JP2002158511A - 静磁波素子 - Google Patents

静磁波素子

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JP2002158511A
JP2002158511A JP2000355214A JP2000355214A JP2002158511A JP 2002158511 A JP2002158511 A JP 2002158511A JP 2000355214 A JP2000355214 A JP 2000355214A JP 2000355214 A JP2000355214 A JP 2000355214A JP 2002158511 A JP2002158511 A JP 2002158511A
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magnetostatic wave
face
groove
magnetostatic
yig
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Application number
JP2000355214A
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English (en)
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Takuji Umemoto
卓史 梅本
Koji Yamano
耕治 山野
Atsushi Maeda
篤志 前田
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 挿入損失を増大させることなく、通過帯域幅
を拡大することができるとともに、通過帯域内の周波数
特性を平坦化することができる静磁波素子を提供する。 【解決手段】 GGG基板3の上に形成したYIG膜を
階段形状の溝5によりYIG膜2a,2bに分離して端
面間の間隔が異なるYIG膜2a,2bを作成し、間隔
が異なる端面間で静磁波を共振させる2つのYIG膜2
a,2bを結合して共振器を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静磁波を伝搬させ
る静磁波材料を用いた静磁波素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、YIG(イットリウム−鉄−ガー
ネット)膜を用いた静磁波素子について種々の研究がな
されている。例えば、高周波用フィルタ等に用いられる
静磁波素子として、YIG膜を矩形に切断して対向する
端面間で静磁波を共振させる直線端共振器(Straight E
dge Resonator;SER )等が提案されている。
【0003】図5は、従来の静磁波素子の一例である上
記の直線端共振器の構成を示す概略斜視図である。
【0004】図5に示すように、従来の静磁波素子で
は、導電体14上に誘電体基板16が配置され、誘電体
基板16上にYIG膜12が配置され、YIG膜12上
にGGG(ガドリニウム−ガリウム−ガーネット)基板
13が配置される。また、YIG膜12の両側の誘電体
基板16上に、入力用電極11aおよび出力用電極11
bが配置されている。YIG膜12およびGGG基板1
3は、矩形形状に加工され、YIG膜12の長手方向に
沿った端面(入力用電極11aおよび出力用電極11b
と平行な端面)間で静磁波を共振させ、直線端共振器が
構成されている。
【0005】上記の構成により、入力用電極11aに入
力信号が入力されると、この入力信号に対応した高周波
磁界が入力用電極11aから発生される。このとき、入
力用電極11aおよび出力用電極11bに平行な方向に
直流磁界Hが印加されており、入力用電極11aから発
生される高周波磁界によりYIG膜12内に静磁波が誘
起され、この静磁波がYIG膜12内を伝搬して長手方
向に沿った端面間で共振する。この静磁波が出力用電極
11bにより電気信号に変換され、出力信号として取り
出される。このようにして、図5に示す静磁波素子は、
共振周波数に対応した所定の高周波信号を通過させる高
周波フィルタとして機能する。
【0006】上記の従来の静磁波素子は、1.4mm×
4mmと小型であり、簡略な構造によりYIG膜12の
長手方向に沿った端面間における静磁波の共振を主モー
ドとする共振器を構成することができる。しかしなが
ら、この主モードの共振がYIG膜12の長手方向にお
いて対向する端面(入力用電極11aおよび出力用電極
11bと直交する方向に沿う端面)間のモードの共振と
干渉を起こし、共振特性が双峰特性になることが指摘さ
れている。
【0007】上記の従来の静磁波素子の通過帯域幅を広
げるために、2つの直線端共振器を結合させた静磁波素
子も提案されている。図6は、2つの直線端共振器を結
合させた従来の静磁波素子の構成を示す概略斜視図であ
る。
【0008】図6に示す静磁波素子は、GGG基板13
と誘電体基板16との間に配置される2つのYIG膜1
2a,12bを備え、2つのYIG膜12a,12bの
内側の対向する端面が間隔Sだけ離間して平行になるよ
うに配置される。この静磁波素子では、2つのYIG膜
12a,12bがそれぞれ直線端共振器として機能する
とともに、2つの直線端共振器が結合され、YIG膜1
2a,12bの間隔Sを変化させることにより結合の強
さが変化する。
【0009】図7は、図6に示す従来の静磁波素子の周
波数特性を示す図である。例えば、間隔Sが約1mm以
下の場合、図7に示すように、挿入損失は約−15dB
となり、3dB帯域幅は約10MHzとなり、図5に示
す静磁波素子より通過帯域幅を拡大することができる。
【0010】また、近年では、無線LAN(Local Area
Network)等に採用されるスペクトル拡散通信方式にお
いて、2.4GHz帯のスペクトル拡散された入力信号
に重畳した狭帯域の妨害波を除去するために静磁波素子
を用いることが提案されている。この場合、静磁波素子
には、3dB帯域幅として約30MHz以上の広い帯域
幅が必要とされる。このため、静磁波素子には、周波数
選択性を持たせずに静磁波の伝搬可能帯域の全ての帯域
で入力信号をフィルタリングするYIG単結晶薄膜が用
いられており、この場合の通過帯域幅は、約900MH
zであり、挿入損失は約10dBである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6に
示す従来の静磁波素子では、図5に示す従来の静磁波素
子より通過帯域幅を拡大することはできるが、3dB帯
域幅が約10MHzであり、無線LAN等に用いられる
静磁波素子として通過帯域幅が狭すぎる。また、挿入損
失が約15dBと大きいため、この点でも、無線LAN
等に用いられる静磁波素子として使用することはできな
い。
【0012】また、上記の無線LAN等に用いられる従
来の静磁波素子では、通過帯域幅は十分であるが、通過
帯域幅の周波数特性の平坦性が悪く、フィルタリング後
の出力信号の復調に悪影響を与える可能性がある。
【0013】本発明の目的は、挿入損失を増大させるこ
となく、通過帯域幅を拡大することができるとともに、
通過帯域内の周波数特性を平坦化することができる静磁
波素子を提供することである。
【0014】本発明の目的は、挿入損失を増大させるこ
となく、通過帯域幅を拡大することができるとともに、
通過帯域内の周波数特性を平坦化することができ、さら
に、容易に製造することができる静磁波素子を提供する
ことである。
【0015】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
に係る静磁波素子は、第1および第2の端面を有し、静
磁波材料からなる磁性層を備え、磁性層は、第1の端面
と第2の端面との間で静磁波を伝搬させ、第2の端面
は、第1の端面に対して第1の間隔を有する第1の部分
と、第1の端面に対して第1の間隔と異なる第2の間隔
を有する第2の部分とを有するものである。
【0016】本発明に係る静磁波素子においては、磁性
層の第1の端面と第2の端面との間で静磁波が伝搬さ
れ、第2の端面の第1の部分は、第1の端面に対して第
1の間隔を有し、第2の部分は、第1の端面に対して第
1の間隔と異なる第2の間隔を有している。すなわち、
静磁波が伝搬される間隔として、磁性層内において第1
の間隔と第2の間隔との2つの間隔が設けられ、第1の
端面と第2の端面の第1の部分との間では、第1の間隔
の2倍の波長を有する静磁波が選択的に反射され、第1
の端面と第2の端面の第2の部分との間では、第2の間
隔の2倍の波長を有する静磁波が選択的に反射される。
【0017】したがって、選択的に反射することができ
る静磁波の波長の範囲が拡大し、挿入損失を増大させる
ことなく、静磁波素子の通過帯域幅を拡大することがで
きる。また、磁性層の第1の間隔と第2の間隔とが異な
り、磁性層とその周りの空間との間で静磁波に対するイ
ンピーダンスが急激に変化しないため、磁性層とその周
りの空間とのインピーダンスの整合性が改善され、通過
帯域内の周波数特性を平坦化することができる。この結
果、挿入損失を増大させることなく、通過帯域幅を拡大
することができるとともに、通過帯域内の周波数特性を
平坦化することができる。
【0018】第1の部分は、第1の端面に対して第1の
間隔で平行に配置された第1の端面部を含み、第2の部
分は、第1の端面に対して第2の間隔で平行に配置され
た第2の端面部を含むことが好ましい。
【0019】この場合、第1の端面部が第1の端面に対
して第1の間隔で平行に配置され、第2の端面部が第1
の端面に対して第2の間隔で平行に配置され、平行な各
端面間で静磁波をより選択的に反射することができる。
【0020】静磁波素子は、第1および第2の端面間で
静磁波を共振させる共振器であることが好ましい。
【0021】この場合、第1および第2の端面間で静磁
波が選択的に共振し、挿入損失を増大させることなく、
通過帯域幅を拡大することができるとともに、通過帯域
内の周波数特性を平坦化することができる共振器を実現
することができる。
【0022】磁性層は、第1および第2の端面と交わる
方向に所定間隔だけ隔てて配置される第1および第2の
磁性層を含むことが好ましい。
【0023】この場合、磁性層が所定間隔だけ隔てて配
置された第1および第2の磁性層から構成され、各磁性
層の第1の間隔と第2の間隔とが異なり、各磁性層とそ
の間の空間との間で静磁波に対するインピーダンスが急
激に変化しないため、各磁性層とその間の空間とのイン
ピーダンスの整合性が改善され、通過帯域内の周波数特
性をより平坦化することができる。
【0024】第1および第2の磁性層のうちの一方の上
に配置される入力用線路と、第1および第2の磁性層の
うちの他方の上に配置される出力用線路とをさらに備え
ることが好ましい。
【0025】この場合、入力用線路が一方の磁性層の上
に配置され、出力用線路が他方の磁性層の上に配置さ
れ、入力用線路および出力用線路と磁性層とが密着さ
れ、入力用線路および出力用線路と磁性層との間の損失
を低減することができ、挿入損失をより低減することが
できる。
【0026】本発明に係る静磁波素子は、第1および第
2の端面を有し、静磁波を伝搬させる静磁波材料から磁
性層を備え、磁性層は、第1および第2の端面間に形成
された少なくとも1本の溝により複数の磁性層に分離さ
れ、溝の断面は、少なくとも一つの段差を有する階段状
であるものである。
【0027】本発明に係る静磁波素子においては、磁性
層が第1および第2の端面間に形成された溝により第1
の端面と溝の一方の側面により形成される端面とを有す
る磁性層と、第2の端面と溝の他方の側面により形成さ
れる端面とを有する磁性層とに分離され、溝の断面が少
なくとも一つの段差を有する断面形状を有しているた
め、これらの磁性層のうち少なくとも一つの磁性層は、
端面間の間隔が異なり、間隔が異なる端面間で静磁波を
共振させる共振器を含む複数の共振器を結合した共振器
を作成することができる。
【0028】したがって、静磁波が伝搬される間隔とし
て少なくとも一つの磁性層内において異なる間隔が設け
られ、異なる波長を有する複数の静磁波を選択的に共振
させることができる。この結果、選択的に共振させるこ
とができる静磁波の波長の範囲が拡大し、挿入損失を増
大させることなく、静磁波素子の通過帯域幅を拡大する
ことができる。
【0029】また、溝の断面が階段状であるため、磁性
層と溝との間で静磁波に対するインピーダンスが急激に
変化せず、磁性層と溝とのインピーダンスの整合性が改
善され、通過帯域内の周波数特性を平坦化することがで
きる。
【0030】さらに、少なくとも1本の溝を形成するこ
とにより上記の共振器を作成することができるので、そ
の製造方法も容易となる。
【0031】この結果、挿入損失を増大させることな
く、通過帯域幅を拡大することができるとともに、通過
帯域内の周波数特性を平坦化することができ、さらに、
容易に製造することができる。
【0032】溝の断面形状は、溝の中央部が最も深くか
つ鏡面対称であることが好ましい。この場合、溝の断面
形状が中央部で最も深くかつ鏡面対称であるため、第1
および第2の端面に対して間隔の異なる端面を各磁性層
に容易に形成することができ、通過帯域幅をより拡大す
ることができるとともに、通過帯域内の周波数特性をよ
り平坦化することができる。
【0033】溝は、機械加工により形成された溝である
ことが好ましい。この場合、研削、研磨等の機械加工に
より溝を形成することができるので、化学的なエッチン
グやイオンミリング等に比べて略矩形形状の深い溝を、
磁性層の結晶性等に影響されず、磁性層の任意の位置に
高精度に形成することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態によ
る静磁波素子について図面を参照しながら説明する。図
1は、本発明の一実施の形態による静磁波素子の構成を
示す概略斜視図である。
【0035】図1に示す静磁波素子は、入力用電極1
a、出力用電極1b、2つのYIG(イットリウム−鉄
−ガーネット)膜2a,2b、GGG(ガドリニウム−
ガリウム−ガーネット)基板3および接地基板4を備え
る。
【0036】図1に示すように、接地基板4の上にGG
G基板3が配置され、GGG基板3の上にYIG膜2
a,2bが配置され、YIG膜2aの上に入力用電極1
aが配置され、YIG膜2bの上に出力用電極1bが配
置されている。YIG膜2a,2bには、永久磁石また
は電磁石等からなる磁界発生器(図示省略)によりYI
G膜2a,2bの長手方向に沿って直流磁界Hが印加さ
れている。
【0037】入力用電極1aおよび出力用電極1bは、
導電性の良好な金属からなり、例えば、Al、Cu、A
u、Ag等を用いることができ、その断面形状は、図示
のような四角形形状に特に限定されず、円形等の他の形
状であってもよい。
【0038】YIG膜2a,2bは、フェリ磁性体から
なる磁性層であり、例えば、GGG基板3の表面に液相
エピタキシャル成長させた磁性ガーネット単結晶膜であ
るY 3 Fe512単結晶膜を用いることができる。な
お、磁性層としては、この例に特に限定されず、静磁波
を伝搬することができれば、他の静磁波材料を用いても
よい。
【0039】YIG膜2a,2bは、本実施の形態で
は、例えば、その幅が約2mm、その長さが5mm、そ
の膜厚が25μmの矩形形状を有し、後述する機械加工
により形成された溝5によりGGG基板3上で分離され
るとともに、その長手方向の各端面が互いに平行になる
ように形成されている。なお、この場合のGGG基板3
の幅は4.5mmであり、その長さは5mmであり、そ
の厚さは400μmである。
【0040】次に、上記のように構成された静磁波素子
の溝5の断面形状について説明する。図2は、図1に示
す静磁波素子の概略断面図である。
【0041】図2に示すように、溝5の断面形状の上部
の幅t1は500μmであり、中間部の幅t2は300
μmであり、下部の幅t3は100μmであり、最も浅
い部分の深さd1は10μmであり、次に深い部分の深
さd2は20μmであり、最も深い部分の深さd3が3
0μmであり、中央部が最も深く鏡面対称の形状となっ
ている。
【0042】ここで、YIG膜2a,2bの厚さは25
μmであるため、GGG基板3の表面から深さ5μmだ
け溝5の中央部がGGG基板3にも形成されている。し
たがって、YIG膜2a,2bがGGG基板3上で完全
に分離され、YIG膜2a,2bの断面形状も溝5を中
心として鏡面対称となっている。なお、溝5の深さは、
YIG膜2a,2bを完全に分離することができればよ
く、YIG膜2a,2bの厚さと同一にしてもよく、ま
た、GGG基板3内により深く形成してもよい。
【0043】上記の断面形状を有する溝5により、YI
G膜2aでは長手方向の端面20aに対して第1〜第3
端面20b〜20dがそれぞれ平行に形成され、各端面
間の距離は100μmずつ異なっている。したがって、
端面20aと第1の端面20bとの間では、端面20a
と第1の端面20bとの間の第1の間隔の2倍の波長を
有する静磁波を主モードとして選択的に共振させる直線
端共振器が構成され、端面20aと第2の端面20cと
の間では、端面20aと第2の端面20cとの間の第2
の間隔(第1の間隔+100μm)の2倍の波長を有す
る静磁波を主モードとして選択的に共振させる直線端共
振器が構成され、端面20aと第3の端面20dとの間
では、端面20aと第3の端面20dとの間の第3の間
隔(第1の間隔+200μm)の2倍の波長を有する静
磁波を主モードとして選択的に共振させる直線端共振器
が構成されている。
【0044】また、溝5の断面が鏡面対称に形成されて
いるため、YIG膜2bにおいても、YIG膜2aと同
様に、端面21aと第1の端面21bとの間の第1の間
隔、端面21aと第2の端面21cとの間の第2の間隔
および端面21aと第3の端面21dとの間の第3の間
隔の2倍の波長を有する静磁波を主モードとして選択的
に共振させる直線端共振器が構成されている。
【0045】なお、溝5の断面形状は、上記の例に特に
限定されず、共振器を構成する端面間の間隔が異なるも
のであれば、他の形状を用いてもよく、例えば、テーパ
ー状、曲線状またはこれらを複合した形状等を用いても
よい。また、各端面をYIG膜2a,2bの長手方向に
沿って直線状に形成したが、長手方向に沿って階段状、
テーパー状、曲線状等の形状で端面を形成してもよい。
【0046】次に、上記のように構成された静磁波素子
の動作について説明する。まず、外部から入力信号が入
力用電極1aに入力されると、この入力信号に対応した
高周波磁界が入力用電極1aから発生される。このと
き、YIG膜2aの長手方向に沿って直流磁界Hが印加
されており、入力用電極1aから発生された高周波磁界
によりYIG膜2a内に静磁表面波が誘起される。
【0047】YIG膜2a内に誘起された静磁表面波の
うち端面20aと第1の端面20bとの間の第1の間隔
の2倍の波長を有する静磁波は、端面20aと第1の端
面20bとの間で選択的に反射され、このモードを主モ
ードとして選択的に共振する。
【0048】また、誘起された静磁表面波のうち端面2
0aと第2の端面20cとの間の第2の間隔の2倍の波
長を有する静磁波は、端面20aと第2の端面20cと
の間で選択的に反射され、このモードを主モードとして
選択的に共振する。
【0049】さらに、誘起された静磁表面波のうち端面
20aと第3の端面20dとの間の第3の間隔の2倍の
波長を有する静磁波は、端面20aと第3の端面20d
との間で選択的に反射され、このモードを主モードとし
て選択的に共振する。
【0050】上記のようにして、YIG膜2aでは、波
長の異なる3つの静磁波が選択的に共振され、これらの
静磁波をYIG膜2a内で効率よく伝搬させることがで
きる。
【0051】次に、YIG膜2aの第1〜第3の端面2
0b〜20dとYIG膜2bの第1〜第3の端面21b
〜21dとは溝5を介して平行に配置されており、YI
G膜2a,2bが共振器として結合される。このとき、
YIG膜2a,2bでは、各端面間の第1〜第3の間隔
が徐々に変化しているため、YIG膜2a,2bとその
間の溝5(空間、本実施の形態では空気)との間で静磁
波に対するインピーダンスが急激に変化せず、YIG膜
2a,2bと溝5とのインピーダンスの整合性が改善さ
れる。この結果、第1の間隔の2倍の波長から第3の間
隔の2倍の波長までの範囲の静磁波を溝5を介してYI
G膜2aからYIG膜2bへ効率よく伝搬させることが
できる。
【0052】ここで、YIG膜2bも、YIG膜2aと
同様に、端面21aに対して第1〜第3の端面21b〜
21dが設けられているので、上記と同様にして、端面
21aと第1〜第3の端面21b〜21dとの間の第1
〜3の間隔の2倍の波長を有する静磁波を選択的に共振
させ、YIG膜2bの長手方向に平行な端面間の主モー
ドの静磁波のみを効率よく伝搬させ、波長の異なる3つ
の静磁波をYIG膜2b内で効率よく伝搬させることが
できる。
【0053】このようにして、YIG膜2a,2bがそ
れぞれ共振器として動作するとともに、YIG膜2a,
2bと溝5とのインピーダンスの整合性が改善されて両
共振器が低損失で結合され、両共振器の主モードの静磁
波をより効率的に伝搬させることができる。効率よく伝
搬された静磁波は、出力用電極1bにより電気信号に変
換され、出力信号として取り出される。この結果、挿入
損失を増大させることなく、通過帯域幅を拡大すること
ができるとともに、通過帯域内の周波数特性を平坦化す
ることができる共振器を実現することができる。
【0054】次に、上記のように構成された静磁波素子
の製造方法のうち溝5の形成方法について説明する。図
3は、図1に示すYIG膜に溝を機械加工により形成す
る方法を説明するための概略斜視図である。
【0055】図3に示すブレード6は、ダイシングソー
装置において図中のy軸を回転中心として回転可能にか
つ図中のz軸に平行に移動可能に構成された円盤形ブレ
ードであり、その先端部の刃の断面形状は、矩形形状を
有しており、矩形形状の溝を形成することができる。ス
テージ台9は、ダイシングソー装置において図中のx軸
およびy軸にそれぞれ平行に移動可能に構成されかつ真
空チャッキング機能を有する。
【0056】ブレード6としては、例えば、平均粒径3
μmのダイヤモンド粒子を用いて電着法により形成さ
れ、ダイヤモンド粒子の充填率が50%で厚さが100
μmのダイヤモンドブレードを用いることができる。な
お、ブレード6としては、上記の例に特に限定されず、
粉末冶金法により形成されたブレード等を用いてもよ
く、また、砥粒を熱硬化性樹脂等により固化したブレー
ド等を用いてもよい。
【0057】まず、ブレード6をダイシングソー装置に
装着し、被加工物7をワックスによりカーボン台8上に
固定し、カーボン台8を真空チャッキングによりダイシ
ングソー装置のステージ台9上に固定する。被加工物7
は、長さが4.5mm、幅が5mmおよび厚さが400
μmのGGG基板3の上に厚さ25μmのYIG膜がエ
ピタキシャル成長により形成されたものである。
【0058】次に、ブレード6を図中の矢印方向に30
000rpmの回転数で回転させるとともに、−z方向
に移動させて所定位置に固定した状態で、ステージ台9
を−x方向に移動させて被加工物7のYIG膜に深さ1
0μmのストライプ状の溝を形成する。
【0059】次に、ステージ台9をy方向へ400μm
だけ移動させた後、上記と同様にブレード6を所定位置
に固定した状態で、ステージ台9を−x方向に移動させ
て被加工物7のYIG膜に深さ10μmのストライプ状
の溝を形成し、既に形成した溝と300μmだけ離間し
て並列に溝を形成する。
【0060】次に、ブレード6をz方向へ移動させた
後、ステージ台9を−y方向へ300μmだけ移動さ
せ、その後、ブレード6をさらに−z方向へ10μmだ
け移動させ、さらに、ステージ台9を−x方向に移動さ
せて被加工物7のYIG膜に深さ20μmのストライプ
状の溝を形成する。
【0061】次に、ステージ台9をy方向に200μm
だけ移動させた後、上記と同様にブレード6を所定位置
に固定した状態で、ステージ台9を−x方向に移動させ
て被加工物7のYIG膜に深さ20μmのストライプ状
の溝を形成し、既に形成した深さ20μmの溝と100
μmだけ離間して並列に溝を形成する。
【0062】次に、ブレード6をz方向へ移動させた
後、ステージ台9を−y方向へ100μmだけ移動さ
せ、その後、ブレード6をさらに10μmだけ−z方向
へ移動させ、さらに、ステージ台9を−x方向に移動さ
せて被加工物7のYIG膜およびGGG基板に深さ30
μmのストライプ状の溝を形成し、図1に示すようにG
GG基板3上に溝5により分離された2つのYIG膜2
a,2bが形成される。
【0063】その後、入力用電極1aおよび出力用電極
1bを所定のマスクを介して蒸着法等によりYIG膜2
a,2bの上にそれぞれ形成し、図1に示すような各段
差が10μmで最大の溝幅が500μmの3段の階段形
状を有する溝5を備える静磁波素子が作成される。
【0064】上記のように、本実施の形態では、機械加
工により溝5を形成しているので、所望の断面形状を有
しかつ所望の溝幅および溝深さを有するストライプ状の
溝を短時間で形成することができる。また、この機械加
工では、YIG膜の結晶性や結晶方向に依存することな
く、所望の方向に矩形状の溝を高精度に作成することが
できる。
【0065】なお、溝の形成順序は、上記の例に特に限
定されず、種々の変更が可能である。例えば、溝を片側
から順次形成したり、中央部から溝を形成したりしても
よく、また、幅の異なる複数のブレード、例えば、50
0μmの幅を有するブレードを用いて最も浅い溝を一度
に加工し、次に、300μm幅のブレードを用いて次に
深い溝を一度に加工し、最後に、100μm幅のブレー
ドを用いて最も深い溝を加工するようにしてもよい。
【0066】次に、上記の製造方法により作成した図1
に示す静磁波素子の周波数特性について説明する。図4
は、図1に示す静磁波素子の周波数特性を示す図であ
る。なお、作成した静磁波素子の周波数特性の測定時に
用いた直流磁界Hの磁場強度は、2.4×104 A/m
である。
【0067】図4に示すように、図1に示す静磁波素子
では、挿入損失が5.0dBと小さくなり、また、3d
B帯域幅が40MHzに拡大されるとともに平坦な特性
となっており、挿入損失を低下させることができるとと
もに、通過帯域幅を拡大することができ、さらに、通過
帯域内の周波数特性を平坦化することができた。
【0068】上記のように、本実施の形態では、YIG
膜がGGG基板3の上で溝5によりYIG膜2a,2b
に分離され、溝5の断面が階段状の断面形状を有してい
るため、端面間の間隔が異なるYIG膜2a,2bを作
成することができ、端面間で静磁波を共振させる2つの
YIG膜2a,2bを結合した共振器を作成することが
できる。
【0069】したがって、静磁波が伝搬される間隔とし
て、各YIG膜2a,2b内において3つの間隔が設け
られ、異なる波長を有する3つの静磁波が選択的に共振
される。この結果、選択的に共振される静磁波の波長の
範囲が拡大し、挿入損失を増大させることなく、静磁波
素子の通過帯域幅を拡大することができる。
【0070】また、溝5の断面が階段状であるため、各
YIG膜2a,2bと溝5との間で静磁波に対するイン
ピーダンスが急激に変化せず、各YIG膜2a,2bと
溝5とのインピーダンスの整合性が改善され、通過帯域
内の周波数特性を平坦化することができる。さらに、1
本の溝5を形成することにより上記の共振器を作成する
ことができるので、その製造方法も容易となる。
【0071】このように、本実施の形態では、挿入損失
を増大させることなく、通過帯域幅を拡大することがで
きるとともに、通過帯域内の周波数特性を平坦化するこ
とができ、さらに、容易に製造することができる。
【0072】上記のように、本発明による静磁波素子
は、挿入損失が小さく、通過帯域幅が広く、かつ通過帯
域内の周波数特性が平坦化な共振器として動作すること
ができるので、種々のフィルタリング用途に好適に用い
ることができる。例えば、直接拡散方式、周波数ホッピ
ング方式等のスペクトル拡散通信方式を用いた妨害波除
去装置の高周波フィルタとして好適に用いることがで
き、無線LAN(Local Area Network)、CDMA(Co
de Division Multiple Access )方式の携帯電話等のい
わゆるセルラー無線システム等に用いることができる。
【0073】なお、上記の説明では、YIG膜2a,2
bの間に階段状の断面を有する溝5を形成して2つの共
振器を結合する例を示したが、YIG膜2a,2bの間
に断面が矩形形状の1本の溝を形成し、分離された2つ
のYIG膜の外側の端面に階段状の端面を形成しても、
同様の効果を得ることができる。また、共振器の結合数
は、上記の2個に特に限定されず、少なくとも1つの共
振器を構成するYIG膜において端面間の間隔が異なっ
ていれば、共振器を単独で用いてもよく、また、3個以
上の複数の共振器を結合して用いてもよい。
【0074】また、本実施の形態では、入力用電極と平
行な方向に沿って直流磁界を印加して静磁表面波を用い
たが、直流磁界の印加方向は、この例に特に限定され
ず、他の方向に沿って印加して静磁後進体積波または静
磁前進体積波等を用いてもよい。また、印加する直流磁
界の磁場強度も、上記の例に特に限定されず、種々の変
更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による静磁波素子の構成
を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す静磁波素子の概略断面図である。
【図3】図1に示すYIG膜に溝を機械加工により形成
する方法を説明するための概略斜視図である。
【図4】図1に示す静磁波素子の周波数特性を示す図で
ある。
【図5】従来の静磁波素子の一例である直線端共振器の
構成を示す概略斜視図である。
【図6】2つの直線端共振器を結合させた従来の静磁波
素子の構成を示す概略斜視図である。
【図7】図6に示す従来の静磁波素子の周波数特性を示
す図である。
【符号の説明】
1a 入力用電極 1b 出力用電極 2a,2b YIG膜 3 GGG基板 4 接地基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 篤志 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 5E049 AA10 AB06 AC05 BA30 CB01 5J006 HD04 JA01 LA05 LA07 NA08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2の端面を有し、静磁波材
    料からなる磁性層を備え、 前記磁性層は、前記第1の端面と前記第2の端面との間
    で静磁波を伝搬させ、 前記第2の端面は、前記第1の端面に対して第1の間隔
    を有する第1の部分と、前記第1の端面に対して前記第
    1の間隔と異なる第2の間隔を有する第2の部分とを有
    することを特徴とする静磁波素子。
  2. 【請求項2】 前記第1の部分は、前記第1の端面に対
    して前記第1の間隔で平行に配置された第1の端面部を
    含み、 前記第2の部分は、前記第1の端面に対して前記第2の
    間隔で平行に配置された第2の端面部を含むことを特徴
    とする請求項1記載の静磁波素子。
  3. 【請求項3】 前記静磁波素子は、前記第1および第2
    の端面間で静磁波を共振させる共振器であることを特徴
    とする請求項1または2記載の静磁波素子。
  4. 【請求項4】 前記磁性層は、前記第1および第2の端
    面と交わる方向に所定間隔だけ隔てて配置される第1お
    よび第2の磁性層を含むことを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の静磁波素子。
  5. 【請求項5】 前記第1および第2の磁性層のうちの一
    方の上に配置される入力用線路と、前記第1および第2
    の磁性層のうちの他方の上に配置される出力用線路とを
    さらに備えることを特徴とする請求項4記載の静磁波素
    子。
  6. 【請求項6】 第1および第2の端面を有し、静磁波を
    伝搬させる静磁波材料から磁性層を備え、前記磁性層
    は、前記第1および第2の端面間に形成された少なくと
    も1本の溝により複数の磁性層に分離され、前記溝の断
    面は、少なくとも一つの段差を有する階段状であること
    を特徴とする静磁波素子。
  7. 【請求項7】 前記溝の断面形状は、前記溝の中央部が
    最も深くかつ鏡面対称であることを特徴とする請求項6
    記載の静磁波素子。
  8. 【請求項8】 前記溝は、機械加工により形成された溝
    であることを特徴とする請求項6または7記載の静磁波
    素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100443665B1 (ko) * 2001-09-14 2004-08-11 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 단면 반사형 표면파 장치 및 그 제조방법

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KR100443665B1 (ko) * 2001-09-14 2004-08-11 가부시키가이샤 무라타 세이사쿠쇼 단면 반사형 표면파 장치 및 그 제조방법

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