JP2003279667A - 時 計 - Google Patents

時 計

Info

Publication number
JP2003279667A
JP2003279667A JP2002083984A JP2002083984A JP2003279667A JP 2003279667 A JP2003279667 A JP 2003279667A JP 2002083984 A JP2002083984 A JP 2002083984A JP 2002083984 A JP2002083984 A JP 2002083984A JP 2003279667 A JP2003279667 A JP 2003279667A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
transmission
winding
timepiece
mainspring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2002083984A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiro Koike
信宏 小池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2002083984A priority Critical patent/JP2003279667A/ja
Publication of JP2003279667A publication Critical patent/JP2003279667A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electromechanical Clocks (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 手動巻上げ機構と自動巻上げ機構とを併用し
つつ、自動巻上げ機構による巻上げ効率を向上させるこ
とができる時計を提供すること。 【解決手段】 電子制御式機械時計1の噛脱手段70
を、断面凸レンズ上の中間伝え軸72と、これに貫挿さ
れる伝え中間車45の丸穴71とで構成し、回転錘での
自動巻上げ時には、伝え中間車45が伝え車60から外
れるようにした。従って、自動巻上げ時には伝え中間車
45、丸穴車44、およびきち車43が回転せず、回転
錘の回転エネルギーをぜんまい10の巻上げにより多く
費やすことができ、巻上げ効率を向上させることができ
る。そして、巻真41を操作してぜんまい10を巻き上
げる時には、伝え中間車45が伝え車60と噛み合うよ
うになり、巻真41の回転を伝達してぜんまい10を手
動で巻き上げることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、時計に係り、特に
巻真を操作することにより伝え車を介してぜんまいを巻
き上げる手動巻上げ機構と、回転錘の回転により前記伝
え車を介してぜんまいを巻き上げる自動巻上げ機構とを
備えた時計に関する。
【0002】
【背景技術】ぜんまいを輪列駆動のエネルギー源とした
機械時計や、特開平8−5758号公報に記載の電子制
御式機械時計では、ぜんまいを巻き上げる機構として、
巻真を操作して行う手動巻上げ機構と、回転錘の回転に
よる自動巻上げ機構とが併用されることがある。
【0003】手動巻上げ機構は一般的に、巻真と一体の
竜頭を手動で回すことにより、その回転をつづみ車か
ら、きち車、丸穴車、および伝え中間車を介して伝え車
に伝達する構成であり、伝え車と噛み合う角穴車を回転
させてぜんまいを巻き上げる。この際、つづみ車ときち
車との間にはラチェット機構が形成されており、巻真を
一方向にのみ回転させることで、この回転がつづみ車か
らきち車に伝達され、伝え車を一方向に回転させる。
【0004】一方の自動巻上げ機構は、回転錘の回転を
これと一体の外輪(一番車)から一番伝え車に伝達し、
この一番車で送り部材を駆動し、送り部材の駆動によっ
て伝え車を一方向に回転させる構成であり、よって伝え
車と噛み合う角穴車を回転させてぜんまいを巻き上げ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、自動巻
上げ機構では、送り部材で伝え車を一方向に回転させる
が、この伝え車には手動巻上げ機構の伝え中間車が噛み
合っているため、この伝え中間車も同時に回転する。ま
た、この伝え中間車には丸穴車が噛み合い、丸穴車には
きち車が噛み合っているため、これらも同時に回転す
る。すなわち、自動巻上げ機構での回転錘の回転エネル
ギーは、ぜんまいを巻き上げるためにのみ消費されるの
ではなく、手動巻上げ機構の伝え中間車、丸穴車、およ
びきち車を回転させるのにも消費されており、このこと
が大きな負荷(エネルギー損失)となって巻上げ効率を
低下させていた。
【0006】また、つづみ車ときち車との間にはラチェ
ット機構が形成されており、自動巻上げ機構側からきち
車が回転すると、つづみ車がかんぬきでの付勢力(ばね
力)に打ち勝って巻真の軸線方向に移動し、きち車との
噛み合いが外れ、きち車の回転が巻真まで伝達されない
ようになっているが、このつづみ車ときち車との噛み合
いを外す際の負荷も大きく、このことも、自動巻上げ機
構による巻上げ効率を低下させていた。
【0007】本発明の目的は、手動巻上げ機構と自動巻
上げ機構とを併用しつつ、自動巻上げ機構による巻上げ
効率を向上させることができる時計を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の時計は、巻真を
操作することにより伝え車を介してぜんまいを巻き上げ
る手動巻上げ機構と、回転錘の回転により前記伝え車を
介してぜんまいを巻き上げる自動巻上げ機構とを備えた
時計であって、前記自動巻上げ機構での回転錘の回転に
よって伝え車を駆動する場合に、前記手動巻上げ機構を
構成する車の一つが前記伝え車側との噛み合いが外れる
か、および/または、手動巻上げ機構の他の車との噛み
合いが外れるように構成された噛脱手段を備えているこ
とを特徴とする。
【0009】このような構成の時計によれば、回転錘の
回転による自動巻上げ時には、手動巻上げ機構の車が伝
え車側から外れたり、巻上げ機構の他の車から外れるの
で、手動巻上げ機構側の車の殆どが回転せず、回転錘の
回転エネルギーがぜんまいの巻上げにより多く費やされ
るようになり、ぜんまいの巻上げ効率が向上する。ま
た、手動巻上げ機構側の車が回転しないことにより、例
えば、巻真に近い側に設けられるつづみ車ときち車との
係合をかんぬきの付勢力に抗して外す必要がなく、この
点でもエネルギーロスが抑制され、自動巻上げ機構での
巻上げ効率が向上する。そして、巻真を操作してぜんま
いを手動で巻き上げるときには、手動巻上げ機構の車が
伝え車側とが噛み合っているため、巻真の回転が伝達さ
れてぜんまいが巻き上げられ、手動巻上げ機構および自
動巻上げ機構が何ら支障なく併用される。
【0010】本発明の時計では、噛脱する前記車は、前
記伝え車に対して噛脱可能とされた伝え中間車であるこ
とが望ましい。このような構成の時計によれば、手動巻
上げ機構の車の中でも特に、伝え車と直接噛み合う伝え
中間車が外れる構成であるから、手動巻上げ機構側の一
切の車が自動巻上げ時に回転しないことになり、自動巻
上げ機構によるぜんまいの巻上げ効率が最良となる。
【0011】本発明の時計では、前記噛脱手段は、噛脱
する前記車に設けられた軸挿通用穴と、この軸挿通用穴
に遊嵌状態で挿通された固定軸とを備えて構成されてい
てもよい。このような構成の時計によれば、手動巻上げ
機構での噛脱可能に設けられた車は、この車の軸挿通用
穴に挿通された固定軸で軸支されるが、この固定軸が軸
挿通用穴に遊嵌状態で挿通されているため、固定軸と軸
挿通用穴との間には隙間が形成され、この隙間分だけ車
が揺動し、伝え車側との噛脱が確実に行われるようにな
る。
【0012】本発明の時計では、前記軸挿通用穴は丸穴
であり、前記固定軸は、中央部が厚く周縁にいくほど薄
くなっている断面凸レンズ状に形成されていることが好
ましい。このような構成の時計によれば、軸挿通用穴が
丸穴であり、固定軸が断面凸レンズ状であるから、手動
巻上げ機構による巻上げ時において、噛脱可能な車が伝
え車側と噛み合っている場合には、当該車が固定軸の円
弧面に接しながらスムーズに回転する。また、軸挿通用
穴が丸穴であることにより、当該車の回転(自転)位置
に係わらず、断面凸レンズ状の固定軸が軸挿通用穴の内
周のいずれの部分にも良好に当接する。そして、軸挿通
用穴内では、断面凸レンズ状の固定軸以外の部分に三日
月状の隙間が形成され、この隙間を利用して車が噛脱す
るようになる。
【0013】本発明の時計では、前記噛脱手段は、ラチ
ェット機構によって前記車を噛脱可能に構成されていて
もよい。このような構成の時計では、自動巻上げ機構に
よる巻上げ時には、伝え車の回転がラチェット機構によ
って手動巻上げ機構側の車に伝達されず、手動巻上げ時
にのみ、巻真の回転が当該車を介して伝え車に伝達され
るようになり、やはり手動巻上げ機構側の車による伝え
車との噛脱動作が確実に行われるようになる。また、こ
の構成では、当該車の歯形あるいは伝え車の歯形を工夫
するだけでよく、構造が簡単である。
【0014】本発明の時計では、噛脱する前記車の自重
に抗して当該車を保持可能で、かつ当該車よりも巻真側
での車間の噛み合いを外す力よりも小さい保持力を有し
た保持部材を備えていることが望ましい。このような構
成の時計では、保持部材が噛脱可能な車の自重に抗する
保持力を有しているため、時計の姿勢変化によって当該
車の自重が作用する向きが変わっても、保持部材によっ
て車が確実に保持され、車が不用意に移動する心配がな
い。従って、伝え車側と噛み合っているときには、時計
の姿勢変化に対してその噛合状態が確実に維持され、ま
た、噛み合いが外れているときには、外れた状態が確実
に維持される。そして、保持部材の所定の保持力で車が
保持されているので、噛み合いが外れた状態から巻真を
操作して噛み合わせる場合には、巻真側からの回転力に
よって車がその場で空回りすることがなく、自転しなが
ら伝え車側に確実に移動して噛合する。さらに、当該車
が保持部材で保持されながら伝え車側から外れようとす
ると、この車よりも巻真側においては、保持部材による
当該車の保持力よりも他の車間の噛合力の方が勝ってい
るために、これら他の車は一切回転せず、当該車は一つ
巻真側でこれと噛み合っている他の車(例えば、後述の
実施形態での丸穴車)の周りを公転するように移動し、
伝え車側から確実に外れるようになる。
【0015】本発明の時計では、前記保持部材は、噛脱
する前記車を軸方向に押圧するように設けてもよく、ま
たは径方向に押圧するように設けてもよい。噛脱可能な
車を軸方向に押圧する保持部材は、当該車が伝え車に対
して径方向に外れる場合、また軸方向に外れる場合のい
ずれの場合でも良好に用いられ、径方向に押圧する保持
部材は特に、当該車が径方向に外れる場合に有効であ
る。
【0016】本発明の時計は、前記手動巻上げ機構で
は、噛脱する前記車が前記伝え車と噛脱可能な伝え中間
車とされているとともに、この伝え中間車と噛み合う丸
穴車が設けられており、この丸穴車、前記伝え中間車、
当該伝え中間車と噛み合う前記伝え車の伝えかな、およ
びこの伝えかなと噛み合う角穴車は、断面視で略同一高
さ位置に配置されていることが望ましい。手動巻上げ機
構の丸穴車や伝え中間車、さらには伝え車、角穴車とい
った車は、ぜんまいの巻上げ時に生じる反力(径方向の
反力)が非常に大きいため、これらの車の破損対策や負
荷対策が重要になる。特に各車の互いの噛み合いが軸方
向に大きくずれていると、軸にかかる反力も軸方向にず
れ、車の外径等の接触面には大きなモーメントが生じて
負荷が大きくなってしまう。これに対して本発明の時計
では、各車が軸方向の略同一位置に配置されているの
で、各車にかかる負荷の位置が軸方向で略同じになり、
ぜんまいの巻上げ時には、各車の接触面で生じるモーメ
ントが小さくなり、負荷の発生が抑えられる。
【0017】本発明の時計では、前記自動巻上げ機構
は、回転錘の回転に連動して動作し、かつ前記伝え車に
係合して当該伝え車を一方向に回転させる爪レバーを備
え、この爪レバーは、前記伝え車が前記手動巻上げ機構
によって駆動されている場合に、当該伝え車との係合が
外れることが望ましい。このような構成の時計によれ
ば、手動巻上げ機構によって巻上げを行う場合に爪レバ
ーが伝え車から外れるので、手動巻上げ機構によって伝
え車が回転しても、この回転が回転錘側には伝達され
ず、巻真を回転させた際に回転錘が回転する心配がな
い。
【0018】本発明の時計は、前記回転錘側からの平面
視で、噛脱する前記車、前記伝え車、および前記ぜんま
いは、前記巻真よりも左側に配置されていることが望ま
しい。このような構成の時計では、手動巻上げ機構を構
成する車の数を少なくしつつ、巻真を通常の時計(ぜん
まいを備えた時計)と同様に、右回りに回転させること
でぜんまいが巻き上がるようになり、使い勝手が良好に
なる。
【0019】本発明の時計は、ぜんまいをエネルギー源
として輪列を駆動するとともに、輪列からの回転を受け
て回転する発電機に電力を生じさせ、この電力により駆
動される電子回路によって前記発電機の回転周期を制御
することで、輪列に制動をかけて調速するようにした電
子制御式機械時計であることが好ましい。電子制御式機
械時計では一般的に、ぜんまいトルクがシステムトルク
(指針を正確に運針させるための制御に要するトルク)
を考慮して高めに設定されているために、手動巻上げ時
の例えばつづみ車ときち車とにかかる巻上げ時の反力が
より大きくなり、自動巻上げ時のつづみ車ときち車との
噛み合いを外すための外し力も大きくなる。これに対し
て本発明の時計では、手動巻上げ機構を構成する車を伝
え車側から外すことでそもそも、つづみ車ときち車との
噛み合いを外すこと自体を不要にしているから、これら
を外すための大きな外し力を回転錘の回転エネルギーに
よってまかなう必要がない。このため、回転錘として
は、ぜんまいトルクに対応した大きさに設定すればよ
く、そのような外し力を考慮する必要がない分だけ大型
化が抑制され、電子制御式機械時計全体の大型化も抑制
される。従って、本来大型化を免れにくい電子制御式機
械時計に本発明を適用するメリットは大きい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施形態を図面
に基づいて説明する。なお、後述の第2、第3実施形態
を構成する部品のうち、以下に説明する第1実施形態で
の構成部品と同一もしくは同一機能部品には、第1実施
形態での符号と同じ符号を付し、それらの部品の第2、
第3実施形態での説明を省略または簡略化する。
【0021】〔第1実施形態〕図1は、第1実施形態に
係る時計としての電子制御式機械時計1の概略を示す平
面図、図2は、その一部を示す断面図、図3は、他の一
部を示す断面図、図4は、電子制御式機械時計1の要部
を示す平面図、図5は、その要部を示す断面図である。
【0022】図1ないし図3において、電子制御式機械
時計1は、ぜんまい10をエネルギー源として輪列20
を駆動するとともに、輪列20からの回転を受けて回転
する発電機30に電力を生じさせ、この電力により駆動
される図示しない電子回路によって発電機30の回転周
期を制御することで、輪列20に制動をかけて調速する
ように構成され、ぜんまい10を手動で巻き上げる手動
巻上げ機構40と、自動で巻き上げる自動巻上げ機構5
0とを備えている。
【0023】ぜんまい10は、香箱歯車11および香箱
蓋12とを備えた香箱13内に収容され、内端側が香箱
真14に、外端が香箱歯車11の内周面にそれぞれ固定
されている。また、香箱真14には角穴車15が取り付
けられており、角穴車15を手動巻上げ機構40または
自動巻上げ機構50によって一方向に回転させることに
より、香箱真14が回転してぜんまい10が巻き上が
る。反対に、ぜんまい10は、その外端側から巻き戻る
(解ける)ことで、香箱歯車11を回転させ、これに噛
み合う輪列20を駆動し、発電機30で電力を生じさせ
る。
【0024】輪列20は、香箱歯車11に噛み合った二
番車2と、以下順に増速するように噛み合った三番車3
と、四番車4と、五番車5と、六番車6とを備えてい
る。二番車2の筒かな2Aには分針(不図示)が取り付
けられ、四番車4には秒針(不図示)が取り付けられ、
筒かな2Aの回転が日の裏車21を介して伝達される筒
車22には時針(不図示)が取り付けられる。二番車2
は、図2、図3中の下端が地板23に、上端が二番受け
24に軸支されている。三番車3、五番車5、および六
番車6は、下端のほぞ部分が地板23に、上端のほぞ部
分が輪列受け25に軸支されている。四番車4は、四番
かな4Aが二番受け24に、上端のほぞ部分が中心ピン
26を介して輪列受け25に軸支されている。
【0025】発電機30は、輪列20の六番車6と噛み
合うロータ31と、このロータ31の永久磁石31Aの
磁束を鎖交させる磁気回路形成用のステータ32と、ス
テータ32を構成する一対のステータ材32Aにそれぞ
れ巻線され、かつ永久磁石31Aが回転することで生じ
るステータ材32Aでの磁束変化を電力に変換する一対
のコイル33とを備えている。このコイル33には、図
示しないが、水晶振動子を含む運針制御用の電子回路が
電気的に接続されており、発電機30によって発電され
た電力で当該電子回路を駆動し、ロータ31に制動をか
けて輪列20を調速し、運針制御を行っている。なお、
ロータ31は、一体に回転する慣性板31Bを備え、ス
テータ32に形成されたロータ収容穴32B内に配置さ
れている。
【0026】手動巻上げ機構40は、巻真41を用いて
ぜんまい10を巻上げ可能に構成されている。具体的
に、巻真41にはこれと一体に回転するつづみ車42
(図1では不図示)が貫挿されており、巻真41が引き
出されていない通常の状態では、巻真41の回転がつづ
み車42に伝達され、つづみ車42から巻真41に同様
に貫挿されたきち車43に伝達される。きち車43の回
転は、丸穴車44を介して伝え中間車45に伝達され、
伝え車60の伝えかな60Aを介して角穴車15に伝達
され、ぜんまい10を巻き上げる。そして、巻真41か
ら伝え中間車45までを含んで手動巻上げ機構40を形
成している。
【0027】ここで、丸穴車44、伝え中間車45、お
よび伝え車60は、伝え受け61に軸支され、角穴車1
5が取り付けられた香箱真14の一端側(図2、図5中
の上端側)は、輪列受け25に軸支されている。また、
図5に拡大して示すように、丸穴車44は、伝え受け6
1の図中下側できち車43と噛み合う丸穴本体車44A
と、伝え受け61の図中上側で伝え中間車45と噛み合
う丸穴中間車44Bとで構成され、巻真41からの回転
を伝え受け61の下側から上側に出力している。これに
より、その回転は、伝え受け61の上側で回転する丸穴
中間車44B、伝え中間車45、伝え車60、および角
穴車15を伝うことになる。すなわち、巻真41の回転
は、断面視した場合に、伝え受け61に沿って略同一高
さ位置に配置された車44,45,60,15によって
伝達されることになる。
【0028】さらに、図2、図3、図5に示すように、
各車44,45,60,15の上方では回転錘51が回
転可能に配置されている、この回転錘51側からの平面
視では、図1、図4に示すように、伝え中間車45は、
巻真41の左側に配置されて丸穴車44と噛み合ってお
り、また、伝え車60およびぜんまい10(角穴車1
5)も巻真41よりも左側に配置されている。これによ
り、巻真41を一般の機械時計と同様、右側に回転させ
ることでぜんまい10を巻き上げることが可能である。
なお、つづみ車42およびきち車43の互いの噛み合い
歯によりラチェット機構が形成されており、巻真41を
左側に回転させると、つづみ車42がかんぬき46(図
2、図5)の付勢力に抗してきち車43から外れるとと
もに、つづみ車42が左側に空回りし、その回転がきち
車43に伝達されることはない。
【0029】一方、自動巻上げ機構50は、前記回転錘
51と、回転錘51と一体に回転する外輪52と、外輪
52に噛み合って回転する一番伝え車53と、一番伝え
車53の回転に連動して伝え車60側に進退運動する爪
レバー54とを備えている。この爪レバー54は、爪レ
バー本体55と、この爪レバー本体55から延長された
弾性変形可能な引き爪56および押し爪57とを備えて
いる。爪レバー本体55には案内穴55Aが設けられ、
この案内穴55Aには一番伝え車53の偏心軸部53A
が嵌合されている。一番伝え車53が回転すると、偏心
した偏心軸も回転し、爪レバー本体55が伝え車60に
対して進退運動する。引き爪56および押し爪57は、
爪レバー本体55が往復動すると、それらの先端が伝え
車60の径方向に対向した歯に交互に係合する。
【0030】また、爪レバー本体55が伝え車60に対
して後退する際には、引き爪56伝え車60に係合し、
この状態で伝え車60の一歯を引く。このとき、押し爪
57は伝え車60との係合が外れている。爪レバー本体
55が伝え車60に対して前進する際には、押し爪57
が伝え車60に係合し、この状態で伝え車60の一歯を
押す。以上の動作を交互に繰り返すことにより、伝え車
60を一方向に完結的に回転させ、角穴車15を介して
ぜんまい10を巻き上げる。そして、手動巻上げ機構4
0の巻真41の操作によって伝え車60が回転している
ときには、ここでもラチェット機構の原理により、伝え
車60から引き爪56および押し爪57が交互に弾性変
形して外れ、巻真41の操作で一番伝え車53や回転錘
51(外輪52)が回転することはない。
【0031】以下には、図4、図5に基づき、本実施形
態での噛脱手段70について詳説する。ただし、図4で
は、爪レバー54の図示を省略してある。噛脱手段70
は、自動巻上げ機構50によって伝え車60を回転させ
ているときにおいて、手動巻上げ機構40の伝え中間車
45と伝え車60(かな60A)との噛み合いを外すも
のである。つまり、本実施形態の噛脱手段70は、伝え
中間車45の中央に設けられた軸挿通用穴としての丸穴
71と、この丸穴71に遊嵌状態で嵌合された固定軸と
しての伝え中間軸72と、伝え中間車45を軸方向に沿
って伝え受け61側に押圧保持する皿ばね状の保持部材
73とで構成されている。
【0032】伝え中間軸72の断面形状は、中央部が厚
く周縁にいくほど薄くなっている凸レンズ状(一眼状)
に形成されている。従って、伝え中間軸72に貫挿され
た伝え中間車45は、伝え車60と噛み合っている状態
では、丸穴71内の三日月状の隙間74が伝え車60側
に膨らんで形成されるように配置され、反対に、伝え車
60から外れた状態では、二点鎖線で示すように、三日
月状の隙間75の凹状部分が伝え車60側に向けて形成
されるように配置される。また、保持部材73は、伝え
中間車45の自重に抗して当該伝え中間車45を保持可
能で、かつラチェット機構を形成しているつづみ車42
ときち車43との噛み合いを外す力よりも弱い保持力を
有している。
【0033】このような構成の噛脱手段70を備えた電
子制御式機械時計1によれば、通常時には、伝え車60
から伝え中間車45が外れており、自動巻上げ機構50
の回転錘51によってぜんまい10が巻き上がるように
なっている。そして、手巻によってぜんまい10を巻き
上げようとして巻真41を右回りに回転させると、この
回転によってつづみ車42、きち車43、および丸穴車
44が回転し、丸穴車44と噛み合っている伝え中間車
45は空回りすることなく、伝え中間軸72との隙間7
5分だけ伝え車60側に押し出され、逆向きの隙間74
が形成されるように伝え車60と噛み合う。
【0034】さらに、丸穴車44を回転し続けると、伝
え中間車45は伝え車60との噛み合い部分、および丸
穴車44との噛み合い部分の反力により、常に伝え中間
軸72に押し付けられるようになり、位置が定まる。こ
れにより、巻真41の回転は、丸穴車44から伝え中間
車45を介して伝え車60、角穴車15に順に伝達さ
れ、ぜんまい10が手動で巻き上げられるようになる。
このとき、伝え車60に係合している爪レバー54は、
自身の弾性により伝え車60から外れ、回転錘51が回
るのを防いでいる。
【0035】そして、手動による巻上げを終了して、電
子制御式機械時計1を通常の使用状態に戻すと、自動巻
上げ機構50が作動し始める。これにより、ぜんまい1
0の巻き解けに対して、回転錘51の回転によってぜん
まい10が巻き上がる。この場合、回転錘51の回転
は、外輪52、一番伝え車53、および爪レバー54を
介して伝え車60に伝達され、この伝え車60から角穴
車15を介してぜんまい10が自動で巻き上げられるよ
うになる。
【0036】このとき、伝え中間車45は、伝え車60
との噛み合い部分から噛み合い軌跡に沿って押し出され
る。すなわち、つづみ車42ときち車43との噛合負荷
により丸穴車44が回転しないために、伝え中間車45
は、丸穴中間車44Bに噛み合いながら、隙間74分だ
け当該丸穴中間車44Bに沿って公転するように外れ、
伝え中間車45と伝え中間軸72との間には当初の隙間
75が形成される。従って、自動巻上げ機構50によっ
て伝え車60が回転し続けても、この回転は伝え中間車
45に伝達されないばかりか、これよりも巻真41側の
丸穴車44およびきち車43にも伝達されず、これらを
回転させずにすむ。
【0037】このような本実施形態によれば、以下のよ
うな効果がある。 (1) 電子制御式機械時計1に設けられた噛脱手段70
により、自動巻上げ機構50による回転錘51での自動
巻上げ時には、手動巻上げ機構40の伝え中間車45が
伝え車60から外れるので、手動巻上げ機構40の伝え
中間車45、丸穴車44、およびきち車43が回転せ
ず、回転錘51の回転エネルギーをぜんまい10の巻上
げにより多く費やすことができ、ぜんまい10の巻上げ
効率を向上させることができる。
【0038】(2) また、きち車43が回転しないこと
により、つづみ車42ときち車43との噛み合いをかん
ぬき46の付勢力に抗して外す必要がなく、この点でも
エネルギーロスを抑制でき、自動巻上げ機構50での巻
上げ効率を一層向上させることができる。
【0039】(3) そして、巻真41を操作してぜんま
い10を手動で巻き上げるときには、手動巻上げ機構4
0の伝え中間車45が伝え車60と噛み合うため、巻真
41の回転を伝達してぜんまい10を巻き上げることが
でき、手動巻上げ機構40および自動巻上げ機構50を
何ら支障なく併用できる。
【0040】(4) 噛脱手段70により伝え車60と直
に噛み合う伝え中間車45が噛脱可能に設けられている
から、手動巻上げ機構40側の一切の車42〜45を自
動巻上げ時に停止させておくことができ、自動巻上げ機
構50によるぜんまい10の巻上げ効率を最良にでき
る。
【0041】(5) 噛脱手段70によれば、噛脱する伝
え中間車45は、これに設けられた丸穴71に挿通され
た伝え中間軸72で軸支されるが、この伝え中間軸72
が丸穴71に対して遊嵌状態で挿通されているため、伝
え中間軸72と丸穴71との間に隙間74,75を形成
でき、この隙間74,75分だけ伝え中間車45を面内
方向に揺動させて伝え車60との噛脱を確実に実現でき
る。
【0042】(6) 噛脱手段70の軸挿通用穴として丸
穴71が採用されているうえ、伝え中間軸72の断面形
状が凸レンズ状であるから、手動巻上げ機構40による
巻上げ時において、伝え中間車45が伝え車60と噛み
合っている場合には、伝え中間車45を伝え中間軸72
の円弧面に接触させながらスムーズに回転させることが
できる。
【0043】(7) また、丸穴71であることにより、
伝え中間車45の回転(自転)位置に係わらず、断面凸
レンズ状の伝え中間軸72を丸穴71の内周のいずれの
部分にも良好に当接させることができる。そして、丸穴
71内では、伝え中間軸72以外の部分に三日月状の隙
間74,75を確実に形成でき、この隙間75を利用し
て伝え中間車45を噛脱させることができる。
【0044】(8) 噛脱手段70を構成する保持部材7
3は、伝え中間車45の自重に抗する保持力を有してい
るため、電子制御式機械時計1の姿勢変化によって伝え
中間車45の自重が作用する向きが変わっても、保持部
材73によって伝え中間車45を確実に保持でき、伝え
中間車45が不用意に移動するのを防止できる。従っ
て、伝え中間車45が伝え車60と噛み合っているとき
には、電子制御式機械時計1の姿勢変化に対してその噛
合状態を確実に維持でき、また、噛み合いが外れている
ときには、外れた状態を確実に維持できる。
【0045】(9) そして、保持部材73の保持力で伝
え中間車45が保持されているので、噛み合いが外れた
状態から巻真41を操作して噛み合わせる場合には、巻
真41側からの回転力によって伝え中間車45がその場
で空回りするのを防止でき、伝え中間車45を自転させ
ながら移動させて伝え車60に確実に噛み合わせること
ができる。
【0046】(10) さらに、伝え中間車45が保持部材
73で保持されながら伝え車60から外れようとする際
には、保持部材73による伝え中間車45の保持力より
も、つづみ車42ときち車43との噛合力の方が勝って
いるために、これらつづみ車42,きち車43、および
丸穴車44の回転を抑制でき、伝え中間車45を丸穴車
44の周りで公転するように移動させて、伝え車60か
ら確実に外すことができる。
【0047】(11) 保持部材73は、伝え中間車45を
軸方向に押圧しているので、伝え中間車45が伝え車6
0に対して径方向に外れる本実施形態の場合でも、伝え
中間車45を良好に保持でき、伝え中間車45の空回り
を有効に防止できる。
【0048】(12) 従来では、つづみ車42およびきち
車43のラチェット機構部分の噛み合いを外す外し力を
小さくし、回転錘51の回転中に容易に外れるようにし
てエネルギーロスを抑える場合もあるが、この場合で
は、巻真41を回転させるときでさえ、つづみ車42が
きち車43から外れてしまう可能性があった。このた
め、エネルギーロスの抑制と、巻真41の回転の確実な
伝達とを両方満足する外し力の設定が必要であるが、こ
の設定が非常に微妙で不安定となり、巻真41を回転さ
せてもぜんまい10が巻き上がらないなど、信頼性に問
題があった。これに対して本実施形態では、回転錘51
の回転がつづみ車42およびきち車43まで伝達されな
いから、ラチェット機構部分の外し力を、巻真41を巻
きあげ方向とは逆向きに回したときに確実に外れるよう
に設定し、かつ保持部材73での保持力よりも大きく設
定すればよく、回転錘51のエネルギーロスに関して一
切考慮する必要がない分、設定を容易かつ確実にでき、
手動巻上げ機構40の信頼性を向上させることができ
る。
【0049】(13) 手動巻上げ機構40の丸穴車44お
よび伝え中間車45、伝え車60の伝えかな60A、こ
の伝えかな60Aと噛み合う角穴車15は、断面視で略
同一高さ位置に配置されているので、各車15,44,
45,60にかかる負荷の位置を軸方向で略同じにで
き、ぜんまい10の巻上げ時には、各車15,44,4
5,60の接触面で生じるモーメントを小さくして負荷
の発生を抑えることができ、この点でも、自動巻上げ機
構50での巻上げ効率を向上させることができるうえ、
手巻操作も無理なく行える。
【0050】(14) 自動巻上げ機構50を構成する爪レ
バー54は、手動巻上げ機構40によって巻上げを行う
場合に伝え車60から外れるので、手動巻上げ機構40
によって伝え車60が回転しても、この回転を回転錘5
1側に伝達するのを防止でき、巻真41を回転させた際
に回転錘51が回転する心配がない。
【0051】(15) 電子制御式機械時計1では、回転錘
51側からの平面視で、伝え中間車45、伝え車60、
およびぜんまい10は、巻真41よりも左側に配置され
ているため、手動巻上げ機構40をつづみ車42、きち
車43、丸穴車44、および伝え中間車45といった少
ない数の車で構成しつつ、巻真41を通常の時計(ぜん
まいを備えた時計)と同様に、右回りに回転させること
でぜんまい10を巻き上げることができ、使い勝手を良
好にできる。
【0052】(16) 噛脱手段70を設けることにより、
自動巻上げ機構50による巻上げ時にはそもそも、つづ
み車42ときち車43との噛み合いを外すこと自体が不
要であるから、かんぬき46の付勢力に抗してこれらを
外すための大きな外し力を回転錘51の回転エネルギー
によってまかなう必要がない。このため、回転錘51と
しては、ぜんまいトルクに対応した大きさに設定すれば
よく、そのような外し力を考慮する必要がない分だけ大
型化を抑制でき、電子制御式機械時計1全体の大型化も
抑制できる。
【0053】〔第2実施形態〕図6は、本発明の第2実
施形態に係る時計としての電子制御式機械時計1の要部
を示す平面図である。本実施形態では、第1実施形態で
の保持部材73の代わりに、伝え中間車45を径方向か
ら押圧する別の保持部材83を用いた点が第1実施形態
とは異なる。保持部材83の保持力の大きさ等は、第1
実施形態と同じである。保持部材83は、伝え受け61
(図2、図5参照)にねじ止めされる取付部83Aと、
取付部83Aに一体に設けられて直角に折り返された平
板状の押圧部83Bとを備え、この押圧部83Bの弾性
力で伝え中間車45を径方向に、具体的には、伝えかな
60Aと丸穴車44との間の方向(図中の矢印参照)に
押圧している。
【0054】このような構成でも、径方向に噛み合いが
外れる伝え中間車45を良好に押圧でき、形状は異なる
が前述した(8)〜(11)の効果を同様に得ることができ
る。
【0055】〔第3実施形態〕図7および図8は、本発
明の第3実施形態に係る時計としての電子制御式機械時
計1の要部を示す平面図および断面図である。本実施形
態では、伝え中間車45は断面円形の通常の伝え中間軸
62に貫挿されており、径方向に外れることはないが、
当該伝え中間軸62の軸方向に沿って図8中の上下方向
に移動可能に設けられている。また、伝え中間車45
は、取付部93Aおよび環状の押圧部93Bを備えた保
持部材93で上方に押圧付勢されており、この付勢され
た位置で伝え車60および丸穴車44と噛み合ってい
る。
【0056】この際、図9に拡大して示すように、伝え
中間車45の歯と伝えかな60Aの歯とでラチェット機
構を形成している。つまり、伝えかな60Aの歯には、
伝え中間車45の歯と接触する部分に傾斜面60Bが設
けられており、伝えかな60A(伝え車60)が自動巻
上げ機構50で回転し、伝え中間車45に対して駆動側
にある場合には(伝え中間車45が従動側)、その傾斜
面60Bが伝え中間車45の歯と接触し、伝え中間車4
5を保持部材93の保持力に抗して下方に外す(図中の
矢印参照)。これに対して、手動巻上げ機構40により
伝え中間車45が駆動側がとなる場合には(伝えかな6
0Aが従動側)、伝え中間車45の歯が伝えかな60A
の歯の歯面60C(傾斜面60Bとは反対側の面)に接
触して噛み合い、巻真41の回転を伝え車60に伝達し
てぜんまい10を巻き上げる。従って、このラチェット
機構が本発明に係る噛脱手段を構成している。
【0057】このような構成では、自動巻上げ機構50
による回転錘51での自動巻上げ時には、手動巻上げ機
構40の伝え中間車45が伝え車60および丸穴車44
の両方から外れるので、回転錘51の回転中に手動巻上
げ機構40の伝え中間車45、丸穴車44、およびきち
車43が回転せず、回転錘51の回転エネルギーをぜん
まい10の巻上げにより多く費やすことができ、ぜんま
い10の巻上げ効率を向上させることができる。
【0058】また、保持部材93は、伝え中間車45を
固定軸62に対して軸方向に押圧しているが、伝え中間
車45が軸方向に沿って移動して外れる構造であるか
ら、伝え中間車45を伝え車60から外すのに費やされ
るエネルギーとしては、保持部材93の保持力に打つ勝
つ分だけでよく、つづみ車42およびきち車43の噛み
合いを外す外し力が何ら影響しない。従って、つづみ車
42およびきち車43の外し力の設定を、保持部材93
の保持力すら関係なく設定でき、前述した(12)の効果を
より顕著にできる。
【0059】なお、本発明は、前記各実施形態に限定さ
れるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成
等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれ
る。例えば、前記第1〜第3実施形態では、本発明の時
計として電子制御式機械時計1〜3の例を説明したが、
本発明の時計としては、これに限定されるものではな
く、てんぷやがんぎ車等で構成された調速機を備える機
械時計であってもよい。
【0060】前記各実施形態では、伝え中間車45、伝
え車60、およびぜんまい10が、回転錘51側からの
平面視で巻真41の左側に配置されていたが、これらが
右側に配置されている場合でも本発明に含まれる。ただ
し、それらを左側に配置することで、前述の(15)の効果
を得ることができるので、各実施形態のように配置する
ことが望ましい。
【0061】前記各実施形態では、伝え車60側との噛
み合いが外れる車として伝え中間車45が用いられてい
たが、例えば、丸穴車44を伝え中間車45から外れる
ようにしてもよい。また、伝え中間車45を伝え車60
側から外すのではなく、何らかの機構によって丸穴車4
4から外すように構成してもよい。このような構成で
も、手動巻上げ機構40では、自動巻上げ機構50の回
転錘51の回転により、伝え中間車45が伝え車60と
一緒に回転するだけであるから、従来に比してエネルギ
ーロスを少なくでき、本発明の目的を達成できる。さら
に、伝え中間車45が第1、第2実施形態のように、面
内方向(径方向)に移動して外れる場合でも、第3実施
形態のように、伝え中間車45を伝え車60および丸穴
車44の両方から略同時に外れるように構成してもよ
い。
【0062】本発明の時計としては、時針および分針を
同軸上に備えた2針タイプ、さらに秒針を備えた3針タ
イプ、また、秒針を別な回転軸上に設けた多軸タイプ、
クロノグラフやタイマー用の指針を備えた多機能タイプ
の時計であってもよく、時計の形態は任意である。ま
た、特に多軸タイプや多機能タイプの時計では、番車の
数の多くなって駆動負荷が増え、ぜんまいトルクが高く
なるため、つづみ車42ときち車43との噛み合いを外
す外し力も大きくなる。これに対して本発明では、前記
(16)の効果でも述べたように、回転錘51としては、ぜ
んまいトルクに対応した大きさに設定すればよく、その
ような外し力を考慮する必要がないので、その分だけ回
転錘51の大型化、ひいては時計全体の大型化を抑制で
き、本発明を適用する効果は大きい。
【0063】その他、噛脱手段などの具体的な構成は、
本発明の目的を達成できる範囲で任意に変更可能であ
る。
【0064】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の時計によ
れば、手動巻上げ機構と自動巻上げ機構とを併用しつ
つ、自動巻上げ機構による巻上げ効率を向上させること
ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る時計の概略を示
す平面図である。
【図2】 第1実施形態の一部を示す断面図である。
【図3】 第1実施形態の他の一部を示す断面図であ
る。
【図4】 第1実施形態の要部を示す平面図である。
【図5】 第1実施形態の要部を示す断面図である。
【図6】 本発明の第2実施形態に係る時計の要部を示
す平面図である。
【図7】 本発明の第3実施形態に係る時計の要部を示
す平面図である。
【図8】 第3実施形態の要部を示す断面図である。
【図9】 第3実施形態の要部を拡大して示す拡大図で
ある。
【符号の説明】
1…時計としての電子制御式機械時計、10…ぜんま
い、15…角穴車、20…輪列、30…発電機、40…
手動巻上げ機構、41…巻真、44…丸穴車、45…手
動巻上げ機構を構成する噛脱可能な車としての伝え中間
車、50…自動巻上げ機構、51…回転錘、54…爪レ
バー、60…伝え車、60A…伝えかな、70…噛脱手
段、71…軸挿通用穴としての丸穴、72…固定軸とし
ての伝え中間軸、73,83,93…保持部材。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻真を操作することにより伝え車を介し
    てぜんまいを巻き上げる手動巻上げ機構と、回転錘の回
    転により前記伝え車を介してぜんまいを巻き上げる自動
    巻上げ機構とを備えた時計であって、 前記自動巻上げ機構での回転錘の回転によって伝え車を
    駆動する場合に、前記手動巻上げ機構を構成する車の一
    つが前記伝え車側との噛み合いが外れるか、および/ま
    たは、手動巻上げ機構の他の車との噛み合いが外れるよ
    うに構成された噛脱手段を備えていることを特徴とする
    時計。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の時計において、噛脱す
    る前記車は、前記伝え車に対して噛脱可能とされた伝え
    中間車であることを特徴とする時計。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の時計に
    おいて、前記噛脱手段は、噛脱する前記車に設けられた
    軸挿通用穴と、この軸挿通用穴に遊嵌状態で挿通された
    固定軸とを備えて構成されていることを特徴とする時
    計。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の時計において、前記軸
    挿通用穴は丸穴であり、前記固定軸は中央部が厚く周縁
    にいくほど薄くなっている断面凸レンズ状に形成されて
    いることを特徴とする時計。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2に記載の時計に
    おいて、前記噛脱手段は、ラチェット機構によって前記
    車を噛脱可能に構成されていることを特徴とする時計。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の時計において、噛脱する前記車の自重に抗して当該
    車を保持可能で、かつ当該車よりも巻真側での車間の噛
    み合いを外す力よりも弱い保持力を有した保持部材を備
    えていることを特徴とする時計。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の時計において、前記保
    持部材は、噛脱する前記車を軸方向に押圧するか、また
    は径方向に押圧することを特徴とする時計。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし請求項7のいずれかに記
    載の時計において、前記手動巻上げ機構では、噛脱する
    前記車が前記伝え車と噛脱可能な伝え中間車とされてい
    るとともに、この伝え中間車と噛み合う丸穴車が設けら
    れており、この丸穴車、前記伝え中間車、当該伝え中間
    車と噛み合う前記伝え車の伝えかな、およびこの伝えか
    なと噛み合う角穴車は、断面視で略同一高さ位置に配置
    されていることを特徴とする時計。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし請求項8のいずれかに記
    載の時計において、前記自動巻上げ機構は、回転錘の回
    転に連動して動作し、かつ前記伝え車に係合して当該伝
    え車を一方向に回転させる爪レバーを備え、この爪レバ
    ーは、前記伝え車が前記手動巻上げ機構によって駆動さ
    れている場合に、当該伝え車との係合が外れることを特
    徴とする時計。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9のいずれかに
    記載の時計において、前記回転錘側からの平面視で、噛
    脱する前記車、前記伝え車、および前記ぜんまいは、前
    記巻真よりも左側に配置されていることを特徴とする時
    計。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし請求項10のいずれか
    に記載の時計において、ぜんまいをエネルギー源として
    輪列を駆動するとともに、輪列からの回転を受けて回転
    する発電機に電力を生じさせ、この電力により駆動され
    る電子回路によって前記発電機の回転周期を制御するこ
    とで、輪列に制動をかけて調速するようにした電子制御
    式機械時計であることを特徴とする時計。
JP2002083984A 2002-03-25 2002-03-25 時 計 Withdrawn JP2003279667A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002083984A JP2003279667A (ja) 2002-03-25 2002-03-25 時 計

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002083984A JP2003279667A (ja) 2002-03-25 2002-03-25 時 計

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003279667A true JP2003279667A (ja) 2003-10-02

Family

ID=29231527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002083984A Withdrawn JP2003279667A (ja) 2002-03-25 2002-03-25 時 計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003279667A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102012101763A1 (de) 2011-03-08 2012-09-13 Seiko Instruments Inc. Rückzugfederkonstruktion eines von hand aufgezogenen chronometers und von hand aufgezogener mechanismus sowie von hand aufgezogenes chronomter mit denselben
JP2016114509A (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 セイコーインスツル株式会社 巻上機構、ムーブメントおよび時計
JP2019132652A (ja) * 2018-01-30 2019-08-08 セイコーインスツル株式会社 巻上力伝達機構、ムーブメント、及び機械式時計

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102012101763A1 (de) 2011-03-08 2012-09-13 Seiko Instruments Inc. Rückzugfederkonstruktion eines von hand aufgezogenen chronometers und von hand aufgezogener mechanismus sowie von hand aufgezogenes chronomter mit denselben
CN102681416A (zh) * 2011-03-08 2012-09-19 精工电子有限公司 手动上条钟表用复位弹簧构造体、手动上条机构及钟表
JP2012189331A (ja) * 2011-03-08 2012-10-04 Seiko Instruments Inc 手巻時計用戻しばね構造体、これを備えた手巻機構並びに手巻時計
JP2016114509A (ja) * 2014-12-16 2016-06-23 セイコーインスツル株式会社 巻上機構、ムーブメントおよび時計
JP2019132652A (ja) * 2018-01-30 2019-08-08 セイコーインスツル株式会社 巻上力伝達機構、ムーブメント、及び機械式時計
JP7071831B2 (ja) 2018-01-30 2022-05-19 セイコーインスツル株式会社 巻上力伝達機構、ムーブメント、及び機械式時計

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5543182B2 (ja) 振動アラームが内蔵された時計ムーブメント
EP0950931B9 (en) Mainspring device, timepiece, and method of controlling the mainspring device and the timepiece
CN102103356B (zh) 安装有振动闹铃的钟表机芯
JP2010510506A (ja) 報時機構
JPH0769440B2 (ja) 発電機
JP5844873B2 (ja) 改良されたパワーリザーブを有する腕時計
JP2014081334A (ja) 時計用の定トルク機構及び該機構を備えたムーブメント及び機械式時計
EP2042944B1 (en) Spring device and timepiece
EP3435176B1 (fr) Lissage de couple pour pièce d'horlogerie avec mécanisme de sonnerie, notamment avec mécanisme de sonnerie
JP2003279667A (ja) 時 計
JP3224229B2 (ja) 無音アラーム付き時計
JP3921449B2 (ja) 巻上げ残量表示装置
US3817024A (en) Time-setter for an electronic timepiece
US6021098A (en) Device for limiting the acceleration of an oscillating weight driving a mechanism of small volume
JP7135914B2 (ja) 時計
JP2007016709A (ja) ゼンマイ駆動機構
JP3804563B2 (ja) ぜんまい装置およびこのぜんまい装置を備えた時計
JP2011164052A (ja) ぜんまい装置および時計
JP7207011B2 (ja) 時計
JP2012132798A (ja) 時計
JP2004271325A (ja) 電子制御式機械時計
JP2815048B2 (ja) 指針表示式発電時計
US20200033806A1 (en) Timepiece drive mechanism
JP2001116856A (ja) ゼンマイ装置、それを有した時計および電子機器
JPS5929828B2 (ja) 携帯用発電装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040511

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050920

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20051102