JP2001160835A - 無線受信機 - Google Patents

無線受信機

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JP2001160835A
JP2001160835A JP34283199A JP34283199A JP2001160835A JP 2001160835 A JP2001160835 A JP 2001160835A JP 34283199 A JP34283199 A JP 34283199A JP 34283199 A JP34283199 A JP 34283199A JP 2001160835 A JP2001160835 A JP 2001160835A
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gain
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JP34283199A
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Yasumi Imagawa
保美 今川
Hiroyuki Harada
博之 原田
Kazunori Yamada
一則 山田
Hiroshi Haruki
宏志 春木
Takashi Ui
孝 宇井
Koichi Nagase
幸一 長瀬
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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  • Digital Transmission Methods That Use Modulated Carrier Waves (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の検波手段を有効に活用し、複数のスロッ
ト毎に異なる周波数及び受信信号強度でも正確に直流オ
フセット電圧を調整し安定して受信する受信機を提供す
る。 【解決の手段】第1の中間周波数信号を第2の中間周波
数信号に直交変換する第1の中間周波数信号処理手段1
4と、第2の中間周波数信号を帯域制限する第2の中間
周波数信号処理手段16と、前記第2の中間周波数信号
処理手段の出力信号を直交変調して第3の中間周波数信
号にする第3の中間周波数信号処理手段16と、第3の
中間周波数信号処理手段で検出された電圧が所定の直流
オフセット電圧かを判定する直流オフセット電圧量判定
手段22と、検出された電圧を粗調整する第1、第2の
直流オフセット電圧調整手段25,26と、粗調整の結
果を微調整する第3、第4の直流オフセット電圧調整手
段27,28とからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、間欠的に受信動作
する無線受信機であって、特に直交するベースバンドの
I、Qアナログ信号、すなわちゼロIF(ゼロ中間周波
数)をもとに信号処理し、検波・復調するよう構成し、
ベースバンドで生じた直流オフセット電圧を自動調整す
るようにした無線受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ダイレクトコンバージョン受信方
式に代表されるゼロIF受信機が無線端末の小型化及び
ローコスト化を実現する手段のひとつとして注目されて
いる。以下、その第1の例を、図37に示す代表的なダ
イレクトコンバージョン受信機により説明する。図37
は直流オフセット電圧調整機能と自動利得制御機能を有
するゼロIF受信機の第1の従来例の構成を示すブロッ
ク図である。
【0003】図37において、アンテナ501で受信し
た無線信号は、多段階の利得設定手段を有する高周波ア
ナログ信号処理手段502の低雑音アンプ502aで増
幅され、直交ミキサ502bにおいて、無線信号とほぼ
同じ周波数である局部発振手段503の局部発振器50
3aの出力を直交位相関係の2つの出力とする移相器5
03bのそれぞれの出力とをミキシングして、直交関係
にあるベースバンドのI、Q信号すなわちゼロIFに直
接変換される。ベースバンド信号処理手段505は、ベ
ースバンド増幅器505a、505cで受信信号を所望
のレベルまで増幅し、チャネル選択フィルタ505b、
505dで帯域を制限して不要波を除去する。中間周波
数信号処理手段508で検波・復調するためにアナログ
信号処理された受信信号とインターフェースをとる後処
理を行い、検波手段509で検波・復調する。このダイ
レクトコンバージョン受信方式ではベースバンドに生じ
る直流オフセット電圧は、各回路ブロック間を容量結合
504a、504b、507a、507bにより補正す
るようにしていた。
【0004】また、受信した無線信号に対して無線受信
機のダイナミックレンジを広くとる手段としては自動利
得制御が有効である。それは、受信した無線信号の強度
を検出し、自動利得制御手段510により高周波アナロ
グ信号処理手段502に設けられている複数の利得切り
替え手段による多段階の利得設定手段により自動利得制
御を行うようにしていた。
【0005】ダイレクトコンバージョン受信機をはじめ
とするゼロIF受信機では、ベースバンドに生じる直流
オフセット電圧の原因として、直交ミキサの自己ミキシ
ングとベースバンド信号処理手段を構成する素子間の不
整合性によるものが代表的な原因である。
【0006】以下、図37に基づき、直流オフセット電
圧の発生原因について説明する。無線信号と局部発振手
段503の周波数がほぼ等しい、直接ベースバンドに直
交復調するダイレクトコンバージョン受信機では、集積
回路化された直交ミキサ502bのLOポート502
e、502f入力レベルは通常100dBuVEMF以
上必要である。直交ミキサ502bのLOポート502
e、502fからRFポート502dへのポート間の空
間結合等によるアイソレーションは20dB〜40dB
程度得られる。しかし、RFポート502dへは常にL
Oポート502e、502fから60〜80dBuVE
MFの局部発振手段の出力信号が漏洩している。LOポ
ート502e、502fとRFポート502d間のアイ
ソレーション及び位相は空間結合状態等により変化す
る。RFポート502dとLOポート502e、502
fの信号が同一周波数であり、直交ミキサ502bは自
己ミキシングによる位相検波動作を行い位相差に応じた
直流成分をベースバンドに出力する。このため、直流オ
フセット電圧補正のない無線受信機では各回路ブロック
間は容量結合する必要がある。
【0007】また、低雑音アンプ502aの出力502
d(直交ミキサ502bのRFポート)から入力502
cへのアイソレーションは20dBから30dB程度確
保できるが、低雑音アンプ502aの入力502cには
30〜60dBdBuVEMFの無線信号とほぼ同じ周
波数の局部発振手段の出力信号が漏洩する。この信号が
アンテナ501を通して輻射される。この場合、他の無
線受信機へ妨害を与える可能性があった。
【0008】次に、図37に基づき、直流オフセット電
圧の補正について説明する。自己ミキシングやべースバ
ンド信号処理手段での素子間の不整合性により生じた直
流オフセット電圧を除去するために各回路ブロック間は
容量結合が必要となる。また、間欠受信動作時の受信機
電源断からの起動においては容量結合両端の直流電圧が
安定し、受信可能となる電圧平衡状態までの時定数が結
合容量値に比例して長くなる。ページャなどのフレーム
長が長い信号フォーマットシステムにおいては、間欠受
信動作時の受信機電源断からの起動では、十分な起動時
間が確保できるが、PDC、PHSなどに代表されるT
DMA方式のフレーム長の短かい信号フォーマットシス
テムにおいては、間欠受信動作時の電源断からの起動時
間は確保するのが難しい。
【0009】また、低変調指数の2値及び多値FSK、
PSK、QAMなどの様に直流域においても信号成分が
存在する変調方式の場合には、容量結合504a、50
4b、507a、507bによりHPF(ハイパスフィ
ルタ)特性を示すため、信号スペクトラムの直流近傍が
欠落してしまう。この結果、ベースバンドのI、Qの信
号帯域内の信号欠落と群遅延偏差が大きくなり、符号間
干渉などにより受信特性が劣化する可能性があった。
【0010】次に、図37及び図38に基づき、自動利
得制御について説明する。図38において、511は直
流バイアス変動、512は直流バイアス安定時間を示
す。自動利得制御手段510により、高周波アナログ信
号処理手段502の利得切り替えを行った場合に、ベー
スバンド信号処理手段505では、直流バイアス変動5
11が発生し結合容量504a、504b、507a、
507bによる直流バイアス安定時定数512のため、
受信可能な電圧平衡状態になる前に所望の無線信号が入
力され、受信特性が劣化することがあった。
【0011】以下、従来技術の第2の例として、図39
に基づき、ベースバンド信号処理手段を直流的に結合
し、再度直交変調する構成の無線受信機を説明する。図
39は直流オフセット電圧調整機能と自動利得制御機能
を有するゼロIF受信機の第2の従来例の構成を示すブ
ロック図である。図39に示す無線受信機は特開平7−
111471号公報の記載に基づくものである。
【0012】以下の説明において、図37に示す符号と
同一の符号を有するものは同様な機能のものである。図
39において、アンテナ501と高周波アナログ信号処
理手段502と局部発振手段503は、第1の例と同様
であり説明は省略する。ベースバンド信号処理手段50
5は、チャネル選択フィルタ505b、505dで帯域
を制限して不要波を除去する。ベースバンド信号出力
と、局部発振手段523の局部発振器523aの出力を
直交位相関係の2つの出力とする移相器523bを中間
周波数信号処理手段522のミキサ522a、522e
と加算器522iからなる直交変調器で再変調する。バ
ンドパスフィルタ(以下BPF)522jで帯域を制限
し、リミッタアンプ522kで振幅制限し、検波手段5
09で検波・復調する。I、Qそれぞれのベースバンド
で生じた直流オフセット電圧はミキサ522a、522
eで直流オフセット電圧に対応したキャリアリークとな
って現れる。ミキサ522b、522fでミキサ522
a、522eと同一の局部発振信号でミキシングし、フ
ィルタ522c、522gで高周波成分を除去すると直
流オフセット電圧に対応した検波出力電圧が得られる。
【0013】その後、誤差増幅アンプ522d、522
hで増幅し減算器521a、521bにアナログ負帰還
524a、524bをかけることにより中間周波数信号
処理手段522のキャリアリークを抑圧することが出来
る。この結果ベースバンドの直流オフセット電圧を補正
することになる。また、無線信号の受信信号強度を検出
し、自動利得制御手段510により、高周波アナログ信
号処理手段502にアナログ負帰還525を構成し自動
利得制御を行うようにしていた。
【0014】次に、図39に基づき、直流オフセット電
圧の補正について説明する。この構成では、直流オフセ
ット電圧の補正はアナログ負帰還で構成しているため、
安定した動作を実現するためには、ループ時定数が長く
なり直流オフセット電圧補正が完了するまでの補正時間
が長くなる。更に、受信機電源断からの起動において、
高速に動作を開始するために急速起動回路等で対応する
ことも考えられるが、PHS、PDCなどのTDMA方
式のようにフレーム長の短かい信号フォーマットシステ
ムにおいては、起動時間を十分確保できない可能性があ
った。
【0015】またこの構成の直流オフセット電圧補正手
段では、アナログ負帰還524a、524bにより見か
け上直流結合が可能だが、アナログ帰還による構成であ
るため、HPFと同様の周波数特性となるため、ベース
バンドのI、Qの信号帯域内の信号欠落と群遅延偏差が
大きくなり、符号間干渉などにより受信特性が劣化する
可能性があった。更に、ベースバンドのI、Qの直流オ
フセット電圧を同時に補正するため、ベースバンドの
I、Qにそれぞれ直流オフセット電圧補正回路が必要と
なり回路規模を大きくしていた。
【0016】次に、図39に基づき、自動利得制御につ
いて説明する。図39において、この構成では、自動利
得制御はアナログ負帰還525で構成しているため、安
定した動作を実現するためにはループ時定数が長くな
り、利得設定が完了するまでの収束時間が長くなる。更
に、受信機電源断からの起動においては、PHS、PD
CなどのTDMA方式のようにフレーム長の短かい信号
フォーマットシステムにおいては利得設定が完了するま
での収束時間を確保することができない。
【0017】以下、従来技術の第3の例として、図40
に基づき、短いフレーム長の信号フォーマットに対応し
たベースバンド信号処理部の直流オフセット電圧補正手
段により、ベースバンド信号処理手段を直流結合した無
線受信機により説明する。図40は直流オフセット電圧
調整機能と自動利得制御機能を有するゼロIF受信機の
第3の従来例の構成を示すブロック図である。図40に
示す無線受信機は特開平7−111471号公報の記載
に基づくものである。
【0018】図40において、アンテナ501で受信し
た無線信号は、無線信号を切断するスイッチ手段559
を通過し、高周波アナログ信号処理手段551の多段階
の利得設定手段を有する低雑音アンプ551aで増幅さ
れ、局部発振手段552とミキサ551bでミキシング
し、フィルタ551cで不要波を除去し、中間周波数と
ほぼ同じ周波数である局部発振手段554の局部発振器
554aの出力を一対の直交位相関係の出力とする移相
器554bのそれぞれ出力とを直交ミキサ553でミキ
シングし、直交関係にあるベースバンドのI、Q信号、
すなわちゼロIFに変換する。ベースバンド信号処理手
段555では、チャネル選択フィルタ555b、555
eで帯域制限して不要波を除去し、多段階の利得設定手
段を有するベースバンド増幅器555c、555fで受
信信号を所望のレベルまで増幅する。
【0019】ベースバンド増幅器555c、555fで
増幅された受信信号はADコンバータ556a、556
bで量子化され、検波手段509で検波・復調される。
またベースバンド直流オフセット電圧の補正は、ADコ
ンバータ556a、556bの出力をディジタル信号処
理手段557に設けられた、直流オフセット電圧検出手
段557a、557dにおいて直流オフセット電圧を検
出し、その値を直流オフセット電圧保持手段557b、
557fに保持し、DAコンバータ558a、558b
によりアナログ量に変換して出力し、減算器555a、
555dで減算することにより行われる。また、直流オ
フセット電圧の補正後は減算器557c、557gでデ
ィジタル的に補正するようにしていた。また、自動利得
制御は、無線信号強度を検出して、自動利得制御510
により低雑音アンプ551aと、ベースバンド増幅器5
55c、555fの可変利得機能を制御することにより
行うようにしていた。
【0020】次に、図40及び図41を参照して、直流
オフセット電圧の補正について詳細に説明する。図41
は図40に示す無線受信機のスイッチ手段559の詳細
を示す図である。スイッチ手段559はスイッチ559
a、559bと終端器559cとから構成される。
【0021】図40及び図41において、ベースバンド
I、Qの直流オフセット電圧の補正を行う際、高周波ア
ナログ信号処理手段551に対する無線信号を無入力と
するため、スイッチ手段559のスイッチ559aによ
りアンテナ501と低雑音アンプ551aを解放し、変
わってスイッチ559bを閉じ、低雑音アンプ入力を終
端器559cで終端して無入力状態をつくる。しかし、
通常TDMA方式で使用されるアンテナスイッチにおい
ては解放時の入力−出力間アイソレーションは30dB
程度しか確保できない、また低雑音アンプ551a入力
が終端されていても完全な無入力状態とすることは難し
く、更に高周波信号をスイッチする箇所が増えるため、
アンテナ501で受信した無線信号の強度が低下して感
度が劣化してしまうという可能性があった。
【0022】また局部発振手段552と局部発振手段5
54の周波数関係が、無線信号周波数に対し、それぞれ
4/5と1/5の周波数である場合、受信する無線信号
に応じて局部発振手段554の周波数も変化させる必要
がある。直流オフセット電圧の補正が完了している状態
で無線信号周波数が切り替えられた場合には、直交ミキ
サ553のLOポート553b、553cからRFポー
ト553aへの漏洩信号は漏洩経路の周波数特性によ
り、位相・振幅が変化し、自己ミキシングによるベース
バンド出力の直流オフセット電圧が変化する。その結
果、直流オフセット電圧の補正に誤差が生じ、受信した
無線信号と直流オフセット電圧をそれぞれS、Nとした
ときのSN比が確保出来なくなり感度が劣化してしまう
という可能性があった。
【0023】また、直流オフセット電圧の補正は、受信
スロット以外の期間に行う必要がある(前述の特平開7
−111471号でも示している)。通常の通信におい
ては、決められた送信、受信各1スロットを用いるが、
高速データ転送を行う場合には、受信スロットを複数使
用した多スロット受信を実現することができる。受信該
当スロットと同一周波数の次隣接スロットを使用する場
合は、ゼロIF受信機においても比較的容易に実現でき
る。しかし、受信該当スロットと異なる周波数の次隣接
スロットの2スロット以上を連続して用いるような受信
の場合には、直流オフセット電圧を補正する期間を確保
することができない可能性があった。
【0024】また、受信該当スロットで直流オフセット
電圧を検出し補正する方法においても、受信該当スロッ
トが異なる周波数の複数スロットを受信する場合には、
先に説明したように受信周波数によって直流オフセット
電圧が変化し、各スロットの受信毎に保持値が更新され
安定した受信ができない可能性があった。また、複数ス
ロットの直流オフセット電圧の平均を取った場合にも、
平均をとるスロット毎に周波数が異なるため、誤差が大
きくなり精度よく直流オフセット電圧補正が出来ず、そ
のため、多スロットを用いる場合には受信する全ての周
波数と受信信号強度に対応した利得設定と直流オフセッ
ト電圧補正に対応した制御をしなくてはならなかった。
【0025】次に、図40及び図42の(A)、
(B)、(C)を参照して、上記従来の無線受信機にお
ける自動利得制御について詳細に説明する。図42はT
DMA/TDDシステムの信号フォーマットを示す図で
あり、(A)はTDMA/TDDシステムの送信スロッ
ト及び受信スロットのフォーマットを示す図、(B)は
TDMAシステムにおける受信制御スロットのフォーマ
ットを示す図、(C)はTDMAシステムにおける受信
通信スロットのフォーマットを示す図である。
【0026】受信無線信号が過大信号強度である条件で
は、ADコンバータのオーバーフローを検出し、自動利
得制御手段510により、無線受信機の利得を下げる動
作を行う。しかし、自動利得制御手段510により最小
利得に設定した状態においてもADコンバータがオーバ
ーフローした場合は、受信特性が大幅に劣化してしまう
可能性があった。ここで、図42(A)を参照して、受
信する信号フォーマットの例について説明する。581
aから581dは送信スロット、582aから582d
は受信スロットであり、フレーム580は送信スロット
と受信スロットの合計8スロットを1フレームとして表
す。
【0027】図42(B)に制御スロットフォーマット
583を示す。583aは受信前スロット、583bは
前縁ガードビット(G)、583cはスタートシンボル
(SS)、583dはプリアンブル(PR)、583e
はユニークワード(UW)、583fは制御信号(CA
C)、583gは後縁ガードビット(G)、583hは
受信後スロットからなり、583iが制御スロット構成
における1スロットを表している。図43(C)に通信
スロットフォーマット584を示す。584aは受信前
スロット、584bは前縁ガードビット(G)、584
cはスタートシンボル(SS)、584dはプリアンブ
ル(PR)、584eはユニークワード(UW)、58
4fは情報信号(I)、584gは後縁ガードビット
(G)、584hは受信後スロットからなり、584i
が通信スロット構成における1スロットを表している。
【0028】特に、制御スロットフォーマット583に
おける自動利得制御について図42(A)、(B)に基
づき説明する。いま受信スロット582bが受信該当ス
ロットとすると、スロット583iが該当スロットの構
成となる。受信該当スロットであるスロット583iに
おいて、自動利得制御手段510は、PR583dで無
線受信機の利得設定を行い、UW583eを受信する
が、PR583dは無線基地局と検波手段509に設け
られた受信動作を司る制御系と同期を確立し、復調動作
をするために必要となる。確実に同期を確立するために
は、余裕を含めPR583dの半分以上のビットは必要
となる場合が多く、UW583eから受信した場合には
安定した受信特性を得ることが難しい場合がある。ま
た、この状態では電源投入初期の同期確立ができない危
険性もある。
【0029】また、無線信号にフェージングがある場合
には、PR583d以外、例えばUW583eの期間で
ADコンバータがオーバーフローもしくは所定のレベル
以下に無線信号の受信信号強度が変化したことを検出し
た場合に、自動利得制御手段510による利得切り替え
の動作が実行される。この結果、受信該当スロットの検
波・復調は正しく行うことができない可能性があった。
【0030】次に、図40を参照して、消費電流につい
て説明する。ダイレクトコンバージョン受信機をはじめ
とするゼロIF受信機は、ベースバンドのI、Qに変換
するための直交ミキサ553と能動素子で構成されたチ
ャネル選択フィルタ555b、555eがI、Qそれぞ
れに配置される構成であるため、スーパーヘテロダイン
受信機と比較して消費電流が増加する傾向にあり、携帯
機における電池の使用時間が短くなる。
【0031】以下、この事項について詳細に説明する。
ベースバンド信号をADコンバータで量子化し検波・復
調動作するゼロIF受信機では、感度点信号強度と直流
オフセット電圧との比がおおむね20dB以上必要とな
る。また、ゼロIF受信機では通常アンテナ入力からベ
ースバンド出力までの利得は60〜70dB程度必要で
ある。BER(ビットエラーレート)=1E−2となる
アンテナ入力端換算無線信号強度を感度とすると、ベー
スバンド出力信号強度は86dBuVEMF=20mV
rmsとなる。このとき、ベースバンド信号処理手段5
55の出力直流オフセット電圧を2mV以下に補正しな
くては感度特性を劣化させる原因となる。ADコンバー
タ556a、556bの検出電圧範囲が3Vであったと
き、2mVを検出するためには10ビット以上のADコ
ンバータが必要となる。また、伝送レートが384kb
psのQPSKで変調された場合、ベースバンドのI、
Q出力は192kbpsの1倍以上サンプリングが必要
となる。逐次比較の比較型で10ビット、200ksp
s(サンプル/秒)のADコンバータを構成すると、3
mAから5mA程度の電流を消費し、I、Qそれぞれに
配置する必要がある。携帯端末に応用すると無線受信機
の消費電流が大幅に増加するため、電池の使用可能時間
が更に短くなる。
【0032】また現在のQPSK変調を用いた無線通信
に用いられるスーパーヘテロダイン受信機では、受信ブ
ロックからリミッティング波形で出力し、検波・復調手
段と接続する方法が広く用いられている。しかしなが
ら、上記、従来技術の第3の例では、ADコンバータ5
56a、556bにより検波手段509と接続するた
め、検波手段を新たに設計する必要があり、従来の検波
手段を活用することができない。
【0033】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
従来技術の第1及び第2の例では、従来のダイレクトコ
ンバージョン受信機における局部発振手段は、受信無線
信号とほぼ同じ周波数であるため、アンテナから不要波
を輻射し、他の機器へ妨害を与えるという問題があっ
た。また、ベースバンド信号処理手段で生じた直流オフ
セット電圧により、受信誤り率が劣化してしまうという
問題があった。
【0034】上記第1の従来例では、ベースバンド信号
処理手段の直流オフセット電圧を除去するために回路ブ
ロックを容量結合して解決するようにしているが、それ
でも直流域まで信号スペクトラムが存在する変調方式で
はこの容量結合がHPFとなり、ベースバンド帯域内の
群遅延特性の平坦性を劣化させ、受信誤り率が劣化す
る。更に受信機電源断からの起動時間も容量結合におい
ては起動時定数が長くなるとともに、高周波信号処理手
段で、多段階の利得設定手段により自動利得制御を行っ
た場合、容量結合では、利得切り替え設定後に受信系が
安定するまでの直流バイアス安定時定数が長くなり安定
した受信が難しいという問題があった。
【0035】また、第2の従来例では、アナログ負帰還
による直流オフセット電圧補正手段を用いているが、負
帰還によるループの安定動作のためにはループ時定数が
長くなり直流オフセット電圧補正が完了するまでの補正
時間が長くなる。更に受信機電源断からの起動におい
て、高速に動作を開始するために急速起動回路等が必要
となる。またアナログ負帰還は見かけ上直流結合が可能
だが、アナログ負帰還であるためHPFと同様の周波数
特性となり、やはりベースバンド帯域内の群遅延特性の
平坦性が劣化し、受信誤り率が劣化するという問題があ
った。
【0036】また、第3の従来例では、ベースバンド直
流オフセット電圧の補正において、無信号状態にして解
決しようとしているが、そのために高周波信号処理手段
にスイッチ素子が複数挿入されるので、スイッチ挿入損
失が増え受信感度が低下するという問題があった。更
に、ベースバンド信号処理手段の直流オフセット電圧を
補正する際、受信無線信号無入力手段をスイッチで構成
した場合、スイッチ解放時のアイソレーションが不十分
で、いかなる過大入力の受信信号強度においても高い精
度で直流オフセット電圧を検出し補正するという課題を
解決できないという問題があった。
【0037】また、受信周波数の切り替わりにより、直
交ミキサの自己ミキシング出力が変化する場合には、直
流オフセット電圧を十分に補正することができないとい
う問題があった。また、検波・復調手段に対してはベー
スバンド信号処理手段の出力をADコンバータを介して
接続するため、消費電流の増加と、従来から用いてきた
手段であるリミッティング波形で出力し、検波・復調手
段と接続する従来の資産が活用できないという問題があ
った。
【0038】また、AGCによる利得切り替え時間の確
保と同期確立のために必要なプリアンブルの受信時間の
確保との両立ができないという問題があった。また、過
大入力信号の受信時には、ベースバンド信号処理手段の
信号飽和またはADコンバータのオーバーフローにより
受信特性が大幅に劣化してしまうという問題があった。
【0039】また、フェージング時には受信スロットの
任意の時間に利得切り替え手段が動作することに対する
対応がなされていないという問題があった。また、高速
テータ受信のために、1フレーム中の受信スロットを複
数用いた多スロット受信を行う場合、各スロット毎の受
信周波数と受信信号強度に対する直流オフセット電圧の
補正と利得設定に対し各スロット毎に対応できないとい
う問題があった。
【0040】本発明は、ベースバンド信号処理手段に発
生する直流オフセット電圧が時間や温度により変化する
場合であり、複数のスロットを使用し各スロット毎に異
なる周波数の異なる受信信号強度である場合において
も、正確に直流オフセット電圧を調整し、いかなる過大
入力の受信信号強度においても安定した受信を行い、従
来の検波手段を有効に活用することができる無線受信機
を提供するものである。
【0041】
【課題を解決するための手段】本発明における無線受信
機は、受信した無線信号を第1の中間周波数信号に周波
数変換する信号処理手段と、前記第1の中間周波数信号
をベースバンドI、Qの第2の中間周波数信号に直交変
換する第1の中間周波数信号処理手段と、1対の直交す
る局部発振信号を出力する局部発振手段と、前記第2の
中間周波数信号処理手段の出力信号を第3の中間周波数
信号に直交変調する第2の中間周波数信号処理手段と、
前記第3の中間周波数信号を検波する検波手段とを備え
た間欠受信する無線受信機であって、前記第2の中間周
波数信号処理手段の前記直交変調 出力で生じるキャリ
アリークを、前記局部発振信号により位相検波し、周波
数帯域制限することにより直流オフセット電圧を検出す
る直流オフセット電圧検出手段と、前記直流オフセット
電圧検出手段の出力から収束あるいは未収束を判定する
直流オフセット電圧判定手段と、前記直流オフセット電
圧判定手段の出力に対応し、前記第1の中間周波数信号
処理手段のI出力の直流電圧を直流オフセット電圧調整
し、その調整値を保持手段に保持させる第1の直流オフ
セット電圧調整手段と、前記直流オフセット電圧判定手
段の出力に対応し、前記第1の中間周波数信号処理手段
のQ出力の直流電圧を直流オフセット電圧調整し、その
調整値を前記保持手段に保持させる第2の直流オフセッ
ト電圧調整手段と、前記直流オフセット電圧判定手段の
出力に対応し、前記第2の中間周波数信号処理手段のI
入力の直流電圧を直流オフセット電圧調整し、その調整
値を前記保持手段に保持する第3の直流オフセット電圧
調整手段と、前記直流オフセット電圧判定手段の出力に
対応し、前記第2の中間周波数信号処理手段のQ入力の
直流電圧を直流オフセット電圧調整し、その調整値を前
記保持手段に保持する第4の直流オフセット電圧調整手
段とを備え、出力信号の直流オフセット電圧が最小とな
るよう自動調整するという構成を有している。この構成
により、無線信号の存在下でも直流オフセット電圧の調
整・除去が可能であり、ゼロIF受信機特有のベースバ
ンド部に生じる直流オフセット電圧の影響を取り除くこ
とができるので、直流域においても信号成分が存在する
変調方式による信号に対しても、良好な受信特性を得る
ことができることとなる。
【0042】本発明における無線受信機は、前記第1、
第2の直流オフセット電圧調整手段が、前記第1の中間
周波数信号処理手段のI、Q出力より後段の直流電圧を
調整し、前記第3、第4の直流オフセット電圧調整手段
は、前記第1、第2の直流オフセット電圧調整手段によ
る直流電圧調整よりも後段であり前記第2の中間周波数
信号処理手段のI、Q入力よりも前段の直流電圧を調整
し、前記第1、第2の直流オフセット電圧調整手段は、
少なくとも前記第3、第4の直流オフセット電圧調整手
段により直流オフセット電圧調整可能な範囲以内にまで
調整した後に、前記第3、第4の直流オフセット電圧調
整手段により調整するという構成を有している。この構
成により、直流オフセット電圧を高い精度で調整するこ
とができるので、直流オフセット電圧による受信誤り率
を低減することができることとなる。
【0043】本発明における無線受信機は、前記無線信
号を複数の受信信号周波数に切り替えることが想定され
る場合、前記直流オフセット電圧調整量保持手段に対し
直流オフセット電圧の調整値である周波数偏差に対する
基準値を保持し、この基準値に基づき、前記無線信号を
複数の受信信号周波数に切り替え、予め前記直流オフセ
ット電圧を調整し直流オフセット電圧の調整値である周
波数偏差に対する補正値として前記直流オフセット電圧
調整量保持手段で保持し、前記無線信号が異なる周波数
に切り替えられたときに、前記直流オフセット電圧調整
量保持手段から前記周波数偏差に対する補正値を読み出
し、直流オフセット電圧を調整するという構成を有して
いる。この構成により、予め直流オフセット電圧の調整
値である補正値を直流オフセット電圧調整量保持手段に
保持しておき、いったん調整した後はその補正値を読み
出すことにより、短時間にしかも高精度に調整できるよ
うにしたので、直流オフセット電圧調整による余分な電
力消費を最小限にとどめながら、迅速に高い調整精度で
直流オフセット電圧を調整することができることとな
る。
【0044】本発明における無線受信機は、前記第1の
局部発振手段と前記第2の局部発振手段の少なくとも一
方が、電圧制御型発振手段とPLL制御手段と基準発振
手段とからなるPLL周波数シンセサイザで構成され、
前記PLLシンセサイザの周波数設定情報により前記無
線信号の周波数が異なる周波数に切り替わったと判定し
たとき、前記直流オフセット電圧調整量保持手段から周
波数偏差に対する補正値を読み出し、直流オフセット電
圧を調整するという構成を有している。この構成によ
り、PLLシンセサイザの周波数設定情報により無線信
号の周波数が切り替わったと判定したとき、直流オフセ
ット電圧調整量保持手段から周波数偏差に対する補正値
を読み出して直流オフセット電圧を調整するようにした
ことにより、迅速に高い調整精度で直流オフセット電圧
を調整することができることとなる。
【0045】本発明における無線受信機は、前記第3、
第4の直流オフセット電圧調整手段の前記直流オフセッ
ト電圧調整量保持手段に保持されている調整値を検出し
て更新し、前記第2の中間周波数信号処理手段の直流オ
フセット電圧の調整において、その調整値がオーバーフ
ローした状態が予め設定された時間もしくはスロット数
の間で連続したときに、前記第1、第2、第3、第4の
直流オフセット電圧調整手段をリセットし、再び前記第
2の中間周波数信号処理手段の直流オフセット電圧を調
整するという構成を有している。この構成により、直流
オフセット電圧の調整値がオーバーフローした状態のと
きに、直流オフセット電圧調整手段をリセットして再び
第2の中間周波数信号処理手段の直流オフセット電圧を
調整するようにしたことにより、誤った調整を防止する
ことができることとなる。
【0046】本発明における無線受信機は、受信信号強
度判定手段と、前記第1の中間周波数信号処理手段およ
び前記第2の中間周波数信号処理手段に設けられた複数
の利得設定手段と、前記受信信号強度判定手段により前
記複数の利得設定手段の利得を切り替える利得制御手段
とを備え、前記直流オフセット電圧保持手段は前記複数
の利得設定手段に対応した、前記第1乃至第4の直流オ
フセット電圧調整手段における直流オフセット電圧の調
整値を保持し、前記複数の利得設定手段により設定され
た利得状態に対応した直流オフセット電圧の調整値を前
記オフセット電圧調整量保持手段から読み出して直流オ
フセット電圧を調整するという構成を有している。この
構成により、複数の利得設定手段により設定された利得
状態に対応した直流オフセット電圧の調整値をオフセッ
ト電圧調整量保持手段から読み出して直流オフセット電
圧を調整するようにしたことにより、自動利得制御を正
しく行なうことができ、信号強度に最適な利得状態で受
信を行なうことができることとなる。
【0047】本発明における無線受信機は、前記複数の
利得設定手段の利得を切り替える前記利得制御手段が、
単位時間間隔ごとに前記受信信号強度判定手段の結果を
サンプリングし、受信信号強度が予め設定した値を越
え、かつ単位時間内での受信信号強度の変化が予め設定
した変化量を越えた場合に、利得を切り替えるという構
成を有している。この構成により、予め設定した値とそ
の値からの変化により利得切り替えを行なうようにした
ことにより、受信スロットの始まりで確実に利得を切り
替えることができ、しかも、ゆっくりした電界強度変動
があってもスロット内では利得が切り替わることなく、
安定した受信特性を得ることができることとなる。
【0048】本発明における無線受信機は、前記利得制
御手段が、前記複数の受信信号強度を判定する受信信号
強度判定手段の出力のうち、前記利得設定手段の利得状
態に対応して、利得を下げるための判定出力と、利得を
上げるための判定出力とを選択し、予め設定されたスロ
ット内のタイミングで前記出力をサンプリングし、その
サンプリング値を前記利得制御手段に設けられた利得状
態保持手段に記憶し、次のスロットの利得は前記利得状
態保持手段から読み出して切り替えるという構成を有し
ている。この構成により、利得を制御する値を利得状態
保持手段から読み出して次のスロットで切り替えるよう
にしたことにより、直流オフセット電圧の調整に要する
時間を最小限にすることにより、消費電流の増加を防止
することができることとなる。
【0049】本発明における無線受信機は、前記第1の
局部発振手段が前記無線信号のほぼ2/5の周波数を出
力し、その出力の2倍周波数を出力する2逓倍手段で構
成され、前記第2の局部発振手段は前記第1の局部発振
手段の無線信号のほぼ2/5の周波数の出力を2分周す
ると同時に一対の直交出力を得るという構成を有してい
る。この構成により、3つの局部発振手段を1つの局部
発振手段により構成するようにしたことにより、回路規
模と消費電流の削減を同時に実現することができること
となる。
【0050】本発明における無線受信機は、PLL周波
数シンセサイザで構成された前記第1の局部発振手段は
前記無線信号のほぼ4/5の周波数を出力し、前記第2
の局部発振手段は前記第1の局部発振手段の出力を4分
周すると同時に一対の直交出力を得、前記第3の局部発
振手段は前記基準発信手段の出力を分周すると同時に一
対の直交出力を得るという構成を有している。この構成
により、基準発信手段の出力を分周するとともに一対の
直交出力を得ることができることとなる。
【0051】本発明におけるDAコンバータは、複数の
電流値に切り替えられる2のべき乗からなる複数の吸い
込み(吐き出し)型電流源と、それぞれの前記電流源を
動作制御するスイッチと、前記2のべき乗からなる複数
の吸い込み(吐き出し)型電流源の最上位ビットと同一
の電流である吐き出し(吸い込み)電流源とからなり、
前記複数の電流値に切り替えられる2のべき乗からなる
吸い込み(吐き出し)型電流源と前記最上位ビットと同
一の電流である吐き出し(吸い込み)電流源とはその各
電流を比例して制御するという構成を有している。この
構成により、このように構成されたDAコンバータを使
用することにより、直流オフセット電圧を高い精度で調
整することができることとなる。
【0052】本発明における無線受信機は、前記第2の
中間周波数信号処理手段から出力され前記第2の中間周
波数信号処理手段において直交変調される一対のI及び
Q信号と、前記第3の局部発振手段から出力される一対
の直交する信号のどちらか一方の一対の出力信号であっ
て、その一対の出力信号のうち少なくともどちらか一方
の信号を停止することにより直流オフセット電圧を調整
するという構成を有している。この構成により、少なく
とも一方の信号を停止しうるようにしたことにより、信
号の乱れが安定するまで利得切替えのためのサンプリン
グを停止して安定するのを待ち、誤った調整を防止する
ことができることとなる。
【0053】本発明における無線受信機は、複数のスロ
ットで構成されたフレームからなる無線システムにおい
て、前記利得制御手段は1フレーム中の異なる受信信号
強度の複数のスロットを用いて受信動作するときに、受
信するスロットの数だけスロットに整理番号を与え、各
受信スロット毎に前記受信信号強度判定手段の出力のう
ち、前記利得設定手段の利得状態に対応して、利得を下
げるための1つの判定出力と、利得を上げるための1つ
の判定出力を選択し、予め設定されたスロット内のタイ
ミングで前記出力をサンプリングし、その値を前記整理
番号に対応して前記利得状態保持手段に記憶し、次のフ
レームで受信する複数のスロットの利得設定は前記整理
番号により指定された値を前記利得状態保持手段から読
み出し、利得を切り替えるという構成を有している。こ
の構成により、回路規模を拡大することなく、AGCモ
ード全てにわたって、直流オフセット電圧の時間変動を
調整することができ、良好な受信特性を確保することが
できることとなる。
【0054】本発明における無線受信機は、前記複数の
利得制御手段により設定された利得状態に対応した前記
直流オフセット電圧調整量保持手段に保持された直流オ
フセット電圧の調整値は、前記複数の利得制御手段のう
ち予め決められた利得状態で、前記第1、2、3、4の
直流オフセット電圧調整手段により調整され前記直流オ
フセット電圧調整量保持手段に利得状態に対する基準値
として保持され、この基準値に基づき前記複数の利得設
定手段により異なる利得状態で直流オフセット電圧を調
整し、得られた調整値を前記利得状態に対する補正値と
して直流オフセット電圧調整量保持手段に保持され、前
記複数の利得設定手段により利得状態が切り替えられた
ときは、前記直流オフセット電圧調整量保持手段から前
記切り替えられた利得状態に対応する補正値を読み出し
て直流オフセット電圧を調整するという構成を有してい
る。この構成により、無線受信機が複数の利得状態を有
するときに、各状態ごとに直流オフセット電圧を調整す
ることができるため、精度の高い直流オフセット電圧の
調整を行なうことができることとなる。
【0055】上記の様に無線受信機を構成することで、
直流域にも信号成分が存在する変調方式であっても、ゼ
ロIFにおける直流オフセット電圧を調整できるので、
直流オフセット電圧による受信誤り率を低減できる。ま
た温度・時間経過による直流オフセット電圧も調整する
ことができる。また、無線信号が過大入力の受信信号強
度であっても、ゼロIFは信号飽和することなく安定し
て受信することができる。また、連続した異なる周波数
の複数スロットを受信する場合においても、各スロット
毎のゼロIFにおける直流オフセット電圧を調整し、各
スロットに応じた利得切り替え手段を最適に設定でき
る。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図42に基づき、
本発明の実施の形態1乃至5を詳細に説明する。 (実施の形態1)まず、図1乃至図18を参照して、本
発明の実施の形態1における無線受信機について説明す
る。図1は本発明の実施の形態1における無線受信機の
基本的な構成を示すブロック図、図2は本発明の実施の
形態における局部発振手段の構成例を示すブロック図、
図3は本発明の実施の形態における局部発振手段の構成
例を示すブロック図、図4は本発明の実施の形態におけ
る直流オフセット電圧検出・制御手段の構成を示すブロ
ック図、図5は本発明の実施の形態における無線信号を
遮断する手段を示すブロック図、図6は本発明の実施の
形態における無線信号を遮断する手段を示すブロック
図、図7は本発明の実施の形態における、ベースバンド
増幅器及びDAコンバータにより直流オフセット電圧を
調整する手段を示すブロック図、図8は本発明の実施の
形態におけるDAコンバータの構成を示すブロック図、
図9の(A)は本発明の実施の形態における直流オフセ
ット電圧調整の手順を示すフローチャート、(B)は本
発明の実施の形態におけるI側粗調動作を示すフローチ
ャート、(C)は本発明の実施の形態におけるI側微調
動作を示すフローチャート、図10は本発明の実施の形
態における、使用する周波数帯域全てに直流オフセット
電圧の時間変動を対応させる直流オフセット電圧調整量
保持手段と直流オフセット電圧調整制御手段の構成を示
すブロック図、図11は本発明の実施の形態における、
帯域を可変とする低域通過フィルタ及びチャネル選択フ
ィルタの、サレンキ型フィルタによる構成例を示すブロ
ック図、図12は本発明の実施の形態における、帯域を
可変とする低域通過フィルタ及びチャネル選択フィルタ
の、gmアンプを用いたバイカッド型フィルタによる構
成例を示すブロック図、図13は本発明の実施の形態に
おける、直交変調器信号入力または局部発振入力の切り
離し回路の構成例を示すブロック図、図14は本発明の
実施の形態における、直流オフセット電圧調整をより高
精度に行なう動作手順を示すフローチャート(I側粗調
動作のみを記載したもの)、図15は本発明の実施の形
態における、直流オフセット電圧調整をより高精度に行
なう動作手順を示すフローチャート(I側微調動作のみ
を記載したもの)、図16は本発明の実施の形態におけ
る直流オフセット電圧調整の時間変動の更新方法を示す
フローチャート、図17は本発明の実施の形態における
直流オフセット電圧調整の時間変動の更新方法におい
て、DAコンバータ値制御方法の一例を示す図表、図1
8は本発明の実施の形態における直流オフセット電圧調
整の異常を検出し復帰する手順を示すフローチャートで
ある。
【0057】次に、図1を参照して、本発明の実施の形
態1における無線受信機の構成を説明する。アンテナ1
0により無線信号を受信する。無線信号受信手段11は
高周波フィルタ11a、アンテナスイッチ11bにより
構成される。高周波アナログ信号処理手段12は、高周
波増幅器12a、高周波ミキサ12b、電源スイッチ1
2cにより構成され、無線信号受信手段11で受信した
無線信号を増幅・第1の中間周波数に周波数変換する。
第1の局部発振手段13は、高周波ミキサ12bに接続
され、受信した無線信号を周波数変換するために用いら
れる。
【0058】第1の中間周波数信号処理手段14は、第
1の中間周波数信号を第2の中間周波数信号に直交変換
する緩衝増幅器14aと直交ミキサ14bとにより構成
される。第2の中間周波数信号は、直交する一対のベー
スバンド信号から成り、以後各信号をI信号、Q信号ま
たは単にI、Qと呼ぶ。第2の局部発振手段15は、発
振器15a及び90度移相器15bにより構成され、第
1の中間周波数信号処理手段14に接続され、直交変換
に供するための1対の直交する発振出力を有する。
【0059】第2の中間周波数信号処理手段16は、第
1のベースバンド増幅器16a及び16dと、チャネル
選択フィルタ16b、16eと、第2のベースバンド増
幅器16c、16fとにより構成され、第1の中間周波
数信号処理手段14によりベースバンドに変換された
I、Qから成る第2の中間周波数信号を増幅・帯域制限
する。以後の説明では、I信号は16a、16b、16
cにより処理され、Q信号は16d、16e、16fに
より処理されるものとする。第2の中間周波数信号処理
手段17は、直交変調器17a、帯域通過フィルタ17
b、リミッタアンプ17cにより構成され、第2の中間
信号周波数信号処理手段16の出力信号を第3の中間周
波数信号に直交変調し帯域制限した後、振幅制限する。
【0060】第3の局部発振手段18は、発振器18
a、分周器18b、移相器18cにより構成され、第3
の中間信号処理手段17に接続され、直交変調に供する
ための1対の直交する発振出力を有する。第3の中間信
号処理手段17に接続され無線信号強度を検出する受信
信号強度検出手段19は、リミッタアンプ17cに接続
され無線信号強度に比例した電圧を出力する。検波手段
20は、第3の中間信号処理手段17の出力である第3
の中間周波数信号を検波・復調するよう動作する。
【0061】直流オフセット電圧検出手段21は、増幅
器21a、位相検波器21b及び21c、位相検波器出
力を切り替えるスイッチ21d、位相検波器出力中の不
要周波数成分を取り除く低域通過フィルタ21eにより
構成され、第2の中間周波数信号処理手段17に接続さ
れ直交変調器17a出力でのキャリアリークと局部発振
手段18の出力を位相検波・周波数帯域制限することに
より直流オフセット電圧を検出する。
【0062】直流オフセット電圧判定手段22は、比較
器22a及び22b、基準電圧22c並びに基準電圧2
2d及びバイアス電圧22eにより構成され、直流オフ
セット電圧検出手段21により検出された直流オフセッ
ト電圧から収束・未収束を判定する。直流オフセット電
圧調整制御手段23は、直流オフセット電圧判定手段2
2の出力により次に説明する第1から第4までの直流オ
フセット電圧調整手段を制御する。
【0063】直流オフセット電圧調整量保持手段24
は、直流オフセット電圧調整制御手段23の調整結果を
保持する。第1の直流オフセット電圧調整手段25は、
直流オフセット電圧制御手段23による制御系と直流オ
フセット電圧調整量保持手段24とDAコンバータ25
aと直流オフセット電圧を除去する減算器25bとによ
り構成され、第1の中間周波数信号処理手段14のI出
力直流電圧を調整する。
【0064】第2の直流オフセット電圧調整手段26
は、直流オフセット電圧制御手段23による制御系と直
流オフセット電圧調整量保持手段24とDAコンバータ
26aと直流オフセット電圧を除去する減算器26bと
により構成され、第1の中間周波数信号処理手段14の
Q出力直流電圧を調整する。第3の直流オフセット電圧
調整手段27は、直流オフセット電圧制御手段23によ
る制御系と直流オフセット電圧調整量保持手段24とD
Aコンバータ27aと直流オフセット電圧を除去する減
算器27bとにより構成され、第2の中間周波数信号処
理手段17のI入力直流電圧を調整する。
【0065】第4の直流オフセット電圧調整手段28
は、直流オフセット電圧制御手段23による制御系と直
流オフセット電圧調整量保持手段24とDAコンバータ
28aと直流オフセット電圧を除去する減算器28bと
により構成され、第2の中間周波数信号処理手段17の
Q入力直流電圧を調整する。本実施の形態においては、
直流オフセット電圧調整制御手段23及び直流オフセッ
ト電圧調整量保持手段24は、第1から第4の直流オフ
セット電圧調整手段25〜28で共用するものとする。
または第1から第4の直流オフセット電圧調整手段25
〜28の各々に対して設けても良い。受信手段29は、
上記の符号12から28により示された構成要素により
構成される。
【0066】なお、図1に示す無線受信機は、詳細な説
明はここでは行わないが、送信手段30と、アンテナス
イッチ11bを備えた無線信号処理手段11とにより、
送信・受信を時分割多重する無線装置を構成した例を示
すものである。
【0067】次に、図1を参照して、受信信号の流れに
ついて説明する。無線信号受信手段11で受信された無
線信号は、高周波増幅器12aにより増幅され、高周波
ミキサ12bにより第1の局部発振手段13の出力と混
合され、第1の中間周波数信号に変換される。第1の中
間周波数信号は第1の中間周波数信号処理手段14によ
り直交するI、Qのベースバンド信号に変換される。こ
こで、このI、Qのベースバンド信号には、すでに「従
来技術」において説明したように、信号処理の障害とな
る直流オフセット電圧が含まれている。この直流オフセ
ット電圧は第1の直流オフセット電圧調整手段25と第
2の直流オフセット電圧調整手段26とからなる直流オ
フセット電圧調整手段によりおおまかな調整(以下この
調整を粗調と呼ぶ)が行われる。なお粗調の動作につい
ては後に詳しく説明する。
【0068】I、Qのベースバンド信号は、第1の直流
オフセット電圧調整手段25と第2の直流オフセット電
圧調整手段26とにより直流オフセット電圧調整をされ
た後、第2の中間周波数信号処理手段16により必要な
レベルまで増幅を行われるとともに帯域制限され、必要
な信号成分のみが取り出される。第2の中間周波数信号
処理手段16の出力はさらに第3の直流オフセット電圧
調整手段27および第4の直流オフセット電圧調整手段
28により、高精度に直流オフセット電圧調整する(以
下この調整を微調と呼ぶ)。これにより直流オフセット
電圧による受信特性の劣化を許容できる値まで小さくす
る。なお微調の動作についても、前記粗調と合わせて後
に詳しく説明する。
【0069】直流オフセット電圧調整されたI、Qのベ
ースバンド信号は、第2の中間周波数信号処理手段17
において、直交変調器17aおよび第3の局部発振手段
18により第3の中間周波数信号に周波数変換され、帯
域通過フィルタ17bにより周波数変換により生じた高
調波成分を主とする不要な周波数成分が取り除かれた
後、リミッタアンプ17cにより増幅・振幅制限され
る。リミッタアンプ17cの出力は、検波手段20へ入
力され、検波・復調される。また、本発明の実施の形態
における無線受信機は、従来から用いられてきたスーパ
へテロダイン受信機と同様に、リミッタアンプ17cか
らリミッティング信号で出力するため、検波手段20は
従来のスーパへテロダイン受信機と同様のものを有効に
活用することができる。
【0070】次に、図2を参照して、局部発振手段につ
いて説明する。図2に示す局部発振手段は図1に示され
る第1、第2、第3の局部発振手段13、15、18の
具体的な構成例である。図2に示す局部発振手段と、P
LL周波数シンセサイザ101と、第1の分周器102
と、第2の分周器103と、第1の出力104と、第2
の出力105と、基準発振手段106と、第3の分周器
107と、第4の分周器108と、第3の出力109と
により構成される。
【0071】次に、図1及び図2を参照して、本実施の
形態における局部発振手段を具体的に説明する。ここ
で、受信無線信号周波数をFreq#RFとした時、第
1の局部発振手段13の出力周波数を4/5*Freq
#RF、第2の局部発振手段の出力周波数を1/5*F
req#RFとすると、第2の局部発振手段15は、エ
ミッタカップルドロジック(以下ECL)によるT型フ
リップフロップ(以下T−FF)を第1の分周器102
と第2の分周器103を2段従属接続し4分周すること
により第1の局部発振手段13を得ることができる。ま
た、移相器15bは第2の分周器103を用いて一対の
直交移相信号を得ることが出来る。
【0072】これらの手段は、半導体集積回路により容
易に実現することが出来るため、直交ミキサのLOポー
トは半導体集積回路の内部で分周器と接続することが可
能となり、直交ミキサLOポートからRFポートへの空
間結合等が粗結合となり自己ミキシングにより発生する
ベースバンドでの直流オフセット電圧が生じにくくなる
という利点がある。直交ミキサ出力すなわちベースバン
ドにおける直流オフセット電圧の発生原因は、自己ミキ
シングと直交ミキサ回路を構成する素子間の不整合によ
る要因が大きく、自己ミキシングによる要因が改善でき
るため直流オフセット電圧調整に必要なDAコンバータ
のビット数が削減でき、回路規模を小さくすることがで
きる。
【0073】また、第3の局部発振手段18は、ベース
バンド周波数よりも高い周波数であれば任意の周波数で
かまわない。例えば第3の局部発振手段の周波数が2.
4MHzである時、例えば基準発振手段106の周波数
が19.2MHzであれば、第3、第4の分周器10
7、108で4分周と2分周すると共に2.4MHzの
一対の直交位相信号を得ることで容易に実現できる。従
って、第1の局部発振手段13の出力は第1の出力10
4、第2の局部発振手段15の出力は第2の出力10
5、第3の局部発振手段18の出力は第3の出力109
より得ることができる。本実施の形態によれば、図1に
おける無線受信機を構成するために必要な第1、第2、
第3の局部発振手段13、15、18は、1つの局部発
振手段により構成することが可能であり、回路規模と消
費電流の削減を同時に実現することができる。
【0074】更に、図3を参照して、他の局部発振手段
について説明する。図3は第1の局部発振手段13の出
力周波数を2/5*Freq#RFとした場合の例であ
る。図中、110は2逓倍器であり、他の図2と共通の
部分については同一の符号を与えている。以下図3に基
づき、第1の出力104について説明する。第1の局部
発振手段は2/5xFreq#RFとし、2逓倍器11
0により4/5*Freq#RFを得て、2/5*Fr
eq#RFをECLT−FFである第2の分周器103
で2分周すると共に一対の直交位相信号を第2の出力1
05に得ることにより同様の効果を実現することができ
る。2逓倍器はかけ算回路例えばギルバートセルで容易
に実現出来る。ここでは、各局部発振手段を一つの発振
手段で実現しているが、この方法に制限するものではな
い。
【0075】次に、図4を参照して、本実施の形態にお
ける直流オフセット電圧検出・制御手段について説明す
る。図4は直流オフセット電圧を検出する方法について
表している。すなわち、図1のうち、直流オフセット電
圧の検出に関連した部分を抜き出し、また、図1と同様
の部分には同一の符号を与えており、説明の重複する箇
所の説明は省略する。図4の構成において、直交変調器
17aはミキサ17d及び17eと、直交変調出力17
fと、一対の直交する出力である第3の局部発振手段1
8d、18eとにより構成される。
【0076】ミキサ17dの入力に現れた直流オフセッ
ト電圧は、ミキサ17dの出力では第3の局部発振手段
18の出力18dと等しい周波数、及び第3の局部発振
手段18の出力18dの位相とほぼ等しい位相を持ち、
振幅が17dの入力での直流オフセット電圧に比例した
キャリアリーク信号となって現れる(以下この信号をキ
ャリアリークと呼ぶ)。これは、周波数0Hzである直
流オフセット電圧が第3の局部発振周波数の周波数と混
合され、第3の局部発振周波数±0Hz、すなわち第3
の局部発振周波数に等しい周波数に変換されるためであ
る。このキャリアリークを増幅器21aで増幅後、ミキ
サ21bにより第3の局部発振手段18の出力18dと
位相検波し、低域通過フィルタ21eにより高周波成分
を取り除くことにより、再び直流成分として得ることが
できる。ミキサ17eの入力に現れた直流オフセット電
圧についても同様である。この様子を式で表すと次のよ
うになる。
【0077】第3の局部発振手段18の2つの直交した
出力18d及び18eは、sin(ωt)、cos (ωt)の
ように表すことができる。ミキサ17d、17eの増幅
度をそれぞれG17aI 、G17aQ 、入力での直流オフセット
電圧を、それぞれVoffI 、VoffQ とすると、直流オフセ
ット電圧によりミキサ17d、17eに生じるキャリア
リークは、それぞれ、 G17aI×VoffI ×sin(ωt) ・・・・・(式1) G17aQ×VoffQ ×cos(ωt) ・・・・・(式2) となる。直交変調器17a出力では、両者が加算されて
存在し、 G17aI×VoffI ×sin(ωt) + G17aQ×VoffQ ×cos(ωt) ・・・(式3) となる。
【0078】増幅器21aの増幅度をG23a、ミキサ21
b、21cの増幅度をそれぞれ、G23bI 、G23bQ とする
と、ミキサ21b、21cでの出力はそれぞれ、 G23bI×G23a×( G17aI ×VoffI ×sin(ωt) + G17aQ×VoffQ ×cos(ωt))× sin(ωt) =G23bI ×G23a×G17aI ×VoffI ×0.5 ×(1-cos (2 ωt))+G23bI ×G23a×G17aQ ×VoffQ ×0.5 ×sin (2 ωt) ・・・・・(式4) G23bQ×G23a×(G17aI ×VoffI ×sin (ωt)+ G17aQ×VoffQ ×cos (ωt))× cos(ωt) =G23bQ ×G23a×G17aI ×VoffI ×0.5 ×sin (2 ωt)+ G23bI×G23a ×G17aQ × VoffQ ×0.5 ×(1+cos (2ωt))・・・・・(式5) となる。
【0079】式4、式5の高周波成分である、 cos(2
ωt)、sin (2ωt)を低域通過フィルタ21eによ
り取り除くことで、ミキサ17dの入力の直流オフセッ
ト電圧は、 G23bI ×G23a×G17aI ×VoffI ×0.5 ・・・・・(式6) ミキサ17eの入力の直流オフセット電圧は、 G23bI ×G23a×G17aQ ×VoffQ ×0.5 ・・・・・(式7) となり、増幅された直流電圧として検出することができ
る。図4では、低域通過フィルタは一つだけとし、ミキ
サ21b、21c出力をスイッチ21dにより切り替え
るようにした例を示した。低域通過フィルタはミキサ1
7d、17e各々に対して1つずつ用意しても良いが、
本実施の形態のようにすることで回路規模の削減を図る
ことができる。
【0080】直流オフセット電圧の検出方法として、直
流オフセット電圧値を、第2の中間信号処理手段におけ
る直流電圧から直接検出するのでなく、実施の形態1の
第3の中間周波数信号におけるキャリアリークとして検
出することで、検出感度を容易に向上することができ
る。直流オフセット電圧は、おおよそ数100mV以下
の電圧であり、また、直流オフセット電圧調整後に許容
される直流オフセット電圧は、受信系のNoise Figure及
び増幅度によっても若干異なるが、およそ1mV以下と
なる。このような低い値の直流電圧を第2の中間信号処
理手段から直接検出するには高精度の検出器が必要とな
り、また、増幅する場合にも増幅器自体の持つ直流オフ
セット電圧も問題となる。これに対し、キャリアリーク
から直流オフセット電圧を検出するようにした場合、コ
ンデンサにより容量結合することで増幅器自体の持つ直
流オフセット電圧を気にすることなく増幅することがで
きるため、高精度の検出器を用いることなく直流オフセ
ット電圧を検出することができる。
【0081】ここまでの説明では、直交変調器17aの
入力には、直流オフセット電圧しかないものとして扱っ
てきた。しかし、直流オフセット電圧の他に、ベースバ
ンド信号成分に直流分まで含むような無線信号であった
場合(例えばPHSで用いられるπ/4シフトDQPS
K変調方式の信号が該当する)、それにより直流オフセ
ット電圧の検出に誤差が生じることになる。そこで、直
流オフセット電圧調整中は信号受信を行なわないよう
に、無線信号を遮断する必要がある。しかし、不用意に
信号経路の一部を切り離すと、信号経路のインピーダン
スが変動し、その結果直流オフセット電圧の値が変動す
る。すると直流オフセット電圧調整中の直流オフセット
電圧と無線信号受信時の直流オフセット電圧の間にずれ
が生じ、調整誤差を生じることになる。従って、信号経
路の切り離しがあっても、信号経路のインピーダンス変
動の影響を取り除くことが必要となる。
【0082】次に、図5及び図6を参照して、無線信号
を遮断する手段について説明する。図5及び図6におい
て、図1と同様の箇所は同一の符号を与えており重複す
る部分の説明は省略する。図5において、高周波アナロ
グ信号処理手段12の電源を電源スイッチ12cにより
遮断すことで無線信号を遮断し、これによる直流オフセ
ット電圧の変動を防ぐため、第1の中間信号処理手段1
4の入力に緩衝増幅手段14aを設けている。このた
め、電源スイッチ12cにより電源を遮断したときに、
無線信号は増幅も周波数変換もされることがないため、
効果的に遮断される。
【0083】また、図6の例では、第1の局部発振手段
13を第1の局部発振器13aと高周波スイッチ13b
とにより構成する。そのため、高周波アナログ信号処理
手段12の電源を遮断することなく、第1の局部発振手
段13の第1の局部発振器13aの出力と高周波ミキサ
12bの間に、高周波スイッチ13bを挿入し、このス
イッチにより信号を切り離すことでも無線信号を遮断す
ることができる。この方法では、無線信号が高周波ミキ
サ12bに入力されるが、局部発振周波数信号が存在し
ないため第1の中間周波数信号に変換されず、無線信号
が遮断されることになる。更に、アンテナスイッチ11
cを送信側に接続する手段を組み合わせて用いることで
更に効果的である。
【0084】これまでの説明では、無線信号を遮断する
と高周波アナログ信号処理手段12の出力インピーダン
スは変動するが、第1の中間信号処理手段14の入力に
設けた緩衝増幅手段14aによりこの影響を取り除くこ
とができる。この緩衝増幅手段は、入力にインピーダン
ス変動があっても出力インピーダンス変動が小さいもの
であれば良い。従って、緩衝増幅手段として、例えばエ
ミッタフォロワ型増幅器を適用することができる。ま
た、エミッタフォロワ型増幅器を複数段直列に接続する
ことで、よりインピーダンス変動を小さいものとするこ
とも可能である。以上に説明した方法により、無線信号
の存在下でも直流オフセット電圧の調整・除去が可能で
あり、良好な無線特性を得ることができる。
【0085】次に、図1を参照して、本発明の実施の形
態1における直流オフセット電圧の調整方法について説
明する。図1において、直流オフセット電圧検出手段2
1で検出された直流オフセット電圧により、直流オフセ
ット電圧判定手段22は、直流オフセット電圧調整制御
手段23の出力値を増加させるか若しくは減少させる
か、または直流オフセット電圧が許容範囲内にあるのか
否かの判定を行なう(以降この動作を収束判定と呼
ぶ)。この収束判定は、2つの比較回路22a、22b
と対応する2つの基準電圧22c、22dにより行なう
ことができる。式6および式7から分かるように、直流
オフセット電圧が正であった場合は直流オフセット電圧
検出手段21により検出される直流オフセット電圧検出
出力は正、直流オフセット電圧が負であった場合は直流
オフセット電圧検出手段21により検出される直流オフ
セット電圧検出出力は負となる。従って、正の基準値2
2dと負の基準値22cを持ち、各々を許容可能な直流
オフセット電圧の正の上限値と負の下限値に設定してお
けば、調整値を増加すべきか減少すべきか、あるいは収
束しているのかの判定を行なうことができる。
【0086】直流オフセット電圧調整制御手段23は、
直流オフセット電圧判定手段22の判定結果に従い、D
Aコンバータ25aの値を増加、あるいは減少させる操
作を行なう。DAコンバータ25aの出力値は、直流オ
フセット電圧を除去する減算器25bに接続され、第1
の中間周波数信号処理手段14のI信号側の出力におけ
る直流オフセット電圧を調整する。この操作を、収束判
定の状態まで繰返すことで第1の直流オフセット電圧調
整手段25に関する直流オフセット電圧を調整すること
ができる。更に、この操作を第2の直流オフセット電圧
調整手段26から第4の直流オフセット電圧調整手段2
8までに対して行なえば、無線受信機に存在する直流オ
フセット電圧を調整することができる。
【0087】いったん直流オフセット電圧の調整が終わ
れば、その後の直流オフセット電圧の時間変動(例え
ば、温度変化による変動があげられる)に対する調整
は、先の調整結果を基準として調整を行えば良い。これ
は、直流オフセット電圧調整量保持手段24に、第1〜
第4までの直流オフセット電圧調整手段25〜28の調
整結果を記憶させておくことにより実現することができ
る。直流オフセット電圧の調整が終わる毎に調整結果を
直流オフセット電圧調整量保持手段24に記憶し、次の
調整の開始時には記憶してある前回の調整値を読み出し
その値の状態から調整を行う。
【0088】このように直流オフセット電圧調整量保持
手段24を有することにより、第1回目の調整以後は短
時間で調整を行うことが可能となる。PHS等に代表さ
れるTDMA方式の信号では、受信動作は決まったタイ
ミングごと行う必要があり(例えば、PHSの通話時に
おいては5msec毎に625usecの時間だけ受信
動作を行う)、直流オフセット電圧調整を行うことので
きる時間には制約がある。本実施の形態によれば、この
ような調整時間に制約がある場合でも直流オフセット電
圧調整を行うことができ、また、短時間で調整を終える
ことができるので、調整に要する電力消費も抑えること
ができ、更に直流オフセット電圧の時間的補正がなされ
るので良好な受信特性の無線受信機を構成することが可
能となる。
【0089】次に、図7を参照して、本実施の形態1に
おける第3の直流オフセット電圧調整手段27(第2の
中間周波数信号処理手段のベースバンド増幅器16cと
DAコンバータ27aとからなる)による直流オフセッ
ト電圧の調整方法の例について説明する。図7は図1に
示すチャネル選択フィルタ16b、増幅器16c及びD
Aコンバータ27aを表したものであり、DAコンバー
タ27aを電流出力型DAコンバータで構成した例であ
る。図1と同一の箇所には同じ符号を与えている。ベー
スバンド増幅器16cは、トランジスタ124、125
と抵抗126、127、128、129と電流源130
とで構成される。さらに、図7中、27aは電流出力型
DAコンバータ、121はDAコンバータの制御信号、
122はDAコンバータ出力電流、123はバイアス電
圧、131は直流オフセット電圧を調整した出力であ
る。
【0090】次に、図7を参照して、第3の直流オフセ
ット電圧調整手段27の動作を説明する。制御信号12
1により、DAコンバータ27aが制御され、DAコン
バータの出力電流122が変化する。ベースバンド増幅
器16cの抵抗129とDAコンバータ出力電流122
の積によりバイアス電圧123が変化する。この結果、
直流オフセット電圧が調整された出力電圧131を得る
ことができる。出力電流122の向きが逆の時には、抵
抗127とDAコンバータ出力電流122の積によりバ
イアス電圧123が変化する。
【0091】次に、図8を参照して、図7に示すDAコ
ンバータ27aの動作を説明する。ここでは、4ビット
の電流出力型DAコンバータを例とする。制御信号12
1と、出力電流122と、2のべき乗の関係にある吸い
込み電流源141〜144と、電流のみが逆向である吐
き出し電流源145と、電流源141〜144の動作制
御を行うスイッチ146〜149からなる。電流源14
1をLSBとして、電流値をIoとする。各スイッチを
制御信号121で制御することで出力電流122は、−
8Ioから8IoまでIo毎の出力が得られる。また電
流源の吐き出し電流と吸い込み電流を逆にして構成して
も同様の効果が得られることは言うまでもない。その他
の第1、第2、第4の直流オフセット電圧調整手段でも
この調整方法と同様でよい。また、以上電流出力型DA
コンバータを例に説明したが、直流電圧がDAコンバー
タで調整できれば、どのような形態であってもよい。
【0092】次に、図1、図9の(A)、図9の(B)
及び図9の(C)を参照し、特に図9の(A)、図9の
(B)及び図9の(C)のフローチャートを参照して、
本発明の実施の形態1における直流オフセット電圧の調
整手順について説明する。図9の(A)は直流オフセッ
ト電圧調整の流れを示すフローチャートである。図9の
(B)は直流オフセット電圧調整のうちI信号側の粗調
の流れを示すフローチャートである。図9の(C)は直
流オフセット電圧調整のうちI信号側の微調の流れを示
すフローチャートである。また、Q信号側の粗調、微調
はI信号側のそれと同様でありフローチャートによる説
明は省略する。
【0093】まず、図9の(A)から開始し、無線信号
の影響を避けるため、既に説明したような手法により無
線信号を遮断する。例えば、高周波アナログ信号処理手
段12の電源を遮断(151)する。次に、I信号側粗
調によりI信号側の直流オフセット電圧の大まかな調整
を行う(152)。I信号側粗調とは以下ような動作で
ある。すなわち、図9の(B)において、スイッチ21
dをI信号側の直流オフセット電圧を検出するように切
り替える(161)。I側の直流オフセット電圧判定手
段22を構成する2つの基準電圧22c、22dを、粗
調収束電圧に設定する(162)。直流オフセット電圧
判定手段22の結果に従い第1の直流オフセット電圧調
整手段25を構成するDAコンバータ25aの値を1増
加または1減少させる(163〜166)。この動作を
直流オフセット電圧判定手段22により収束判定される
まで繰り返す。以上の動作によりI信号側粗調が完了す
る。
【0094】次に、I信号側微調により(図9の(A)
の153)I信号側の直流オフセット電圧を高精度に調
整する。I信号側微調とは以下のような動作である。す
なわち、図9の(C)において、スイッチ21dをI信
号側の直流オフセット電圧を検出するように切り替える
(171)。直流オフセット電圧判定手段22の2つの
基準電圧22c、22dを、微調収束電圧に設定する
(172)。直流オフセット電圧判定手段22の結果に
従い第3の直流オフセット電圧調整手段27を構成する
DAコンバータ27aの値を1増加または1減少させる
(173〜176)。この動作を直流オフセット電圧判
定手段22により収束判定されるまで繰り返す。以上の
動作によりI信号側微調が完了する。
【0095】次に、図9の(A)に戻り、スイッチ21
dをQ側の直流オフセット電圧を検出するように切り替
え、上記同様にしてQ側粗調(154)、Q側微調(1
55)動作を行う。Q側粗調は、上記のI信号側粗調の
説明において、スイッチ21dをQ側直流オフセット電
圧検出状態に替え、第1の直流オフセット電圧調整手段
25を第2の直流オフセット電圧調整手段26に、DA
コンバータ25aをDAコンバータ26aに置き換えた
ものに等しい。また、Q側微調は、上記のI信号側微調
の説明において、スイッチ21dをQ側直流オフセット
電圧検出状態に替え、第3の直流オフセット電圧調整手
段27を第4の直流オフセット電圧調整手段28に、D
Aコンバータ27aをDAコンバータ28aに置き換え
たものに等しい。
【0096】以上、I信号側粗調、I信号側微調、Q側
粗調、Q側微調を順次行うことにより、無線受信機の直
流オフセット電圧の補正が行われる。またこの調整結果
を直流オフセット電圧調整量保持手段24に記憶する。
ここで、DAコンバータの値の1変化にともなう直交変
調器17aの入力における直流オフセット電圧の変化量
は、粗調での変化量>微調での変化量となるよう設定す
る。また、直流オフセット電圧判定手段22の粗調収束
判定電圧は、第1、第2の直流オフセット電圧調整手段
25、26によりDAコンバータ25a、26aのLS
B1ビットの変化に相当する電圧に設定する。更に微調
収束判定電圧は、無線受信機の感度を確保するために許
容される直流オフセット電圧に対応した電圧に設定する
ことが適当である。このように設定することで、DAコ
ンバータ25a〜28aのビット数を大きくとらなくと
も、粗調により幅広い直流オフセット電圧の調整範囲を
確保でき、かつ、微調により高精度の直流オフセット電
圧の調整を行なうことができる。
【0097】ここまでは、受信周波数は固定値であるこ
とを前提として説明して来た。しかし、一般に無線受信
機の受信周波数は1つの固定値ではなく、決められた周
波数帯域内の複数の周波数を受信周波数として使用す
る。受信周波数が変化した場合、すでに「従来技術」で
説明したように、直流オフセット電圧は若干だが変動す
る。使用する周波数帯域内で、直流オフセット電圧の変
動による受信特性の変動が許容できる範囲内であれば問
題ないが、許容できないほどの特性劣化がある場合もあ
りうる。このような場合、実施の形態1における直流オ
フセット電圧調整の動作を、次のようにすることで対応
できる。即ち、受信する周波数帯域をいくつかの帯域に
分割する。この帯域は、その帯域内における直流オフセ
ット電圧の変動による受信特性の変動が許容できる範囲
となるように設定すれば良い。分割した帯域毎に、上述
のI信号側粗調、I信号側微調、Q側粗調、Q側微調を
順次行いその結果を記憶し、受信動作時には受信周波数
の属する帯域に対応して、記憶した各調整結果を読み出
すのである。このようにすることで使用する周波数帯域
すべてにわたって良好な受信特性を確保することができ
る。
【0098】この場合、直流オフセット電圧の時間変動
が生じると、分割した帯域すべてに対して調整を行う必
要が生じる。しかし、実際には直流オフセット電圧の時
間変動は、主として無線受信機を構成する回路内のバイ
アス電圧・電流の変動に起因するため、この変動は分割
した帯域すべてに対してほぼ一様に現れると考えられ
る。例えば、ある帯域での直流オフセット電圧調整値が
DAコンバータ27aの値で1だけ増加したとすると、
他の帯域における直流オフセット電圧調整値もDAコン
バータ27aの値で1だけ増加するわけである。従っ
て、直流オフセット電圧の時間変動に対しては、次のよ
うにして対応することができる。
【0099】そこで、図10を参照して、直流オフセッ
ト電圧の時間変動に対応する例について説明する。図1
0は、使用する周波数帯域すべてに直流オフセット電圧
の時間変動を対応させる直流オフセット電圧調整量保持
手段と直流オフセット電圧調整制御手段の構成例を示し
たものである。図10は基本となる基準値181と、直
流オフセット電圧のずれ分を補正する補正値182と
(補正値182は分割した帯域毎の補正値182a〜1
82cからなる)、補正値182を選択する選択手段1
83と、補正値182を選択手段183により出力選択
する受信帯域情報184と、基準値181と選択手段1
83の各出力値を加算する加算手段185と、加算手段
185の出力である直流オフセット電圧の調整値186
とから構成される。図10の例において、受信周波数の
全帯域を帯域L、M、Hの3つに分割している。帯域M
で直流オフセット電圧調整を行った結果を基準値181
とする。
【0100】他の帯域L、Hでの直流オフセット電圧調
整は、基準値181を初期値として、基準値181から
のずれ分を帯域Lの補正値182bと帯域Hの補正値1
82cに記憶する。直流オフセット電圧の調整結果とし
ては、基準値181と受信帯域情報184と選択手段1
83により補正値182から必要である帯域の補正値を
読み出し、185で加算して186に出力する。ここ
で、帯域が基準値を得た帯域である場合については、補
正値を0とすれば良い。この例では帯域Mが基準値を得
た帯域である。また、補正値182は、ずれ分のみを記
憶すれば良いので、基準値181を記憶するのに必要な
記憶素子規模に比べより小さい規模ですむ。以降の直流
オフセット電圧調整においての調整結果を基準値181
に記憶すれば、自動的に直流オフセット電圧の時間変動
は他の分割した帯域にも適応される。
【0101】ここで、無線受信機の受信周波数の設定
(第1、および第2の局部発振周波数の設定)は、調整
時においては、各帯域のいずれかの周波数(帯域のほぼ
中央の周波数が望ましい)とすれば良い。また、無線信
号受信に際して直流オフセット電圧調整値を出力する場
合においては、受信する帯域がどの帯域に属するかを、
受信帯域情報184により設定する。受信帯域情報18
4は、例えば、第1、第2の局部発振手段がPLL周波
数シンセサイザーにより構成される場合は、PLL周波
数シンセサイザーの周波数設定情報を読み取ることで情
報を得ればよい。この例のようにすることで、回路規模
の拡大を見ることなく、使用する周波数帯域すべてにわ
たっての直流オフセット電圧の時間変動を調整でき、良
好な受信特性を確保することができる。
【0102】以上の説明では、無線受信機の雑音成分に
よる、直流オフセット電圧調整への影響はないものとし
て来た。以下、図1及び図4を参照して、雑音成分を含
む場合について説明する。実際には、図1の直交変調器
17aの出力にはキャリアリークだけでなく、無線受信
機の持つ雑音成分も含まれる。この雑音成分に対して
は、位相検波器21b及び21cは単なるミキサとして
働くので、雑音成分は周波数変換され、直流オフセット
電圧検出結果に加算されることになる。直流オフセット
電圧検出結果に含まれる雑音が直流オフセット電圧判定
手段22内における基準電圧22c、22dの電圧を越
すと、誤った判定結果が出力される。従って、単純に基
準電圧22c、22dの設定条件、即ち収束判定となる
範囲(収束判定範囲)を狭めるだけでは、直流オフセッ
ト電圧の調整精度を上げることはできない。
【0103】そこで、次に、図1を参照して、実施の形
態1における直流オフセット電圧の調整精度を向上させ
る方法について説明する。位相検波器21b(または位
相検波器21c)の出力には、前述のように直流オフセ
ット電圧に比例した直流電圧と雑音成分、及び位相検波
時に発生する高調波が含まれる。低域通過フィルタ21
eの本来の役割は位相検波時に発生する高周波成分の除
去であるが、この帯域をより制限することにより雑音成
分も低減することが可能となる。低域通過フィルタ21
eの通過帯域を狭めれば狭める程、より雑音成分を小さ
くすることが可能であるが、低域通過フィルタの帯域を
狭めると、直流オフセット電圧調整手段を構成するDA
コンバータ25a〜28aの値を切り替えてから、その
結果が直流オフセット電圧検出手段21の出力に反映さ
れるまでの応答時間が長くなり、調整にはより時間を必
要とすることとなる。そこで、直流オフセット電圧が大
きい段階では低域通過フィルタ21eの帯域を広くと
り、直流オフセット電圧が小さくなり高精度の調整が必
要となったところだけ低域通過フィルタ21eの帯域を
狭めるようにすれば良い。
【0104】なお、調整時間に対する制約がない場合、
低域通過フィルタ21eの帯域を十分狭くし、無線信号
に含まれる直流成分が直流オフセット電圧の検出値より
も十分小さく(例えば、20dB程度小さくすれば良
い)することで無線信号を遮断することなく直流オフセ
ット電圧調整をすることも可能である。
【0105】次に、図11及び図12を参照して、低域
通過フィルタ21eの通過帯域を変化させる方法を説明
する。まず、図11はOPアンプを用いたサレンキ型フ
ィルタの例を示す。図11は抵抗701〜704と容量
705、706とOPアンプ707と周波数を切り替え
るスイッチ708、709とから構成されるサレンキ型
フィルタからなる。図11に示すスイッチ708、70
9をオープンまたはショートすることによりフィルタの
周波数特性が切り替えられる。またスイッチ708、7
09はMOSFETとスイッチ制御信号により簡単に構
成することができる。
【0106】次に、図12にはgmアンプを用いたバイ
カッド型フィルタの例を示す。図12に示すバイカッド
型フィルタは、gmアンプ711、712と、フィルタ
を構成する容量713、714と、gmアンプの電流源
715、716と、電源717とからなる。図12に示
すようなgmアンプと容量を用いたフィルタにおいて
は、電流源715、716の電流値を切り替えることで
gmが変化し周波数特性が切り替えられる。このような
方法により低域通過フィルタの通過帯域は容易に変化さ
せることができる。
【0107】上述のように低域通過フィルタ21eの帯
域を可変することに加え、図4に示す直流オフセット電
圧判定手段22を構成する基準電圧22c、22dによ
り決まる収束判定電圧の範囲を可変することによって、
より効果的に直流オフセット電圧の調整精度を向上する
ことができる。すなわち、調整の開始時には、低域通過
フィルタ21eの帯域を広くすることで調整時間を短く
し、直流オフセット電圧がある値より小さくなったとこ
ろで、低域通過フィルタ21eの帯域を狭くかつ基準電
圧22c、22dにより決まる収束判定電圧の範囲を狭
くする。ここで基準電圧は、抵抗に電流を流すことによ
り発生させた電圧を用いれば、この電流値を変化させる
ことにより容易に変化させることができる。
【0108】なお、基準電圧22c、22dを可変する
代わりに、増幅器21aの増幅度を可変としても同様の
効果を得ることができる。ここで、増幅器の増幅度は、
例えば、増幅器をgmアンプと負荷抵抗により構成すれ
ば、gmアンプの動作電流を変えgm値を変化させるこ
とにより、容易に変化させることができる。
【0109】また、実施の形態1において、I信号側の
直流オフセット電圧の調整とQ側の直流オフセット電圧
の調整とを交互に行なう場合、次のような方法により、
更に直流オフセット電圧調整の精度を向上することもで
きる。すなわち、I信号側直流オフセット電圧検出時に
は、図4のミキサ17eの信号入力を第2の中間周波数
信号処理手段から切り離し、Q側直流オフセット電圧検
出時にはミキサ17dの信号入力を第2の中間周波数信
号処理手段から切り離すようにする。あるいは、I信号
側直流オフセット電圧検出時には、ミキサ17eの局部
発振入力を第3の局部発振手段出力18から切り離し、
Q側直流オフセット電圧検出時には、ミキサ17dの局
部発振入力を第3の局部発振手段出力18から切り離よ
うにしても同様の効果が得られる。この切り離しのため
のスイッチ回路の例を下記の図13に示す。
【0110】次に、図13を参照して、ミキサの局部発
振入力を第3の局部発振手段の出力から切り離すための
スイッチ回路の例を説明する。図13におけるスイッチ
回路は、スイッチ入力721と、第1の差動対722
と、第2の差動対723と、1対の負荷抵抗724と、
電流源725と、スイッチ入力721のバイアス電圧よ
りも十分高いまたは低い電圧を出力する第2の差動対7
23の制御電圧726と、スイッチ出力727と、電源
728とからなる。スイッチ入力721から入力された
信号は、制御電圧726が低い電圧を出力しているとき
には、第1の差動対722が動作し、負荷抵抗724を
通してスイッチ出力727に出力される。また、制御電
圧726が高い電圧を出力しているときは、第2の差動
対723が動作してスイッチ入力721の信号は負荷抵
抗724を通らない。要するに、スイッチの入力と出力
とは切り離される。また、電流源725の電流は常に負
荷抵抗724に流れるためスイッチ出力727のバイア
ス電圧はほぼ一定を保つことになる。
【0111】直流オフセット電圧調整の際、前述の方法
でI信号側もしくはQ信号側を切り離しても、直流オフ
セット電圧検出が可能であることは、式1乃至式7によ
り明らかである。I信号側調整時にはQ側を切り離し、
また、Q側調整時にはI信号側を切り離すことにより、
直流オフセット電圧調整時における直交変調器17a出
力に含まれる雑音電力は半分になる。これにより、直流
オフセット電圧の検出に対する雑音の影響は小さくな
り、高精度に直流オフセット電圧を調整することができ
る。
【0112】次に、図1、図14及び図15を参照し
て、以上説明した直流オフセット電圧調整の調整能力を
向上させる方法の動作を説明する。すなわち、上記で
は、図1に示した実施の形態1において、直流オフセッ
ト電圧調整の調整能力を向上させる方法として、低域通
過フィルタ21eの帯域可変、基準電圧22c、22d
の可変、ミキサ17aの信号入力または局部発振入力切
り離しという3つの例を上げた。以下、これら3つの例
を全て用いた場合の動作を、図1に基づき、図14、1
5のフローチャートを用いて説明する。なお、図14、
15では、I信号側の調整である図9の(A)の152
と153に対応して説明しており、Q側の調整である図
9の(A)における154と155については同様の動
作であり説明は省略してある。
【0113】初めに、図14において、スイッチ21d
を切り替え、I信号側直流オフセット電圧の検出状態と
して(801)、Q側のミキサ17eの信号入力を第2
の中間周波数信号処理手段から切り離すか、または、ミ
キサ17eの局部発振入力を第3の局部発振手段の出力
から切り離す(802)。基準電圧22c、22dを粗
調収束電圧に設定し(803)、低域通過フィルタ21
e帯域幅を粗調用帯域幅に設定する(804)。この状
態で直流オフセット電圧判定手段22の結果に従い第1
の直流オフセット電圧調整手段25を構成するDAコン
バータ25aの値を1増加または1減少させる(805
〜808)。この動作を直流オフセット電圧判定手段2
2により収束判定されるまで繰り返す。
【0114】次に、スイッチ21dを切り替えてI信号
側直流オフセット電圧の検出状態とする(811)。Q
側のミキサ17eの信号入力を第2の中間周波数信号処
理手段から切り離すか、または、ミキサ17eの局部発
振入力を第3の局部発振手段の出力から切り離す(81
2)。基準電圧22c、22dを微調収束電圧に設定し
(813)、低域通過フィルタ21e帯域幅を微調用帯
域幅に設定する。(814)この状態で直流オフセット
電圧判定手段22の結果に従い第3の直流オフセット電
圧調整手段27を構成するDAコンバータ27aの値を
1増加または1減少させる(815〜818)。この動
作を直流オフセット電圧判定手段22により収束判定さ
れるまで繰り返す。次に、スイッチ21dをQ側の直流
オフセット電圧を検出するように切り替え、同様にして
Q側の調整を行なえば良い。なお、粗調と微調を連続し
て行なうようにすれば、微調でのスイッチ21dの切り
替え(811)及びQ側のミキサの切り離し(812)
は実施する必要がない。
【0115】次に、直流オフセット電圧調整の更新方法
について詳細に説明する。無線受信機の直流オフセット
電圧調整動作は、無線受信機がリセット状態から始まる
時、例えば、電源投入時に実施する必要があるが、少な
くとも1回完了した後は、直流オフセット電圧の時間変
動分のみを調整して行けば良い。この直流オフセット電
圧の時間変動は、主として温度の変化による回路状態の
変化により生じるが、温度の変化の時間的変化を考える
と、速くとも1°C変化するのに数秒というオーダーで
あり、また、回路設計上温度補償を行なえば、1°C程
度温度が変化しても直流オフセット電圧の変化による特
性劣化は無視できる範囲内となる。
【0116】従って、直流オフセット電圧の時間変動分
の調整動作は、例えば、次のようにすることができる。
すなわち、一旦直流オフセット電圧調整動作が終了した
後は、直流オフセット電圧調整量保持手段24に記憶さ
れた調整値を初期値として、直流オフセット電圧判定手
段の結果を1回だけ検出し、直流オフセット電圧調整手
段を構成するDAコンバータの値を1だけ増加させるか
若しくは減少させる、または変化なしとする。この調整
結果により先の初期値を更新する。ここで直流オフセッ
ト電圧判定手段の結果の検出は1回だけに限る必要はな
く、複数回検出してその多数決を用いても良い。直流オ
フセット電圧調整手段としては、第1から第4まですべ
てを用いても良いが、直流オフセット電圧の変動が小さ
いということを前提とするなら、第3及び第4の直流オ
フセット電圧調整手段を用いることが好ましい。
【0117】以下、図1及び図16のフローチャートを
参照して、上記の点を踏まえた実施の形態1における直
流オフセット電圧調整の更新方法を説明する。初めに無
線信号を遮断する(821)。これは、前述のように、
例えば、高周波アナログ信号処理手段12の電源をスイ
ッチ12cにより切り離すことによって行なわれる。次
に、先に調整した直流オフセット電圧の調整結果を直流
オフセット電圧調整量保持手段24から読み出す(82
2)。スイッチ21dを切り替えてI信号側直流オフセ
ット電圧の検出状態とする(823)。Q側のミキサ1
7eの信号入力を第2の中間周波数信号処理手段から切
り離す、または、Q側のミキサ17eの局部発振入力を
第3の局部発振手段の出力から切り離す(824)。
【0118】次に、基準電圧22c、22dを微調収束
電圧(あるいはそれ以下の値)に設定し(825)、低
域通過フィルタ21e帯域幅を微調用帯域幅(あるいは
それより狭帯域)に設定する(826)。この状態で直
流オフセット電圧判定手段22の結果を3回検出する
(827)。1増加の判定が3回中2回以上であればD
Aコンバータの値を1増加し、または、1減少の判定が
3回中2回以上であればDAコンバータの値を1減少
し、もしくは、それ以外の場合にはDAコンバータの値
は変化なしとする(828〜830)。この制御の論理
を図17に示す。
【0119】次に、同様の方法でQ側の直流オフセット
電圧の調整を行なう。まず、スイッチ21dを切り替え
Q側直流オフセット電圧の検出状態とする(831)。
I信号側のミキサ17aの信号入力を第2の中間周波数
信号処理手段から切り離す、または、I信号側のミキサ
17aの局部発振入力を第3の局部発振手段の出力から
切り離す(832)。基準電圧22c、22dを微調収
束電圧(あるいはそれ以下の値)に設定し(833)、
低域通過フィルタ21e帯域幅を微調用帯域幅(あるい
はそれより狭帯域)に設定する(834)。この状態で
直流オフセット電圧判定手段22の結果を3回検出する
(835)。1増加の判定が3回中2回以上であればD
Aコンバータの値を1増加、または、1減少の判定が3
回中2回以上であればDAコンバータの値を1減少、も
しくは、それ以外の場合にはDAコンバータの値は変化
なしとする(836〜838)。
【0120】この制御の論理を図17に示す。調整した
結果により、直流オフセット電圧調整量保持手段24の
初期値を更新する(839)。最後に無線信号遮断を解
除し、受信可能な状態に戻す(840)。なお、ここで
はI信号側の調整に引き続いてQ側の調整を行なうとし
て説明したが、この順序は逆でも良い。
【0121】ここに示した更新動作(以降、この動作を
微調2と呼ぶ)により、極めて短時間で、しかも高精度
の調整を行ないながら直流オフセット電圧の調整を行な
うことができる。これにより、TDMA方式のような受
信タイミングが明確に決まっており、直流オフセット電
圧の調整に時間的余裕がない場合においても、十分な受
信特性を確保することが可能となる。
【0122】次に、微調2の動作の適用タイミングの例
について説明する。上述したように、直流オフセット電
圧の時間的変化は小さく、TDMA方式での受信タイミ
ング間隔(一般的には数msecから数百msecである)での
変化による受信特性への影響は無視できる範囲である。
本来受信動作を行なうごとにその直前で直流オフセット
電圧調整を行なうのが望ましいが、直流オフセット電圧
の変化を考えるとすべての受信動作ごとに行なう必要は
ない。従って、n回(n≧1)の受信動作毎に行なうよ
うにしても良い。さらに、温度変化を監視しておき、温
度変化が大きい場合は直流オフセット電圧調整を行なう
間隔nを小さく設定し、温度変化が小さい場合はnを大
きく設定する、というように温度変化に応じて直流オフ
セット電圧調整の間隔nを可変すれば、より温度変化に
適切に対応することができる。これは、予め温度変化と
それによる直流オフセット電圧の変化の関係と、直流オ
フセット電圧の変化と受信特性の劣化の関係について調
べておくことにより実現可能である。なお、温度の監視
は、例えば、サーミスタ等を使うことにより容易に実現
することができる。
【0123】上記の調整において、温度変化や時間経過
に対し調整できる範囲を越えた場合にも対応する必要が
ある。次に、図18を参照して、温度変化や時間経過に
より直流オフセット電圧が変化しDAコンバータにより
調整できる範囲を越えた場合のリカバリーついて説明す
る。図18は直流オフセット電圧調整の異常を検出し復
帰する手順を示すフローチャートである。
【0124】初めに、図18に示す微調2における直流
オフセット電圧調整で、DAコンバータのオーバーフロ
ー検出(211)を行い、検出された場合は、リセット
をかけて(214)直流オフセット電圧の再調整を行
う。検出されない場合には、ユニークワード(UW)が
受信出来たか判定する(212)、受信できているとき
は正常と判断される(215)。ユニークワード(U
W)が検出できない場合は、次にRSSI電圧の測定
(213)を行う。予め設定された電圧よりも高い場合
は、DAコンバータは正常であるが、直流オフセット電
圧に誤差が生じていると判断し、リセットをかけて(2
14)直流オフセット電圧を再調整する。RSSI電圧
が低い場合は、受信信号が受信感度に到達していないと
判断し、正常と判断する(215)。
【0125】次に、図1を参照して、上記微調2の動作
をさらに詳細に説明する。第3の直流オフセット電圧調
整手段及び第4の直流オフセット電圧調整手段の少なく
とも一方のDAコンバータがオーバーフローし所定の時
間またはスロットを経過したところで、直流オフセット
電圧調整をリセットし、先に説明した様に、再び全ての
第1、第2、第3、第4の直流オフセット電圧調整手段
25〜28により調整を行う。さらに受信信号強度検出
手段19で検出した信号強度が十分に検波・復調できる
場合であっても、ユニークワード(UW)が受信出来な
い場合は、所定の時間またはスロットを経過したところ
で直流オフセット電圧調整をリセットし、すでに説明し
たように電源投入時と同様に直流オフセット電圧調整手
段により調整を行う。
【0126】上記説明の組み合わせとして、どちらか一
方が生じた時にリセットをかけることも可能である。こ
れら検出により直流オフセット電圧調整に異常が生じた
場合には、所定の時間またはスロットが経過しても状態
に変化が無ければ、直ちにリセットし再調整し正常状態
に復帰させることが出来る。先に説明したように、受信
該当スロット以外で直流オフセット電圧調整を行うた
め、無線信号受信状態では、直流オフセット電圧検出手
段21と直流オフセット電圧判定手段22は動作する必
要が無く、直流オフセット電圧調整動作以外では電源を
遮断することで更に動作電流を削減することが出来る。
【0127】以上説明した無線受信機において、連続受
信モードとバースト受信モードでベースバンドのチャネ
ル選択フィルタの周波数特性切り替えによる有効性につ
いて説明する。TDMA/TDD方式のフレームフォー
マットについては、既に「従来技術」の図42で説明し
た通りである。
【0128】連続受信モードとバースト受信モードで
は、検波・復調手段の同期回路の動作クロックが異な
り、連続受信モードでは低速クロックを用いている。そ
のため連続受信モードでは検波・復調手段において検波
後のシンボル位置の変動に対し細かな同期引き込みがで
きないために、チャネル選択フィルタの帯域内群遅延特
性の平坦性が要求される。また、バースト受信モードで
は高速クロックであるため、シンボル位置の変動に対し
細かな同期引き込みが出来るため、チャネル選択フィル
タの帯域内群遅延特性の平坦性が緩和される。一般に、
フィルタの帯域内群遅延特性の平坦性は、広帯域のフィ
ルタであったり、フィルタのQ(鋭さ)が低い構成とな
る。フィルタ帯域が広くなると受信帯域内雑音が増加し
たり、隣接チャネルからの妨害信号の減衰量が劣化す
る。
【0129】さらに無線受信機の局部発振周波数と無線
信号の周波数がずれている場合も考慮するとフィルタの
帯域内群遅延特性の平坦性が更に要求される。連続受信
モードでは、無線受信機に要求される特性を満足する範
囲でチャネル選択フィルタを広めに設定し、感度、隣接
チャネル妨害波除去特性よりも、無線受信機の局部発振
周波数と無線信号の周波数ずれにおいても確実に検波・
復調できるフィルタ特性を与え、バースト受信モードで
はチャネル選択フィルタを狭めに設定し、感度及び隣接
チャネル妨害波除去特性を更に高めることでいずれの受
信モードにおいても安定した受信特性を実現することが
できる。また、チャネル選択フィルタの周波数特性の切
り替え方法については、図11、12を参照して、既に
直流オフセット電圧の調整精度を向上させる方法として
説明した方法と同様の手段で実現することができる。
【0130】チャネル選択フィルタの周波数を切り替え
る、これら構成では、周波数切り替え前後で直流オフセ
ット電圧に変化が生じる場合には、直流オフセット電圧
をそれぞれ調整し、保持手段で保持し状態変化に合わせ
て保持手段から読みだす方法により直流オフセット電圧
を調整してもよい。以上説明した実施の形態の例では、
それぞれ個別に説明してきたが、それを構成することに
よる回路の複雑さとその効果とを考慮して、適宜組み合
わせて用いれば良い。
【0131】(実施の形態2)次に、図19乃至図33
を参照して、本発明の実施の形態2における無線受信機
について説明する。本実施の形態2における無線受信機
は自動利得制御を有することを特徴とするものである。
なお、図19中、図1と同一の符号を有するものは同一
の要素であるため、その説明は省略するものとする。
【0132】図19は本発明の実施の形態2における無
線受信機の基本的な構成を示すブロック図、図20は本
発明の実施の形態2における第1の中間周波数信号処理
手段の構成例を示すブロック図、図21は本発明の実施
の形態2における利得切り替えの設定例を示す図表、図
22は本発明の実施の形態2における第1の中間周波数
信号処理手段による受信特性の測定結果を示す特性図、
図23は本発明の実施の形態2における、受信信号強度
検出手段の動作特性を示すグラフ図、図24は本発明の
実施の形態2における、連続受信モードの動作を示すグ
ラフ図、図25は本発明の実施の形態2における、利得
切り替えの論理例を示す図表、図26は本発明の実施の
形態2における、利得切り替えの手順を示すフローチャ
ート、図27は本発明の実施の形態2における、利得切
り替えの論理例を示す図表、図28は本発明の実施の形
態2のおける、利得切り替え判定系を2系統有する場合
の動作を示すタイミング図、図29は本発明の実施の形
態2のおける、利得切り替え判定系を2系統有する場合
の利得切り替え判定論理を示す図表、図30は本発明の
実施の形態2における、バースト受信モードでの直流オ
フセット電圧調整動作の例を表す概念図、図31は本発
明の実施の形態2における、連続受信モードでの直流オ
フセット電圧調整動作の例を表す概念図、図32は本発
明の実施の形態2における、複数スロット受信動作での
直流オフセット電圧調整動作の例を表す概念図、図33
は本発明の実施の形態2における、複数スロット受信動
作での利得切り替えの動作を表す概念図である。
【0133】まず、図19を参照して、本発明の実施の
形態2における無線受信機の構成について説明する。図
2において、第1の中間周波数信号処理手段14は利得
設定手段を有する緩衝増幅部14c及び直交ミキサ14
bにより構成され、第1の中間周波数信号を第2の中間
周波数信号に直交変換する。そこで、緩衝増幅部14c
は、図20に示すように構成され、利得設定手段に用い
る切り替えスイッチ14d及び14iと、緩衝増幅器1
4e並びに振幅制限機能を有する緩衝増幅器14fと周
波数帯域制限手段14g及び信号減衰手段14hとから
成る。ここで、切り替えスイッチ14dと14iとは、
利得制御手段31からの利得切り替え制御信号14kに
より連動して動作し、緩衝増幅器14eの経路または振
幅制限機能を有する緩衝増幅器14fの経路のいずれか
を選択する。
【0134】第2の中間周波数信号処理手段は16は利
得設定手段を有する第1のベースバンド増幅器16g及
び16h、並びに低域通過フィルタ16b及び16e、
並びに第2のベースバンド増幅器16c及び16fによ
り構成され、第1の中間周波数信号処理手段14により
ベースバンドに変換された第2の中間周波数信号を増幅
・帯域制限するものである。また、受信信号強度検出手
段19はリミッタアンプ17cに接続され受信信号レベ
ルに比例した電圧を出力する第1の受信信号強度検出手
段19aと第2の受信信号強度検出手段19bとにより
構成され、第2の中間周波数信号処理手段17に接続さ
れて無線信号強度を検出する。
【0135】利得制御手段31は受信信号強度判定手段
33の判定出力結果を用いて、第1の中間周波数信号処
理部14および第2の中間周波数信号処理部16に設け
られた複数の利得設定手段の利得を切り替えるものであ
る。利得保持手段32は利得制御手段31による利得切
り替えの結果を記憶するものである。受信信号強度判定
手段33はコンパレータ33a〜33f、各コンパレー
タに対応する基準電圧33g〜33lにより構成され、
第2の受信信号強度検出手段19の出力より、複数の異
なる信号強度を判定するものである。
【0136】次に、図19を参照して、本発明の実施の
形態2における利得設定手段による利得状態設定例につ
いて説明する。以下の説明において、無線受信機は、利
得状態として、利得が大きい順にAGC0モード、AG
C1モード、AGC2モードの3つの利得状態を有する
ものとして説明する。この3つの利得状態は、例えば、
図21のように設定する。図21に従って説明すると、
AGC0モードにおいては緩衝増幅部14cおよび第1
のベースバンド増幅器16g、16hは利得最大の状
態、AGC1モードにおいては、第1のベースバンド増
幅器16g、16hの利得のみを15dB下げる、AG
C2モードにおいては緩衝増幅部14cの利得を15d
B、第1のベースバンド増幅器16g、16hの利得を
15dB下げる。これにより、無線受信機のダイナミッ
クレンジをAGC0モードに対し、AGC1モードでは
15dB拡大、AGC2モードでは30dB拡大する。
【0137】さらにAGC2モードにおいては、利得を
下げることに加え、図20に示すように、緩衝増幅部1
4cを、振幅制限機能を有する緩衝増幅器14fと周波
数帯域制限手段14gと信号減衰手段14hとから構成
することにより、利得を下げるだけでは対応できないよ
うな過大入力受信電界への対応も行なう。過大入力受信
電界に対しては、振幅制限機能を有する緩衝増幅器14
fにより振幅制限することで第2の中間周波数信号処理
手段16の信号飽和を押さえ、かつ周波数帯域制限手段
14gにより振幅制限に伴い発生する高調波成分を除去
する。
【0138】そこで、図22を参照して、上記において
高調波成分を除去した場合の効果について説明する。図
22の(A)、(B)、(C)は実施の形態2(図1
9)の無線受信機により、π/4シフトDQPSK変調
された信号を受信した場合の受信特性の測定結果の例で
ある。ここで、この結果は直流オフセット電圧調整は完
了しており、また利得切り替えも適切に設定した状態で
得たものである。また、受信誤り率の水平な領域は、測
定上の都合で0e−6までの確認としているものであ
り、エラー無しとみなして良い領域である。
【0139】図22の(A)は振幅制限機能を有する緩
衝増幅器14f及び周波数帯域制限手段14gのない状
態(すなわち振幅制限機能を有する緩衝増幅器14fを
緩衝増幅器14eに置き換え、周波数帯域制限手段14
gの帯域を十分広くした状態)での受信誤り率である。
図22の(B)は振幅制限機能を有する緩衝増幅器14
fを有するが周波数帯域制限手段14gのない状態での
受信誤り率である。図22の(C)は振幅制限機能を有
する緩衝増幅器14f及び周波数帯域制限手段14gの
いずれをも有する状態での受信誤り率である。図22の
(A)、(B)では、過大入力受信電界において受信誤
り率の劣化が見られるが、図22の(C)ではそれは見
られない。
【0140】このように、振幅制限を行なうことで、過
大入力受信電界での受信誤り率は改善され、さらに、周
波数帯域制限を加えることで、過大入力受信電界におい
ても良好な受信特性を確保することができる。ここで、
周波数帯域制限手段14gは、その減衰量を中間周波数
の高次高調波を25dB以上減衰させるよう設定したも
のである。なお、周波数帯域制限手段14gの減衰量は
前記25dB以上に限定されるものではなく、受信誤り
率として十分な特性が得られるだけの減衰量に設定すれ
ば良い。また、周波数帯域制限手段14gは、振幅制限
機能を有する緩衝増幅器14fの出力マッチング回路、
あるいは、直交ミキサ14bの入力マッチング回路によ
り構成しても良い。
【0141】なお、上記説明での利得の切り替えは、緩
衝増幅部14cと第1のベースバンド増幅器16g、1
6hで行なうことに限定されるものではなく、直交ミキ
サ14b、第2のベースバンド増幅器16c、16fで
行なっても良いし、また、それらと組み合わせて行なう
ようにしても良い。同様に利得の切り替え量についても
15dBに限定されるものではなく、無線受信機各部の
利得、雑音形態(Noise Figure)、ダイナミックレンジ
を考慮して、受信特性が最良となるよう設定すれば良
い。
【0142】次に、本実施の形態における利得切り替え
の手順について説明する。受信された無線信号の信号強
度は、受信信号強度検出手段19の出力により、その振
幅値にほぼ比例した直流電圧(以下この直流電圧をRS
SI電圧と呼ぶ)として得ることができる。RSSI電
圧を受信信号強度判定手段33により、予め設定した基
準電圧と比較し、無線信号の強度がどのレベルにあるの
かを判定する。この判定結果をもとに利得制御手段31
は、利得状態の切り替えを行なうかあるいは現在の利得
状態を保つかの制御を行なう。各利得状態の遷移を説明
すると次のようになる。すなわち、AGC0モードの状
態において利得切り替えなしの場合の次の状態はAGC
0モード、利得切り替えありの場合はAGC1モードと
する。AGC1モード状態において利得切り替えなしの
場合の次の状態はAGC1モード、利得切り替えありで
利得を上げる場合はAGC0モード、利得切り替えあり
で利得を下げる場合はAGC2モードとする。AGC2
モードの状態において利得切り替えなしの場合の次の状
態はAGC2モード、利得切り替えありの場合はAGC
1モードとする。
【0143】次に、実施の形態2における直流オフセッ
ト電圧調整と利得切り替えの実施手順について説明す
る。この実施手順の設定においては、次の2点に留意す
る。1点目は、無線受信機が複数の利得状態を有する場
合、各状態ごとに直流オフセット電圧の現われ方は当然
異なってくる点である。従って、当然各利得状態ごとに
直流オフセット電圧の調整を行なう必要がある。これ
は、前述の直流オフセット電圧の調整を、各利得状態毎
に行なうことにより実現する。2点目は、直流オフセッ
ト電圧が存在する状態では、キャリアリークにより受信
信号強度の判定を誤り、利得状態の設定を誤ってしまう
ことになる点である。これは直流オフセット電圧の調整
を利得切り替え制御動作に先立って実施すれば解決され
る。なお、直流オフセット電圧の調整は、上記実施の形
態1において説明した動作であることを前提とする。
【0144】上記、留意点を考慮した直流オフセット電
圧調整と利得切り替えの実施手順は次のようになる。ま
ず、無線受信機の利得状態を強制的にAGC0モードの
状態に設定する。この状態での直流オフセット電圧の調
整を行ない、結果を直流オフセット電圧調整量保持手段
24(図19)に記憶しておく。次に、無線受信機の利
得状態を強制的にAGC1モード状態に設定しこの状態
での直流オフセット電圧の調整を行ない、この結果を直
流オフセット電圧調整量保持手段24に記憶しておく。
次に無線受信機の利得状態を強制的にAGC2モード状
態としこの状態での直流オフセット電圧の調整を行な
い、この結果を直流オフセット電圧調整量保持手段24
に記憶しておく。すべてのAGC状態に対応した直流オ
フセット電圧調整後、無線信号強度に応じた利得切り替
え動作を行なう。各利得状態に対応した直流オフセット
電圧を直流オフセット電圧調整量保持手段24より読み
出すことにより、どの利得状態においても直流オフセッ
ト電圧の調整された状態で受信することができる。ま
た、キャリアリークの影響を受けることなく、自動利得
制御を正しく行なうことができ信号強度に最適な利得状
態にて受信を行なうことができる。なお、ここではもっ
とも利得の高いAGC0モードより利得の高い方向に各
調整を行なうように記したが、とくにこの順序である必
要はない。
【0145】次に、本実施の形態2の図19に示す受信
信号強度検出手段19の構成例について説明する。無線
信号の利得を切り替えると、そのままではRSSI電圧
は利得切り替えを行なった無線信号強度で不連続となり
無線信号強度に対する比例関係がその点でくずれてしま
う。RSSI電圧の情報は、検波手段20において受信
電界強度の表示あるいは使用周波数の切り替え判定等に
利用されるが、無線信号強度とRSSI電圧の関係が直
線ではないと正しい無線信号強度を得ることができず不
都合である。そこで、利得を下げた場合には、利得低下
分によって見込まれるRSSI電圧の低下分をRSSI
出力に加算するように受信信号検出手段19を構成し、
RSSI電圧と無線信号強度との比例関係を保つ。この
動作を、図23を用いて説明する。
【0146】そこで、図23を参照して、受信信号検出
手段の動作を説明する。図23は無線信号強度に対する
RSSI電圧の関係を表したものである。利得切り替え
時に利得低下にともなうRSSI電圧の低下分をRSS
I出力に加算しない場合、破線221のようにRSSI
電圧はAGCモードの切り替わりで不連続に変化する。
そこで各利得状態に応じて、利得低下分に相当するRS
SI電圧の変化分を加算する。AGC1モードでは22
2の電圧を、AGC2モードでは222と223の電圧
を加算する。これによりRSSI電圧と無線信号強度と
の比例関係が保たれる。
【0147】受信信号強度検出手段19は、受信した信
号の振幅(交流信号)を整流・平滑化することにより直
流電圧に変換する。このため本質的に、また、受信信号
自体の持つ振幅成分により、リップル分を持つ。このリ
ップルは平滑化の時定数を大きくすることで小さくする
ことができ、より検出精度を向上することができる。一
方、時定数を大きくすることは、応答に時間を要するこ
とになる。次に説明を行なうが、本発明においては、利
得切り替え動作を無線信号到来後すみやかに行なう動作
状態を有する。このためには、受信信号強度判定手段1
9の応答時間は当然速いことが望ましい。一方、検波手
段20の要求する応答時間はそれよりも緩やかで良く、
最適な応答時間は各々で異なる。そこで、各々に用いる
回路を独立させることにより、無線信号の検出精度と利
得切り替え動作各々に最適な条件を設定可能とすること
ができる。
【0148】次に、本実施の形態2における利得制御手
段31の利得の切り替え制御のタイミングついて説明す
る。TDMA方式の無線信号を受信する場合において、
無線機の動作状態は大きく2つの状態に区別することが
できる。即ち、無線受信機の動作タイミングとバースト
送信される無線信号の到来タイミングとが非同期な状態
と、無線受信機の動作タイミングとバースト送信される
無線信号の到来タイミングの同期がとれている場合であ
る。前者は、電源投入時の状態に代表され、この状態に
おいては無線信号がいつ来るのか無線受信機側では不明
である。後者は、通話時の状態に代表され、この状態で
は無線信号の来るタイミングは無線受信機側で明確とな
っている。
【0149】利得切り替えを行なうことにより、無線受
信機のバイアス状態が変動し、この結果受信信号が乱
れ、信号の欠落及びRSSI電圧の乱れが生じる。従っ
て、信号受信期間中に利得切り替えを行なうことは受信
特性上好ましくない。従来技術の項において説明した、
図42の(B)の信号フォーマットを例として説明する
と、受信特性を確保するためにはUW(583e)を正
しく受信する必要がある。さらに、前記UW(583
e)を正しく受信するためには、それ以前に、ビット同
期が取れている必要がある。従って、スロット開始後速
やかに利得切り替えを行なわなくてはならない。
【0150】同期が取れている状態においては、受信信
号の予め設定されたスロット内のタイミングで無線信号
強度を読み取り、その値が予め設定した値より大きいか
小さいかにより、利得状態を判断し、その利得状態は、
次の受信の開始時より適用する自動利得制御方法をとる
ことができる。(以降この自動利得制御の状態をバース
ト受信モードと呼ぶ。)
【0151】一方、非同期の状態においては、バースト
送信された無線信号が到来した時点、すなわち受信スロ
ットの開始時点で利得切り替えを行ない、必要な信号受
信期間までに受信信号を安定して受信できるようにす
る。これは、次のようにして実現することができる。す
なわち、単位時間間隔ごとに信号強度判定結果をサンプ
リングし、信号強度が、予め設定した値を越えかつ単位
時間内での信号強度の変化が予め設定した変化量を越し
た場合に利得を切り替えるようにする(以降この自動利
得制御の状態を連続受信モードと呼ぶ)。同期、非同期
の状態は、例えば、検波手段20により検知可能である
から、各状態に応じて適宜自動利得制御の状態を切り替
えれば良い。なお、同期が取れている状態においても、
信号フォーマットの構成上、利得切り替えから信号安定
までの時間が信号受信に影響を及ぼさない範囲であるな
らば、上述の連続受信モードを用いても良い。
【0152】次に、図24を参照して、連続受信モード
における利得切り替えの制御動作について詳細に説明す
る。この状態においては、いつ無線信号が到来するかは
わからない。無線信号が到来した時点において速やかに
利得切り替えを行なう必要がある。しかも、信号受信中
においては、RSSIのリップル分や無線信号のフェー
ジングによる緩やかな時間変動による利得の切り替わり
は避けなければなららい。連続受信モードでの利得切り
替えの制御は、単位時間間隔ごとに信号強度判定結果を
サンプリングし、信号強度が設定値を越え、かつ、単位
時間内での信号強度の変化が、予め設定した変化量を越
えた場合に利得を切り替える。
【0153】さて、この動作を、図24を用いて詳細に
説明する。ここで、無線受信機の構成としては、図19
に示した実施の形態2を前提とする。また、ここでは、
前述の通りAGC0モード、AGC1モード、AGC2
モードの3つの利得状態を有するものとする。図24
は、無線信号到来にともなうRSSI電圧の変化と、受
信信号強度判定手段33における基準電圧(33gから
33l)の設定と、受信信号強度判定手段33の出力
(33aから33f)の時間的変化について示したもの
である。図24において、符号231〜236は、各々
基準電圧33g〜33lを表す。また、237はRSS
I電圧の変化を表す。また、符号238〜243は、各
々コンパレータ33a〜33fの出力を表す。また矢印
244は、受信信号強度判定手段33の出力、すなわち
コンパレータ33aから33fの出力をサンプリングす
る点を示したものである。
【0154】受信信号強度検出手段19の出力であるR
SSI電圧237は、受信信号強度判定手段33により
6つの予め設定された基準電圧231〜236と比較さ
れる。利得制御手段31は一定の時間間隔で受信信号強
度判定手段33の出力238〜243をサンプリングす
る。受信信号強度判定手段33の基準電圧は、各AGC
モード毎に設定し、各AGCモードで切り替えて用い
る。また、以下のように設定する。すなわち、基準電圧
33g(231)、33h(232)、33i(23
3)、33j(234)、33k(235)、33l
(236)の順に高く設定する。基準電圧33g(23
1)、33h(232)、33i(231)は利得を上
げるための設定値とし、基準電圧33hを、利得を上げ
ることが望ましい無線信号強度(受信特性の劣化が許容
できない無線信号強度にマージンを考慮した値)に対応
したRSSI電圧値に設定する。基準電圧33g(23
1)、33i(233)は基準電圧33h(232)に
対し、無線信号受信中におけるRSSI電圧のリップル
分にマージンを考慮した程度の差を持たせる。
【0155】基準電圧33j(234)、33k(23
5)、33l(236)は利得を下げるための設定値と
し、基準電圧33k(235)を、利得を下げることが
望ましい無線信号強度(第2の中間周波数信号処理手段
16の飽和する無線信号強度にマージンを考慮した値)
に対応したRSSI電圧値に設定する。基準電圧33j
(234)、33l(236)は基準電圧33k(23
5)に対し、サンプリング間隔内で生じるRSSI電圧
のリップル分にマージンを考慮した程度の差を持たせ
る。AGC0モードにおいては利得を上げる条件が存在
しないが、この条件での基準電圧設定は利得切り替え制
御に支障のないような値としておけば良い。例えば、基
準電圧31g、31h、31iを基準電圧31jより低
い値とすれば良い。また、AGC2モードにおいては利
得を下げる条件が存在しないが、この条件での基準電圧
設定も同様に利得切り替え制御に支障のないような値と
しておけば良い。例えば、基準電圧33j、33k、3
3lを基準電圧33iより高い値とすれば良い。
【0156】利得制御手段31は、コンパレータ出力3
3a(238)から33f(243)をサンプリング
し、図25の利得切り替え条件に従って利得の制御を行
なう。図25において、“0”及び“1”はコンパレー
タの出力状態を表す。“0”は、RSSI電圧がコンパ
レータに対応する基準電圧より低い状態を、“1”はR
SSI電圧がコンパレータに対応する基準電圧以上の状
態を表す。例えば、RSSI電圧がコンパレータ33d
に対応する基準電圧33jより小さい場合にコンパレー
タ33dの出力状態は“0”、逆に大きい場合は“1”
である。
【0157】ここで、図25を参照して、利得制御手段
31における利得切り替えの条件を説明する。すなわ
ち、利得を下げる条件は、1サンプル前の受信信号強度
が基準電圧33jより小さく、現在のサンプル値が基準
電圧33k以上となった場合、または、1サンプル前の
受信信号強度が基準電圧33j以上で33kより小さ
く、現在のサンプル値が基準電圧33l以上となった場
合である。利得を上げる条件は、1サンプル前の受信信
号強度が基準電圧33i以上で、現在のサンプル値が基
準電圧33hより小さくなった場合、または、1サンプ
ル前の受信信号強度が基準電圧33iより小さく33h
以上で、現在のサンプル値が基準電圧33gより小さく
なった場合である。
【0158】なお、サンプリング間隔については、無線
信号によるRSSI電圧の変化の立ち上りおよび立ち下
がりの時間程度の時間に設定すれば良い。例えば、RS
SI電圧の立ち上り・立ち下がり時間が10usecで
あれば、サンプリング間隔は5から10usec程度に
設定すれば、1サンプル前のRSSI電圧と現在のRS
SI電圧の差を適切に観測でき、また、利得切り替えま
での時間も十数usecの時間で済む。
【0159】以上説明したように動作することにより、
バースト送信された無線信号が到来しRSSI電圧が立
ち上ったところで確実に利得を切り替えることができ
る。また、例えば、特定の基準電圧を越したところで利
得を切り替えるような制御の場合、信号強度が基準電圧
より少しだけ小さい状態から始まりゆっくりとした電界
変動により基準値を少しでも越えた場合、その時点で利
得が切り替わり、受信信号が乱れてしまうが、上記の利
得切り替え制御とすれば、信号受信中において多少の電
界変動があっても利得が切り替わることがなく安定して
受信することができる。さらに利得を上げる無線信号強
度と戻す無線信号強度を独立して設定することは、利得
の切り替え動作にヒステリシスを持たせることになり、
信号受信中における電界変動の影響をさらに受け難くし
ている。このように、本発明によれば、無線信号と非同
期の状態でも、確実に利得を切り替えることができ、し
かも、受信中に多少の電界変動があっても利得が切り替
わることがないため、安定した受信特性を得ることがで
きる。
【0160】次に、図19及び図26を参照して、利得
状態がAGC2モードとなる場合を例に連続受信モード
における利得切り替え制御動作の時間的流れを説明す
る。なお、利得切り替え制御動作に入る前に直流オフセ
ット電圧調整動作は完了しているものとする。まず、連
続受信モードに設定後、利得状態をAGC0モードとす
る(261)。ここで、始めの状態をAGC0モードか
ら行なうのは、例えば、AGC2モードの状態で、AG
C0モードに適した無線信号強度の信号を受信しても無
線受信機としての利得が低くまた受信感度もAGC0モ
ードの状態に比べて悪いため、RSSI電圧が雑音に埋
もれてしまい、正しく検出できないからである。次に、
直流オフセット電圧調整値としてAGC0モードに対応
した値を出力し(262)、受信信号強度判定手段33
の基準電圧33gから33lをAGC0モード用の基準
電圧に設定する(263)。受信信号強度判定手段33
のコンパレータ出力33aから33fに対するサンプリ
ングを行なう(265)。バースト送信された無線信号
の到来に伴いRSSI電圧が上昇しサンプリングした結
果に変化が生じる。利得制御手段31はサンプリングし
た結果が、前述の図25に示した利得を下げる条件であ
った場合、AGC1モードへの切り替え動作に移行す
る。そうでない場合は、AGC0モードの状態でコンパ
レータ出力のサンプリングを繰り返す。なお、連続受信
モード終了時には、サンプリングを停止し動作を終了す
る(264)。
【0161】次に、AGC1モードへの移行について説
明する。まず、利得状態をAGC1モードに設定する
(267)。直流オフセット電圧調整値としてAGC1
モードに対応した値を出力する(268)。受信信号強
度判定手段33の基準電圧33gから33lをAGC1
モード用の基準電圧に設定する(269)。ここで、前
述したように利得切り替えを行なった場合、RSSI電
圧に一時的な乱れが生じることを考慮し、この乱れが安
定するまで、次の利得切り替えのためのコンパレータ3
3a乃至33f出力のサンプリング動作を停止する(2
70)。この安定待ちを行なった後、コンパレータ33
a乃至33f出力のサンプリングを再び行なう(27
1)。サンプリングした結果が前述の図25に示した利
得を下げる条件であった場合AGC2モードへの切り替
え動作に移行する。若しくは、サンプリングした結果が
利得を上げる条件であった場合はAGC0モードへの切
り替え動作に移行する。または、そのいずれでもない場
合はAGC1モードの状態でコンパレータ出力のサンプ
リングを繰り返す。
【0162】次に、AGC2モードへ移行する場合につ
いて引き続き説明する。利得状態をAGC2モードに設
定する(273)。直流オフセット電圧調整値としてA
GC2に対応した値を出力する(274)。受信信号強
度判定手段33の基準電圧33gから33lをAGC2
モード用の基準電圧に設定する(275)。ここで、前
述したように利得切り替えを行なった場合、RSSI電
圧に一時的な乱れが生じることを考慮しこの乱れが安定
するまで、次の利得切り替えのためのコンパレータ33
a乃至33f出力のサンプリング動作を停止する(27
6)。この安定待ちを行なった後、コンパレータ33a
乃至33f出力のサンプリングを再び行なう(27
7)。
【0163】無線信号のバースト送信終了にともないR
SSI電圧は低下して行き、やがてサンプリングした結
果が図25に示した利得を上げる条件になると、AGC
1モードへ移行する。AGC1モードへの移行は前述の
AGC0モードからAGC1モードへの移行と同様であ
る。無線信号のバースト送信が終了した状態では、RS
SI電圧は急速に立ち下がるため、AGC1モードでの
RSSI安定待ち後、コンパレータ出力のサンプリング
を再開すると、すぐに利得を上げる条件となる。従っ
て、利得状態はAGC0モードへすみやかに移行する。
すなわち、次の動作を行なう。利得状態をAGC0モー
ドに設定する(279)。直流オフセット電圧調整値と
してAGC0に対応した値を出力する(280)。受信
信号強度判定手段33の基準電圧33gから33lをA
GC0モード用の基準電圧に設定する(281)。ここ
で、前述したように利得切り替えを行なった場合、RS
SI電圧に一時的な乱れが生じることを考慮して、この
乱れが安定するまで次の利得切り替えのためのコンパレ
ータ33a乃至33f出力のサンプリング動作を停止す
る(282)。この安定待ちを行なった後、コンパレー
タ33a乃至33f出力のサンプリングを再び行ない
(284)、つぎの無線信号の到来を待つ。このような
動作は無線信号がバースト送信され到来する度ごとに、
連続受信モードが終了するまで(283)、繰り返し行
なわれる。
【0164】上記で説明した図26のフローチャートに
よる連続受信モードにおける利得切り替え制御動作で
は、AGC2モードから利得を上げる場合、一旦AGC
1モードの状態で利得切り替え条件か否かの検出を行な
っていた。ここで連続受信モードにおけるAGC2モー
ドから利得を上げる場合を考えてみると、それは無線信
号のバースト送信、言い換えると受信スロットが終了し
た時点である。本実施の形態における利得切り替え動作
では、受信スロット内での利得の切り替え動作は起こら
ないように設定しているのであるから、AGC2モード
から利得を上げる動作となるのはバースト送信終了時点
以外に有り得ない。従って、連続受信モードにおいて
は、AGC2モードから利得を上げる動作は次のように
しても良い。すなわち、AGC2の状態で利得を上げる
という条件となった時点で、強制的にAGC0に移行し
てしまうのである。これは前述の図26のフローチャー
トにおいてAGC2モードからAGC1モードへの移行
動作(286から287への移行動作)を、AGC2モ
ードからAGC0モードへの移行動作(286から28
8への移行動作)に変更することで容易に実現できる。
また、強制的にコンパレータ33aから33fの出力を
制御してAGC1モードを経てAGC0モードとしても
良い。このようにすることにより、バースト送信される
無線信号の終了時点で、より確実に、また、すみやかに
利得を初期のAGC0モード状態に戻すことが可能とな
り、すべての無線信号を最適な利得状態で確実に受信す
ることができる。
【0165】連続受信モードにおける利得切り替え動作
は、前述の通り利得を下げる条件と利得を上げる条件と
はヒステリシスを有する形となっている。従って、利得
を上げる動作については、前述の条件に次の条件を加え
てもバースト送信される無線信号受信中の利得切り替え
は発生せず支障はない。そこで、RSSI電圧が予め設
定した値より小さくなった場合に利得を上げる条件を追
加しても良い。例えば、RSSI電圧が基準電圧33g
より小さくなったところで利得を上げるようにする。こ
の条件を前述の図25の条件に加えた条件は、図27に
示すようになる。図25の利得切り替えの条件との違い
は、利得を上げる場合の条件のみである。基準電圧33
gに対応したコンパレータ33aの出力が“0”となっ
たところで利得を上げるため、利得を上げる条件は簡単
になっている。利得切り替え後のRSSI安定時間を短
くした場合、RSSIの乱れにより図25の判定条件が
適用できなくなる可能性があるが、本条件はこのような
場合に有効に作用する。これにより、バースト送信終了
後、より確実に利得状態をAGC0モードまで戻すこと
ができ、すべての無線信号を最適な利得状態で確実に受
信することができる。
【0166】また、利得切り替え動作後、RSSI電圧
の安定を待つ間、コンパレータ33a乃至33f出力の
サンプリングは停止するが、安定待ちの時間を長く取り
過ぎるとその間にRSSI電圧は立ち上りきってしまう
か、立ち下がりきってしまい、変化のない状態となる可
能性がある。この場合、サンプリングを再開した直後の
コンパレータ出力サンプリング値と次のサンプリング値
との間の差はなくなってしまい、図25に従った利得切
り替え制御ができなくなる。このような場合には、サン
プリングを再開した直後のコンパレータ出力値を、強制
的に次のように設定すれば確実に利得切り替え制御がで
きる。すなわち、コンパレータ33a乃至33c出力を
全て1、コンパレータ33d乃至33f出力を全て0と
する。これは、強制的に基準電圧33gから33lの設
定を行なうことによっても、また、利得制御手段31内
において論理的な処理を行なうことによっても容易に実
現できる。このようにすることによって、安定待ち時間
の設定の如何を問わず、確実に利得切り替えを行なうこ
とができる。
【0167】次に、図19及び図28を参照して、さら
に、利得切り替え動作をより確実に、しかも速やかに行
なう方法について説明する。これは、コンパレータ33
a乃至33f出力のサンプリングと利得切り替えの判定
を行なう系を複数系統持つ方法である。図28におい
て、矢印は受信信号判定手段33の出力33aから33
fをサンプリングするタイミングを示す。また、図24
同様、符号238〜243は、それぞれコンパレータ3
3a〜33fの出力を表す。例えば、コンパレータ33
a乃至33f出力(238〜243)をサンプリングし
て、上記図25による利得切り替え制御の結果を有する
判定系1(331)と、判定系1のサンプリング間隔か
ら1/2周期ずらしてコンパレータ33a乃至33f出
力をサンプリングして、上記図25による利得切り替え
制御の結果を有する判定系2(332)とを用意する。
この2つの判定系の結果から、図29に示したような条
件に従って実際の利得切り替えを行なう。
【0168】次に、図29を参照して、判定系が2系統
ある場合の利得切り替え判定論理について説明する。す
なわち、判定系1と判定系2との判定結果の論理和をと
り、実際の利得を制御する。言い換えると、2つの判定
系のうちいずれかが利得を上げるという判定であれば、
利得を上げ、いずれかが利得を下げるという判定あれば
利得を下げる。判定系1と判定系2の判定結果が合い矛
盾する場合は、利得切り替えは行なわないものとする。
このようにすれば、判定系1(331)と判定系2(3
32)のいずれか速い側のタイミングで利得切り替え制
御を行なうことができ、また、雑音等の影響によりどち
らかの判定系が利得切り替えの条件とならなかった場合
においても、もう一方の判定系により確実に利得切り替
え制御を行なうことができる。
【0169】なお、判定系1(331)及び判定系2
(332)の利得切り替えの論理は、図25に示した条
件の代わりに図27に示した条件を用いても良い。ま
た、利得切り替え後の処理についても、前述のようにコ
ンパレータ33a乃至33c出力を全て1、コンパレー
タ33d乃至33f出力を全て0とする方法、あるい
は、AGC2からの戻りの時についても強制的にAGC
0に戻すという方法を組み合わせて用いても良い。この
場合、判定系1、2の状態に矛盾を生じさせないため
に、利得切り替え後の処理は、判定系1、2の何れにも
適用することが好ましい。
【0170】次に、図19を参照して、バースト受信モ
ードでの利得切り替えの設定方法について説明する。先
に説明したように、バースト受信モードにおいては受信
信号の任意の時点での無線信号強度を読み取り、その値
が予め設定した値より大きいか小さいかにより利得状態
を判断し、その利得設定は、次の受信時に反映する。こ
れは、次のようにして実施することができる。すなわ
ち、コンパレータ33aから33fの内、利得を上げる
ためにに適した出力と利得を下げるために適した出力を
選択し、それぞれの出力値によって利得状態を判断する
のである。例えば、コンパレータ33bの出力により利
得を上げる判断をし、コンパレータ33eの出力により
利得を下げる判断をする。このようにすることで、受信
信号強度判定手段33はバースト受信モードと連続受信
モードで共通して使用することができ、回路規模を小型
化することがができる。また、バースト受信モード時に
基準電圧33h、33kを切り替えるようして、利得切
り替えを行なう受信信号強度の最適化を図るようにして
も良い。
【0171】一旦、直流オフセット電圧の調整が終わっ
たその後の調整は、直流オフセット電圧の時間変動分の
みを調整すれば良いが、この調整のタイミングは受信動
作の直前が最も好ましい。受信動作に最も近い時点にお
いて調整を行なえば、最も確からしい調整値が得られる
はずだからである。ただし、直流オフセット電圧の時間
的変動が大きくないということを前提とするなら、必ず
しも、受信動作の直前である必要はない。また、直流オ
フセット電圧の調整は、無線信号を受信する動作に追加
された動作であるため、消費電流の削減という観点から
は、少しでも調整に要する時間を短くすることが好まし
い。
【0172】次に、上記の点を踏まえた、本実施の形態
2における直流オフセット電圧調整の方法について3つ
の例をあげて説明する。まず、前述のバースト受信モー
ドにおける直流オフセット電圧調整方法について説明す
る。バースト受信モードにおいては、受信するスロット
がどのような利得状態なのか予め知ることができる。従
って、受信するスロットの利得状態に対応した調整のみ
行なうだけで、その受信スロットに最適の調整値が得ら
れる。また、この調整は、直流オフセット電圧の時間的
変動が大きくないということを前提とするなら、前述の
微調2の動作のみで十分である。
【0173】次に、図30を用いて、バースト受信モー
ドにおける直流オフセット電圧調整方法を具体的に説明
すると次のようになる。m回目の受信の利得状態がAG
C1モードである時(331)はそれに先立ちAGC1
モードで微調2の調整のみを行なう(332)。m回目
の受信により利得状態がAGC2モードに切り替わるよ
う判断されると(333)、m+1回目の受信動作に先
立ってAGC2モードで微調2の調整のみを行なう(3
34)。この直流オフセット電圧調整は、各受信動作ご
とに行なっても良いし、若しくは、n回受信ごとに行な
っても良い。または、実施の形態1で説明したように、
温度変化の度合いに応じてnを可変とするようにしても
良い。
【0174】次に、図31を用いて、前述の連続受信モ
ードにおける直流オフセット電圧調整方法について説明
する。連続受信モードにおいては、受信するスロットが
どのような利得状態となるかは不明である。従って、無
線受信機の持つ利得状態すべてについて調整を行なう。
具体的に図31を用いて説明すると次のようになる。m
回目の受信動作に先立ってAGC0モードでの微調2、
AGC1モードでの微調2、AGC2モードでの微調2
の動作を行なう(351)。また、次のm+1回目の受
信においても、受信動作に先立ち、AGC0モードでの
微調2、AGC1モードでの微調2、AGC2モードで
の微調2の動作を行なう(352)。この調整は、各受
信動作ごとに行なっても良いし、若しくは、n回受信ご
とに行なっても良い。または、実施の形態1で説明した
ように、温度変化の度合いに応じてnを可変とするよう
にしても良い。
【0175】このようにすることにより、良好な受信特
性を保ちながら、直流オフセット電圧調整に要する時間
を最小限とすることで消費電流の増加を防ぐことができ
る。なお、多少の消費電流の増加はあるが、バースト受
信モードにおいても連続受信モードにおける調整方法、
すなわちすべての利得状態について微調2を行なう動作
を組み合わせて実施しても良い。
【0176】さらに、直流オフセット電圧調整のもう1
つの方法について説明する。この方法は、受信動作に先
立つ調整としては1つの利得状態に対する微調2の動作
のみを行ない、調整のたびに、調整を行なう利得状態を
切り替える方法である(以降この調整方法を分割オフセ
ット電圧調整と呼ぶ)。具体的に説明すると、m回目受
信に先立つ調整はAGC0モードでの微調2、m+1回
目の受信に先立つ調整はAGC1モードでの微調2、m
+2回目の受信に先立つ調整はAGC2モードでの微調
2、そしてm+3回目の受信に先立つ調整では再びAG
C0モードの微調2を行なうという動作である。ここ
で、調整を行なう利得状態の順番はAGC0、1、2モ
ードの順に限るものではない。また、この調整は各受信
動作ごとに行なっても良いし、若しくは、n回受信ごと
に行なっても良い。または、実施の形態1で説明したよ
うに、温度変化の度合いに応じてnを可変とするように
しても良い。以上、説明した分割オフセット電圧調整
は、特に、TDMA/TDD方式で複数スロットを使用
し、しかも、各スロットごとに利得状態が違う可能性が
ある場合に特に有効な方法である。
【0177】次に、図32を参照して、上記分割オフセ
ット電圧調整の動作を説明する。図32でa1、b1、
c1、d1は送信スロット、a2、b2、c2、d2は
受信スロットである。いま、a2、b2を受信に使用
し、c2、d2は未使用のスロットであるとする。この
場合特にスロットb2の直前のスロットは受信動作に使
用するので、ここで直流オフセット電圧調整動作を行な
うことはできない。そこで、例えば、未使用のスロット
であるスロットd2で分割オフセット電圧調整動作を行
なう。m回目受信に先立つ調整はAGC0モードでの微
調2(371)、m+1回目の受信に先立つ調整はAG
C1モードでの微調2(372)、m+2回目の受信に
先立つ調整はAGC2モードでの微調2(373)、そ
してm+3回目の受信に先立つ調整では再びAGC0モ
ードの微調2を行なうようにする(374)。
【0178】分割オフセット電圧調整動作によれば、す
べての利得状態に対応した直流オフセット電圧調整が可
能であるから、a2、b2スロットの利得状態が異なっ
ていても、各々に対する最適な直流オフセット電圧調整
結果を得ることが可能である。分割オフセット電圧調整
動作は、特に、受信スロットにおいて実施する必要はな
く、送信側のスロットの空きスロットで実施しても良
い。ただし、分割オフセット電圧調整動作を送信スロッ
トにおいて実施する場合は、送信手段30の動作による
影響(たとえば、送信信号の飛び込み等)を避けるた
め、送信休止の状態で行なうことが望ましい。
【0179】次に、図33を参照して、本実施の形態2
において、TDMA/TDDシステムで複数スロットを
使用した場合の利得切り替え動作の方法を説明する。図
33において、a1、b1、c1、d1は送信スロッ
ト、a2、b2、c2、d2は受信スロットを表す。図
33では、受信に使用するスロットが、2つのスロット
である場合を示している。
【0180】前述の通り、利得切り替えモードとして
は、無線信号到来時に利得を切り替える連続受信モード
と、利得切り替えは次の受信開始時に行なうバースト受
信モードとがある。複数スロット使用時について特に留
意が必要なのは、バースト受信モードでの動作である。
複数スロット使用時には、各スロット毎に無線信号強度
が異なる可能性が有り得るため、各スロット毎に利得状
態の適用を行なう必要があるためである。従って、バー
スト受信モードにおける利得状態の適用は、各スロット
毎に対応させて行なう必要がある。以下、その点につい
て、図33を用いて具体的に説明する。今、スロットa
2、b2を使用する場合、nフレームのスロットa2の
利得状態はn+1フレームのスロットa2に(41
1)、nフレームのスロットb2の利得状態はn+1フ
レームのスロットb2に適用する(412)。
【0181】また、使用するスロットの切り替えがある
場合は、切り替え前のスロットの利得状態は、切り替え
後のスロットに適用させる必要がある。それを図33を
用いて説明すると、図33では、n+1フレームからn
+2フレームで使用するスロットがスロットa2からス
ロットc2に切り替わった場合を示しているが、この場
合、n+1フレームのスロットa2の利得状態は、n+
2フレームのスロットc2に適用する(413)。一
方、スロットの切り替わりがないスロットb2について
は、n+1フレームのスロットb2の利得状態はn+2
フレームのスロットb2に適用する(414)。
【0182】これは、次のようにスロットに整理番号を
与え、整理番号に対応して各スロットの利得状態を適用
するようにすることで実現できる。すなわち、図33に
従って説明すると、スロットa2に対し整理番号1を与
え(415)、スロットa2の利得状態を整理番号1に
対応する利得状態として利得保持手段32に記憶する。
整理番号1の利得保持手段32の情報は以降、整理番号
1が与えられたスロットに対し適用される(417)。
同様に、スロットb2に対し、整理番号2を与え、スロ
ットb2の利得状態を整理番号2に対応する利得状態と
して利得保持手段32に記憶する(416)。整理番号
2の利得保持手段32の情報は以降、整理番号2が与え
られたスロットに対し適用される(418、419)。
【0183】このように、使用するスロットが切り替わ
った場合は、与えられた整理番号を引き継げば良い。す
なわち、スロットa2からスロットc2に切り替わる場
合は、スロットc2に整理番号1を与えるのみでよい
(420)。ここでは2つのスロットを使用する場合を
例として説明したが、より多くのスロットを使用する場
合においても、使用するスロットの数だけ整理番号を用
意し、このような動作を行なえば良い。このようにする
ことで、使用するスロットに対応して適切な利得状態が
設定することができ、複数スロットを使用する場合にお
いても良好な受信特性を得ることができる。
【0184】(実施の形態3)次に、本実施の形態3に
おいて、実施の形態2で得られた各利得状態の直流オフ
セット電圧調整の結果をさらに改善する方法を説明す
る。基本的な無線受信機の構成及び直流オフセット電圧
の調整方法及び利得切り替え方法自体は、実施の形態2
と同様である。
【0185】利得状態は図19、20に見られるよう
に、自動利得制御により第1の中間周波数信号処理手段
14と第2の中間周波数信号処理手段16の利得を切り
替える。すでに図1、図4により実施の形態1で説明し
たように、第2の中間周波数信号処理手段16で生じた
直流オフセット電圧は、第1の直流オフセット電圧調整
手段25と第2の直流オフセット電圧調整手段26とで
調整され、第3の直流オフセット電圧調整手段27と第
4の直流オフセット電圧調整手段28とで残りの直流オ
フセット電圧が調整される。図19の実施の形態2にお
いては、直流オフセット電圧調整はAGC0、1、2モ
ードの各利得状態ごとに行なうが、この際、無線受信機
の利得はAGC0モードに対し、AGC1、2モードで
は第2の中間周波数信号処理手段16の利得が下げられ
る。しかし、各AGCモードとも直流オフセット電圧判
定手段22により同一の収束判定範囲にしか調整出来な
い場合、AGC1、2モードでは利得が下げられた分、
調整後の直流オフセット電圧に対する受信無線信号の比
がAGC0モード同等に確保することができない。
【0186】これを改善するためには、第2の中間周波
数信号処理手段16の利得が下げられた時には、それに
従って直流オフセット電圧判定手段22の収束判定範囲
を狭くすることにより解決することができる。例えば、
AGC0モードで第2の中間周波数信号処理手段16の
利得は30dBであり直流オフセット電圧検出手段21
の収束判定範囲は100mVであった場合に、AGC1
モードでは第2の中間周波数信号処理手段16の利得が
15dBであるから、直流オフセット電圧判定手段22
の収束判定範囲は18mVとする。AGC2モードの第
2の中間周波数信号処理手段16の利得はAGC1と同
一であるので直流オフセット電圧検出手段22の収束判
定範囲は18mVで良いことになる。なお、ここでは利
得状態と収束判定範囲を比例させているが、その限りで
はない。
【0187】また、この際、第3の直流オフセット電圧
調整手段27と第4の直流オフセット電圧調整手段28
によるDAコンバータ1ビット当たりの変化量も同様
に、AGC0に対しAGC1及びAGC2モードでは小
さくする。これにより、直流オフセット電圧に対する受
信無線信号の比をAGC0、1、2すべてのモードで同
等に確保できる。
【0188】ここで、図34を参照して、DAコンバー
タの1ビット当たりの変化量を可変する方法について説
明する。DAコンバータの構成は図7、8ですでに説明
した通りであるが、図34を用いてさらに具体的な方法
を説明する。図34に示すDAコンバータは、吸い込み
電流源431、434と、電流源434と電流の向きの
みが異なる吐き出し電流源435と、電流源制御スイッ
チ436、439とで構成される。DAコンバータを構
成する各電流源431乃至435の電流値を任意に切り
替えることで、直交ミキサの出力負荷抵抗とDAコンバ
ータの出力電流の積を任意に設定できる。例えば、電流
源431=Io×z(z>0の実数)、432=2Io
×z、電流源433=4Io×z、電流源434=8I
o×z、電流源435=−8Io×zとし、AGC0モ
ードとAGC1モードで第2の中間周波数信号処理手段
16の利得差が15dBであれば、zを5.62に設定
することで実現できる。電流値の切り替え手段は、図示
しないがカレントミラー回路により容易に構成できる。
【0189】さらに、AGC1、2モードでは、AGC
0モードよりも低いレベルの直流オフセット電圧を検出
するため、直流オフセット電圧検出手段21の低域通過
フィルタ21eのカットオフ周波数を狭くし、雑音帯域
をさらに制限することで直流オフセット電圧が検出しや
すくなる。なお、ここでは直流オフセット電圧判定手段
22の収束判定範囲を切り替えたが、すでに第1の実施
例で説明しているようにキャリアリークを増幅する増幅
器21aの利得を切り替えても同様の効果が得られる。
さらに、これら方法は組み合わせて行うことで、より高
精度な直流オフセット電圧調整ができる。
【0190】(実施の形態4)次に、図35を参照し
て、本発明の実施の形態4における直流オフセット電圧
調整方法について説明する。図35は本発明の実施の形
態4における、すべての利得状態に対し、直流オフセッ
ト電圧の時間変動を対応させる直流オフセット電圧調整
量保持手段と直流オフセット電圧調整制御手段の構成例
を示すブロック図である。上記では、実施の形態2及び
3として、直流オフセット電圧調整を各AGCモード毎
に行う方法について説明したが、次に実施の形態4とし
て、予め各AGCモード毎に直流オフセット電圧調整を
行い、調整値を保持手段に保持し、その後は、時間経過
等とともに変化する直流オフセット電圧の調整を、各A
GCモード共通のオフセット電圧更新値を与えることに
より調整する方法について説明する。基本的な構成は、
実施の形態2と同様であり、ベースバンド直流オフセッ
ト電圧の調整方法と自動利得制御の動作は実施の形態2
で説明しているので、ここでは省略する。
【0191】また、実施の形態3で説明したように、第
2の中間周波数信号処理手段16の利得状態に従って直
流オフセット電圧検出手段21の低域通過フィルタ21
eや直流オフセット電圧判定手段22の基準電圧22
c、22dからなる収束判定範囲や微調でのDAコンバ
ータの1ビット当たりの調整量を変化させる。ここで
は、第2の中間周波数信号処理手段16の利得状態と直
流オフセット電圧判定手段22の基準電圧22c、22
dからなる収束判定範囲及び微調によるDAコンバータ
の1ビット当たりの調整量は比例させるものとする。
【0192】以下、具体的な例をあげて説明する。一
旦、直流オフセット電圧調整が終了した後の直流オフセ
ット電圧の変動要因は、時間経過により変動する温度に
よる変動が大きい。温度が変化した場合、直交ミキサの
出力直流電圧の影響が最も大きく支配的である。理由と
しては、第2の中間周波数信号処理手段16において直
交変調器までの利得が最も高いためである。
【0193】図35は、AGC0を基準として、全ての
AGCモードにおける直流オフセット電圧の時間変動を
対応させる直流オフセット電圧調整量保持手段24と直
流オフセット電圧調整制御手段23の構成例を示したも
のである。この例では、3つのAGCモードについて説
明する。図35の構成は、直流オフセット電圧調整の基
準値441と、AGC0モードの補正値442と、AG
C1モードの補正値443と、AGC2モードの補正値
444と、選択手段445と、補正値442〜444を
選択する選択信号446と、加算手段447と、直流オ
フセット電圧の調整値出力448とからなる。また、補
正値442乃至444は粗調、微調の補正値を合わせ持
つものとする。
【0194】基本的な直流オフセット電圧調整は実施の
形態2ですでに説明したとおりである。実施の形態2と
同様の手順でAGC0モードで直流オフセット電圧調整
し調整結果を基準値とする。他2つのAGCモードでの
直流オフセット電圧調整は、基準値441からのずれ分
を補正値443、444として記憶する。これは、電源
投入時の粗調と微調で行えばよい。直流オフセット電圧
の調整結果としては、基準値441と各AGCモードの
補正値442〜444を加算して出力する。
【0195】ここで、基準値を得たAGCモードがAG
C0である場合については、補正値442を0とすれば
良い。また、補正値442〜444はずれ分のみを記憶
すれば良いので、全てのAGCモードで基準値を記憶す
るのに必要な記憶素子を持つのに比べ、より小さい回路
規模ですむ。以降の直流オフセット電圧調整、つまり微
調2動作においての調整結果を基準値441に記憶すれ
ば、直流オフセット電圧の時間変動に対する調整は他の
AGCモードでも自動的に適応される。この例によれ
ば、回路規模の拡大を見ることなく、AGCモードすべ
てにわたって直流オフセット電圧の時間変動を調整で
き、良好な受信特性を確保することができる。
【0196】(実施の形態5)次に、図36を参照し
て、本発明の実施の形態5における無線受信機について
説明する。図36は本発明の実施の形態5における、受
信手段と送信手段と局部発振手段の構成を示すブロック
図である。実施の形態1では、図1に示した受信手段2
9に必要な第1の局部発振手段13、第2の局部発振手
段15、第3の局部発振手段18を1つのPLL周波数
シンセサイザで構成する方法について説明した。実施の
形態5においては、更に送信手段も含めた無線機におい
て、1つのPLL周波数シンセサイザで、送信及び受信
に必要な局部発振手段すべてを構成する方法について説
明する。また、図36は受信手段29と送信手段30と
局部発振手段455とからなり、受信手段29は実施の
形態5の説明に必要な部分のみを抜き出したものであ
り、図1に示す受信手段と同一のものである。更に、図
36において、図1に示す符号と同一の符号を有する構
成部は同様のものである。
【0197】図36において、受信手段29は、アンテ
ナ10と、無線信号受信手段11と、高周波増幅器12
aと高周波ミキサ12bからなる高周波アナログ信号処
理手段12と、緩衝増幅手段14aと直交ミキサ14b
からなる第1の中間周波数信号処理手段14と、第2の
中間周波数信号処理手段16と、直交変調器17aとか
らなり、送信手段30は、送信変調信号発生手段451
と、送信直交変調器452と、送信高周波ミキサ453
と、高周波アナログ信号増幅手段454とからなり、局
部発振手段455は、PLL周波数シンセサイザ101
と、第1の分周器102と、1対の直交位相出力を合わ
せ持つ第2の分周器103と、第1の出力104と、第
2の出力105と、PLL周波数シンセサイザの基準発
振手段106と、第3の分周器107と、第4の分周器
108と、第3の出力109と、PLLの帰還信号45
6と、第2の分周器103の出力をPLLの帰還信号に
切り替えるジャンパスイッチ457と、PLLを構成す
るn分周器458とから構成される。
【0198】次に、図36を参照して、本発明の実施の
形態5における無線受信機について詳細に説明する。無
線信号受信手段11と受信手段29及び局部発振手段4
55の構成は既に実施の形態1における図1及び図2で
既に説明しているので省略する。送信手段30は、送信
信号発生手段451でI、Q信号を生成し送信直交変調
器452と第2の出力105の1対の直交した信号によ
り直交変調し、第1の出力104と送信高周波ミキサ4
53でアップミキシングし、高周波アナログ信号増幅手
段454で所定のレベルに増幅し、無線信号受信手段1
1を通しアンテナ10から送信する。TDD方式であれ
ば送受信は別タイミングであるため、送信手段と受信手
段で共用しても干渉する問題は発生しない。これまで説
明してきた受信手段をもとに非常に簡単な構成で無線機
を構成することができる。また、ジャンパスイッチ45
7で、PLLの帰還信号456を開放し、第2の分周器
103の出力とn分周器458に接続すると、第1の分
周器102と第2の分周器103はn分周器458の1
部として構成できる。
【0199】また局部発振手段455を、図3の構成に
置き換えることも可能である。これら受信手段、送信手
段、PLL周波数シンセサイザーを同一半導体集積回路
上に構成すると、回路規模と消費電流を大幅に削減する
ことができる。なお、本実施の形態の説明においては、
自動利得切り替え動作を有しない実施の形態1を示す図
1をもとに説明を行なったが、自動利得切り替え動作を
有する実施の形態2(図19)においても適用可能なこ
とは明らかである。
【0200】以上、本発明に関わる実施の形態1乃至5
について説明を行なったが、実施の形態1乃至5で説明
した内容を、必要に応じて組み合わせた無線受信機及び
無線送・受信機を構成することも出来る。
【0201】図による説明は省略するが、以上説明した
本発明の実施の形態において、直流オフセット電圧検出
手段21、直流オフセット電圧判定手段22、直流オフ
セット電圧調整制御手段23、直流オフセット電圧調整
量保持手段24、受信信号強度判定手段33、利得制御
手段31、利得保持手段32等は、AD変換器及びCP
U及びROM及びRAM等により構成し、ROM上に前
述の直流オフセット電圧調整手段、自動利得制御手段を
ソフトウエアとして搭載する構成としても良い。
【0202】
【発明の効果】本発明による無線受信機は、上記のよう
に構成され、特に従来のスーパーヘテロダイン方式で用
いられる検波手段を有効に活用することができるととも
に、無線受信機自体をフィルタレスに構成することがで
きるため、集積化による小型化、低コスト化が可能であ
る。
【0203】本発明による無線受信機は、上記のように
構成され、特にPHS、PDCなどのTDMA方式のよ
うに、フレーム長の短かい信号フォーマットシステムに
対しても支障なく対応できるとともに、直流オフセット
電圧調整により、ゼロIF受信機特有のベースバンド部
に生じる直流オフセット電圧の影響を取り除くことがで
きるので、直流域においても信号成分が存在する変調方
式による信号に対しても、良好な受信特性を得ることが
できる。
【0204】本発明による無線受信機は、上記のように
構成され、特にキャリアリークより直流オフセット電圧
を検出・調整するようにしたため、高精度の直流検出系
を用いることなく、高精度な調整を行なうことができ
る。
【0205】本発明による無線受信機は、上記のように
構成され、特に直流オフセット電圧の調整は、電源投入
時にいったん調整した後は、短時間にしかも高精度に実
施できるようにしたため、直流オフセット電圧調整によ
る余分な電力消費を最小限にとどめながら、しかも、温
度変動等により直流オフセット電圧の状態の変化が生じ
てもそれに追従して調整するため、安定した受信特性を
確保することができる。
【0206】本発明による無線受信機は、上記のように
構成され、特に受信周波数変化による直流オフセット電
圧の変動を予め取得するようにしたため、使用するすべ
ての受信周波数にわたって安定した受信特性を確保する
ことができる。
【0207】本発明による無線受信機は、上記のように
構成され、特に自動利得制御を行なうようにしたことに
より、ダイナミックレンジを広くとることができ、しか
も各利得状態に対応した直流オフセット電圧調整を行な
うため、幅広い利得状態において良好な受信特性を得る
ことができる。さらに振幅制限機能を有する緩衝増幅器
と、振幅制限により発生する高調波を除去する周波数帯
域制限手段とを備えるようにしたことにより、過大入力
受信電界においても良好な受信特性を確保することがで
きる。
【0208】本発明による無線受信機は、上記のように
構成され、特に無線信号強度をサンプリングし、予め設
定した値とその値からの変化により利得切り替えを行な
うようにしたことにより、受信スロットの始まりで確実
に利得を切り替えることができ、しかも、ゆっくりした
電界強度変動があってもスロット内では利得が切り替わ
ることなく、安定した受信特性を得ることができる。
【0209】本発明による無線受信機は、上記のように
構成され、特に複数スロットの受信を行なう場合におい
ても各スロット毎に利得状態を設定でき、すべての利得
状態に対応した直流オフセット電圧の調整を行なうよう
にしたことにより、高速のデータ通信等においても良好
な通信特性を保つことができる。本発明による無線受信
機は、上記のように構成され、特に第1、第2、第3の
局部発振手段を1つの局部発振手段により構成すること
ができるようにしたことにより、回路規模と消費電流の
削減を同時に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における無線受信機の基
本的な構成を示すブロック図、
【図2】本発明の実施の形態における局部発振手段の構
成例を示すブロック図、
【図3】本発明の実施の形態における局部発振手段の構
成例を示すブロック図、
【図4】本発明の実施の形態における直流オフセット電
圧検出・制御手段の構成を示すブロック図、
【図5】本発明の実施の形態における無線信号を遮断す
る手段を示すブロック図、
【図6】本発明の実施の形態における無線信号を遮断す
る手段を示すブロック図、
【図7】本発明の実施の形態における、ベースバンド増
幅器及びDAコンバータにより直流オフセット電圧を調
整する手段を示すブロック図、
【図8】本発明の実施の形態におけるDAコンバータの
構成を示すブロック図、
【図9】(A)本発明の実施の形態における直流オフセ
ット電圧調整の手順を示すフローチャート、(B)本発
明の実施の形態におけるI側粗調動作を示すフローチャ
ート、(C)本発明の実施の形態におけるI側微調動作
を示すフローチャート、
【図10】本発明の実施の形態における、使用する周波
数帯域全てに直流オフセット電圧の時間変動を対応させ
る直流オフセット電圧調整量保持手段と直流オフセット
電圧調整制御手段の構成を示すブロック図、
【図11】本発明の実施の形態における、帯域を可変と
する低域通過フィルタ及びチャネル選択フィルタの、サ
レンキ型フィルタによる構成例を示すブロック図、
【図12】本発明の実施の形態における、帯域を可変と
する低域通過フィルタ及びチャネル選択フィルタの、g
mアンプを用いたバイカッド型フィルタによる構成例を
示すブロック図、
【図13】本発明の実施の形態における、直交変調器信
号入力または局部発振入力の切り離し回路の構成例を示
すブロック図、
【図14】本発明の実施の形態における、直流オフセッ
ト電圧調整をより高精度に行なう動作手順を示すフロー
チャート(I側粗調動作のみを記載したもの)、
【図15】本発明の実施の形態における、直流オフセッ
ト電圧調整をより高精度に行なう動作手順を示すフロー
チャート(I側微調動作のみを記載したもの)、
【図16】本発明の実施の形態における直流オフセット
電圧調整の時間変動の更新方法を示すフローチャート、
【図17】本発明の実施の形態における直流オフセット
電圧調整の時間変動の更新方法において、DAコンバー
タ値制御方法の一例を示す図表、
【図18】本発明の実施の形態における直流オフセット
電圧調整の異常を検出し復帰する手順を示すフローチャ
ート、
【図19】本発明の実施の形態2における無線受信機の
基本的な構成を示すブロック図、
【図20】本発明の実施の形態2における第1の中間周
波数信号処理手段の構成例を示すブロック図、
【図21】本発明の実施の形態2における利得切り替え
の設定例を示す図表、
【図22】本発明の実施の形態2における第1の中間周
波数信号処理手段による受信特性の測定結果を示す特性
図、
【図23】本発明の実施の形態2における、受信信号強
度検出手段の動作特性を示すグラフ図、
【図24】本発明の実施の形態2における、連続受信モ
ードの動作を示すグラフ図、
【図25】本発明の実施の形態2における、利得切り替
えの論理例を示す図表、
【図26】本発明の実施の形態2における、利得切り替
えの手順を示すフローチャート、
【図27】本発明の実施の形態2における、利得切り替
えの論理例を示す図表、
【図28】本発明の実施の形態2のおける、利得切り替
え判定系を2系統有する場合の動作を示すタイミング
図、
【図29】本発明の実施の形態2のおける、利得切り替
え判定系を2系統有する場合の利得切り替え判定論理を
示す図表、
【図30】本発明の実施の形態2における、バースト受
信モードでの直流オフセット電圧調整動作の例を表す概
念図、
【図31】本発明の実施の形態2における、連続受信モ
ードでの直流オフセット電圧調整動作の例を表す概念
図、
【図32】本発明の実施の形態2における、複数スロッ
ト受信動作での直流オフセット電圧調整動作の例を表す
概念図、
【図33】本発明の実施の形態2における、複数スロッ
ト受信動作での利得切り替えの動作を表す概念図、
【図34】本発明の実施の形態3におけるDAコンバー
タの構成を示すブロック図、
【図35】本発明の実施の形態4における、すべての利
得状態に対し、直流オフセット電圧の時間変動を対応さ
せる直流オフセット電圧調整量保持手段と直流オフセッ
ト電圧調整制御手段の構成例を示すブロック図、
【図36】本発明の実施の形態5における、受信手段と
送信手段と局部発振手段の構成例を示すブロック図、
【図37】直流オフセット電圧調整機能と自動利得制御
機能を有するゼロIF受信機の第1の従来例を示すブロ
ック図、
【図38】従来のゼロIF受信機において、利得切り替
えによる直流バイアスの変動を示す波形図、
【図39】直流オフセット電圧調整機能と自動利得制御
機能を有するゼロIF受信機の第2の従来例を示すブロ
ック図、
【図40】直流オフセット電圧調整機能と自動利得制御
機能を有するゼロIF受信機の第3の従来例を示すブロ
ック図、
【図41】直流オフセット電圧調整を行なう際に、無線
信号を無入力とする従来の構成を示す図、
【図42】(A)TDMA/TDDシステムの信号フォ
ーマットの例を示す図、(B)TDMAシステムにおけ
る受信制御スロットのフォーマットの例を示す図、
(C)TDMAシステムにおける受信通信スロットのフ
ォーマットの例を示す図。
【符号の説明】
10 アンテナ 11 無線信号受信手段 11a 高周波フィルタ 11b アンテナスイッチ 12 高周波アナログ信号処理手段 12a 高周波増幅器 12b 高周波ミキサ 12c 電源スイッチ 13 第1の局部発振手段 14 第1の中間周波数信号処理手段 14a 緩衝増幅器 14b 直交ミキサ 15 第2の局部発振手段 15a、18a 発振器 15b 90度移相器 16 第2の中間周波数信号処理手段 16a、16d 第1のベースバンド増幅器 16b、16e チャネル選択フィルタ 16c、16f 第2のベースバンド増幅器 17 第3の中間周波数信号処理手段 17a 直交変調器 17b 帯域通過フィルタ 17c リミッタアンプ 18 第3の局部発振手段 18b 分周器 18c 移相器 19 受信信号強度検出手段 20 検波手段 21 直流オフセット電圧検出手段 21a 増幅器 21b、21c 位相検波器 21d スイッチ 21e 低域通過フィルタ 22 直流オフセット電圧判定手段 22a、22b 比較器 22c、22d 基準電圧 22e バイアス電圧 23 直流オフセット電圧調整制御手段 24 直流オフセット電圧調整量保持手段 25 第1の直流オフセット電圧調整手段 25a、26a、27a、28a DAコンバータ 25b、26b、27b、28b 減算器 26 第2の直流オフセット電圧調整手段 27 第3の直流オフセット電圧調整手段 28 第4の直流オフセット電圧調整手段 29 受信手段 30 送信手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 一則 石川県金沢市彦三町二丁目1番45号 株式 会社松下通信金沢研究所内 (72)発明者 春木 宏志 神奈川県横浜市港北区綱島東四丁目3番1 号 松下通信工業株式会社内 (72)発明者 宇井 孝 神奈川県横浜市港北区綱島東四丁目3番1 号 松下通信工業株式会社内 (72)発明者 長瀬 幸一 神奈川県横浜市港北区綱島東四丁目3番1 号 松下通信工業株式会社内 Fターム(参考) 5K004 AA05 AA08 FA05 FH04 FH06 JH03 JJ06 5K020 AA08 DD21 EE02 EE03 EE04 EE05 GG10 GG11 GG25 LL01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】受信した無線信号を第1の中間周波数信号
    に周波数変換する信号処理手段と、前記第1の中間周波
    数信号をベースバンドI、Qの第2の中間周波数信号に
    直交変換する第1の中間周波数信号処理手段と、1対の
    直交する局部発振信号を出力する局部発振手段と、前記
    第2の中間周波数信号処理手段の出力信号を第3の中間
    周波数信号に直交変調する第2の中間周波数信号処理手
    段と、前記第3の中間周波数信号を検波する検波手段と
    を備えた間欠受信する無線受信機であって、 前記第2の中間周波数信号処理手段の前記直交変調 出
    力で生じるキャリアリークを、前記局部発振信号により
    位相検波し、周波数帯域制限することにより直流オフセ
    ット電圧を検出する直流オフセット電圧検出手段と、 前記直流オフセット電圧検出手段の出力から収束あるい
    は未収束を判定する直流オフセット電圧判定手段と、 前記直流オフセット電圧判定手段の出力に対応し、前記
    第1の中間周波数信号処理手段のI出力の直流電圧を直
    流オフセット電圧調整し、その調整値を保持手段に保持
    させる第1の直流オフセット電圧調整手段と、 前記直流オフセット電圧判定手段の出力に対応し、前記
    第1の中間周波数信号処理手段のQ出力の直流電圧を直
    流オフセット電圧調整し、その調整値を前記保持手段に
    保持させる第2の直流オフセット電圧調整手段と、 前記直流オフセット電圧判定手段の出力に対応し、前記
    第2の中間周波数信号処理手段のI入力の直流電圧を直
    流オフセット電圧調整し、その調整値を前記保持手段に
    保持する第3の直流オフセット電圧調整手段と、 前記直流オフセット電圧判定手段の出力に対応し、前記
    第2の中間周波数信号処理手段のQ入力の直流電圧を直
    流オフセット電圧調整し、その調整値を前記保持手段に
    保持する第4の直流オフセット電圧調整手段とを備え、
    出力信号の直流オフセット電圧が最小となるよう自動調
    整するようにしたことを特徴とする無線受信機。
  2. 【請求項2】前記第1、第2の直流オフセット電圧調整
    手段は、前記第1の中間周波数信号処理手段のI、Q出
    力より後段の直流電圧を調整し、前記第3、第4の直流
    オフセット電圧調整手段は、前記第1、第2の直流オフ
    セット電圧調整手段による直流電圧調整よりも後段であ
    り前記第2の中間周波数信号処理手段のI、Q入力より
    も前段の直流電圧を調整し、前記第1、第2の直流オフ
    セット電圧調整手段は、少なくとも前記第3、第4の直
    流オフセット電圧調整手段により直流オフセット電圧調
    整可能な範囲以内にまで調整した後に、前記第3、第4
    の直流オフセット電圧調整手段により調整するようにし
    たことを特徴とする請求項1記載の無線受信機。
  3. 【請求項3】前記無線信号を複数の受信信号周波数に切
    り替えることが想定される場合、前記直流オフセット電
    圧調整量保持手段に対し直流オフセット電圧の調整値で
    ある周波数偏差に対する基準値を保持し、この基準値に
    基づき、前記無線信号を複数の受信信号周波数に切り替
    え、予め前記直流オフセット電圧を調整し直流オフセッ
    ト電圧の調整値である周波数偏差に対する補正値として
    前記直流オフセット電圧調整量保持手段で保持し、前記
    無線信号が異なる周波数に切り替えられたときに、前記
    直流オフセット電圧調整量保持手段から前記周波数偏差
    に対する補正値を読み出し、直流オフセット電圧を調整
    することを特徴とする請求項1記載の無線受信機。
  4. 【請求項4】前記第1の局部発振手段と前記第2の局部
    発振手段の少なくとも一方が、電圧制御型発振手段とP
    LL制御手段と基準発振手段とからなるPLL周波数シ
    ンセサイザで構成され、前記PLLシンセサイザの周波
    数設定情報により前記無線信号の周波数が異なる周波数
    に切り替わったと判定したとき、前記直流オフセット電
    圧調整量保持手段から周波数偏差に対する補正値を読み
    出し、直流オフセット電圧を調整することを特徴とする
    請求項3記載の無線受信機。
  5. 【請求項5】前記第3、第4の直流オフセット電圧調整
    手段の前記直流オフセット電圧調整量保持手段に保持さ
    れている調整値を検出して更新し、前記第2の中間周波
    数信号処理手段の直流オフセット電圧の調整において、
    その調整値がオーバーフローした状態が予め設定された
    時間もしくはスロット数の間で連続したときに、前記第
    1、第2、第3、第4の直流オフセット電圧調整手段を
    リセットし、再び前記第2の中間周波数信号処理手段の
    直流オフセット電圧を調整するようにしたことを特徴と
    する請求項1記載の無線受信機。
  6. 【請求項6】受信信号強度判定手段と、前記第1の中間
    周波数信号処理手段および前記第2の中間周波数信号処
    理手段に設けられた複数の利得設定手段と、前記受信信
    号強度判定手段により前記複数の利得設定手段の利得を
    切り替える利得制御手段とを備え、前記直流オフセット
    電圧保持手段は前記複数の利得設定手段に対応した、前
    記第1乃至第4の直流オフセット電圧調整手段における
    直流オフセット電圧の調整値を保持し、前記複数の利得
    設定手段により設定された利得状態に対応した直流オフ
    セット電圧の調整値を前記オフセット電圧調整量保持手
    段から読み出して直流オフセット電圧を調整するように
    したことを特徴とする請求項1記載の無線受信機。
  7. 【請求項7】前記複数の利得設定手段の利得を切り替え
    る前記利得制御手段は、単位時間間隔ごとに前記受信信
    号強度判定手段の結果をサンプリングし、受信信号強度
    が予め設定した値を越え、かつ単位時間内での受信信号
    強度の変化が予め設定した変化量を越えた場合に、利得
    を切り替えることを特徴とする請求項6記載の無線受信
    機。
  8. 【請求項8】前記利得制御手段は、前記複数の受信信号
    強度を判定する受信信号強度判定手段の出力のうち、前
    記利得設定手段の利得状態に対応して、利得を下げるた
    めの判定出力と、利得を上げるための判定出力とを選択
    し、予め設定されたスロット内のタイミングで前記出力
    をサンプリングし、そのサンプリング値を前記利得制御
    手段に設けられた利得状態保持手段に記憶し、次のスロ
    ットの利得は前記利得状態保持手段から読み出して切り
    替えることを特徴とする請求項6記載の無線受信機。
  9. 【請求項9】前記第1の局部発振手段は前記無線信号の
    ほぼ2/5の周波数を出力し、その出力の2倍周波数を
    出力する2逓倍手段で構成され、前記第2の局部発振手
    段は前記第1の局部発振手段の無線信号のほぼ2/5の
    周波数の出力を2分周すると同時に一対の直交出力を得
    ることを特徴とする請求項1記載の無線受信機。
  10. 【請求項10】PLL周波数シンセサイザで構成された
    前記第1の局部発振手段は前記無線信号のほぼ4/5の
    周波数を出力し、前記第2の局部発振手段は前記第1の
    局部発振手段の出力を4分周すると同時に一対の直交出
    力を得、前記第3の局部発振手段は前記基準発信手段の
    出力を分周すると同時に一対の直交出力を得ることを特
    徴とする請求項1記載の無線受信機。
  11. 【請求項11】複数の電流値に切り替えられる2のべき
    乗からなる複数の吸い込み(吐き出し)型電流源と、そ
    れぞれの前記電流源を動作制御するスイッチと、前記2
    のべき乗からなる複数の吸い込み(吐き出し)型電流源
    の最上位ビットと同一の電流である吐き出し(吸い込
    み)電流源とからなり、前記複数の電流値に切り替えら
    れる2のべき乗からなる吸い込み(吐き出し)型電流源
    と前記最上位ビットと同一の電流である吐き出し(吸い
    込み)電流源とはその各電流を比例して制御するように
    したことを特徴とするDAコンバータ。
  12. 【請求項12】前記第2の中間周波数信号処理手段から
    出力され前記第2の中間周波数信号処理手段において直
    交変調される一対のI及びQ信号と、前記第3の局部発
    振手段から出力される一対の直交する信号のどちらか一
    方の一対の出力信号であって、その一対の出力信号のう
    ち少なくともどちらか一方の信号を停止することにより
    直流オフセット電圧を調整することを特徴とする請求項
    1記載の無線受信機。
  13. 【請求項13】複数のスロットで構成されたフレームか
    らなる無線システムにおいて、前記利得制御手段は1フ
    レーム中の異なる受信信号強度の複数のスロットを用い
    て受信動作するときに、受信するスロットの数だけスロ
    ットに整理番号を与え、各受信スロット毎に前記受信信
    号強度判定手段の出力のうち、前記利得設定手段の利得
    状態に対応して、利得を下げるための1つの判定出力
    と、利得を上げるための1つの判定出力を選択し、予め
    設定されたスロット内のタイミングで前記出力をサンプ
    リングし、その値を前記整理番号に対応して前記利得状
    態保持手段に記憶し、次のフレームで受信する複数のス
    ロットの利得設定は前記整理番号により指定された値を
    前記利得状態保持手段から読み出し、利得を切り替える
    ことを特徴とする請求項6記載の無線受信機。
  14. 【請求項14】前記複数の利得制御手段により設定され
    た利得状態に対応した前記直流オフセット電圧調整量保
    持手段に保持された直流オフセット電圧の調整値は、前
    記複数の利得制御手段のうち予め決められた利得状態
    で、前記第1、2、3、4の直流オフセット電圧調整手
    段により調整され前記直流オフセット電圧調整量保持手
    段に利得状態に対する基準値として保持され、この基準
    値に基づき前記複数の利得設定手段により異なる利得状
    態で直流オフセット電圧を調整し、得られた調整値を前
    記利得状態に対する補正値として直流オフセット電圧調
    整量保持手段に保持され、前記複数の利得設定手段によ
    り利得状態が切り替えられたときは、前記直流オフセッ
    ト電圧調整量保持手段から前記切り替えられた利得状態
    に対応する補正値を読み出して直流オフセット電圧を調
    整するようにしたことを特徴とする請求項6記載の無線
    受信機。
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