JP2002319720A - 圧電セラミックの温度特性制御方法 - Google Patents
圧電セラミックの温度特性制御方法Info
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Abstract
温度特性制御方法を提供する。 【解決手段】厚み縦振動の第3高調波を利用したチタン
酸鉛系の圧電セラミックの温度特性制御方法であって、
圧電セラミックを分極した後、この圧電セラミックを所
定温度でエージングする工程を含み、エージング温度
を、圧電セラミックの結晶の分極軸への配向度が低下し
始める温度以上で、かつ圧電セラミックのキュリー温度
以下、望ましくは厚み縦振動の第3高調波の***振周波
数faと共振周波数frとの差Δfが減少し始める温度
以下とした。
Description
やセラミック発振子などに用いられる厚み縦振動の第3
高調波を利用したチタン酸鉛系圧電セラミックの温度特
性制御方法に関するものである。
波)を利用したセラミック共振子の圧電材料としては、
PbTiO3 系の材料が多く使われている。通常、焼結
性を高めるため、Qを高くするためなどの理由により、
PbTiO3 を主成分とし、PbのSr,La置換、M
n,Crなどの金属酸化物の添加を行った形で、セラミ
ック発振子やセラミックフィルタなどの材料として使わ
れる。
は、厚み縦振動の基本波をエネルギー閉じ込めできない
が、第3高調波であればエネルギー閉じ込めができると
いう性質がある。この第3高調波を利用することによっ
て、シャープな共振特性を得ることができる。
たチタン酸鉛系圧電セラミックよりなるセラミック発振
子やセラミックフィルタが提供されている。これら素子
に対して要求される重要な特性の1つに、共振周波数ま
たは中心周波数の温度特性がある。一般的には、この温
度特性は30ppm/℃以下が必要であり、できるだけ
±0ppm/℃に近いものがよい。
善するため、従来では材料組成比を調整していた。しか
しながら、材料組成を変化させた場合、温度特性のほか
に、共振抵抗、Q、電気機械結合係数Kなどの他の特性
も変化してしまう。そのため、温度特性を向上させた上
で、他の特性も規定範囲内に収めるには、多大の労力が
必要であった。
極時間,分極電圧,分極温度)を選択することによっ
て、厚み縦振動の第3高調波を利用したチタン酸鉛系圧
電セラミックの周波数温度特性を制御する方法が、特開
昭58−182884号公報で提供されている。しかし
ながら、上記のように分極条件を変化させただけでは、
必ずしも所望の温度特性が得られない場合があった。
に制御可能な圧電セラミックの温度特性制御方法を提供
することにある。また、他の目的は、温度特性に優れ、
かつ共振特性にも優れた圧電セラミックの温度特性制御
方法を提供することにある。
め、本発明は、分極条件ではなく、エージング温度に着
目した。エージングは、分極後の圧電セラミックを所定
温度雰囲気に放置し、分極度を強制的に劣化させること
により、熱的および経時的に安定な圧電体を得るための
処理である。そのため、エージング温度は、後工程(例
えばリフローはんだ付け)での温度に対応した温度に設
定されていた。通常は、160℃以下である。本発明者
は、エージング温度を所定温度以上に高くすると、結晶
の分極軸への配向度が低くなり、周波数温度係数が単調
減少することを発見した。結晶の分極軸への配向度は、
例えば圧電セラミックの〔002〕結晶格子面のX線強
度と〔200〕結晶格子面のX線強度との比によって求
めることができる。〔002〕結晶格子面とは、c軸が
分極方向を向いている面であり、〔200〕結晶格子面
とは、a軸が分極方向を向いている面である。X線強度
は、分極,エージング後、常温に戻して測定した時の強
度であり、X線回析法によって測定できる。そこで、こ
の特性を利用して、エージング温度を、結晶の分極軸へ
の配向度が低下し始める温度以上にすることにより、周
波数温度係数を低く制御できるようになった。なお、エ
ージング温度をキュリー温度より高くすると、圧電性が
失われるので、キュリー温度を越えることはできない。
そこで、本発明では、エージング温度を、圧電セラミッ
クの結晶の分極軸への配向度が低下し始める温度以上
で、かつ圧電セラミックのキュリー温度以下としたもの
である。
み縦振動の第3高調波の***振周波数faと共振周波数
frとの差Δfが減少し始める温度以下とするのが望ま
しい。エージング温度を結晶の分極軸への配向度が低下
し始める温度以上に高くすると、周波数温度係数が単調
減少するが、圧電セラミックの厚み縦振動のΔfはある
温度までは略一定値を保持する。しかし、エージング温
度をさらに高くすると、厚み縦振動のΔfも低下し始
め、共振特性の劣化(位相,Qの低下、共振抵抗の増
大)につながる。そこで、エージング温度をΔfが減少
し始める温度以下とすることで、共振特性の劣化を招か
ずに、温度特性を向上させることができる。
0℃〜250℃とするのが望ましい。本発明者の実験に
よると、チタン酸鉛系の圧電セラミックの場合、エージ
ング温度を160℃〜250℃とすると、厚み縦振動
(第3高調波)の共振周波数frの温度係数を18〜1
4ppm/℃にすることができ、しかもΔfを低下させ
ずに済み、良好な周波数温度特性と共振特性(位相,
Q,共振抵抗)とを実現できた。
御方法の一例を、図1〜図3を参照して説明する。ここ
で使用する圧電セラミックは、PbTiO3 +MnO2
系の圧電セラミックである。この圧電セラミックを図1
の(a)に示すように板状ユニット1に成形,焼成し、
その表裏面に電極1a,1bを形成した後、60℃の絶
縁オイル2中で8kV/mmの直流電界を印加して分極
処理を行った。次に、図1の(b)のように、ユニット
1を恒温槽3内に収容し、20分間エージングを行っ
た。エージング温度は、160℃〜250℃とした。そ
の後、図1の(c)のように、圧電セラミックユニット
1をエレメント状にカットし、このエレメント4の表裏
面に電極4a,4b(但し、4bは図示せず)を形成し
た。
エレメント4について、結晶の分極軸への配向度(X線
強度比〔002〕/〔200〕)、共振周波数frの温
度係数、***振周波数faの温度係数を求めたものであ
る。上記共振周波数frおよび***振周波数faは、厚
み縦振動の第3高調波を利用したものである。図2から
明らかなように、エージング温度を上昇させると、配向
度が低下するとともに、共振周波数frの温度係数、反
共振周波数faの温度係数が単調減少していることがわ
かる。つまり、配向度と周波数fr,faの温度係数と
の間には相関関係があり、エージング温度が上昇するに
つれて周波数温度特性が向上している。なお、エージン
グ温度を300℃以下としたのは、300℃が圧電セラ
ミックのキュリー温度であるからである。
温度と、配向度(〔002〕/〔200〕)、厚み縦振
動のΔf(=fa−fr)との関係を求めたものであ
る。なお、Δfは常温戻し時のΔfである。図3から明
らかなように、エージング温度が160℃を越えると、
結晶の分極軸への配向度がエージング温度の上昇につれ
て単調減少しているのに対し、Δfは250℃までは殆
ど変化せず、250℃を越えると低下し始めることがわ
かる。Δfと結合係数Kとの間には、 K∝√(Δf/fr) の関係があるので、Δfが低下するということは、結合
係数Kの低下を意味し、共振特性の劣化(位相特性の劣
化、Qの低下、共振抵抗の増加)をきたす。
0℃とすることで、周波数温度特性が良好で、かつ共振
特性の劣化もない圧電セラミックを得ることができる。
特に、エージング温度を200℃〜250℃とすれば、
Δfが低下しない範囲で、周波数温度係数が非常に低く
なり(frの温度係数=15〜14ppm/℃、faの
温度係数=13〜12ppm/℃)、最も良好な特性を
有する。一般に、セラミックフィルタとして要求される
温度係数は30ppm/℃以下であるから、十分に良好
な特性を有することがわかる。なお、Δfが多少低下し
ても、温度特性を重視する場合には、エージング温度を
250℃〜300℃の範囲としてもよい。その場合に
は、共振周波数frの温度係数を14〜9ppm/℃程
度まで小さくできる。
温度係数が小さくなることが知られている。しかし、オ
イル分極の場合には、オイルの特性上、分極温度は10
0℃が限界であり、高温に対応するのが難しい。また、
分極温度より低い温度でエージングを行っても、エージ
ング効果がない。一方、エージングは恒温槽の中に入れ
るだけであるから、かなりの高温でも設備上問題がな
い。そこで、エージング温度を分極温度より高くし、か
つ高温(配向度が低下し始める温度以上で、かつキュリ
ー温度以下)でエージングを行うことで、温度係数の小
さな圧電セラミックを簡単に得ることができる。
の絶縁オイル中で8kV/mmの直流電界を印加した
が、これは一例であり、分極条件を変更してもよい。ま
た、液中分極に限るものではなく、気中分極でもよい。
なお、本発明で使用される圧電セラミックは、PbTi
O3 +MnO2 系の圧電セラミックに限らない。PbT
iO3 を主成分とし、PbのSr,La置換、Crなど
の金属酸化物の添加を行った圧電セラミックであっても
よい。
に記載の発明によれば、厚み縦振動の第3高調波を利用
したチタン酸鉛系の圧電セラミックにおいて、分極され
た圧電セラミックをエージングする温度を、結晶の分極
軸への配向度が低下し始める温度以上で、かつキュリー
温度以下とすることにより、温度特性の良好な圧電セラ
ミックを得ることができる。また、エージング温度の設
定を変更するだけであるから、特別な装置が不要であ
り、材料調整による温度特性の変更に比べて制御が簡単
である。つまり、圧電セラミックとして既存の材料を使
用しながら、温度係数を自在に変えることができる。
までの工程を示す図である。
および周波数温度係数との関係を示す図である。
X線強度比の減少率との関係を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】厚み縦振動の第3高調波を利用したチタン
酸鉛系の圧電セラミックの温度特性制御方法であって、
上記圧電セラミックを分極した後、この圧電セラミック
を所定温度でエージングする工程を含み、上記エージン
グ温度を、圧電セラミックの結晶の分極軸への配向度が
低下し始める温度以上で、かつ上記圧電セラミックのキ
ュリー温度以下としたことを特徴とする圧電セラミック
の温度特性制御方法。 - 【請求項2】上記エージング温度を、上記厚み縦振動の
第3高調波の***振周波数faと共振周波数frとの差
Δfが減少し始める温度以下としたことを特徴とする請
求項1に記載の圧電セラミックの温度特性制御方法。 - 【請求項3】上記エージング温度を、160℃〜250
℃としたことを特徴とする請求項1または2に記載の圧
電セラミックの温度特性制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001122107A JP5002866B2 (ja) | 2001-04-20 | 2001-04-20 | 圧電セラミック振動子の製造方法 |
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JP5002866B2 JP5002866B2 (ja) | 2012-08-15 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115508658A (zh) * | 2022-11-21 | 2022-12-23 | 南京霆升医疗科技有限公司 | 一种压电陶瓷自动极化分析的方法及装置 |
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-
2001
- 2001-04-20 JP JP2001122107A patent/JP5002866B2/ja not_active Expired - Lifetime
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CN115508658A (zh) * | 2022-11-21 | 2022-12-23 | 南京霆升医疗科技有限公司 | 一种压电陶瓷自动极化分析的方法及装置 |
CN115508658B (zh) * | 2022-11-21 | 2023-03-14 | 南京霆升医疗科技有限公司 | 一种压电陶瓷自动极化分析的方法及装置 |
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