JP2000290041A - ガラスセラミックス組成物、誘電体層の形成方法および誘電体層付きガラス板 - Google Patents

ガラスセラミックス組成物、誘電体層の形成方法および誘電体層付きガラス板

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JP2000290041A
JP2000290041A JP11103265A JP10326599A JP2000290041A JP 2000290041 A JP2000290041 A JP 2000290041A JP 11103265 A JP11103265 A JP 11103265A JP 10326599 A JP10326599 A JP 10326599A JP 2000290041 A JP2000290041 A JP 2000290041A
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dielectric
dielectric layer
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ceramic composition
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Katsuhisa Nakayama
勝寿 中山
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス板の曲げ強化温度で焼結可能であり、
形成された誘電体層の誘電率を高くできるガラスセラミ
ックス組成物の提供。 【解決手段】 低融点ガラス粉末および1kHzにおけ
る比誘電率が20以上である誘電体粉末を含有し、1k
Hzにおける比誘電率が16以上であり、600〜70
0℃で焼結可能なガラスセラミックス組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラスセラミック
ス組成物、誘電体層の形成方法および誘電体層付きガラ
ス板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のリヤウインドウに用いられるガ
ラス板の曇りを防止するために、ガラス板上には多数本
の加熱用の導電性の線状導体およびバスバーからなる通
電加熱用ヒーターが形成されている。また、通信放送波
を受信するために、自動車のリヤウインドウやサイドウ
インドウに用いられるガラス板には線状の所定パターン
の放送波受信用アンテナ導体が形成されている。これら
の線状導体は、銀ペーストなどの導電性ペーストをガラ
ス板に印刷後焼成することにより、ガラス板上に形成さ
れる。
【0003】前記加熱用の線状導体は、それ自身単体と
して、あるいは別途設けられた放送波受信用アンテナ導
体と複合して、放送波受信用アンテナとしても用いられ
る。各種放送波の受信用のアンテナとしての性能を得る
ために、通電加熱用ヒーターと放送波受信用のアンテナ
導体とは、その線状導体の長さや配置など、車種に合わ
せたアンテナパターンの最適化を行っている。このアン
テナパターンの基本構成要素として、近接対向線状導体
が用いられることがある。一般に対向線状導体は2種類
の用途で用いられている。
【0004】第1は、2つの線状導体を静電容量で結合
するもので、例えば、AM放送波の受信の場合、通電加
熱用ヒーターで受ける受信電流を放送波受信用のアンテ
ナ導体に容量的に結合させるため、通電加熱用ヒーター
の一部の線状導体と放送波受信用アンテナ導体の線状導
体の一部とを近接させる。
【0005】また、対向線状導体のもう一方の用途とし
て、所定パターンの線状導体を有する放送波受信用アン
テナ導体において、それら線状導体の一部を所定間隔を
もって対向させることによって、FM放送波以上の帯域
におけるインピーダンス整合や指向性改善を図るもので
ある。これは、電界による励振で電界が誘起されるよう
な長さと向きを持った2つの線状導体を対向させ、対向
部分の間隔や配置と結合の強さを最適化して電流分布の
位相制御を行い、インピーダンス整合や指向性を改善す
るものである。
【0006】上記両者の違いは、対向線状導体が集中定
数回路のコンデンサとして機能するか、対向線状導体に
電流分布が生じる分布定数回路として機能するかの違い
である。いずれの場合も結合の強さは配置パラメータ
(対向間隔、対向長さ)によって一義的に決定されるた
め、配置上の制限により、最適化が不可能な場合があ
る。特に対向間隔は、導電性ペーストの印刷精度やマイ
グレーションの影響により、ある距離より短くできない
ため、対向長さを大きくして結合を強くしなければなら
ない。
【0007】しかしながら、上記のようにすると、第1
の用途ではスペースが必要になり、他の線状導体の配置
に影響を及ぼす場合がある。また、第2の用途では、最
適化すべき電流分布が大きく変わり、本来の目的が達成
できなくなる。アンテナ諸特性を向上させるためには、
最適な線状導体の配置と最適な結合の強さを同時に満足
させなければならない。従来技術では、線状導体の基板
となっているガラスの上に、前記結合の強さを制御する
ための高誘電率層を形成することは、焼成温度の許容上
限が低いことから困難であった。また、線状導体の配置
の調整だけでは性能改善はできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来、ガラス板上の複
数の近接して対向させた銀などの導電性の線状導体間の
静電容量を制御するために、該線状導体を高誘電率の誘
電体層で被覆することが要求されているが、ガラス板の
曲げ加工温度、すなわち、600〜700℃程度の温度
で、5分間程度の時間で焼成可能であり、かつ形成され
る誘電体層の誘電率を高くできる誘電体材料の作製は困
難であった。その理由は一般的な高誘電率材料は、その
焼結温度が高く、前記焼成条件では十分に焼結しないた
めである。従って本発明は、ガラス板の曲げ強化温度で
焼結可能であり、かつ形成される誘電体層の誘電率を高
くできるガラスセラミックス組成物、誘電体層の形成方
法および誘電体層付きガラス板の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、低融点ガラス
粉末および1kHzにおける比誘電率が20以上である
誘電体粉末を含有し、1kHzにおける比誘電率が16
以上であるガラスセラミックス組成物であって、該ガラ
スセラミックス組成物および有機質ワニスを含有するペ
ーストをガラス板上に塗布し、600〜700℃で焼成
してガラス板上に誘電体層を良好に形成できることを特
徴とするガラスセラミックス組成物を提供する。
【0010】また、本発明は、上記ガラスセラミックス
組成物および有機質ワニスを含有する誘電体ペーストを
離型紙上に所望のパターンに塗布および乾燥して未焼成
の誘電体層を形成し、該未焼成の誘電体層をガラス板に
転写後、焼成することを特徴とする誘電体層の形成方法
を提供する。また、本発明は、ガラス板上に形成される
導電性の線状導体の少なくとも一部を覆って、前記ガラ
スセラミックス組成物から形成される誘電体層が設けら
れていることを特徴とする誘電体層付きガラス板を提供
する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明における低融点ガラスは、
軟化点が580℃以下、好ましくは550℃以下、より
好ましくは520℃以下のガラスである。本発明におけ
る誘電体粉末の1kHzにおける比誘電率は、20以
上、好ましくは30以上、より好ましくは40以上であ
る。なお、1kHzにおける比誘電率を以下単に誘電率
という。本発明のガラスセラミックス組成物(以下単に
本発明の組成物という。)は低融点ガラス粉末および誘
電体粉末を必須成分として含有する。なお、本発明にお
ける誘電体ペーストは、本発明の組成物および有機質ワ
ニスを含有する。
【0012】前記誘電体ペーストは、ガラス板上に塗布
および乾燥後、600〜700℃で焼成され、ガラス板
上に誘電体層を良好に形成できる、すなわち、本発明の
組成物は600〜700℃で焼結可能である。ここでい
う「誘電体層を良好に形成できる」とは、「前記誘電体
層が形成されたガラス板を80℃、相対湿度90%の雰
囲気中に250時間放置後取出し、該取出したガラス板
について誘電体層の亀裂、剥離、あるいは腐食が目視観
察で認められない」ことをいう。また、「焼結可能」と
は、「ガラス板上に誘電体層を良好に形成できること」
をいう。なお、前記誘電体層とガラス板との間に他の
層、例えば、線状導体等の導電層が存在してもよい。
【0013】前記焼結可能な焼成温度が600℃未満ま
たは700℃超では、600〜700℃でガラス板を曲
げ加工する際に、同時に焼成してガラス板上に誘電体層
を良好に形成することができなくなる。焼結可能な焼成
温度は好ましくは640〜680℃である。
【0014】本発明の組成物の誘電率は、本発明の組成
物をプレス成型したものについて測定される。16未満
では前記誘電体層の誘電率が低すぎる。好ましくは20
以上、より好ましくは25以上、特に好ましくは30以
上である。
【0015】本発明の組成物の誘電体粉末の含有量は、
好ましくは6〜42重量%である。6重量%未満では本
発明の組成物の誘電率が低くなりすぎるおそれがる。よ
り好ましくは11重量%以上、特に好ましくは16重量
%以上である。42重量%超では焼結可能とならないお
それがある。より好ましくは31重量%以下、特に好ま
しくは19重量%以下である。
【0016】本発明で使用できる誘電体粉末としては、
例えば、チタン酸バリウム粉末、チタン酸カルシウム粉
末、チタン酸ストロンチウム粉末などが挙げられるが、
入手しやすい、価格が安いなどの理由によりチタン酸バ
リウム粉末またはチタン酸カルシウム粉末を用いること
が好ましい。
【0017】本発明で使用する誘電体粉末の平均粒径
は、本発明の組成物を誘電体ペーストとした場合の印刷
適性を考慮すると20μm以下であることが好ましい、
さらに好ましくは0.1〜10μm、特に好ましくは
0.1〜6μmである。また、誘電体粉末としては上記
チタン酸バリウムなどにBaO、CuO、PbOなどの
焼結助剤を添加したものを用いてもよい。これら焼結助
剤には、本発明の組成物の焼結性を向上させる作用があ
る。
【0018】これら焼結助剤を添加する場合は、本発明
の組成物の含有量として1重量%以下とするのが好まし
い。1重量%超では、本発明の組成物の誘電率が低下す
るおそれがある。なお、チタン酸バリウムなどの上記誘
電体粉末の成分は化学量論的組成から多少偏倚していて
もよい。また、前記焼結助剤はチタン酸バリウム粉末な
どとよく混合し、1200℃で約1時間仮焼して用いる
とさらに本発明の組成物の焼結性が向上する。
【0019】本発明における低融点ガラスは、自動車用
ガラス板等のガラス板に広く用いられるソーダライムガ
ラスの軟化点(約730℃)よりも低い温度で軟化流動
を開始する。この低融点ガラス粉末は、本発明の組成物
を600〜700℃で焼結可能とするための必須成分で
ある。
【0020】本発明の組成物の低融点ガラス粉末の含有
量は好ましくは58〜94重量%である。58重量%未
満では、焼結可能とならないおそれがある。より好まし
くは69重量%以上、好ましくは80重量%以上であ
る。94重量%超では誘電体粉末の含有量が小さくなり
すぎ、本発明の組成物の誘電率が低くなりすぎるおそれ
がある。より好ましくは89重量%以下、特に好ましく
は85重量%以下である。
【0021】本発明における低融点ガラスは、実質的
に、 PbO 50〜80重量%、 SiO2 20〜35重量%、 TiO2 0〜10重量%、 ZnO 0〜4重量%、 Al23 0〜3重量%および ZrO2 0〜3重量% からなることが好ましい。
【0022】誘電体粉末がチタン酸バリウム粉末を含有
する場合(以下Aの場合という。)、本発明における低
融点ガラスは、実質的に、 PbO 50〜80重量%、 SiO2 20〜35重量%、 TiO2 1〜10重量%、 ZnO 0〜4重量%、 Al23 0〜3重量%および ZrO2 0〜3重量% からなることが好ましい。
【0023】また、誘電体粉末がチタン酸カリウム粉末
を含有する場合(以下Bの場合という。)、本発明にお
ける低融点ガラスは、実質的に、 PbO 50〜80重量%、 SiO2 20〜35重量%、 TiO2 0〜1重量%、 ZnO 1〜4重量%、 Al23 0〜3重量%および ZrO2 0〜3重量% からなることが好ましい。
【0024】以下で、重量%を単に%と表示して上記組
成について説明する。PbOは軟化点を下げる成分であ
り必須である。50%未満では軟化点が高くなりすぎ、
焼結しにくくなるおそれがある。より好ましくは61%
以上、特に好ましくは66%以上である。80%超では
SiO2の含有量が小さくなりすぎて耐候性が低下し、
また、誘電損失(tanδ)が大きくなりすぎるおそれ
がる。より好ましくは74%以下、特に好ましくは69
%以下である。
【0025】SiO2はネットワークフォーマーであり
必須である。20%未満では耐候性が低下し、また、誘
電損失が大きくなりすぎるおそれがある。より好ましく
は22%以上、特に好ましくは24%以上である。35
%超では軟化点が高くなりすぎ、焼結しにくくなるおそ
れがある。より好ましくは32%以下、特に好ましくは
30%以下である。
【0026】TiO2は誘電率を大きくする成分であり
10%まで含有してもよい。10%超では焼結しにくく
なり、または耐候性が低下し、または誘電損失が大きく
なりすぎるおそれがる。より好ましくは7%以下であ
る。前記Aの場合は、TiO2を1%以上含有すること
がより好ましく、5%以上含有することが特に好まし
い。前記Bの場合は、TiO2の含有量は1%以下であ
ることがより好ましく、0%すなわち含有量が不純物レ
ベルであることが特に好ましい。
【0027】ZnOは誘電率を大きくする成分であり、
4%まで含有してもよい。4%超では焼結しにくくな
り、または耐候性が低下し、または誘電損失が大きくな
りすぎるおそれがある。より好ましくは3%以下であ
る。前記Bの場合は、ZnOを1%以上含有することが
より好ましい。Al23およびZrO2は必須ではない
が、耐候性向上等のためにそれぞれ3%まで含有しても
よい。好ましくは2%以下である。
【0028】本発明における低融点ガラスは、好ましく
は実質的に上記成分からなるものであるが、この他に本
発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば、Fe
23等の着色剤等を合量で3%まで含有してもよい。な
お、B23、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸
化物は耐候性を低下させるおそれがあるので、これらの
合量を2%以下とするのがより好ましく、実質的に含有
しないことが特に好ましい。
【0029】以上の低融点ガラスは、原料を溶融してガ
ラス化し、これを冷却および粉砕して使用する。低融点
ガラス粉末の平均粒径は、本発明の組成物を誘電体ペー
ストとした場合の印刷適性を考慮すると3μm以下であ
ることが好ましい、さらに好ましくは0.1〜2μmで
ある。
【0030】なお、本発明の組成物には、必要に応じて
フィラーや顔料などの他の添加剤を合量で3重量%まで
添加してもよい。フィラーとしては、例えば、アルミ
ナ、ジルコニアなどを合量で1.5重量%まで、顔料と
してはCuCrO3などを合量で1.5重量%まで添加
してもよい。
【0031】本発明の組成物を誘電体ペーストとして使
用する場合の有機質ワニスは、バインダー機能を有する
有機質樹脂を溶媒に溶解したものであり、誘電体ペース
トに印刷適性を付与できるものであれば特に限定されな
い。しかし、原料が市販されており、かつ入手しやすい
ことから、エチルセルロース樹脂、アクリル樹脂および
フェノール樹脂からなる群より選ばれた1種以上の有機
質樹脂を、α−テルピネオール、ブチルカルビトールア
セテートおよびフタル酸エステルからなる群より選ばれ
た1種以上の溶媒に溶解したものを用いることが好まし
い。
【0032】上記有機質ワニスは通常10〜60重量%
の濃度の溶液として使用し、その溶液としての使用量
は、得られる誘電体ペーストの印刷適性を考慮して、誘
電体ペースト中において通常は10〜30重量%、好ま
しくは13〜20重量%の量で使用する。
【0033】本発明の組成物は、主として自動車用ガラ
ス板上に誘電体層を形成する場合に使用される。特にガ
ラス板上に形成される線状導体、特に対向線状導体の被
覆に使用することにより、対向線状導体の静電容量を制
御し、対向線状導体のアンテナ諸特性を向上させること
ができる。
【0034】本発明において誘電体ペーストは、上記の
成分、すなわち低融点ガラス粉末、誘電体粉末および有
機質ワニス等を調合し、例えば磁器乳鉢により各成分を
分散および混合することによって得られる。その使用
は、後記のように主にスクリーン印刷によって行なわれ
るので、スクリーン印刷適性を有するように各成分量を
配合することが好ましい。
【0035】つぎに本発明のガラス板面に誘電体層を形
成する方法を説明する。ガラス板に対する誘電体ペース
トの塗布方法は、特に限定されるものではないが、正確
なパターンを形成するためには通常スクリーン印刷方式
を用いる。印刷は、ガラス板面に形成されている線状導
体を被覆するパターンで行なうことができる。他の特に
好適な方法としては転写方法が挙げられる。
【0036】この転写方法を使用する場合には、誘電体
ペーストを適当な離型紙上に所望のパターンおよび塗布
厚で印刷し、乾燥して溶剤を蒸発させて所望パターンの
未焼成の誘電体層を形成する。この未焼成の誘電体層を
被転写体であるガラス板面に加熱および加圧して接着さ
せ、その後離型紙を剥離することにより未焼成の誘電体
層をガラス板面に転写する。その後焼成することによっ
て所望の誘電体層が形成される。この方法においては、
必要に応じて誘電体ペーストの塗布面にさらにスクリー
ン印刷によって導電性ペーストをパターン状に印刷およ
び乾燥し、前記未焼成の誘電体層と導電性ペーストパタ
ーンとを同時にガラス板面に転写し、その後同時に焼成
することも可能である。
【0037】上記のようにスクリーン印刷あるいは転写
した後に焼成して得られる誘電体層の厚みは、目的とす
る静電容量などによって調整すればよいが、好ましくは
20〜100μmである。誘電体層が薄すぎると、均一
な層を形成するのが難しいのに加えて、誘電体層が内包
する気泡の影響で絶縁性が低下するおそれがある。一
方、誘電体層が厚すぎると焼成時の脱バインダー性が悪
くなり、誘電体粉末の焼結性を阻害するおそれがある。
焼成は通常空気中で行い、その焼成温度は600〜70
0℃であり、特に640℃〜680℃とすることが好ま
しい。焼成温度までの昇温時間は通常20分間程度、上
記温度での保持時間は5分間程度である。本発明の組成
物を含有する誘電体ペーストを自動車用ガラス板に適用
する場合、前記焼成は、通常は前記自動車用ガラス板を
曲げ強化する際に同時に行われる。
【0038】本発明では前記の本発明の組成物及び上記
の誘電体の形成方法を使用して、前記通電加熱用ヒータ
ーおよび/または放送波受信用アンテナを構成している
導電性の線状導体の少なくとも一部を覆って誘電体層が
設けられている誘電体層付きガラス板を提供する。上記
導電性の線状導体は従来公知の線状導体でよく、具体的
にはガラス板上に形成されている対向する複数本の線状
導体、ガラス板上に形成される複数層の導電性の線状導
体、その他の線状導体である。本発明では上記各線状導
体を覆って、または複数層の線状導体間の線状導体を覆
って前記誘電体層が設けられている。このように誘電体
層を設けることにより、各線状導体間の絶縁性を良好に
できる。その結果、対向する線状導体間の間隔を狭くで
き、また、線状導体を複数層化でき、線状導体のパター
ンをコンパクト化できる。これらの誘電体層により少な
くとも一部が覆われた線状導体を有し、各線状導体の絶
縁性を良好にしたガラス板は、特に自動車用ガラス板と
して、例えば、所望の線状導体のパターンを有する自動
車用ガラスアンテナとして有用である。
【0039】
【実施例】つぎに例を挙げて本発明をさらに詳細に説明
する。誘電体ペーストは以下のようにして作製した。誘
電体粉末としては、チタン酸バリウム(BaTiO3
粉末、チタン酸カルシウム(CaTiO3)粉末、Ba
O粉末、CuO粉末、およびPbO粉末を用いた。チタ
ン酸バリウム粉末とチタン酸カルシウム粉末の平均粒径
は1.0〜1.7μmであった。
【0040】低融点ガラスは、その組成が酸化物基準の
重量%表示で、PbO:67.5%、SiO2:25
%、TiO2:6%、Al23:1.5%のもの(軟化
点:510℃、誘電率:20)と、同じく重量%表示で
PbO:68%、SiO2:29%、ZnO:2%、Z
rO2:1%のもの(軟化点:490℃、誘電率:1
6)を用いた。前記組成となるように原料を調合し、こ
の原料を白金ルツボ中に入れ、1500℃で溶融した
後、溶融ガラスをローラーで冷却しながらフレーク化し
た。フレーク化したガラスをボールミルにて平均粒径
0.1〜2μmに粉砕し、低融点ガラス粉末を作製し
た。有機質ワニスとしては、重合度7のエチルセルロー
ス樹脂をα−テルピネオ−ルに濃度が20重量%となる
ように溶解したものを用いた。
【0041】つぎに、誘電体粉末と低融点ガラス粉末を
表1および表2に重量%表示で示した割合で調合混合
し、ガラスセラミックス組成物を作製した。このガラス
セラミックス組成物が85重量%、前記有機質ワニスが
15重量%となるように調合後、磁器乳鉢中で1時間混
練し、さらに三本ロールを用いて3回分散を行い誘電体
ペーストを作製した。
【0042】この誘電体ペーストを、図1に示すよう
に、離型紙上に10mm×10mmの矩形で乾燥厚み約
30μmのパターン状にスクリーン印刷し、さらにこの
誘電体ペースト層上に、導電性ペーストである銀ペース
トを用いてスクリーン印刷により、線幅1.0mm、線
間隔1.0mmおよび厚み10μmの2本の銀ペースト
層を形成した。この際、離型紙としてリンテック(株)
製の離型紙「ST80」を使用した。
【0043】つぎに、この離型紙上にパターン状に印刷
された誘電体ペースト層および銀ペースト層を80℃に
て10分間乾燥後、図2に示すように、耐熱ゴム製の熱
圧着ローラで両側から150℃および5kgf/cm2
の条件で3.5mm厚のガラス板の表面に熱圧着し、未
焼成の誘電体層と未焼成の導電層を形成した。その後3
0分間自然冷却した後、離型紙を剥してこれらの層をガ
ラス板表面に転写した。その状態を図3に示す。これら
の層が転写されたガラス板を電気炉に入れ680℃で5
分間焼成し、ガラス板上に誘電体層(厚さ:20〜30
μm)と導電層を形成した。
【0044】誘電体層と導電層が形成された前記ガラス
板について、以下に述べる方法により、線間容量と誘電
損失(tanδ)を測定した。結果を表1および表2に
示す。線間容量の増加を確認し、比較するために、図4
に示したように誘電体層を形成せずに導電層だけを形成
したサンプルも作製し、線間容量を測定した。結果を表
1および表2の欄外に示す。
【0045】また、前記ガラスセラミックス組成物の誘
電率も測定した。測定サンプルは、前記組成物を図5に
示したペレット状にプレス成型したものである。さらに
その両面を白金で蒸着して電極を形成した。電極間の静
電容量C[F]を1kHzで測定し、下記に示す計算式
よりガラスセラミックス組成物の比誘電率(ε)を算出
した。結果を表1および表2に示す。 ε=(t×C)/(A×ε0) t=試料の厚さ[m] C=静電容量[F] A=電極の面積[m2] ε0=真空の誘電率8.854×10-12[F/m]
【0046】線間容量と誘電損失の測定は、1KHzに
おいて室温でインピーダンスアナライザ(HP−419
2A、ヒューレットパッカード社製)と誘電率測定用電
極(HP−16451B、ヒューレットパッカード社
製)により行った。前記誘電体層がガラス板上に良好に
形成されているか否かを調べるために以下のような耐候
性試験を行った。前記誘電体層と導電層とが形成された
ガラス板を、ダバイエスペック(株)製の恒温恒湿槽P
H−2FTに入れ、80℃、相対温度90%の雰囲気中
に250時間放置後取出し、目視観察を行った。その結
果、例1〜14のいずれについても誘電体層の亀裂、剥
離あるいは腐食は認められなかった。
【0047】表1
【0048】表2
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、誘電率が16以上の誘
電体層を形成することができるガラスセラミックス組成
物を提供できる。また、前記誘電体層の形成するための
焼成は600〜700℃で行える。これにより自動車用
ガラス板を曲げ強化する際に同時に焼成することが可能
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 離型紙上への誘電体層の形成を説明する図。
【図2】 誘電体ペースト層の転写を説明する図。
【図3】 未焼成の誘電体層をガラス板に転写した状態
を説明する図。
【図4】 誘電体層を形成せずに導電層だけを形成した
サンプルを説明する図。
【図5】 ガラスセラミックス組成物の誘電率を測定す
るため使用したサンプルを説明する図。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G059 AA01 AC11 AC21 CA03 CB09 4G062 AA08 AA09 AA11 AA15 BB04 DA04 DA05 DB01 DB02 DB03 DC01 DD01 DE01 DE02 DE03 DF06 DF07 EA01 EA10 EB01 EC01 ED01 EE01 EF01 EG01 FA01 FA10 FB01 FB02 FB03 FC01 FC02 FC03 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GA10 GB01 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH11 HH13 HH15 HH17 HH20 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 JJ10 KK01 KK03 KK05 KK07 KK10 MM07 NN26 NN32 PP09 PP13 PP14

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低融点ガラス粉末および1kHzにおける
    比誘電率が20以上である誘電体粉末を含有し、1kH
    zにおける比誘電率が16以上であるガラスセラミック
    ス組成物であって、該ガラスセラミックス組成物および
    有機質ワニスを含有するペーストをガラス板上に塗布
    し、600〜700℃で焼成してガラス板上に誘電体層
    を良好に形成できることを特徴とするガラスセラミック
    ス組成物。
  2. 【請求項2】低融点ガラス粉末を58〜94重量%およ
    び誘電体粉末を6〜42重量%それぞれ含有する請求項
    1に記載のガラスセラミックス組成物。
  3. 【請求項3】誘電体粉末が、チタン酸バリウム粉末また
    はチタン酸カルシウム粉末を含有する請求項1または2
    に記載のガラスセラミックス組成物。
  4. 【請求項4】低融点ガラスが、実質的に、 PbO 50〜80重量%、 SiO2 20〜35重量%、 TiO2 0〜10重量%、 ZnO 0〜4重量%、 Al23 0〜3重量%および ZrO2 0〜3重量% からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスセ
    ラミックス組成物。
  5. 【請求項5】誘電体粉末がチタン酸バリウム粉末を含有
    し、低融点ガラスのTiO2含有量が1〜10重量%で
    ある請求項4に記載のガラスセラミックス組成物。
  6. 【請求項6】誘電体粉末がチタン酸カルシウム粉末を含
    有し、低融点ガラスのTiO2含有量が0〜1重量%、
    ZnO含有量が1〜4重量%である請求項4に記載のガ
    ラスセラミックス組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のいずれか1項に記載のガラ
    スセラミックス組成物および有機質ワニスを含有する誘
    電体ペーストを離型紙上に所望のパターンに塗布および
    乾燥して未焼成の誘電体層を形成し、該未焼成の誘電体
    層をガラス板に転写後、焼成することを特徴とする誘電
    体層の形成方法。
  8. 【請求項8】ガラス板上に形成される導電性の線状導体
    の少なくとも一部を覆って、請求項1〜6のいずれか1
    項に記載のガラスセラミックス組成物から形成される誘
    電体層が設けられていることを特徴とする誘電体層付き
    ガラス板。
  9. 【請求項9】対向する複数本の線状導体を覆って、前記
    誘電体層が設けられていることを特徴とする請求項8に
    記載の誘電体層付きガラス板。
  10. 【請求項10】ガラス板上に形成される複数層の導電性
    の線状導体を有し、各線状導体間の線状導体を覆って、
    前記誘電体層が設けられていることを特徴とする請求項
    8に記載の誘電体層付きガラス板。
  11. 【請求項11】ガラス板が自動車用ガラス板であること
    を特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の誘
    電体層付きガラス板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008044800A (ja) * 2006-08-10 2008-02-28 Nippon Sheet Glass Co Ltd 導電性セラミックス焼結体付き窓ガラス及びその製造方法
RU2498952C1 (ru) * 2012-04-06 2013-11-20 Открытое акционерное общество "Тольяттиазот" Глазурь

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