JP2003156036A - 動圧流体軸受装置 - Google Patents

動圧流体軸受装置

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JP2003156036A
JP2003156036A JP2001354479A JP2001354479A JP2003156036A JP 2003156036 A JP2003156036 A JP 2003156036A JP 2001354479 A JP2001354479 A JP 2001354479A JP 2001354479 A JP2001354479 A JP 2001354479A JP 2003156036 A JP2003156036 A JP 2003156036A
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radial
shaft
thrust
air vent
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Harushige Osawa
晴繁 大澤
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Nidec Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】下方のスラスト間隙に発生した気泡が速やかに
排出される動圧流体軸受装置を提供する。 【解決手段】軸3内部を貫通しスラスト板32より上方
に第一出入り口33a、下方に第二出入り口33bが位
置する空気抜き孔33が形成された静止部材と、スラス
ト板32の外周面に第一ラジアル間隙、上面にスラスト
間隙及び軸の外周面に第二ラジアル間隙を各々介して対
向する面を有する回転部材とを備え、スラスト軸受動圧
発生溝及びラジアル軸受動圧発生溝が形成されている軸
受装置において、第二ラジアル間隙34が、ラジアル軸
受動圧発生溝が形成された面及びこれに対向する面によ
って囲まれた微小間隙34cと、第一出入り口周辺の空
気抜き間隙34aとからなり、空気抜き間隙34aの径
方向間隔が、第一出入り口33aの位相において最も広
く形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、動圧流体軸受装
置に属し、特にコンピュータのハードディスクなどの記
録媒体回転駆動用スピンドルモータの軸受に好適に利用
されうる。
【0002】
【従来の技術】ロータと軸の関係のように、回転部材を
静止部材に対して回転自在に支持するための軸受手段と
して、所謂動圧流体軸受装置がある。これは、軸の上下
に一対のスラスト板を配置し、これら両スラスト板間に
おける軸外周面及び両スラスト板の軸方向内面に各々ラ
ジアル間隙及びスラスト間隙を介してロータの内面を対
向させ、この間隙に潤滑油を充填し、間隙を形成する面
の所定箇所に回転時の潤滑油中に動圧を発生させるため
の動圧発生溝を形成したものである。
【0003】このような軸受装置において、潤滑油中の
気泡は潤滑油の漏出の原因となることから、気泡が大き
く成長する前に大気に排出する必要がある。そこで、上
記のラジアル間隙の軸方向中央部に潤滑油で満たされな
い気体介在部と称する空気抜き間隙を設けることにより
ラジアル軸受部を上下に分離するとともに、この空気抜
き間隙を外気に連通させる連通孔を軸に形成した構成が
提案されている(特開2000−354349)。この
構成では、気体介在部の上下いずれに保持されている潤
滑油も一方の気液界面から他方の気液界面に至るまで動
圧が極大となるのは1点のみで極小となる点は存在せ
ず、このため気泡が自動的に圧力が最小となる大気に排
出される。こうして動圧流体軸受装置は、回転時には動
圧効果によりロータを軸に非接触に保持できるし、潤滑
油中の気泡は上記構成によって排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、非回転時には
動圧効果は生じないので、外部から衝撃が加わった場
合、ロータが上記間隙の範囲で自由に動いてしまう。通
常、軸外周面が面するラジアル間隙は数μmと狭いが、
スラスト板上面(又は下面)が面するスラスト間隙は数
十μmと広い。このため、衝撃に伴ってスラスト方向に
ロータが急に移動した場合、上下のスラスト軸受部のう
ち間隙が広がる箇所ではスクイズ効果により圧力が低下
して気泡が発生する。
【0005】即ち、スラスト方向に振動すると、潤滑油
の流れ抵抗が最も大きい内径側で且つ最も間隙の狭い丘
(溝のない部分)の動圧変化ΔPが大きくなる。そし
て、スラスト間隙が拡がったとき振動前の静圧P0より
変動圧PがΔPだけ減少し(P=P0−ΔP)、Pがあ
る値以下になると油に溶け込んでいた空気が気化して小
さな気泡となる。この気泡は、スラスト間隙が狭まった
ときの変動圧Pの増加により(P=P0+ΔP)、圧力
の低い溝に押しやられ、そこで集積してトータルの表面
積が小さく且つエネルギーが小さい安定した状態に向か
う。その結果、気泡は大きく成長し、場合によってはリ
ング状になって軸受部の主要部分を占拠し、油を外部に
放出する。また、気泡が軸受部に残ったまま回転させる
と、正常な潤滑機能を生じないために焼き付き現象など
の重大な損傷をもたらす。それ故、この発明の課題は、
潤滑油中の気泡が速やかに排出される動圧流体軸受装置
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】その課題を解決するため
に、この発明の動圧流体軸受装置は、軸及び軸の下方に
径方向に張り出すように固着された円盤状のスラスト板
を有し、軸内部を貫通しスラスト板より上方に軸外周面
に通じる第一の出入り口、下方に外部に通じる第二の出
入り口が位置する空気抜き孔が形成された静止部材と、
前記スラスト板の外周面に第一のラジアル間隙を介して
対向する円筒状内面、スラスト板の上面にスラスト間隙
を介して対向するスラスト内面及び軸の外周面に第二の
ラジアル間隙を介して対向するラジアル内周面を有する
回転部材と、前記3つの間隙に保持された潤滑油とを備
え、前記スラスト板の上面及び前記スラスト内面の少な
くとも一方には回転時にスラスト間隙と第二ラジアル間
隙の境界に向かって潤滑油を送るスラスト軸受動圧発生
溝が形成され、前記軸の外周面及び前記ラジアル内周面
の少なくとも一方の、前記第一出入り口より低い位置に
は回転時にスラスト間隙と第二ラジアル間隙の境界に向
かって潤滑油を送るラジアル軸受動圧発生溝が形成され
ている動圧流体軸受装置において、前記第二ラジアル間
隙が、前記ラジアル軸受動圧発生溝が形成された面及び
これに対向する面によって囲まれ前記潤滑油で満たされ
た円筒状の微小間隙と、前記第一出入り口周辺を含む軸
外周面及びこれに対向するラジアル内周面によって囲ま
れ第一出入り口より低い位置に前記潤滑油と空気との気
液界面を有する円筒状の空気抜き間隙とからなり、この
空気抜き間隙の径方向間隔が、第一出入り口の形成され
た位相において最も広く形成されていることを特徴とす
る。
【0007】軸の上下に一対のスラスト板が固着されて
上下にスラスト軸受部を有し、それらの間にラジアル軸
受部を有する軸受装置においては、ラジアル軸受部の下
方に下側スラスト軸受部が位置する。このような位置関
係にある場合、下側スラスト軸受部を構成する下側スラ
スト板の上面とこれに対向する回転部材のスラスト内面
とは静止時には重力を受けて接触しているため、そのス
ラスト間隙に保持されるべき潤滑油の一部が下側スラス
ト板外周の第一ラジアル間隙に移動し、そこに気液界面
が形成される。この気液界面は重力方向下側に気相、上
側に液相が位置する。従って、この状態で前述のように
振動を受けて発生した気泡をスラスト板外周の上記気液
界面から外気に放出するべく浮力に逆らって誘導するこ
とは困難である。
【0008】そこで、この発明では、気泡を浮力に任せ
て下側スラスト間隙の上方の第二ラジアル間隙に移動さ
せ、第一出入り口より空気抜き孔を通じて外部に放出す
る。このとき潤滑油は表面張力によって間隙の狭い側に
集まり、他方、液中の気泡は合体して成長しながら液体
と反対に間隙の広い側に移動しようとする。従って、こ
の発明の構成によれば、潤滑油は第二ラジアル間隙にお
いて微小間隙に集まり、気泡は浮力の作用に表面張力の
作用が加わって微小間隙よりも広い空気抜き間隙に最小
の抵抗で移動し、更に最も広い第一出入り口付近に速や
かに移動し、空気抜き孔に入る。その結果、潤滑油が空
気抜き孔から外部に噴出することは滅多に無い。
【0009】尚、上側のスラスト軸受部に発生した気泡
は、上側スラスト板外周のラジアル間隙に形成される気
液界面が重力方向上側に気相、下側に液相となることか
ら、通常、浮力に任せるだけで外気に抜けていく。従っ
て、便宜上この発明の作用を上下にスラスト軸受部を有
する構造に基づいて説明したが、この発明の特徴が適用
されるのは、ラジアル軸受部の下方に下側スラスト軸受
部が位置する軸受装置全般である。
【0010】空気抜き間隙の前記径方向間隔を第一出入
り口の形成された位相において最も広く形成する手段と
しては、前記軸の空気抜き間隙に対応する部分を前記回
転部材に対して偏芯させるものがある。この態様によ
り、軸の肉厚を変えることなく間隙の径方向間隔を部分
的に広く形成することができる。従って、軸の機械的強
度をほぼ均一にすることができる。
【0011】空気抜き間隙の前記径方向間隔を第一出入
り口の形成された位相において最も広く形成する別の手
段としては、前記軸の空気抜き間隙に対応する部分を第
一出入り口を通る直径線に直交する平面に沿って平割り
された形状としたものがある。この態様により、間隙の
径方向間隔が部分的に広い軸を容易に製造することがで
きる。
【0012】更に別の手段として、空気抜き間隙の前記
径方向間隔を、第一出入り口の縁を起点とし、周方向に
一周かけて漸増させると好ましい。第一出入り口の位相
の両側にサイズの均衡する2つの気泡が存在している場
合、空気抜き間隙の径方向間隔が一様な構成では、それ
らの気泡に挟まれた潤滑油が排除されない限り、どちら
の気泡も第一出入り口に到達できず、潤滑油ごと第一出
入り口に入る可能性がある。そこで、径方向間隔を周方
向に一周かけて漸増させることにより、気泡の移動経路
を一方通行とし、気泡の動きの渋滞を防止することがで
きる。
【0013】また、径方向間隙を第一出入り口付近にお
いて最も広く形成する以上の構成において、好ましい構
成は、前記空気抜き間隙を形成するラジアル内周面の1
又は2以上の箇所に、気液界面を跨ぐ軸方向の溝を設
け、その溝の下端面を前記微小間隙に近づくにつれて浅
くなるように傾斜させたものである。前述の通り、潤滑
油中の気泡は広い空間に向かって移動しようとする。こ
のときに気泡に連れられてきた潤滑油は、空気抜き孔に
流入することのないように、できるだけ早く微小間隙に
戻るのが望ましい。そこで、周方向の要所に軸方向の溝
を設け、そこで気泡を破裂させるとともに、気泡に連れ
られて上昇した潤滑油をその溝の傾斜した下端面に流れ
させて微小間隙に戻すことにより、溝に潤滑油が溜まら
ないようにしたのである。
【0014】潤滑油が空気抜き孔に流入することを防止
する別の手段として、前記空気抜き孔を、第一出入り口
側の軸の肉厚が厚くなるように軸の外径中心に対して偏
芯位置に形成することが挙げられる。この構成により、
第一出入り口から空気抜き孔の中心までの径方向経路を
長く確保することができ、潤滑油の流入に対して大きな
抵抗力を付与することができるからである。
【0015】潤滑油が空気抜き孔に流入することを防止
する更に別の手段として、前記空気抜き間隙に面する軸
外周面に撥油剤を塗布すること、又は前記軸の空気抜き
間隙に対応する部分を撥油性材料からなるチューブで覆
うことが挙げられる。この構成により、空気抜き間隙に
面する軸外周面の油に対する接触角が大きくなり、その
面側に気相、それと反対の面側に潤滑油が寄るようにな
る。
【0016】
【発明の実施の形態】−実施形態1− この発明の動圧流体軸受装置の第一実施形態について、
記録ディスク駆動用スピンドルモータに適用した場合を
例にとって、図1〜図3を参照して説明する。図1は記
録ディスク駆動用スピンドルモータ(以下、「モータ」
という)の要部を示す軸方向断面図、図2は図1のA部
拡大図、図3は径方向一部断面図である。
【0017】モータ1は、図1に示すように、貫通孔が
形成されたブラケット2と、ブラケット2の貫通孔に一
方の端部が締まり嵌合することにより固定された軸3
と、軸3の回りに回転するロータ4と、後述所定の軸受
部に充填された潤滑油10とを備える。
【0018】ロータ4は、軸3と後述所定のラジアル間
隙を介して緩み嵌合するスリーブ5、スリーブ5の上半
部外周に固着されたハブ6及びスリーブ5の上端に固着
されたカバー7からなる。スリーブ5の上半部は径方向
外側に張り出しており、ハブ6はそこから下方にブラケ
ット2の付近まで垂れ下がってスリーブ5の下半部外周
との間でステータ8収納空間を形成し、続いて径方向外
側に張り出している。ハブ6の外周及び張り出し部分に
は記録ディスク(図示省略)が載せられ、内周面にはマ
グネット9が固着されている。ステータ8はマグネット
9と対向してブラケット2に固着されている。
【0019】軸3の上部及び下部には径方向外方に張り
出す円盤状の上スラスト板31及び下スラスト板32が
取り付けられており、スリーブ5の内径はこれら軸3及
び上下のスラスト板31、32の外径と相補うべく上下
スラスト板31、32に対応する部分では比較的大き
く、上下スラスト板31、32間では小さくなってい
る。上スラスト板31の下面及び下スラスト板32の上
面は、スリーブ5における上記径小部と径大部との間に
水平方向に形成されるスラスト内面とスラスト間隙31
a、32aを介して各々対向し、スリーブ5からのスラ
スト力を受ける。また、スリーブ5には上スラスト板3
1の上面及び下スラスト板32の下面にスラスト間隙3
1b、32bを介して対向するように上カウンター板5
1及び下カウンター板52が取り付けられ、上下スラス
ト板31、32はこれら上下カウンター板51、52を
介して上記スラスト力と反対方向のスラスト力を受け
る。
【0020】軸3には、内部を貫通する空気抜き孔33
が形成され、その第一の出入り口33aは上下スラスト
板31、32のほぼ中間に設けられ、第二の出入り口3
3bが下スラスト板32の下方に設けられて外部に通じ
ている。
【0021】軸3及び上下スラスト板31、32の各外
周面とスリーブ5の内周面とのラジアル間隙の広さは、
軸方向の位置によって異なる。即ち、図2に下半部を拡
大して示すように、上下スラスト板31、32の外周面
とスリーブ5の内周面との第一のラジアル間隙31c、
32cは、潤滑油が保持される程度の広さを有する。ま
た、上下スラスト板31、32間における軸3外周面と
スリーブ5の内周面との第二のラジアル間隙34は、第
一出入り口33aの位置する中央部では上下スラスト板
31、32外周の間隙31b、32bよりも広い空気抜
き間隙34aとし、逆に上下スラスト板31、32付近
では狭い微小間隙34b、34cとなっている。
【0022】本例では第二ラジアル間隙34の広さをこ
のように軸方向位置で異ならせるために、空気抜き間隙
34aに対応する軸3の外径を微小間隙34b、34c
に対応する部分よりも絞っている。ただし、空気抜き間
隙34aの上下端における軸3の外径は、各々第一出入
り口33aから遠ざかるに連れて漸増し、微小間隙34
b、34cに対応する部分に連なる。更にこの実施形態
では、空気抜き間隙34aの径方向間隔が、図3に示す
ように第一出入り口33aの位相において最も広くなっ
ている。この構成は、スリーブ5に対して軸3の軸方向
中間部を偏芯させることによって可能となる。
【0023】潤滑油10は、軸3の下部においては第一
ラジアル間隙32c、スラスト間隙32a及び微小間隙
34cに連続して充填され、空気抜き間隙34aの下端
に気液界面が形成されている。また、軸3の上部におい
ても第一ラジアル間隙31c、スラスト間隙31a及び
微小間隙34bに連続して充填され、空気抜き間隙34
aの上端に気液界面が形成されている。ただし、静止状
態ではスラスト板32の上面とこれに対向するスリーブ
5のスラスト内面とは重力を受けて接触しているため、
スラスト間隙32aに保持されるべき潤滑油10の一部
は第一ラジアル間隙32cに移動している。従って、そ
こに上記気液界面と異なるもう一つの気液界面が形成さ
れている。
【0024】そして、スラスト板31、32のスラスト
間隙31a、32aに面するスラスト内面にはスパイラ
ル状溝31d、32d(31dは図示されていない)
が、軸3の微小間隙34b、34cに面する外周面には
軸方向に非対称なヘリングボーン状溝35、36(35
は図示されていない)が形成され、回転時にこれらの溝
によって潤滑油に動圧が生じ、ロータ4を軸3に対して
非接触に保つ。
【0025】モータ1が軸方向の衝撃を受けてロータ4
が上方に振れると、静止状態で閉じていたスラスト間隙
32aが急に開くので、そこに気泡が発生することがあ
る。この気泡Bは、浮力により微小間隙34cに移動す
る。このとき潤滑油は表面張力によって間隙の狭い側に
集まり、他方、液中の気泡Bは合体して成長しながら液
体と反対に間隙の広い側に移動しようとする。従って、
潤滑油10は狭い微小間隙34cに集まり、他方、気泡
Bは表面張力の作用と浮力の作用が相乗して最小の抵抗
で広い空気抜き間隙34aに向かって上昇し、気液界面
を経て空気抜き間隙34aに入り、更に最も広い第一出
入り口33a付近に速やかに移動し、第一出入り口33
aより空気抜き孔33を通じて外部に放出される。その
結果、潤滑油10が空気抜き孔から噴出することは滅多
に無い。
【0026】モータ1の続く振動によってロータ4が下
方に振れると、スラスト間隙31aにも気泡が発生する
が、この気泡は、第一ラジアル間隙31cに形成される
気液界面が重力方向上側に気相、下側に液相となること
から、通常、浮力に任せるだけで外気に抜けていく。
【0027】尚、この実施形態では、空気抜き間隙34
aの径方向間隔を第一出入り口33aの形成された位相
において最も広く形成するために、軸3の空気抜き間隙
34aに対応する部分をスリーブ5に対して偏芯させて
いるだけである。従って、軸3の肉厚は変わらず、軸3
の機械的強度はほぼ均一である。
【0028】−実施形態2− この発明の第二実施形態は、図1及び図2における空気
抜き間隙34aの径方向間隔を第一出入り口33aの形
成された位相において最も広く形成する別の手段を例示
するものである。この実施形態では、図4に径方向断面
図として示すように、軸3の空気抜き間隙34aに対応
する部分を第一出入り口33aを通る直径線に直交する
平面Pに沿って平割りされた形状とした。その他の点で
は、第一実施形態と同一である。この構成により、空気
抜き間隙34aの径方向間隔が部分的に広い軸を容易に
製造することができる。
【0029】−実施形態3− この発明の第三実施形態は、図1及び図2における空気
抜き間隙34aの径方向間隔を第一出入り口33aの形
成された位相において最も広く形成する更に別の手段を
例示するものである。
【0030】図5に径方向断面図として示すように、空
気抜き間隙34aの径方向間隔が周方向に一様な構成で
は、第一出入り口33aの位相の両側にサイズの均衡す
る2つの気泡B1、B2が存在している場合、それらの
気泡B1、B2に挟まれた潤滑油10が排除されない限
り、どちらの気泡B1、B2も第一出入り口に到達でき
ず、暫く渋滞する。渋滞が長引くと潤滑油10ごと第一
出入り口33aに入る可能性がある。
【0031】そこで、この実施形態では、図6に示すよ
うに第一出入り口33aの縁を起点とし、軸3の肉厚を
周方向(図面では反時計回り)に漸減させて空気抜き間
隙34aの径方向間隔を、周方向に一周かけて漸増させ
た。その他の点では、第一実施形態と同一である。これ
によって、気泡の移動経路が一方通行となり、気泡が速
やかに軸3の周囲を旋回し、その間に気液界面に達して
そこで破裂し、空気抜き間隙34aに合流する。
【0032】−実施形態4− この発明の第四実施形態は、気泡に連れられて空気抜き
間隙に入ってきた潤滑油を微小間隙に速やかに戻す手段
を例示するものである。第一実施形態で詳述したよう
に、潤滑油10中の気泡は広い空間に向かって移動しよ
うとする。このときに気泡に連れられてきた潤滑油10
が、気泡と共に空気抜き孔33に流入することのないよ
うに、できるだけ早く微小間隙34cに戻るのが望まし
い。
【0033】そこで、図7及び図8にそれぞれ径方向断
面図及び軸方向断面図として示すように、空気抜き間隙
34cを形成するスリーブ5の内周面の1又は2以上の
箇所(図7では3箇所)に、気液界面を跨ぐ軸方向の溝
53を設け、その溝53の下端面53aを微小間隙34
cに近づくにつれて浅くなるように傾斜させた。その他
の点では、第二実施形態と同一である。この構成によ
り、気泡がその溝53で破裂して空気抜き間隙34cに
合流する一方、気泡に連れられて上昇した潤滑油10は
その溝53の下端面53aを流れ落ちて微小間隙34c
に速やかに戻る。溝53に潤滑油10が溜まることはな
い。
【0034】−実施形態5− この発明の第五実施形態は、潤滑油が空気抜き孔に流入
することを防止する別の手段を例示するものである。こ
の実施形態では図9及び図10にそれぞれ径方向断面図
及び軸方向断面図として示すように、空気抜き孔33
を、第一出入り口33a側の軸3の肉厚がその径方向反
対側の肉厚よりも厚くなるように軸3の外径中心に対し
て偏芯位置に形成した。その他の点では、第二実施形態
と同一である。この構成により、第一出入り口33aか
ら空気抜き孔33の中心までの径方向経路を長く確保す
ることができ、潤滑油の流入に対して大きな抵抗力を付
与することができ、潤滑油の漏れを防止できる。
【0035】−実施形態6− この発明の第六実施形態は、潤滑油が空気抜き孔に流入
することを防止する更に別の手段を例示するものであ
る。この実施形態では、モータ1の各部材の形状は上記
5つの実施形態のいずれのものでもよい。従って、便宜
上図11に第一実施形態の形状に対応する要部軸方向断
面図を示して説明する。ここでは、空気抜き間隙34a
に面する軸3外周面に撥油剤37(例えばフッ素系のも
の)が塗布されている。この構成により、空気抜き間隙
34aに面する軸3外周面の油に対する接触角が大きく
なり、その面側に気相、それと対向するスリーブ5の内
周面側に潤滑油10が寄るようになる。
【0036】−実施形態7− これは第六実施形態の類例である。即ち、第六実施形態
における撥油剤37に代えて、図12(a)に示すよう
に空気抜き間隙34aに対応する部分に撥油性材料から
なるチューブ38を被せ、図12(b)に示すように熱
収縮させて固定した。チューブ38には第一出入り口3
3aに対応する位置に予め孔38aを開けておいた。こ
の構成によっても第六実施形態と同じく、空気抜き間隙
34aに面する軸3外周面の油に対する接触角が大きく
なり、その面側に気相、それと対向するスリーブ5の内
周面側に潤滑油10が寄るようになる。
【0037】
【発明の効果】以上のように、この発明の動圧流体軸受
装置は潤滑油中の気泡が速やかに排出される構成をとる
ので、潤滑油の漏れや軸受部の焼き付きが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第一実施形態の動圧流体軸受装置を適用した
記録ディスク駆動用スピンドルモータの主要部軸方向断
面図である。
【図2】 図1のA部拡大図である。
【図3】 図1の径方向一部断面図である。
【図4】 動圧流体軸受装置の気泡の動向を示す径方向
一部断面図である。
【図5】 第二実施形態の動圧流体軸受装置の径方向一
部断面図である。
【図6】 第三実施形態の動圧流体軸受装置の径方向一
部断面図である。
【図7】 第四実施形態の動圧流体軸受装置の径方向一
部断面図である。
【図8】 第四実施形態の動圧流体軸受装置の軸方向一
部断面図である。
【図9】 第五実施形態の動圧流体軸受装置の径方向一
部断面図である。
【図10】 第五実施形態の動圧流体軸受装置の軸方向
一部断面図である。
【図11】 第六実施形態の動圧流体軸受装置の軸方向
一部断面図である。
【図12】 第七実施形態の動圧流体軸受装置の軸方向
一部断面図であり、(a)は軸の製造過程、(b)は軸
の完成状態を示す。
【符号の説明】
1 モータ 2 ブラケット 3 軸 4 ロータ 5 スリーブ 6 ハブ 7 カバー 8 ステータ 9 マグネット 10 潤滑油 31、32 スラスト板 51、52 カウンター板 33a 第一出入り口 33b 第二出入り口 31a、32a、31b、32b スラスト間隙 31c、32c 第一ラジアル間隙 34 第二ラジアル間隙 34a 空気抜き間隙 34c 微小間隙 53 溝
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月26日(2001.11.
26)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】動圧流体軸受装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J011 AA06 BA04 CA02 JA02 KA02 KA03 MA12 PA03 5D109 BB01 BB13 BB18 BB21 BB22 5H605 AA04 BB05 BB19 CC04 DD05 EB03 EB06 5H607 AA04 BB01 BB07 BB14 BB17 CC01 DD05 GG03 GG09 GG12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸及び軸の下方に径方向に張り出すように
    固着された円盤状のスラスト板を有し、軸内部を貫通し
    スラスト板より上方に軸外周面に通じる第一の出入り
    口、下方に外部に通じる第二の出入り口が位置する空気
    抜き孔が形成された静止部材と、 前記スラスト板の外周面に第一のラジアル間隙を介して
    対向する円筒状内面、スラスト板の上面にスラスト間隙
    を介して対向するスラスト内面及び軸の外周面に第二の
    ラジアル間隙を介して対向するラジアル内周面を有する
    回転部材と、 前記3つの間隙に保持された潤滑油とを備え、 前記スラスト板の上面及び前記スラスト内面の少なくと
    も一方には回転時にスラスト間隙と第二ラジアル間隙の
    境界に向かって潤滑油を送るスラスト軸受動圧発生溝が
    形成され、 前記軸の外周面及び前記ラジアル内周面の少なくとも一
    方の、前記第一出入り口より低い位置には回転時にスラ
    スト間隙と第二ラジアル間隙の境界に向かって潤滑油を
    送るラジアル軸受動圧発生溝が形成されている動圧流体
    軸受装置において、 前記第二ラジアル間隙が、前記ラジアル軸受動圧発生溝
    が形成された面及びこれに対向する面によって囲まれ前
    記潤滑油で満たされた円筒状の微小間隙と、前記第一出
    入り口周辺を含む軸外周面及びこれに対向するラジアル
    内周面によって囲まれ第一出入り口より低い位置に前記
    潤滑油と空気との気液界面を有する円筒状の空気抜き間
    隙とからなり、この空気抜き間隙の径方向間隔が、第一
    出入り口の形成された位相において最も広く形成されて
    いることを特徴とする動圧流体軸受装置。
  2. 【請求項2】前記軸の空気抜き間隙に対応する部分が回
    転部材に対して偏芯していることにより、空気抜き間隙
    の前記径方向間隔が、第一出入り口の形成された位相に
    おいて最も広く形成されている請求項1に記載の動圧流
    体軸受装置。
  3. 【請求項3】前記軸の空気抜き間隙に対応する部分が第
    一出入り口を通る直径線に直交する平面に沿って平割り
    された形状を有することにより、空気抜き間隙の前記径
    方向間隔が、第一出入り口の形成された位相において最
    も広く形成されている請求項1に記載の動圧流体軸受装
    置。
  4. 【請求項4】空気抜き間隙の前記径方向間隔が、第一出
    入り口の縁を起点とし、周方向に一周かけて漸増してい
    る請求項1に記載の動圧流体軸受装置。
  5. 【請求項5】前記空気抜き間隙を形成するラジアル内周
    面の1又は2以上の箇所に、気液界面を跨ぐ軸方向の溝
    が設けられ、その溝の下端面が前記微小間隙に近づくに
    つれて浅くなるように傾斜している請求項1〜4のいず
    れかに記載の動圧流体軸受装置。
  6. 【請求項6】前記空気抜き孔は、第一出入り口側の軸の
    肉厚が厚くなるように軸の外径中心に対して偏芯位置に
    形成されている請求項2又は3に記載の動圧流体軸受装
    置。
  7. 【請求項7】前記空気抜き間隙に面する軸外周面に撥油
    剤が塗布されている請求項1〜6のいずれかに記載の動
    圧流体軸受装置。
  8. 【請求項8】前記軸の空気抜き間隙に対応する部分が撥
    油性材料からなるチューブで覆われている請求項1〜6
    のいずれかに記載の動圧流体軸受装置。
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