JP2001033907A - 熱現像画像記録材料 - Google Patents

熱現像画像記録材料

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JP2001033907A JP11203413A JP20341399A JP2001033907A JP 2001033907 A JP2001033907 A JP 2001033907A JP 11203413 A JP11203413 A JP 11203413A JP 20341399 A JP20341399 A JP 20341399A JP 2001033907 A JP2001033907 A JP 2001033907A
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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境面・コスト面で有利な水系塗布可能であ
り、かつ塗布面質が良好であり、カブリが低く、高い黒
化濃度の得られる熱現像画像記録材料を提供すること。 【解決手段】 支持体上に、還元剤、バインダーおよび
非感光性有機銀塩粒子を有する熱現像画像記録材料にお
いて、該非感光性有機銀塩粒子が、水、または水と有機
溶剤との混合物を溶媒とする銀イオン含有溶液と、水、
有機溶剤または水と有機溶剤との混合物を溶媒とする脂
肪酸アルカリ金属塩の溶液とを、密閉混合手段中にて混
合して反応させることにより調製されることを特徴とす
る熱現像画像記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱現像画像記録材料
に関し、特に写真製版用に適したスキャナー、イメージ
セッター用熱現像画像記録材料及び医療用熱現像画像記
録材料に関し、さらに詳しくは、良好な塗布面上が得ら
れ、さらにカブリが低く、高いDmax(最高濃度)の画像
を得ることが可能な写真製版用及び医療用熱現像画像記
録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】支持体上に感光層を有し、画像露光する
ことで画像形成を行う感光材料は、数多く知られてい
る。それらの中でも、環境保全や画像形成手段が簡易化
できるシステムとして、熱現像により画像を形成する技
術が挙げられる。近年写真製版分野及び医療分野におい
て環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強
く望まれている。そこで、レーザー光により効率的に露
光させることができ、高解像度および鮮鋭さを有する鮮
明な黒色画像を形成することができる写真製版及び医療
用途の熱現像感光材料に関する技術が必要とされてい
る。これら熱現像感光材料では、溶液系処理化学薬品の
使用をなくし、より簡単で環境を損なわない熱現像処理
システムを顧客に対して供給することができる。
【0003】熱現像により画像を形成する方法は、例え
ば米国特許第3,152,904号明細書、同3,457,075号明細
書、およびD.モーガン(Morgan)とB.シェリー(Sh
ely)による「熱によって処理される銀システム(Therm
ally Processed Silver Systems)A」(イメージング・
プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Proce
sses and Materials)Neblette 第8版、スタージ(Stur
ge)、V.ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ
(Shepp)編集、第2頁、1969年)に記載されている。こ
のような感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例え
ば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化
銀)、および銀の還元剤を通常有機バインダーマトリッ
クス中に分散した状態で含有している。感光材料は常温
で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃以上)に加
熱した場合に、還元可能な銀源(酸化剤として機能す
る)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成す
る。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用
によって促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反
応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露
光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。
【0004】このようなシステムに使用される銀源は一
般的に脂肪酸の銀塩であり、種々の製造法が知られてい
る。例えば、特開昭49−93310号公報、特開昭4
9−94619号公報、および特開昭53−68702
号公報に記載されるような水と水難溶性溶媒の共存液中
にて有機銀塩を調製する方法、特開昭53−31611
号公報、特開昭54−4117号公報及び特開昭54−
46709号公報に記載されるような水溶液中にて有機
銀塩を調製する方法、特開昭57−186745号公
報、特開昭47−9432号公報および米国特許第3,
700,458号明細書に記載されるような有機溶媒中
で有機銀塩を調製する方法等がある。基本的には、脂肪
酸を水中でその融点以上に加熱し溶融させ、激しく攪拌
しながら水酸化ナトリウムもしくはアルカリ金属塩を加
え、その後、アルカリセッケンを銀セッケンに転換する
ために硝酸銀を加えることにより調製する。このような
アルカリセッケンは、水溶液中ではミセルを形成し、外
見上は白濁液となっている。このようなミセル状態から
の銀セッケンへの反応は、しばしば製造安定性の問題を
引き起こす。このため、アルカリセッケンを均一液にす
るための方法として、溶媒を水とアルコールの混合液に
することが特開昭55−40607号公報に開示されて
いる。
【0005】また、アルカリセッケンは、アルカリ性を
呈する。従ってこの場合、銀セッケンは高pH下で作ら
れることになる。ところが、硝酸銀をアルカリ液中に添
加することは、副生成物として酸化銀を生じさせるばか
りでなく、製造上避けられぬ還元性の微量汚染物質が、
高pHであるが故に高い還元性を有し、意図しない銀核
を生じさせることになる。このような副生成物はかかる
熱現像写真材料の性能、特に望まれぬカブリを生じる点
や塗布面上悪化の点で非常に不利である。上記観点か
ら、副生成物の発生を抑えるために均一液を得ることを
目的とした方法として特開昭55−40607号公報に
記載の方法があるが、この方法においても、上記問題は
解決されていない。また、特開平9−127643号公
報には、アルカリ金属塩溶液と硝酸銀溶液の同時計量添
加による銀塩形成法が開示されており、ベヘン酸ナトリ
ウムの水とイソプロピルアルコールの混合溶液と硝酸銀
溶液との同時添加の記載がある。この方法は少なくとも
高pH下での反応を中性域まで下げることができ、酸化
銀形成量を下げ得る好ましい方法ではあるが、イソプロ
ピルアルコールには弱い還元性があり、この点、カブリ
を完全に解決する手段ではなく、また塗布面上を改善す
るには至らない。
【0006】このように、有機銀塩の調製には注意が必
要であり、脂肪酸銀塩形成時における可能な限りの還元
性物質の排除、粒子サイズのコントロール、更には粒子
形状のコントロールが必要であるが、従来の方法ではそ
こまで至っていない。ところで、従来より有機銀塩を用
いた熱現像材料は、これらの多くはトルエン、メチルエ
チルケトン、メタノールなどの有機溶剤を溶媒とする塗
布液を塗布することにより感光層を形成している。有機
溶剤を溶媒として用いることは、製造工程での安全性、
人体への悪影響、さらには溶剤の回収その他のため、コ
スト上非常に不利であるばかりでなく、環境保護を目指
した熱現像感光材料を提供する目的を考えた場合には、
適当な製造方法ではない。そこでこのような問題のない
水溶媒の塗布液を用いて感光層(以降「水系感光層」と
もいう。)を形成する方法が考えられている。例えば特
開昭49-52626号公報、特開昭53-116144号公報などには
ゼラチンをバインダーとする例が記載されている。また
特開昭50-151138号公報にはポリビニルアルコールをバ
インダーとする例が記載されている。
【0007】さらに特開昭60-61747号公報にはゼラチン
とポリビニルアルコールを併用した例が記載されてい
る。これ以外の例として特開昭58-28737号公報には水溶
性ポリビニルアセタールをバインダーとする感光層の例
が記載されている。このように水溶性バインダーを用い
ると水溶媒の塗布液を用いて感光層を形成することが可
能となり、環境上、コスト上のメリットは大きい。しか
しながら、上記水溶性ポリマーのバインダーは有機銀塩
との相性が悪く、さらに、水系感光層塗布液は有機銀塩
の他の写真用添加物も主に水系溶媒で使用されており、
それらとの相互作用により意図しない凝集が生じ易く、
良好な面状を得ることが困難であった。脂肪酸銀塩を含
む水溶媒塗布液で実用に耐える塗布面質を得るために
は、水溶媒中で脂肪酸銀塩を凝集なく微細に分散された
状態にしておく必要がある。このため、脂肪酸銀塩を微
粒子分散する方法の開発が必要である。通常は、例えば
D.クルースタボア(Kloosterboer)による記載(イメ
ージング・プロセシーズ・アンド・マテリアルズ(Imag
ing Processes and Materials)Neblette 第8版,ス
タージ(Sturge),V.ウォールワーズ(Walworth),
A.シェップ(Shepp)編集、第279頁、1989年)
のように、疎水的である脂肪酸銀分散物粒子を形成した
後にろ過分離し、固形物として取り出してから、分散剤
を混合して再分散する方法が取られる。
【0008】脂肪酸銀塩を微粒子分散化する方法は、分
散助剤の存在下で公知の微細化手段(例えば、高速ミキ
サー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、バンバリーミキ
サー、ホモミキサー、ニーダー、ボールミル、振動ボー
ルミル、遊星ボールミル、アトライター、サンドミル、
ビーズミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミ
ル、トロンミル、高速ストーンミル)を用い、機械的に
分散することが知られているが、これらの方法では、凝
集粒子の多い、結果として塗布面質の劣悪な塗布液しか
得られないばかりでなく、もともと水難溶性塩として晶
析した脂肪酸銀の一次粒子を無差別に粉砕してしまう確
率が高いため、結晶へき開面で銀核を形成してカブリ増
大の原因ともなってしまう。また、特公平7−1199
53号公報、特開平8−137044号公報、特開平8
−238848号公報には脂肪酸銀塩を圧力処理して微
細分散する方法が開示されているが、これらは有機溶剤
を溶媒とする分散物に関するものであり、上記問題の解
決とは性格を異にするものである。
【0009】特開平9−127643号公報には、アル
カリ金属塩溶液と硝酸銀溶液の同時計量添加により得ら
れた脂肪酸銀分散物を透析や限外ろ過を用いて直接脱塩
する方法が開示されている。この方法は、少なくとも脂
肪酸銀塩の晶析時に得られた一次粒子を損なわずにその
まま感光層に導入する点では好ましい方法ではあるが、
高塩濃度雰囲気下での粒子の凝集や分散液を濃縮する上
での高粘化の問題などが解決されておらず、この点、実
用的な塗布液を得るための手段には至らない。また、微
粒子かつ単分散な脂肪酸銀塩粒子を得るためには、アル
カリ金属塩溶液と硝酸銀溶液を添加しながら激しく混合
する必要がある。特に高温で溶解した脂肪酸のアルカリ
金属塩溶液は、添加された瞬間に温度低下し析出するた
め、希釈速度や流動が緩慢であると大きな粗大粒子へと
成長してしまう。しかしながら、気/液界面を有するタ
ンクなどに添加する場合、撹拌速度を上げると空気の巻
き込みが起こる。脂肪酸銀塩粒子は極めて疎水的であ
り、同伴された泡の表面に吸着して泡を安定化し破泡を
妨げるばかりか、気泡上で隣接した粒子同士は凝集を起
こす。このように空気を巻き込んだ液はホイップクリー
ム状になり、限外ろ過などで副生成塩の脱塩を行う場
合、ハンドリング性が著しく劣化するばかりでなく、凝
集した粒子は目詰まりの原因ともなる。
【0010】銀イオン液と脂肪酸のアルカリ金属塩液が
反応した後の液温が高いと物理熟成によって粒子が成長
するので常温程度に維持することが好ましい。一方、長
鎖脂肪酸アルカリ金属塩の安定溶液を得るためには50
℃以上の高温にする必要があり、添加液が持ち込む熱量
を相殺するための熱交換を迅速に行う必要がある。タン
ク等にジャケット槽を付設する方法では反応液量が増え
るとともに熱交換できる表面積が小さくなるため、スケ
ールアップ性に問題があった。以上の通り、塗布面質が
良好で、カブリなど光学性能に優れた熱現像画像記録材
料を供給するための、脂肪酸銀塩の水溶媒塗布液化のた
めの安定した製造方法は見い出されていない。そこで、
良好な塗布面質が得られ、さらにカブリが低く、高い黒
化濃度を得ることが可能で、環境面・コスト面で有利な
熱現像画像記録材料を提供する技術が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を解消することを解決すべき課題とした。即
ち、本発明は、環境面・コスト面で有利な水系塗布可能
であり、かつ塗布面質が良好であり、カブリが低く、高
い黒化濃度の得られる熱現像画像記録材料を提供するこ
とを解決すべき課題とした。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者はこれらの課題
を解決するために鋭意検討を進めた結果、銀イオン含有
溶液と脂肪酸アルカリ金属塩溶液とを反応させて脂肪酸
銀粒子を調製する際に、密閉した液体混合手段中にて脂
肪酸アルカリ金属塩溶液と銀イオン含有溶液とを混合し
て反応させることによって調製した非感光性有機銀塩粒
子を使用することによって、所望の効果を奏する優れた
熱現像画像記録材料を提供しうることを見出し、本発明
を提供するに至った。即ち、本発明は、支持体上に、還
元剤、バインダーおよび非感光性有機銀塩粒子を有する
熱現像画像記録材料において、該非感光性有機銀塩粒子
が、水、または水と有機溶剤との混合物を溶媒とする銀
イオン含有溶液と、水、有機溶剤または水と有機溶剤と
の混合物を溶媒とする脂肪酸アルカリ金属塩の溶液と
を、密閉混合手段中にて混合して反応させることにより
調製されることを特徴とする熱現像画像記録材料を提供
する。
【0013】本発明の好ましい態様においては、非感光
性有機銀塩粒子は、前記液体混合手段にて前記反応を行
った後に反応した反応混合物を冷却することを含む方法
によって調製される。好ましくは、本発明の熱現像画像
記録材料はさらに感光性ハロゲン化銀を含有する。好ま
しくは、本発明の熱現像画像記録材料においては、非感
光性有機銀塩粒子を有する画像形成層のバインダーの5
0重量%以上としてガラス転移温度が−30℃以上40
℃以下のポリマーラテックスを用いる。好ましくは、本
発明の熱現像画像記録材料は、支持体上の画像形成層側
の少なくとも一層中に少なくとも1種の造核剤を含有す
る。好ましくは、造核剤は下記式(1)で表される置換ア
ルケン誘導体、下記式(2)で表される置換イソオキサゾ
ール誘導体、あるいは下記式(3)で表される特定のアセ
タール化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であ
る。
【0014】
【化2】
【0015】[式(1)において、R1、R2、R3は、そ
れぞれ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸
引性基またはシリル基を表す。式(1)においてR1
Z、R2とR3、R1とR2、およびR3とZは、互いに結
合して環状構造を形成していてもよい。式(2)において
4は、置換基を表す。式(3)においてX、Yはそれぞ
れ独立に水素原子または置換基を表し、AおよびBはそ
れぞれ独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキ
ルアミノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニ
リノ基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基またはヘテ
ロ環アミノ基を表す。式(3)においてXとY、およびA
とBは、互いに結合して環状構造を形成していてもよ
い。]
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の熱現像画像記録
材料の実施方法および実施態様について詳細に説明す
る。本発明の熱現像画像記録材料は、非感光性有機銀塩
粒子として、水、または水と有機溶剤との混合物を溶媒
とする銀イオン含有溶液と、水、有機溶剤または水と有
機溶剤との混合物を溶媒とする脂肪酸アルカリ金属塩の
溶液とを反応させて脂肪酸銀粒子を調製する方法におい
て、密閉混合手段中にて前記銀イオン含有溶液と前記脂
肪酸アルカリ金属塩溶液とを混合して反応させることを
特徴とする方法により調製された非感光性有機銀塩粒子
を用いることを特徴とする。図1に本発明で用いる非感
光性脂肪酸銀塩の調製方法の模式図を示す。1は、密閉
かつ液体で充満された混合装置、2は熱交換器である。
図中Aは銀イオン含有溶液、Bは脂肪酸アルカリ金属塩
溶液、Cは水、または水と有機溶剤との混合溶液、もし
くは反応した後の非感光性脂肪酸銀塩粒子液である。こ
れらの液が混合装置内で合流し、脂肪酸銀塩液Dが調製
され、次いで熱交換器2に送り込まれて冷却される。
【0017】図2は本発明で用いる非感光性脂肪酸銀塩
の調製方法の一実施形態である。図中11ないし12に
は、それぞれ銀イオン含有溶液と脂肪酸アルカリ金属塩
溶液を所定の温度に設定して貯蔵する。13および14
は、これらの溶液をポンプ15と16を介して密閉かつ
液体で充満された混合装置18に添加する際の流量を計
測するための流量計である。この実施形態においては、
第3の成分として、調製された脂肪酸銀塩分散物を混合
装置18に再び供給するポンプ17を具備している。混
合装置18内で反応終了した液は、熱交換器19へと導
入して速やかに冷却される。本発明に用いる銀イオン含
有溶液のpHは、好ましくはpH1以上6以下、さらに
好ましくはpH1.5以上4以下である。更に、pH調
節のため、酸およびアルカリを加えることができる。酸
およびアルカリの種類は特に制限されない。
【0018】本発明に用いる銀イオン含有溶液の銀イオ
ン濃度は、任意に決定されるが、モル濃度として、0.
03mol/L以上6.5mol/L以下が好ましく、よ
り好ましくは、0.1mol/L以上5mol/L以下で
ある。本発明の実施に際して、脂肪酸塩粒子を形成させ
るためには、銀イオン溶液、脂肪酸アルカリ金属塩溶
液、あらかじめ反応場に準備しておく溶液の少なくとも
一つに、脂肪酸のアルカリ金属塩がひも状会合体やミセ
ルではなく、実質的に透明溶液となり得る量の有機溶剤
を含有しなくてはならない。溶液は有機溶剤単独でも構
わないが、水との混合溶液であることが好ましい。本発
明で用いる有機溶剤としては、水溶性で上記性質を有し
ていればその種類は特に制限されないが、写真性能に支
障をきたすものは好ましくなく、好ましくは水と混合で
きるアルコール、アセトン、更に好ましくは炭素数4〜
6の第3アルコールが好ましい。また、用いる脂肪酸
は、銀塩とした場合に光に対して比較的安定であるが、
露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)お
よび還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱さ
れた場合に銀画像を形成する銀塩である。脂肪酸は特に
炭素数10〜30、好ましくは12〜26を有する長鎖
脂肪カルボン酸である。脂肪族カルボン酸の好ましい例
としては、セロチン酸、リグノセリン酸、ベヘン酸、エ
ルカ酸、アラキジン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ラ
ウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、
マレイン酸、フマル酸、酒石酸、リノール酸、酪酸及び
樟脳酸、ならびにこれらの混合物を挙げることができ
る。
【0019】本発明に用いる脂肪酸のアルカリ金属塩の
アルカリ金属は、具体的にはNa、Kが好ましい。脂肪
酸のアルカリ金属塩は、脂肪酸にNaOHもしくはKO
Hを添加することにより調製される。このとき、アルカ
リの量を脂肪酸の当量以下にして、未反応の脂肪酸を残
存させることが好ましい。この場合の、残存脂肪酸量は
全脂肪酸に対し3mol%以上50mol%以下であ
り、好ましくは3mol%以上30mol%以下であ
る。また、アルカリを所望の量以上に添加した後に、硝
酸、硫酸等の酸を添加し、余剰のアルカリ分を中和させ
ることで調製してもよい。さらに、本発明に用いる銀イ
オン含有溶液および脂肪酸アルカリ金属塩溶液、あるい
は両液が添加される密閉混合容器の液には、例えば特開
昭62−65035号公報の一般式(1)で示されるよ
うな化合物、また、特開昭62−150240号公報に
記載のような水溶性基含有Nヘテロ環化合物、特開昭5
0−101019号公報に記載のような無機過酸化物。
特開昭51−78319号公報に記載のようなイオウ化
合物、特開昭57−643号公報に記載のようなジスル
フィド化合物および過酸化水素等を添加することができ
る。
【0020】本発明で用いる脂肪酸アルカリ金属塩溶液
は、有機溶媒の量が水分の体積に対し、溶剤体積として
3%以上70%以下であることが好ましく、より好まし
くは5%以上50%以下である。この際、反応温度で最
適な溶媒体積が変化するため、トライアンドエラーで最
適量を決定することができる。本発明に用いる脂肪酸の
アルカリ金属塩の濃度は、重量比として、5wt%以上
50wt%以下であり、好ましくは、7wt%以上45
wt%以下であり、さらに好ましくは10wt%以上4
0wt%以下である。
【0021】本発明に用いる銀イオン含有溶液および脂
肪酸アルカリ金属塩溶液を同時添加することにより、所
望の脂肪酸銀塩を調製することができる。その際、総添
加銀量の10%以上100%以下がほぼ同モルの脂肪酸
アルカリ金属塩溶液と同時に添加されていることが好ま
しく、30%以上100%以下が同時添加されているこ
とが更に好ましく、50%以上100%以下が同時添加
されることが特に好ましい。いずれかを優先して添加す
る場合は、銀イオン含有溶液を先行させる方が好まし
い。本発明に用いる銀イオン含有溶液と脂肪酸アルカリ
金属塩溶液は、所望の粒子を得るために適当な温度に調
節することができる。銀イオン含有溶液の温度としては
液の安定性を確保する目的で5℃以上60℃以下が好ま
しく、より好ましくは5℃以上40℃以下である。脂肪
酸アルカリ金属塩溶液はアルカリセッケンの結晶化、固
化の現象を避けるのに必要な温度範囲に保っておくため
に、50℃以上90℃以下が好ましく、より好ましくは
60℃以上85℃以下である。
【0022】銀塩形成中の反応液温度は、任意の温度で
よいが、好ましくは5℃以上70℃以下、より好ましく
は10℃以上50℃以下、特に好ましくは20℃以上4
5℃以下であることで、画像記録材料としての性能をよ
り向上させることができる。脂肪酸銀塩粒子を形成する
には、様々なアプローチがある。本発明で用いる粒子を
得るためには、脂肪酸塩の反応場での溶解度を小さくす
ることが好ましい。また、本発明者の検討によれば、脂
肪酸銀塩粒子は反応時間が長くなるにつれサイズが小さ
くなる傾向があることが明らかになっている。目的とす
る粒子サイズを得るために反応時間をトライアンドエラ
ーで決定することが必要がある。反応液を添加する装置
に限定はない。特に混合装置は、例えばアンカー翼、パ
ドル翼のようなバルク撹拌機、ディゾルバー、ホモジナ
イザー等の乳化分散機、スタティックミキサー、スルー
ザーミキサー等の静止型混合機、もしくはそれらの併用
等のあらゆる方式が使用できる。
【0023】銀イオン液および脂肪酸のアルカリ金属塩
液の添加順序も、例えば2液を同じ混合装置へ添加する
方法、どちらかを混合装置の上流手前に添加して混合装
置へは1液だけを添加する方法、水もしくは銀イオン液
および脂肪酸のアルカリ金属塩液で用いられる有機溶剤
との混合液や反応した後の非感光性脂肪酸銀塩粒子液を
含めた3液を同じ混合装置へ添加する方法、3液を任意
の順序で混合装置の上流手前に添加して混合装置へは1
液だけを添加する方法、混合装置を複数台直列に配置し
てそれぞれに1液ないし2液を添加する方法などあらゆ
る方式が使用できる。また、銀イオン液および脂肪酸ア
ルカリ金属塩液の添加時間も任意に選択することができ
る。例えば、添加速度一定で添加する方法、任意の時間
関数による加速あるいは減速モードで添加することもで
きる。
【0024】銀イオン液と脂肪酸のアルカリ金属塩液が
反応した後の液温を速やかに低下させるためには混合装
置へ供給する銀イオン液、水もしくは水と有機溶剤との
混合液や反応した後の脂肪酸銀塩粒子液をあらかじめ冷
却しておく方法以外に混合装置そのものを冷やす方法や
混合装置からタンクの間に熱交換器を付設する方法が採
用できる。銀イオン液と脂肪酸のアルカリ金属塩液が反
応した後の液温は、好ましくは5℃以上70℃以下、よ
り好ましくは10℃以上50℃以下、特に好ましくは2
0℃以上45℃以下である。また、冷却速度は、反応液
が出会ってから0.05秒から10秒、好ましくは0.0
5秒から5秒、更に好ましくは0.05秒から1秒の間
に目的の温度に到達することで、画像記録材料の性能を
より向上させることができる。本発明に用いることがで
きる脂肪酸銀塩の形状は、特に制限はないが、鱗片状粒
子あるいは針状結晶が好ましい。上記した方法において
調製された脂肪酸銀塩粒子の球相当径は0.1μm以上
0.8μm以下であることが好ましく、0.1μm以上
0.6μm以下であることが更に好ましい。また、粒子
の長辺/短辺が1以上4以下であることが好ましく、1
以上3以下であることが更に好ましく、1以上2以下で
あることが特に好ましい。また、粒子のアスペクト比
(主平面の粒子サイズ(円相当直径)/粒子の厚さ)
は、2以上30以下であることが好ましく、2以上15
以下であることが更に好ましい。また、粒子の厚さが
0.01μm以上0.20μm以下であることが好まし
く、0.01μm以上0.15μm以下であることが更に
好ましい。以上の要件を満たした粒子を全粒子の投影面
積の30%以上100%以下含むことが好ましく、50
%以上100%以下含むことが更に好ましく、70%以
上100%含むことが特に好ましい。
【0025】脂肪酸銀塩の粒子サイズ分布は、できるだ
け単分散であることが好ましい。粒子直径の標準偏差を
粒子直径で割った値の100倍を変動係数とすると、脂
肪酸銀塩粒子の粒子サイズの変動係数は20%以下が好
ましく、より好ましくは18%以下、更に好ましくは1
5%以下である。測定方法としては、例えば、液中に分
散した脂肪酸銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光の
ゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることに
より得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)を得る
(いわゆる動的光散乱法)ことができる。本発明に用い
ることのできる脂肪酸銀塩は、好ましくは脱塩すること
ができる。脱塩を行う方法としては特に制限はなく、公
知の方法を用いることができるが、遠心ろ過、吸引ろ
過、限外ろ過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知
のろ過方法を好ましく用いることができる。特に限外ろ
過が好ましく、限外ろ過は、例えばハロゲン化銀乳剤の
脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することができる。
リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosur
e)No.10 208(1972)、No.13 12
2(1975)およびNo.16 351(1977)
が知られている。操作条件として重要な圧力差や流量
は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版
(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に選定
することができるが、目的の脂肪酸銀分散物を処理する
上では、粒子の凝集やカブリを抑えるために最適条件を
見いだす必要がある。また、膜透過より損失する溶媒を
補充する方法においては、連続して溶媒を添加する定容
式と断続的に分けて添加する回分式とがあるが、脱塩処
理時間が相対的に短い定容式が好ましい。こうして補充
する溶媒には、イオン交換または蒸留して得られた純水
を用いるが、pH、分散剤濃度や分散剤に対する貧溶媒
の濃度を本発明の目標とする値に保つために、純水の中
にpH調整剤、分散剤、分散剤の貧溶媒を混合してもよ
いし、脂肪酸銀分散物に直接添加してもよい。
【0026】限外ろ過膜は、すでにモジュールとして組
み込まれた平板型、スパイラル型、円筒型、中空糸型、
ホローファイバー型などが旭化成(株)、ダイセル化学
(株)、(株)東レ、(株)日東電工などから市販され
ているが、総膜面積や洗浄性の観点より、スパイラル型
もしくは中空糸型が好ましい。また、膜を透過すること
ができる成分のしきい値の指標となる分画分子量は、用
いている分散剤の分子量より決定する必要がある。本発
明においては、5,000以上50,000以下、好まし
くは5,000以上15,000以下のものを用いる。本
発明に用いる銀イオン含有溶液および脂肪酸アルカリ金
属塩溶液、あるいは反応液には水可溶な分散剤を添加す
ることができる。したがって、脂肪酸銀塩形成時の反応
液ならびに別に用意された分散剤溶液、脂肪酸銀塩形成
後の液に添加することができる。分散剤としては、形成
した脂肪酸銀塩を分散可能なものであればその種類は特
に制限されない。具体的な例は、後述の脂肪酸銀塩の分
散剤の記載に準じる。
【0027】本発明に用いることのできる脂肪酸銀塩
は、粒子サイズの小さい、凝集のない微粒子を得る目的
で、分散剤を使用した固体微粒子分散物とする方法を用
いることができる。この固体微粒子分散物を作成する
際、粒子形成された粒子が破壊されず、凝集だけが無く
なることが好ましい。この様子は、水洗前の粒子のTE
M写真と分散後の粒子のTEM写真を比較することで判
断できる。本発明で用いる粒子では、水洗前の平均粒子
サイズと、分散後の平均粒子サイズとを比較して、投影
面積が30%以上変化ししていないことが好ましく、2
0%以上変化していないことが更に好ましく、10%以
上変化していないことが特に好ましい。分散法は脂肪酸
銀塩の水分散物を高圧・高速流に変換した後、圧力降下
させる方法を用いることが好ましい。さらに、分散時
に、感光性銀塩を共存させると、カブリが上昇し、感度
が著しく低下するため、分散時には感光性銀塩を実質的
に含まないことがより好ましい。本発明は、分散される
水分散液中での感光性銀塩量は、その液中の脂肪酸銀塩
1molに対し0.1mol%以下であり、積極的な感
光性銀塩の添加は行わないものである。
【0028】本発明において、上記のような分散法を実
施するのに用いられる分散装置及びその技術について
は、例えば「分散系レオロジーと分散化技術」(梶内俊
夫、薄井洋基 著、1991、信山社出版(株)、p3
57〜403)、「化学工学の進歩 第24集」(社団
法人化学工学会東海支部 編、1990、槙書店、p1
84〜185)、等に詳しいが、本発明での分散法は、
少なくとも脂肪酸銀塩を含む水分散液を高圧ポンプ等で
加圧して配管内に送入した後、配管内に設けられた細い
スリットを通過させ、この後に分散液に急激な圧力低下
を生じさせることにより微細な分散を行う方法である。
本発明が関連する高圧ホモジナイザーについては、一般
には(a)分散質が狭間隙を高圧、高速で通過する際に
生じる「せん断力」、(b)分散質が高圧下から常圧に
解放される際に生じる「キャビテーション力」、等の分
散力によって微細な粒子への分散が行われると考えられ
ている。この種の分散装置としては、古くはゴーリンホ
モジナイザーが挙げられるが、この装置では、高圧で送
られた被分散液が円柱面上の狭い間隙で高速流に変換さ
れ、その勢いで周囲の壁面に衝突し、その衝撃力で乳化
・分散が行われる。使用圧力は一般には100〜600
kg/cm2、流速は数m〜30m/秒の範囲であり、分
散効率を上げるために高速流部を鋸刃状にして衝突回数
を増やす等の工夫を施したものも考案されている。これ
に対し、近年さらに高圧での分散が可能となる装置が開
発されてきており、その代表例としてマイクロフルイダ
イザー(マイクロフルイデックス・インターナショナル
・コーポレーション社)、ナノマイザー(特殊機化工業
(株))などが挙げられる。
【0029】本発明で用いる脂肪酸銀塩においては、流
速、圧力降下時の差圧と処理回数の調節によって、所望
の粒子サイズに分散することができるが、写真特性と粒
子サイズの点から、流速が200m/秒〜600m/秒、
圧力降下時の差圧が900〜3000kg/cm2の範囲
が好ましく、さらに流速が300m/秒〜600m/
秒、圧力降下時の差圧が1500〜3000kg/cm2
の範囲であることがより好ましい。分散処理回数は必要
に応じて選択でき、通常は1〜10回の範囲が選ばれる
が、生産性の観点で1〜3回程度が選ばれる。高圧下で
このような水分散液を高温にすることは、分散性・写真
性の観点で好ましくなく、90℃を越えるような高温で
は粒子サイズが大きくなりやすくなるとともに、カブリ
が高くなる傾向がある。従って、本発明では、前記の高
圧、高速流に変換する前の工程もしくは、圧力降下させ
た後の工程、あるいはこれら両工程に冷却装置を含み、
このような水分散の温度が冷却工程により5℃〜90℃
の範囲に保たれていることが好ましく、さらに好ましく
は5℃〜80℃の範囲、特に5℃〜65℃の範囲に保た
れていることが好ましい。特に、1500〜3000k
g/cm2の範囲の高圧の分散時には、前記の冷却工程を
設置することが有効である。冷却装置は、その所要熱交
換量に応じて、2重管や3重管にスタチックミキサーを
使用したもの、多管式熱交換器、蛇管式熱交換器等を適
宜選択することができる。また、熱交換の効率を上げる
ために、使用圧力を考慮して、管の太さ、肉厚や材質な
どの好適なものを選べばよい。冷却器に使用する冷媒
は、熱交換量から、20℃の井水や冷凍機で処理した5
〜10℃の冷水、また、必要に応じて−30℃のエチレ
ングリコール/水等の冷媒を使用することができる。
【0030】分散剤としては、例えば、ポリアクリル
酸、アクリル酸の共重合体、マレイン酸共重合体、マレ
イン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロ
パンスルホン酸共重合体などの合成アニオンポリマー、
カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロー
スなどの半合成アニオンポリマー、アルギン酸、ペクチ
ン酸などのアニオン性ポリマー、特開昭52−9271
6号公報、国際公開第WO88/04794号公報など
に記載のアニオン性界面活性剤、特開平9−17924
3号公報に記載の化合物、あるいは公知のアニオン性、
ノニオン性、カチオン性界面活性剤や、その他ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース等の公知のポリマー、或
いはゼラチン等の自然界に存在する高分子化合物を適宜
選択して用いることができる。分散剤の濃度は、脂肪酸
銀塩に対して、1〜30重量%、特に3〜20重量%の
範囲が好ましい。調製された分散物は、保存時の微粒子
の沈降を抑える目的で撹拌しながら保存したり、親水性
コロイドにより粘性の高い状態(例えば、ゼラチンを使
用しゼリー状にした状態)で保存したりすることもでき
る。また、保存時の雑菌などの繁殖を防止する目的で防
腐剤を添加することもできる。
【0031】本発明で用いる脂肪酸銀塩分散物は、少な
くとも脂肪酸銀塩と水からなるものである。脂肪酸銀塩
と水との割合は特に限定されるものではないが、効率的
な塗膜の形成を考えた場合に、安定な塗布を行うための
レオロジー特性、ならびに乾燥水分量より決まる生産ス
ピードより決定する必要がある。脂肪酸銀塩の全体に占
める割合は、10〜50重量%であることが好ましく、
特に10〜30重量%であることが好ましい。また、こ
の分散物の電気伝導度は500μS/cm以下が好まし
く、より好ましくは1〜500μS/cmである。本発明
で用いる脂肪酸銀塩の調製においては、Ca、Mg、C
e、Al、Zn、Baから選ばれる金属イオンの添加
は、ハロゲン化物でない水溶性塩の形で添加することが
好ましい。具体的には、硝酸塩や硫酸塩の形で添加する
ことが好ましい。Ca、Mg、Ce、Al、Zn、Ba
から選ばれる金属イオンの添加時期は、脂肪酸銀塩の調
製法の液中、もしくは反応液中への事前添加、脂肪酸銀
塩形成中、形成直後、塗布液調製前後など塗布直前であ
ればいずれの時期でもよい。添加量としては、脂肪酸銀
塩1mol当たり10-3〜10-1molが好ましく、特
に5×10-3〜5×10-2molが好ましい。
【0032】本発明で用いる脂肪酸銀塩の調製方法を実
施するための装置は特に制限されるものでないが、好ま
しい装置として、水、または水と有機溶剤との混合物を
溶媒とする銀イオン含有溶液を密閉混合手段に供給する
第1供給手段;水、有機溶剤、または水と有機溶剤との
混合物を溶媒とする脂肪酸アルカリ金属塩の溶液を密閉
混合手段に供給する第2供給手段;水、または水と有機
溶剤との混合物を密閉混合手段に供給する第3供給手
段;および、前記第1供給手段、前記第2供給手段およ
び前記第3供給手段からの供給物を混合して非感光性脂
肪酸銀塩粒子含有液を排出する密閉混合手段を有するこ
とを特徴とする非感光性脂肪酸銀塩粒子の調製装置を例
示することができる。この装置は、密閉混合手段から排
出される非感光性脂肪酸銀塩粒子含有液を冷却する冷却
手段をさらに有することが好ましい(図3)。
【0033】また、本発明で用いる有機銀塩を調製する
ための別の好ましい装置として、水、または水と有機溶
剤との混合物を溶媒とする銀イオン含有溶液を密閉混合
手段に供給する第1供給手段;水、有機溶剤、または水
と有機溶剤との混合物を溶媒とする脂肪酸アルカリ金属
塩の溶液を密閉混合手段に供給する第2供給手段;前記
第1供給手段、前記第2供給手段および後記第3供給手
段からの供給物を混合して非感光性脂肪酸銀塩粒子含有
液を排出する密閉混合手段;および、前記密閉混合手段
から排出される非感光性脂肪酸銀塩粒子含有液の少なく
とも一部を前記密閉混合手段に供給する第3供給手段を
有することを特徴とする非感光性脂肪酸銀塩粒子の調製
装置を挙げることもできる。この装置は、密閉混合手段
から排出される非感光性脂肪酸銀塩粒子含有液を冷却す
る冷却手段をさらに有することが好ましい(図2)。図
2の装置では、第3供給手段から密閉混合手段に供給さ
れる非感光性脂肪酸銀塩粒子含有液の量を適宜調節する
ことによって所望の濃度を有する非感光性脂肪酸銀塩粒
子の分散液をタンク20に調製することが可能である。
すなわち、タンク20内の非感光性脂肪酸銀塩粒子の分
散液は、第3供給手段を利用した循環を繰り返すことに
よって濃度が高くなるため、循環条件を適宜選択するこ
とによって所望の濃度を有する分散液を得ることができ
る。また、循環条件だけでなく、調製した分散液を取り
出す条件も調節することによって濃度調節することも可
能である。これらの条件を適宜選択することによって、
連続運転をさせながら効率よく所望の分散液を得ること
ができる。
【0034】本発明の熱現像画像記録材料は、高感度か
つ高コントラストで黒化濃度の高い写真性能を得るため
に画像形成層側の少なくとも一層中に造核剤を含有する
ことが好ましい。造核剤の種類は特には限定されない
が、特には、式(1)で表される置換アルケン誘導体、
式(2)で表される置換イソオキサゾール誘導体、およ
び式(3)で表される特定のアセタール化合物が好まし
い。以下に、本発明で用いられる式(1)で表される置
換アルケン誘導体、式(2)で表される置換イソオキサ
ゾール誘導体、および式(3)で表される特定のアセタ
ール化合物について説明する。
【0035】
【化3】
【0036】式(1)においてR1、R2、R3は、それぞ
れ独立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性
基またはシリル基を表す。式(1)においてR1とZ、R2
とR3、R1とR2、あるいはR3とZは、互いに結合して
環状構造を形成していてもよい。式(2)においてR
4は、置換基を表す。式(3)においてX、Yはそれぞれ
独立に水素原子または置換基を表し、A、Bはそれぞれ
独立に、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミ
ノ基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ
基、ヘテロ環オキシ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ
環アミノ基を表す。式(3)においてXとY、あるいはA
とBは、互いに結合して環状構造を形成していてもよ
い。
【0037】式(1)で表される化合物について詳しく説
明する。式(1)においてR1、R2、R3は、それぞれ独
立に水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基ま
たはシリル基を表す。式(1)においてR1とZ、R2とR
3、R1とR2、あるいはR3とZは、互いに結合して環状
構造を形成していてもよい。
【0038】R1、R2、R3が置換基を表す時、置換基
の例としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素
原子、臭素原子、またはヨウ素原子)、アルキル基(シ
クロアルキル基、活性メチン基等を含む)、アラルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ
環基(N−置換の含窒素ヘテロ環基を含む)、4級化さ
れた窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ
基)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオ
キシカルボニル基、カルバモイル基、カルボキシ基また
はその塩、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオ
カルボニル基、スルホニルカルバモイル基、アシルカル
バモイル基、スルファモイルカルバモイル基、カルバゾ
イル基、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、チ
オカルバモイル基、ヒドロキシ基またはその塩、アルコ
キシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基
単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘ
テロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしく
はアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイル
オキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキ
ル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミ
ノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド
基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)
カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカ
ルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、4
級のアンモニオ基、オキサモイルアミノ基、(アルキル
もしくはアリール)スルホニルウレイド基、アシルウレ
イド基、アシルスルファモイルアミノ基、ニトロ基、メ
ルカプト基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)
チオ基、アシルチオ基、(アルキルまたはアリール)ス
ルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル
基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、アシル
スルファモイル基、スルホニルスルファモイル基または
その塩、ホスホリル基、リン酸アミドもしくはリン酸エ
ステル構造を含む基、シリル基、スタニル基等が挙げら
れる。これら置換基は、これら置換基でさらに置換され
ていてもよい。
【0039】式(1)においてZで表される電子吸引性基
とは、ハメットの置換基定数σpが正の値を取りうる置
換基のことであり、具体的には、シアノ基、アルコキシ
カルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモ
イル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカ
ルボニル基、スルファモイル基、アルキルスルホニル
基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ハロゲン原子、
パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルカンアミド
基、スルホンアミド基、アシル基、ホルミル基、ホスホ
リル基、カルボキシ基(またはその塩)、スルホ基(ま
たはその塩)、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、スルホニルオキシ
基、またはこれら電子吸引性基で置換されたアリール基
等である。ここにヘテロ環基としては、飽和もしくは不
飽和のヘテロ環基で、例えばピリジル基、キノリル基、
ピラジニル基、キノキサリニル基、ベンゾトリアゾリル
基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、ヒダント
イン−1−イル基、スクシンイミド基、フタルイミド基
等がその例として挙げられる。
【0040】式(1)においてZで表される電子吸引性基
は、さらに置換基を有していてもよく、その置換基とし
ては、式(1)のR1、R2、R3が置換基を表す時に有し
ていてもよい置換基と同じものが挙げられる。式(1)に
おいてR1とZ、R2とR3、R1とR2、あるいはR3とZ
は、互いに結合して環状構造を形成していてもよいが、
この時形成される環状構造とは、非芳香族の炭素環もし
くは非芳香族のヘテロ環である。次に式(1)で表される
化合物の好ましい範囲について述べる。式(1)において
Zで表されるシリル基として好ましくは、具体的にトリ
メチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニ
ルジメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプ
ロピルシリル基、トリメチルシリルジメチルシリル基等
である。
【0041】式(1)においてZで表される電子吸引性基
として好ましくは、総炭素数0〜30の以下の基、即
ち、シアノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキ
シカルボニル基、カルバモイル基、チオカルボニル基、
イミノ基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル
基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニ
トロ基、パーフルオロアルキル基、アシル基、ホルミル
基、ホスホリル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ま
たは任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等であ
り、さらに好ましくは、シアノ基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、イミノ基、スルファモイル基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル
基、ホルミル基、ホスホリル基、トリフルオロメチル
基、または任意の電子吸引性基で置換されたフェニル基
等であり、特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシ
ル基、アルコキシカルボニル基、イミノ基またはカルバ
モイル基である。式(1)においてZで表される基は、電
子吸引性基がより好ましい。
【0042】式(1)においてR1、R2、およびR3で表
される置換基として好ましくは、総炭素数0〜30の基
で、具体的には上述の式(1)のZで表される電子吸引性
基と同義の基、およびアルキル基、ヒドロキシ基(また
はその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ
基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、ア
ルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ
基、ウレイド基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、
または置換もしくは無置換のアリール基等が挙げられ
る。さらに式(1)においてR1は、好ましくは電子吸引
性基、アリール基、アルキルチオ基、アルコキシ基、ま
たはアシルアミノ基、水素原子、またはシリル基であ
る。R1が電子吸引性基を表す時、好ましくは総炭素数
0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ基、アシ
ル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリール
オキシカルボニル基、チオカルボニル基、イミノ基、N
原子で置換したイミノ基、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル
基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、カルボキシ
基(またはその塩)、または飽和もしくは不飽和のヘテ
ロ環基であり、さらにシアノ基、アシル基、ホルミル
基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミノ
基、N原子で置換したイミノ基、スルファモイル基、カ
ルボキシ基(またはその塩)、または飽和もしくは不飽
和のヘテロ環基が好ましい。特に好ましくはシアノ基、
ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カル
バモイル基、または飽和もしくは不飽和のヘテロ環基で
ある。
【0043】R1がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数6〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、任意の置換基が挙げられるが、
中でも電子吸引性の置換基が好ましい。式(1)において
1は、より好ましくは、電子吸引性基またはアリール
基を表す時である。式(1)においてR2およびR3で表さ
れる置換基として好ましくは、具体的に、上述の式(1)
のZで表される電子吸引性基と同義の基、アルキル基、
ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト基(またはそ
の塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チ
オ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテ
ロ環アミノ基、アシルアミノ基、置換もしくは無置換の
フェニル基等である。式(1)においてR2およびR3は、
さらに好ましくは、どちらか一方が水素原子で、他方が
置換基を表す時である。その置換基として好ましくは、
アルキル基、ヒドロキシ基(またはその塩)、メルカプト
基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオキシ基、
ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、
ヘテロ環チオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アニリ
ノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基(特にパーフ
ルオロアルカンアミド基)、スルホンアミド基、置換も
しくは無置換のフェニル基、またはヘテロ環基等であ
り、さらに好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、メ
ルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリール
チオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基であり、特
に好ましくはヒドロキシ基(またはその塩)、アルコキシ
基、またはヘテロ環基である。
【0044】式(1)においてZとR1、或いはまたR2
3とが環状構造を形成する場合もまた好ましい。この
場合に形成される環状構造は、非芳香族の炭素環もしく
は非芳香族のヘテロ環であり、好ましくは5員〜7員の
環状構造で、置換基を含めたその総炭素数は1〜40、
さらには3〜30が好ましい。式(1)で表される化合物
の中で、より好ましいものの1つは、Zがシアノ基、ホ
ルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、イミノ
基、またはカルバモイル基を表し、R1が電子吸引性基
またはアリール基を表し、R2またはR3のどちらか一方
が水素原子で、他方がヒドロキシ基(またはその塩)、メ
ルカプト基(またはその塩)、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリール
チオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ環基を表す化合
物である。さらにまた一般式(1)で表される化合物の中
で特に好ましいものの1つは、ZとR1とが非芳香族の
5員〜7員の環状構造を形成していて、R2またはR3
どちらか一方が水素原子で、他方がヒドロキシ基(また
はその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキシ
基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチ
オ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、またはヘテロ
環基を表す化合物である。この時、R1と共に非芳香族
の環状構造を形成するZとしては、アシル基、カルバモ
イル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、スル
ホニル基等が好ましく、またR1としては、アシル基、
カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル
基、スルホニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ
基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基等が好ましい。
【0045】次に式(2)で表される化合物について説明
する。式(2)においてR4は置換基を表す。R4で表され
る置換基としては、式(1)のR1〜R3の置換基について
説明したものと同じものが挙げられる。R4で表される
置換基は、好ましくは電子吸引性基またはアリール基で
ある。R4が電子吸引性基を表す時、好ましくは、総炭
素数0〜30の以下の基、即ち、シアノ基、ニトロ基、
アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル基、アリ
ールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリ
ールスルホニル基、カルバモイル基、スルファモイル
基、トリフルオロメチル基、ホスホリル基、イミノ基、
または飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、さらに
シアノ基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニ
ル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルス
ルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロ環基が好ま
しい。特に好ましくはシアノ基、ホルミル基、アシル
基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、または
ヘテロ環基である。
【0046】R4がアリール基を表す時、好ましくは総
炭素数0〜30の、置換もしくは無置換のフェニル基で
あり、置換基としては、式(1)のR1、R2、R3が置換
基を表す時にその置換基として説明したものと同じもの
が挙げられる。R4は、特に好ましくはシアノ基、アル
コキシカルボニル基、カルバモイル基、ヘテロ環基、ま
たは置換もしくは無置換のフェニル基であり、最も好ま
しくはシアノ基、ヘテロ環基、またはアルコキシカルボ
ニル基である。
【0047】次に式(3)で表される化合物について詳し
く説明する。式(3)においてX、Yはそれぞれ独立に水
素原子または置換基を表し、A、Bはそれぞれ独立に、
アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ア
リールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ
環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環アミノ基
を表す。XとY、あるいはAとBは、互いに結合して環
状構造を形成していてもよい。式(3)においてX、Yで
表される置換基としては、式(1)のR1〜R3の置換基に
ついて説明したものと同じものが挙げられる。具体的に
は、アルキル基(パーフルオロアルキル基、トリクロロ
メチル基等を含む)、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲ
ン原子、シアノ基、ニトロ基、アルケニル基、アルキニ
ル基、アシル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、アリールオキシカルボニル基、イミノ基、N原子で
置換したイミノ基、カルバモイル基、チオカルボニル
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、
アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフ
ァモイル基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその
塩)、スルホ基(またはその塩)、ヒドロキシ基(また
はその塩)、メルカプト基(またはその塩)、アルコキ
シ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル
チオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アミノ基、
アルキルアミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、シ
リル基等が挙げられる。
【0048】これらの基はさらに置換基を有していても
よい。またXとYは、互いに結合して環状構造を形成し
ていてもよく、この場合に形成される環状構造として
は、非芳香族の炭素環でも、非芳香族のヘテロ環であっ
てもよい。式(3)においてX、Yで表される置換基は、
好ましくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総炭素
数1〜30の基であり、シアノ基、アルコキシカルボニ
ル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、
イミノ基、N原子で置換したイミノ基、チオカルボニル
基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリー
ルスルホニル基、ニトロ基、パーフルオロアルキル基、
アシル基、ホルミル基、ホスホリル基、アシルアミノ
基、アシルオキシ基、アシルチオ基、ヘテロ環基、アル
キルチオ基、アルコキシ基、またはアリール基等が挙げ
られる。
【0049】式(3)においてX、Yは、より好ましくは
シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバ
モイル基、アシル基、ホルミル基、アシルチオ基、アシ
ルアミノ基、チオカルボニル基、スルファモイル基、ア
ルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、イミノ
基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、トリフ
ルオロメチル基、ヘテロ環基、または置換されたフェニ
ル基等であり、特に好ましくはシアノ基、アルコキシカ
ルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、
アリールスルホニル基、アシル基、アシルチオ基、アシ
ルアミノ基、チオカルボニル基、ホルミル基、イミノ
基、N原子で置換したイミノ基、ヘテロ環基、または任
意の電子吸引性基で置換されたフェニル基等である。X
とYが、互いに結合して非芳香族の炭素環、または非芳
香族のヘテロ環を形成している場合もまた好ましい。こ
の時、形成される環状構造は5員〜7員環が好ましく、
その総炭素数は1〜40、さらには3〜30が好まし
い。環状構造を形成するXおよびYとしては、アシル
基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボ
ニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で置換したイ
ミノ基、アシルアミノ基、カルボニルチオ基等が好まし
い。
【0050】式(3)においてA、Bはそれぞれ独立に、
アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ア
リールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ
環チオ基、ヘテロ環オキシ基、またはヘテロ環アミノ基
を表し、これらは互いに結合して環状構造を形成してい
てもよい。式(3)においてA、Bで表される基は、好ま
しくは総炭素数1〜40の、より好ましくは総炭素数1
〜30の基であり、さらに置換基を有していてもよい。
式(3)においてA、Bは、これらが互いに結合して環状
構造を形成している場合がより好ましい。この時形成さ
れる環状構造は5員〜7員環の非芳香族のヘテロ環が好
ましく、その総炭素数は1〜40、さらには3〜30が
好ましい。この場合に、A,Bが連結した例(−A−B
−)を挙げれば、例えば-O-(CH2)2-O-、-O-(CH2)3-O-、-
S-(CH2)2-S-、-S-(CH2)3-S-、-S-ph-S-、-N(CH3)-(CH2)
2-O-、-N(CH3)-(CH2)2-S-、-O-(CH2)2-S-、-O-(CH2)3-S
-、-N(CH3)-ph-O-、-N(CH3)-ph-S-、-N(ph)-(CH2)2-S-
等である。
【0051】本発明で用いることができる式(1)〜式
(3)で表される化合物は、ハロゲン化銀に対して吸着す
る吸着性の基が組み込まれていてもよい。こうした吸着
基としては、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオ尿
素基、チオアミド基、メルカプト複素環基、トリアゾー
ル基などの米国特許第4,385,108号明細書、同
4,459,347号明細書、特開昭59−19523
3号公報、同59−200231号公報、同59−20
1045号公報、同59−201046号公報、同59
−201047号公報、同59−201048号公報、
同59−201049号公報、特開昭61−17073
3号公報、同61−270744号公報、同62−94
8号公報、同63−234244号公報、同63−23
4245号公報、同63−234246号公報に記載さ
れた基があげられる。またこれらハロゲン化銀への吸着
基は、プレカーサー化されていてもよい。その様なプレ
カーサーとしては、特開平2ー285344号公報に記
載された基が挙げられる。
【0052】本発明で用いることができる式(1)〜式
(3)で表される化合物は、その中にカプラー等の不動性
写真用添加剤において常用されているバラスト基または
ポリマーが組み込まれているものでもよい。特にバラス
ト基が組み込まれているものは本発明の好ましい例の1
つである。バラスト基は8以上の炭素数を有する、写真
性に対して比較的不活性な基であり、例えばアルキル
基、アラルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アルキ
ルフェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基な
どの中から選ぶことができる。またポリマーとしては、
例えば特開平1−100530号公報に記載のものが挙
げられる。本発明で用いることができる式(1)〜式(3)
で表される化合物は、その中にカチオン性基(具体的に
は、4級のアンモニオ基を含む基、または4級化された
窒素原子を含む含窒素ヘテロ環基等)、エチレンオキシ
基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単位を含む
基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、
あるいは塩基により解離しうる解離性基(カルボキシ
基、スルホ基、アシルスルファモイル基、カルバモイル
スルファモイル基等)が含まれていてもよい。特にエチ
レンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基の繰り返し単
位を含む基、あるいは(アルキル,アリール,またはヘ
テロ環)チオ基が含まれているものは、本発明の好まし
い例の1つである。これらの基の具体例としては、例え
ば特開平7−234471号公報、特開平5−3334
66号公報、特開平6−19032号公報、特開平6−
19031号公報、特開平5−45761号公報、米国
特許第4994365号明細書、米国特許第49886
04号明細書、特開平3−259240号公報、特開平
7−5610号公報、特開平7−244348号公報、
独国特許第4006032号明細書等に記載の化合物が
挙げられる。
【0053】式(1)〜式(3)で表される化合物の具体例
を以下に示す。ただし、本発明で使用できる化合物は、
以下の化合物に限定されるものではない。
【0054】
【化4】
【0055】
【化5】
【0056】
【化6】
【0057】
【化7】
【0058】式(1)〜式(3)で表される化合物は、水ま
たは適当な有機溶媒、例えばアルコール類(例えば、メ
タノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコ
ールなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチ
ルケトンなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスル
ホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いること
ができる。また、既によく知られている乳化分散法によ
って、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェー
ト、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレ
ートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなど
の補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製
して用いることができる。あるいは固体分散法として知
られている方法によって、化合物の粉末を水等の適当な
溶媒中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音波に
よって分散し用いることができる。
【0059】式(1)〜式(3)で表される化合物は、支持
体に対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいは
他のどの層に添加してもよいが、画像形成層あるいはそ
れに隣接する層に添加することが好ましい。式(1)〜式
(3)で表される化合物の添加量は、銀1モルに対し1×
10-6〜1モルが好ましく、1×10-5〜5×10-1
ルがより好ましく、2×10-5〜2×10-1モルが最も
好ましい。式(1)〜式(3)で表される化合物は公知の方
法により容易に合成することができるが、例えば、米国
特許第5545515号明細書、米国特許第56353
39号明細書、米国特許第5654130号明細書、国
際公開WO97/34196号公報、あるいは特願平9
−309813号明細書、特願平9−272002号明
細書に記載の方法を参考に合成することができる。
【0060】式(1)〜式(3)で表される化合物は、1種
のみ用いても、2種以上を併用してもよい。また上記の
ものの他に、米国特許第5545515号明細書、米国
特許第5635339号明細書、米国特許第56541
30号明細書、国際公開第WO97/34196号公
報、米国特許第5686228号明細書に記載の化合
物、あるいはまた特願平9−228881号明細書、特
願平9−273935号明細書、特願平9−30981
3号明細書、特願平9−296174号明細書、特願平
9−282564号明細書、特願平9−272002号
明細書、特願平9−272003号明細書、特願平9−
332388号明細書に記載された化合物を併用して用
いてもよい。本発明においては、上記造核剤とヒドラジ
ン誘導体を併用して用いてもよい。その場合には下記の
ヒドラジン誘導体が好ましく用いられる。本発明に好ま
しく用いられるヒドラジン誘導体はまた、下記の特許明
細書に記載された種々の方法により合成することができ
る。
【0061】特公平6-77138号公報に記載の(化1)で表
される化合物で、具体的には同公報3頁、4頁に記載の化
合物。特公平6-93082号公報に記載の一般式(I)で表
される化合物で、具体的には同公報8頁〜18頁に記載の1
〜38の化合物。特開平6-230497号公報に記載の一般式
(4)、一般式(5)および一般式(6)で表される化合
物で、具体的には同公報25頁、26頁に記載の化合物4-1
〜化合物4-10、28頁〜36頁に記載の化合物5-1〜5-42、
および39頁、40頁に記載の化合物6-1〜化合物6-7。特開
平6-289520号公報に記載の一般式(1)および一般式
(2)で表される化合物で、具体的には同公報5頁〜7頁
に記載の化合物1-1)〜1-17)および2-1)。特開平6-31
3936号公報に記載の(化2)および(化3)で表される化
合物で、具体的には同公報6頁〜19頁に記載の化合物。
特開平6-313951号公報に記載の(化1)で表される化合
物で、具体的には同公報3頁〜5頁に記載の化合物。特開
平7-5610号公報に記載の一般式(I)で表される化合物
で、具体的には同公報5頁〜10頁に記載の化合物I-1〜
I-38。特開平7-77783号公報に記載の一般式(II)で表
される化合物で、具体的には同公報10頁〜27頁に記載の
化合物II-1〜II-102。特開平7-104426号公報に記載の一
般式(H)および一般式(Ha)で表される化合物で、
具体的には同公報8頁〜15頁に記載の化合物H-1〜H-4
4。特開平9−22082号公報に記載されたヒドラジ
ン基の近傍にアニオン性基またはヒドラジンの水素原子
と分子内水素結合を形成するノニオン性基を有すること
を特徴とする化合物で、特に一般式(A)、一般式
(B)、一般式(C)、一般式(D)、一般式(E)、
一般式(F)で表される化合物で,具体的には同公報に
記載の化合物N-1〜N-30。特開平9−22082号公報
に記載の一般式(1)で表される化合物で、具体的には
同公報に記載の化合物D-1〜D-55。さらに1991年3月22
日発行の「公知技術(1〜207頁)」(アズテック社刊)の25頁
から34頁に記載の種々のヒドラジン誘導体。特開昭62-8
6354号公報(6頁〜7頁)の化合物D-2およびD-39。
【0062】本発明に好ましく用いられるヒドラジン誘
導体は、適当な有機溶媒、例えばアルコール類(例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化
アルコールなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチ
ルエチルケトンなど)、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用い
ることができる。また、既によく知られている乳化分散
法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォス
フェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチル
フタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノ
ンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物
を作製して用いることができる。あるいは固体分散法と
して知られている方法によって、ヒドラジン誘導体の粉
末を水の中にボールミル、コロイドミル、あるいは超音
波によって分散し用いることができる。
【0063】本発明に好ましく用いられるヒドラジン誘
導体は、支持体に対して画像形成層側の該画像形成層あ
るいは他のバインダー層のどの層に添加してもよいが、
該画像形成層あるいはそれに隣接するバインダー層に添
加することが好ましい。ヒドラジン誘導体の添加量は、
銀1モルに対し1×10-6〜1×10-2モルが好ましく、1×10
-5〜5×10-3モルがより好ましく、2×10-5〜5×10-3
ルが最も好ましい。本発明では超硬調画像形成のため
に、前記の造核剤とともに硬調化促進剤を併用すること
ができる。例えば、米国特許第5,545,505号明
細書に記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM
−5、米国特許第5,545,507号明細書に記載の
ヒドロキサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11、
米国特許第5,545,507号明細書に記載のアクリ
ロニトリル類、具体的にはCN−1〜CN−13、米国
特許第5,558,983号明細書に記載のヒドラジン
化合物、具体的にはCA−1〜CA−6、特開平9−2
97368号公報に記載のオニュ−ム塩類、具体的には
A−1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−1
4などを用いることができる。
【0064】非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀および
バインダーを有する熱現像感光材料において、蟻酸ある
いは蟻酸塩は強いかぶらせ物質となる。本発明では、熱
現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成
層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の含有量が銀1モル
当たり5ミリモル以下、さらには1ミリモル以下である
ことが好ましい。本発明の熱現像画像記録材料には五酸
化二リンが水和してできる酸またはその塩を造核剤と併
用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和して
できる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピ
ロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸
(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)など
である。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和し
てできる酸またはその塩としてはオルトリン酸(塩)、
ヘキサメタリン酸(塩)であり、具体的な塩としてはオ
ルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウ
ム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ア
ンモニウムなどがある。本発明において好ましく用いる
ことができる五酸化二リンが水和してできる酸またはそ
の塩は、少量で所望の効果を発現するという点から画像
形成層あるいはそれに隣接するバインダー層に添加す
る。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使
用量(画像記録材料1m2 当たりの塗布量)としては感
度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100m
g/m2がより好ましい。
【0065】本発明の熱現像画像記録材料は、有機銀塩
のための還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤は、銀
イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機
物質である。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコ
ールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダー
ドフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層
を有する面の銀1モルに対して5〜50モル%含まれる
ことが好ましく、10〜40モル%で含まれることがさ
らに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層を有する面
のいかなる層でもよい。画像形成層以外の層に添加する
場合は銀1モルに対して10〜50モル%の還元剤を使
用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効
に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサー
であってもよい。
【0066】有機銀塩を利用した熱現像感光材料におい
ては広範囲の還元剤が特開昭46-6074号公報、同47-1238
号公報、同47-33621号公報、同49-46427号公報、同49-1
15540号公報、同50-14334号公報、同50-36110号公報、
同50-147711号公報、同51-32632号公報、同51-1023721
号公報、同51-32324号公報、同51-51933号公報、同52-8
4727号公報、同55-108654号公報、同56-146133号公報、
同57-82828号公報、同57-82829号公報、特開平6-3793号
公報、米国特許第3,679,426号明細書、同3,751,252号明
細書、同3,751,255号明細書、同3,761,270号明細書、同
3,782,949号明細書、同3,839,048号明細書、同3,928,68
6号明細書、同5,464,738号明細書、独国特許第2321328
号明細書、欧州特許第692732号などに開示されている。
例えば、フェニルアミドオキシム、2-チエニルアミドオ
キシムおよびp-フェノキシフェニルアミドオキシムなど
のアミドオキシム;例えば4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキ
シベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2'-ビス(ヒ
ドロキシメチル)プロピオニル-β-フェニルヒドラジン
とアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸
アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリ
ヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクト
ンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロ
キノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、
ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル-4-メ
チルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒド
ロキサム酸、p-ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およ
びβ-アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;
アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例え
ば、フェノチアジンと2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホ
ンアミドフェノールなど);エチル-α-シアノ-2-メチル
フェニルアセテート、エチル-α-シアノフェニルアセテ
ートなどのα-シアノフェニル酢酸誘導体;2,2'-ジヒド
ロキシ-1,1'-ビナフチル、6,6'-ジブロモ-2,2'-ジヒド
ロキシ-1,1'-ビナフチルおよびビス(2-ヒドロキシ-1-ナ
フチル)メタンに例示されるようなビス-β-ナフトー
ル;ビス-β-ナフトールと1,3-ジヒドロキシベンゼン誘
導体(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンまたは
2',4'-ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3-
メチル-1-フェニル-5-ピラゾロンなどの、5-ピラゾロ
ン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロ
ジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロ
ジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示される
ようなレダクトン;2,6-ジクロロ-4-ベンゼンスルホン
アミドフェノールおよびp-ベンゼンスルホンアミドフェ
ノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2-フェ
ニルインダン-1,3-ジオンなど;2,2-ジメチル-7-t-ブチ
ル-6-ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6-ジメト
キシ-3,5-ジカルボエトキシ-1,4-ジヒドロピリジンなど
の1,4-ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビ
ス(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルフェニル)メタ
ン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパ
ン、4,4-エチリデン-ビス(2-t-ブチル-6-メチルフェノ
ール)、1,1,-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニ
ル)-3,5,5-トリメチルヘキサンおよび2,2-ビス(3,5-ジ
メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコ
ルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1-アスコルビ
ル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジ
ルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3-
ピラゾリドンおよびある種のインダン-1,3-ジオン;ク
ロマノール(トコフェロールなど)などがある。特に好ま
しい還元剤としては、ビスフェノール、クロマノールで
ある。
【0067】本発明において、還元剤は、水溶液、有機
溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分散物などい
かなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の
微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サ
ンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル
など)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散
助剤を用いてもよい。本発明では、現像促進剤として特
願平11−73951号明細書に記載の式(A)で表さ
れるフェノール誘導体が好ましく用いられる。式(A)
で表されるフェノール誘導体は、上記還元剤と併用する
ことにより強い現像促進効果を示す。具体的には、同明
細書に記載のA−1〜A−54が好ましく用いられる。
式(A)で表されるフェノール誘導体は還元剤に対して
0.01モル%から100モル%の範囲で使用されるこ
とが好ましく、さらには0.1モル%から20モル%の
範囲で使用されることが好ましい。式(A)で表される
フェノール誘導体は支持体に対して画像形成層側の層、
即ち画像形成層あるいはこの層側の他のどの層に添加し
てもよいが、還元剤を含有する層に添加することが好ま
しい。式(A)で表されるフェノール誘導体は、水溶
液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分散
物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散
は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボール
ミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ロー
ラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する
際に分散助剤を用いてもよい。
【0068】画像を向上させる「色調剤」として知られ
る添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。ま
た、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利にな
ることがある。色調剤は画像形成層を有する面に銀1モ
ルあたりの0.1〜50%モルの量含まれることが好ま
しく、0.5〜20%モル含まれることがさらに好まし
い。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように
誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。有
機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の色
調剤が特開昭46-6077号公報、同47-10282号公報、同49-
5019号公報、同49-5020号公報、同49-91215号公報、同4
9-91215号公報、同50-2524号公報、同50-32927号公報、
同50-67132号公報、同50-67641号公報、同50-114217号
公報、同51-3223号公報、同51-27923号公報、同52-1478
8号公報、同52-99813号公報、同53-1020号公報、同53-7
6020号公報、同54-156524号公報、同54-156525号公報、
同61-183642号公報、特開平4-56848号公報、特公昭49-1
0727号公報、同54-20333号公報、米国特許第3,080,254
号明細書、同第3,446,648号明細書、同第3,782,941号明
細書、同第4,123,282号明細書、同4,510,236号明細書、
英国特許第1380795号、ベルギー特許841910号などに開
示されている。色調剤の例は、フタルイミドおよびN-ヒ
ドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン-5
-オン、ならびにキナゾリノン、3-フェニル-2-ピラゾリ
ン-5-オン、1-フェニルウラゾール、キナゾリンおよび
2,4-チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタル
イミド(例えば、N-ヒドロキシ-1,8-ナフタルイミド);
コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオ
ロアセテート);3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、2,
4-ジメルカプトピリミジン、3-メルカプト-4,5-ジフェ
ニル-1,2,4-トリアゾールおよび2,5-ジメルカプト-1,3,
4-チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N-(アミ
ノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N
-ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N-(ジメ
チルアミノメチル)-ナフタレン-2,3-ジカルボキシイミ
ド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウ
ム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N'-ヘキサ
メチレンビス(1-カルバモイル-3,5-ジメチルピラゾー
ル)、1,8-(3,6-ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウム
トリフルオロアセテート)および2-トリブロモメチルス
ルホニル)-(ベンゾチアゾール));ならびに3-エチル-5-
[(3-エチル-2-ベンゾチアゾリニリデン)-1-メチルエチ
リデン]-2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオン;フタラジ
ノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4-(1
-ナフチル)フタラジノン、6-クロロフタラジノン、5,7-
ジメトキシフタラジノンおよび2,3-ジヒドロ-1,4-フタ
ラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘
導体(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロ
フタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組
合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(たとえば、4-(1-
ナフチル)フタラジン、6-クロロフタラジン、5,7-ジメ
トキシフタラジン、6-iso-ブチルフタラジン、6-tert-
ブチルフタラジン、5,7-ジメチルフタラジン、および2,
3-ジヒドロフタラジンなどの誘導体)もしくは金属
塩、;フタラジンおよびその誘導体とフタル酸誘導体
(例えば、フタル酸、4-メチルフタル酸、4-ニトロフタ
ル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合
せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフト
オキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場
でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源として
も機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム
(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムお
よびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機
過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモ
ニウムおよび過酸化水素;1,3-ベンズオキサジン-2,4-
ジオン、8-メチル-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオン
および6-ニトロ-1,3-ベンズオキサジン-2,4-ジオンなど
のベンズオキサジン-2,4-ジオン;ピリミジンおよび不
斉-トリアジン(例えば、2,4-ジヒドロキシピリミジン、
2-ヒドロキシ-4-アミノピリミジンなど)、アザウラシ
ル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6-
ジメルカプト-1,4-ジフェニル-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラ
アザペンタレン、および1,4-ジ(o-クロロフェニル)-3,6
-ジメルカプト-1H,4H-2,3a,5,6a-テトラアザペンタレ
ン)などがある。
【0069】本発明では色調剤として、特願平10−2
13487号明細書に記載の一般式(F)で表されるフ
タラジン誘導体が好ましく用いられる。具体的には同明
細書に記載の、A−1〜A−10が好ましく用いられる
本発明で色調剤を用いる場合、それは、溶液、粉末、固
体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固
体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミ
ル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェ
ットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体
微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0070】本発明の熱現像画像記録材料の熱現像処理
前の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、さら
に好ましくは5.5以下である。その下限には特に制限
はないが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘
導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニ
アなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減
させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発
しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できる
ことから低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、膜
面pHの測定方法は、特願平11−87297号明細書
の[0123]に記載されている。本発明の熱現像画像
記録材料において、ハロゲン化銀乳剤または/および有
機銀塩は、かぶり防止剤、安定剤および安定剤前駆体に
よって、付加的なかぶりの生成に対して更に保護され、
在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化すること
ができる。単独または組合せて使用することができる適
当なかぶり防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国
特許第2,131,038号明細書および同第2,694,716号明細書
に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号明細
書および同第2,444,605号明細書に記載のアザインデ
ン、米国特許第2,728,663号明細書に記載の水銀塩、米
国特許第3,287,135号明細書に記載のウラゾール、米国
特許第3,235,652号明細書に記載のスルホカテコール、
英国特許第623,448号に記載のオキシム、ニトロン、ニ
トロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細書に記
載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号明細書に記載
のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号明
細書および同第2,597,915号明細書に記載のパラジウ
ム、白金および金塩、米国特許第4,108,665号明細書お
よび同第4,442,202号明細書に記載のハロゲン置換有機
化合物、米国特許第4,128,557号明細書および同第4,13
7,079号明細書、同第4,138,365号明細書および同第4,45
9,350号明細書に記載のトリアジンならびに米国特許第
4,411,985号明細書に記載のリン化合物などがある。
【0071】本発明の熱現像画像記録材料は、高感度化
やかぶり防止を目的として安息香酸類を含有してもよ
い。本発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導
体でもよいが、好ましい構造の例としては、米国特許第
4,784,939号明細書、同第4,152,160号明細書、特開平9
-329863号公報、同9−329864号公報、同
9−281637号公報などに記載の化合物が挙げられ
る。安息香酸類は画像記録材料のいかなる部位に添加し
てもよいが、添加層としては感光性層を有する面の層に
添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加するこ
とがさらに好ましい。安息香酸類の添加時期としては塗
布液調製のいかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有
層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時の
いかなる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が
好ましい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微
粒子分散物などいかなる方法で行ってもよい。また、増
感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液
として添加してもよい。安息香酸類の添加量としてはい
かなる量でもよいが、銀1モル当たり1×10-6モル以上2
モル以下が好ましく、1×10-3モル以上0.5モル以下がさ
らに好ましい。
【0072】本発明を実施するために必要ではないが、
乳剤層にかぶり防止剤として水銀(II)塩を加えることが
有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、
酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀
の添加量としては、塗布された銀1モル当たり好ましく
は1×10-9モル〜1×10-3モル、さらに好ましくは1×10
-8モル〜1×10-4モルの範囲である。本発明で特に好ま
しく用いられるかぶり防止剤は有機ハロゲン化物であ
り、例えば、特開昭50-119624号公報、同50-120328号公
報、同51-121332号公報、同54-58022号公報、同56-7054
3号公報、同56-99335号公報、同59-90842号公報、同61-
129642号公報、同62-129845号公報、特開平6-208191号
公報、同7-5621号公報、同7-2781号公報、同8-15809号
公報、米国特許第5,340,712号明細書、同5,369,000号明
細書、同5,464,737号明細書に開示されているような化
合物が挙げられる。特願平11−87297号明細書に
記載の式(P)で表される親水性有機ハロゲン化物がか
ぶり防止剤として好ましく用いられる。具体的には、同
明細書に記載の(P−1)〜(P−118)が好ましく
用いられる。有機ハロゲン化物の添加量は、Ag1mol
に対するmol量(mol/molAg)で示して、好ましくは1×
10-5〜2mol/molAg、より好ましくは5×10-5〜1
mol/molAg、さらに好ましくは1×10-4〜5×10-1
mol/molAgである。これらは1種のみを用いても2種以
上を併用しても良い。
【0073】また、特願平11−87297号明細書に
記載の式(Z)で表されるサリチル酸誘導体がかぶり防
止剤として好ましく用いられる。具体的には、同明細書
に記載の(A−1)〜(A−60)が好ましく用いられ
る。式(Z)で表されるサリチル酸誘導体の添加量は、
Ag1molに対するmol量(mol/molAg)で示して、好ま
しくは1×10-5〜5×10-1mol/molAg、より好まし
くは5×10-5〜1×10-1mol/molAg、さらに好まし
くは1×10-4〜5×10-2mol/molAgである。これら
は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。本発
明に用いられるかぶり防止剤は、水あるいは適当な有機
溶媒、例えばアルコール類(例えば、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、フッ素化アルコールなど)、ケ
トン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、
ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチル
セルソルブなどに溶解して用いることができる。また、
既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフ
タレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルト
リアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイ
ル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用
いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いること
ができる。あるいは固体分散法として知られている方法
によって、粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、
サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロ
フルイダイザーあるいは超音波によって分散し用いるこ
とができる。
【0074】かぶり防止剤は、支持体に対して画像形成
層側の層、即ち画像形成層あるいはこの層側の他のどの
層に添加してもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接
する層に添加することが好ましい。画像形成層は還元可
能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であり、好ましくは
さらに感光性ハロゲン化銀を含有する感光性層であるこ
とが好ましい。本発明の熱現像画像記録材料には現像を
抑制あるいは促進して現像を制御するため、分光増感効
率を向上させるため、現像前後の保存性を向上させるた
めなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオ
ン化合物を含有させることができる。本発明にメルカプ
ト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでもよい
が、Ar-SM、Ar-S-S-Arで表されるものが好ましい。式
中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは
1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテル
リウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好
ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイ
ミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベ
ンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナ
ゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾ
ール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テ
トラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピ
ラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノ
ンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例え
ば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、
アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1
〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例えば、
1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を
有するもの)およびアリール(置換基を有していてもよ
い)からなる置換基群から選択されるものを有してもよ
い。メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2-メ
ルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズオキ
サゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプ
ト-5-メチルベンズイミダゾール、6-エトキシ-2-メルカ
プトベンゾチアゾール、2,2'-ジチオビス-(ベンゾチア
ゾール)、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジフ
ェニル-2-イミダゾールチオール、2-メルカプトイミダ
ゾール、1-エチル-2-メルカプトベンズイミダゾール、2
-メルカプトキノリン、8-メルカプトプリン、2-メルカ
プト-4(3H)-キナゾリノン、7-トリフルオロメチル-4-キ
ノリンチオール、2,3,5,6-テトラクロロ-4-ピリジンチ
オール、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-メルカプトピリミジ
ンモノヒドレート、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チア
ジアゾール、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾー
ル、4-ヒドキロシ-2-メルカプトピリミジン、2-メルカ
プトピリミジン、4,6-ジアミノ-2-メルカプトピリミジ
ン、2-メルカプト-4-メチルピリミジンヒドロクロリ
ド、3-メルカプト-5-フェニル-1,2,4-トリアゾール、1-
フェニル-5-メルカプトテトラゾール、3-(5-メルカプト
テトラゾール)-ベンゼンスルフォン酸ナトリウム、N-メ
チル-N'-[3-(5-メルカプトテトラゾリル)フェニル]ウレ
ア、2-メルカプト-4-フェニルオキサゾールなどが挙げ
られるが、本発明はこれらに限定されない。これらのメ
ルカプト化合物の添加量としては乳剤層中に銀1モル当
たり0.0001〜1.0モルの範囲が好ましく、さらに好まし
くは、銀の1モル当たり0.001〜0.3モルの量である。
【0075】本発明の熱現像画像記録材料において用い
るバインダーとしては以下に述べるポリマーラテックス
を用いることが好ましい。本発明の熱現像画像記録材料
の画像形成層のうち少なくとも1層は以下に述べるポリ
マーラテックスを全バインダーの50重量%以上として用
いた画像形成層であることが好ましい(以降この画像形
成層を「本発明における画像形成層」、バインダーに用
いるポリマーラテックスを「本発明で用いるポリマーラ
テックス」と表す。)。また、ポリマーラテックスは画
像形成層だけではなく、保護層やバック層に用いてもよ
く、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現
像画像記録材料を用いる場合には、保護層やバック層に
もポリマーラテックスを用いることが好ましい。ただし
ここで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水性
ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散し
たものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に
乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散
されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的
な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいず
れでもよい。なお本発明で用いるポリマーラテックスに
ついては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編
集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの
応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、
高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学
(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載さ
れている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ま
しくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒
径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つ
ものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0076】本発明で用いるポリマーラテックスとして
は通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆる
コア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアと
シェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合があ
る。本発明の熱現像画像記録材料におけるバインダーと
して好ましく用いるポリマーラテックスのガラス転移温
度(Tg)は保護層、バック層と画像形成層とでは好ま
しい範囲が異なる。画像形成層にあっては熱現像時に写
真有用素材の拡散を促すため、-30〜40℃であることが
好ましい。保護層やバック層に用いる場合には種々の機
器と接触するために25〜70℃のガラス転移温度が好まし
い。本発明で用いるポリマーラテックスの最低造膜温度
(MFT)は-30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が
好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜
助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポ
リマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合
物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの
化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載さ
れている。
【0077】本発明で用いるポリマーラテックスに用い
られるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹
脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマ
ーとしては直鎖のポリマーでも分枝鎖のポリマーでも、
また架橋されたポリマーでもよい。またポリマーとして
は単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも
よいし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも
よい。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロ
ックコポリマーでもよい。ポリマーの分子量は数平均分
子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が
好ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学
強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好
ましくない。本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層
のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具
体例としては以下のようなものがある。メチルメタクリ
レート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマー
のラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキ
シルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリ
マーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベ
ンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチル
メタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーの
ラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/ア
クリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックス
など。また、このようなポリマーは市販もされていて、
以下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹
脂の例として、セビアンA-4635,46583、4601(以上ダイ
セル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、82
0、857(以上日本ゼオン(株)製)など、ポリエステル樹
脂としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日
本インキ化学(株)製)、WD-size、WMS(以上イーストマ
ンケミカル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN
AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)な
ど、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307B、4700
H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、Nipol Lx41
6、410、438C、2507、(以上日本ゼオン(株)製)など、
塩化ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン
(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L51
3(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7020、D504、D507
1(以上三井東圧(株)製)など、オレフィン樹脂としては
ケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)な
どを挙げることができる。これらのポリマーは単独で用
いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用い
てもよい。
【0078】本発明における画像形成層は全バインダー
の50重量%以上として上記ポリマーラテックスが好まし
く用いられるが、70重量%以上として上記ポリマーラテ
ックスが用いられることがさらに好ましい。本発明にお
ける画像形成層には必要に応じて全バインダーの50重量
%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロースなどの親水性ポリマーを添加してもよい。これら
の親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダー
の30重量%以下、さらには15重量%以下が好ましい。本発
明における画像形成層は、水系の塗布液を塗布後乾燥し
て調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水
系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60重量%以上が水であ
ることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアルコー
ル、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチ
ルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルムアミ
ド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いること
ができる。具体的な溶媒組成の例としては以下のような
ものがある。水/メタノール=90/10、水/メタノール=
70/30、水/エタノール=90/10、水/イソプロパノー
ル=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メ
タノール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メタ
ノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5。(ただし数字
は重量%を表す。)
【0079】さらに、保護層用のバインダーとして、特
願平11−6872号明細書の段落番号[0025]〜
[0029]に記載の有機概念図に基づく無機性値を有
機性値で割ったI/O値の異なるポリマーラテックスの
組み合わせを好ましく用いることができる。それぞれの
層には、特願平10−199626号明細書の段落番号
[0023]〜[0041]に記載の官能基を導入した
第一のポリマーラテックスとこの第一のポリマーラテッ
クスと反応しうる官能基を有する架橋剤及び/または第
二のポリマーラテックスを用いて形成させることもでき
る。官能基の具体例としては、カルボキシル基、ヒドロ
キシル基、イソシアネート基、エポキシ基、N−メチロ
ール基、オキサゾリニル基など、架橋剤としては、エポ
キシ化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシア
ネート化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ化合物、
カルボキシル化合物、アミノ化合物、エチレンイミン化
合物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物などから選ば
れる。架橋剤の具体例として、イソシアネート化合物:
ヘキサメチレンイソシアネート、デュラネートWB40
−80D、WX−1741(旭化成工業(株)製)、バ
イヒジュール3100(住友バイエルウレタン(株)
製)、タケネートWD725(武田薬品工業(株)
製)、アクアネート100、200(日本ポリウレタン
(株)製)、特開平9−160172号公報に記載の水
分散型ポリイソシアネート、アミノ化合物:スミテック
スレジンM−3(住友化学工業(株)製)、エポキシ化
合物:デナコールEX−614B(ナガセ化成工業
(株)製)、ハロゲン化合物:2,4ジクロロ−6−ヒ
ドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウムなどが挙
げられる。
【0080】本発明における画像形成層用の全バインダ
ー量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1.0〜1
5g/m2の範囲が好ましい。本発明における保護層用の
全バインダー量は0.2〜10.0g/m2、より好まし
くは0.5〜6.0g/m2の範囲が好ましい。本発明に
おけるバック層用の全バインダー量は0.01〜10.
0g/m2、より好ましくは0.05〜5.0g/m2の範囲
が好ましい。これらの各層は、2層以上設けられる場合
がある。画像形成層が2層以上である場合は、すべての
層のバインダーとしてポリマーラテックスを用いること
が好ましい。また、保護層は画像形成層上に設けられる
層であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1
層、特に最外層の保護層にポリマーラテックスが用いら
れることが好ましい。また、バック層は支持体バック面
の下塗り層の上部に設けられる層であり2層以上存在す
る場合もあるが、少なくとも1層、特に最外層のバック
層にポリマーラテックスを用いることが好ましい。本発
明における画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性
改良のための界面活性剤などを添加してもよい。
【0081】本発明で用いる滑り剤の種類は特に制限は
なく、物体表面に存在させた時に、存在させない場合に
比べて物体表面の摩擦係数を減少させる化合物であれば
いずれでもよい。本発明に用いられる滑り剤の例として
は、特開平11−84573号公報の段落番号[006
1]〜[0064]、特願平11−106881号明細
書の段落番号[0049]〜[0062]に記載の化合
物である。好ましい滑り剤の具体例としては、セロゾー
ル524(主成分カルナバワックス)、ポリロンA,3
93,H−481(主成分ポリエチレンワックス)、ハ
イミクロンG−110(主成分エチレンビスステアリン
酸アマイド)、ハイミクロンG−270(主成分ステア
リン酸アマイド)(以上、中京油脂(株)製)、または W−1 C1633−O−SO3Na W−2 C1837−O−SO3Na で表される化合物などがある。滑り剤の使用量は添加層
のバインダー量の0.1〜50重量%であり、好ましく
は0.5〜30重量%である。
【0082】本発明の熱現像画像記録材料を熱現像処理
する場合において、特願平10−346561号明細
書、特願平11−106881号明細書に記載されるよ
うな、予備加熱部分は対向ローラーで熱現像画像記録材
料を搬送し、熱現像処理部は画像形成層を有する側をロ
ーラーの駆動により、その反対側のバック面を平滑面に
滑らせて搬送する熱現像処理装置を用いる場合は、現像
処理温度における熱現像画像記録材料の画像形成層を有
する側の最表面層とバック面の最表面層との摩擦係数の
比は、1.5以上であり、その上限に特に制限はない
が、30程度である。また、μbは1.0以下、好まし
くは0.8〜0.05である。この値は、下記の式によ
って求められる。摩擦係数の比=熱現像機のローラー部
材と画像形成層を有する面との動摩擦係数(μe )/熱
現像機の平滑面部材とバック面との動摩擦係数(μb )
本発明において熱現像処理温度での熱現像処理機部材と
画像形成層を有する面および/またはその反対面の最表
面層の滑り性は、最表面層に滑り剤を含有させ、その添
加量を変えて調整することができる。
【0083】本発明の熱現像画像記録材料の支持体の両
面には、特開昭64−20544号公報、特開平1−1
80537号公報、特開平1−209443号公報、特
開平1−285939号公報、特開平1−296243
号公報、特開平2−24649号公報、特開平2−24
648号公報、特開平2−184844号公報、特開平
3−109545号公報、特開平3−137637号公
報、特開平3−141346号公報、特開平3−141
347号公報、特開平4−96055号公報、米国特許
第4645731号明細書、特開平4−68344号公
報、特許第2557641号P2右欄20行目〜P3右
欄30行目、特願平10−221039号明細書の段落
番号[0020]〜[0037]、特願平11−106
881号明細書の段落番号[0063]〜[0080]
に記載の塩化ビニリデン単量体の繰り返し単位を70重
量%以上含有する塩化ビニリデン共重合体を含む下塗り
層を設けることが好ましい。
【0084】塩化ビニリデン単量体が70重量%未満の
場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過
における寸法変化が大きくなってしまう。また、塩化ビ
ニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構
成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体
の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような構成
繰り返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみで
は、重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を
塗設する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポ
リマー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル
単量体が不可欠であるからである。本発明で用いる塩化
ビニリデン共重合体の分子量は、重量平均分子量で4500
0以下、さらには10000以上45000以下が好ましい。分子
量が大きくなると塩化ビニリデン共重合体層とポリエス
テル等の支持体層との接着性が悪化してしまう。
【0085】塩化ビニリデン共重合体の含有量は、塩化
ビニリデン共重合体を含有する下塗り層の片面当たりの
合計膜厚として0.3μm 以上であり、好ましくは0.
3μm 以上4μm 以下の範囲である。なお、下塗り層と
しての塩化ビニリデン共重合体層は、支持体に直接設層
される下塗り層第1層として設けることが好ましく、通
常は片面ごとに1層ずつ設けられるが、場合によっては
2層以上設けてもよい。2層以上の多層構成とするとき
は、塩化ビニリデン共重合体量が合計で所望の範囲とな
るようにすればよい。このような層には塩化ビニリデン
共重合体のほか、架橋剤やマット剤などを含有させても
よい。
【0086】支持体は必要に応じて塩化ビニリデン共重
合体層のほか、SBR、ポリエステル、ゼラチン等をバ
インダーとする下塗り層を塗布してもよい。これらの下
塗り層は多層構成としてもよく、また支持体に対して片
面または両面に設けてもよい。下塗り層の一般的厚み
(1層当たり)は0.01〜5μm 、より好ましくは
0.05〜1μmである。本発明の熱現像画像記録材料
には、種々の支持体を用いることができる。典型的な支
持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナ
フタレートなどのポリエステル、硝酸セルロース、セル
ロースエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタク
チックポリスチレン、ポリカーボネート、両面がポリエ
チレンで被覆された紙支持体などを含む。このうち二軸
延伸したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレー
ト(PET)は強度、寸法安定性、耐薬品性などの点か
ら好ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベース厚
みで90〜180μm であることが好ましい。
【0087】本発明の熱現像画像記録材料に用いる支持
体は、特開平10−48772号公報、特開平10−0
48772号公報、特開平10−010676号公報、
特開平10−010677号公報、特願平9−2251
31号明細書、特願平9−308898号明細書に記載
の二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和さ
せ、熱現像中に発生する熱収縮歪みをなくすために、1
30〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステ
ル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いら
れる。このような熱処理後における支持体の120℃
30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が−0.
03%〜+0.01%、横方向(TD)が0〜0.04
%であることが好ましい。
【0088】本発明の熱現像画像記録材料には、ゴミ付
着の減少、スタチックマーク発生防止、自動搬送工程で
の搬送不良防止などの目的で、特開平11−84573
号公報の段落番号[0040]〜[0051]に記載の
導電性金属酸化物及び/またはフッ素系界面活性剤を用
いて帯電防止することができる。導電性金属酸化物とし
ては、米国特許第5575957号公報、特願平10−
041302号明細書の段落番号[0012]〜[00
20]に記載のアンチモンでドーピングされた針状導電
性酸化錫、特開平4−29134号公報に記載のアンチ
モンでドーピングされた繊維状酸化錫が好ましく用いら
れる。金属酸化物含有層の表面比抵抗(表面抵抗率)は
25℃20%RHの雰囲気下で1012Ω以下、好ましく
は1011Ω以下がよい。これにより良好な帯電防止性が
得られる。このときの表面抵抗率の下限は特に制限され
ないが、通常107Ω程度である。
【0089】本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層
を有する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも
一方、好ましくは両方のベック平滑度は、2000秒以
下であり、より好ましくは10秒〜2000秒である。
本発明におけるベック平滑度は、日本工業規格(JI
S)P8119「紙および板紙のベック試験器による平
滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により
容易に求めることができる。熱現像画像記録材料の画像
形成層を有する面の最外層およびその反対面の最外層の
ベック平滑度は、特開平11−84573号公報の段落
番号[0052]〜[0059]に記載の如く、前記両
面の層に含有させるマット剤の粒径&添加量を適宜変化
させることによってコントロールすることができる。本
発明において、下塗層及び/又はバック層は特開平11
−84573号公報の段落番号[0204]〜[020
8]、特願平11−106881号明細書の段落番号
[0240]〜[0241]に記載の如くハレーション
防止の目的で、染料を含有することができる。
【0090】本発明の熱現像画像記録材料は好ましく
は、感光性ハロゲン化銀を含有する。本発明に用いるこ
とのできる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として
特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化
銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができる。粒子内におけ
るハロゲン組成の分布は均一であってもよく、ハロゲン
組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続
的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を
有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができ
る。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好まし
くは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることがで
きる。また塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を
局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0091】感光性ハロゲン化銀の形成方法は当業界で
はよく知られており例えば、リサーチディスクロージャ
ー1978年6月の第17029号、および米国特許第3,700,458
号明細書に記載されている方法を用いることができる
が、具体的にはゼラチンあるいは他のポリマー溶液中に
銀供給化合物及びハロゲン供給化合物を添加することに
より感光性ハロゲン化銀を調製し、その後で有機銀塩と
混合する方法を用いる。感光性ハロゲン化銀の粒子サイ
ズは、画像形成後の白濁を低く抑える目的のために小さ
いことが好ましく具体的には0.20μm以下、より好まし
くは0.01μm以上0.15μm以下、更に好ましくは0.02μm
以上0.12μm以下がよい。ここでいう粒子サイズとは、
ハロゲン化銀粒子が立方体あるいは八面体のいわゆる正
常晶である場合にはハロゲン化銀粒子の稜の長さをい
う。また、ハロゲン化銀粒子が平板状粒子である場合に
は主表面の投影面積と同面積の円像に換算したときの直
径をいう。その他正常晶でない場合、たとえば球状粒
子、棒状粒子等の場合には、ハロゲン化銀粒子の体積と
同等な球を考えたときの直径をいう。
【0092】ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、
八面体、平板状粒子、球状粒子、棒状粒子、ジャガイモ
状粒子等を挙げることができるが、本発明においては特
に立方体状粒子、平板状粒子が好ましい。平板状ハロゲ
ン化銀粒子を用いる場合の平均アスペクト比は好ましく
は100:1〜2:1、より好ましくは50:1〜3:1がよい。更
に、ハロゲン化銀粒子のコーナーが丸まった粒子も好ま
しく用いることができる。感光性ハロゲン化銀粒子の外
表面の面指数(ミラー指数)については特に制限はない
が、分光増感色素が吸着した場合の分光増感効率が高い
[100]面の占める割合が高いことが好ましい。その割合
としては50%以上が好ましく、65%以上がより好ましく、
80%以上が更に好ましい。ミラー指数[100]面の比率は増
感色素の吸着における[111]面と[100]面との吸着依存性
を利用したT.Tani;J.Imaging Sci.,29.165(1985年)に記
載の方法により求めることができる。本発明で用いる感
光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表の第VIII族の金属ま
たは金属錯体を含有することが好ましい。周期律表の第
VIII族の金属または金属錯体の中心金属として好ましく
はロジウム、ルテニウム、オスミウム、イリジウムであ
る。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び
異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含
有率は銀1モルに対し1×10-9モルから1×10-3
ルの範囲が好ましく、1×10-8モルから1×10-4
ルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造とし
ては特開平7-225449号公報等に記載された構造の金属錯
体を用いることができる。
【0093】本発明に用いられるロジウム化合物として
は、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。たと
えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、またはロジ
ウム錯塩で配位子としてハロゲン、アミン類、オキザラ
ト等を持つもの、たとえば、ヘキサクロロロジウム(II
I)錯塩、ペンタクロロアコロジウム(III)錯塩、テト
ラクロロジアコロジウム(III)錯塩、ヘキサブロモロ
ジウム(III)錯塩、ヘキサアンミンロジウム(III)錯
塩、トリオキザラトロジウム(III)錯塩等が挙げられ
る。これらのロジウム化合物は、水あるいは適当な溶媒
に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定
化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハ
ロゲン化水素水溶液(たとえば塩酸、臭酸、フッ酸
等)、あるいはハロゲン化アルカリ(たとえばKCl、NaC
l、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができ
る。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製
時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲ
ン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
【0094】これらのロジウム化合物の添加量はハロゲ
ン化銀1モル当り1×10-8モル〜5×10-4モルの範
囲が好ましく、特に好ましくは5×10-8モル〜1×1
-5 モルである。これらの化合物の添加は、ハロゲン化
銀乳剤粒子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階に
おいて適宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加
し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好まし
い。
【0095】本発明に用いられるルテニウム、オスミウ
ムは特開昭63-2042号公報、特開平1-285941号公報、同2-2
0852号公報、同2-20855号公報等に記載された水溶性錯塩
の形で添加される。特に好ましいものとして、以下の式
で示される六配位錯体が挙げられる。 [ML6n- ここでMはRuまたはOsを表し、Lは配位子を表し、
nは0、1、2、3または4を表す。この場合、対イオ
ンは重要性を持たず、アンモニウムもしくはアルカリ金
属イオンが用いられる。また好ましい配位子としてはハ
ロゲン化物配位子、シアン化物配位子、シアン酸化物配
位子、ニトロシル配位子、チオニトロシル配位子等が挙
げられる。以下に本発明に用いられる具体的錯体の例を
示すが、これらに限定されるものではない。
【0096】 [RuCl6]3- [RuCl4(H2O)2]- [RuCl5(H2O)]2- [RuCl5(NO)]2- [RuBr5(NS)]2- [Ru(CO)3Cl3]2- [Ru(CO)Cl5]2- [Ru(CO)Br5]2- [OsCl6]3- [OsCl5(NO)]2- [Os(NO)(CN)5]2- [Os(NS)Br5]2- [Os(O)2(CN)4]4-
【0097】これらの化合物の添加量はハロゲン化銀1
モル当り1×10-9モル〜1×10-4モルの範囲が好ま
しく、特に好ましくは1×10-8モル〜1×10-5モル
である。これらの化合物の添加は、ハロゲン化銀乳剤粒
子の製造時および乳剤を塗布する前の各段階において適
宜行うことができるが、特に乳剤形成時に添加し、ハロ
ゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましい。これら
の化合物をハロゲン化銀の粒子形成中に添加してハロゲ
ン化銀粒子中に組み込むには、金属錯体の粉末もしくは
NaCl、KClと一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水
溶性塩または水溶性ハライド溶液中に添加しておく方
法、あるいは銀塩とハライド溶液が同時に混合されると
き第3の溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロ
ゲン化銀粒子を調製する方法、あるいは粒子形成中に必
要量の金属錯体の水溶液を反応容器に投入する方法など
がある。特に粉末もしくはNaCl、KClと一緒に溶解した
水溶液を、水溶性ハライド溶液に添加する方法が好まし
い。粒子表面に添加するには、粒子形成直後または物理
熟成時途中もしくは終了時または化学熟成時に必要量の
金属錯体の水溶液を反応容器に投入することもできる。
【0098】本発明においては、イリジウム化合物とし
て種々のものを使用できるが、例えばヘキサクロロイリ
ジウム、ヘキサアンミンイリジウム、トリオキザラトイ
リジウム、ヘキサシアノイリジウム、ペンタクロロニト
ロシルイリジウム等が挙げられる。これらのイリジウム
化合物は、水あるいは適当な溶媒に溶解して用いられる
が、イリジウム化合物の溶液を安定化させるために一般
によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液
(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、あるいはハロゲン化
アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する
方法を用いることができる。水溶性イリジウムを用いる
代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめイリジウム
をドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解
させることも可能である。さらに本発明に用いられるハ
ロゲン化銀粒子に、コバルト、鉄、レニウム、ニッケ
ル、クロム、パラジウム、白金、金、タリウム、銅、
鉛、等の金属原子を含有してもよい。コバルト、鉄、ク
ロムの化合物については六シアノ金属錯体を好ましく用
いることができる。具体例としては、フェリシアン酸イ
オン、フェロシアン酸イオン、ヘキサシアノコバルト酸
イオン、ヘキサシアノクロム酸イオン、ヘキサシアノル
テニウム酸イオンなどが挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。ハロゲン化銀中の金属錯体の含有相
は均一でも、コア部に高濃度に含有させてもよく、ある
いはシェル部に高濃度に含有させてもよく特に制限はな
い。上記金属はハロゲン化銀1モルあたり1×10-9
1×10-4モルが好ましい。また、上記金属を含有せし
めるには単塩、複塩、または錯塩の形の金属塩にして粒
子調製時に添加することができる。
【0099】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フ
ロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水
洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩
してもしなくてもよい。本発明で用いるハロゲン化銀乳
剤に金増感を施す場合に用いられる金増感剤としては、
金の酸化数が+1価でも+3価でもよく、金増感剤として通
常用いられる金化合物を用いることができる。代表的な
例としては塩化金酸、カリウムクロロオーレート、オー
リックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネ
ート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリ
ックアシド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリ
ジルトリクロロゴールドなどがあげられる。金増感剤の
添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロ
ゲン化銀1モル当たり10-7モル以上10-3モル以下、
より好ましくは10-6モル以上5×10-4以下である。
【0100】本発明で用いるハロゲン化銀乳剤は金増感
と他の化学増感とを併用することが好ましい。他の化学
増感の方法としては、硫黄増感法、セレン増感法、テル
ル増感法、貴金属増感法などの既知の方法を用いること
ができる。金増感法と組み合わせて使用する場合には、
例えば、硫黄増感法と金増感法、セレン増感法と金増感
法、硫黄増感法とセレン増感法と金増感法、硫黄増感法
とテルル増感法と金増感法、硫黄増感法とセレン増感法
とテルル増感法と金増感法などが好ましい。本発明に好
ましく用いられる硫黄増感は、通常、硫黄増感剤を添加
して、40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌すること
により行われる。硫黄増感剤としては公知の化合物を使
用することができ、例えば、ゼラチン中に含まれる硫黄
化合物のほか、種々の硫黄化合物、例えばチオ硫酸塩、
チオ尿素類、チアゾール類、ローダニン類等を用いるこ
とができる。好ましい硫黄化合物は、チオ硫酸塩、チオ
尿素化合物である。硫黄増感剤の添加量は、化学熟成時
のpH、温度、ハロゲン化銀粒子の大きさなどの種々の
条件の下で変化するが、ハロゲン化銀1モル当り10-7
〜10-2モルであり、より好ましくは10-5〜10-3
ルである。
【0101】本発明に用いられるセレン増感剤として
は、公知のセレン化合物を用いることができる。すなわ
ち、通常、不安定型および/または非不安定型セレン化
合物を添加して40℃以上の高温で乳剤を一定時間攪拌
することにより行われる。不安定型セレン化合物として
は特公昭44-15748号公報、同43-13489号公報、特開平4-25
832号公報、同4-109240号公報、同3-121798号公報等に記
載の化合物を用いることができる。特に特開平4-324855
号公報中の一般式(VIII) および(IX)で示される化合物
を用いることが好ましい。本発明に用いられるテルル増
感剤は、ハロゲン化銀粒子表面または内部に、増感核に
なると推定されるテルル化銀を生成させる化合物であ
る。ハロゲン化銀乳剤中のテルル化銀生成速度について
は特開平5-313284号公報に記載の方法で試験することが
できる。テルル増感剤としては例えばジアシルテルリド
類、ビス(オキシカルボニル)テルリド類、ビス(カルバ
モイル)テルリド類、ジアシルテルリド類、ビス(オキシ
カルボニル)ジテルリド類、ビス(カルバモイル)ジテル
リド類、P=Te結合を有する化合物、テルロカルボン酸塩
類、Te−オルガニルテルロカルボン酸エステル類、ジ
(ポリ)テルリド類、テルリド類、テルロール類、テルロ
アセタール類、テルロスルホナート類、P-Te結合を有す
る化合物、含Teヘテロ環類、テルロカルボニル化合
物、無機テルル化合物、コロイド状テルルなどを用いる
ことができる。具体的には、米国特許第1,623,499号明
細書、同第3,320,069号明細書、同第3,772,031号明細書、
英国特許第235,211号、同第1,121,496号、同第1,295,462
号、同第1,396,696号、カナダ特許第800,958号、特開平4-
204640号公報、同3-53693号公報、同3-131598号公報、同4-
129787号公報、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイア
ティー・ケミカル・コミュニケーション(J.Chem.Soc.C
hem.Commun.) 635(1980),ibid 1102(1979),ibid 645(1
979)、ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサイアティー・
パーキン・トランザクション(J.Chem.Soc.Perkin.Tran
s.) 1,2191(1980)、S.パタイ(S.Patai) 編、ザ・ケミス
トリー・オブ・オーガニック・セレニウム・アンド・テ
ルリウム・カンパウンズ(The Chemistry of Organic S
erenium and Tellunium Compounds),Vol 1(1986)、同 V
ol 2(1987)に記載の化合物を用いることができる。特に
特開平5-313284号公報中の一般式(II),(III),(IV)で
示される化合物が好ましい。
【0102】本発明で用いられるセレンおよびテルル増
感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子、化学熟成
条件等によって変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当
たり10-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3
ル程度を用いる。本発明における化学増感の条件として
は特に制限はないが、pHとしては5〜8、pAgとし
ては6〜11、好ましくは7〜10であり、温度として
は40〜95℃、好ましくは45〜85℃である。本発
明に用いるハロゲン化銀乳剤にはハロゲン化銀粒子の形
成または物理熟成の過程においてカドミウム塩、亜硫酸
塩、鉛塩、タリウム塩などを共存させてもよい。本発明
においては、還元増感を用いることができる。還元増感
法の具体的な化合物としてはアスコルビン酸、二酸化チ
オ尿素の他に例えば、塩化第一スズ、アミノイミノメタ
ンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シ
ラン化合物、ポリアミン化合物等を用いることができ
る。また、乳剤のpHを7以上またはpAgを8.3以下に保持
して熟成することにより還元増感することができる。ま
た、粒子形成中に銀イオンのシングルアディション部分
を導入することにより還元増感することができる。本発
明で用いるハロゲン化銀乳剤は、欧州特許293,917号に
示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加して
もよい。本発明の熱現像画像記録材料中のハロゲン化銀
乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均
粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、
晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用
してもよい。
【0103】感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機
銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01モル以上0.5
モル以下が好ましく、0.02モル以上0.3モル以下がより
好ましく、0.03モル以上0.25モル以下が特に好ましい。
別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方
法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロ
ゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サ
ンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等
で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれ
かのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混
合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効
果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。本発
明においては増感色素を用いることができる。増感色素
としてはハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領
域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので有ればい
かなるものでもよい。増感色素としては、シアニン色
素、メロシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、
コンプレックスメロシアニン色素、ホロホーラーシアニ
ン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、オキソノー
ル色素、ヘミオキソノール色素等を用いることができ
る。本発明に使用される有用な増感色素は例えばRESEAR
CH DISCLOSURE Item17643IV-A項(1978年12月p.23)、同I
tem1831X項(1979年8月p.437)に記載もしくは引用された
文献に記載されている。特に各種レーザーイメージャ
ー、スキャナー、イメージセッターや製版カメラの光源
の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に
選択することができる。
【0104】赤色光への分光増感の例としては、He-Ne
レーザー、赤色半導体レーザーやLEDなどのいわゆる赤
色光源に対しては、特開昭54-18726号公報に記載のI-1
からI-38の化合物、特開平6-75322号公報に記載のI-1
からI-35の化合物および特開平7-287338号公報に記載
のI-1からI-34の化合物、特公昭55-39818号公報に記
載の色素1から20、特開昭62-284343号公報に記載のI-1
からI-37の化合物および特開平7-287338号公報に記載
のI-1からI-34の化合物などが有利に選択される。750
〜1400nmの波長領域の半導体レーザー光源に対しては、
シアニン、メロシアニン、スチリル、ヘミシアニン、オ
キソノール、ヘミオキソノールおよびキサンテン色素を
含む種々の既知の色素により、スペクトル的に有利に増
感させることができる。有用なシアニン色素は、例え
ば、チアゾリン核、オキサゾリン核、ピロリン核、ピリ
ジン核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール
核およびイミダゾール核などの塩基性核を有するシアニ
ン色素である。有用なメロシアニン染料で好ましいもの
は、上記の塩基性核に加えて、チオヒダントイン核、ロ
ーダニン核、オキサゾリジンジオン核、チアゾリンジオ
ン核、バルビツール酸核、チアゾリノン核、マロノニト
リル核およびピラゾロン核などの酸性核も含む。上記の
シアニンおよびメロシアニン色素において、イミノ基ま
たはカルボキシル基を有するものが特に効果的である。
例えば、米国特許3,761,279号明細書、同3,719,495号明
細書、同3,877,943号明細書、英国特許1,466,201号、同
1,469,117号、同1,422,057号、特公平3-10391号公報、
同6-52387号公報、特開平5-341432号公報、同6-194781
号公報、同6-301141号公報に記載されたような既知の色
素から適当に選択してよい。
【0105】本発明に用いられる色素の構造として特に
好ましいものは、チオエーテル結合含有置換基を有する
シアニン色素(例としては特開昭62-58239号公報、同3-1
38638号公報、同3-138642号公報、同4-255840号公報、
同5-72659号公報、同5-72661号公報、同6-222491号公
報、同2-230506号公報、同6-258757号公報、同6-317868
号公報、同6-324425号公報、特表平7-500926号公報、米
国特許5,541,054号明細書に記載された色素) 、カルボ
ン酸基を有する色素(例としては特開平3-163440号公
報、同6-301141号公報、米国特許第5,441,899号明細書
に記載された色素)、メロシアニン色素、多核メロシア
ニン色素や多核シアニン色素(特開昭47-6329号公報、同
49-105524号公報、同51-127719号公報、同52-80829号公
報、同54-61517号公報、同59-214846号公報、同60-6750
号公報、同63-159841号公報、特開平6-35109号公報、同
6-59381号公報、同7-146537号公報、同7-146537号公
報、特表平55-50111号公報、英国特許第1,467,638号、
米国特許第5,281,515号明細書に記載された色素)が挙げ
られる。また、J-bandを形成する色素として、米国特許
第5,510,236号明細書、同第3,871,887号明細書の実施例
5に記載の色素、特開平2-96131号公報、特開昭59-48753
号公報に開示されている色素があり、これらの色素を本
発明に好ましく用いることができる。
【0106】これらの増感色素は単独に用いてもよく、
2種以上組合せて用いてもよい。増感色素の組合せは特
に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増感色素と
ともに、それ自身分光増感作用をもたない色素あるいは
可視光を実質的に吸収しない物質であって、強色増感を
示す物質を乳剤中に含んでもよい。有用な増感色素、強
色増感を示す色素の組合せ及び強色増感を示す物質はRe
search Disclosure 176巻17643(1978年12月発行)第23頁
IVのJ項、あるいは特公昭49-25500号公報、同43-4933号
公報、特開昭59-19032号公報、同59-192242号公報等に
記載されている。増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加
させるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、
あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、
アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3-テトラフルオロ
プロパノール、2,2,2-トリフルオロエタノール、3-メト
キシ-1-プロパノール、3-メトキシ-1-ブタノール、1-メ
トキシ-2-プロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド等
の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加し
てもよい。
【0107】また、米国特許3,469,987号明細書等に開
示されているように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解
し、この溶液を水または親水性コロイド中に分散し、こ
の分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44-23389号公
報、同44-27555号公報、同57-22091号公報等に開示され
ているように、色素を酸に溶解し、この溶液を乳剤中に
添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液として乳
剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号明細書、
同4,006,025号明細書等に開示されているように界面活
性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物とした
ものを乳剤中に添加する方法、特開昭53-102733号公
報、同58-105141号公報に開示されているように親水性
コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中
に添加する方法、特開昭51-74624号公報に開示されてい
るように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶
解し、この溶液を乳剤中へ添加する方法を用いることも
できる。また、溶解に超音波を用いることもできる。
【0108】増感色素をハロゲン化銀乳剤中に添加する
時期は、これまで有用であることが認められている乳剤
調製のいかなる工程中であってもよい。例えば米国特許
第2,735,766号明細書、同第3,628,960号明細書、同4,18
3,756号明細書、同第4,225,666号明細書、特開昭58-184
142号公報、同60-196749号公報等の明細書に開示されて
いるように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/およ
び脱塩前の時期、脱塩工程中および/または脱塩後から
化学熟成の開始前までの時期、特開昭58-113920号公報
等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前ま
たは工程中の時期、化学熟成後、塗布までの時期の乳剤
が塗布される前ならばいかなる時期、工程において添加
されてもよい。また、米国特許4,225,666号明細書、特
開昭58-7629号公報等の明細書に開示されているよう
に、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組
み合わせて、例えば粒子形成工程中と化学熟成工程中ま
たは化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または
工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加しても
よく、分割して添加する化合物および化合物の組み合わ
せの種類を変えて添加してもよい。
【0109】本発明における増感色素の使用量としては
感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、
感光性層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ま
しく、10-4〜10-1モルがさらに好ましい。本発明の熱現
像画像記録材料の熱現像処理前の膜面pHは6以下であ
ることが保存時のカブリを低減させる上で好ましく、特
に5.5以下、さらに好ましくは5.3以下である。そ
の下限には特に制限はないが、3程度である。膜面pH
の調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮
発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いること
が、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特
にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像さ
れる前に除去できることから低膜面pHを達成する上で
好ましい。
【0110】なお、本発明の熱現像画像記録材料の膜面
pHを測定する場合には、熱現像処理前の熱現像画像記
録材料2.5cm×2.5cmを舟形に折り、その画像
形成層側に300μlの蒸留水を滴下し、30分静置し
た後に、その滴下液をpHBOY−P2(新電元工業株
式会社製、半導体方式のpH計)にて1分間測定するこ
とが好ましい。本発明の熱現像画像記録材料の感光性層
には、可塑剤および潤滑剤として多価アルコール(例え
ば、米国特許第2,960,404号明細書に記載された種類の
グリセリンおよびジオール)、米国特許第2,588,765号お
よび同第3,121,060号に記載の脂肪酸またはエステル、
英国特許第955,061号に記載のシリコーン樹脂などを用
いることができる。本発明における画像形成層もしくは
画像形成層の保護層には、米国特許第3,253,921号明細
書、同第2,274,782号明細書、同第2,527,583号明細書お
よび同第2,956,879号明細書に記載されているような光
吸収物質およびフィルター染料を含む写真要素において
使用することができる。また、例えば米国特許第3,282,
699号明細書に記載のように染料を媒染することができ
る。フィルター染料の使用量としては露光波長での吸光
度が0.1〜3が好ましく、0.2〜1.5が特に好ましい。
【0111】本発明の熱現像画像記録材料の感光性層に
は色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染料
や顔料を用いることができる。本発明の熱現像画像記録
材料の感光性層に用いる染料および顔料はいかなるもの
でもよいが、例えばカラーインデックス記載の顔料や染
料があり、具体的にはピラゾロアゾール染料、アントラ
キノン染料、アゾ染料、アゾメチン染料、オキソノール
染料、カルボシアニン染料、スチリル染料、トリフェニ
ルメタン染料、インドアニリン染料、インドフェノール
染料、フタロシアニンをはじめとする有機顔料、無機顔
料などが挙げられる。本発明に用いられる好ましい染料
としてはアントラキノン染料(例えば特開平5-341441号
公報に記載の化合物1〜9、特開平5-165147号公報に記載
の化合物3-6〜18および3-23〜38など)、アゾメチン染料
(特開平5-341441号公報に記載の化合物17〜47など)、イ
ンドアニリン染料(例えば特開平5-289227号公報に記載
の化合物11〜19、特開平5-341441号公報に記載の化合物
47、特開平5-165147号公報に記載の化合物2-10〜11な
ど)およびアゾ染料(特開平5-341441号公報に記載の化合
物10〜16)が挙げられる。これらの染料の添加法として
は、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に
媒染された状態などいかなる方法でもよい。これらの化
合物の使用量は目的の吸収量によって決められるが、一
般的に1m2当たり1×10-6g以上1g以下の範囲で用いるこ
とが好ましい。
【0112】本発明の熱現像画像記録材料は、支持体の
一方の側に少なくとも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感
光性層を有し、他方の側にバック層を有する、いわゆる
片面感光材料であっても、支持体を挟んで両側に少なく
とも1層のハロゲン化銀乳剤を含む感光性層を有する、
いわゆる両面感光材料であってもよい。本発明において
バック層は、所望の範囲での最大吸収が約0.3以上2.0以
下であることが好ましい。所望の範囲が750〜1400nmで
ある場合には、750〜360nmにおいての光学濃度が0.005
以上0.5未満であることが好ましく、さらに好ましくは
0.001以上0.3未満の光学濃度を有するハレーション防止
層であることが好ましい。所望の範囲が750nm以下であ
る場合には、画像形成前の所望範囲の最大吸収が0.3以
上2.0以下であり、さらに画像形成後の360〜750nmの光
学濃度が0.005以上0.3未満になるようなハレーション防
止層であることが好ましい。画像形成後の光学濃度を上
記の範囲に下げる方法としては特に制限はないが、例え
ばベルギー特許第733,706号に記載されたように染料に
よる濃度を加熱による消色で低下させる方法、特開昭54
-17833号公報に記載の光照射による消色で濃度を低下さ
せる方法等が挙げられる。
【0113】本発明でハレーション防止染料を使用する
場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後
に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ま
しい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合
物でもよい。例えば以下に挙げるものが開示されている
が本発明はこれに限定されるものではない。単独の染料
としては特開昭59-56458号公報、特開平2-216140号公
報、同7-13295号公報、同7-11432号公報、米国特許第5,
380,635号明細書に記載の染料、特開平2-68539号公報第
13頁左下欄1行目から同第14頁左下欄9行目、同3-24539
号公報第14頁左下欄から同第16頁右下欄記載の化合物が
あり、処理で消色する染料としては特開昭52-139136号
公報、同53-132334号公報、同56-501480号公報、同57-1
6060号公報、同57-68831号公報、同57-101835号公報、
同59-182436号公報、特開平7-36145号公報、同7-199409
号公報、特公昭48-33692号公報、同50-16648号公報、特
公平2-41734号公報、米国特許第4,088,497号明細書、同
4,283,487号明細書、同4,548,896号明細書、同5,187,04
9号明細書がある。
【0114】本発明の熱現像画像記録材料の感光性層、
保護層、バック層など各層には硬膜剤を用いてもよい。
硬膜剤の例としては、米国特許第4,281,060号明細書、
特開平6-208193号公報などに記載されているポリイソシ
アネート類、米国特許第4,791,042号明細書などに記載
されているエポキシ化合物類、特開昭62-89048号公報な
どに記載されているビニルスルホン系化合物類などが用
いられる。本発明には塗布性、帯電改良などを目的とし
て界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤の例として
は、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、フッ素系な
どいかなるものも適宜用いられる。具体的には、特開昭
62-170950号公報、米国特許第5,380,644号明細書などに
記載のフッ素系高分子界面活性剤、特開昭60-244945号
公報、特開昭63-188135号公報などに記載のフッ素系界
面活性剤、米国特許3,885,965号明細書などに記載のポ
リシロキサン系界面活性剤、特開平6-301140号公報など
に記載のポリアルキレンオキサイドやアニオン系界面活
性剤などが挙げられる。
【0115】本発明の熱現像画像記録材料は、帯電防止
のため、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩な
ど)、蒸着金属層、米国特許第2,861,056号明細書および
同第3,206,312号明細書に記載のようなイオン性ポリマ
ーまたは米国特許第3,428,451号明細書に記載のような
不溶性無機塩、特開昭60-252349号公報、同57-104931号
公報に記載されている酸化スズ微粒子などを含む層を有
してもよい。本発明の熱現像画像記録材料を用いてカラ
ー画像を得る方法としては特開平7-13295号公報10頁左
欄43行目から11左欄40行目に記載の方法がある。また、
カラー染料画像の安定剤としては英国特許第1,326,889
号、米国特許第3,432,300号明細書、同第3,698,909号明
細書、同第3,574,627号明細書、同第3,573,050号明細
書、同第3,764,337号明細書および同第4,042,394号明細
書に例示されている。本発明の熱現像画像記録材料の中
に追加の層、例えば移動染料画像を受容するための染料
受容層、反射印刷が望まれる場合の不透明化層、保護ト
ップコート層および光熱写真技術において既知のプライ
マー層などを含むことができる。本発明の画像記録材料
はその画像記録材料一枚のみで画像形成できることが好
ましく、受像層等の画像形成に必要な機能性層が別の画
像記録材料とならないことが好ましい。
【0116】本発明において、像様露光に用いられる露
光装置は露光時間が10-7秒未満の露光が可能な装置で
あればいずれでもよいが、一般的にはLaser Diode(L
D)、Light Emitting Diode(LED)を光源に使用
した露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出
力、高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的
波長範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができ
るものであればいずれでもよい。例えばLDであれば、
色素レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レ
ーザーなどを用いることができる。露光は光源の光ビー
ムをオーバーラップさせて露光し、オーバーラップとは
副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オー
バーラップとは例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅
(FWHM)で表わしたときFWHM/副走査ピッチ幅
(オーバーラップ係数)で定量的に表現することがで
きる。本発明ではこのオーバラップ係数が0.2以上で
あることが好ましい。本発明に使用する露光装置の光源
の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒
内面走査方式、平面走査方式などを用いることができ
る。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチ
チャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチ
チャンネルが好ましく用いられる。
【0117】本発明の熱現像画像記録材料は露光時のヘ
イズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干
渉縞発生防止技術としては、特開平5-113548号公報など
に開示されているレーザー光を感光材料に対して斜めに
入光させる技術や、国際公開第WO95/31754号公報など
に開示されているマルチモードレーザーを利用する方法
が知られており、これらの技術を用いることが好まし
い。本発明の熱現像画像記録材料の画像形成方法の加熱
現像工程はいかなる方法で現像されてもよいが、通常イ
メージワイズに露光した画像記録材料を昇温して現像さ
れる。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱
現像画像記録をヒートローラーやヒートドラムなどの熱
源に接触させるタイプとして特公平5-56499号公報、特
許公報第684453号、特開平9-292695号公報、特開平9-29
7385号公報および国際公開第WO95/30934号公報に記載
の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7-13294号
公報、国際公開第WO97/28489号公報、同97/28488号公
報および同97/28487号公報に記載の熱現像機がある。特
に好ましい態様としては非接触型の熱現像機である。好
ましい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好ま
しくは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が
好ましく、10〜90秒がさらに好ましい。本発明の熱現像
画像記録材料の熱現像時の寸法変化による処理ムラを防
止する方法として、80℃以上115℃未満の温度で画像が
出ないようにして5秒以上加熱した後、110℃以上140℃
以下で熱現像して画像形成させる方法(いわゆる多段階
加熱方法)が有効である。
【0118】本発明の熱現像画像記録材料の熱現像処理
に用いられる熱現像機の一構成例を図4に示す。図4は熱
現像機の側面図を示したものである。図4の熱現像機は
熱現像画像記録材料50を平面状に矯正及び予備加熱し
ながら加熱部に搬入する搬入ローラー対51(下部ロー
ラーがヒートローラー)と熱現像後の熱現像後の熱現像
画像記録材料50を平面状に矯正しながら加熱部から搬
出する搬出ローラー対52を有する。熱現像画像記録材
料50は搬入ローラー対51から搬出ローラー対52へ
と搬送される間に熱現像される。この熱現像中の熱現像
画像記録材料50を搬送する搬送手段は画像形成層を有
する面が接触する側に複数のローラー53が設置され、
その反対側のバック面が接触する側には不織布(たとえ
ばポリフェニレンサルファイトやテフロンから成る)等
が貼り合わされた平滑面54が設置される。熱現像画像
記録材料50は画像形成層を有する面に接触する複数の
ローラー53の駆動により、バック面は平滑面54の上
を滑って搬送される。加熱手段はローラー53の上部及
び平滑面54の下部に熱現像画像記録材料50の両面か
ら加熱されるように加熱ヒーター55が設置される。こ
の場合の加熱手段としては板状ヒーター等が挙げられ
る。ローラー53と平滑面54とのクリアランスは平滑
面の部材により異なるが、熱現像画像記録材料50が搬
送できるクリアランスに適宜調整される。好ましくは0
〜1mmである。
【0119】ローラー53の表面の材質及び平滑面54
の部材は、高温耐久性があり、熱現像画像記録材料50
の搬送に支障がなければ何でも良いが、ローラー表面の
材質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミド
またはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加
熱手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温
度を自由に設定することが好ましい。なお、熱現像処理
部の上流の予備加熱部は、熱現像温度よりも低く(例え
ば10〜30℃程度程度低く)、熱現像画像記録材料中
の水分量を蒸発させるのに十分な温度および時間に設定
することが望ましく、熱現像画像記録材料50の支持体
のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラ
が出ないように設定することが好ましい。
【0120】また、熱現像処理部の下流にはガイド板5
6が設置され、さらに、徐冷部が設置される。ガイド板
は熱伝導率の低い素材が好ましく、熱現像画像記録材料
に変形が起こらないようにするために冷却は徐々に行う
のが好ましい。以上、図示例に従って説明したが、これ
に限らず、例えば特開平7-13294号公報に記載のものな
ど、本発明の実施に用いられる熱現像機は種々の構成の
ものであってもよい。また、本発明において好ましく用
いられる多段加熱方法の場合は、上述のような装置にお
いて、加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的
に異なる温度で加熱するようにすればよい。本発明の好
ましい態様においては、画像形成層及び保護層に加え
て、必要に応じて中間層を設けてもよいが、生産性の向
上などを目的として、これらの複数の層を水系において
同時重層塗布する。塗布方式はエクストルージョン塗
布、スライドビード塗布、カーテン塗布などがあるが、
特願平10−292849号の明細書中の図1で開示さ
れているスライドビード塗布方式が特に好ましい。
【0121】ゼラチンを主バインダーとして用いるハロ
ゲン化銀写真感光材料の場合では、コーティング台の下
流に設けられている第一乾燥ゾーンで急冷され、その結
果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗布膜は冷却固化され
る。冷却固化されて流動の止まった塗布膜は続く第二乾
燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥ゾーンで塗布液中の
溶媒が揮発され、成膜される。第二乾燥ゾーン以降の乾
燥方式としては、U字型のダクトからローラー支持され
た支持体に噴流を吹き付けるエアーループ方式や円筒状
のダクトに支持体をつるまき状に巻き付けて搬送乾燥す
る、つるまき方式(エアーフローティング方式)などが
挙げられる。バインダーの主成分がポリマーラテックス
である塗布液では、急冷では塗布液の流動を停止させる
ことができないため、第一乾燥ゾーンのみでは予備乾燥
が不十分である場合もある。この場合は、ハロゲン化銀
写真感光材料のような乾燥方式では流れムラや乾燥ムラ
が生じ、塗布面状に重大な欠陥を生じやすい。
【0122】本発明における好ましい乾燥方式は、特願
平10−292849号明細書に記載されているような
第一乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも
恒率乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥さ
せる方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれ
るまでの支持体の搬送は、水平搬送であってもなくても
どちらでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり
角度としては0〜70°の間にあればよい。また、水平
乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平方向に対して上
下に±15°以内に搬送されればよく、水平搬送を意味
するものではない。本明細書における恒率乾燥とは、液
膜温度が一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に使用さ
れる乾燥過程を意味する。減率乾燥とは、乾燥末期にな
ると種々の要因(水分移動の材料内部拡散が律速にな
る、蒸発表面の後退など)により乾燥速度が低下し、与
えられた熱は液膜温度上昇にも使用される乾燥過程を意
味する。恒率過程から減率過程に移行する限界含水率は
200〜300%である。恒率乾燥が終了する時には、
流動が停止するまで十分乾燥が進むため、ハロゲン化銀
写真感光材料のような乾燥方式も採用することができる
が、本発明においては恒率乾燥後も最終的な乾燥点まで
水平乾燥ゾーンで乾燥させることが好ましい。
【0123】本発明における好ましい乾燥条件は、画像
形成層および/または保護層を形成する時の乾燥条件
が、恒率乾燥時の液膜表面温度が用いられるポリマーラ
テックスの最低造膜温度(MTF;通常ポリマーのTgより
3〜5℃高い)以上で、通常は製造設備の制限より25
℃〜40℃である場合が多い。また、減率乾燥時の乾球
温度は用いる支持体のTg未満の温度(PETの場合通
常80℃以下)が好ましい。本明細書における液膜表面
温度とは、支持体に塗布された塗布液膜の溶媒液膜表面
温度を言い、乾球温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を
意味する。恒率乾燥時の液膜表面温度が低くなる条件で
乾燥した場合、乾燥が不十分となりやすい。このため特
に保護層の造膜性が著しく低下し、膜表面に亀裂が生じ
やすくなる。また、膜強度も弱くなり、露光機や熱現像
機での搬送中に傷がつきやすくなるなどの重大な問題が
生じやすくなる。
【0124】一方、高い液膜表面温度となる条件で乾燥
した場合、主としてポリマーラテックスから構成される
保護層が速やかに皮膜を形成し、一方画像形成層などの
下層は流動性が停止していないので、表面の凹凸が発生
しやすくなる。また、支持体(ベース)にガラス転移温
度よりも高い過剰の熱がかかると、感光材料の寸度安定
性、耐巻き癖性も悪くなる傾向にある。下層を塗布乾燥
してから上層を塗布する逐次塗布においても同様である
が、特に、下層の乾燥前に上層を塗布して、両層を同時
に乾燥する同時重層塗布を行うための塗布液物性として
は、画像形成層の塗布液と保護層の塗布液のpH差が
2.5以下であることが好ましく、このpH差は小さい
程好ましい。塗布液のpH差が大きくなると塗布液界面
でミクロな凝集が生じやすくなり、長尺連続塗布時に塗
布筋などの重大な面状故障が発生しやすくなる。画像形
成層の塗布液粘度は25℃で15〜100cpが好まし
く、さらに好ましくは30〜70cpである。一方、保
護層の塗布液粘度は25℃で5〜75cpが好ましく、
さらに好ましくは20〜50cpである。これらの粘度
はB型粘度計によって測定される。
【0125】乾燥後の巻取りは温度20〜30℃、相対
湿度45±20%の条件下で行うことが好ましく、巻姿
はその後の加工形態に合わせEm面を外または内を選択
できる。なお、感材の包袋湿度20〜55%(25℃測
定)の範囲で制御されることが好ましい。本発明におい
て塗布液の脱泡は、塗布液を塗布される前に減圧脱気
し、更に1.5kg/cm2以上の加圧状態に保ち、かつ気液界
面が生じないようにして連続的に送液しながら超音波振
動を与える方式が好ましい。具体的には、特公昭55−
6405号公報(4頁20行から7頁11行)に記載さ
れている方式が好ましい。例えば、こうのような脱泡を
行う装置としては、特願平10−290003号明細書
の実施例図3に示される構成のものがある。従来から用
いられているハロゲン化銀を含みゼラチンを基体とする
粘性液である写真乳剤塗布液は、通常加圧送液するだけ
で気泡が液中に溶解、消滅してしまい、塗布時大気圧下
に戻されても気泡が析出するようなことはほとんどな
い。ところが、本実施態様で用いる有機銀塩を含み、チ
キソトロピー性を有する塗布液の場合は、加圧送液だけ
では脱泡が不十分であり、気液界面が生じないようにし
て送液しながら超音波振動を与え脱泡することが必要で
ある。
【0126】加圧条件として1.5kg/cm2以上、好まし
くは1.8kg/cm2以上である。その上限に特に制限はな
いが、通常5kg/cm2程度である。与えられる超音波の音
圧は0.2V以上、好ましくは0.5V以上3.0V以
下であり、一般的に音圧は高い方が好ましいが、音圧が
高すぎるとキャピテーションにより部分的に高温状態に
なりカブリの発生原因となる。周波数は特に制約はない
が、通常10kHz以上、好ましくは20kHz〜20
0kHzである。なお、減圧脱気は、タンク内(通常、
調液タンクもしくは貯蔵タンク)を密閉減圧し、塗布液
中の気泡径を増大させ、浮力をかせぎ脱気させることを
指し、減圧脱気の際の減圧条件は−200mmHgない
しそれより低い圧力条件、好ましくは−250mmHg
ないしそれより低い圧力条件とし、その最も低い圧力条
件は特に制限はないが通常−800mmHg程度であ
る。減圧時間は30分以上、好ましくは45分以上、そ
の上限は特に制限はない。以下に実施例をもって本発明
の効果を説明するが、本発明はこれに限定されるもので
はない。
【0127】
【実施例】<実施例1> 《有機酸銀分散物Aの調製》ヘンケル社製ベヘン酸(製
品名EdenorC22-85R)876g、蒸留水4230
ml、5N−NaOH水溶液492ml、tert−ブチルアルコ
ール1200mlを混合し、75℃にて1時間攪拌し反
応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀
404gを含む水溶液(pH4.0)2062mlを用
意し、10℃にて保温した。6350mlの蒸留水と3
00mlのtert-ブチルアルコールを入れた反応容器を
30℃に保温し、攪拌しながら先のベヘン酸ナトリウム
溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ
62分10秒と60分かけて添加した。この時、硝酸銀
水溶液添加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添
加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を
添加開始し、硝酸銀水溶液添加終了後9分30秒間はベ
ヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。
【0128】このとき、反応容器内の温度は30℃と
し、液温度が上がらないようにコントロールした。ま
た、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチー
ムトレースにより保温し、添加ノズル先端の出口の液温
度が75℃になるようにスチーム量をコントロールし
た。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外
側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナ
トリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は攪
拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触
しないような高さに調節した。ベヘン酸ナトリウム溶液
を添加終了後、そのままの温度で20分間攪拌放置し、
25℃に降温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別
し、固形分を濾水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗
した。こうして得られた固形分は、乾燥させないでウエ
ットケーキとして保管した。得られたベヘン酸銀の粒子
の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均投
影面積径0.52μm、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当
径の変動係数15%の鱗片状の結晶であった。
【0129】つぎに、以下の方法でベヘン酸銀の分散物
を作成した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキ
に対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA-217,平均
重合度:約1700)7.4gおよび水を添加し、全体量を
3850gとしてからホモミキサーにて予備分散した。
次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフ
ルイダイザーM−110S−EH、マイクロフルイデッ
クス・インターナショナル・コーポレーション製、G1
0Zインタラクションチャンバー使用)の圧力を175
0kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物を
得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチ
ャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節するこ
とで所望の分散温度に設定した。こうして得たベヘン酸
銀分散物に含まれるベヘン酸銀粒子は体積加重平均直径
0.52μm、変動係数15%の粒子で、粘度は18mPa・s
であった。粒子サイズ#の測定は、Malvern Instruments
Ltd.製MasterSizerXにて行った。また電子顕微鏡撮影
により評価すると、長辺と短辺の比が1.5、粒子厚み0.1
4μm、平均アスペクト比(粒子の投影面積の円相当径と
粒子厚みの比)が5.1であった。
【0130】《有機酸銀分散物Bの調製》図3に示すよ
うな小型晶析設備を使って分散物Bを調製した。タンク
32の中でヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor
C22−85R)876g、蒸留水4,230ml、t
ert−ブタノール1,200mlを75℃で撹拌しな
がら5N−NaOH水溶液492mlを5分かけて添加
した後に60分間反応させてベヘン酸ナトリウム溶液を
得た。また、タンク31の中に硝酸銀404gの水溶液
(pH4.0)2,062mlを用意し、10℃に保温し
た。図3中38に示すみづほ工業(株)製パイプライン
ミキサーLR−I型を10,000rpmで撹拌しなが
ら、先の硝酸銀水溶液を29cc/分の一定流量で添加
し、5秒経過後、次いでベヘン酸ナトリウム溶液を98
cc/分の一定流量で添加し、熱交換器39を介してタ
ンク40にストックした。ただし、熱交換器への冷却水
の供給は停止し、タンク40のジャケットへは10℃の
冷却水を20L/分で供給したところ、タンク内の平均
温度は35℃であった。そのまま20分間撹拌しながら
放置し、25℃に降温した。その後、吸引濾過で固形分
を濾別し、固形分を透過水の伝導度が30μS/cmに
なるまで水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥さ
せないでウエットケーキとして保管した。その後は、有
機酸銀分散物Aと同様に分散して有機酸銀分散物Bを得
た。
【0131】《有機酸銀分散物Cの調製》図3に示すよ
うな小型晶析設備を使って分散物Cを調製した。タンク
32の中でヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor
C22−85R)876g、蒸留水4,230ml、t
ert−ブタノール1,200mlを75℃で撹拌しな
がら5N−NaOH水溶液492mlを5分かけて添加
した後に60分間反応させてベヘン酸ナトリウム溶液を
得た。また、タンク31の中に硝酸銀404gの水溶液
(pH4.0)2,062mlとタンク41の中に純水
6,000mlを用意し、10℃に保温した。図3中3
8に示すみづほ工業(株)製パイプラインミキサーLR
−I型を10,000rpmで撹拌しながら、先の硝酸
銀水溶液を29cc/分、純水を98cc/分の一定流量
で添加し、5秒経過後、次いでベヘン酸ナトリウム溶液
を98cc/分の一定流量で添加し、熱交換器39を介
してタンク40にストックした。ただし、熱交換器への
冷却水の供給は停止し、タンク40のジャケットへは1
0℃の冷却水を20L/分で供給したところ、タンク内
の平均温度は30℃であった。そのまま20分間撹拌し
ながら放置し、25℃に降温した。その後、吸引濾過で
固形分を濾別し、固形分を透過水の伝導度が30μS/
cmになるまで水洗した。こうして得られた固形分は、
乾燥させないでウエットケーキとして保管した。その後
は、有機酸銀分散物Aと同様に分散して有機酸銀分散物
Cを得た。
【0132】《有機酸銀分散物Dの調製》上記分散物C
と同様に調製した。ただし、タンク41には4vol%
のtert−ブタノール水溶液6,000mlを用意し
て98cc/分の一定流量で添加した。
【0133】《有機酸銀分散物Eの調製》図2に示すよ
うな小型晶析設備を使って分散物Eを調製した。タンク
12の中でヘンケル社製ベヘン酸(製品名Edenor
C22−85R)876g、蒸留水4,230ml、t
ert−ブタノール1,200mlを75℃で撹拌しな
がら5N−NaOH水溶液492mlを5分かけて添加
した後に60分間反応させてベヘン酸ナトリウム溶液を
得た。また、タンク11の中に硝酸銀404gの水溶液
(pH4.0)2,062mlを用意し、10℃に保温し
た。さらに、タンク20の中には6,000mlの純水
を計り込み、ポンプ17経由、1,000cc/分の流速
で循環した。図2中18に示すみづほ工業(株)製パイ
プラインミキサーLR−I型を10,000rpmで撹
拌しながら、先の硝酸銀水溶液を29cc/分の一定流
量で添加し、5秒経過後、次いでベヘン酸ナトリウム溶
液を98cc/分の一定流量で添加し、熱交換器19を
介してタンク20にストックした。ここで、熱交換器お
よびタンク20のジャケットへは10℃の冷却水を20
L/分で供給したところ、タンク内の平均温度は30℃
であった。そのまま20分間撹拌しながら放置し、25
℃に降温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固
形分を透過水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗
した。こうして得られた固形分は、乾燥させないでウエ
ットケーキとして保管した。その後は、有機酸銀分散物
Aと同様に分散して有機酸銀分散物Eを得た。
【0134】《有機酸銀分散物Fの調製》上記分散物B
と同様に調製した。ただし、熱交換器39に5℃の冷却
水を通水したところ、タンク40内の平均温度は30℃
であった。
【0135】《有機酸銀分散物Gの調製》上記分散物E
と同様に調製した。ただし、熱交換器19に5℃の冷却
水を通水したところ、タンク20内の平均温度は25℃
であった。こうして得られた分散物A〜Gの調製条件、
及び平均粒子径、粘度などの物理性を表1に示す。
【0136】
【表1】
【0137】《ハロゲン化銀乳剤の調製》 (乳剤A)水700mlにアルカリ処理ゼラチン(カルシウ
ム含有量として2700ppm以下)11gおよび臭化カリウム30
mg、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mgを溶解して
温度40℃にてpHを5.0に合わせた後、硝酸銀18.6gを含む
水溶液159mlと臭化カリウムを1モル/リットル(NH4
2RhCl5(H2O)を5×10-6モル/リットル及びK3
IrCl6を2×10-5モル/リットルで含む水溶液をpAg
7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で6分30
秒間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.5gを含む水溶
液476mlと臭化カリウムを1モル/リットル及びK3IrC
6を2×10-5 モル/リットルで含むハロゲン塩水溶液を
pAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で28
分30秒間かけて添加した。その後pHを下げて凝集沈降さ
せて脱塩処理をし、化合物Aを0.17g、平均分子量1万
5千の低分子量ゼラチン(カルシウム含有量として20pp
m以下)51.1g加え、pH5.9、pAg8.0に調製した。得られ
た粒子は平均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9
%、(100)面比率90%の立方体粒子であった。こうして得
たハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1モル当たりベ
ンゼンチオスルホン酸ナトリウム76μモルを添加し、3
分後にトリエチルチオ尿素71μモルを添加して、100分
熟成し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,
7−テトラザインデンを5×10-4モル加えた後、40℃に
降温させた。その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化銀
1モルに対して4.7×10-2モルのKBr、12.8×10-4モル
の下記増感色素A、6.4×10-3モルの化合物Bを攪拌し
ながら添加し、20分後に30℃に急冷してハロゲン化銀乳
剤Aの調製を終了した。
【0138】
【化8】
【0139】《1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフ
ェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン:還元剤固体微粒子
分散物の調製》1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフ
ェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン25gに対してクラレ
(株)製MPポリマーのMP-203の20%水溶液を25g、日信化
学(株)製サフィノール104Eを0.1g、メタノール2gと水
48ml添加してよく撹拌して、スラリーとして3時間放置
した。その後、1mmのジルコニアビーズを360g用意して
スラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4Gサン
ドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて3時間
分散し還元剤固体微粒子分散物を調製した。粒子径は、
粒子の80重量%が0.3μm以上1.0μm以下であった。
【0140】《ポリハロゲン化合物の固体微粒子分散物
の調製》ポリハロゲン化合物−Aの30gに対してクラレ
(株)製MPポリマーのMP-203を4g、化合物C0.25g
と、水66gを添加しよく撹拌し、その後0.5mmのジルコニ
アシリケートビーズを200g用意してスラリーと一緒にベ
ッセルに入れ、分散機(1/16Gサンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて5時間分散し、固体微
粒子分散物を調製した。粒子径は、粒子の80重量%が0.3
μm以上1.0μm以下であった。ポリハロゲン化合物−B
についてもポリハロゲン化合物−Aと同様に固体微粒子
分散物を調製し、同様な粒子径となった。
【0141】《造核剤の固体微粒子分散物の調製》表2
に記載の造核剤10g(造核剤62の化学構造は本明細書
中上記の通り、造核剤Aの化学構造は下記の通り)に対
して、ポリビニルアルコール(クラレ製PVA-217)2.5
g、水87.5gを添加しよく攪拌してスラリーとして3時間
放置した。その後、0.5mmのジルコニアビーズを240g用
意してスラリーと一緒にベッセルに入れ、分散機(1/4G
サンドグラインダーミル:アイメックス(株)製)にて
10時間分散し、固体微粒子分散物を調製した。粒子径
は、粒子の80重量%が0.1μm以上1.0μm以下で、平均
粒径0.5μmであった。
【0142】《化合物Zの固体微粒子分散物の調製》化
合物Zの30gに対して、クラレ(株)製MPポリマーのM
P-203を3gと水87ml添加してよく攪拌して、スラリーと
して3時間放置した。その後、上記還元剤固体微粒子分
散物の調製と同様にして、化合物Zの固体微粒子分散物
を調製した。粒子径は、粒子の80wt%が0.3μm以上1.0
μm以下であった。
【0143】《乳剤層塗布液の調製》上記で作成した有
機酸銀分散物A〜Gの銀1モルに対して、以下のバイン
ダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水
を加えて、乳剤層塗布液とした(使用した有機酸銀分散
物の種類は表2に示す)。完成後、減圧脱気を-350mmHg
で60分間行った。塗布液のpHは7.7、粘度は25℃
で45cpであった。
【0144】 バインダー;ラックスター3307B 固形分として397g (大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃) 1,1-ビス(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルヘキサン 固形分として149g ポリハロゲン化合物-A 固形分として43.5g ポリハロゲン化合物-B 固形分として13.5g エチルチオスルホン酸ナトリウム 0.30g ベンゾトリアゾール 1.04g ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA-235) 10.8g 6-iso-プロピルフタラジン 12.8g オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物 0.37g 化合物Z 固形分として9.7g 造核剤 表2に記載の種類。但し、量は固形分として0.03モル 染料A 783nmの光学濃度が0.3になる塗布量(目安として0.37g) ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06モル 化合物C 2.0g 防腐剤として化合物A 塗布液中に40ppm(塗設量として2.5mg/m2) メタノール溶媒量として 塗布液中に2wt% エタノール溶媒量として 塗布液中に1wt% (なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0145】
【化9】
【0146】《乳剤面下層保護層塗布液の調製》メチル
メタクリレート/スチレン/2-エチルヘキシルアクリレ
ート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸
=58.9/8.6/25.4/5.1/2(wt%)のポリマーラテッ
クス溶液(共重合体でガラス転移温度46℃(計算値)、
固形分濃度として21.5%、造膜助剤として化合物Dをポ
リマーラテックスに対し15%添加し塗布液のガラス転移
温度を24℃とした)943gにH2Oを加え、化合物Eを1.6
2g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm)1.98
gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA-23
5)29.4gを加え、さらにH2Oを加えて、塗布液を調製と
した。(防腐剤として化合物Aを塗布液中に75ppm(塗設
量として1.0mg/m2)、メタノール溶媒をそれぞれ2wt%含
有)完成後、減圧脱気を-400mmHgで60分間行った。塗布
液のpHは5.5、粘度は25℃で45cpであった。
【0147】《乳剤面上層保護層塗布液の調製》メチル
メタクリレート/スチレン/2-エチルヘキシルアクリレ
ート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸
=58.9/8.6/25.4/5.1/2(wt%)のポリマーラテッ
クス溶液(共重合体でガラス転移温度46℃(計算値)、
固形分濃度として21.5%、造膜助剤として化合物Dをポ
リマーラテックスに対し15%添加し塗布液のガラス転移
温度を24℃とした)649gにH2Oを加え、カルナヴァワ
ックス(中京油脂(株)製、セロゾール524)30wt%溶液
6.30g、化合物Cを0.23g、化合物Fを7.95g、化合物G
を0.93g、化合物Hを1.8g、マット剤(ポリスチレン粒
子、平均粒径7μm)1.18gおよびポリビニルアルコール
(クラレ(株)製,PVA-235)12.1gを加え、さらにH2Oを
加えて、塗布液を調製とした。(防腐剤として化合物A
は70ppm(塗設量として2.6mg/m2)、メタノール溶媒をそ
れぞれ1.5wt%含有) 完成後、減圧脱気を-400mmHgで60分間行った。塗布液の
pHは2.8、粘度は25℃で30cpであった。
【0148】
【化10】
【0149】《バック/下塗り層のついたPET支持体の
作製》 (1)支持体の作成 テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従
い、IV=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(重
量比)中25℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを
得た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥し
た後、300℃で溶融後T型ダイから押し出した後急冷し、
熱固定後の膜厚が120μmになるような厚みの未延伸フ
イルムを作成した。これを周速の異なるロールを用い、
3.3倍に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施
した。このときの温度はそれぞれ、110℃、130℃であっ
た。この後、240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で
横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部を
スリットした後、両端にナール加工を行い、4.8kg/cm2
で巻きとった。このようにして、幅2.4m、長さ3500m、
厚み120μmのロールを得た。
【0150】(2)下塗り層及びバック層の作成 (1)下塗り第一層 以下に示す組成の塗布液を6.2cc/m2となる様に支持体上
に塗布し、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒乾
燥した。
【0151】 ラテックス-A 280g KOH 0.5g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm) 0.03g 塩化シアヌル 1.8g 蒸留水 全量で1000gとなる量
【0152】(2)下塗り第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5cc/m2となる様に下塗り第
一層の上に塗布し、125℃で30秒、150℃で30秒、170℃
で30秒乾燥した。
【0153】 ゼラチン 10g 酢酸(20%水溶液) 10g 化合物‐Bc-A 0.04g メチルセルロース(2%水溶液) 25g ポリエチレンオキシ化合物 0.3g 蒸留水 全量で1000gとなる量
【0154】(3)バック第一層 以下に示す組成の塗布液を13.8cc/m2となる様に支持体
上の下塗り層とは反対側のコロナ放電処理を施した面に
塗布し、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒乾燥
した。
【0155】 ジュリマーET410(30%) 23g ゼラチン 5.28g 化合物‐Bc-A 0.02g 染料-Bc-A 0.88g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g スミテックスレジンM-3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) FS-10D(SbドープSnO2水分散物、石原産業(株)製) 24g ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm) 0.03g 蒸留水 全量で1000gとなる量
【0156】(4)バック第二層 以下に示す組成の塗布液を5.5cc/m2となる様にバック第
一層上に塗布し、125℃で30秒、150℃で30秒、170℃で3
0秒乾燥した。
【0157】 ジュリマーET410(30%) 57.5g ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7g スミテックスレジンM-3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) セロゾール524(30%水溶液、中京油脂(株)製) 6.6g 蒸留水 全量で1000gとなる量
【0158】(5)バック第三層 下塗り第一層と同じ塗布液を6.2cc/m2となる様にバック
第二層上に塗布し、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃
で30秒乾燥した。
【0159】(6)バック第四層 以下に示す組成の塗布液を13.8cc/m2となる様にバック
第三層上に塗布し、125℃で30秒、150℃で30秒、170℃
で30秒乾燥した。
【0160】 ラテックス-B 286g 化合物-Bc-B 1.5g 化合物-Bc-C 0.6g 化合物-Bc-D 0.5g スミテックスレジンM-3(8%水溶液) 195g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製) ポリメチルメタクリレート(10%水分散物、平均粒子径 5μm) 7.7g 蒸留水 全量で1000gとなる量
【0161】
【化11】
【0162】ラテックス-A コア部90重量%、シェル部10重量%のコアシェルタイプの
ラテックス コア部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメ
タクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.
9/0.1 (重量%) シェル部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチル
メタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=88/3/3/
3/3 (重量%) 重量平均分子量38000ラテックス-B メチルメタクリレート/スチレン/2-エチルヘキシルアク
リレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル
酸=59/9/26/5/1 (重量%の共重合体)
【0163】(7)搬送熱処理 (7-1)熱処理 このようにして作製したバック/下塗り層のついたPE
T支持体を160℃に設定した全長200mの熱処理ゾ
ーンに入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分
で搬送した。 (7-2)後熱処理 上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通して後
熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力は10
kg/cm2であった。
【0164】《熱現像感光材料の作製》前記下塗り第一
層と下塗り第二層を塗布した側のPET支持体の下塗り層
の上に、特願平10-292849号公報の明細書中の図1で開
示されているスライドビート塗布方式を用いて、前記の
乳剤層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になるように塗布し
た。さらにその上に、前記乳剤面下層保護層塗布液をポ
リマーラテックスの固形分塗布量が1.31g/m2になるよう
に乳剤塗布液と共に同時重層塗布した。その後でその上
に前記乳剤面上層保護層塗布液をポリマーラテックスの
固形分塗布量が3.02g/m2になるように塗布し、熱現像感
光材料(サンプル)を作製した。塗布時の乾燥は、恒率
過程、減率過程とも乾球温度70〜75℃、露点8〜2
5℃、液膜表面温度35〜40℃の範囲で、水平乾燥ゾ
ーン(塗布機の水平方向に対し支持体が1.5°〜3°
の角度)で行った。乾燥後の巻取りは温度25±5℃、
相対湿度45±10%の条件下で行われ、巻姿はその後の
加工形態(Em面外巻)に合わせEm面を外を選択し
た。なお、感光材料の包袋湿度20〜40%(25℃測
定)とした。得られた熱現像感光材料の画像形成側の膜
面pHは5.0、ベック平滑度は850秒であり、反対側の膜
面pHは5.9、ベック平滑度は560秒であった。なお、今
回評価(写真性能、面状とも)に使用したサンプルは強
制条件として乳剤層塗布液を減圧脱気後25℃で6時間
経過した後に塗布したものを使用した。
【0165】《写真性能の評価》 (露光処理)得られた熱現像感光材料を、ビーム径(ビー
ム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50m
W、出力波長783nmの半導体レーザーを搭載した単チャン
ネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用し、ミラー
の回転数を変化させることにより露光時間を、出力値を
変えることにより露光量を調整し、2×10-8秒で露光し
た。この時のオーバーラップ係数0.449にした。 (熱現像処理)露光済みの熱現像感光材料を図4の熱現像
機を用いて、熱現像処理部のローラー表面材質はシリコ
ンゴム、平滑面はテフロン不織布にして予備加熱部90〜
100℃で5秒、熱現像処理部120℃で20秒間熱現像処理を
行った。なお、幅方向の温度精度は±1℃であった。 (写真性能の評価)得られた画像の評価をマクベスTD904
濃度計(可視濃度)により行った。測定の結果は、Dmin、
Dmaxで評価した。
【0166】《塗布面状の評価》サンプルの表面を目視
観察して、塗布面状(面質)を以下のランクに分類し
た。このうち実用上許容されるものは、AおよびBラン
クのものである。 Aランク:面状良好。 Bランク:中央部の面状は良好だが、塗布部の両端に乱
れがある。 Cランク:全面に若干の面状故障(塗布筋、凝集物の発
生、亀裂、乾燥ムラなど)がある。 Dランク:全面に著しい面状故障(塗布筋、凝集物の発
生、亀裂、乾燥ムラなど)がある。
【0167】各熱現像感光材料について上記評価を実施
した結果を表2に示す。
【0168】
【表2】
【0169】本発明の熱現像画像記録材料は、Dmin
が低く、かつ面状も良好である。造核剤としてホルミル
ヒドラジン系化合物(造核剤A)よりも本発明に好まし
く用いられる一般式(1)〜(3)で表される化合物
(造核剤62)を用いた方がDmaxが高い。第3成分
を低温で添加することにより調製した有機酸銀分散物C
〜Eや、反応液直後の温度をさらに下げるべく熱交換器
に10℃の冷水を供給した有機酸銀分散物F、Gは平均
粒径を小さくすることができ、それら分散物を用いた感
光材料は特に面状が優れている。それに対し従来製法に
て調製された有機酸銀分散物Aは、本発明で用いる有機
酸銀分散物に比較し、平均粒径がやや大きく、多分散で
あるためそれら有機酸銀分散物を用いた感光材料は面
状、Dminとも本発明の感光材料より劣る。以上よ
り、本発明の効果は明らかである。
【0170】<実施例2> (PET支持体の作成)テレフタル酸とエチレングリコ−
ルを用い、常法に従い固有粘度IV=0.66(フェノ−ル/テ
トラクロルエタン=6/4(重量比)中25℃で測定)のPET
を得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、
300℃で溶融後T型台から押し出して急冷し、熱固定後の
膜厚が175μmになるような厚みの未延伸フィルムを作成
した。これを、周速の異なるロ−ルを用い3.3倍に縦延
伸、ついでテンタ−で4.5倍に横延伸を実施した。この
時の温度はそれぞれ、110℃、130℃であった。この後、
240℃で20秒間熱固定後これと同じ温度で横方向に4%緩
和した。この後テンタ−のチャック部をスリットした
後、両端にナ−ル加工を行い、4kg/cm2で巻き取り、厚
み175μmのロ−ルを得た。
【0171】(表面コロナ処理)ピラー社製ソリッドス
テートコロナ処理機6KVAモデルを用い、支持体の両面を
室温下において20m/分で処理した。この時の電流、電圧
の読み取り値から、支持体には0.375kV・A・分/m2の処
理がなされていることがわかった。この時の処理周波数
は9.6kHz、電極と誘電体ロ−ルのギャップクリアランス
は1.6mmであった。
【0172】 (下塗り支持体の作成) (1)下塗層塗布液の作成 処方(1)(感光層側下塗り層用) 高松油脂(株)製ペスレジンA-515GB(30wt%溶液) 234g ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル (平均エチレンオキシド数=8.5) 10wt%溶液 21.5g 綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子、平均粒径0.4μm) 0.91g 蒸留水 744ml 処方(2)(バック面第1層用) ブタジエン−スチレン共重合体ラテックス 158g (固形分40wt% 、ブタジエン/スチレン重量比=32/68) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S− トリアジンナトリウム塩 8wt%水溶液 20g ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1wt% 水溶液 10ml 蒸留水 854ml 処方(3)(バック面側第2層用) SnO2/SbO (9/1重量比、平均粒径0.038μm、17wt%分散物) 84g ゼラチン(10%水溶液) 89.2g 信越化学(株)製 メトローズTC-5(2%水溶液) 8.6g 綜研化学(株)製 MP-1000(ポリマー微粒子) 0.01g ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの1wt% 水溶液 10ml NaOH(1%) 6ml プロキセル(ICI社製) 1ml 蒸留水 805ml
【0173】(下塗り支持体の作成)上記厚さ175μm
の2軸延伸ポリエチレンテレフタレート支持体の両面そ
れぞれに、上記コロナ放電処理を施した後、片面(感光
性層面)に下塗り塗布液処方(1)をワイヤーバーでウ
エット塗布量が6.6ml/m2(片面当たり)になるように塗
布して180 ℃で5分間乾燥し、ついでこの裏面(バック
面)に下塗り塗布液処方(2)をワイヤーバーでウエッ
ト塗布量が5.7ml/m2になるように塗布して180℃で5分
間乾燥し、更に裏面(バック面)に下塗り塗布液処方
(3)をワイヤーバーでウエット塗布量が7.7ml/m2にな
るように塗布して180℃で6分間乾燥して下塗り支持体を
作成した。
【0174】(バック面塗布液の調製) (塩基プレカーサーの固体微粒子分散液(a)の調製)塩
基プレカーサー化合物Iを64g、ジフェニルスルフォン
を28gおよび花王(株)製界面活性剤デモールN 10g を
蒸留水220mlと混合し、混合液をサンドミル(1/4 Gallo
nサンドグラインダーミル、アイメックス(株)製)を
用いてビーズ分散し、平均粒子径0.2μmの、塩基プレ
カーサー化合物の固体微粒子分散液(a)を得た。
【0175】(染料固体微粒子分散液の調製)シアニン
染料化合物Jを9.6gおよびP-ドデシルベンゼンスルフォ
ン酸ナトリウム5.8gを蒸留水305mlと混合し、混合液を
サンドミル(1/4 Gallonサンドグラインダーミル、アイ
メックス(株)製)を用いてビーズ分散して平均粒子径
0.2μmの染料固体微粒子分散液を得た。
【0176】(ハレーション防止層塗布液の調製)ゼラ
チン17g、ポリアクリルアミド9.6g、上記塩基プレカー
サーの固体微粒子分散液(a)70g、上記染料固体微粒子分
散液56g、ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒子
サイズ6.5μm)1.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.03g、ポ
リエチレンスルフォン酸ナトリウム2.2g、青色染料化合
物 Kを0.2g、水を844ml混合し、ハレーション防止層塗
布液を調製した。
【0177】(バック面保護層塗布液の調製)容器を40
℃に保温し、ゼラチン50g、ポリスチレンスルフォン酸
ナトリウム0.2g、N,N-エチレンビス(ビニルスルフォン
アセトアミド) 2.4g、t-オクチルフェノキシエトキシエ
タンスルフォン酸ナトリウム1g、ベンゾイソチアゾリノ
ン30mg、N-パーフルオロオクチルスルフォニル-N-プロ
ピルアラニンカリウム塩37mg、ポリエチレングリコール
モノ(N-パーフルオロオクチルスルホニル-N-プロピル-
2-アミノエチル)エーテル[エチレンオキサイド平均重
合度15]0.15g、C8F17SO3K32mg、C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH
2O)4(CH2)4-SO3Na 64mg、アクリル酸/エチルアクリレ
ート共重合体(共重合重量比5/95)8.8g、エアロゾー
ルOT(アメリカンサイアナミド社製)0.6g、流動パラフ
ィン乳化物を流動パラフィンとして1.8g、水を950ml混
合してバック面保護層塗布液とした。
【0178】《ハロゲン化銀乳剤1の調製》蒸留水1421
ccに1wt%臭化カリウム溶液8.0ccを加え、さらに1N硝酸
を8.2cc、フタル化ゼラチン20gを添加した液をチタンコ
ートしたステンレス製反応壺中で攪拌しながら、37℃に
液温を保ち、硝酸銀37.04gに蒸留水を加え159ccに希釈し
た溶液Aと臭化カリウム32.6gを蒸留水にて容量200ccに
希釈した溶液Bを準備し、コントロールダブルジェット
法でpAgを8.1に維持しながら、溶液Aの全量を一定流量
で1分間かけて添加した。溶液Bは、コントロールドダブ
ルジェット法にて添加した。その後3.5wt%の過酸化水素
水溶液を30cc添加し、さらにベンツイミダゾールの3wt
%水溶液を36cc添加した。その後、再び溶液Aを蒸留水
で希釈して317.5ccにした溶液A2と、溶液Bに対して最終
的に銀1モル当たり1×10-4モルになるよう6塩化イリジ
ウム酸3カリウム塩を溶解し、液量を溶液Bの2倍の400c
cまで蒸留水で希釈した溶液B2を用いて、やはりコント
ロールドダブルジェット法にて、pAg を8.1に維持しな
がら、一定流量で溶液A2を10分間かけて全量添加した。
溶液B2は、コントロールドダブルジェット法で添加し
た。その後、5-メチル-2-メルカプトベンズイミダゾー
ルの0.5wt%メタノール溶液を50cc添加し、さらに硝酸銀
でpAgを7.5に上げてから1N硫酸を用いてpHを3.8に調製
し、攪拌を止め、沈降/脱塩/水洗工程を行い、脱イオン
ゼラチン3.5gを加えて1Nの水酸化ナトリウムを添加し
て、pH6.0、pAg8.2に調製してハロゲン化銀分散物を作成
した。できあがったハロゲン化銀乳剤中の粒子は、平均
球相当径0.053μm、球相当径の変動係数18%の純臭化銀
粒子であった。粒子サイズ等は、電子顕微鏡を用い1000
個の粒子の平均から求めた。この粒子の[100]面比率
は、クベルカムンク法を用いて85%と求められた。
【0179】上記乳剤を38℃に攪拌しながら維持して、
ベンゾイソチアゾリノンを0.035g(3.5wt%メタノール溶
液で添加)加え、40分後に分光増感色素Bの固体分散物
(ゼラチン水溶液)を銀1モル当たり5×10-3モル加え、1
分後に47℃に昇温し、20分後にベンゼンチオスルフォン
酸ナトリウムを銀1モルに対して3×10-5モル加え、さら
に2分後にテルル増感剤Aを銀1モル当たり5×10-5モル加
えて90分間熟成した。熟成終了間際に、N,N'-ジヒドロ
キシ-N"-ジエチルメラミンの0.5wt%メタノール溶液を5c
cを加え、温度を31℃に下げ、フェノキシエタノールの
3.5wt%メタノール溶液5cc、5-メチル-2-メルカプトベン
ヅイミダゾールを銀1モル当たり7×10-3 モル及び1-フェ
ニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリアゾールを
銀1モルに対して6.4×10-3モルを添加して、ハロゲン
化銀乳剤1を作成した。
【0180】《ハロゲン化銀乳剤2の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を50℃
に変更する以外は同様にして平均球相当径0.08μm、球
相当径の変動係数15%の純臭化銀立方体粒子乳剤の調製
した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/
分散を行った。更に分光増感色素Bの添加量を銀1モル当
たり4.5×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様にして
分光増感色素、化学増感剤及び5-メチル-2-メルカプト
ベンヅイミダゾール、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカ
プト-1,3,4-トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀
乳剤2を得た。
【0181】《ハロゲン化銀乳剤3の調製》ハロゲン化
銀乳剤1の調製において、粒子形成時の液温37℃を27℃
に変更する以外は同様にして平均球相当径0.038μm、球
相当径の変動係数20%の純臭化銀立方体粒子乳剤の調製
した。ハロゲン化銀乳剤1と同様に沈殿/脱塩/水洗/
分散を行った。更に分光増感色素Bの添加量を銀1モル当
たり6×10-3モルに変えた以外は乳剤1と同様にして分
光増感色素、化学増感剤及び5-メチル-2-メルカプトベ
ンヅイミダゾール、1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプ
ト-1,3,4-トリアゾールの添加を行い、ハロゲン化銀乳
剤3を得た。
【0182】《塗布液用混合乳剤Bの調製》ハロゲン化
銀乳剤1を70重量%、ハロゲン化銀乳剤2を15重量%、
ハロゲン化銀乳剤3を15重量%溶解し、ベンゾチアゾリ
ウムヨーダイドを1wt%水溶液にて銀1モル当たり7×10
-3モル添加した。
【0183】《還元剤の25wt%分散物の調製》1,1-ビス
(2-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチ
ルヘキサン10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ
(株)製、ポバールMP203)の20wt%水溶液10kgに、水16kg
を添加して、よく混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:ア
イメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベ
ンゾイソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて還
元剤の濃度が25wt%になるように調製し、還元剤分散物
を得た。こうして得た還元剤分散物に含まれる還元剤粒
子はメジアン径0.42μm、最大粒子径2.0μm以下であっ
た。得られた還元剤分散物は孔径10.0μmのポリプロピ
レン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去
して収納した。
【0184】《メルカプト化合物の10wt%分散物の調
製》1-フェニル-2-ヘプチル-5-メルカプト-1,3,4-トリ
アゾールを5kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ
(株)製ポバールMP203)の20wt%水溶液5kgに、水8.3kgを
添加して、よく混合してスラリーとした。このスラリー
をダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジル
コニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイ
メックス(株)製)にて6時間分散したのち、水を加え
てメルカプト化合物の濃度が10wt%になるように調整
し、メルカプト分散物を得た。こうして得たメルカプト
化合物分散物に含まれるメルカプト化合物粒子はメジア
ン径0.40μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られ
たメルカプト化合物分散物は孔径10.0μmのポリプロピ
レン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去
して収納した。また、使用直前に再度孔径10μmのポリ
プロピレン製フィルターにてろ過した。
【0185】《有機ポリハロゲン化合物の20wt%分散物
−1の調製》トリブロモメチルナフチルスルホン5kgと
変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP20
3)の20wt%水溶液2.5kgと、トリイソプロピルナフタレ
ンスルホン酸ナトリウムの20wt%水溶液213gと、水10kg
を添加して、よく混合してスラリーとした。このスラリ
ーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジ
ルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:ア
イメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイ
ソチアゾリノンナトリウム塩0.2gと水を加えて有機ポリ
ハロゲン化合物の濃度が20wt%になるように調製し、有
機ポリハロゲン化合物分散物を得た。こうして得たポリ
ハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合
物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下で
あった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は孔径
3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、
ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0186】《有機ポリハロゲン化合物の25wt%分散物
−2の調製》有機ポリハロゲン化合物の20wt%分散物−
1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチルスルホン
5kgの代わりにトリブロモメチル(4−(2,4,6−
トリメチルフェニルスルホニル)フェニル)スルホン5k
gを用い、分散し、この有機ポリハロゲン化合物が25wt%
となるように希釈し、ろ過を行った。こうして得た有機
ポリハロゲン化合物分散物に含まれる有機ポリハロゲン
化合物粒子はメジアン径0.38μm、最大粒子径2.0μm以
下であった。得られた有機ポリハロゲン化合物分散物は
孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行
い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0187】《有機ポリハロゲン化合物の30wt%分散物
−3の調製》有機ポリハロゲン化合物の20wt%分散物−
1と同様に、但し、トリブロモメチルナフチルスルホン
5kgの代わりにトリブロモメチルフェニルスルホン5kgを
用い、20wt%MP203水溶液を5kgとし、分散し、この有機
ポリハロゲン化合物が30wt%となるように希釈し、ろ過
を行った。こうして得た有機ポリハロゲン化合物分散物
に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.
41μm、最大粒子径2.0μm以下であった。得られた有機
ポリハロゲン化合物分散物は孔径3.0μmのポリプロピレ
ン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去し
て収納した。また、収納後、使用までは10℃以下で保管
した。
【0188】《フタラジン化合物の10wt%メタノール溶
液の調製》6-イソプロピルフタラジン10gをメタノール9
0gに溶解して使用した。
【0189】《顔料の20wt%分散物の調製》C.I.Pigment
Blue 60を64gと花王(株)製デモールNを6.4gに水250gを
添加しよく混合してスラリーとした。平均直径0.5mmの
ジルコニアビーズ800gを用意してスラリーと一緒にベ
ッセルに入れ、分散機(1/4Gサンドグラインダーミ
ル:アイメックス(株)製)にて25時間分散し顔料分散
物を得た。こうして得た顔料分散物に含まれる顔料粒子
は平均粒径0.21μmであった。
【0190】《SBRラテックス40wt%の調製》限外濾過(U
F)精製したSBRラテックスは以下のように得た。下記のS
BRラテックスを蒸留水で10倍に希釈したものをUF-精製
用モジュールFS03-FC-FUY03A1(ダイセン・メンブレン・
システム(株))を用いてイオン伝導度が1.5mS/cmになる
まで希釈精製し、三洋化成(株)製サンデット-BLを0.2
2wt%になるよう添加した。更にNaOHとNH4OHを用いてNa+
イオン:NH4 +イオン=1:2.3(モル比)になるように添
加し、pH8.4に調整した。この時のラテックス濃度は4
0wt%であった。 (SBRラテックス:-St(68)-Bu(29)-AA(3)-のラテックス) (St:スチレン、Bu:ブタジエン、AA:アクリル酸)平
均粒径0.1μm、濃度45%、25℃60%RHにおける平衡含水率
0.6wt%、イオン伝導度4.2mS/cm(イオン伝導度の測定は
東亜電波工業(株)製伝導度計CM-30S使用しラテックス原
液(40%)を25℃にて測定)、pH8.2
【0191】《乳剤層(感光性層)塗布液の調製》上記
で得た顔料の20wt%水分散物を1.1g、実施例1と同様の
有機酸銀分散物A〜Gを103g(使用した種類は表3に示
す)、ポリビニルアルコールPVA-205(クラレ(株)製)の2
0wt%水溶液5g、上記25wt%還元剤分散物25g、有機ポリハ
ロゲン化合物分散物-1,-2,-3を5:1:3(重量比)で総量1
6.3g、メルカプト化合物10%分散物6.2g、限外濾過(U
F)精製しpH調整したSBRラテックス40wt%を106g、フタ
ラジン化合物の10wt%メタノール溶液を16mlを添加し、
ハロゲン化銀混合乳剤Bを10gをよく混合し、乳剤層塗
布液を調製し、そのままコーティング台へ70ml/m2とな
るように送液し、塗布した。上記乳剤層塗布液の粘度は
東京計器のB型粘度計で測定して、40℃(No.1ロータ
ー、60rpm)で85[mPa・s]であった。レオメトリックス
ファーイースト株式会社製RFSフルードスペクトロメ
ーターを使用した25℃での塗布液の粘度は剪断速度が0.
1、1、10、100、1000[1/秒]においてそれぞれ1500、22
0、70、40、20[mPa・s]であった。
【0192】《乳剤面中間層塗布液の調製》ポリビニル
アルコールPVA-205(クラレ(株)製)の10wt%水溶液772g、
顔料の20wt%分散物5.3g、メチルメタクリレート/スチレ
ン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタクリレー
ト/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20/5/2)ラテ
ックス27.5wt%液226gにエアロゾールOT(アメリカンサイ
アナミド社製)の5wt%水溶液を2ml、フタル酸二アンモニ
ウム塩の20wt%水溶液を10.5ml、総量880gになるように
水を加えて中間層塗布液とし、10ml/m2になるようにコ
ーティング台へ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40
℃(No.1ローター、60rpm)で21[mPa・s]であった。
【0193】《乳剤面保護層第1層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン64gを水に溶解し、メチルメタクリレート
/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタ
クリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20
/5/2)ラテックス27.5wt%液80g、フタル酸の10wt%メタ
ノール溶液を64ml、4-メチルフタル酸の10wt%水溶液74m
l、1Nの硫酸を28ml、エアロゾールOT(アメリカンサイア
ナミド社製)の5wt%水溶液を5ml、フェノキシエタノール
0.5g、ベンゾイソチアゾリノン0.1gを加え、総量750gに
なるように水を加えて塗布液とし、4wt%のクロムみょう
ばん26mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したも
のを18.6ml/m2になるようにコーティング台へ送液し
た。塗布液の粘度はB型粘度計40℃(No.1ローター、60r
pm)で17[mPa・s]であった。
【0194】《乳剤面保護層第2層塗布液の調製》イナ
ートゼラチン80gを水に溶解し、メチルメタクリレート
/スチレン/ブチルアクリレート/ヒドロキシエチルメタ
クリレート/アクリル酸共重合体(共重合重量比64/9/20
/5/2)ラテックス27.5wt%液102g、N-パーフルオロオク
チルスルフォニル-N-プロピルアラニンカリウム塩の5wt
%溶液を3.2ml、ポリエチレングリコールモノ(N-パーフ
ルオロオクチルスルホニル-N-プロピル-2-アミノエチ
ル)エーテル[エチレンオキシド平均重合度=15]の2wt%水
溶液を32ml、エアロゾールOT(アメリカンサイアナミド
社製)の5wt%溶液を23ml、ポリメチルメタクリレート微
粒子(平均粒径0.7μm)4g、ポリメチルメタクリレート
微粒子(平均粒径6.4μm)21g、4-メチルフタル酸1.6
g、フタル酸8.1g、1Nの硫酸を44ml、ベンゾイソチアゾ
リノン10mgに総量650gとなるよう水を添加して、4wt%の
クロムみょうばんと0.67wt%のフタル酸を含有する水溶
液445mlを塗布直前にスタチックミキサーで混合したも
のを表面保護層塗布液とし、8.3ml/m2になるようにコー
ティング台へ送液した。塗布液の粘度はB型粘度計40℃
(No.1ローター,60rpm)で9[mPa・s]であった。
【0195】《熱現像画像記録材料の作成》上記下塗り
支持体のバック面側に、ハレーション防止層塗布液を固
体微粒子染料の固形分塗布量が0.04g/m2となるように、
またバック面保護層塗布液をゼラチン塗布量が1.7g/m2
となるように同時重層塗布し、乾燥し、ハレーション防
止バック層を作成した。バック面と反対の面に下塗り面
から乳剤層(ハロゲン化銀の塗布銀量0.14g/m2)、中間
層、保護層第1層、保護層第2層の順番でスライドビー
ド塗布方式にて同時重層塗布し、熱現像感光材料の試料
を作成した。なお、今回評価(写真性能、面状とも)に
使用したサンプルは強制条件として乳剤層塗布液を25
℃で6時間経過した後に塗布したものを使用した。塗布
はスピード160m/minで行い、コーティング台先端と支持
体との間隔を0.14〜0.28mmに、また、塗布液の吐出スリ
ット幅に対して塗布幅が左右ともに各0.5mm広がるよう
に調節し、減圧室の圧力を大気圧に対して392Pa低く設
定した。その際、支持体は帯電しないようにハンドリン
グ及び温湿度を制御し、更に塗布直前にイオン風で除電
した。引き続くチリングゾーンでは、乾球温度が18℃、
湿球温度が12℃の風を30秒間吹き当てて、塗布液を冷却
した後、つるまき式の浮上方式の乾燥ゾーンにて、乾球
温度が30℃、湿球温度が18℃の乾燥風を200 秒間吹き当
てた後70℃の乾燥ゾーンを20秒間通した後、90℃の乾燥
ゾーンを10秒間通し、その後25℃に冷却して、塗布液中
の溶剤の揮発を行った。チリングゾーンおよび乾燥ゾー
ンでの塗布液膜面に吹き当たる風の平均風速は7m/sec
であった。
【0196】
【化12】
【0197】《写真性能の評価》レーザー感光計(詳細
は下記)で熱現像画像記録材料を露光した後、画像記録
材料を118℃で5秒、続いて122℃で16秒間処理(熱現像)
し、得られた画像の評価をマクベスTD904濃度計(可視濃
度)により行った。測定の結果は、Dmin、Dmaxで評価し
た。 レーザー感光計:35mW出力の660nmダイオードレーザー2本を合波 シングルモード ガウシアンビームスポット1/e2が100μm 25μmピッチで副走査方向に送り、1画素を4回書き
【0198】《塗布面状の評価》実施例1と同様にサン
プルの表面を目視観察して、ランクに分類した。各熱現
像画像記録材料について上記評価を実施した結果を表3
に示す。
【0199】
【表3】
【0200】実施例1と同様、本発明の熱現像画像記録
材料は、Dminが低く、かつ面状も良好であることが
確認できた。
【0201】
【発明の効果】本発明により、環境面・コスト面で有利
な水系塗布可能であり、かつ塗布面質が良好であり、カ
ブリが低く、高い黒化濃度の得られる熱現像画像記録材
料を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いる非感光性有機銀塩の調製方法
を示す模式図である。
【図2】 本発明で用いる非感光性有機銀塩を調製する
ために用いられる装置の一構成例を示す模式図である。
【図3】 本発明で用いる非感光性有機銀塩を調製する
ために用いられる装置の一構成例を示す模式図である。
【図4】 実施例で用いた熱現像機の構成を示す側面図
である。
【符号の説明】
1 密閉型混合機 2 熱交換器 A 添加成分1 B 添加成分2 C 添加成分3 D 生成液(熱交換前) E 生成液(熱交換後) 11 添加成分1用タンク 12 添加成分2用タンク 13 添加成分1用流量計 14 添加成分2用流量計 15 添加成分1用ポンプ 16 添加成分2用ポンプ 17 生成液循環用ポンプ 18 密閉型混合機 19 熱交換器 20 生成液用タンク 31 添加成分1用タンク 32 添加成分2用タンク 33 添加成分1用流量計 34 添加成分2用流量計 35 添加成分1用ポンプ 36 添加成分2用ポンプ 37 添加成分3用ポンプ 38 密閉型混合機 39 熱交換器 40 生成液用タンク 41 添加成分3用タンク 42 添加成分2用流量計 50 熱現像画像記録材料 51 搬入ローラー対 52 搬出ローラー対 53 ローラー 54 平滑面 55 加熱ヒーター 56 ガイド板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、還元剤、バインダーおよび
    非感光性有機銀塩粒子を有する熱現像画像記録材料にお
    いて、該非感光性有機銀塩粒子が、水、または水と有機
    溶剤との混合物を溶媒とする銀イオン含有溶液と、水、
    有機溶剤または水と有機溶剤との混合物を溶媒とする脂
    肪酸アルカリ金属塩の溶液とを、密閉混合手段中にて混
    合して反応させることにより調製されることを特徴とす
    る熱現像画像記録材料。
  2. 【請求項2】 非感光性有機銀塩粒子が、前記液体混合
    手段にて前記反応を行った後に反応した反応混合物を冷
    却することを含む方法によって調製されることを特徴と
    する請求項1に記載の熱現像画像記録材料。
  3. 【請求項3】 さらに感光性ハロゲン化銀を含有するこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の熱現像画像記
    録材料。
  4. 【請求項4】 非感光性有機銀塩粒子を有する画像形成
    層のバインダーの50重量%以上としてガラス転移温度
    が−30℃以上40℃以下のポリマーラテックスを用い
    ることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載
    の熱現像画像記録材料。
  5. 【請求項5】 支持体上の画像形成層側の少なくとも一
    層中に少なくとも1種の造核剤を含有することを特徴と
    する請求項1〜4の何れか1項に記載の熱現像画像記録
    材料。
  6. 【請求項6】 造核剤が下記式(1)で表される置換アル
    ケン誘導体、下記式(2)で表される置換イソオキサゾー
    ル誘導体、あるいは下記式(3)で表される特定のアセタ
    ール化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    熱現像画像記録材料。 【化1】 [式(1)において、R1、R2、R3は、それぞれ独立に
    水素原子または置換基を表し、Zは電子吸引性基または
    シリル基を表す。式(1)においてR1とZ、R2とR3
    1とR2、およびR3とZは、互いに結合して環状構造
    を形成していてもよい。式(2)においてR4は、置換基
    を表す。式(3)においてX、Yはそれぞれ独立に水素原
    子または置換基を表し、AおよびBはそれぞれ独立に、
    アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ア
    リールオキシ基、アリールチオ基、アニリノ基、ヘテロ
    環オキシ基、ヘテロ環チオ基またはヘテロ環アミノ基を
    表す。式(3)においてXとY、およびAとBは、互いに
    結合して環状構造を形成していてもよい。]
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