JP2004059345A - 気孔率の低いスラグの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】気孔率の低い緻密質なスラグを得る。
【解決手段】気孔率が20%以上で(溶融温度−(30〜300))℃スラグに固体状物質を添加して、気孔率20%以下にすることを特徴とする、気孔率の低いスラグの製造方法。
【選択図】 図2
【解決手段】気孔率が20%以上で(溶融温度−(30〜300))℃スラグに固体状物質を添加して、気孔率20%以下にすることを特徴とする、気孔率の低いスラグの製造方法。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は製鉄所などで発生する高炉、転炉、電気炉スラグなどの溶融スラグや都市ごみや生活汚泥等の廃棄物焼却残渣を溶融処理する際に排出される溶融スラグを冷却・固化する際の気孔率の低いスラグの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製鉄所などで高炉、転炉、電気炉といった精錬炉から発生する溶融スラグや、都市ごみや生活汚泥等の廃棄物焼却残渣を溶融処理した際に発生する溶融スラグは、通常、冷却場に運ばれて冷却、固化される。
【0003】
この際、溶融スラグ中に存在する気泡は、スラグが冷却場に運ばれるまでの、容器内に放置された鎮静状態において、比重差によって溶融スラグ中を浮上しうるものは離脱するが、スラグそのものが粘性を有する溶融体であり、冷却に伴いその粘性が急激に増加するため、必ずしも全ての気泡が離脱しうるわけではなく、一部が固化スラグ中に気孔として残留する。
【0004】
そもそも、この溶融スラグ中に気泡が存在する原因としては種々の事象が考えられるが、例えば、スラグ中に溶解する窒素などのガス成分が、冷却に伴いその飽和溶解度が減少するために排出され生成するものであったり、あるいは、スラグによる精錬処理段階でスラグを均一な溶融状態にするため攪拌用に吹き込まれるアルゴンのような不活性ガスであったり、また、製鉄所での精錬炉における精錬段階で精錬に用いられる酸化鉄(スケール)や酸素ガスが、溶鉄中の炭素と反応することにより生じる炭酸ガス(COガス)であったりする。
【0005】
ここで、例えば従来の操業における転炉スラグは、前述のように精錬中に気泡が混入しても、1600度以上といった比較的高温な条件におかれるため、その後十分に鎮静されれば気泡は離脱し、固化後スラグ中の気孔率はおおむね20%未満であった。しかし、近年、脱りんや脱珪・脱硫を、転炉での脱炭よりも前段階で分割して行う溶銑予備処理が導入され、この際に発生するスラグは1400℃程度とより低温なため、固化後のスラグ中の気孔率が40%前後に達するものが生じるようになっている。
【0006】
このように冷却後固化したスラグ中に気孔が存在すると、この気孔が応力集中による破壊の起点となるため、スラグの機械的な特性である圧縮(圧壊)強度に影響を及ぼしやすく、気孔が多いほど固体のスラグ強度が低下することが広く知られている。
【0007】
そこで、溶融スラグ中に存在する気泡を減らす技術として、例えば、特開2000−96115号公報に開示された方法がある。
【0008】
特開2000−96115号公報に記載されている方法は、溶鉄中のりんを除去する目的で、溶鉄に酸化鉄あるいは酸素を供給する際に発生したCOガスによって泡立ち状(フォーミング状)となった溶融スラグに対して、必要量のコークス粉をインジェクション(吹き込み)し、短時間にいわゆるフォーミングを鎮静するものである。
【0009】
また、本発明者は先に、固化後のスラグ中の気孔率を低下させる技術を、特願2001−352085号として出願した。
【0010】
特願2001−352085号に記載した方法は、スラグを冷却する際に、スラグが可塑性を有する温度の状態で圧延することにより、スラグ中に存在する気泡を圧着させ、スラグ中の気孔率を減少させるというものである。
【0011】
さらに、スラグを冷却させる技術として、例えば、特開昭52−132455号公報に開示された方法がある。
【0012】
特開昭52−132455号公報に記載されている方法は、移動床上に溶融スラグを供給したのち、該スラグに冷却固体状物質を混入材料として供給し、移動床を移動させながら熱回収媒体と溶融スラグとの間で熱交換を行い、スラグの排熱を回収するものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術においては、以下のような問題点がある。
【0014】
特開2000−96115号公報に記載されている方法においては、毎精錬処理ごとに、処理終了後にコークス紛をインジェクションし、フォーミングしたスラグを鎮静する時間が必要であり、少なからず精錬炉の生産性を阻害する。また、フォーミングしたスラグ全体に均一にコークス紛をインジェクションすることは難しく、溶融スラグ中に微小な気泡の残存は避けられない。
【0015】
また、特願2001−352085号に記載した方法においては、スラグが可塑性を有する温度でスラグ中に存在する気泡を圧着させるために、圧延のための一組あるいは1本のロールが必要であり、圧延を行う場所も含めて大掛かりな設備が必要である。
【0016】
また、特開昭52−132455号公報に記載されている方法においては、スラグの排熱を回収するための混入材料として冷却固体状物質が上部から供給されるが、この混入材料は溶融スラグの熱を吸収し溶融スラグの凝固を促進する、ないしは蓄熱材としての働きを持って効率良く熱回収を行うと記載されているのみで、スラグ中の気孔率の制御に関する技術については何も示唆がない。
【0017】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、スラグの溶融処理もしくは精錬処理の能力を阻害することなく、また気孔を減少させるため大掛かりな設備も必要とせず、溶融スラグを冷却、固化させる際に、スラグ中に残留する気泡を破泡させ、安定かつ確実に気孔の少ないスラグの製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先の出願に係る圧延によるスラグ中の気泡の圧着方法を発明したのちも、種々のスラグ中気泡の除去、破泡に関する実験を重ね、以下の発明にて、上記の課題が解決される知見を得た。
【0019】
本発明にかかるスラグの製造方法は、気孔率が20%超で(溶融温度−(30〜300))℃のスラグに固体状物質を添加してスラグ中に存在する気泡を破泡させ、スラグ中の気孔率を減少させることを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
スラグ中に存在する気泡を、固体状物質の添加により破泡することが、本発明の基本条件の一つである。本発明者らが、種々のスラグの物性を調査した結果、スラグの特性の一つである破壊強度(圧縮強度)は、スラグ中に残存する気孔に大きく影響を受け、気孔率が20%以下であれば該スラグは比較的緻密質で、例えば天然の石材と同等に道路の路盤材などに遜色なく使用できるが、気孔率が20%超であると、気孔率の増加に伴い強度が著しく低下することが判明した。
そこで、気孔率20%超のスラグに固体状物質を添加することで破泡させて、気孔率が少なくとも20%以下、好ましくは10%以下に緻密化を図る必要がある。固体状物質添加前のスラグの気孔率の上限は特に定めないが、例えば高級とされる上層の道路路盤材のためには、40%以下であることが好ましい。
【0022】
尚、ここでのスラグの気孔率は、例えばJIS R2205に規定される耐火れんがの気孔率の測定方法により測定した値とする。
【0023】
図1は、製鉄所における製鋼スラグの気孔率と圧縮強度の関係を調査した結果である。ここで、圧縮強度は例えば路盤材などに用いられる材料として天然の石材と同等の強度を1として指数化してある。圧縮強度は、同じくJIS R2206に規定される耐火れんがの圧縮強度の測定方法に準じて測定した値である。同図から、気孔率が20%以下のスラグであれば緻密な状態が保たれるため、路盤材として十分な圧縮強度が得られるが、気孔率が20%を超えるスラグになると気孔率の増加に伴い圧縮強度が指数的に減少することがわかる。
【0024】
そのために、本発明者らが種々の検討、試験を行った結果、スラグの気孔率を安定に20%以下に減少させるスラグ冷却方法として次のような知見を得た。
【0025】
すなわち、スラグが十分には冷却されておらず可塑性を有する軟化状態として、(スラグの溶融温度(℃)−(30℃〜300)(℃))の温度領域において、例えば上部から固体状物質固体状物質を落下させてスラグにぶつけ、分散・混入させることを行えば、スラグ中の気泡は破泡される。
【0026】
スラグの温度が(溶融温度−30)℃より高ければスラグは溶融状態にあり、固体状物質が添加されても気泡が溶融層中に流動するのみで残留してしまう。またスラグの温度が(溶融温度−300)℃よりも低ければ、スラグが可塑性を有さず硬化した状態となるため、単に供給された固体状物質と混合するないしはスラグは割れて破砕するだけで気泡の破泡は不可能である。
【0027】
なお、溶融スラグはその発生源や元々の処理される物質の種類によってその組成が異なるので、その溶融温度については、該スラグの組成における値を用いる必要がある。この溶融温度については、例えばJIS K2151に規定された灰の溶融性試験方法に準じて測定される融点を用いればよい。
【0028】
また、スラグの自由表面のみが固化した状況にあることが想定されることから、その温度は表面から20cm以下を測定した値とし、耐火物製の保護管に装入した熱電対、あるいは金属精錬時の測温に一般的に用いられる消耗型の熱電対などにより測定することができる。
【0029】
本発明において、スラグに供給する固体状物質については、すでに冷却された当該プロセスにおけるスラグや石灰石や天然石、砂などの塊状化されたものが考えられる。あるいは、近年リサイクルが要望されている各種ガラスの塊ないしはコンクリートを始めとする建設廃材などの利用も可能である。
【0030】
供給される固体状物質の大きさとしては、一般には5〜100mmのものが用いられる。冷却・固化後のスラグが例えば道路の路盤材などに用いられるためには、最終的に40mm以下程度に破砕・粒度調整されることから、添加固体状物質の大きさには特段の制限はない。むしろ、後述の固体状物質の供給方法に即して最適な大きさが選ばれる。
【0031】
スラグへ固体状物質を供給する方法については、例えばスラグを専用に受ける容器(スラグパン)にスラグを排出したのちに、上部からクレーンなどで固体状物質を個別に供給すればよく、また、既設の保管用設備(ホッパー)などがあれば、そこから固体状物質を必要量をシュート等から供給してもかまわない。ただし、半溶融状のスラグに対してまんべんなく固体状物質が分散されるほうが好ましく、またスラグ中に深く固体状物質を分散・浸入させるためにも、スラグが放散しない範囲で高い位置からの供給が好ましい。 ここで対象であるスラグは可塑性を有する、いわゆる粘土のような状態にあり、固体状物質浸入時にも反力はほとんどないため、固体状物質が20mm程度であれば、供給の高さは1m以下で良く、さらに小さい固体状物質を落下、浸入させるための高さとしては2m程度を確保することが好ましい。
【0032】
また、大量にスラグの処理が必要な場合には、専用の容器ではなく、広く土間のようなスペースにある程度の厚みを確保できるようにスラグを流し、そこに上部から固体状物質を落下、供給させる方法も考えられる。
【0033】
図2は本発明の実施方法の一例を示す図である。専用のスラグ容器に排出されたスラグ1が所定の温度になった時点で、専用のホッパー2に蓄えられた固形状物質3を、該スラグ1の上部から旋回シュート4を介して供給する。同図には、概念的にスラグ中に存在する気泡5が破泡した状況6を図示してある。
【0034】
図3は、同じく本発明の実施方法のもう一つの例を示す図である。図2と異なり、所定の場所に敷きだされたスラグ1が所定の温度になった時点で、クレーン7を用いて、該スラグ1の上部から固体状物質3が供給され、スラグ1中の気泡5を減少せしめる。
【0035】
【実施例】
(本発明例)
図2に示す方法で、スラグ1として溶銑予備処理スラグを用い、固体状物質3として当該溶銑予備処理スラグが固化したものを旋回シュート4を介して供給した。
ここで、スラグの組成は表1に示すもので融点は1250度であり、また半溶融状態の溶銑予備処理スラグの温度が1150℃、気孔率が20〜40%の時に、固体状物質として平均径40mmの固化した溶銑予備処理スラグを、供給原単位として10kg/t−半溶融スラグ、供給高さ1mに設定し、供給した。
図4は、図2に示した方法で固体状物質の供給を行った後の、固化したスラグの気孔率と比重を測定した結果を示したものである。固体状物質固体状物質
【0036】
【表1】
【0037】
この図から、この条件で固体状物質を何も添加しない元の溶銑予備処理スラグの気孔率は20%以上であるが、適正な温度で固体状物質を供給した場合は、気孔率は20%以下に減少し、比重も大きくなって緻密化が図られていることがわかる。このスラグは路盤材として十分に使用可能な強度であった。
(比較例)
図5は、同様の方法を用いながら、半溶融状スラグの温度が800度と条件が不備であった場合の冷却後の固化スラグの気孔率と比重の関係を示したものである。該スラグの温度が(溶融温度−300)℃未満と低すぎた場合、対象スラグはすでに硬化しておりスラグ気孔率は固体状物質を供給しても変化していない。この溶銑予備処理スラグは発泡状を呈し、路盤材の必要強度値を確保できなかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融炉から排出される気泡を含んだもしくは発泡状のスラグに所定の温度領域で固体状物質を供給することにより、該溶融炉の処理(生産)能力を低下させることなく、気孔率の低い緻密質なスラグを得ることができる。尚、本発明において使用するスラグの組成は特に規定するものではなく、気孔率が20%超であれば、本発明に規定する方法により気孔率20%以下を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製鉄所における製鋼スラグの気孔率と強度の関係を示す。
【図2】本発明の実施方法の一例を示す。
【図3】本発明の別の実施方法の一例を示す。
【図4】本発明による固化スラグの気孔率と比重の関係を示す。
【図5】従来技術による固化スラグの気孔率と比重の関係を示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は製鉄所などで発生する高炉、転炉、電気炉スラグなどの溶融スラグや都市ごみや生活汚泥等の廃棄物焼却残渣を溶融処理する際に排出される溶融スラグを冷却・固化する際の気孔率の低いスラグの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製鉄所などで高炉、転炉、電気炉といった精錬炉から発生する溶融スラグや、都市ごみや生活汚泥等の廃棄物焼却残渣を溶融処理した際に発生する溶融スラグは、通常、冷却場に運ばれて冷却、固化される。
【0003】
この際、溶融スラグ中に存在する気泡は、スラグが冷却場に運ばれるまでの、容器内に放置された鎮静状態において、比重差によって溶融スラグ中を浮上しうるものは離脱するが、スラグそのものが粘性を有する溶融体であり、冷却に伴いその粘性が急激に増加するため、必ずしも全ての気泡が離脱しうるわけではなく、一部が固化スラグ中に気孔として残留する。
【0004】
そもそも、この溶融スラグ中に気泡が存在する原因としては種々の事象が考えられるが、例えば、スラグ中に溶解する窒素などのガス成分が、冷却に伴いその飽和溶解度が減少するために排出され生成するものであったり、あるいは、スラグによる精錬処理段階でスラグを均一な溶融状態にするため攪拌用に吹き込まれるアルゴンのような不活性ガスであったり、また、製鉄所での精錬炉における精錬段階で精錬に用いられる酸化鉄(スケール)や酸素ガスが、溶鉄中の炭素と反応することにより生じる炭酸ガス(COガス)であったりする。
【0005】
ここで、例えば従来の操業における転炉スラグは、前述のように精錬中に気泡が混入しても、1600度以上といった比較的高温な条件におかれるため、その後十分に鎮静されれば気泡は離脱し、固化後スラグ中の気孔率はおおむね20%未満であった。しかし、近年、脱りんや脱珪・脱硫を、転炉での脱炭よりも前段階で分割して行う溶銑予備処理が導入され、この際に発生するスラグは1400℃程度とより低温なため、固化後のスラグ中の気孔率が40%前後に達するものが生じるようになっている。
【0006】
このように冷却後固化したスラグ中に気孔が存在すると、この気孔が応力集中による破壊の起点となるため、スラグの機械的な特性である圧縮(圧壊)強度に影響を及ぼしやすく、気孔が多いほど固体のスラグ強度が低下することが広く知られている。
【0007】
そこで、溶融スラグ中に存在する気泡を減らす技術として、例えば、特開2000−96115号公報に開示された方法がある。
【0008】
特開2000−96115号公報に記載されている方法は、溶鉄中のりんを除去する目的で、溶鉄に酸化鉄あるいは酸素を供給する際に発生したCOガスによって泡立ち状(フォーミング状)となった溶融スラグに対して、必要量のコークス粉をインジェクション(吹き込み)し、短時間にいわゆるフォーミングを鎮静するものである。
【0009】
また、本発明者は先に、固化後のスラグ中の気孔率を低下させる技術を、特願2001−352085号として出願した。
【0010】
特願2001−352085号に記載した方法は、スラグを冷却する際に、スラグが可塑性を有する温度の状態で圧延することにより、スラグ中に存在する気泡を圧着させ、スラグ中の気孔率を減少させるというものである。
【0011】
さらに、スラグを冷却させる技術として、例えば、特開昭52−132455号公報に開示された方法がある。
【0012】
特開昭52−132455号公報に記載されている方法は、移動床上に溶融スラグを供給したのち、該スラグに冷却固体状物質を混入材料として供給し、移動床を移動させながら熱回収媒体と溶融スラグとの間で熱交換を行い、スラグの排熱を回収するものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術においては、以下のような問題点がある。
【0014】
特開2000−96115号公報に記載されている方法においては、毎精錬処理ごとに、処理終了後にコークス紛をインジェクションし、フォーミングしたスラグを鎮静する時間が必要であり、少なからず精錬炉の生産性を阻害する。また、フォーミングしたスラグ全体に均一にコークス紛をインジェクションすることは難しく、溶融スラグ中に微小な気泡の残存は避けられない。
【0015】
また、特願2001−352085号に記載した方法においては、スラグが可塑性を有する温度でスラグ中に存在する気泡を圧着させるために、圧延のための一組あるいは1本のロールが必要であり、圧延を行う場所も含めて大掛かりな設備が必要である。
【0016】
また、特開昭52−132455号公報に記載されている方法においては、スラグの排熱を回収するための混入材料として冷却固体状物質が上部から供給されるが、この混入材料は溶融スラグの熱を吸収し溶融スラグの凝固を促進する、ないしは蓄熱材としての働きを持って効率良く熱回収を行うと記載されているのみで、スラグ中の気孔率の制御に関する技術については何も示唆がない。
【0017】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、スラグの溶融処理もしくは精錬処理の能力を阻害することなく、また気孔を減少させるため大掛かりな設備も必要とせず、溶融スラグを冷却、固化させる際に、スラグ中に残留する気泡を破泡させ、安定かつ確実に気孔の少ないスラグの製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、先の出願に係る圧延によるスラグ中の気泡の圧着方法を発明したのちも、種々のスラグ中気泡の除去、破泡に関する実験を重ね、以下の発明にて、上記の課題が解決される知見を得た。
【0019】
本発明にかかるスラグの製造方法は、気孔率が20%超で(溶融温度−(30〜300))℃のスラグに固体状物質を添加してスラグ中に存在する気泡を破泡させ、スラグ中の気孔率を減少させることを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0021】
スラグ中に存在する気泡を、固体状物質の添加により破泡することが、本発明の基本条件の一つである。本発明者らが、種々のスラグの物性を調査した結果、スラグの特性の一つである破壊強度(圧縮強度)は、スラグ中に残存する気孔に大きく影響を受け、気孔率が20%以下であれば該スラグは比較的緻密質で、例えば天然の石材と同等に道路の路盤材などに遜色なく使用できるが、気孔率が20%超であると、気孔率の増加に伴い強度が著しく低下することが判明した。
そこで、気孔率20%超のスラグに固体状物質を添加することで破泡させて、気孔率が少なくとも20%以下、好ましくは10%以下に緻密化を図る必要がある。固体状物質添加前のスラグの気孔率の上限は特に定めないが、例えば高級とされる上層の道路路盤材のためには、40%以下であることが好ましい。
【0022】
尚、ここでのスラグの気孔率は、例えばJIS R2205に規定される耐火れんがの気孔率の測定方法により測定した値とする。
【0023】
図1は、製鉄所における製鋼スラグの気孔率と圧縮強度の関係を調査した結果である。ここで、圧縮強度は例えば路盤材などに用いられる材料として天然の石材と同等の強度を1として指数化してある。圧縮強度は、同じくJIS R2206に規定される耐火れんがの圧縮強度の測定方法に準じて測定した値である。同図から、気孔率が20%以下のスラグであれば緻密な状態が保たれるため、路盤材として十分な圧縮強度が得られるが、気孔率が20%を超えるスラグになると気孔率の増加に伴い圧縮強度が指数的に減少することがわかる。
【0024】
そのために、本発明者らが種々の検討、試験を行った結果、スラグの気孔率を安定に20%以下に減少させるスラグ冷却方法として次のような知見を得た。
【0025】
すなわち、スラグが十分には冷却されておらず可塑性を有する軟化状態として、(スラグの溶融温度(℃)−(30℃〜300)(℃))の温度領域において、例えば上部から固体状物質固体状物質を落下させてスラグにぶつけ、分散・混入させることを行えば、スラグ中の気泡は破泡される。
【0026】
スラグの温度が(溶融温度−30)℃より高ければスラグは溶融状態にあり、固体状物質が添加されても気泡が溶融層中に流動するのみで残留してしまう。またスラグの温度が(溶融温度−300)℃よりも低ければ、スラグが可塑性を有さず硬化した状態となるため、単に供給された固体状物質と混合するないしはスラグは割れて破砕するだけで気泡の破泡は不可能である。
【0027】
なお、溶融スラグはその発生源や元々の処理される物質の種類によってその組成が異なるので、その溶融温度については、該スラグの組成における値を用いる必要がある。この溶融温度については、例えばJIS K2151に規定された灰の溶融性試験方法に準じて測定される融点を用いればよい。
【0028】
また、スラグの自由表面のみが固化した状況にあることが想定されることから、その温度は表面から20cm以下を測定した値とし、耐火物製の保護管に装入した熱電対、あるいは金属精錬時の測温に一般的に用いられる消耗型の熱電対などにより測定することができる。
【0029】
本発明において、スラグに供給する固体状物質については、すでに冷却された当該プロセスにおけるスラグや石灰石や天然石、砂などの塊状化されたものが考えられる。あるいは、近年リサイクルが要望されている各種ガラスの塊ないしはコンクリートを始めとする建設廃材などの利用も可能である。
【0030】
供給される固体状物質の大きさとしては、一般には5〜100mmのものが用いられる。冷却・固化後のスラグが例えば道路の路盤材などに用いられるためには、最終的に40mm以下程度に破砕・粒度調整されることから、添加固体状物質の大きさには特段の制限はない。むしろ、後述の固体状物質の供給方法に即して最適な大きさが選ばれる。
【0031】
スラグへ固体状物質を供給する方法については、例えばスラグを専用に受ける容器(スラグパン)にスラグを排出したのちに、上部からクレーンなどで固体状物質を個別に供給すればよく、また、既設の保管用設備(ホッパー)などがあれば、そこから固体状物質を必要量をシュート等から供給してもかまわない。ただし、半溶融状のスラグに対してまんべんなく固体状物質が分散されるほうが好ましく、またスラグ中に深く固体状物質を分散・浸入させるためにも、スラグが放散しない範囲で高い位置からの供給が好ましい。 ここで対象であるスラグは可塑性を有する、いわゆる粘土のような状態にあり、固体状物質浸入時にも反力はほとんどないため、固体状物質が20mm程度であれば、供給の高さは1m以下で良く、さらに小さい固体状物質を落下、浸入させるための高さとしては2m程度を確保することが好ましい。
【0032】
また、大量にスラグの処理が必要な場合には、専用の容器ではなく、広く土間のようなスペースにある程度の厚みを確保できるようにスラグを流し、そこに上部から固体状物質を落下、供給させる方法も考えられる。
【0033】
図2は本発明の実施方法の一例を示す図である。専用のスラグ容器に排出されたスラグ1が所定の温度になった時点で、専用のホッパー2に蓄えられた固形状物質3を、該スラグ1の上部から旋回シュート4を介して供給する。同図には、概念的にスラグ中に存在する気泡5が破泡した状況6を図示してある。
【0034】
図3は、同じく本発明の実施方法のもう一つの例を示す図である。図2と異なり、所定の場所に敷きだされたスラグ1が所定の温度になった時点で、クレーン7を用いて、該スラグ1の上部から固体状物質3が供給され、スラグ1中の気泡5を減少せしめる。
【0035】
【実施例】
(本発明例)
図2に示す方法で、スラグ1として溶銑予備処理スラグを用い、固体状物質3として当該溶銑予備処理スラグが固化したものを旋回シュート4を介して供給した。
ここで、スラグの組成は表1に示すもので融点は1250度であり、また半溶融状態の溶銑予備処理スラグの温度が1150℃、気孔率が20〜40%の時に、固体状物質として平均径40mmの固化した溶銑予備処理スラグを、供給原単位として10kg/t−半溶融スラグ、供給高さ1mに設定し、供給した。
図4は、図2に示した方法で固体状物質の供給を行った後の、固化したスラグの気孔率と比重を測定した結果を示したものである。固体状物質固体状物質
【0036】
【表1】
【0037】
この図から、この条件で固体状物質を何も添加しない元の溶銑予備処理スラグの気孔率は20%以上であるが、適正な温度で固体状物質を供給した場合は、気孔率は20%以下に減少し、比重も大きくなって緻密化が図られていることがわかる。このスラグは路盤材として十分に使用可能な強度であった。
(比較例)
図5は、同様の方法を用いながら、半溶融状スラグの温度が800度と条件が不備であった場合の冷却後の固化スラグの気孔率と比重の関係を示したものである。該スラグの温度が(溶融温度−300)℃未満と低すぎた場合、対象スラグはすでに硬化しておりスラグ気孔率は固体状物質を供給しても変化していない。この溶銑予備処理スラグは発泡状を呈し、路盤材の必要強度値を確保できなかった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融炉から排出される気泡を含んだもしくは発泡状のスラグに所定の温度領域で固体状物質を供給することにより、該溶融炉の処理(生産)能力を低下させることなく、気孔率の低い緻密質なスラグを得ることができる。尚、本発明において使用するスラグの組成は特に規定するものではなく、気孔率が20%超であれば、本発明に規定する方法により気孔率20%以下を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】製鉄所における製鋼スラグの気孔率と強度の関係を示す。
【図2】本発明の実施方法の一例を示す。
【図3】本発明の別の実施方法の一例を示す。
【図4】本発明による固化スラグの気孔率と比重の関係を示す。
【図5】従来技術による固化スラグの気孔率と比重の関係を示す。
Claims (1)
- 気孔率が20%超で(溶融温度−(30〜300))℃のスラグに固体状物質を添加して、気孔率を20%以下にすることを特徴とする、気孔率の低いスラグの製造方法。
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JP2002216979A JP2004059345A (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 気孔率の低いスラグの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104060022A (zh) * | 2013-09-09 | 2014-09-24 | 攀钢集团攀枝花钢铁研究院有限公司 | 一种转炉留渣加石灰石进行炼钢的方法 |
-
2002
- 2002-07-25 JP JP2002216979A patent/JP2004059345A/ja not_active Withdrawn
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