JP2000263427A - 枚葉式両面ラップ盤 - Google Patents

枚葉式両面ラップ盤

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JP2000263427A
JP2000263427A JP7098999A JP7098999A JP2000263427A JP 2000263427 A JP2000263427 A JP 2000263427A JP 7098999 A JP7098999 A JP 7098999A JP 7098999 A JP7098999 A JP 7098999A JP 2000263427 A JP2000263427 A JP 2000263427A
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lap
work
thermal displacement
lapping
lap surface
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Tetsutsugu Osaka
哲嗣 大阪
Toshio Murakami
敏夫 村上
Moritoshi Abe
守年 阿部
Yutaka Inada
豊 稲田
Hideki Iwai
英樹 岩井
Shiyuubin Minami
秀旻 南
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Toyoda Koki KK
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Super Silicon Crystal Research Institute Corp
Toyoda Koki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラッピング加工中にも熱変位の自動補正がで
きる枚葉式両面ラップ盤を提供すること。 【解決手段】 本発明の枚葉式両面ラップ盤は、対向す
る一対のラップ定盤のうち一方11を位置決めして回転
駆動する基準軸1と、他方21を回転駆動してワークW
に押し付ける加圧軸2とに加え、測距センサ4と制御装
置5とを有する。測距センサ4は、ラップ定盤11のラ
ップ面11aの背面である測定面11bの軸長方向の熱
変位を測定し、制御装置5は、その測定結果に基づいて
ラップ面11aの熱変位を推算してこれを補正し、ラッ
プ定盤11のラップ面11aとワークWを挟持して回転
させる駆動ローラ72との相対位置を調整する。それゆ
え、ラッピング加工中にもラップ面11aの熱変位が自
動補正され、高い加工精度が保たれるとともに、生産性
が向上するという効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンウェーハ
等の円盤状のワークを両面からラッピング加工する枚葉
式両面ラップ盤の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来の枚葉式両面ラップ盤としては、特
開平10−80861号公報に開示されているものが代
表的である。すなわち従来技術の枚葉式両面ラップ盤
は、図10に示すように、砥粒を含む加工液Lが供給さ
れ円盤状のワークWを表裏両面から挟持しつつ互いに対
向して回転する一対のラップ定盤101,102を有す
る。同枚葉式両面ラップ盤はまた、四方からワークWの
外周面に当接しワークWを回転可能に支持する四つのガ
イドローラ103と、ガイドローラ103に支持されて
いるワークWを所定の角速度で回転駆動する二対の駆動
ローラ104とをもつ。
【0003】ここで、ラップ定盤101,102は、ワ
ークWの直径の半分強の直径をもつリング状の部材であ
り、それぞれ先端にリング状のラップ面をもち、回転軸
に弾性変形可能な円盤部材によって固定されている。ラ
ップ101,102定盤は、中空の回転軸によって互い
に逆方向に同等の回転率で高速で回転駆動され、両ラッ
プ定盤101,102の内部には、回転軸の軸芯の孔を
通して加工液Lが加圧供給される。一方、ワークWは、
薄くて割れやすく、精密かつ平坦に表面が研磨されるべ
きシリコンウェーハである。
【0004】一方のラップ定盤101は基準軸側のラッ
プ定盤であって軸長方向に固定されており、四つのガイ
ドローラ103および二対の駆動ローラ104によって
支持されているワークWは、このラップ定盤101に軽
く押し当てられる。そして、その背後から他方のラップ
定盤102(加圧軸側のラップ定盤)が軸長方向に移動
してきて、ワークWを所定の押圧力でラップ定盤101
に押さえ付けるので、両ラップ定盤101,102によ
ってワークWの表裏両面が研磨される。その際、駆動ロ
ーラ104によってワークWが回転駆動され、ワークW
の表裏両面の全ての部分が順に送られてラップ定盤10
1,102のラップ面に摺接するので、ワークWの表裏
両面は平坦かつ平滑に研磨される。また、両ラップ定盤
101,102のラップ面には、加工中には常に内周側
から加工液Lが供給され続けるので、両ラップ面および
ワークWは、適当に冷却されつつ加工液L中の砥粒によ
って研磨される。
【0005】前述のようにラップ定盤101,102の
直径は、ワークWであるシリコンウェーハの円盤の半径
よりもやや大きい程度であるから、ラップ定盤101,
102の面積はワークWの面積の四分の一強で済む。そ
れゆえ、このような枚葉式両面ラップ盤は、ワークWと
してのシリコンウェーハの直径がかなり大きくなって
も、比較的小型に構成されるので、小型軽量かつ安価で
ある。また、ラップ定盤101,102のラップ面は幅
の狭いリング状をしているから、ラッピング加工中に生
じる切粉が加工液Lと共に直ぐにラップ面から排出され
るので、良好な状態でワークWの表面を研磨することが
できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来技術の枚葉式両面ラップ盤では、いったん所定位置に
固定されると基準軸は移動しないので、ラッピング加工
が始まり基準軸の回転軸およびラップ定盤101が熱膨
張すると、ワークWに曲げを生じてしまう。その結果、
ワークWの加工精度が低下するという不都合が生じる。
このような不都合については、本発明の実施例1と比較
し易いように、駆動ローラ105,106の外周面が円
錐面で形成されているモデルを例に取り上げ、図11お
よび図12を参照して以下に説明する。
【0007】すなわち、図11に示すように、一対の駆
動ローラ105,106のうち基準軸側の一方105
は、基準軸をスライド可能に支持している基台テーブル
(図略)に固定されている。そして基準軸は、そのラッ
プ定盤101のラップ面101aの延長面が駆動ローラ
105の外周面と接するように、ワークWのラッピング
加工に先だって位置決めがなされる。すなわち、駆動ロ
ーラ105の外周面と接しラップ定盤101のラップ面
101aに平行な基準平面に対して、ラップ定盤101
のラップ面101aが同一平面に位置するように、基準
軸は位置決めされて基台テーブルに固定される。しかる
後、加圧軸側の駆動ローラ106が、基準軸側の駆動ロ
ーラ105との間にワークWの外縁部を挟持してワーク
Wを回転駆動し、加圧軸は、所定の押圧力をもって他方
のラップ定盤102をワークWに押し付けて回転駆動す
る。すると、ワークWは、両ラップ定盤101,102
に表裏両面から挟持されてラッピング加工される。
【0008】ところが、ラッピング加工を始めてしばら
くすると、ラップ面101aに生じる摩擦熱に起因して
基準軸側のラップ定盤101が熱膨張すると共に、基準
軸の回転軸も回転子の発熱によって熱膨張する。このよ
うな熱膨張は、加圧軸側でも同様に起きているが、加圧
軸側は所定の押圧力でラップ定盤102をワークWに押
し付けているだけであるから、ワークWを介して基準軸
側のラップ定盤101に押されれば加圧軸は後退する。
それゆえ、図12に示すように、基準軸側のラップ定盤
101のラップ面101aは、熱変位を生じて、基準軸
側の駆動ローラ105の接面である基準平面から外れた
位置でワークWに当接するに至る。すると、ワークWの
両ラップ定盤101,102に挟持された部分と両駆動
ローラ105,106に挟持された部分との間に、曲げ
モーメントや剪断力が生じ、正常でない応力が発生し
て、ワークWの加工精度が低下してしまうという不都合
を生じる。
【0009】このような不都合を回避するためには、ラ
ッピング加工の途中や幾枚かのワークWが仕上がった際
に、いったん枚葉式両面ラップ盤を停止させ、手動で基
準軸の位置を再調整することもできる。しかし、このよ
うに手動で再調整すると、今度は枚葉式両面ラップ盤を
停止する分だけ生産性が低下する。そればかりではな
く、熱変位が起きることを予測して幾度も再調整する必
要が生じ、運転員の手間がかかってしまう。その結果、
加工コストの増大を招くという不都合が新たに生じる。
【0010】以上のような不都合は、ひとえに熱変位の
補正が自動的に行われていないことに起因している。そ
こで本発明は、ラッピング加工中にも熱変位の自動補正
を行うことができる枚葉式両面ラップ盤を提供すること
を解決すべき課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者らは以下の手段を発明した。 (第1手段)本発明の第1手段は、円盤状のワークを表
裏両面から挟持しつつ互いに対向して回転し該ワークの
該表裏両面をラッピング加工する一対のラップ定盤と、
該ワークの外周面に当接し該ワークを回転可能に支持す
る複数のガイドローラと、該ワークの外縁部を挟持し該
ワークを回転駆動する少なくとも一対の駆動ローラと、
各該ガイドローラおよび各該駆動ローラを支持する基台
テーブルとを有する枚葉式両面ラップ盤である。本手段
の特徴は、両前記ラップ定盤のうち一方を軸長方向に移
動させて位置決めし該ラップ定盤を軸支して回転駆動す
る基準軸と、両該ラップ定盤のうち他方を軸支して回転
駆動しつつ所定の押圧力をもって前記ワークに押し付け
る加圧軸と、該基準軸に回転駆動される該ラップ定盤の
ラップ面と平行に形成された測定面の軸長方向の位置を
測定する位置センサと、該位置センサの測定結果に基づ
いて該ラップ定盤の該ラップ面の軸長方向の熱変位を推
算し、該熱変位を補正して該ラップ面と前記駆動ローラ
との相対位置を調整する制御装置とをさらに有すること
である。
【0012】本手段では、先ず基準軸が、両ラップ定盤
のうち基準軸に装着された一方を軸長方向に移動させて
駆動ローラに合致した軸長方向に位置に位置決めする。
次に、加圧軸が、両ラップ定盤のうち加圧軸に装着され
た他方を、所定の押圧力をもってワークに押し付け、ワ
ークを基準軸のラップ定盤との間に挟持する。そして、
基準軸および加圧軸は、それぞれのラップ定盤を回転駆
動して、ワークを両面から研磨する。それゆえ、基準軸
側の回転軸やラップ定盤の熱変位が放置されると、ワー
クの軸長方向の位置が駆動ローラの軸長方向の位置との
間にずれを生じるようになる。
【0013】そこで本手段では、駆動軸側のラップ定盤
のラップ面が駆動ローラの位置に合致するようにいった
ん駆動軸の位置決めが行われると、ラップ定盤のラップ
面の熱変位が自動的に補正され、駆動ローラに対する同
ラップ面の位置が適正な範囲に保たれる。すなわち、駆
動軸の位置決めが適正になされた後、本手段の枚葉式両
面ラップ盤の運転を開始すると、基準軸側のラップ定盤
のラップ面と平行に形成された測定面の軸長方向の熱変
位が位置センサによって測定され、測定結果は制御装置
に取り込まれる。すると、制御装置は、位置センサの測
定結果に基づいて、基準軸側のラップ定盤のラップ面の
軸長方向の熱変位を推算し、その推算値に基づいて熱変
位を補正して同ラップ面と駆動ローラとの相対位置を自
動的に調整する。それゆえ、ワークのラッピング加工の
最中であっても、インプロセスで基準軸の位置が自動調
整され、基準軸側のラップ定盤のラップ面は、駆動ロー
ラの外周面に接する基準平面に対して自動的に適正な範
囲に保たれる。
【0014】その結果、ワークは常にほとんど曲げモー
メントを受けることなくラッピング加工されるので、ワ
ークの加工精度は十分に高く保たれる。また、熱変位に
関しては、運転員が調整作業を行う必要もなく、本手段
の枚葉式両面ラップ盤は自動運転を続けることができ
る。それゆえ、熱変位に関しては調整作業工数もかから
ず、生産性が低下することもない。
【0015】したがって、本手段の枚葉式両面ラップ盤
によれば、ラッピング加工中にも熱変位の自動補正を行
うことができるので、加工コストの増大を招くことな
く、十分な仕上がり精度でラッピング加工を行うことが
できるという効果がある。 (第2手段)本発明の第2手段は、前述の第1手段にお
いて、前記制御装置は、前記基準軸に回転駆動される前
記ラップ定盤の前記測定面の前記熱変位に所定の倍数を
かけて、該ラップ定盤の前記ラップ面の前記熱変位を推
算する数値制御装置であることを特徴とする。
【0016】前述の第1手段の枚葉式両面ラップ盤で
は、ラッピング加工中に基準軸側のラップ定盤のラップ
面の熱変位を直接測定することはできないので、同ラッ
プ面と平行に形成された測定面の熱変位を位置センサに
よって測定している。そして制御装置により、同ラップ
面の熱変位を推算するのであるが、この推算には適正な
推算アルゴリズムなり推算式なりが必要とされる。
【0017】そこで、駆動ローラに接する基準平面に同
ラップ面の軸長方向の位置を合わせた状態から、枚葉式
両面ラップ盤が運転を開始すると、一様にまたは所定の
温度変化の分布で基準軸の回転軸およびラップ定盤の温
度が変化するものと仮定する。すると、基準軸側のラッ
プ定盤のラップ面の熱変位は、測定面の熱変位に所定の
倍数をかけるだけで求めることが可能になる。すなわ
ち、極めて簡素な推算式により、位置センサの測定結果
から基準軸側のラップ定盤のラップ面の熱変位を求める
ことが可能になる。
【0018】そこで本手段では、制御装置によるラップ
面の熱変位の推算は、測定面の熱変位に所定の倍数をか
けることによって行われる。したがって本手段によれ
ば、前述の第1手段の効果に加えて、極めて簡素な演算
で測定面の熱変位からラップ面の熱変位を推定すること
ができるので、制御装置の演算負荷が少ないという効果
がある。
【0019】ここで、前述の所定の倍数を求めておく方
法としては、基準軸の回転軸およびラップ定盤の各部の
熱膨張率から理論的に求める方法を取ることもできる。
しかし、実際に枚葉式両面ラップ盤を運転してみて、運
転を中断してはラップ面の熱変位と測定面の熱変位とを
実測して求める方法を取ることが、より正確であって望
ましい。
【0020】(第3手段)本発明の第3手段は、前述の
第1手段において、前記制御装置は、前記基準軸の位置
を調整することにより、前記熱変位を補正して前記ラッ
プ面と前記駆動ローラとの前記相対位置を調整する数値
制御装置であることを特徴とする。すなわち、ガイドロ
ーラとラップ定盤のラップ面との位置を合致させるに
は、基準軸を軸長方向に移動させても良いし、ガイドロ
ーラを軸長方向に移動させてもよい。しかし、ガイドロ
ーラを軸長方向に平行移動させるには、それなりの移動
装置が必要になる。
【0021】一方、本手段のように、基準軸を軸長方向
に移動させるには、もともと基準軸に備え付けられてい
るボールねじ等のスライド手段を使用すれば済み、新た
に移動装置を増設する必要はない。それゆえ本手段で
は、制御装置の基準軸の位置を制御するソフトウェアを
若干改修するだけで済む。ここで、制御装置は数値制御
装置であるから、ソフトウェアの改修は容易であり、量
産すれば費用増大はほんのわずかで済む。
【0022】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、コストアップを最低限に抑制するこ
とができるという効果がある。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の枚葉式両面ラップ盤の実
施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られ
るよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。 [実施例1] (実施例1の構成)本発明の実施例1としての枚葉式両
面ラップ盤は、図1に平面図を示すように、円盤状のワ
ークWを表裏両面から挟持しつつ互いに対向して回転
し、ワークWの表裏両面をラッピング加工する一対のラ
ップ定盤11,21を有する。そして、一方のラップ定
盤11を軸長方向に移動させて位置決めし、ラップ定盤
11を軸支して回転駆動する基準軸1と、他方のラップ
定盤21を軸支して回転駆動しつつ所定の押圧力をもっ
てワークWに押し付ける加圧軸2とを有する。また、図
1のII−II矢視側面図を図2に示すように、ワーク
Wの外周面に当接しワークWを回転可能に支持する樹脂
製の複数のガイドローラ31と、ワークWの外縁部を挟
持しワークWを回転駆動する少なくとも一対の駆動ロー
ラ72,73とを有する。また、再び図1に示すよう
に、基準軸1、加圧軸2、各ガイドローラ31および各
駆動ローラ72,73を支持する基台テーブル100を
有する。
【0024】さらに本実施例の枚葉式両面ラップ盤は、
図4に示すように、基準軸1に回転駆動されるラップ定
盤11のラップ面11aと平行に形成された測定面11
bの軸長方向の熱変位を含んだ位置を測定する位置セン
サとしての測距センサ4を有する。測距センサ4は、半
導体レーザと一次元CCDとをもつ非接触型センサであ
って、基準軸1のビルトイン・モータ12(図4参照)
の先端部付近の外縁部に固定されている。
【0025】本実施例の枚葉式両面ラップ盤はまた、同
じく図4に示すように、本実施例の枚葉式両面ラップ盤
の全体を統御する制御装置5を有する。制御装置5は、
CPUを中核としメモリをもつプログラマブルな数値制
御装置である。制御装置5は、測距センサ4の測定結果
に基づいてラップ定盤11のラップ面11aの軸長方向
の熱変位を推算し、同熱変位を補正してラップ面11a
と駆動ローラ72との相対位置を調整する機能をもつ。
すなわち、制御装置5は、基準軸1に回転駆動されるラ
ップ定盤11のラップ面11aに対し平行に背向する背
面である測定面11bの熱変位に所定の倍数をかけて、
ラップ定盤11のラップ面11aの軸長方向の熱変位を
推算する機能をもつ。そしてさらに、制御装置5は、基
準軸1の位置を調整することにより、ラップ面11aの
熱変位を補正してラップ面11aと固定側の駆動ローラ
72との相対位置を調整する機能をもつ。
【0026】以下、より詳細に本実施例の枚葉式両面ラ
ップ盤の構成について説明する。本実施例の枚葉式両面
ラップ盤は、再び図1に平面図を示すように、砥粒を含
む加工液Lが供給され円盤状のワークWを表裏両面から
挟持しつつ互いに対向して反対方向に回転する一対のラ
ップ定盤11,21を有する。また、再び図2に示すよ
うに、ワークWの外周面に当接しワークWを三方から回
転可能に支持する三つのガイドローラ31を有する。さ
らに、各ガイドローラ31に当接するワークWの外縁部
付近をその表裏両面に対して所定の間隙を空けて覆う互
いに対向した一対の対向面(図略)と、両対向面にそれ
ぞれ開口しワークWに向かってパージ流体Pを供給する
パージ流体供給孔30とが形成された三つのパージ装置
3を、各ガイドローラ31毎に有する。すなわち、各パ
ージ装置3は、それぞれガイドローラ31を内蔵し回転
自在に軸支している。
【0027】ここで、ワークWは、表裏両面が互いに平
行でともに平坦かつ平滑にラッピング加工されるべき、
薄い円盤状のシリコンウェーハである。すなわち、本実
施例の枚葉式両面ラップ盤は、再び図1に示すように、
基台テーブル100と、基台テーブル100上にスライ
ド可能に支持された基準軸1と、基準軸1と同軸に対向
して基台テーブル100上に支持された加圧軸2とを有
する。さらに、基準軸1と加圧軸2との間をまたいで門
型支柱8(図2参照)が、基台テーブル100上に固定
されている。そして、再び図2に示すように、門型支柱
8には、ガイドローラ31を覆う下方の一対のパージ装
置3と、ワークWの直上のパージ装置3を支持している
退避装置6と、ワークWを所定の角速度で回転駆動する
駆動ローラ装置7とが固定されている。
【0028】基準軸1は、ビルトイン・モータ12と、
同モータに回転駆動される回転軸の先端に取り付けられ
たラップ定盤11とを有する。ラップ定盤11は、図1
0で示した従来技術のラップ定盤102と同様に、背の
低い中空円筒状の部材であり、ラップ定盤11がワーク
Wに摺接するラップ面11aは、リング状をしている。
そして、ラップ定盤11の内部空間には、ビルトイン・
モータ12により回転駆動される回転軸の軸芯を貫通し
ている加工液供給孔10を通じて、砥粒を含んだスラリ
ー状の加工液Lが加圧供給される。
【0029】また、基準軸1は、基台テーブル100に
形成された平行な一対のレール14上に載せられてお
り、基準軸1の軸長方向の背後には、ボールねじ駆動モ
ータ13が基台テーブル100に固定されている。基準
軸1は、基準軸1の下に取り付けられているボールねじ
15(図4参照)を駆動するボールねじ駆動モータ13
により、レール14に沿って軸長方向に移動可能になっ
ている。
【0030】一方、加圧軸2は、前述の基準軸1と同様
に、ビルトイン・モータ22(図4参照)と、同モータ
に回転駆動される回転軸の先端に取り付けられたラップ
定盤21とを有する。ラップ定盤21は、基準軸1のラ
ップ定盤11と同様の構成であり、これら一対のラップ
定盤11,21は、それぞれのラップ面11a,12a
を互いに対向させて同軸に向かい合うように配設されて
いる。そして、加圧軸2側のラップ定盤21の内部空間
にも、やはりビルトイン・モータ22により回転駆動さ
れる回転軸の軸芯を貫通している加工液供給孔20を通
じて、加工液Lが加圧供給される。
【0031】ただし、加圧軸2は、基準軸1と異なって
レール上には配設されておらず、二つの平行に配設され
た加圧シリンダ23によって軸長方向にわずかに移動可
能である。すなわち、加圧軸2のラップ定盤21が加圧
シリンダ23によって所定の押圧力でワークWに押し付
けられるように、加圧軸2は構成されている。退避装置
6は、ワークWの直上のガイドローラ31を覆って支持
するパージ装置3を支持すると共に、ワークWの交換時
にはパージ装置3を退避させてワークWの出し入れをす
るための開口を作るための装置である。退避装置6の構
成については、後ほど図3を参照して説明する。
【0032】駆動ローラ装置7は、前述の門型支柱8に
固定された駆動用モータ71と、軸受けを内蔵した支持
部材によって門型支柱8に回転可能に支承された駆動ロ
ーラ72とをもつ。駆動用モータ71は、駆動ローラ7
2を所定の回転率で回転駆動するモータである。駆動ロ
ーラ装置7はまた、駆動ローラ72と対をなす駆動ロー
ラ73と、駆動ローラ73をワークWから離す方向に付
勢するスプリング75と、スプリング75の付勢力に逆
らって駆動ローラ73をワークWに押し付けるエアシリ
ンダ74とをもつ。一対の駆動ローラ72,73は、円
錐台形のゴムローラであって、図1および図2に示すよ
うに、ワークWに対してワークWの回転軸線と両駆動ロ
ーラ72,73の回転軸線とが斜歯歯車のように交差す
る角度および位置に配設されている。それゆえ、一対の
駆動ローラ72,73に挟まれてワークWが回転駆動さ
れるに際しては、ワークWの外縁部と両駆動ローラ7
2,73との接触面は転がりだけによって接触してお
り、摺接はしないので研磨作用はほとんど生じることが
ない。
【0033】各パージ装置3は、ぞれぞれガイドローラ
31を内蔵し、回転自在に軸支している。パージ装置3
には、ガイドローラ31に当接するワークWの外縁部付
近を、その表裏両面に対して所定の間隙を空けて覆う互
いに対向した一対の対向面と、両対向面にそれぞれ開口
しワークWに向かってパージ流体Pを供給するパージ流
体供給孔30とが形成されている。
【0034】すなわち、各パージ装置3には、ガイドロ
ーラ31に当接するワークWの外縁部付近をその表裏両
面に対して所定の間隙を空けて覆う、互いに対向した一
対の対向面が形成されている。さらに、各パージ装置3
には、両対向面にそれぞれ開口し、ワークWに向かって
パージ流体Pを供給する一対のパージ流体供給孔30が
形成されている。両対向面は、ワークWの厚さよりも所
定の寸法だけの隙間を空けてスロットを形成している。
そして、このスロットにワークWの外縁部が所定の隙間
を空けてはまり込み、パージ装置3に回転自在に収容さ
れているガイドローラ31の外周面にワークWの外周面
が当接して転がるようになっている。
【0035】それゆえ、各パージ装置3のスロットの開
口部では、ワークWの表裏両面を伝ってくる加工液Lの
ゆっくりとした流れに対して、スロットから勢い良く流
出するパージ流体Pがぶつかり、スロットへの加工液L
の浸入を防止する。その結果、ガイドローラ31はワー
クWの外周面とパージ流体Pとにのみ接触し、加工液L
には接触しない。
【0036】なお、加工液Lは、水を溶媒とし砥粒を多
量に含んだスラリー状の液体である。一方、パージ流体
Pは水であって、水は加工液Lの溶媒であるから、加工
液Lにパージ流体Pが混じっても何ら不都合は生じな
い。退避装置6は、図3に示すように、門型支柱8(図
2参照)に固定されたブラケット64と、ブラケット6
4に固定されたロータリアクチュエータ63と、ロータ
リアクチュエータ63により回動される回動軸62に固
定されたエアシリンダ61とからなる。エアシリンダ6
1は、回転しないように規制され鉛直下方を向いたピス
トンを突き出しており、同ピストンの先端部にワークW
の直上にくるパージ装置3が固定されている。
【0037】ワークWを交換する場合には、先ずエアシ
リンダ61がピストンを引っ込め、ワークWの外縁部か
ら直上のパージ装置3を引き抜いたうえで、ロータリア
クチュエータ63が、パージ装置3およびエアシリンダ
61を90°回転させる。その結果、パージ装置3およ
びエアシリンダ61は、ワークWの延長面上から退避し
て開口を形成するので、駆動ローラ装置7および下方の
一対のパージ装置3からワークWを上方へ引き抜くこと
ができるようになる。また、新たなワークWを上方から
駆動ローラ装置7および下方の一対のパージ装置3へ挿
入することが可能になる。
【0038】ところで、制御装置5は、前述のように、
ラップ定盤11の測定面11bの軸長方向の熱変位に所
定の倍数をかけて、ラップ定盤11のラップ面11aの
軸長方向の熱変位を推算する機能をもつ。この際の演算
に使用する前記倍数は、ラップ定盤11のラップ面11
aの熱変位と測定面11bの熱変位とを実測する測定試
験を実施することにより、定められる。
【0039】すなわち、図5に示すように、ラップ定盤
11の代表部分の代表温度Tが上昇すると、この代表温
度Tに比例して、ラップ面11aの熱変位ΔSAと測定
面11bの熱変位ΔSBとが変化するものと想定され
る。すると、ラップ面11aの熱変位ΔSAの代表温度
Tに関する傾きaと、測定面11bの熱変位ΔSBの代
表温度Tに関する傾きbとは、代表温度Tが異なる数回
の測定を行うことによって測定することができる。
【0040】しかしながら、代表温度Tは媒介変数であ
って、必ずしも測定される必要はない。すなわち、図6
に示すように、ラップ面11aの熱変位ΔSAと測定面
11bの熱変位ΔSBとだけを測定することによって、
熱変位ΔSBに対する熱変位ΔSAの傾き(a/b)を
直接求めることができる。そこで、本実施例において
は、代表温度Tを測定することなく、ラップ面11aの
熱変位ΔSAと測定面11bの熱変位ΔSBとだけを測
定することによって、制御装置5で比例演算に使用する
前記倍数を設定している。
【0041】(実施例1の作用効果)本実施例の枚葉式
両面ラップ盤は、以上のように構成されているので、以
下のような作用効果を発揮する。先ず、ラッピング加工
を始めるに先立って、基準軸1に回転駆動されるラップ
定盤11のラップ面11aを、門型支柱8に固定された
駆動ローラ72の外周面の接面に合致するように、基準
軸1の位置を定める初期位置合わせを行う。この際、ボ
ールねじ15から離れた位置に測距センサ4が取り付け
られているので、この間の熱膨張が安定するように、ビ
ルトイン・モータ12の暖機運転を行ってから、前述の
初期位置合わせを行う。
【0042】そして初めのワークWを本実施例の枚葉式
両面ラップ盤に装着する場合には、再び図1に示すよう
に、基準軸1および加圧軸2が互いに離れる方向に後退
し、ラップ定盤11,21の間に適正な間隔が空けられ
る。また、退避装置6の作用により、パージ装置3等が
ワークWを収容するべき面内方向から退避し、互いに対
向してワークWを下方の両側から支える一対のパージ装
置3,4の上方に開口を形成し、ワークWが挿入される
際に邪魔にならないようにする。さらに、駆動ローラ装
置7のエアシリンダ74がフリーになり、スプリング7
5の付勢力で一対の駆動ローラ72,73が互いに離れ
て、ワークWを挿入するのに必要な間隔を空ける。その
結果、ワークWを上方から本実施例の枚葉式両面ラップ
盤に挿入することができるようになるので、図示しない
ロボットアームによりワークWの挿入が行われる。
【0043】すると、駆動ローラ装置7のエアシリンダ
74が作用して駆動ローラ72,73の間隔が狭めら
れ、駆動ローラ72,73が適正な押圧力をもってワー
クWを挟持するに至る。また、退避装置6が退避時とは
逆の順で作用し、ワークWの直上からパージ装置3が降
下してきて、パージ装置3に内蔵されたガイドローラ3
1がワークWの外周面に当接するに至る。その結果、ワ
ークWは三つのガイドローラ31で三方から回転可能に
支持され、ワークWの中心が枚葉式両面ラップ盤の所定
の位置に定まる。さらに、ワークWの外縁部は、三方で
三つのパージ装置3のスロットに挟まれ、そのうえ駆動
ローラ装置7の駆動ローラ72,73によって挟持され
ているので、ワークWの軸長方向の位置と姿勢も所定の
範囲に定まる。
【0044】そして、パージ装置3にパージ流体Pが流
され、ワークWの外縁部の一部が、パージ装置3のスロ
ットの中央部に挟持される。しかる後、基準軸1のラッ
プ定盤11がビルトイン・モータ12ごとボールねじ1
5で送られてきて、ゆっくりとワークWの一方の面に当
接する。この際、基準軸1は前述の初期位置合わせで定
めた位置までワークに向かって送られて止まり、基準軸
1に回転駆動されるラップ定盤11のラップ面11a
は、ワークWに当接または近接して正規の位置に止ま
る。そしてさらに、加圧軸2のラップ定盤21がビルト
イン・モータ22ごと加圧シリンダ23によってわずか
に送られてワークWの他方の面に当接する。すると、再
び図2に示すように、ワークWはラップ定盤11,21
によって軸長方向の位置が規定される。
【0045】このようにしてワークWが三つのガイドロ
ーラ31によって回転可能に支持され、両駆動ローラ7
2,73に挟持され、さらに両ラップ定盤11,21に
よって挟持されるに至ると、ラッピング加工が開始され
る。すなわち、再び図1に示すように、両ラップ定盤1
1,21には、それぞれの加工液供給孔10,20から
加工液Lが互いに等しい所定の流量率で供給される。す
ると、両ビルトイン・モータ12,22は、それぞれの
ラップ定盤11,21を互いに等しい回転率で互いに反
対方向に回転駆動する。同時に、駆動用モータ71が所
定の回転率で回転し、ワークWの外縁部を挟持している
両駆動ローラ72,73のうち一方72を介して、ワー
クWの外縁部を下方に押し出して、ワークWを所定の角
速度で回転させる。再び図2に示すように、両ラップ定
盤11,21は、ワークWの中心から外縁に至るまでの
範囲を覆っており、ワークWは所定の回転率で回転する
ので、ワークWの表裏両面の全体が、それぞれに摺接す
るラップ定盤11,21によってラッピング加工され
る。
【0046】かようにしてラッピング加工が始まると、
加工液Lを介してワークWに摺接するラップ定盤11の
ラップ面11a(図4参照)には摩擦熱が生じるので、
ラップ定盤11の温度が徐々に高まり、ラップ定盤11
は少しずつ熱膨張を起こす。すると、ラップ定盤11の
軸長方向の寸法が少し増え、ラップ面11aの軸長方向
の位置は、ワークWを押す方向に熱変位を生じる。同時
に、ラップ定盤11の測定面11b(図4参照)も、ワ
ークWに向かって軸長方向に熱変位を生じる。測定面1
1bの熱変位ΔSBは、測距センサ4によって測定され
て制御装置5に取り込まれる。制御装置5では、測定面
11bの熱変位ΔSBに所定の倍率(a/b)をかけて
ラップ面11aの熱変位ΔSAを推算し、ボールねじ1
5の駆動用モータ13に指令を与えて、熱変位ΔSAの
分だけ基準軸1を後退させる。このような熱変位の自動
補正は、ラッピング加工中に幾度でも、ラッピング加工
を中断することなくインプロセスで行われる。
【0047】それゆえ、ラップ面11aは駆動ローラ7
2の接面からずれることなく自動的に位置制御され、ワ
ークWに曲げモーメントがほとんど生じない状態を保っ
たままで、ラッピング加工を続けることができる。その
結果、ラッピング加工を中断することなく、ワークWの
ラッピング加工の仕上がり精度を十分に高く保つことが
可能になる。
【0048】こうして所定時間をかけてラッピング加工
が終了すると、両ラップ定盤11,21は互いに離れて
ワークWを開放し、併せて駆動ローラ装置7の駆動ロー
ラ73もワークWから離れてワークWを開放する。さら
に、再び図3に示すように、退避装置6の作用により、
パージ装置3が引き上げられてワークWから離れたうえ
で、ワークWの延長面上から待避して開口を生じる。そ
こで、この開口から、図示しないロボットアームが、ラ
ッピング加工済みのワークWを取り上げて次の工程に送
り、続けて次のワークWを同開口から本実施例の枚葉式
両面ラップ盤に装着する。この装着方法は、前述の一枚
目のワークWの装着時と同様であるが、ワークWの交換
の間もパージ流体Pは各パージ装置3に流されたまま
で、加工液Lのガイドローラ31への浸入を阻止してい
る。
【0049】このようにして、ワークWの交換時以外に
はラッピング加工を中断することなく、ラッピング加工
中に熱変位の自動補正が適正に行われた状態で、多数枚
のワークWが次々にラッピング加工される。ここで、前
述の熱変位の自動補正作用に関して制御装置5がもつア
ルゴリズムについて、図7に基づき、図8および図9を
参照しつつ、詳しく説明する。
【0050】熱変位の自動補正アルゴリズムは、図7に
示すように、基準軸1のビルトイン・モータ12が回転
を始め、基準軸1が正規の初期位置にまで送られるとス
タートする。先ず、処理ステップS1で初期設定が行わ
れ、基準軸1の位置Pの初期値と、測距センサ4から測
定面11bまでの距離SBの初期値(図8参照)とを、
制御装置5のメモリに記憶しておく。距離SBを測定す
るにあたっては、ラップ定盤11が所定の設定回転数を
回る間、幾度も測距センサ4による測距を行い、その平
均値を取って、外部からの振動等の外乱や測定面11b
の微小な凹凸および傾きに起因する測定値のばらつきを
除く。
【0051】次に、ラッピング加工が始まると、処理ス
テップS2および判断ステップS2からなるマイナール
ープに入る。すなわち、処理ステップS2では、先ほど
と同様にして、ラップ定盤11の設定回転数内で幾度
も、基準軸1側のラップ定盤11の裏面にある測定面1
1bまでの距離が測距される。そしてそれらの平均値を
もって新たな距離SB’(図9参照)が算出され、前回
の距離SBからの増加分をもって熱変位ΔSBが算出さ
れる。しかる後、判断ステップS3で熱変位ΔSBが許
容値を越えたか否かが判定される。この判断ステップS
3で熱変位ΔSBがこの許容値内にあると判定された場
合には、熱変位ΔSBに関しては正常な範囲でラッピン
グ加工が行われているもの考えられるので、ロジックは
処理ステップS2に戻る。そして、判断ステップS3で
熱変位ΔSBが許容値を超えたと判定されるまで、処理
ステップS2および判断ステップS2からなるマイナー
ループが繰り返される。
【0052】逆に、判断ステップS3で判断ステップS
3で熱変位ΔSBが許容値を超えたと判定されると、熱
変位ΔSBに関するラップ面11aの位置補正が必要で
あると考えられる。そこでロジックは、前記マイナール
ープを脱して次の処理ステップS4,S5に進み、熱変
位の自動補正が行われる。すなわち、処理ステップS4
で同ステップのブロック内に図示の数式に従い、ラップ
定盤11のラップ面11aの熱変位ΔSAが、測定面1
1bの熱変位ΔSBに所定の倍数(a/b)をかけるこ
とによって推算される。この際、前述の新たに測定され
た熱変位ΔSBを前回の距離SBに足すことにより、メ
モリに記憶された距離SBを更新して次回の熱変位の自
動補正に備える。そして、次の処理ステップS5で基準
軸1の新たに取るべき位置Pが算出され、基準軸1はボ
ールねじ15により、ラップ面11aの熱変位の推定値
ΔSAだけ後退させられる(図9参照)。その結果、再
び図8に示すように、ラップ面11aの位置は、駆動ロ
ーラ72の位置対して所定の範囲に収まり、精密なラッ
ピング加工が続けられる。
【0053】最後に、全てのワークWの加工が完了した
か否かが判断ステップS6で判定され、全てのワークW
の加工を完了するまで、ステップS2〜S6のメジャー
ループが繰り返される。なお、初めからワークWがない
場合や、熱変位ΔSBが許容値内に安定しているうちに
全てのワークWの加工を完了した場合に備えて、判断ス
テップS6は、実際には処理ステップS2の直前に配さ
れているのであるが、図7では理解が容易なように表記
した。
【0054】その結果、ワークWは常にほとんど曲げモ
ーメントを受けることなくラッピング加工されるので、
ワークWの加工精度は十分に高く保たれる。また、ラッ
プ定盤11のラップ面11aの熱変位に関しては、運転
員が調整作業を行う必要もなく、本実施例の枚葉式両面
ラップ盤は自動運転を続けることができる。それゆえ、
ラップ面11aの熱変位に関しては調整作業工数もかか
らず、生産性が低下することもない。
【0055】以上詳述したように、本実施例の枚葉式両
面ラップ盤によれば、ラッピング加工中にも熱変位の自
動補正を行うことができる。それゆえ、加工コストの増
大を招くことなく、十分な仕上がり精度でラッピング加
工を行うことができるという効果がある。また、測距セ
ンサ4とそのインターフェースを増設し、熱変位の自動
補正プログラムを制御装置5に組み込む程度のことで実
施できるので、装置価格の上昇を最低限に抑制できると
いう効果もある。
【0056】(実施例1の変形態様1)本実施例の変形
態様1として、ラップ定盤11が外周面から突出したフ
ランジ部をもち、同フランジ部の表裏両面のうち一方を
測定面とする枚葉式両面ラップ盤の実施が可能である。
本変形態様では、ラップ定盤11の背面よりも軸長方向
の位置がラップ面11aに近い位置にフランジ部を形成
することができるので、ラップ面11aにより近い位置
に測定面を形成することができる。それゆえ、ラップ面
11aの熱変位により近い熱変位が測定面に起こるの
で、ラップ定盤11における温度分布の不均一などに起
因するラップ面11aの熱変位の推算がより精密にでき
るようになる。
【0057】また、フランジ部の表面(ラップ面11a
と同じ方向を向いた面)に測定面を形成し、測距センサ
4を基準軸1ではなく基台テーブル100に固定すれ
ば、基準軸1の熱膨張も含めて測定面の熱変位を測定す
ることができるようになる。それゆえ、基準軸1の暖機
運転が不要になり、ラッピング加工をすぐに開始できる
ようになる。
【0058】したがって本変形態様によれば、前述の第
1手段の効果に加えて、ラップ面11aの位置制御がよ
り精密になるという効果があり、測距センサ4の配置に
よっては暖機運転を省くことも可能になるという効果が
ある。 (実施例1の変形態様2)本実施例の変形態様2とし
て、測距センサ4が基台テーブル100に支持されてお
り、引っ込み式になっている枚葉式両面ラップ盤の軸出
力が可能である。
【0059】本変形態様では、基台テーブル100に対
してラップ定盤11の測定面11bの熱変位が測定され
るうえに、基準軸1の熱膨張も含めて測定面の熱変位を
測定することができるようになる。それゆえ、ラップ面
11aの位置制御がより精密にできるようになるととも
に、基準軸1の暖機運転が不要になってラッピング加工
をすぐに開始できるようになる。
【0060】したがって本変形態様によれば、前述の第
1手段の効果に加えて、ラップ面11aの位置制御がよ
り精密になるうえに暖機運転を省くことも可能になると
いう効果がある。 (実施例1の変形態様3)本実施例の変形態様3とし
て、ボールねじ15と測距センサ4との間の熱膨張を補
正するために、ボールねじ15と測距センサ4との間の
基準軸1のフレームに盲孔を形成し、同盲孔の中に温度
センサを装置した枚葉式両面ラップ盤の実施も可能であ
る。
【0061】本変形態様によっても、ラップ面11aの
熱変位のうち基準軸1の熱膨張に起因する分を補正でき
るようになるので、基準軸1の暖機運転が不要になって
ラッピング加工をすぐに開始できるようになる。したが
って本変形態様によれば、前述の第1手段の効果に加え
て、暖機運転を省くことが可能になるという効果があ
る。
【0062】(実施例1の変形態様4)本実施例の変形
態様4として、駆動ローラ装置7の軸長方向の位置を門
型支柱8に対して微小ストロークだけ精密に調整できる
ように、駆動ローラ装置7が積層型圧電アクチュエータ
を介して門型支柱8に支持されている枚葉式両面ラップ
盤の実施も可能である。
【0063】本変形態様では、駆動ローラ72,73の
位置が積層型圧電アクチュエータによって精密に調整が
できるので、測距センサ4の測定精度と同程度の精度で
ラップ面11aの位置制御をすることが可能になる。し
たがって本変形態様によれば、前述の第1手段の効果に
加えて、よりいっそう精密にワークWをラッピング加工
することができるようになるという効果がある。
【0064】(実施例1の変形態様5)本実施例の変形
態様5として、実施例1の制御ロジック(図7参照)で
は、熱変位ΔSBが許容値が越えた場合にのみその補正
を行うようになっているが、許容値を設定せず、算出さ
れた熱変位ΔSBの分だけ常に補正を行う制御ロジック
を採用した枚葉式両面ラップ盤の実施が可能である。
【0065】本変形態様では、実施例1の効果に加え
て、基準軸1側のラップ定盤11が、センサ/アクチュ
エータの精度の範囲で最も望ましい位置に常に保たれる
ので、ワークWの仕上がり精度がより向上するという効
果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としての枚葉式両面ラップ盤の構成
を示す平面図
【図2】 実施例1としての枚葉式両面ラップ盤の構成
を示す側面図
【図3】 実施例1の退避装置の構成および動作を示す
正面図
【図4】 実施例1の枚葉式両面ラップ盤のシステム構
成を示すブロック図
【図5】 基準軸側のラップ定盤の表裏両面の熱変位を
示すグラフ
【図6】 基準軸側のラップ定盤の表裏両面の熱変位の
関係を示すグラフ
【図7】 実施例1での熱変位の自動補正ロジックを示
すフローチャート
【図8】 実施例1において適正に調整された状態を示
す模式図
【図9】 実施例1における熱変位後の状態を誇張して
示す模式図
【図10】従来の枚葉式両面ラップ盤の要部構成を示す
斜視図
【図11】枚葉式両面ラップ盤の正常な状態を示す要部
模式図
【図12】枚葉式両面ラップ盤の熱変位後の状態を示す
要部模式図
【符号の説明】
100:基台テーブル 1:基準軸 10:加工液供給孔 11:ラップ定盤(リング状) 11a:ラップ面 12:ビルトイン・モータ 13:ボールねじ駆動モ
ータ 14:レール 15:ボールねじ 2:加圧軸 20:加工液供給孔 21:ラップ定盤(リング状) 21a:ラップ面 22:ビルトイン・モータ 23:加圧シリンダ 3:パージ装置 30:パージ流体供給孔 31:ガイドローラ 6:退避装置 61:エアシリンダ 62:回動軸 63:ロータ
リアクチュエータ 64:ブラケット 7:駆動ローラ装置 71:駆動用モータ 72,73:駆動ローラ(外周
面は円錐面) 74:エアシリンダ 75:スプリング 8:門型支柱 L:加工液(水を溶媒とし砥粒を含むスラリー) P:水(パージ流体として) W:ワーク(円盤状のシリコンウェーハ) 101,102:ラップ定盤 101a:ラップ面 103:ガイドローラ 104,105,106:駆
動ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 敏夫 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 阿部 守年 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 稲田 豊 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 岩井 英樹 愛知県刈谷市朝日町1丁目1番地 豊田工 機株式会社内 (72)発明者 南 秀旻 群馬県安中市中野谷555番地の1 株式会 社スーパーシリコン研究所内 Fターム(参考) 3C058 AA07 AA12 AA16 AC04 BA07 BB02 BB06 BB08 BB09 CB01 CB03 DA02 DA17

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円盤状のワークを表裏両面から挟持しつつ
    互いに対向して回転し、該ワークの該表裏両面をラッピ
    ング加工する一対のラップ定盤と、 該ワークの外周面に当接し該ワークを回転可能に支持す
    る複数のガイドローラと、 該ワークの外縁部を挟持し該ワークを回転駆動する少な
    くとも一対の駆動ローラと、 各該ガイドローラおよび各該駆動ローラを支持する基台
    テーブルと、を有する枚葉式両面ラップ盤において、 両前記ラップ定盤のうち一方を軸長方向に移動させて位
    置決めし、該ラップ定盤を軸支して回転駆動する基準軸
    と、 両該ラップ定盤のうち他方を軸支して回転駆動しつつ所
    定の押圧力をもって前記ワークに押し付ける加圧軸と、 該基準軸に回転駆動される該ラップ定盤に形成された測
    定面の軸長方向の位置を測定する位置センサと、 該位置センサの測定結果に基づいて該ラップ定盤の該ラ
    ップ面の軸長方向の熱変位を推算し、該熱変位を補正し
    て該ラップ面と前記駆動ローラとの相対位置を調整する
    制御装置と、をさらに有することを特徴とする枚葉式両
    面ラップ盤。
  2. 【請求項2】前記制御装置は、前記基準軸に回転駆動さ
    れる前記ラップ定盤の前記測定面の前記熱変位に所定の
    倍数をかけて、該ラップ定盤の前記ラップ面の前記熱変
    位を推算する数値制御装置である、 請求項1記載の枚葉式両面ラップ盤。
  3. 【請求項3】前記制御装置は、前記基準軸の位置を調整
    することにより、前記熱変位を補正して前記ラップ面と
    前記駆動ローラとの前記相対位置を調整する数値制御装
    置である、 請求項1記載の枚葉式両面ラップ盤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100558968B1 (ko) * 2002-12-13 2006-03-10 한국수력원자력 주식회사 엔드 피팅 연마장치

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