置においては、反応管の端部と接続されるジョイント部は、チャンバーの端部を封止する封止部材の内部に埋め込まれている。このようなジョイント部によれば、試料水の漏洩又はチャンバー内への不純物の混入を低減することができる。
【0036】
さらにまた、このような本発明にかかる水質分析装置においては、反応器は、紫外線を十分に透過させるフッ素樹脂により形成されていることを特徴とする。このような水質分析装置においては、試料水に含まれる有機物を分解する際の試料水の流路とされる反応器を所要の形状に容易に成形することができると共に、フッ素樹脂により形成された反応器は、試料水に含まれる有機物を分解するための十分な紫外線を透過させることができる。
【0037】
さらにまた、本発明にかかる水質分析装置は、測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析装置であって、試料水に紫外線を照射する紫外線照射手段を有し、紫外線照射手段は、試料水に紫外線を照射する光源と、光源を収納すると共に該チャンバーの内壁が酸化防止のための耐候性を有する樹脂により被覆されたチャンバーとを備え、光源とチャンバーとの間の空間を試料水に紫外線を照射する際の流路とすることを特徴とする。このような水質分析装置においては、チャンバーが別途反応管を備えることなく、チャンバーと紫外線を照射する光源との間の空間に試料水を流動させることにより、十分に試料水に紫外線を照射することが可能なり、測定されたTOC値の精度を高めることができる。
【0038】
また、本発明にかかる水質分析装置は、測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析装置であって、試料水に紫外線を照射するための光源とされる紫外線ランプと、紫外線ランプを点灯させるための点灯手段とを有し、前記点灯手段は、前記紫外線ランプの発光部に電子を放出するフィラメントが断線した際にも、前記紫外線ランプを点灯させるために十分な電圧を印加することを特徴とする。
【0039】
このような本発明にかかる水質分析装置においては、点灯手段はインバータ回路を有し、インバータ回路により変換された点灯電圧をフィラメントに対して印加する。インバータ回路により変換され、フィラメントが断線した場合でも紫外線ランプに封入されたガスを放電させるために十分な電圧をフィラメントに印加する。このような紫外線ランプ及び点灯手段によれば、長期間に亘って紫外線ランプを点灯及び消灯させることが可能となり、安定した光源として水質分析装置に使用することができる。
【0040】
また、本発明にかかる水質分析方法は、測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析方法であって、試料水が該試料水に紫外線を照射する紫外線照射手段により紫外線が照射される前に、試料水の導電率を測定する第一の測定工程と、紫外線照射手段により紫外線が照射された試料水の導電率を測定する第二の測定工程とを有し、第二の測定工程にて測定された試料水の導電率と、第二の測定工程にて試料水の導電率が測定された時刻から試料水が紫外線照射手段を含む流路を通過する際に要する通過時間だけ遡った時刻に第一の測定工程にて測定された試料水の導電率との差に基づいて、試料水に含まれる炭素量を算出する算出工程とを備えることを特徴とする。このような水質分析方法によれば、流動されながら測定される試料水に対しても、精度良くTOC値を測定することができる。
【0041】
さらに、このような水質分析方法においては、第一の測定工程にて測定された試料水の導電率を記憶部に記憶させ、算出工程にて炭素量を算出する際に、第一の測定工程にて測定された試料水の導電率が記憶部から読み出されることを特徴とする。紫外線が照射される前に測定された導電率に関するデータを一旦記憶部に記憶させ、紫外線が照射された後に測定された導電率と記憶部から読み出された導電率とに基づいて試料水に含まれる正確な炭素量を算出することが可能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0043】
先ず、図1を参照しながら測定対象となる試料水に含まれる炭素量を検出するTOC計1の構成について説明する。尚、TOC計1の構成の説明については基本的に図1を参照しながら行うが、流量制御手段としてのレギュレータ20については、図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。
【0044】
図1は、試料水に含まれる炭素量を検出するTOC計1の構成を模式的に示した構成図であり、TOC計1は、測定対象となる試料水に紫外線(ultraviolet rays:UV)を照射するための紫外線照射手段としての紫外線照射部10、及び試料水の流量を制御するための流量制御手段としてのレギュレータ20とを備える。
【0045】
さらに、TOC計1は、レギュレータ20に接続された気泡除去手段としてのT型ユニオン25、試料水に含まれる炭素量を検出する炭素量検出手段としての導電率センサ30、試料水の流量を測定する流量測定手段としてのフローメータ40、TOC計1に試料水を取り入れるための取水部45、気泡を含む試料水を排出するための排出部46、及び炭素量が測定された試料水を排出するための排水部48を有する。
【0046】
また、TOC計1は、試料水が流れる流路51a,51b,・・・,51f、及びT型ユニオン25により流路51bから分岐された排出路52a,52bを備える。測定対象となる試料水は、取水部45から供給され、流路51a,51b,・・・,51fを介して排水部48から排出される。尚、流路51a,51b,・・・,51f、及び排出路52a,52bはそれぞれ試料水を流すための配管とされるが、図中では配管を示さず、試料水の流れる向きのみを示している。
【0047】
紫外線照射部10は、紫外線を発生する紫外線ランプ11、試料水の流路を形成する反応器、及びこれらを収納するチャンバー12から構成される。尚、反応器は、チャンバー12の外部からは見えないため図示していない。また、紫外線ランプ11の発光部もチャンバー12により外部から密閉されているため、紫外線ランプ11の端部のみがチャンバー12の両端から突出している。
【0048】
紫外線ランプ11は湿式紫外線酸化法に用いられ、試料水に含まれる有機物を酸化させるために十分な波長を有する紫外線を発生させるものであれば良く、TOC計に汎用とされる紫外線ランプとされる。紫外線ランプ11から発生される紫外線(ultraviolet rays:UV)の波長は、試料水に含まれる有機物を酸化させるために十分な波長であれば良いが、試料水に照射する紫外線としては、波長が可視光に近い方からUV−A、UV−B、及びUV−Cと分類される紫外線のうちの如何なる波長のものも用いることができる。また、比較的短波長であるUV−Cを試料水に照射することにより試料水に含まれる有機物を十分に酸化させ、TOC値を正確に測定することも可能である。
【0049】
また、紫外線ランプ11は、紫外線ランプに注入される水銀ガスの注入量によって分類される高圧紫外線ランプ、低圧紫外線ランプのいずれの紫外線ランプも用いることができ、必要とされる性能やコストに基づいて選択される。さらに、紫外線ランプ11は保護チューブ15で保護された配線と接続され、紫外線ランプ11に対して点灯電圧を印加する点灯手段と電気的に接続されている。
【0050】
さらに、図示しない反応器は、管状とされると共に紫外線ランプ11で発生する紫外線が透過する材料を用いて形成される。また、反応器は、流路51cとされる配管と接続部14aを介して接続された状態で、試料水が流される。試料水に含まれる有機物は反応器を流れる間に紫外線照射により酸化され、接続部14bから流路51dを介して導電率センサ30に送られる。
【0051】
測定対象となる試料水は、取水部45から流路51aを介してレギュレータ20に送られ、レギュレータ20は、試料水の圧力を制御しながら気泡除去手段25に試料水を送り出す。試料水の流量を制御するレギュレータ20は、流体の圧力を制御するために広く用いられている汎用の圧力制御部品とされる。
【0052】
また、レギュレータ20は、試料水の圧力を制御するための減圧弁の如き圧力制御手段を備えている。レギュレータ20は流体の圧力制御を行うための汎用の制御部品であるため、マスフローコントローラにより流量制御を行う場合に比べて装置全体のコストを低減できるだけでなく、TOC計1の構成を簡単なものとすることができる。さらにまた、TOC計1の修理も部品の交換だけで容易に済ますことが可能となる。
【0053】
さらに、レギュレータ20の内部は、流量のばらつきや炭素量を測定する際の障害となる気泡を滞留させる不要な空間が低減されており、気泡が混入した試料水を低減することができる。
【0054】
取水部45は、試料水をTOC計1に供給する外部配管と接続される。取水された試料水の圧力が変動することにより、流路51a,51b,・・・,51fを流れる試料水の流量が変動する場合には、レギュレータ20が試料水の圧力を制御し、流路51a,51b,・・・,51fを流れる試料水の流量を略一定に維持する。特に、TOC計1を各種工程に設置し、工程で使用される水から試料水をサンプリングすることにより試料水に含まれる炭素量を連続して測定する場合には、流路51a,51b,・・・,51fに一定の流量の試料水を連続して流すことができ、工程で使用される水の清浄度を常時管理することができる。
【0055】
ここで、図1及び図2を参照しながら、レギュレータ20について詳細に説明する。尚、図2は、レギュレータ20の近傍の構成を示す要部構成図である。
【0056】
レギュレータ20と流路51aとされる配管とは、継ぎ手部21を介して接続されている。継ぎ手部21は、例えばL型ユニオンの如き汎用の継ぎ手を用いることができる。このような継ぎ手部21は、試料水の漏洩及び試料水にエアーが混入することに生じる気泡を低減する目的に対して十分な密閉性を確保することができる。
【0057】
レギュレータ20から試料水を送り出す送出側には、気泡を含む試料水と気泡を殆ど含まない試料水とを分離し、試料水の流路を流路51bと排出路52aに分岐させる気泡除去手段としてのT型ユニオン25が取り付けられている。T型ユニオン25は、一つの配管を2つの配管と接続することができる継ぎ手とされる汎用のものである。
【0058】
T型ユニオン25は、分岐された流路51bを構成するチューブの内径と排出路52aを構成するチューブの内径に合わせて選択される。具体的には、流路51bとされるチューブ24bの内径、排出路52aとされるチューブ23bの内径とを試料水の圧力の変動が殆ど生じないように設定することができる。
【0059】
レギュレータ20が備える減圧弁は、試料水の急激な圧力の変動を低減することができる。レギュレータ20の内部構造は、気泡を滞留させる空間が低減された構造とされる。さらに、エアーが試料水に混入しないように試料水の流路及び排出路とされるチューブや配管のサイズが変更可能とされる。これらチューブ及び配管を接続する接続部が備えるバルブをTOC計1に供給される試料水の圧力条件に合わせて予め調整することもでき、TOC計1を設置する工程では調整することが困難な圧力の変動に対しても、試料水の流量を略一定に保つことが可能となる。
【0060】
また、炭素量の測定に誤差を生じさせる大きな原因の一つとしては、導電率センサ30及び紫外線照射部10に供給される試料水の流量変動が考えられ、図1に示すように、レギュレータ20を取水部45と導電率センサ30との間の流路に配設することにより、導電率センサ30及び紫外線照射部10に供給される試料水の流量を精度良く制御し、試料水に含まれる炭素量を高い精度で連続して測定することが可能となる。
【0061】
さらに、試料水を導電率センサ30に送り出すレギュレータ20の送出側には、気泡除去手段としてのT型ユニオン25が取り付けられている。T型ユニオン25は、エアーにより形成される気泡が殆ど除去された試料水を流路51bを介して導電率センサ30に送り出す。また、T型ユニオン25は、気泡を含む試料水を流路51bから分岐された排出路52aに送り出し、排出路52b、及び気泡を含む試料水を排出する排出部46を介して排出する。
【0062】
また、排出部46には、レギュレータ20と連係して試料水の圧力を略一定に保つための圧力制限手段としてのオリフィス47が取り付けられており、オリフィス47は、気泡を含む試料水を排出することにより流路51a,51b,・・・,51fを流れる試料水の圧力が急激に低下することを制限する。
【0063】
オリフィス47は、配管内を通過する流体の流量を制限する汎用の部品である。オリフィス47は、排出部46を構成する配管内に取り付けられ、排出部46から気泡を含む試料水が排出される際の圧力低下を制限し、流路51a,51b,・・・,51fを流れる試料水の圧力の低下をレギュレータ20が備える減圧弁と連係して抑制する。例えば、オリフィス47は、試料水が急激に排水されないように、排出される試料水の排出量を制限する。
【0064】
オリフィス47は、配管の内径の形状に合わせた形状を有し、急激に試料水が排出されないための孔が形成されている。気泡を含む試料水は、オリフィスに形成された孔を通して排出され、急激に試料水が排出されることによる流路51a,51b,・・・,51fの圧力の低下が制限される。
【0065】
導電率センサ30は、試料水の導電率を測定し、該試料水に含まれる有機物量を求めることができる。導電率センサ30は、紫外線が照射される前の試料水の導電率を測定し、更に紫外線を照射した後の試料水の導電率を測定する。このような導電率センサ30によれば、紫外線照射前後の試料水の導電率の差に基づいて試料水に含まれる炭素量を算出することができる。
【0066】
このような測定方法によれば、導電率センサ30は、流路51bから流れ込む試料水の導電率を測定した後、流路51cを介して試料水を紫外線照射部10に供給する。さらに、紫外線照射部10により紫外線が照射された試料水を流路51dを介して受け取り、導電率を測定する。このようにして、試料水を流動させながら紫外線照射前後の試料水の導電率を測定することにより、これら導電率の差に基づいて試料水に含まれる炭素量を測定することができる。
【0067】
また、このような導電率センサ30は、測定対象とされる試料水が超純水の如き不純物濃度が比較的低い水に対して導電率を測定できるものであれば如何なる測定原理、又構造を有するものでも良い。さらに、このような導電率センサ30は、広範囲の不純物濃度を測定するものでも良く、測定対象とされる試料水は、上述の如き超純水に限定されない。
【0068】
さらに、試料水の流量を測定する流量測定手段としてのフローメータ40は、流路51eを介して試料水を受け取り、流量が測定された試料水は順次流路51fを介して排水部48に送られ、TOC計1の外部に排出される。
【0069】
上述のように、レギュレータ20の如き流量制御手段及びオリフィス47の如き圧力制御手段を用いることにより、TOC計1中を流れる試料水の流量を略一定に保つことができ、試料水を連続して流しながら試料水のTOC値を正確、且つ連続して測定することができる。さらに、これらレギュレータ20やオリフィス47は流体の圧力を制御するための汎用の制御部品であり、マスフローコントローラにより流量の制御を行う場合に比べて装置のコストを低減することもできる。
【0070】
次に、図3(a)乃至(c)を参照しながら、上述したTOC計に好適な紫外線照射手段の構成について説明する。
【0071】
図3(a)は、紫外線照射手段とされる紫外線照射部60を側方から見た構造図である。紫外線照射部60は、紫外線を発生する紫外線ランプ61、反応器とされると共に試料水の流路を形成する反応管62、紫外線ランプ61と反応管62とを収納するチャンバー63、及びチャンバー63の端部を封止する封止部材64から構成される。尚、封止部材64は紫外線照射部60の両端に配設され、紫外線照射部60内を密閉する。
【0072】
紫外線ランプ61は、湿式紫外線酸化法を用いたTOC計に汎用とされる光源であり、チャンバー63の長手方向に沿った略円筒形の外形を有する。紫外線ランプ61は、測定対象である試料水に含まれる有機物を酸化することができる波長の紫外線を発生させることができれば如何なるものでも良い。また、紫外線ランプ61の端部は、配線が収納された保護チューブ71と接続され、紫外線ランプ61は配線を介して点灯電圧が印加される。
【0073】
反応管62は、紫外線ランプ61の発光部を巻回するスパイラル形状とされる。図中の反応管62が巻回されるピッチは密であり、紫外線ランプ61から出射される紫外線が反応管62の中を流れる試料水に効率良く照射されるが、反応管62は所要のピッチで巻回されていれば良い。また、反応管62は、紫外線ランプ61から出射される紫外線を透過させる材質で形成されていれば良い。
【0074】
また、反応管62をガラスで形成した場合には、反応管62の端部62aは、反応管62が巻回される軸方向に対して平行に引き出された形状を有している。紫外線照射部60を組み上げる際には、反応管62はチャンバー63の両端を封止する封止部材64により固定されるため、反応管62が巻回される軸方向と直交する方向に反応管62の端部が引き出されている場合に比べて反応管62に加わる応力や衝撃を緩和することができ、ガラスにより形成された反応管62の破損を低減することが可能となる。
【0075】
チャンバー63は、金属で形成された金属チャンバーであり、装置全体の軽量化を図るためにアルミニウムにより形成される。また、チャンバー63の形状は、紫外線ランプ61及び反応管62を収納するために筒状とされる。チャンバー63の内壁には、紫外線からチャンバー63の内壁を保護するための樹脂層72が形成されている。樹脂層72は、紫外線からチャンバー63の内壁を保護し、紫外線ランプ61及び反応管62の表面にチャンバー63の内壁から剥がれ落ちる酸化アルミニウムが付着することを防ぐと共に、チャンバー63の内壁が劣化することを低減する。樹脂層72は、紫外線の如き短波長の光に対して化学的に安定である樹脂であれば如何なるものでも良いが、例えば、テフロン(登録商標)の如きフッ素樹脂により形成することができる。また、チャンバー63の内壁に噴霧状のフッ素樹脂をコーティングすれば、簡単に樹脂層72を形成することができる。
【0076】
封止部材64は、紫外線に対して化学的に安定な材質により形成されていれば良く、例えば、テフロン(登録商標)により形成されたテフロン(登録商標)ブロックを用いることができる。封止部材64は、チャンバー63の両端に嵌め込まれ、チャンバー63を封止する。封止部材64の反応管62に臨む側には、反応管62の巻回された部分が挿入される凹部69が形成されている。また、凹部69の内径は、反応管62が巻回された外径と略等しくすることができる。封止部材64は、反応管62の端部62aのみによって反応管62を固定するだけでなく、凹部69により反応管62のスパイラル形状を有する部分の端部を固定することもできる。これにより、組み立ての際の反応管62の端部に加わる応力を低減することができ、例えばガラスにより形成された反応管62の破損を低減することも可能となる。
【0077】
ジョイント部66は封止部材64に埋め込まれ、紫外線照射部60の内部を密閉する。反応管62の端部がOリング65を介してジョイント部66に挿嵌されていることで反応管62の端部とジョイント部66との間の密閉性を保つことができ、試料水の漏洩及び試料水へのエアーの混入を低減することも可能となる。
【0078】
また、凹部69が反応管62に臨む面には、反応管62の端部62aを挿嵌するための孔部70が形成されている。反応管62の端部を孔部70に挿嵌することにより、反応管62とジョイント部66が接続される。ジョイント部66には、試料水を給排水するためのチューブと接続するためのチューブフィッティング67が取り付けられており、チューブフィッティング67とジョイント部66とを介して試料水が給排水される。
【0079】
さらに、凹部69の内径を反応管62のスパイラル形状を有する部分の外径より大きめのサイズとしておくことにより、反応管62の端部が孔部70に挿嵌された状態で反応管62を巻回方向に回転させることもでき、反応管62の端部に加わる応力を低減することも可能となる。また、反応管62がチャンバー63の外部に突出していないため、装置の組み立て、メンテナンス及び修理の際の反応管62の破損を低減することができ、紫外線照射部60を安全に取り扱うことが可能となる。
【0080】
また、図3(b),(c)は、紫外線照射部60の端部の構成を示す図であり、それぞれB方向,C方向から見た端面図である。図3(b),(c)に示すように、紫外線照射部60を構成するチャンバー63の断面形状は、略四角形である。また、チャンバー63の断面形状は略四角形に限定されることなく、略円状又はほぼ楕円状とすることもできる。チャンバー63の断面形状を略円状又は略楕円状にすることにより、紫外線ランプ61から出射された紫外線をチャンバー63の内壁で反射し効率良く紫外線を試料水に照射することも可能となる。さらに、紫外線照射部60を搭載したTOC計を軽量化し、充分に持ち運び可能なTOC計とするためには、チャンバー63の管壁を形成するアルミニウムの厚みを1.5mm程度にしても良い。
【0081】
また、反応管62をガラスの如き材質で形成することなく、フッ素樹脂で形成されたチューブで置き換えた構造とすることもできる。
【0082】
ガラスの代わりにフッ素樹脂により形成された反応管62は、ガラスにより形成された場合に比べて衝撃や応力による破損が低減される。さらに、チューブの形状を自在に変形させることができるため、スパイラル形状に成形することも容易であり、反応管62をスパイラル形状に成形するための高度な技術を要することなく、ガラス管を成形する場合に比べて低いコストで量産することもできる。
【0083】
さらに、試料水に含まれる有機物を十分に分解することができる波長の紫外線に対する透過率が高いフッ素樹脂を選択することにより、反応管62をガラスで形成した場合に比べて、高い精度で且つ効率良くTOC値を測定することが可能となる。
【0084】
図4は、光の波長に対する光透過率を各種材質で比較したグラフであり、フッ素樹脂の一例であるテフロン(登録商標)FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP))のフィルムと窓ガラスとの光透過率を比較したグラフである。尚、テフロン(登録商標)FEPについては、フィルムの厚さを2水準(0.025mm、0.125mm)振って光透過率を比較した。
【0085】
図4によれば、光の波長が0.3μm付近から短波長の領域で窓ガラスの光透過率が急激に低下するのに対して、テフロン(登録商標)FEPは0、025mm、及び0、125mmのいずれの厚みにおいても光の波長が約0.3μmから約0.1μm程度の範囲で90%から10%までの光透過率を有する。よって、紫外領域のうち短波長側では窓ガラスに比べてテフロン(登録商標)FEPの光透過率が高く、このような短波長を透過させる場合には、ガラスに比べてテフロン(登録商標)FEPが優れた光透過性を有することわかる。よって、反応管62を形成するフッ素樹脂としてはテフロン(登録商標)FEPが好適とされるが、これに限定されず、試料水に含まれる有機物を十分に分解することができる波長を有する光を透過するフッ素樹脂であれば如何なるものでも良い。
【0086】
また、反応管62は、上述のように管状の反応部全体に紫外線を照射することができる構造に限定されず、反応管62の一部に紫外線を透過させるための窓部が形成されたハウジング構造としても良い。
【0087】
次に、本発明の水質分析装置の一例であるTOC計の別の例について図5を参照しながら説明する。本例のTOC計は、図1に示したTOC計と同様な構造を有するが、試料水に紫外線を照射する紫外線照射部80は、試料水に紫外線を照射する紫外線ランプ81と紫外線ランプ81を収納するチャンバー83とを備え、紫外線ランプ81とチャンバーと83の間の空間を試料水に紫外線を照射する際の流路とする構造を有する。
【0088】
紫外線ランプ81は、湿式紫外線酸化法を用いたTOC計に汎用とされる光源であり、チャンバー83の長手方向に沿った略円筒形の外形を有する。紫外線ランプ81は、測定対象である試料水に含まれる有機物を酸化することができる波長の紫外線を発生させることができれば如何なるものでも良い。また、紫外線ランプ81の端部は、配線が収納された保護チューブ91と接続され、紫外線ランプ81には配線を介して点灯電圧が印加される。
【0089】
チャンバー83は、金属で形成された金属チャンバーであり、例えばアルミニウムにより形成される。また、チャンバー83の形状は、紫外線ランプ81を収納するために筒状とされる。チャンバー83の内壁には、紫外線からチャンバー83の内壁を保護するための樹脂層82が形成される。樹脂層82は、例えば、テフロン(登録商標)の如きフッ素樹脂により形成することができ、チャンバー83の内壁を保護する。樹脂層82は、シート状に成形されたものを貼り付けても良いし、チャンバー83の内壁に樹脂層82を形成する材料を噴霧して形成することもできる。
【0090】
紫外線ランプ81とチャンバー83との間の空間95は試料水の流路とされ、試料水は図中矢印方向に空間95中を流れ、紫外線ランプ81から紫外線を照射される。空間95には、チューブフィッティング87から供給されると共に紫外線が照射されていない試料水を封止部材84に埋め込まれた供給部86を介して供給口88から供給される。供給部86と封止部材84とはOリング85の如き密閉部材を介して密着状態とされ、空間95から試料水が外部に漏れることを抑制する。
【0091】
試料水は空間95中を流れながら封止部材94に形成された送出口96に到達し、封止部材94に埋め込まれると共にOリング97を介して封止部材94と密着状態とされる送出部93を介して送り出される。さらに試料水は、チューブフィッティング90に接続されたチューブの如き配管を介して導電率センサに送り出される。
【0092】
すなわち、紫外線ランプ81とチャンバー83の間の空間95に直接試料水を流すことにより、別途作成された反応管を紫外線照射部80に取り付けることなく、簡単な構造で試料水を流動させながら紫外線の照射を行うことが可能となる。
【0093】
次に、本発明の水質分析方法の一例としてのTOC値の測定方法について、図1、図6及び図7を参照しながら詳細に説明する。
【0094】
図6は、本例のTOC値の測定方法を行う際に、測定対象とされる試料水の導電率に基づいてTOC値を算出する場合のデータの処理構成を示すブロック図である。
【0095】
制御部101は、記憶部102、センサ部103及び流速測定部104から得られたデータを処理すると共に、所定のタイミングにて記憶部102、センサ部103及び流速測定部104からデータを取得する。さらに、所要のタイミングにて測定対象とされる試料水の導電率に関するデータを記憶部102に記憶させる。また、制御部101は、記憶部102、センサ部103及び流速測定部104から得られたデータに基づいて測定対象とされる試料水のTOC値を算出する。本例では、制御部101は、データ処理の制御及び取得した導電率に関するデータに基づいてTOC値を算出する役割を有するが、これらデータ処理の制御とTOC値の算出が別々に行われても良い。
【0096】
記憶部102は、測定対象とされる試料水の導電率に関するデータを記憶する。例えば、一旦記憶部102に記憶され、再度制御部101によって読み出された導電率に関するデータと、制御部102によって新たにセンサ部103から取得された導電率に関するデータとに基づいて、制御部101でTOC値を算出することができる。
【0097】
センサ部103は導電率センサとされ、試料水の導電率を測定すると共に測定された導電率に関するデータを制御部101に送る。
【0098】
流速測定部104は、TOC計内に流れる試料水の流速を測定し、流速に関するデータを制御部に送る。流速測定部104は、例えば、試料水の流路に接続されたフローメータと、フローメータで測定された流速に関するデータを制御部101との間で送受信するデータ通信部から構成される。
【0099】
これら制御部101、記憶部102、センサ部103及び流速測定部104はTOC計に実装され、紫外線照射される前に測定された試料水の導電率に関するデータが一旦記憶部102に記憶される。そして、紫外線が照射された後に測定された試料水の導電率に関するデータが取得された際に、再度紫外線が照射される前に測定された試料水の導電率に関するデータが読み出されることにより、これら紫外線が照射される前後に測定された導電率に関するデータに基づいてTOC値を算出することが可能となる。
【0100】
紫外線が照射される前の試料水の導電率に関するデータを読み出す際には、流速測定部104でモニターされている試料水の流速に基づいて、紫外線照射後に導電率を測定された試料水の紫外線を照射される前に測定された導電率に関するデータが読み出される。よって、同一の試料水に関する紫外線照射前後の導電率の差に基づいてTOC値を算出することができ、流動状態で測定対象とされる試料水のTOC値をリアルタイムで精度良く測定することが可能となる。
【0101】
さらに、図1及び図7を参照しながら、本例のTOC値の測定方法について詳細に説明する。
【0102】
TOC計1内にて、流路51bを介して紫外線が照射される前の試料水を導電率センサ30に供給する(S10)。次に、紫外線が照射される前の試料水の導電率を測定する(この工程を第1の測定工程と称す。)(S20)。ここで、紫外線が照射される前の試料水の導電率に関するデータを一旦記憶部に記憶させる(S30)。記憶部は、導電率センサ30に実装されたメモリなどの記憶素子とすることができるが、別途記憶部をTOC計1に実装しておいても良い。導電率を測定された試料水を流路51cを介して紫外線照射部10に供給する(S40)。次に、試料水に紫外線を照射する(S50)。試料水に含まれる有機物は、紫外線により分解され、資料水の導電率は紫外線が照射される前に比べて変化することになる。さらに、試料水を流路51dを介して導電率センサ30に送出する(S60)。ここで、紫外線が照射された後の試料水の導電率を測定する(この工程を第2の測定工程と称す。)(S70)。また、フローメータ40にて測定された試料水の流速に基づいて、試料水が流路51c、紫外線照射部10、及び流路51dを通過するために要する通過時間tを算出する(S80)。そして、第2の測定工程が行われた時刻から通過時間tだけ遡った時刻に第1の測定工程にて取得された導電率に関するデータを読み出す(S90)。これら手順を経た後、読み出された導電率に関するデータと第2の測定工程にて取得された導電率に関するデータとに基づいてTOC値を算出する(S100)。
【0103】
このようなTOC値の測定方法によれば、第1の測定工程と第2の測定工程との間で異なる試料水に対して測定された導電率に基づいてTOC値を算出することなく、精度良くTOC値を測定することが可能となる。さらに、流動状態で測定対象とされる試料水のTOC値をリアルタイムで精度良く測定することが可能であることから、流動状態で使用される水の清浄度を管理するためには好適なTOC値の測定方法とされる。
【0104】
次に、本実施形態のTOC計に好適な紫外線ランプの点灯手段について説明し、本願発明者が行った試験結果を示す。尚、図8及び図9を参照しながら、TOC計に使用される紫外線ランプについて好適な点灯手段の優位性を説明し、続いて、図10にこの点灯手段を用いた紫外線ランプの試験結果を示す。
【0105】
図8及び図9は、紫外線ランプを点灯させるための電圧を印加する点灯手段の出力電圧を示す図である。図8は、紫外線ランプに点灯手段を接続した状態で測定した出力電圧の波形を示す図であり、これら出力電圧は、紫外線ランプのフィラメントが断線しない状態でフィラメントに印加される電圧に相当する。図8(a)はTOC計に使用される紫外線ランプに好適な点灯手段であるDC入力インバータ安定器の出力波形、同図(b)は従来の点灯手段であるAC入力インバータ安定器の出力波形を示す図である。
【0106】
図8(a),(b)に示すように、入力電圧が直流(DC)24V、出力電力が15WであるDC入力インバータ安定器の出力電圧波形と、入力電圧が交流(AC)100V、出力電力8WであるAC入力インバータ安定器の出力電圧波形とは、周波数は異なるが略等しいピーク電圧を有し、インバータ安定器はそれぞれ充分な点灯電圧を紫外線アンプに印加することができる。
【0107】
また、図9は紫外線ランプに点灯回路を接続しない状態で測定した出力電圧の波形を示す図であり、これら出力電圧は、紫外線ランプのフィラメントが断線した状態でフィラメントに印加される電圧に相当する。図9(a)は本実施形態のTOC計に好適な点灯手段であるDC入力インバータ安定器の出力波形、同図(b)は従来の点灯手段であるAC入力インバータ安定器の出力波形を示す図である。
【0108】
図9(a),(b)に示すように、入力電圧が直流(DC)24V、出力電力が15WであるDC入力インバータ安定器の出力電圧波形は、紫外線ランプに接続されていない場合でも、出力電圧は約250V程度であり、充分な点灯電圧を紫外線ランプに印加することができる。しかしながら、入力電圧が交流(AC)100V、出力電力8WであるAC入力インバータ安定器の出力電圧は約0Vであり、紫外線ランプを点灯させることができない。よって、紫外線ランプを点灯させるために充分な点灯電圧を印加することができる点灯手段を用いることにより、紫外線ランプが備えるフィラメントの一方が断線した状態でも放電を発生させることができ、長期間に亘って試料水に紫外線を照射することが可能となる。
【0109】
また、上述の点灯回路に好適な紫外線ランプは、冷陰極管又は熱陰極管の何れの点灯方式の紫外線ランプでも使用可能であるが、特に、上述の点灯回路により熱陰極管型式の紫外線ランプを点灯させる場合には、紫外線ランプが備えるフィラメントが電界放出型の電子放出を伴うようにすることができる。例えば、フィラメントに塗布されるエミッタ材料の材質又は塗布されたエミッタ材料の表面形状を電界が集中し易いものとし、点灯電圧が低電圧でも容易に放電させることができる構成にすることができる。従って、点灯手段により印加される点灯電圧が低い状態でも容易に紫外線ランプを点灯させることが可能となるとともに、一方のフィラメントが断線した状態でも電子を放出することができ、紫外線ランプ内で放電を発生させることが可能となる。
【0110】
【実施例】
[実施例1]
続いて、上述のDCインバータ安定器、又はACインバータ安定器を電源とする紫外線ランプに関し、本願発明者等が行った試験について説明する。
【0111】
表1は、本願発明者等が試験を行った従来品及び開発品を構成する点灯手段としての電源の仕様を示す一覧である。また、表2及び図10は、従来品及び開発品の試験結果を示す。尚、紫外線ランプのランプ電圧は定格電圧30V±5V、ランプ電流の定格電流は0.32±0.05A、ランプ電力の定格電力は約10Wであり、紫外線ランプは熱陰極管型式の紫外線ランプを使用した。試験方法は、紫外線ランプに3分間電圧を印加した後3分間電圧を印加しないことにより、点灯しなくなるまで紫外線ランプを点滅させる試験方法である。このような試験方法により、紫外線ランプが点灯しなくなるまでの点滅回数を従来品と開発品とで比較する。
【0112】
【表1】
Figure 2004177164
【0113】
表2は、試験を開始した後、紫外線ランプが点灯しなくなるまでの試験時間をまとめた一覧表である。また、図10は、表2に示したデータをグラフ化した図であり、表1に示す従来品の紫外線ランプを21個、開発品の紫外線ランプを6個試験した際の紫外線ランプが点灯しなくなるまでの点滅回数をグラフ化した図である。
【0114】
【表2】
Figure 2004177164
【0115】
表2及び図10に示すように、紫外線ランプが点灯しなくなるまでの点滅回数を比較すると、ACインバータ安定器により点灯電圧を印加する従来品に比べて、DCインバータ安定器により点灯電圧を印加する開発品は点灯しなくなるまでの点滅回数、つまり故障するまでの点滅回数が飛躍的に延びる傾向にある。また、開発品は点灯状態が不安定である期間を経て最終的に故障に至るが、この不安定な点灯状態は実使用上問題ない点灯状態である。
【0116】
本試験における開発品は、放電を発生させるためのフィラメントに塗布されるエミッタ材料及び塗布されたエミッタ材料の表面状態が電子を放出し易いものでありとともに、フィラメントに印加される出力電圧が従来品より高いため、安定して点灯させることができる期間を従来品に比べて延ばすことができる。
【0117】
さらに、不安定な点灯状態であっても実使用上問題ないレベルを維持しながら紫外線ランプを点灯させることもできる。開発品を構成する紫外線ランプ及び電源の組み合わせは、従来品を構成する紫外線ランプ及び電源の組み合わせに比べて、フィラメントから放電を発生させるための電子が放出され易くなっているだけでなく、一方のフィラメントが断線することにより電子が放出されにくい状態となっても放電を発生させるために充分な電圧が印加されていると考えられる。さらに、一方のフィラメントが断線した際に継続して電圧を印加することができる電源を使用することにより、実使用上問題ない点灯状態を長期間維持することが可能となる。
【0118】
このように、フィラメントに電子を放出させるための充分な電圧を印加し、且つフィラメントが断線した場合でも継続して電圧を印加することができる電源を使用することにより、長期間紫外線ランプを点灯させることができる。さらに、このように長期間紫外線を照射することができる紫外線ランプをTOC計に使用することにより、長期間連続してTOC値を測定することが可能となる。
【0119】
また、TOC計を持ち運ぶ際の振動によりフィラメントが断線すること多いため、フィラメントが断線した状態でも放電を発生させることができる紫外線ランプ及び電源を備えるTOC計を持ち運んで、TOC値の多点測定を行う場合でも長期間精度良くTOC値を測定することができる。
【0120】
さらに、上述の開発品を備えるTOC計によりTOC値を測定する際にはフィラメントの断線による故障を低減することができ、紫外線ランプを点灯させた積算時間に基づいて紫外線ランプの交換を行えば良い。よって、工程内で使用される水に含まれるTOC値を連続して測定する場合には、TOC計を含む測定機器の管理及びメンテナンスを上述の積算時間に基づいて行えば良く、工程で使用される水の水質を管理するための管理機器のメンテナンスが容易なものとなる。
【0121】
[実施例2]
次に、本願発明者等が、TOC計に用いられる反応管をフッ素樹脂で形成した場合に、紫外線照射により試料水に含まれる有機物を十分に分解することができるか否かを確認するために行った実験について説明する。具体的には、フッ素樹脂で形成されたチューブ内を流れる液体の試料に対し、チューブを介して紫外線を照射した場合の試料の分解率を調査した。
【0122】
尚、実験に使用したチューブは、四フッ化エチレン樹脂(TFE)とパーフロロアルキルビニルエーテルの共重合体であるパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)にて形成され、チューブの長さが9m、チューブの内容積が7mlとされる。また、チューブは光源とされる紫外線ランプにスパイラル状に巻回された状態で紫外線が照射され、チューブ内に流す試料は、メタノール、エタノール、2−プロパノールの3種類の液体の試料とされる。また、これら試料の濃度はそれぞれ1ppmとされ、チューブ内における試料の流速は、10mlとされた。流速を制御する際には、Pump(BPH−474G 500ml/min.)を使用し、分解率を測定する際のTOC計としては、TOC―5000(島津製作所社製)を使用した。また、本実験は、恒温層中で一定の温度、湿度の環境下で行った。
【0123】
表3は、本実験の実験結果を示すものであり、各試料の分解率を示している。
【0124】
【表3】
Figure 2004177164
【0125】
表3によれば、分解率は78.7〜93.2%であり、PFAにより形成されたチューブは十分に紫外線を透過していることがわかる。従って、TOC計に使用する反応管としてPFAの如きフッ素樹脂で形成されたチューブを使用することは十分可能であることが示された。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の水質分析装置によれば、レギュレータの如き流量制御手段を試料水の流路に取り付けることにより、TOC計の如き水質分析装置中を流れる試料水の流量を略一定に保つことができ、試料水を連続して流しながら試料水に含まれる有機物の如き不純物の濃度を正確に連続して測定することができる。
【0127】
さらに、レギュレータの如き流量制御装置がオリフィスの如き圧力制御手段とを共に用いることにより、TOC計の如き水質分析装置中を流れる試料水の流量を略一定に保つことも可能であり、試料水を連続して流しながら有機物の如き不純物の濃度を正確に連続して測定することが可能となる。
【0128】
このようなレギュレータ及びオリフィスは流体の圧力を制御するための汎用の制御部品であり、マスフローコントローラにより流量の制御を行う場合に比べて装置のコストを低減することもできる。
【0129】
さらに、試料水に混入したエアーなどを気泡除去手段により除去することができ、TOC値を精度良く測定することができると共に、試料水が気泡を含むことによる流量のばらつきを低減することができる。
【0130】
また、紫外線ランプを収納するチャンバーの内壁を樹脂で保護することにより、紫外線によるチャンバーの内壁の劣化を低減することができる。特に、装置を軽量化するためにチャンバーをアルミニウムで形成した際には、紫外線によるアルミニウムの劣化を低減することができる。さらに、アルミニウムが紫外線により酸化されて形成される酸化アルミニウムが紫外線ランプ又は反応管に付着することを低減することが可能となり、紫外線ランプから出射される紫外線を測定対象となる試料水に効率良く照射することが可能となる。
【0131】
さらにまた、フッ素樹枝の如き材質により反応管を形成することにより、試料水に含まれる有機物を十分に分解することができると共に、反応管の破損等を低減することができる。従って、長期間に亘って高い精度を有するTOC値の測定を行うことが可能となる。
【0132】
また、紫外線ランプと紫外線ランプを収納するチャンバーとの間の空間を試料水の流路とすることにより、簡単な構造を有するTOC計を用いたTOC値の測定を行うことができる。
【0133】
さらに、紫外線ランプを構成するフィラメントが放電を発生させ易い構造とされているだけでなく、一方のフィラメントが断線し、電子が放出されにくい状態となっても放電を発生させるために充分な電圧を印加することができる電源を使用することにより、紫外線を試料水に照射するための点灯状態を長期間維持することが可能となる。このような紫外線ランプ及び電源を備えるTOC計の如き水質分析装置によれば、TOC値を長期間に亘って精度良く測定することができ、装置のメンテナンスも容易なものとなる。
【0134】
また、本発明の水質分析方法によれば、流動されながら測定される試料水に対しても、精度良くTOC値を測定することができ、各種工程が稼動状態でもリアルタイムで水の清浄度の管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】TOC計の構成を示す概略構成図である。
【図2】レギュレータの近傍の構成を示す要部構成図である。
【図3】紫外線照射部の構造を示す構造図であり、(a)は側方からみた構造図、(b)は同図(a)のB側から見た端面図、(c)は同図(a)のC側から見た端面図である。
【図4】光の波長に対する光透過率を各種材質に関して比較した図である。
【図5】TOC計の別の例の構造を示す構造図であって、紫外線照射部の構造を示す構造図である。
【図6】TOC値の測定方法を説明するための図であって、データの処理構成を示すブロック図である。
【図7】TOC値の測定方法を説明するためのフローチャートである。
【図8】紫外線ランプに点灯手段を接続した状態における出力電圧波形を示す図であり、(a)は本発明にかかる水質分析装置に好適な点灯手段の出力電圧波形を示す図であり、(b)は従来の点灯手段の出力電圧波形を示す図である。
【図9】紫外線ランプに点灯手段を接続しない状態における出力電圧波形を示す図であり、(a)は本発明にかかる水質分析装置に好適な点灯手段の出力電圧波形を示す図であり、(b)は従来の点灯手段の出力電圧波形を示す図である。
【図10】従来品と開発品との試験結果を示す図である。
【符号の説明】
10,60,80 紫外線照射部、11,61,81 紫外線ランプ、12,63,83 チャンバー、14a,14b 接続部、15,71,91 保護チューブ、20 レギュレータ、23b,24b チューブ、25 気泡除去手段、25 T型ユニオン、30 導電率センサ、40 フローメータ、45 取水部、46,52a,52b 排出部、47 オリフィス、48 排水部、51a,51b,51c,51d,51e,51f 流路、62 反応管、64,84,94 封止部材、65,85,97 Oリング、66 ジョイント部、67,87,90 チューブフィッティング、69 凹部、70 孔部、72,82 樹脂層、86 供給部、88 供給口、93 送出部、96 送出口、101 制御部、102 記憶部、103 センサ部、104 流速測定部

Claims (16)

  1. 測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析装置であって、
    前記試料水に紫外線を照射するための紫外線照射手段と、
    前記試料水の流量を制御するための流量制御手段とを有し、
    前記流量制御手段は、前記紫外線照射手段を含む前記試料水の流路において、前記流量が略一定になるように前記試料水の圧力を制御すること
    を特徴とする水質分析装置。
  2. 前記流量制御手段は、前記圧力を減圧するための減圧弁を備えること
    を特徴とする請求項1記載の水質分析装置。
  3. 前記流量制御手段は、前記試料水の取水部と前記試料水に含まれる炭素量を検出する炭素量検出手段との間の流路に配設されていること
    を特徴とする請求項1記載の水質分析装置。
  4. 前記流量制御手段から前記試料水を送り出す送出側には前記試料水に含まれる気泡を除去するための気泡除去手段が配設され、前記気泡除去手段は、前記流路から分岐された排出路に前記気泡を含む試料水を送り出すことにより前記気泡を排出すること
    を特徴とする請求項1記載の水質分析装置。
  5. 前記流量制御手段により前記圧力の制御が行われる際に前記圧力が過剰に減圧されることを制限する圧力制限手段が、前記排出路から前記気泡を含む試料水を排出する排出部に配設されていること
    を特徴とする請求項4記載の水質分析装置。
  6. 測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析装置であって、
    前記試料水に紫外線を照射する紫外線照射手段を有し、
    前記紫外線照射手段は、前記試料水に紫外線を照射する光源と、前記試料水の流路とされると共に該試料水に含まれる有機物を分解するための反応器と、前記光源及び前記反応器を収納するチャンバーとを備え、
    前記光源及び前記反応器に臨む前記チャンバーの内壁は、酸化防止のための耐候性を有する樹脂により被覆されていること
    を特徴とする水質分析装置。
  7. 前記チャンバーの形状は筒状であると共に前記チャンバーの断面形状が略円形、略楕円形又は四角形とされ、
    前記光源の形状は、前記チャンバーの長手方向に延在する円筒形とされ、
    前記反応器の形状は、前記光源を巻回するスパイラル形状とされる管状であること
    を特徴とする請求項6記載の水質分析装置。
  8. 前記反応器はガラス管とされると共に、前記反応器の端部は該反応器が前記光源に対して巻回される軸方向に対して平行に引き出されていること
    を特徴とする請求項7記載の水質分析装置。
  9. 前記紫外線照射手段は、前記チャンバーの端部を封止する封止部材を備え、前記封止部材はフッ素樹脂により形成されること
    を特徴とする請求項8記載の水質分析装置。
  10. 前記紫外線照射手段は、前記反応器の端部と接続されるジョイント部を備え、前記ジョイント部は、前記封止部材の内部に埋め込まれていること
    を特徴とする請求項9記載の水質分析装置。
  11. 前記反応器は、前記紫外線を十分に透過させるフッ素樹脂により形成されていること
    を特徴とする請求項7記載の水質分析装置。
  12. 測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析装置であって、
    前記試料水に紫外線を照射する紫外線照射手段を有し、
    前記紫外線照射手段は、前記試料水に紫外線を照射する光源と、前記光源を収納すると共に該チャンバーの内壁が酸化防止のための耐候性を有する樹脂により被覆されたチャンバーとを備え、
    前記光源と前記チャンバーとの間の空間を、前記試料水に紫外線を照射する際の流路とすること
    を特徴とする水質分析装置。
  13. 測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析装置であって、
    前記試料水に紫外線を照射するための光源とされる紫外線ランプと、
    前記紫外線ランプを点灯させるための点灯手段とを有し、
    前記点灯手段は、前記紫外線ランプの発光部に電子を放出するフィラメントが断線した際にも、前記紫外線ランプを点灯させるために十分な電圧を印加すること
    を特徴とする水質分析装置。
  14. 前記点灯手段はインバータ回路を有し、該インバータ回路により変換された点灯電圧を前記フィラメントに対して印加すること
    を特徴とする請求項13記載の水質分析装置。
  15. 測定対象となる試料水に含まれる炭素量を測定する水質分析方法であって、
    前記試料水が該試料水に紫外線を照射する紫外線照射手段により紫外線が照射される前に、前記試料水の導電率を測定する第一の測定工程と、
    前記紫外線照射手段により紫外線が照射された前記試料水の導電率を測定する第二の測定工程とを有し、
    前記第二の測定工程にて測定された前記試料水の導電率と、前記第二の測定工程にて前記試料水の導電率が測定された時刻から前記試料水が前記紫外線照射手段を含む流路を通過する際に要する通過時間だけ遡った時刻に前記第一の測定工程にて測定された前記試料水の導電率との差に基づいて、前記試料水に含まれる炭素量を算出する算出工程とを備えること
    を特徴とする水質分析方法。
  16. 前記第一の測定工程にて測定された前記試料水の導電率を記憶部に記憶させ、前記算出工程にて前記炭素量を算出する際に、前記第一の測定工程にて測定された前記試料水の導電率が前記記憶部から読み出されること
    を特徴とする請求項15記載の水質分析方法。
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