JP2003214307A - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

内燃機関用点火装置

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JP2003214307A
JP2003214307A JP2002018394A JP2002018394A JP2003214307A JP 2003214307 A JP2003214307 A JP 2003214307A JP 2002018394 A JP2002018394 A JP 2002018394A JP 2002018394 A JP2002018394 A JP 2002018394A JP 2003214307 A JP2003214307 A JP 2003214307A
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ignition
primary
internal combustion
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combustion engine
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Yasushi Sakakura
靖 坂倉
Tatsunori Yamada
達範 山田
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 逆流防止用ダイオードを備えることなく、一
次巻線への通電時における誤点火を防止することができ
る内燃機関用点火装置を提供する。 【解決手段】 内燃機関用点火装置1は、略台形形状波
形の変換後点火指令信号72によりイグナイタ17を駆
動制御することで、一次巻線33に流れる一次電流21
の単位時間あたりの変化率を小さい値に制限している。
このため、一次巻線33への通電により二次巻線34の
両端に発生する逆極性の誘導電圧は、点火プラグ13に
火花放電を発生可能な電圧値にはならない。これによ
り、内燃機関用点火装置1は、本来の点火時期とは異な
る時期(すなわち、一次電流の通電時期)に、内燃機関
にて誤点火が発生するのを防ぐことができ、逆流防止用
ダイオードを備えることなく、一次巻線33への通電時
における火花放電の発生を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、点火コイルの一次
巻線に供給される一次電流の断続により二次巻線に発生
する点火用高電圧を点火プラグに印加して、点火プラグ
にて火花放電を発生させて混合気を燃焼させる内燃機関
用点火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、点火コイルの一次巻線への通
電電流(一次電流)を遮断することで二次巻線に点火用
高電圧(約40[kV])を発生させ、その点火用高電
圧を点火プラグに印加することで点火プラグに火花放電
を発生させて、燃料混合気を燃焼させる内燃機関用点火
装置が知られている。
【0003】このような内燃機関用点火装置に備えられ
る点火コイルは、通電中の一次電流を遮断して磁束密度
が急峻に変化することで、二次巻線の両端に点火用高電
圧が発生するように構成されている。また、この点火コ
イルにおいては、通電中の一次電流を遮断する時のみな
らず、一次巻線への通電時においても、磁束密度が変化
して二次巻線に点火用高電圧とは逆極性の誘導電圧が発
生する。なお、一次電流通電時に発生する通電時誘導電
圧は、一次電流通電遮断時に発生する点火用高電圧に比
べて低い電圧値(数kV)になる。
【0004】しかし、この一次電流通電時に発生する通
電時誘導電圧により、本来の点火時期よりも早い時期に
点火プラグにて火花放電が発生して混合気への点火が行
われる誤点火(逆飛び、ともいう)が発生することがあ
る。このような誤点火が発生すると、本来の点火時期と
は異なる時期に混合気が燃焼することになり、内燃機関
を正常に運転することができなくなる。
【0005】とりわけ、一次巻線への通電時間を同じ長
さに設定した条件下では、内燃機関の回転速度が速く
(回転数が高く)なるほど、一次巻線への通電開始時期
は、クランク角度の早い時期に設定されることになり、
つまりシリンダ内の筒内圧が低い時期に設定されること
になる。そして、点火プラグにおける放電電圧は、シリ
ンダ内の筒内圧が低くなるほど低下することが知られて
おり、高回転運転時では、一次巻線への通電開始時に二
次巻線に発生する点火用高電圧とは逆極性の電圧(通電
時誘導電圧)によって、混合気への誤点火が起こりやす
くなる。
【0006】この問題に対しては、例えば、一次巻線へ
の通電遮断時に二次巻線に発生する電流の通電を許容
し、一次巻線への通電時に二次巻線に発生する電流の通
電を阻止するように、二次巻線と点火プラグとを接続す
る通電経路上に逆流防止用ダイオードを設けると良い。
つまり、このような逆流防止用ダイオードを備えること
で、一次電流通電時においては、二次巻線から点火プラ
グへの通電が逆流防止用ダイオードによって阻止される
ため、点火用高電圧とは逆極性の通電時誘導電圧による
誤点火の発生を抑制することができる。また、一次電流
通電遮断時においては、逆流防止用ダイオードが二次巻
線から点火プラグへの通電を許容することから、逆流防
止用ダイオードによって通電が阻止されることはなく二
次巻線から点火プラグへ電流が流れるため、火花放電を
発生させることができる。
【0007】なお、従来の内燃機関用点火装置101
は、例えば、図4に示すように、電源装置11(バッテ
リ11)と、中心電極61と接地電極63とを有する点
火プラグ13と、一次巻線33と二次巻線34とを備え
て点火用高電圧を発生する点火コイル15と、一次巻線
33と直列接続されたIGBT(Insulated Gate Bipol
ar Transistor )からなるイグナイタ17と、を備えて
構成される。
【0008】この従来内燃機関用点火装置101では、
点火用高電圧発生時に点火プラグ13の中心電極61が
負極性となるように構成されており、一次巻線33への
通電時に二次巻線34に発生する通電時誘導電圧(起電
力)は、二次巻線34の端部のうち点火プラグ13に接
続される端部が高電位となり、一次巻線33に接続され
る端部が低電位となるように発生する。このことから、
一次巻線33への通電時に二次巻線34に発生する電流
は、二次巻線34から点火プラグ13の中心電極61に
向かう方向に流れることになる。
【0009】よって、二次巻線34と点火プラグ13の
中心電極61との間、あるいは二次巻線34と一次巻線
33との間のいずれかに、逆流防止用ダイオード31
(図4では点線で示す。)を設けることで、誤点火を防
止することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通電時
誘導電圧は数kV程度の高電圧に達することから、逆流
防止用ダイオードは、通電時誘導電圧に耐えうる耐電圧
特性を有するダイオードを用いて構成する必要があり、
そのような高耐圧のダイオードは高価であるため、内燃
機関用点火装置のコストが上昇することになる。
【0011】また、高耐圧のダイオードは、一般に体積
が大きくなることから、逆流防止用ダイオードを接地す
るためのスペースが拡大することになり、内燃機関用点
火装置の小型化の要求に応えることができない。他方、
内燃機関の燃焼状態を検出する方法としてイオン電流法
が知られており、イオン電流法は、火花放電が終了した
後、イオン電流を発生させるためのバイアス電圧(イオ
ン電流発生用電圧)を二次巻線から点火プラグに印加す
ることで点火プラグの電極間に流れる電流(イオン電
流)に基づいて、燃焼状態を検出する検出方法である。
【0012】なお、イオン電流法を用いて燃焼状態検出
を行う内燃機関用点火装置は、一般に、イオン電流を発
生させるためのバイアス電圧を、点火用高電圧とは逆極
性となる状態で点火プラグに印加する構成であることが
多い。そして、このように点火用高電圧とは逆極性のバ
イアス電圧を印加するよう構成された内燃機関用点火装
置は、二次巻線と点火プラグとを接続する通電経路にお
いて両方向の通電が可能となるように構成する必要があ
る。
【0013】ここで、イオン電流検出回路41を備えた
第2従来内燃機関用点火装置103の構成を表す電気回
路図を図5に示す。そして、第2従来内燃機関用点火装
置103においては、点火用高電圧により発生する放電
電流22が二次巻線34からイオン電流検出回路41に
向けて流れるのに対し、電圧印加用コンデンサ45の放
電により発生するイオン電流42は、イオン電流検出回
路41から二次巻線34に向けて流れる。つまり、第2
従来内燃機関用点火装置103においては、放電電流2
2とイオン電流42は、互いに反対方向に流れることに
なる。
【0014】そして、第2従来内燃機関用点火装置10
3に対して、二次巻線34と点火プラグ13の中心電極
61との間、あるいは二次巻線34と一次巻線33との
間のいずれかに、逆流防止用ダイオードを設けた場合に
は、イオン電流42の通電が逆流防止用ダイオードによ
り阻止されて、イオン電流の検出が不可能となる。
【0015】このことから、放電電流を充電してイオン
電流検出用電源とするイオン電流法を用いて燃焼状態検
出を行う内燃機関用点火装置においては、逆流防止用ダ
イオードを備えることができず、一次巻線への通電時に
誤点火が発生することになる。
【0016】そこで、本発明は、こうした問題に鑑みな
されたものであり、逆流防止用ダイオードを備えること
なく、一次巻線への通電時における誤点火を防止するこ
とができる内燃機関用点火装置を提供することを目的と
する。
【0017】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1記載の発明は、一次巻線および二
次巻線を有し、一次巻線に流れる一次電流を遮断するこ
とで二次巻線に点火用高電圧を発生する点火コイルと、
この点火コイルの一次巻線に流れる一次電流の通電・遮
断を行う点火用スイッチング手段と、二次巻線に接続さ
れて、点火用高電圧の印加により火花放電を発生する点
火プラグと、を備えた内燃機関用点火装置であって、一
次巻線への通電に伴って二次巻線に発生する点火用高電
圧とは逆極性の誘導電圧により、点火プラグが点火時期
とは異なる時期に火花放電を発生して内燃機関に誤点火
が生じないように、一次巻線への通電開始時から所定期
間にわたり一次電流の増加率を制限する一次電流制限手
段を備えたことを特徴とする。
【0018】このように構成された本発明の内燃機関用
点火装置は、点火コイルに磁束エネルギを蓄積するべく
一次巻線に通電するにあたり、一次電流制限手段が一次
巻線への通電開始時から所定期間にわたり一次電流の増
加率を制限することから、二次巻線に発生する逆極性の
誘導電圧が点火プラグの電極間に火花放電を発生可能な
電圧値とならない。なお、所定期間は、一次巻線への通
電開始時から点火時期までの期間のうち、誤点火によっ
て内燃機関の運転状態に悪影響が及ぶ期間が設定され
る。
【0019】つまり、本来の点火時期である一次電流を
遮断する時期とは異なる時期、すなわち一次電流の通電
時期に、点火プラグに火花放電が発生するのを防ぐこと
ができる。このため、本内燃機関用点火装置は、逆流防
止用ダイオードを備えることなく、一次巻線への通電時
における火花放電の発生を防止できる。
【0020】よって、本発明(請求項1)の内燃機関用
点火装置によれば、逆流防止用ダイオードを備えること
なく、一次巻線への通電時における誤点火を防止するこ
とができる。また、逆流防止用ダイオードを設ける必要
がないことから、高耐圧の高価なダイオードを設けるこ
とに伴うコストの上昇を防ぐことができ、また、逆流防
止用ダイオードの設置用スペースを設ける必要が無くな
り、内燃機関用点火装置の小型化に寄与することができ
る。
【0021】ところで、点火コイルにおける磁束密度の
変化率は、一次電流の単位時間あたりの変化率に応じて
変化しており、一次電流の変化率は、一次電流の通電開
始時や一次電流の遮断時に大きくなる傾向がある。この
ことから、一次電流の通電時のうち通電開始時について
は、磁束密度の変化率が大きくなり易く二次巻線に発生
する誘導電圧が高電圧に成り易いため、火花放電が発生
する確率が高くなる。
【0022】そこで、上述(請求項1)の内燃機関用点
火装置は、請求項2に記載のように、一次電流制限手段
が、一次電流の増加率が時間経過に伴い増加するよう
に、一次電流を制御するとよい。つまり、一次電流制限
手段が、一次電流の増加率が時間経過に伴い増加するよ
うに一次電流を制御することで、一次電流の増加率は一
次電流の通電開始時に最も小さい値を取ることになり、
一次電流の通電開始時における点火コイルの磁束密度の
変化割合が小さくなる。これにより、一次電流の通電開
始時において、二次巻線に発生する誘導電圧が高電圧と
なるのを防止することができ、誤点火の発生を抑制でき
る。
【0023】よって、本発明(請求項2)の内燃機関用
点火装置によれば、火花放電が発生し易い一次電流の通
電開始時における火花放電の発生を防止でき、本来の点
火時期とは異なる時期に発生する誤点火をより確実に防
止することができる。そして、上述(請求項1または請
求項2)の内燃機関用点火装置においては、例えば、線
路抵抗値を変更することで通電電流値を変更可能に構成
された電流制限手段を一次電流の通電経路上に設けるこ
とで、一次電流の増加率を制御することができる。
【0024】しかし、一次電流の通電経路上に新たな手
段を設けると、一次電流の通電経路における抵抗値が上
昇する傾向にあり、一次電流通電遮断時の一次電流の電
流値が、二次巻線側の点火用高電圧の発生に必要な値ま
で確保しにくくなる。そこで、上述(請求項1または請
求項2)の内燃機関用点火装置においては、例えば、請
求項3に記載のように、点火用スイッチング手段が、外
部から入力される駆動指令信号に応じて一次電流の電流
値を制御可能に構成され、一次電流制限手段が、点火用
スイッチング手段に入力する駆動指令信号を制御するこ
とにより、一次電流の増加率を制限するとよい。
【0025】つまり、フルトランジスタ型の内燃機関用
点火装置に必須の点火用スイッチング手段(半導体スイ
ッチング素子)の特性に着目し、一次電流制限手段は、
点火用スイッチング手段に入力する駆動指令信号を制御
することで、一次電流の増加率を制限するのである。こ
れにより、一次電流の通電経路上に新たな手段を追加設
置することなく一次電流の増加率を制限することがで
き、一次電流通電遮断時の一次電流の電流値が二次巻線
側の点火用高電圧の発生に必要な値まで確保しにくくな
るという傾向を防ぐことができる。
【0026】そして、駆動指令信号に応じて一次電流の
電流値を制御可能に構成された点火用スイッチング手段
としては、例えば、電圧駆動型のスイッチング素子であ
るIGBT(insulate gated power transistor)を用
いることができる。そして、IGBTを用いる場合に
は、一次電流制限手段として駆動指令信号の電圧値を制
御可能な一次電流制限手段を備えて、その一次電流制限
手段が駆動指令信号の電圧値を制御目標となる一次電流
値に応じた電圧値に制御することで、一次電流の増加率
を制御することが可能となる。
【0027】よって、本発明(請求項3)の内燃機関用
点火装置によれば、本来の点火時期とは異なる時期に発
生する誤点火を防止でき、また、一次電流の通電遮断時
に点火プラグに火花放電を発生可能な点火用高電圧を二
次巻線に確実に誘起させることができる。
【0028】なお、点火用スイッチング手段は、例え
ば、電流駆動型のスイッチング素子であるバイポーラト
ランジスタを用いて構成することもできる。そして、バ
イポーラトランジスタを用いる場合には、ベース電流の
電流値を制御可能な一次電流制限手段を備えて、その一
次電流制限手段がベース電流の電流値を制御目標となる
一次電流値に応じた電流値に制御することで、一次電流
の増加率を制御することが可能となる。
【0029】ところで、一次電流の電流値が過度に上昇
して一次巻線の許容最大電流値を上回ると、一次巻線に
おける通電に伴う発熱量が増大して、過熱により一次巻
線が破損する虞がある。そこで、上述(請求項1から請
求項3のいずれか)の内燃機関用点火装置は、請求項4
に記載のように、一次巻線に流れる一次電流のピーク値
を、一次巻線の許容最大電流値以下の範囲内で設定され
たピーク制限値以下に制限するピーク値制限手段を備え
るとよい。
【0030】つまり、一次電流のピーク値をピーク制限
値以下に制限することで、通電に伴う点火コイルの発熱
量が過度に増大するのを防ぐことができ、過熱による点
火コイルの破損を防止することができる。また、ピーク
値制限手段を備えることで、通電時間が長くなる場合で
も一次電流が過度に上昇することがなく、一次電流のピ
ーク値がピーク制限値にほぼ等しい値で一定値となるこ
とから、点火コイルに蓄積する磁束エネルギ量を略一定
とすることができる。このように、磁束エネルギを略一
定に設定可能になることで、一次電流の遮断時に二次巻
線に発生する点火用高電圧の電圧値をほぼ一定値に設定
することができ、点火用高電圧の電圧値が不足し点火プ
ラグにて火花放電が発生不可能となるのを防ぐことがで
きる。
【0031】よって、本発明(請求項4)の内燃機関用
点火装置によれば、過熱による点火コイルの破損を防止
できるため、内燃機関用点火装置の耐久性を向上させる
ことができる。また、一次巻線への通電時間を長く設定
することが可能となり、いかなる運転条件下において
も、点火用高電圧が電圧不足になるのをなくすことがで
き、点火プラグでの火花放電を確実に発生させて、混合
気への着火性を向上させることができ、安定した燃焼状
態を実現することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施例を図面と
共に説明する。まず、図1は、実施例のイオン電流検出
機能を備えた内燃機関用点火装置1の構成を表す電気回
路図である。なお、本実施例では、1気筒分について説
明を行うが、本発明は複数の気筒を備える内燃機関につ
いても適用でき、各気筒毎の内燃機関用点火装置の基本
構成は同様である。
【0033】図1に示すように、本実施例の内燃機関用
点火装置1は、定電圧(例えば、電圧12[V])を出
力する電源装置11(バッテリ11)と、中心電極61
と接地電極63(外側電極63ともいう)とを備えて内
燃機関の気筒に装着される点火プラグ13と、一次巻線
33と二次巻線34とを備えて点火用高電圧を発生する
点火コイル15と、一次巻線33と直列接続されたIG
BT(Insulated GateBipolar Transistor )からなる
イグナイタ17と、イグナイタ17を駆動制御するため
の点火指令信号20を出力する電子制御装置19(以
下、ECU19と呼ぶ)と、点火指令信号20を変換し
た変換後点火指令信号72をイグナイタ17に対して出
力する信号変換回路71と、を備えている。
【0034】さらに、内燃機関用点火装置1は、二次巻
線34を介して点火プラグ13にイオン電流発生用電圧
を印加し、イオン電流発生用電圧の印加により点火プラ
グ13の電極間に発生するイオン電流42を検出するイ
オン電流検出回路41を備えている。
【0035】これらのうち、イグナイタ17は、点火コ
イル15の一次巻線33への通電・遮断を行うために、
外部からの指令信号に基づいてスイッチング動作する半
導体素子からなるスイッチング素子であり、本実施例の
内燃機関に備えられる点火装置はフルトランジスタ型点
火装置である。また、イグナイタ17は、ゲートが信号
変換回路71の変換後点火指令信号72の出力端子に接
続され、コレクタが一次巻線33に接続され、エミッタ
が電源装置11の負極と同電位のグランドに接地されて
いる。
【0036】なお、イグナイタ17は、駆動電位よりも
低い電位の信号がゲートに入力される場合にはオフ状態
となりコレクタ−エミッタ間に電流は流さず、駆動電位
以上の電位の信号がゲートに入力される場合にはオン状
態となりコレクタ−エミッタ間に電流を流すように動作
する。
【0037】そして、点火コイル15の一次巻線33
は、一端が電源装置11の正極に接続され、他端がイグ
ナイタ17のコレクタに接続されている。また、二次巻
線34は、点火用高電圧発生時における高圧側端部35
が点火プラグ13の中心電極61に接続され、低圧側端
部36がイオン電流検出回路41に接続されている。な
お、点火用高電圧発生時の二次巻線34の端部の正負極
性は、点火コイル15における一次巻線33および二次
巻線34のそれぞれの巻線方向を調整することで設定す
ることができる。そして、本実施例の二次巻線34は、
点火用高電圧発生時に、高圧側端部35が低電位(負極
性)となり、低圧側端部36が高電位(正極性)となる
ように、巻線方向が調整されている。
【0038】また、点火プラグ13は、中心電極61と
接地電極63とが互いに対向して配置されて、中心電極
61と接地電極63との間に火花放電を発生させる火花
放電ギャップを形成するよう構成されており、接地電極
63は、電源装置11の負極と同電位のグランドに接地
されている。
【0039】次に、信号変換回路71について説明す
る。信号変換回路71は、信号受信回路73、オフセッ
ト回路75、三角波回路77および加算回路79を備え
て構成されている。まず、信号受信回路73は、NPN
形パワートランジスタからなる第1トランジスタ74を
備えて構成されており、第1トランジスタ74は、ベー
スが第1抵抗素子81を介してECU19の点火指令信
号20の出力端子に接続され、コレクタが第2抵抗素子
82を介して電源ライン80に接続され、エミッタが電
源装置11の負極と同電位のグランドに接地され、ベー
スとエミッタとが第3抵抗素子83を介して接続されて
いる。なお、電源ライン80は、定電圧(例えば、5
[V])を供給するための電圧供給用線路として構成さ
れている。
【0040】そして、信号受信回路73は、オフセット
回路75および三角波回路77に対して、点火指令信号
20がローレベルの場合に電源ライン80の電位と略等
しいハイレベル信号を出力し、点火指令信号20がハイ
レベルの場合にグランド電位と略等しいローレベル信号
を出力する。なお、点火指令信号20は、方形形状波形
である。
【0041】また、オフセット回路75は、第1演算増
幅器84を備えており、第1演算増幅器84は、反転入
力端子(−)が第1トランジスタ74のコレクタに接続
され、非反転入力端子(+)が第4抵抗素子85と第5
抵抗素子86との接続点に接続され、出力端子が第6抵
抗素子87および第7抵抗素子88との接続点に接続さ
れると共に加算回路79に接続されている。なお、直列
接続された第4抵抗素子85および第5抵抗素子86
は、電源ライン80とグランドとを接続する形態で備え
られており、また、直列接続された第6抵抗素子87お
よび第7抵抗素子88は、電源ライン80とグランドと
を接続する形態で備えられている。
【0042】そして、オフセット回路75は、信号受信
回路73から入力される信号がハイレベルの場合(換言
すれば、点火指令信号20がローレベルの場合)にはグ
ランド電位と略同電位のローレベルのオフセット信号7
6を出力し、信号受信回路73から入力される信号がロ
ーレベルの場合(換言すれば、点火指令信号20がハイ
レベルの場合)にはイグナイタ17の駆動電位よりも僅
かに低い電位のハイレベルのオフセット信号76を出力
する。なお、オフセット信号76は、方形形状波形であ
る。
【0043】また、三角波回路77は、第2演算増幅器
89を備えており、第2演算増幅器89は、反転入力端
子(−)が第10抵抗素子93を介して第1トランジス
タ74のコレクタに接続され、非反転入力端子(+)が
第8抵抗素子91と第9抵抗素子92との接続点に接続
され、出力端子が加算回路79に接続されている。な
お、直列接続された第8抵抗素子91および第9抵抗素
子92は電源ライン80とグランドとを接続する形態で
備えられており、また、第2演算増幅器89の反転入力
端子(−)と出力端子とがコンデンサ90を介して接続
されている。さらに、三角波回路77は、アノードが反
転入力端子(−)に接続され、カソードが第1トランジ
スタ74のコレクタに接続されて、第10抵抗素子93
に並列接続されたダイオード94を備えている。
【0044】そして、三角波回路77は、信号受信回路
73から入力される信号がハイレベルの場合(換言すれ
ば、点火指令信号20がローレベルの場合)にはグラン
ド電位と略同電位のローレベルの三角波信号78を出力
し、信号受信回路73から入力される信号がハイレベル
からローレベルになると(換言すれば、点火指令信号2
0がローレベルからハイレベルになると)時間経過と共
に電圧レベルが上昇する三角波信号78を出力する。な
お、三角波信号78は、時間経過と共に電圧レベルが上
昇する三角形状波形である。
【0045】また、加算回路79は、第3演算増幅器9
5を備えており、第3演算増幅器95は、非反転入力端
子(+)が第11抵抗素子96を介して第1演算増幅器
84の出力端子に接続されると共に第12抵抗素子97
を介して第2演算増幅器89の出力端子に接続されてお
り、反転入力端子(−)が第13抵抗素子98を介して
グランドに接続され、出力端子がイグナイタ17のゲー
トに接続されている。さらに、第3演算増幅器95の反
転入力端子(−)と出力端子とが第14抵抗素子99を
介して接続されている。
【0046】そして、加算回路79は、オフセット回路
75からのオフセット信号76と三角波回路77からの
三角波信号78とを加算した信号を変換後点火指令信号
72として出力する。なお、第3演算増幅器95は、図
示しない電力供給装置からの電力供給により動作してお
り、変換後点火指令信号として出力可能な最大電圧レベ
ルは、電力供給装置からの供給電圧となる。このため、
オフセット信号76と三角波信号78とを加算した信号
の電圧レベルが、電力供給装置からの供給電圧よりも大
きくなる場合であっても、第3演算増幅器95は、電力
供給装置からの供給電圧に等しい電圧レベルの変換後点
火指令信号72を出力することになる。
【0047】これらのことから、信号変換回路71は、
ECU19からの点火指令信号20がローレベルの場合
にはローレベルの変換後点火指令信号72を出力し、点
火指令信号20がローレベルからハイレベルになると変
換後点火指令信号72の電圧レベルをイグナイタ17の
駆動電位よりも僅かに低い電位まで上昇させた後、時間
経過に伴い変換後点火指令信号72の電圧レベルを上昇
させる。そして、変換後点火指令信号72の電圧レベル
は、電力供給装置の供給電圧である制限電圧値に略等し
い電圧値となるまで上昇する。このあと、点火指令信号
20がハイレベルからローレベルになると、信号変換回
路71は、ローレベルの変換後点火指令信号72を再び
出力する。
【0048】つまり、信号変換回路71は、方形形状波
形の点火指令信号20を略台形形状波形の変換後点火指
令信号72に変換し、変換後点火指令信号72をイグナ
イタ17に対して出力する。そして、略台形形状波形の
変換後点火指令信号72が入力されたイグナイタ17
は、オン状態となり一次巻線33への通電を開始し、一
次巻線33に流れる一次電流21を緩やかに上昇させて
いく。このように一次電流21が緩やかに上昇すること
で、点火コイル15における単位時間あたりの磁束密度
の変化率は小さくなり、一次電流21の通電により二次
巻線34に発生する誘導電圧の電圧値は低い値となる。
【0049】ここで、一次電流21の通電開始時におけ
る内燃機関用点火装置1の各部(イグナイタ17の駆動
指令信号、一次巻線33に流れる一次電流21、および
二次巻線34の両端に発生する二次電圧)の状態を表す
説明図を図2に示す。なお、図2では、イグナイタ17
の駆動指令信号として略台形形状波形の信号(変換後点
火指令信号72)を入力する本実施例の内燃機関用点火
装置1における各部の状態を図中右側に、イグナイタ1
7への入力信号として方形形状波形の信号を入力した従
来の内燃機関用点火装置における各部の状態を図中左側
に、それぞれ表している。なお、従来の内燃機関用点火
装置には、逆流防止用ダイオードは設けられていない。
【0050】そして、図2に点線の円で囲んで示すよう
に、本実施例の内燃機関用点火装置1の一次電流21は
通電開始時から所定期間経過するまでの電流値の立ち上
がりが緩やかであり、従来の内燃機関用点火装置1の一
次電流21は通電開始時から所定期間経過するまでの電
流値の立ち上がりが急峻であることが判る。つまり、本
実施例の内燃機関用点火装置1は、従来の内燃機関用点
火装置1に比べて、単位時間あたりの一次電流21の増
加率が小さくなっており、一次電流21の通電時に二次
巻線34の両端に発生する二次電圧を矢印で示す電位差
だけ低減させることができる。このため、本実施例の内
燃機関用点火装置においては、一次電流21の通電時に
二次巻線34に発生する二次電圧によって点火プラグ1
3に火花放電が発生することがない。
【0051】次に、図1を用いて、イオン電流検出回路
41について説明する。イオン電流検出回路41は、電
圧印加用コンデンサ45、検出抵抗47、保護用ツェナ
ーダイオード51、出力電圧制限用ツェナーダイオード
53、判別回路55を備えている。
【0052】まず、電圧印加用コンデンサ45は、一端
が二次巻線34の低圧側端部36に接続されており、他
端が検出抵抗47を介して電源装置11の負極と同電位
のグランドに接続されている。つまり、電圧印加用コン
デンサ45および検出抵抗47は、互いに直列接続され
て、二次巻線34の低圧側端部36とグランドとの間に
配置されている。
【0053】次に、保護用ツェナーダイオード51は、
アノードが電圧印加用コンデンサ45と検出抵抗47と
の接続点に接続され、カソードが電圧印加用コンデンサ
45と二次巻線34の低圧側端部36との接続点に接続
されている。そして、保護用ツェナーダイオード51
は、電圧印加用コンデンサ45が過充電となるのを防止
すると共に、電圧印加用コンデンサ45をイオン電流が
発生可能な一定電圧値に充電するために設けられてい
る。
【0054】また、出力電圧制限用ツェナーダイオード
53は、アノードが電圧印加用コンデンサ45と検出抵
抗47との接続点に接続され、カソードが電源装置11
の負極と同電位のグランドに接続されている。そして、
出力電圧制限用ツェナーダイオード53は、判別回路5
5に最大許容入力電圧値を越える過大な電圧の信号が入
力されるのを防止することで、判別回路55の破損を防
止している。
【0055】なお、検出抵抗47は、イオン電流発生時
の両端電圧が過度に小さくならないよう、判別回路55
への入力信号として適した電圧範囲内となるように抵抗
値が設定されている。また、判別回路55は、検出端子
56が電圧印加用コンデンサ45と検出抵抗47との接
続点に接続され、基準端子57が電源装置11の負極と
同電位のグランドに接続され、出力端子58がECU1
9におけるイオン電流検出結果信号24の入力端子に接
続されている。そして、判別回路55は、検出抵抗47
の両端電圧(実際には、検出抵抗47と電圧印加用コン
デンサ45との接続点の電位)に基づき、点火プラグ1
3の電極間(中心電極61と接地電極63との間)に発
生するイオン電流42を検出し、検出したイオン電流4
2に応じて変動するイオン電流検出結果信号24を出力
するよう構成されている。
【0056】なお、イオン電流発生時は、検出抵抗47
と点火プラグ13とがイオン電流42の通電経路におい
て直列接続されることから、検出抵抗47の両端電圧
は、イオン電流42の電流値に比例した値を示す。ま
た、判別回路55は、出力するイオン電流検出結果信号
24の変動範囲が、ECU19に入力可能な範囲を逸脱
しないように構成されている。
【0057】つまり、イオン電流検出回路41は、点火
プラグ13での火花放電発生時に、点火コイル15の二
次巻線34および点火プラグ13に流れる放電電流22
(二次電流22)により電圧印加用コンデンサ45を充
電し、火花放電終了後に電圧印加用コンデンサ45の放
電により二次巻線34を介して点火プラグ13の電極間
に電圧を印加することで、イオン電流42を発生させる
よう構成されている。そして、判別回路55が、検出抵
抗47の両端電圧に基づきイオン電流42を検出し、検
出したイオン電流42に応じて変動するイオン電流検出
結果信号24を出力する。
【0058】次に、内燃機関用点火装置1のECU19
において実行される点火制御処理について、図3に示す
フローチャートを用いて説明する。なお、ECU19
は、内燃機関の火花放電発生時期(点火時期)、燃料噴
射量、アイドル回転数(アイドル回転速度)等を総合的
に制御するためのものであり、以下に説明する点火制御
処理のほかに、別途、内燃機関の吸入空気量(吸気管圧
力),回転速度(エンジン回転数)、スロットル開度、
冷却水温、吸気温等、機関各部の運転状態を検出する運
転状態検出処理等を実行している。
【0059】また、図3に示す点火制御処理は、例え
ば、内燃機関の回転角度(クランク角)を検出するクラ
ンク角センサからのクランク角検出信号に基づき、内燃
機関が、吸気,圧縮,燃焼,排気を行う1燃焼サイクル
に1回の割合で実行される。さらに、点火制御処理は、
イオン電流検出により燃焼状態を判定するための処理も
併せて実行している。
【0060】そして、内燃機関が始動されて点火制御処
理が開始されると、まずS310(Sはステップを表
す)にて、別途実行される運転状態検出処理にて検出さ
れた内燃機関の運転状態を読込み、S320にて、その
読み込んだ運転状態に基づき、火花放電発生時期ts
(いわゆる点火時期)および火花放電持続時間Ttを設
定する。
【0061】なお、S310での処理では、内燃機関の
エンジン回転速度と、スロットル開度や吸気管負圧(吸
入空気量)等を用いて算出されるエンジン負荷とを含む
情報を運転状態として読み込む処理を行う。そして、S
320での処理では、火花放電発生時期tsは、エンジ
ン回転速度とエンジン負荷とをパラメータとするマッ
プ、テーブル若しくは計算式を用いて制御基準値を求
め、これを冷却水温,吸気温等に基づき補正する、とい
った従来から知られている手順で設定される。また、火
花放電持続時間Ttは、火花放電発生時期tsから火花
放電が自然終了するまでの時間と同等となるように、エ
ンジン回転速度とエンジン負荷を含む運転状態に基づい
て、予め用意されたマップ、テーブル若しくは計算式を
用いて設定される。
【0062】次に、S330では、S320にて設定し
た火花放電発生時期tsに基づき、火花放電発生時期t
sに対して、予め設定された一次巻線通電時間だけ早い
一次巻線33の通電開始時期を求め、通電開始時期に達
した時点で、点火指令信号20をローレベルからハイレ
ベルに変化させる。
【0063】なお、S330の処理により、点火指令信
号20がローレベルからハイレベルに切り換わると、信
号変換回路71から略台形形状波形の変換後点火指令信
号72がイグナイタ17に対して出力される。すると、
イグナイタ17がオン状態となり、点火コイル15の一
次巻線33に一次電流21が流れ始め、一次電流21は
一次巻線33への通電開始時から所定期間にわたり緩や
かに電流値が上昇する(図2参照)。そして、火花放電
発生時期tsまでの一次巻線通電時間は、一次巻線33
への通電によって点火コイル15に蓄積されるエネルギ
が、内燃機関のあらゆる運転条件下で混合気を燃焼させ
ることができる最大の火花エネルギとなるように、予め
設定されている。
【0064】そして、続くS340では、クランク角セ
ンサからのクランク角検出信号に基づき、S320で設
定した火花放電発生時期tsに達したか否かを判断し、
否定判定された場合には、同ステップを繰り返し実行す
ることで、火花放電発生時期tsになるまで待機する。
そして、S340にて、火花放電発生時期tsに達した
と判断されると、S350に移行する。
【0065】すると、S350では、点火指令信号20
をハイレベルからローレベルに反転させる処理を行い、
これにより、信号変換回路71は、イグナイタ17に対
して出力する変換後点火指令信号72をローレベルに切
り換える。この結果、イグナイタ17がターンオフして
一次電流21が遮断され、点火コイル15の磁束密度が
急激に変化して二次巻線34に点火用高電圧が発生し、
点火プラグ13の電極61−63間に火花放電が発生す
る。
【0066】なお、点火指令信号20がハイレベルから
ローレベルに反転する時刻においては、二次巻線34の
両端に約40[kV]の点火用高電圧が発生するため、
点火プラグ13の電極間電圧が大きな電圧値となると共
に、放電電流としての二次電流22が流れ始める。
【0067】次のS360では、S340で肯定判定さ
れた時点を起点として、S320で設定した火花放電持
続時間Ttが経過したか否かを判断しており、否定判定
された場合には、同ステップを繰り返し実行すること
で、火花放電持続時間Ttが経過するまで待機する。そ
して、S360にて、火花放電持続時間Ttに達したと
判断されると、S370に移行する。
【0068】なお、S360で肯定判定される時期は、
火花放電が自然終了する時期とほぼ同時期である。そし
て、火花放電が自然終了したあとは、イオン電流検出回
路41が点火プラグ13の電極間にイオン電流発生用電
圧を印加することになり、このとき燃焼室内にイオンが
存在する場合には、そのイオンを通じて電荷が移動して
点火プラグ13の電極間にイオン電流42が流れる。ま
た、燃焼室内にイオンが存在しない場合には、イオンを
介した電荷の移動が発生しないため、点火プラグ13の
電極間に電流が流れない。
【0069】そして、S370では、イオン電流検出回
路41からのイオン電流検出結果信号24に基づいてイ
オン電流の有無を判断して、燃焼状態を判定する処理を
行う。なお、S370では、イオン電流が発生した場合
には正常燃焼であると判断し、イオン電流が発生しない
場合には失火と判断する。
【0070】そして、S370における処理が終了する
と、点火制御処理が終了する。なお、上記実施例では、
イグナイタ17が特許請求の範囲に記載の点火用スイッ
チング手段に相当し、信号変換回路71が一次電流制限
手段に相当し、変換後点火指令信号72が駆動指令信号
に相当する。
【0071】以上説明したように、本実施例の内燃機関
用点火装置1においては、イグナイタ17が、ゲートに
入力される変換後点火指令信号に応じて一次電流21の
電流値を制御可能に構成されており、信号変換回路71
が、ECU19から出力される点火指令信号20を変換
した変換後点火指令信号72を出力して、イグナイタ1
7に入力する変換後点火指令信号72を制御することに
より、一次巻線33への通電開始時以降の一次電流21
の増加率を制限している。
【0072】つまり、内燃機関用点火装置1は、略台形
形状波形の変換後点火指令信号72によりイグナイタ1
7を駆動制御することで、一次巻線33に流れる一次電
流21の単位時間あたりの変化率を小さい値に制限して
いる。このため、一次巻線33への通電により二次巻線
34の両端に発生する逆極性の誘導電圧は、点火プラグ
13に火花放電を発生可能な電圧値にはならない。
【0073】これにより、内燃機関用点火装置1は、本
来の点火時期とは異なる時期(すなわち、一次電流の通
電時期)に、内燃機関にて誤点火が発生するのを防ぐこ
とができる。よって、内燃機関用点火装置1は、逆流防
止用ダイオードを備える必要が無くなる。
【0074】また、内燃機関用点火装置1は、図2に示
す一次電流の波形から判るように、一次電流の通電期間
のうち、特に、一次巻線33への通電開始時期を含む前
半側の所定期間において、一次電流21の増加率が時間
経過に伴い増加するように、一次電流21を制御してい
る。
【0075】このように一次電流21を制御すること
で、一次電流21の増加率は一次電流21の通電開始時
に最も小さい値を取ることになり、一次電流21の通電
開始時における点火コイル15の磁束密度の変化割合を
小さく値に抑制することができる。これにより、誤点火
が発生し易い一次電流21の通電開始時において、二次
巻線34に発生する逆極性の誘導電圧が高電圧となるの
を防止でき、誤点火の発生をより確実に防止することが
できる。
【0076】また、本実施例の内燃機関用点火装置1に
よれば、逆流防止用ダイオードを設ける必要がないこと
から、高耐圧の高価なダイオードを設けることに伴うコ
ストの上昇を防ぐことができ、また、逆流防止用ダイオ
ードの設置用スペースを設ける必要が無くなることで、
内燃機関用点火装置の占める体積の拡大を防ぐことがで
きる。
【0077】さらに、逆流防止用ダイオードを設ける必
要がないため、点火用高電圧により発生する放電電流の
電流方向とは反対方向に流れる電流を、二次巻線34と
点火プラグ13とを含む通電経路に流すことができる。
このため、一次巻線への通電時の火花放電の発生を防止
しつつ、イオン電流を検出することが可能となることか
ら、本来の点火時期とは異なる時期の誤点火を防止でき
ると共に、放電電流を充電してイオン電流検出用電源と
するイオン電流法を用いて燃焼状態検出を行うことが可
能となる。
【0078】以上、本発明の実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種
々の態様を採ることができる。例えば、イグナイタ17
はIGBTを用いて構成する場合に限ることはなく、バ
イポーラトランジスタを用いて構成しても良い。この場
合には、バイポーラトランジスタのベース電流の電流値
を制御可能な一次電流制限手段としての回路を、当業者
が有するアナログ技術に基づいて通常の電子部品を用い
て形成し、その一次電流制限手段がベース電流の電流値
を制御目標となる一次電流値に応じた電流値に制御する
ことで、一次電流の増加率を制御することが可能とな
る。
【0079】また、変換後点火指令信号72としての略
台形形状波形の信号は、信号変換回路71を用いて生成
する場合に限ることはなく、例えば、ECU19が内部
処理により略台形形状波形の点火指令信号20を出力
し、電圧変換回路がその点火指令信号20をイグナイタ
17への入力に適した電圧レベルに変換することで、略
台形形状波形の変換後点火指令信号を生成しても良い。
【0080】さらに、一次電流の増加率が一次巻線33
への通電開始時から時間経過に伴い増加するように一次
電流を制御するための所定期間は、一次電流の通電期間
(すなわち、点火指令信号20がハイレベルとなる期
間)のうち前側半分(50%)に限ることはなく、二次
巻線に発生する誘導電圧の抑制に必要な期間(内燃機関
の運転状態に悪影響が及ばないように誤点火の防止が必
要な期間)におうじて適宜設定すると良い。
【0081】また、図6に示すように、一次電流のピー
ク値を一定値以下に制限するための電流制限回路110
を設けて、第2内燃機関用点火装置105を構成しても
良い。なお、図6に示す第2内燃機関用点火装置105
は、電流制限回路110以外の各構成要素については、
図1に示す内燃機関用点火装置1と同様である。
【0082】そして、電流制限回路110は、点火コイ
ル15の一次巻線33に通電されたときの一次電流21
のピーク値をピーク制限値以下に制限し、これにより点
火コイル15の過熱を抑える働きをするものである。つ
まり、電流制限回路110は、図6に示すように、点火
コイル15の一次巻線33を流れる一次電流21を、イ
グナイタ17のエミッタとグランド間に設けられた一次
電流検出抵抗111により電圧に変換して検出し、この
検出された電圧を、分圧回路を構成する第1抵抗器11
2と第2抵抗器113により分圧してNPNトランジス
タ115のベースに供給するように構成されている。し
たがって、一次電流検出抵抗111に流れる電流がピー
ク制限値以上になるとNPNトランジスタ115がON
状態(通電状態)となり、信号変換回路71の出力端子
に接続される第3抵抗器114の電圧降下が大きくなる
ので、イグナイタ17のゲート電圧が低下され、この結
果、一次電流21のピーク値がピーク制限値以下に制限
されることになる。
【0083】このように、電流制限回路110を設け
て、一次電流のピーク値をピーク制限値以下に制限する
ことで、通電に伴う点火コイルの発熱量が過度に増大す
るのを防ぐことができ、過熱による点火コイルの破損を
防止できるため、内燃機関用点火装置の耐久性を向上さ
せることができる。
【0084】また、電流制限回路110を備えること
で、通電時間を長く設定しても一次電流のピーク値が略
一定値となり、点火コイルに蓄積する磁束エネルギ量を
略一定とすることができる。つまり、一次電流の遮断時
に二次巻線に発生する点火用高電圧の電圧値をほぼ一定
値に設定することができ、点火用高電圧の電圧値が不足
し点火プラグにて火花放電が発生不可能となるのを防ぐ
ことができる。これにより、あらゆる内燃機関の運転状
態下において、点火プラグでの火花放電を確実に発生さ
せて、混合気への着火性を向上させることができ、安定
した燃焼状態を実現することができる。
【0085】なお、図6に示す第2内燃機関用点火装置
105における電流制限回路110が、特許請求の範囲
に記載のピーク値制限手段に相当するものであるが、ピ
ーク値制限手段は、上記の電流制限回路110に限定さ
れることなく、他の態様を採りうることはいうまでもな
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 イオン電流検出機能を備えた本実施例の内燃
機関用点火装置の構成を表す電気回路図である。
【図2】 一次電流の通電開始時における内燃機関用点
火装置の各部の状態を表す説明図である。
【図3】 電子制御装置(ECU)において実行される
点火制御処理の処理内容を表すフローチャートである。
【図4】 従来の内燃機関用点火装置の構成を表す電気
回路図である。
【図5】 イオン電流検出装置を備えた第2従来内燃機
関用点火装置の構成を表す電気回路図である。
【図6】 電流制限回路を備えた第2内燃機関用点火装
置の構成を表す電気回路図である。
【符号の説明】
1…内燃機関用点火装置、11…電源装置(バッテ
リ)、13…点火プラグ、15…点火コイル、17…イ
グナイタ、19…電子制御装置(ECU)、33…一次
巻線、34…二次巻線、35…高圧側端部、36…低圧
側端部、41…イオン電流検出回路、45…電圧印加用
コンデンサ、47…検出抵抗、51…保護用ツェナーダ
イオード、53…出力電圧制限用ツェナーダイオード、
55…判別回路、61…中心電極、63…接地電極(外
側電極)、71…信号変換回路、110…電流制限回
路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G019 AB01 BA01 CA02 DB07 EA17 GA00 GA01 GA05 GA09 GA11 GA13 LA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次巻線および二次巻線を有し、前記一
    次巻線に流れる一次電流を遮断することで前記二次巻線
    に点火用高電圧を発生する点火コイルと、 該点火コイルの前記一次巻線に流れる前記一次電流の通
    電・遮断を行う点火用スイッチング手段と、 前記二次巻線に接続されて、前記点火用高電圧の印加に
    より火花放電を発生する点火プラグと、 を備えた内燃機関用点火装置であって、 前記一次巻線への通電に伴って前記二次巻線に発生する
    前記点火用高電圧とは逆極性の誘導電圧により、前記点
    火プラグが点火時期とは異なる時期に火花放電を発生し
    て内燃機関に誤点火が生じないように、前記一次巻線へ
    の通電開始時から所定期間にわたり前記一次電流の増加
    率を制限する一次電流制限手段を備えたこと、 を特徴とする内燃機関用点火装置。
  2. 【請求項2】 前記一次電流制限手段は、 前記一次電流の増加率が時間経過に伴い増加するよう
    に、前記一次電流を制御すること、 を特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
  3. 【請求項3】 前記点火用スイッチング手段は、外部か
    ら入力される駆動指令信号に応じて前記一次電流の電流
    値を制御可能に構成され、 前記一次電流制限手段は、前記点火用スイッチング手段
    に入力する前記駆動指令信号を制御することにより、前
    記一次電流の増加率を制限すること、 を特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関
    用点火装置。
  4. 【請求項4】 前記一次巻線に流れる前記一次電流のピ
    ーク値を、前記一次巻線の許容最大電流値以下の範囲内
    で設定されたピーク制限値以下に制限するピーク値制限
    手段を備えたこと、 を特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の
    内燃機関用点火装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006283600A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Diamond Electric Mfg Co Ltd 内燃機関用イオン電流検出装置
US8836042B2 (en) 2008-08-11 2014-09-16 Fuji Electric Co., Ltd. Semiconductor device comprising an IGBT and a constant voltage circuit having switches and normally-on type MOSFETs connected in parallel

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