JP2004090726A - シートベルト装置の取付構造 - Google Patents

Abstract

【課題】重量センサのついたシートのシートベルト装置において、シートベルトの張力による重量センサの誤検出を抑制する。
【解決手段】シートベルトアンカー４をシート１のセンサプレート２４およびアーム２３よりシート１側にあるベースプレート２１に固定する。また、シートベルト装置２のタング９と係合するバックル１０を、シート１のセンサプレート２４およびアーム２３より上部に固定する。
【選択図】　　　図２

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、重量センサを介して車体に支持されたシートを有する車両における、シートベルト装置の取付構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
３点固定式シートベルト装置（以下、単に「シートベルト装置」という。）は、一般に、リトラクタに巻き取られるシートベルトを座席の肩口の側方に設けられたスリップガイドを介して引出可能に構成され、その先端部がシートベルトアンカーにより、座席側方下部の車体部分に固定されている。そして、スリップガイドとシートベルトアンカーの間に設けられたタングを引っ張ってシートベルトを引き出し、シートベルトアンカーとは反対側のシートの側部に設けられたバックルに、前記タングを係止させることでスリップガイド、バックル、シートベルトアンカーの３点間でシートベルトを張っている。
【０００３】
シートベルト装置は、基本的に乗員を拘束するための装置であるが、この目的以外にも、チャイルドシートを固定するための装置としても利用されている。
近年のシートベルト装置には、緊急ロックモードと、自動ロックモードとが切換可能に構成されている。緊急ロックモードは、車両が衝突した場合など、シートベルトが所定速度以上で引き出された場合に、乗員を拘束して保護する動作モードである。一方、自動ロックモードは、シートベルト装置でチャイルドシートをシートに固定する場合に使用される動作モードであり、シートベルトの巻き取りを許容して引き出しを規制するモードである。すなわち、シートベルトでチャイルドシートがぐらつくことなく固定できるようになっている。
なお、緊急ロックモード及び自動ロックモードの切換機構を有するシートベルト装置の先行技術文献としては、例えば特許文献１がある。
【０００４】
【特許文献１】
特開平１１−２４５７５３号公報（第２−６頁、図１）
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の車両のシートには、乗員の重さを測定する重量センサが設けられており、乗員の重量に応じてエアバッグの展開圧力を制御する等、車両のインテリジェント化に利用されつつある。
しかしながら、重量センサが設けられたシートに、前記した自動ロックモードを利用してチャイルドシートを固定すると、シートベルトアンカーとバックルの間のベルト張力がチャイルドシートをシートの座面に押し付けるように作用する。即ち、シートベルトアンカーが車体下方に固定されていることから、シートベルトの張力により、チャイルドシートが下方に押し付けられるように作用する。
チャイルドシートがシートに押し付けられる力は、重量センサに作用するので、重量センサは、チャイルドシートの重量及び乗員の重量に加えて、シートベルトの張力による荷重をも検出してしまう。従って、重量センサでの検出結果の信頼性が低くなり、重量センサを利用したエアバックなどの誤作動の原因となる。
本発明は、このような不都合を解決するためになされたものであって、重量センサが設けられた車両シートにおいて、重量センサによる乗員の重量の誤検出を抑制できるシートベルト装置の取付構造を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するため、本発明の請求項１では、重量センサを介して車体に支持されたシートを有する車両において、シートベルトアンカーを前記重量センサより前記シート側の部材に固定したシートベルト装置の取付構造を開示する。
【０００７】
このようなシートベルト装置の取付構造によれば、シートベルトアンカーが、重量センサよりシート側の部材に取り付けられているので、チャイルドシートがシートの座面に押し付けられたとしても、それは、重量センサの上部の部材間での圧力にすぎず、重量センサを押し下げる力としては作用しないため、重量センサにより乗員の重量が正確に検出される。
【０００８】
また、前記したシートベルト装置の取付構造においては、シートベルト装置のタングと係合するバックルを、前記シートの前記重量センサよりシート側の部材に固定するのが望ましい。
【０００９】
このように、シートベルトアンカーに対し、シートの反対側でベルトを係止するバックルを、重量センサよりシート側の部材に固定しているので、バックル側でもシートベルトの張力により重量センサを押し下げることが無く、重量センサにより乗員の重量をより正確に検出することが可能になる。
【００１０】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら説明する。参照する図において、図１は、実施形態に係るシートベルト装置を後部座席の上部から見た斜視図であり、図２は、図１のシートベルト装置を車両前方から見た正面図であり、図３は、図１のシートベルト装置を車両外側から見た側面図である。
図１に示すように、自動車の助手席シート１に設けられたシートベルト装置２は、シート１の車体外側の下部に設けられたシートベルトアンカー４に一端を結合されたラップベルト５と、センターピラー３の下部に設けたリトラクタ６に一端を巻き取られたショルダーベルト７と、センターピラー３の上部に設けたスリップガイド８を迂回して張られるショルダーベルト７を引き出せるようにショルダーベルト７に対しスライド可能に設けられたタング９と、シート１の車体中央側下部に設けられてタング９が結合されるバックル１０とを備える。チャイルドシート１１の背部には一対のベルト挿通孔１２，１２が設けられており、ラップベルト５およびショルダーベルト７を前記ベルト挿通孔１２，１２に挿通してタング９をバックル１０に結合することにより、チャイルドシート１１をシート１に固定することができる。
【００１１】
リトラクタ６は緊急ロックモードと自動ロックモードとを切換可能に構成される。緊急ロックモードはシートベルト装置２で乗員を拘束する場合に使用されるモードであり、通常時にはショルダーベルト７の引き出しおよび巻き取りを許容して乗員が自由に身体を動かせるようにし、車両の衝突時にはショルダーベルト７を引き出し不能にロックして乗員をシート１に拘束するモードである。また自動ロックモードはシートベルト装置２でチャイルドシート１１を固定する場合に使用されるモードであり、ショルダーベルト７の巻き取りを許容して引き出しを規制することにより、チャイルドシート１１をシート１に移動不能に固定するモードである。リトラクタ６に設けられたリミットスイッチ１３は、リトラクタ６がチャイルドシート１１を固定する自動ロックモードにあることを検出するためのものである。
【００１２】
前記シート１は、図２および図３に示すように、重量検知ユニット２０を介して車体の床部Ｆに固定されている。シート１の座面部の骨組みを構成するプレート１５，１５は、シート１の両サイドに沿って配設され、それぞれスライドレール３０の可動スライダ３２に結合されている。一方、スライドレール３０の固定側であるレール３１は、それぞれ前記重量検知ユニット２０の上に固定されている。重量検知ユニット２０は、一対のシート固定ブラケット１６のそれぞれに固定され、各シート固定ブラケット１６が床部Ｆに締結されることで、シート１が車体に固定されている。なお、シート固定ブラケット１６の座席後部側は、サブブラケット１７を介し床部Ｆへ固定されている。
【００１３】
図４に示す縦断面図のように、重量検知ユニット２０は、シート側に固定されるベースプレート２１と、荷重印加部であるブラケット２２と、荷重伝達部であるアーム２３と、荷重検出部であるセンサプレート２４とを含んで構成されている。なお、図４は、ブラケット２２に荷重がかかってアーム２３およびセンサプレート２４が変形している状態を示している。
ベースプレート２１は、断面コ字状の細長の部材で、その両端の側面には、長孔２１ａとピン孔２１ｂがそれぞれ穿設されている。長孔２１ａにはブラケットピン２５が挿通され、ピン孔２１ｂにはアーム２３の回動支点となる支点ピン２６が挿通される。
ブラケット２２は、所定の重圧面積を有する部材で、ブラケットピン２５を挿通するピン孔２２ａが形成されている。
アーム２３は、一端側に側面が形成されており、この側面にはブラケットピン２５が挿通するピン孔２３ａ、および支点ピン２６が挿通するピン孔２３ｂが穿設されている。アーム２３の他端側は切り欠きにより二つに分かれて作用部２３ｃを形成している。
【００１４】
センサプレート２４は、中央の固定部２４ａを挟んで二つの変位部２４ｂ（片側のみ図示）を備え、変位部２４ｂと固定部２４ａとの間は、幅、厚さともに小さい連結部２４ｃで連結されている。センサプレート２４の連結部２４ｃにおける変位部２４ｂの近傍および固定部２４ａの近傍にはそれぞれ図示しない歪抵抗が配置されている。これらの歪抵抗は、ブリッジ回路を形成している。変位部２４ｂは、前記したアーム２３の作用部２３ｃにボルト２９などで固定される。したがって、ブラケット２２に荷重がかかってアーム２３が曲がった場合には、変位部２４ｂも移動する。このとき、歪抵抗は引張、若しくは圧縮されて電気抵抗が変化するので、この電気抵抗の変化を検出すると、変位部２４ｂの変位量、すなわちブラケット２２にかかった荷重を知ることができる。なお、図には示さないが、ブリッジ回路においては、２つの歪抵抗の間に感度調整抵抗（サーミスタ）が配置されることが望ましい。
【００１５】
センサプレート２４を制御する制御ユニットは、ＣＰＵやＲＯＭなどからなり、シート固定ブラケット１６に固定されている（図示せず）。この制御ユニットは各重量検知ユニット２０のブリッジ回路に所定の電流を供給し、ブリッジ回路を経て各重量検知ユニット２０から出力される電流を取得する。供給する電流の大きさと、ブリッジ回路を経て得られる電流の大きさとから歪抵抗の抵抗値の変化を演算し、演算結果に基づいて出力信号を生成する。出力信号は、例えばインスツルメントパネルの表示や、エアバッグ装置の制御のために、それぞれの制御装置に伝送される。
【００１６】
このような重量検知ユニット２０は、ブラケット２２を下側にして、ブラケット２２がシート固定ブラケット１６に締結され、一方、ベースプレート２１を上側にして、ベースプレート２１がレール３１に締結される。この重量検知ユニット２０のうち、実際に重量を検出する部分は、センサプレート２４およびアーム２３であり、この２つの部材が特許請求の範囲にいう重量センサに相当する。
そして、前記したシートベルト装置２のシートベルトアンカー４は、車両外側の重量検知ユニット２０のうち、ベースプレート２１の車両後方側に固定される。また、シートベルト装置のバックル１０は、車両内側の重量検知ユニット２０のうち、ベースプレート２１の車両後方側に固定される。すなわち、シートベルトアンカー４およびバックル１０は、重量センサに相当する部分よりシート１側の部材、すなわち、結合関係において上部に固定されている。
【００１７】
なお、これらのシートベルトアンカー４およびバックル１０は、重量センサに相当するセンサプレート２４およびアーム２３に対して上（シート１側）に結合された部材、即ち重量を測定される側の部材、例えばボルト２９、ベースプレート２１、更にベースプレート２１の上に結合されたスライドレール３０、プレート１５などに結合されていれば、ラップベルト５の張力が重量検知ユニット２０に負荷を掛けることが無い。また、バックル１０が重量センサより下、例えば車体の床部Ｆなどに固定されていても、シートベルトアンカー４がセンサプレート２４およびアーム２３よりシート１側の部材に固定されていれば、重量検知ユニット２０で測定した乗員重量の誤差をある程度小さくすることは可能である。さらに、シートベルトアンカー４は、重量センサよりも上部で、かつスライドレール３０の稼動側の部材、即ち実施形態では可動スライダ３２またはそれより上の部材に固定すると、シート１の移動に応じてシートベルトアンカー４も移動するので好ましい。
【００１８】
シートベルトアンカー４は、詳細には図５のようにベースプレート２１にアンカー取付ブラケット３３を介して固定されている。
ベースプレート２１は、その後端に、車体に取り付けられると垂直よりやや上向きの傾斜面となるブラケット取付面２１ｅを有している。ブラケット取付面２１ｅは、その中央にボルト３８が螺合可能なネジ孔２１ｆが形成されている。
アンカー取付ブラケット３３は、ブラケット取付面２１ｅに沿った面からなる締付部３３ａと、締付部３３ａからベースプレート２１の側面に回りこむように延出したアンカー取付部３３ｂとが一体になって構成されている。すなわち、アンカー取付ブラケット３３は、全体として、Ｌ字に曲げられた板材によって形成されている。締付部３３ａには、ボルト３８を挿通可能な孔３３ｃが形成されており、アンカー取付部３３ｂにはボルト３９を締付可能なネジ孔３３ｄが形成されている。また、シートベルトアンカー４にも、ボルト３９を挿通可能な孔４ａが形成されている。そして、アンカー取付部３３ｂにスペーサ３６、シートベルトアンカー４、ワッシャ３７が順に重ねられ、ボルト３９をワッシャ３７、孔４ａ、スペーサ３６に通し、ネジ孔３３ｄに螺合することによりアンカー取付ブラケット３３にシートベルトアンカー４が取り付けられている。
さらに、アンカー取付ブラケット３３と、これに取り付けられたシートベルトアンカー４は、ブラケット取付面２１ｅと締付部３３ａが合わさるようにして重ねられ、ボルト３８を孔３３ｃに通してネジ孔２１ｆへ締め付けることにより結合されている。
【００１９】
このように、シートベルトアンカー４は、車体後方に向いた取付面を有するアンカー取付ブラケット３３を介してベースプレート２１に取り付けられているので、車体後方から前方にむかってドライバーや六角レンチ等の工具を使用することで車体への取付作業を行うことができる。つまり、シートベルトアンカー４を直接ベースプレート２１の側面に取り付けるとなると、車体に既に取り付けられた重量検知ユニット２０（ベースプレート２１）の側面が、センターピラー３の背後になって、ボルト３９を締め付けにくいのであるが、本実施の形態のような構成にすることで、センターピラー３が邪魔になることが無く、容易にシートベルトアンカー４をベースプレート２１に取り付けることができる。
【００２０】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されること無く適宜変更して実施することが可能である。
例えば、シートベルトアンカー４の取付位置は、重量センサよりもシート側の部材であればよく、重量検知ユニット２０を実施形態に対し上下逆に使用した場合には、ブラケット２２より上の部材、例えばシートの骨格を形成している部材に取り付けても良い。また、重量検知ユニット２０の位置も、実施形態に限らず、例えば可動スライダ３２の上に結合しても良い。この場合も、実施形態に対し重量センサは高い位置に来るので、より上部のシートの骨格を形成する部材等にシートベルトアンカー４を取り付けるとよい。
【００２１】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明によれば、シートベルト装置のベルト張力による、重量センサでの重量の誤検出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施形態に係るシートベルト装置を後部座席の上部から見た斜視図である。
【図２】図１のシートベルト装置を車両前方から見た正面図である。
【図３】図１のシートベルト装置を車両外側から見た側面図である。
【図４】重量検知ユニットの縦断面図である。
【図５】ベースプレートにシートベルトアンカーを取り付ける構造を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
１　　　シート
２　　　シートベルト装置
４　　　シートベルトアンカー
９　　　タング
１０　　バックル
２０　　重量検知ユニット
２１　　ベースプレート

Claims (2)

1. 重量センサを介して車体に支持されたシートを有する車両において、シートベルトアンカーを前記重量センサより前記シート側の部材に固定したことを特徴とするシートベルト装置の取付構造。
2. シートベルト装置のタングと係合するバックルを、前記シートの前記重量センサよりシート側の部材に固定したことを特徴とする請求項１に記載のシートベルト装置の取付構造。

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