JP2001521122A - 可変剛性ベローズ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 表面に複数の***円周コンボリュートを形成したチューブを含むベローズであって、コンボリュートの少なくとも１つが、その一部分がチューブの表面とほぼ同じ高さになるように形成されているベローズについて開示する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （背景） （１．発明の分野） 本発明は、自動車産業などで使用される空気ダクトの分野に関する。

【０００２】 （２．関連技術の説明） 一般に空気ダクトは、例えば空気ダクトがエンジンに空気を運ぶ自動車で使用
される。空気はターボチャージャを通過する。この場合、ダクトを流れる空気は
、最高１８０℃の温度まで加熱されるが、一般の空気は、１４０〜１６０℃まで
加熱される。

【０００３】 このような空気ダクトは、様々なブロー成形技法により製造されることが多い
。連続押し出しブロー成形技術を利用して、複数のハードおよびソフトセグメン
トを結ぶ、一体型の空気ダクトを製造する。

【０００４】 従来の空気ダクト部分の例を図１および図２に示す。図には、複数のコンボリ
ュート７が成形された第１のチューブ５と、ベローズ３の一端に接続された第２
のチューブ９と、ベローズ３の別端に接続された第３のチューブ１１とを含むベ
ローズ３を備えた空気ダクト１が示されている。基本的にコンボリュート７は、
第１のチューブ５の表面に形成された立ち上がり円周張り出し部となっている。
柔軟な材料のセグメントは、一般に直線的なチューブ部分に位置し、コンボリュ
ートと結合され、組立て、エンジン移動、衝撃吸収、ＮＶＨ（騒音、振動、およ
び不具合）の制御を目的として空気ダクトの偏向および分離ができるようになっ
ている。分離できるということは、空気ダクトが、空気ダクトの接続先であるエ
ンジンのその他の部品とは独立して移動できるように製造されていることである
。空気ダクトの端部は、空気ダクトをエンジンに接続し、この端部も、エンジン
への端部の接続がより柔軟にできるように、柔軟な材料でできている。

【０００５】 従来のブロー成形空気ダクトの問題点は、ベローズが、熱可塑性エステルエー
テルエラストマ（ＴＥＥＥ）やフレキシブルポリアミドなど、ソフトな材料でで
きているため、温度および圧力がかかると、長手方向、すなわち軸方向にベロー
ズが伸びすぎることである。

【０００６】 （発明の概要） 請求項１に記載のベローズ。

【０００７】 （詳細な説明） 本発明は、表面に複数の***円周コンボリュートが形成された第１のチューブ
を含むベローズであって、少なくとも１つのコンボリュートが、その一部分が第
１のチューブの表面とほぼ同じ高さになるように形成されているベローズに関す
る。ベローズがダクトの一部分である場合、ベローズの一端に接続した第２のチ
ューブおよびベローズの別端に接続した第３のチューブも設けられる。

【０００８】 可変剛性ベローズでは、ベローズが曲がる方向を制御することができる。さら
に、本発明は、ベローズの長手方向の伸びを制御するものである。事実、本発明
のベローズは、長手方向（軸方向）の伸びが、従来のベローズに比べて非常に少
ない。

【０００９】 空気や液体などの流体が、圧力がかかった状態でダクト内を移動すると、ダク
トの突出面にかかる圧力により力が発生し、この力がベローズを引っ張り、変形
させる。この力により材料応力が発生し、その結果、時間の経過とともに材料は
クリープを起こし、ダクトが設計許容限度から外れる。したがって、ダクトが望
ましくない動きをしてその他の部品に接触し、そのためにダクトまたはダクトが
接触する部品が損傷する場合がある。ダクトは、エンジンで使用されると、高温
表面に接触し、損傷することもある。

【００１０】 また、本発明のベローズによれば、ダクトを分離することができる。すなわち
、本発明のベローズを使用すれば、エンジンのその他の部品とは無関係にダクト
が移動可能となる。ダクトの分離により、剪断応力が、ベローズに接続されたチ
ューブ部分にかからなくなったり、大幅に減少したりする。

【００１１】 以下、図を参照して説明する。図３および図４に、本発明に従って構成した可
変剛性ベローズ１５を備えたダクト１３を示す。ベローズ１５は、複数のコンボ
リュート１９が形成された第１のチューブ１７を含む。ダクト１３は、ベローズ
１５、ベローズ１５の一端に接続された第２のチューブ２１、およびベローズ１
５の別端に接続された第３のチューブ２３を含む。

【００１２】 図５に示すように、基本的にコンボリュート１９は、第１のチューブ１７の表
面に形成された***円周張り出し部になっている。しかし図１に示す従来のコン
ボリュート７とは異なり、コンボリュート１９は、第１のチューブ１７の全周に
わたって形成されているのではなく、少なくともコンボリュート１９の１つが、
その一部分が第１のチューブ１７の表面とほぼ同じ高さになるように形成されて
いる。図３では、コンボリュート１９はすべて、その一部分がチューブ１７の表
面とほぼ同じ高さになるように形成されている。

【００１３】 図３および図４において、コンボリュート１９の方位は、すべて同じ方向にな
っているが、その必要はない。図６および図７を参照すると、ベローズ２７を有
するダクト２５が示してあり、このベローズは、図３の場合と同様に形成された
コンボリュート２９を含み、さらにコンボリュート２９と同一形状であるが、コ
ンボリュート２９から角度９０°の位置に形成されたコンボリュート３１を含む
。本構成によれば、コンボリュート２９の***部分は、コンボリュート３１の平
坦部分と部分的に重なっており、コンボリュート３１の***部分は、コンボリュ
ート２９の平坦部分と部分的に重なっている。ベローズ２７のコンボリュート２
９、３１の方位により、ダクトの剛性が制御され、したがって、所与の方向への
ダクトの屈曲能力が制御される。

【００１４】 図３のベローズ１５には、従来技術のベローズ３と比較して重要な利点が２つ
ある。先ず１つは、ベローズ１５が、ｘ方向へのダクト１３の長手方向伸長を制
限することである。コンボリュート１９の平坦部分に剛性があるため、このよう
に伸びが改善される。そして２つには、ベローズ１５により、ダクト１３がｙ方
向には曲がるが、ｚ方向へのダクト１３の屈曲が制限されることである。

【００１５】 図６のベローズ２７は、ダクト２５が、ｙ方向およびｚ方向に均等に曲がるよ
うな構成になっている。さらにベローズ２７も、ダクト２５のｘ方向への長手方
向伸長を制限する。

【００１６】 図５に示すコンボリュート１９は、平坦部分から立ち上がり部分まで均一した
厚さを有しているが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。コン
ボリュート１９の厚さは、楕円形状の場合のように、均一になっていないことも
ある。第１のチューブ１７は、第２のチューブ２１および／または第３のチュー
ブ２３と同じ厚さになっているか、または異なる厚さになっている。

【００１７】 チューブ１７から上のコンボリュート１９の高さは、図中、均一になっている
が、コンボリュート１９の高さはコンボリュートごとに異なる場合もある。

【００１８】 図８を参照すると、この図には、図３のコンボリュート１９の断面図が示して
ある。図６のコンボリュート２９は、図３のコンボリュート１９と同じ形状にな
っている。

【００１９】 コンボリュートの形状は、本発明にとって重要なものではない。コンボリュー
トは図５に半円として示してあるが、本発明は、このような形状のコンボリュー
トに限定されるものではない。本発明の利点が得られる限りにおいて、コンボリ
ュートは、三角形、矩形、台形、またはその他の形状であってよい。

【００２０】 可変剛性ベローズは、特定の数のコンボリュートに限定されるものではない。
使用するコンボリュートの数は、ベローズの用途あるいはベローズを含むダクト
の用途によって決まる。

【００２１】 本明細書で使用する「ダクト」という用語は、限定的なものではなく、パイプ
やホースなど、その他の流体運搬手段を含む。また、図示したダクトは、ベロー
ズを１つ含んでいるが、ダクトの構成次第では、１つのダクトに複数のベローズ
を使用してもよい。

【００２２】 本発明のベローズおよびダクトは、ブロー成形によって製造することが好まし
いが、本発明は、ブロー成形に限定されるものではなく、当業者に知られている
従来の手段によって製造してもよい。

【００２３】 ブロー成形により製造する場合、ベローズおよびダクトは、ブロー成形可能な
熱可塑性樹脂で製造して差し支えない。「熱可塑性樹脂」という用語には、合成
ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ブロックポリエステルエーテルコ
ポリマー、エチレンプロピレンジエンエラストマー（ＥＰＤＭ）、ポリプロピレ
ンなどのオレフィン、およびこれらの混合物を含む。

【００２４】 （実施例） 例１は、図１に示したダクトを使用した比較例である。例２は、図３および図
４に示した可変剛性ベローズを有するダクトを使用した、本発明の例である。例
３は、図５および図６に示した可変剛性ベローズを有するダクトを使用した、本
発明の例である。

【００２５】 ベローズの壁厚は、２．０ｍｍと均一になっており、ベローズに接続したチュ
ーブ部分の壁厚は、３．０ｍｍと均一になっている。

【００２６】 以下の例では、図１、図３、および図６に示した３つのベローズが、それぞれ
以下の手順に従って評価されている。第２のチューブは、ベローズから離れた端
部でクランプされ、静止状態に保持され、第３のチューブは、キャップで閉鎖さ
れている。１２０℃で１．５ｂａｒ（圧力形の指示値）の内圧が、ダクト全体に
かけられる。すなわち、圧力は、ダクト、第２のチューブ、ベローズ、および第
３のチューブを介して端部キャップ面にかかる。端部にキャップを被せたダクト
の側部は、ｘ軸に沿って自由に伸長する。

【００２７】 ダクトはＴＥＥＥ製になっている。

【００２８】 ３つの各ダクトについて、以下の特性を測定する。（１）ダクト内外の材料表
面の材料ひずみ、（２）材料の応力、（３）ｘ軸に沿った長手方向（軸方向）の
部品変形、（４）ｙ軸およびｚ軸に沿った半径方向の部品変形

【００２９】

【表１】

【００３０】 本発明によって構成した可変剛性ベローズを有するダクトの物理的特性が、
予想外に向上することが、例からわかる。

【００３１】 具体的に述べると、例２および例３の場合、材料ひずみおよび材料応力の測定
結果は、比較例１を上回る。すなわち、ダクトの材料に劣化がないことを示して
いる。

【００３２】 例２および例３は、比較例１に比べて、ダクトの長手方向の伸びが著しく減少
していることを示す。例２の場合、比較例１と比べて、長手方向の伸びが７６％
減少し、例２の場合、比較例１と比べて、長手方向の伸びが５４％減少している
。

【００３３】 例２および例３のダクトのｙおよびｚ半径方向の変形は、比較例１の結果より
も良好である。これは、このような試験環境に置いた場合、ダクトに望ましくな
い変形が発生しないことを示している。

【図面の簡単な説明】

【図１】 従来のベローズ構成のダクトの側面図である。

【図２】 図１のダクトの見取図である。

【図３】 本発明によるベローズ構成のダクトの側面図である。

【図４】 図３のダクトの見取図である。

【図５】 線５−５についての、図４のダクトの断面図である。

【図６】 本発明によるベローズ構成のダクトの側面図である。

【図７】 図６のダクトの見取図である。

【図８】 線８−８についての、図３のダクトの断面図である。

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１２年４月２５日（２０００．４．２５）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【特許請求の範囲】

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数の***円周コンボリュートが表面に形成されたチューブ
   を具備するベローズであって、 コンボリュートの少なくとも１つはその一部分がチューブの表面とほぼ同じ高
   さになるように形成されていることを特徴とするベローズ。
2. 【請求項２】 その一部分がチューブの表面とほぼ同じ高さであるコンボリ
   ュートが同じ方向を向いていることを特徴とする請求項１に記載のベローズ。
3. 【請求項３】 その一部分がチューブの表面とほぼ同じ高さであるコンボリ
   ュートが異なる方向を向いていることを特徴とする請求項１に記載のベローズ。
4. 【請求項４】 請求項１に記載のベローズを含むことを特徴とするダクト。