JP2002309670A - 複合制振ブレース - Google Patents

複合制振ブレース

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JP2002309670A JP2001116490A JP2001116490A JP2002309670A JP 2002309670 A JP2002309670 A JP 2002309670A JP 2001116490 A JP2001116490 A JP 2001116490A JP 2001116490 A JP2001116490 A JP 2001116490A JP 2002309670 A JP2002309670 A JP 2002309670A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易軽量な構造にも拘わらず、座屈強度に優
れ、かつ構造物に生じる小振幅から大振幅に至る様々な
振動を低減することができる複合制振ブレースを提供す
る。 【解決手段】 両端部1a、1bが構造物の骨組に接続
される平板状鋼材または十字型鋼材からなる軸部材1
に、軸面積が大きい弾性部分2と軸面積が小さい降伏部
分3とを形成し、この軸部材1の表面に、当該表面と対
向する表面を有する鋼管部材6を相対変位自在に配設し
て、これら鋼管部材6を互いに連結した複合制振ブレー
スにおいて、弾性部分2における軸部材と鋼管部材との
間に粘弾性体7を介装するとともに、軸部材1に、上記
複合制振ブレースの伸縮を吸収可能な間隙5が形成され
た不連続部を設け、この不連続部を境にした粘弾性体7
が介装されていない側の軸部材1に、鋼管部材6を固定
した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨構造などの骨
組を補強するとともに、併せて構造物に生じる小振幅か
ら大振幅に至る様々な振動を低減することが可能になる
複合制振ブレースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、各種の構造物において、その居住
性を向上させ、かつ地震時における安全性を確保するた
めに、柱・梁からなる骨組自体の耐震安全性を確保する
とともに、当該骨組内に特殊な装置や部品を付加するこ
とにより、地震や強風等に起因する構造物の揺れを低減
させる様々な制振構造が開発されている。
【0003】このような制振構造の一種として、上記骨
組内に、粘弾性体の剪断変形によりエネルギーを吸収す
る粘弾性ダンパーや、金属材料の塑性変形によるエネル
ギー吸収能力を利用した履歴型ダンパーを組み込む構造
が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記粘弾性
ダンパーによれば、上記粘弾性体が小さな変形に対して
も応答性に優れるため、強風等によって構造物に生じる
小さな揺れを低減して居住性をより高めることができる
という利点がある。しかしながら、大地震時のように、
大きな速度や大きな変形が加わると、過大な剪断力が発
生し、その反力が上記骨組側に伝達されて当該骨組の破
壊を招来するとともに、過大な変形によって破断し、ダ
ンパーとしての機能が失われる虞があるという問題点が
あった。また、粘弾性体は、温度依存性が存在するため
に、減衰性能にバラ付きを生じるという問題点もあり、
特に低温時には、大きな減衰力を発揮するために、骨組
の破壊を招くという上記問題点が顕著になる。
【0005】これに対して、履歴型ダンパーにおいて
は、大地震時に部材の履歴減衰によって効果的にエネル
ギーを吸収し、揺れの低減化を図ることはできるもの
の、逆に強風等に起因する小さな揺れに対しては有効に
機能することができず、よって居住性の改善効果を期待
することはできないという問題点があった。
【0006】そこで、特開平11−153194号公報
に見られるように、これら粘弾性ダンパーと履歴型ダン
パーとを組み合わせた制振ブレースが提案されている。
この制振ブレースは、履歴ダンパーとなる鋼製中心軸力
部材の両側面に、一端部と他端部とから交互に鋼製座屈
防止部材を積層状に配設し、これら部材間に粘弾性体を
用いた減衰材を充填することにより粘弾性ダンパーとし
て機能させたものであり、いわば粘弾性ダンパーと履歴
型ダンパーとを並列的に連結したものである。
【0007】しかしながら、上記従来の制振ブレースに
あっては、鋼製中心軸力部材の両面に、2〜3層にわた
って鋼製座屈防止部材が積層したものであるために、構
造が複雑で重量も嵩むとともに、コスト的にも不利であ
るという欠点がある。また、粘弾性ダンパーと履歴型ダ
ンパーとを並列的に連結している結果、小さな揺れに対
する減衰性を得ることが困難であり、結局小振幅から大
振幅に至るまでの広範囲の揺れを有効に抑えることが難
しいという問題点もある。
【0008】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
ので、簡易軽量な構造にも拘わらず、構造物に生じる小
振幅から大振幅に至る様々な振動を低減することができ
る複合制振ブレースを提供することを目的とするもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の本発明
に係る複合制振ブレースは、両端部が構造物の骨組に接
続される平板状鋼材または十字型鋼材からなる軸部材
に、軸面積が大きい弾性部分と軸面積が小さい降伏部分
とを形成し、この軸部材の表面に、当該表面と対向する
表面を有する鋼管部材を相対変位自在に配設して、これ
ら鋼管部材を互いに連結した複合制振ブレースにおい
て、上記弾性部分における軸部材と鋼管部材との間に粘
弾性体を介装するとともに、上記軸部材に、上記複合制
振ブレースの伸縮を吸収可能な間隙が形成された不連続
部を設け、この不連続部を境にした上記粘弾性体が介装
されていない側の上記軸部材に、上記鋼管部材を固定し
たことを特徴とするものである。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
に記載の発明において、上記不連続部を境にした上記軸
部材の他方と、上記鋼管部材との間に、所定以上の相対
変位を阻止する係合部を形成したことを特徴とするもの
である。
【0011】また、請求項3に記載の本発明に係る複合
制振ブレースは、両端部が構造物の骨組に接続される平
板状鋼材または十字型鋼材からなる軸部材に、軸面積が
大きい弾性部分と軸面積が小さい降伏部分とを形成し、
この軸部材の表面に、当該表面と対向する表面を有する
鋼管部材を相対変位自在に配設して、これら鋼管部材を
互いに連結した複合制振ブレースにおいて、上記弾性部
分における上記軸部材と鋼管部材との間に粘弾性体を介
装するとともに、上記軸部材の上記弾性部分に、上記複
合制振ブレースの伸縮を吸収可能な間隙が形成された不
連続部を設けたことを特徴とするものである。
【0012】ここで、軸部材における弾性部分について
は、想定される大地震時においても、主として弾性変形
によって追従する軸面積に設定することが好ましく、降
伏部分については、過大な変形が生じた際に、粘弾性体
が破断する前に降伏点に達して塑性変形する軸面積に設
定することが好ましい。
【0013】また、上記粘弾性体としては、アクリル
系、シリコン系、ジエン系、アスファルト系等の高分子
材料を使用することが好適であり、軸部材と鋼管部材と
の間に介装する方法としては、組み立て時に予め軸部材
の表面に接着する方法や、軸部材に沿って鋼管部材を配
設した後に、両者間に充填する方法などが適用可能であ
る。さらに、鋼管部材としては、汎用であって、かつ効
果的に座屈防止機能を発揮し得る断面形状を有する角型
鋼管を用いることが好適である。
【0014】請求項1〜3のいずれかに記載の複合制振
ブレースによれば、軸部材に弾性部分と降伏部分とを形
成し、弾性部分における軸部材と鋼管部材との間に粘弾
性体を介装するとともに、上記軸部材に間隙を有する不
連続部を設けているので、上記粘弾性体を利用した粘弾
性ダンパーと軸部材の降伏部分が奏する履歴型ダンパー
とが直列に配置された構成になっている。この結果、構
造物に、強風等に起因する振幅の小さな揺れが生じた場
合には、先ず軸部材と鋼管部材との間に介装された粘弾
性体の剪断変形によって、これを吸収することができ
る。
【0015】この際に、図6に示すように、粘弾性体A
の減衰力は、軸部材Bと鋼管部材Cとの間の剪断面積S
と剪断厚さdとの比(S/d:形状係数)に比例するこ
とが知られている。したがって、剪断厚さdを小さくす
れば、同一の剪断面積Sによっても大きな減衰力を得る
ことができ、換言すれば小さい剪断面積Sによっても、
同等の減衰効果を得ることができる。ところが、このよ
うに剪断厚さdを小さくすると、粘弾性体の許容剪断
歪、すなわち許容軸変形が小さくなるという問題点を生
じる。
【0016】この点、本発明においては、上述したよう
に粘弾性ダンパーと履歴型ダンパーとが直列に配置され
た構成であるため、大地震が発生して構造物に作用する
揺れの振幅が大きくなった場合には、粘弾性体の剪断変
形が増加する過程で、軸部材における降伏部分が降伏
し、ブレース全体としての軸変形が、主として降伏部分
における変形に移行するために、上記粘弾性体の剪断変
形を抑えることができる。しかも、粘弾性体が過大な減
衰力にならない結果、骨組に悪影響を及ぼす虞もなく、
かつ粘弾性ダンパーと履歴型ダンパーとの協働によっ
て、粘弾性体の過大な変形による剥離や破断を防止する
ことができるとともに、粘弾性体の温度依存による減衰
効果の変動も吸収することができる。
【0017】このように、本発明に係る複合制振ブレー
スによれば、小振幅の揺れに対しては、弾性部分と鋼管
部材との間に介装した粘弾性体による粘弾性ダンパーが
機能し、大振幅の揺れに対しては、降伏部分における履
歴型ダンパーによって、エネルギーを効果的に吸収して
その低減化を図ることができるために、簡易軽量な構造
にも拘わらず、構造物に生じる小振幅から大振幅に至る
様々な振動を低減することができる。
【0018】加えて、大きな揺れによりこの複合制振ブ
レースが圧縮力を受けた際には、降伏部分に沿って設け
られた鋼管部材によって、軸部材の面外への変形が抑え
られるために、当該軸部材の座屈が防止される。この結
果ブレース全体としての座屈強度を高めることもでき
る。
【0019】ところで、構造物に大きな振幅の揺れが作
用した際における降伏部分による変形と、これによる粘
弾性体の剪断変形の抑制効果は、粘弾性体の粘性や剪断
厚さ等の諸元並びに軸部材の剛性等の諸元を適宜設定す
ることによって調整可能であるが、万一粘弾性体に過大
な剪断変形が加わると、当該粘弾性体が破断し、ひいて
はダンパーとしての機能が失われる虞がある。そこで、
請求項2に記載の発明のように、不連続部を境にした軸
部材の他方と鋼管部材との間に、所定以上の相対変位を
阻止する係合部を形成すれば、粘弾性体の過大な変形に
よる剥離や破断を確実に防止することが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1〜図3は、
本発明の複合制振ブレースの第1の実施形態を示すもの
である。図1および図2において、符号1は、両端部1
a、1bが構造物の骨組に接続される十字型鋼材からな
る軸部材を示すものであり、この軸部材1の端部1a側
には、軸面積が大きい弾性部分2が形成されている。そ
して、この弾性部分2と端部1bとの間には、傾斜状の
移行部分4を介して弾性部分2よりも軸面積が小さい降
伏部分3が形成されている。また、端部1aと弾性部分
2との間には、軸部材1の伸縮と後述する粘弾性体7の
剪断変形等により生じる複合制振ブレース全体の伸縮を
吸収可能な間隙5が形成された不連続部が形成されてい
る。
【0021】そして、十字型鋼材によって形成される軸
部材1の四隅には、それぞれ両端部1a、1b間にわた
って角型鋼管(鋼管部材)6が相対変位自在に配設され
ており、これら角型鋼管6は、互いの隣接部に沿って接
合されたフラットバー9により一体的に連結されてい
る。また、角型鋼管6と軸部材1の弾性部分2との間に
は、当該弾性部分2と角型鋼管6との双方に接着された
粘弾性体7が介装されている。さらに、軸部材1の端部
1aには、ボルト挿入孔8が形成されており、これと対
向する角型鋼管6の端部には、それぞれボルト挿入孔
(図示を略す。)が形成されている。そして、角型鋼管
6は、両挿入孔8に挿入された高力ボルト6aが締め付
けられることにより、当該端部において、軸部材1に固
定されている。
【0022】ここで、軸部材1における弾性部分2は、
想定される大地震時においても、主として弾性変形によ
って追従する軸面積に設定され、他方降伏部分3は、過
大な変形が生じた際に、粘弾性体7が破断する前に降伏
点に達して塑性変形する軸面積に設定されている。ま
た、粘弾性体7としては、アクリル系、シリコン系、ジ
エン系、アスファルト系等の高分子材料が使用されてい
る。
【0023】このような複合制振ブレースを組み立てる
には、先ず図1(a)に示すように、軸部材1における
弾性部分2の表面に、粘弾性体7を接着し、次いで図1
(b)に示すように、軸部材1の四隅に、それぞれ角型
鋼管6を配設することにより、上記粘弾性体7を角型鋼
管6にも接着させた後に、図1(c)に示すように、角
型鋼管6と軸部材1の端部1aに形成されたボルト挿入
孔8に高力ボルト6aを挿入して締めつけるとともに、
隣接する角型鋼管6の隣接部に添設したフラットバー9
を両角型鋼管6に溶接することにより、これら角型鋼管
6を一体的に連結する。以上により、上記複合制振ブレ
ースの組立が完了する。
【0024】以上の構成からなる複合制振ブレースによ
れば、図3(a)、(b)に示すように、軸部材1に弾
性部分2と降伏部分3とを形成し、弾性部分2における
軸部材1と角型鋼管6との間に粘弾性体7を介装すると
ともに、軸部材1に間隙5を有する不連続部を設けてい
るので、粘弾性体7を利用した粘弾性ダンパーと軸部材
の降伏部分3が奏する履歴型ダンパーとが直列に配置さ
れた構成になっている。
【0025】この結果、構造物に、強風等に起因する振
幅の小さな揺れが生じて、この複合制振ブレースに圧縮
力および引張力が作用した場合には、先ず軸部材1の一
端部1aに固定された角型鋼管6と、軸部材1の他端部
1bから降伏部分3および弾性部分2との間に相対変位
が生じ、弾性部分2と角型鋼管6との間の粘弾性体7が
剪断変形する。これにより、上記揺れのエネルギーを吸
収して、当該揺れを低減し、居住性を高めることができ
る。ちなみに、この際の複合制振ブレースにおける軸力
の伝達は、軸部材1の一端部1a→高力ボルト6a→角
型鋼管6→粘弾性体7→軸部材1の弾性部分2→降伏部
分3→軸部材1の他端部1bになる。
【0026】次いで、大地震が発生して構造物に作用す
る揺れの振幅が大きくなった場合には、上述した粘弾性
体7の剪断変形が増加する過程で、軸部材1の降伏部分
3が降伏し、その履歴減衰によって上記揺れを低減す
る。この際のブレース全体としての軸変形は、主として
降伏部分3における変形となるため、粘弾性体7の剪断
変形を抑えることができ、よって粘弾性体7が過大な減
衰力にならないために、骨組に悪影響を及ぼす虞もな
い。また、粘弾性体7による粘弾性ダンパーと降伏部分
3による履歴型ダンパーとの協働によって、粘弾性体7
の過大な変形による剥離や破断を防止することができる
とともに、粘弾性体7の温度依存による減衰効果の変動
も吸収することができる。
【0027】このように、上記複合制振ブレースによれ
ば、小振幅の揺れに対しては、弾性部分2と角型鋼管6
との間に介装した粘弾性体7による粘弾性ダンパーが機
能し、大振幅の揺れに対しては、降伏部分3における履
歴型ダンパーによってエネルギーを効果的に吸収してそ
の低減化を図ることができるために、簡易軽量な構造に
も拘わらず、構造物に生じる小振幅から大振幅に至る様
々な振動を低減することができる。
【0028】加えて、大きな揺れによりこの複合制振ブ
レースが圧縮力を受けた際には、降伏部分3に沿って設
けられ、かつフラットバー9によって互いに連結・一体
化された角型鋼管6によって、軸部材1の面外への変形
が抑えられるために、当該軸部材1の座屈を防止するこ
とができ、この結果ブレース全体としての座屈強度を高
めることもできる。
【0029】(実施の形態2〜4)次いで、図4(a)
〜(c)は、それぞれ本発明の第2〜第4の実施形態を
示すもので、図1および図2と同一構成部分に付いて
は、同一符号を付してその説明を簡略化する。図4
(a)に示す第2の実施形態における複合制振ブレース
は、軸部材1を弾性部分2と移行部分4との間で切断し
て、軸部材1の伸縮および粘弾性体7の剪断変形等によ
って生じる複合制振ブレースの伸縮を吸収可能な間隙1
0を有する不連続部を形成したものであり、図中斜線で
示す弾性部分2の表面および図示されない角型鋼管6の
表面に、同様に粘弾性体7が接着されている。そして、
図示されない角型鋼管6は、移行部分4側に形成された
ボルト挿入孔8との間に挿通された高力ボルトが締め付
けられることにより、上記不連続部を境にした軸部材1
の上方側に固定されている。
【0030】また、図4(b)に示す第3の実施形態に
おける複合制振ブレースは、軸部材1の中央部に弾性部
分2を形成し、この弾性部分2と両端部1a、1bとの
間に、それぞれ移行部分4を介して降伏部分3を形成す
るとともに、軸部材1を弾性部分2の中央部において切
断して、軸部材1の伸縮と粘弾性体7の剪断変形とを吸
収可能な間隙11を有する不連続部を形成したものであ
る。そして、この複合制振ブレースにおいては、図示さ
れない角型鋼管6が、上述した高力ボルト等によって軸
部材1に固定されることなく、当該軸部材1の両端部1
a、1b間にわたり相対変位自在に配設されるととも
に、角型鋼管6と軸部材1の弾性部分2との間に、当該
弾性部分2および角型鋼管6の双方に接着された粘弾性
体7が介装されている。
【0031】さらに、図4(c)に示す第4の実施形態
における複合制振ブレースは、図4(b)に示したもの
と同様に、軸部材1の中央部に弾性部分2を形成し、こ
の弾性部分2と両端部1a、1bとの間に、それぞれ移
行部分4を介して降伏部分3を形成するとともに、弾性
部分2と移行部分4との間で切断し、軸部材1の伸縮と
粘弾性体7の剪断変形とを吸収可能な間隙12を有する
不連続部を形成したものである。そして、図示されない
角型鋼管6は、移行部分4側に形成されたボルト挿入孔
8との間に挿通された高力ボルトによって、上記不連続
部を境にした軸部材1の上方側に固定されている。な
お、上記第2〜第4の実施形態において図示を省略した
角型鋼管6およびこれらを連結するフラットバー9の構
成に付いては、図1に示したものと同様である。
【0032】図4(a)、(b)、(c)に示す複合制
振ブレースによっても、図1に示したものと同様の作用
効果を得ることができる。ちなみに、図4(a)に示す
複合制振ブレースにおける軸力の伝達は、軸部材1の一
端部1a→軸部材1の弾性部分2→粘弾性体7→角型鋼
管6→高力ボルト6a→降伏部分3→軸部材1の他端部
1bになる。
【0033】また、図4(b)に示す複合制振ブレ−ス
においては、軸部材の端部1a→降伏部分3→弾性部分
2の下部→粘弾性体7→角型鋼管6→粘弾性体7→弾性
部分2の上部→降伏部分3→軸部材1の他端部1bにな
る。さらに、図4(c)に示す複合制振ブレースにおい
ては、軸部材1の一端部1a→降伏部分3→弾性部分2
→粘弾性体7→角型鋼管6→→高力ボルト6a→降伏部
分3→軸部材1の他端部1bになる。
【0034】(実施の形態5)図5は、本発明の第5の
実施形態を示すもので、同様に図1に示したものと同一
構成部分に付いては、同一符号を付してある。この複合
制振ブレースにおいては、図1に示したものと同様に、
角型鋼管6が高力ボルト6aによって軸部材1の端部1
a側に固定されるとともに、不連続部を境にした軸部材
1の他方に、表面から突出する平板状の凸部20が接合
されている。他方、この凸部20と対向する角型鋼管6
には、長手方向に所定の長さ寸法切り欠かれてなる凹部
21が形成されている。そして、角型鋼管6は、各々の
凹部21内に凸部20を係合させた状態で、軸部材1の
4隅部に配設されている。なお、その他の構成に付いて
は、図1に示したものと同様である。
【0035】本実施形態に係る複合制震ブレースによれ
ば、図1〜図4に示したものと同様の作用効果が得られ
る他、さらに、相対変位する軸部材1と角型鋼管6との
間に、所定以上の相対変位を阻止する凹凸部(係合部)
20、21を形成しているので、大地震時に万一粘弾性
体7に過大な剪断変形が加わった場合においても、凸部
20が凹部21内の端部に係止されて、それ以上の相対
変位が阻止される。この結果、粘弾性体7の過大な変形
による剥離や破断を確実に防止することができる。
【0036】なお、上記実施の形態においては、いずれ
も軸部材1として十字型鋼材からなるものを用いた場合
に付いてのみ説明したが、これに限定されるものではな
く、当該軸部材として平板状鋼材を用い、その両面に一
対の角型鋼管6を相対変位自在に配設するとともに、角
型鋼管6同士を隣接部において互いに連結してもよく、
また、必ずしも移行部分4を弾性部分2と降伏部分3と
の間に形成する必要も無い。
【0037】また、角型鋼管6と軸部材1との固定につ
いても、上述した高力ボルト6aに限るものではなく、
溶接等の各種の固定構造を採用することができる。さら
に、軸部材1と角型鋼管6との過度の相対変位を阻止す
る係合部も、第2の実施形態に示した形状の凹凸部2
0、21に限定されるものではなく、例えばボルトと当
該ボルトが係合するルーズホール等の種々の形態の係合
部を適用することが可能である。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1〜3のい
ずれかに記載の複合制振ブレースによれば、軸部材の周
囲に座屈補剛材として機能する鋼管部材を相対変位自在
に配設し、かつ上記軸部材に間隙を有する不連続部を設
けるとともに、粘弾性体を利用した粘弾性ダンパーと軸
部材の降伏部分が奏する履歴型ダンパーとを直列に配置
した構成にしているため、小振幅の揺れに対しては、弾
性部分と鋼管部材との間に介装した粘弾性体による粘弾
性ダンパーが機能し、大振幅の揺れに対しては、降伏部
分における履歴型ダンパーによって、エネルギーを効果
的に吸収してその低減化を図ることができるために、簡
易軽量な構造にも拘わらず、構造物に生じる小振幅から
大振幅に至る様々な振動を低減することができる。
【0039】また、特に請求項2に記載の発明によれ
ば、不連続部を境にした軸部材の他方と鋼管部材との間
に、所定以上の相対変位を阻止する係合部を形成してい
るので、万一粘弾性体に過大な剪断変形が加わった場合
においても、上記係合部によって粘弾性体の剥離や破断
を確実に防止することが可能になるといった効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複合制振ブレースの第1の実施形
態を示す斜視図である。
【図2】図1の要部の縦断面図である。
【図3】図1の複合制振ブレースの作用を説明するため
の模式図で、(a)は引張力が作用した状態、(b)は
圧縮力が作用した状態を示すものである。
【図4】(a)は第2の実施形態における軸部材等の形
状を示す斜視図、(b)は第3の実施形態における軸部
材等の形状を示す斜視図、(c)は第4の実施形態にお
ける軸部材等の形状を示す斜視図である。
【図5】本発明の第5の実施形態を示す分解斜視図であ
る。
【図6】粘弾性ダンパーの特性を説明するための一部切
り欠いた斜視図である。
【符号の説明】
1 軸部材 1a、1b 端部 2 弾性部分 3 降伏部分 5、10、11、12 間隙 6 角型鋼管(鋼管部材) 6a 高力ボルト 7 粘弾性体 9 フラットバー 20 凸部 21 凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J048 AA03 AC01 BD08 EA38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両端部が構造物の骨組に接続される平板
    状鋼材または十字型鋼材からなる軸部材に、軸面積が大
    きい弾性部分と軸面積が小さい降伏部分とを形成し、こ
    の軸部材の表面に、当該表面と対向する表面を有する鋼
    管部材を相対変位自在に配設して、これら鋼管部材を互
    いに連結した複合制振ブレースにおいて、 上記弾性部分における上記軸部材と鋼管部材との間に粘
    弾性体を介装するとともに、上記軸部材に、上記複合制
    振ブレースの伸縮を吸収可能な間隙が形成された不連続
    部を設け、この不連続部を境にした上記粘弾性体が介装
    されていない側の上記軸部材に、上記鋼管部材を固定し
    たことを特徴とする複合制振ブレース。
  2. 【請求項2】 上記不連続部を境にした上記軸部材の他
    方と、上記鋼管部材との間に、所定以上の相対変位を阻
    止する係合部を形成したことを特徴とする請求項1に記
    載の複合制振ブレース。
  3. 【請求項3】 両端部が構造物の骨組に接続される平板
    状鋼材または十字型鋼材からなる軸部材に、軸面積が大
    きい弾性部分と軸面積が小さい降伏部分とを形成し、こ
    の軸部材の表面に、当該表面と対向する表面を有する鋼
    管部材を相対変位自在に配設して、これら鋼管部材を互
    いに連結した複合制振ブレースにおいて、 上記弾性部分における上記軸部材と鋼管部材との間に粘
    弾性体を介装するとともに、上記軸部材の上記弾性部分
    に、上記複合制振ブレースの伸縮を吸収可能な間隙が形
    成された不連続部を設けたことを特徴とする複合制振ブ
    レース。
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