JP2000159577A - セラミック基板の製造方法 - Google Patents

セラミック基板の製造方法

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JP2000159577A
JP2000159577A JP11228731A JP22873199A JP2000159577A JP 2000159577 A JP2000159577 A JP 2000159577A JP 11228731 A JP11228731 A JP 11228731A JP 22873199 A JP22873199 A JP 22873199A JP 2000159577 A JP2000159577 A JP 2000159577A
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laser light
pigment
hole
carrier film
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Hiroaki Hasegawa
浩昭 長谷川
Akio Yoshida
明男 吉田
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Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス成分(ガラス、石英)の含有率が高い
セラミック基板の製造工程において、樹脂製のキャリア
フィルム上に存在するグリーンシートに、レーザー加工
によりスルーホールを形成するに際し、キャリアフィル
ムの破損を抑えることができ、また、スルーホール周囲
の盛り上がりを抑えることができる方法を提供する。 【解決手段】 セラミック骨材、ガラス成分およびバイ
ンダに加えてレーザー光吸収剤を含有するグリーンシー
トを、レーザー加熱により加工する。レーザー光吸収剤
の添加は、グリーンシート中においてセラミック骨材と
ガラス成分との合計に対しガラス成分が80体積%以上
を占める場合に特に有効である。前記レーザー光吸収剤
としては、顔料(ただし、カーボンブラックを除く)を
含有するものを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック骨材と
ガラスとを含有するガラス−セラミックス複合基板を製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピューターの高速化、民生機
器の高周波化に伴い、それら一般に使用される多層セラ
ミック基板には、回路信号伝達を高速化する上で以下の
ような要件が必要となっている。(a)比誘電率が低い
こと。(b)誘電損失が低いこと。(c)抵抗が低い低
融点配線材料との同時焼成が可能なように焼結温度が低
いこと。さらに、(d)回路を保持するための基板に必
要とされる十分な抗折強度をもつこと。
【0003】このような要件を満足するために、低融点
化が可能なガラス−セラミックス複合基板において、セ
ラミック骨材とガラスとの組み合わせなどについて研究
が進められている。例えば、本出願人による特開平9−
295827号公報では、上記要件を満足するガラス−
セラミックス複合基板が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、多層セ
ラミック基板の製造を、以下の手順で行っている。ま
ず、セラミック骨材粉末、ガラス粉末およびバインダを
少なくとも含有するグリーンシートを、樹脂製のキャリ
アフィルム上に形成する。次に、配線層間を電気的に接
続するためのスルーホールを、各グリーンシートに形成
する。次いで、グリーンシート上に導体パターンを形成
すると共にスルーホール内に導体を充填した後、キャリ
アフィルムからグリーンシートを剥離して積層し、焼成
して多層セラミック基板を得る。スルーホールの形成に
は、レーザー加工、すなわち、レーザービームによる孔
開け加工を利用する。
【0005】本発明者らは、ガラス−セラミックス複合
基板において、ガラスや石英など、レーザー光を実質的
に吸収しない材料をガラス成分と総称したとき、ガラス
成分の比率が高いとレーザー光の吸収率が低くなって、
スルーホールの形成が困難となることを見いだした。
【0006】レーザー出力を著しく高くすれば孔開けは
可能であるが、その場合には、キャリアフィルムが熱に
より破損し、その破片がスルーホール内に残存してしま
うことがわかった。このキャリアフィルムの破片は焼成
によりガス化するため、焼成後のスルーホール壁面、す
なわちセラミック素体のスルーホールに面した領域にポ
アが生じてしまう。また、レーザー出力が高いと、レー
ザービーム入射側のスルーホール周囲が大きく盛り上が
ってしまうため、グリーンシート表面に導体パターンを
印刷したときにスルーホール周囲においてパターンが薄
くなり、断線が生じやすくなる。
【0007】本発明の目的は、ガラス成分(ガラス、石
英)の含有率が高いセラミック基板の製造工程におい
て、樹脂製のキャリアフィルム上に存在するグリーンシ
ートに、レーザー加工によりスルーホールを形成するに
際し、キャリアフィルムの破損を抑えることができ、ま
た、スルーホール周囲の盛り上がりを抑えることができ
る方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
および(2)のいずれかの構成により達成される。 (1) セラミック骨材、ガラス成分、バインダおよび
レーザー光吸収剤を含有するグリーンシートを樹脂から
なるキャリアフィルム上に形成した状態で、レーザー加
熱により前記グリーンシートにスルーホールを形成する
工程を有し、前記レーザー光吸収剤として、カーボンブ
ラックを除く顔料を含有するものを用いるセラミック基
板の製造方法。 (2) 前記グリーンシート中において、セラミック骨
材とガラス成分との合計に対しガラス成分が80体積%
以上を占める上記(1)のセラミック基板の製造方法。
【0009】
【作用および効果】本発明では、樹脂製キャリアフィル
ムの上に形成したグリーンシートに、レーザー加工によ
りスルーホールを形成するに際し、顔料を含有するレー
ザー光吸収剤をグリーンシートに添加しておく。そのた
め、キャリアフィルムのガス化に起因するスルーホール
壁面へのポアの生成と、スルーホール周囲の盛り上がり
とが、抑制される。
【0010】ところで、特開平7−106192号公報
には、レーザー光吸収剤を含有するセラミックグリーン
シートを有するレーザー加工用セラミックグリーンシー
トが記載されている。同公報記載のグリーンシートは、
レーザー光吸収剤を含有する点において本発明における
グリーンシートと同じである。ただし、同公報には、レ
ーザー光吸収剤として有機色素が好ましい旨の記載があ
り、実施例においても特定の有機色素だけを使用してお
り、顔料についての具体的記載はない。これに対し本発
明では、レーザー光吸収剤として顔料を含有するものを
用いる。以下、本発明において顔料を用いることの利点
を、有機色素を用いる場合と比較しながら説明する。
【0011】有機色素は溶媒に溶解させて用いるのに対
し、顔料は溶媒に分散させて用いる。これらをグリーン
シートに含有させたとき、有機色素を含有するグリーン
シートでは、有機色素およびセラミック骨材に吸収され
なかったレーザー光はグリーンシートを透過し、キャリ
アフィルムまで到達する。これに対し、顔料を含有する
グリーンシートでは、一部吸収されなかったレーザー光
が顔料表面で反射し、散乱される。したがって、顔料含
有グリーンシートでは、有機色素含有グリーンシートに
比べ、キャリアフィルムに到達するレーザー光量が少な
くなり、かつ、レーザー光の利用効率が高くなる。その
結果、顔料を用いる場合には、キャリアフィルムの破損
によるグリーンシートのポア発生が抑制され、かつ、レ
ーザー光吸収剤の使用量が少なくて済む。
【0012】また、有機色素は一般に耐熱性が低いた
め、有機色素含有グリーンシートにレーザー光を照射す
ると、有機色素が急速に炭化してしまう。すなわち、ス
ルーホール形成に十分な程度まで照射部の温度が上昇す
る前に有機色素が炭化し、レーザー光吸収に寄与する有
機色素の量が減ってしまうため、レーザー光の吸収効率
が低くなってしまう。これに対し顔料は耐熱性が高いた
め、有機色素に比べより少ない添加量で同等の吸光効果
が得られる。そのため、グリーンシートを焼成してセラ
ミック基板としたときに、セラミック基板中の残留炭素
量を少なくできるので、セラミック基板の特性低下を抑
えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で用いるグリーンシート
は、セラミック骨材、ガラス成分およびバインダを含有
し、さらに、顔料を含有するレーザー光吸収剤を含有す
る。グリーンシートは、これらと溶媒とを混練してスラ
リーとし、このスラリーを、樹脂製のキャリアフィルム
上にドクターブレード法などにより塗布することにより
作製する。グリーンシートの厚さは特に限定されない
が、一般に25〜300μm程度とする。
【0014】本発明で用いるレーザー光吸収剤として
は、スルーホール形成に使用するレーザービームの波長
において吸収を示す顔料を含有するものであれば特に限
定されないが、好ましくは、焼成後に残留しない顔料を
含有するものを選択する。レーザー光吸収剤は、バイン
ダを溶解させた溶媒中に顔料粒子を分散させた形態とす
ることが好ましい。
【0015】レーザー光吸収剤中では、顔料が安定して
分散されていることが好ましい。また、グリーンシート
作製に用いるバインダ溶液とレーザー光吸収剤とを混合
したときに、顔料が凝集しないことが好ましい。このよ
うに安定した分散が可能な顔料として、例えばアゾ系、
キナクリドン系、イソインドリノン系、アントラキノン
系、ジオキサジン系、ペリレン系、ペリノン系、フタロ
シアニン系、DPP系等の各種有機顔料または無機顔料
が使用できる。これらのうちでは、焼成により炭化して
基板特性に悪影響を及ぼさないことから有機顔料が好ま
しく、有機顔料のなかでは、溶媒に安定して分散可能で
あり、かつ、溶媒や可塑剤などに対して比較的安定であ
ることから、ジオキサジン系顔料が好ましい。有機顔料
には、後述する実施例に示されるようにYAGレーザー
の波長(1.06μm)において十分な吸収を示すもの
が存在する。なお、カーボンブラックも顔料の1種であ
るが、カーボンブラックを使った場合、同等のレーザー
光を吸収するために有機顔料と同等の含有量としても、
焼成による減量がないので、セラミック基板中のカーボ
ン量が有機顔料を用いた場合に比べ多くなる。そのた
め、セラミック基板の特性劣化が大きくなる。したがっ
て、本発明ではカーボンブラックを使用しない。
【0016】レーザー光吸収剤は、ボールミル、アトラ
イタ、サンドミル、ビーズミル等の分散機を用い、顔料
をバインダ溶液中に分散させて調製する。このとき、分
散粒子の粒子径が1μm以下となるようにすることが好
ましい。
【0017】本発明で用いる顔料は、使用するレーザー
光波長における分子吸光係数が1000〜4000、特
に1000〜3000であることが好ましい。分子吸光
係数が低すぎると、レーザー光の吸収効率が低いために
顔料添加による効果が低くなる。一方、分子吸光係数が
高すぎると、グリーンシートの着色濃度が高くなるの
で、グリーンシートに形成した位置決め穴を画像認識す
る際に精度が低くなってしまう。分子吸光係数は、分子
1モル当たりの吸収光量を意味し、前記特開平7−10
6192号公報に記載されている。同公報には、分子吸
光係数が5000以上、特に10000以上であるレー
ザー光吸収剤を用いることが好ましい旨の記載がある
が、このように分子吸光係数の高いレーザー光吸収剤を
用いると、上述した問題が生じてしまう。なお、本発明
において加工に使用するレーザー光の波長は特に限定さ
れないが、通常、このようなレーザー加工に汎用されて
いるYAGレーザー(波長1.06μm)を利用すれば
よい。
【0018】レーザー光吸収剤用の溶媒は、グリーンシ
ート作製に用いるバインダおよび溶媒と相溶するものを
選択するが、グリーンシート用の溶媒と同一のものが使
用可能であれば、それが最も好ましい。
【0019】グリーンシート中における顔料の含有率
は、主としてレーザー光の波長における吸光度に応じて
適宜決定すればよい。例えば、上記したような顔料で
は、セラミック骨材とガラス成分との合計に対し、好ま
しくは0.0001〜1重量%、より好ましくは0.0
005〜0.5重量%、さらに好ましくは0.0005
〜0.1重量%であり、最も好ましくは0.0005〜
0.05重量%である。顔料の含有率が低すぎると、ス
ルーホール形成時のレーザー出力を低く抑える効果が不
十分となる。一方、顔料の含有率が高すぎると、グリー
ンシート表面に導体パターンを印刷する工程において画
像認識が困難となるほか、焼成後の残留カーボン量が多
くなったり、無機顔料を使用した場合にはグリーンシー
ト中の金属組成の変化が生じたりして、特性低下を招き
やすい。
【0020】グリーンシート作製に用いるバインダおよ
び溶媒は、レーザー光吸収剤中の溶媒やバインダに対す
る相溶性、溶解性を考慮して適宜選択すればよい。例え
ばレーザー光吸収剤として上記したような有機顔料を用
いる場合、バインダには、アクリル系樹脂、エチレン−
酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール、エチルセルロ
ース、セルロースエステル類等の中から少なくとも1種
を選択すればよい。また、溶媒としては、バインダの溶
解性を考慮して、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサン、石油溶剤等の炭化水素類、アセト
ン、メチルエチルケトン、MIBK等のケトン類、酢酸
エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチルセロソル
ブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリ
コールエーテル類などの中から少なくとも1種を選択す
ればよい。バインダおよび溶媒は、セラミック骨材+ガ
ラス成分に対しそれぞれ7〜20重量%程度および40
〜60重量%程度用いればよい。
【0021】本発明は一般に、透明性の高いグリーンシ
ートに対してレーザー加工性を向上させる効果を示す
が、グリーンシート中におけるセラミック骨材+ガラス
成分に対するガラス成分の体積比が80%以上である場
合に、特に有効である。本明細書においてガラス成分と
は、スルーホール形成に一般的に用いられるレーザー光
の波長において実質的に吸収を示さない材料であり、具
体的にはガラスおよび石英である。ガラス成分の含有率
が高いグリーンシートにレーザー光吸収剤を添加するこ
とにより、レーザー加工性が著しく向上する。なお、本
発明は、ガラス成分としてガラスおよび石英の両方を使
用する場合、ならびに一方だけを使用する場合のいずれ
にも有効である。ガラスは、一般に低温焼成のために添
加され、石英は、一般に低誘電率化のために添加され
る。
【0022】セラミック骨材およびガラス成分として具
体的に使用する材料は特に限定されず、従来のセラミッ
ク基板に用いられている各種材料が使用可能である。例
えば、セラミック骨材には、アルミナ、ムライト、スト
ロンチウム長石(SrO・Al23・2SiO2を生成
しうる組成の複合酸化物)、コージェライト、フォルス
テライト、アノーサイト等の少なくとも1種を用いるこ
とができ、ガラスには、硼珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガ
ラス等の少なくとも1種を用いることができ、石英に
は、市販のシリカを用いることができる。
【0023】なお、グリーンシートには、可塑剤や分散
剤などの各種添加物が必要に応じて含まれていてもよ
い。
【0024】キャリアフィルムに用いる樹脂フィルムは
特に限定されないが、本発明では、従来と同等のパワー
のレーザービームを使用することができるため、従来使
用されている材質、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト(PET)などが使用可能である。キャリアフィルム
の厚さは、一般に50〜150μm程度である。
【0025】グリーンシートへのスルーホールの形成に
は、例えば、YAGレーザー(波長1.06μm)を用
いるレーザー加工を利用し、グリーンシートをキャリア
フィルム上に形成した状態でレーザー光を照射する。
【0026】スルーホール形成後、グリーンシート表面
に、抵抗体やコンデンサ、配線用導体などとなる導体パ
ターンを、スクリーン印刷などにより形成すると同時
に、スルーホール内に導体を充填する。
【0027】導体パターン形成後、キャリアフィルムを
剥離し、次いで、グリーンシート同士を積層して圧着す
る。なお、本発明は、グリーンシートを積層しない製造
方法、すなわち、単層のセラミック基板の製造にも適用
可能である。
【0028】次いで、グリーンシートまたはその積層体
を、適切な温度で焼成し、セラミック基板を得る。ガラ
スを添加したグリーンシートを用いる場合には、焼成温
度を例えば950℃程度以下にできるので、導体パター
ンにAgを用いた場合でも同時焼成が可能である。
【0029】
【実施例】C.I.ピグメント バイオレット23(ジ
オキサジン系顔料) 9重量部、ニトロセルロース(F
QRS−1/8:ダイセル化学工業製、固形分70%)
4重量部、アクリル樹脂(ダイヤナールLR−153
2:三菱レイヨン製、固形分60%)7重量部、酢酸イ
ソブチル3重量部をボールミル中で16時間分散した
後、さらに、上記アクリル樹脂60重量部と酢酸イソブ
チル17重量部とを加えて均一に混合し、顔料分9重量
%のレーザー光吸収剤(紫色)を得た。
【0030】このレーザー光吸収剤をトルエンで希釈し
て顔料濃度0.11g/lの希釈液を調製し、トルエンを
対照として吸光度を測定した。波長860〜1200nm
における吸光度を図1に示す。図1から、このレーザー
光吸収剤がYAGレーザーの波長である1.06μmに
おいて吸収を示すことがわかる。上記ジオキサジン系顔
料の分子吸光係数を、以下のようにして求めた。上記ジ
オキサジン系顔料の分子式はC342442Cl2(分
子量591.5)であるため、顔料濃度0.11g/lの
希釈液のモル濃度は0.19×10-3Mとなる。また、
波長1.06μmにおける吸光度は約0.32(図1参
照)なので、分子吸光係数は約1700となる。
【0031】次に、このレーザー光吸収剤を用い、以下
の手順でグリーンシートを作製した。
【0032】セラミック骨材には、ストロンチウム長石
の粉末を用いた。ガラス成分には、SiO2 :62.5
重量%、Al23: 7.0重量%、B23 :21.
0重量%、SrO : 1.5重量%、CaO :
3.5重量%、MgO : 1.5重量%、ZnO :
1.0重量%、Sb23: 2.0重量%からなるガ
ラス粉末と、α−石英粉末(日窒工業製のハイシリカ)
とを用いた。これらはいずれも平均粒径が約2μmであ
った。それぞれの含有量は、ストロンチウム長石10体
積%、ガラス粉末70体積%、α−石英20体積%とし
た。したがって、ガラス成分は全体の90体積%を占め
ることになる。
【0033】セラミック骨材+ガラス成分に対し、バイ
ンダとしてアクリル系樹脂を15重量%、溶媒としてト
ルエンを50重量%、上記レーザー光吸収剤を0.1重
量%混合してスラリーとし、このスラリーを、PETか
らなるキャリアフィルム上にドクターブレード法により
塗布して、厚さ約130μmのグリーンシートを得た。
また、レーザー光吸収剤を添加しなかったほかは上記グ
リーンシートと同様にして、比較用のグリーンシートを
作製した。また、セラミック骨材としてアルミナ粉末を
用い、上記石英を添加せずに上記ガラス粉末だけを添加
して、ガラス成分の体積比[ガラス/(アルミナ+ガラ
ス)]を70%とし、かつ、レーザー光吸収剤を添加し
なかったほかは上記グリーンシートと同様にして、比較
用のグリーンシートを作製した。
【0034】次に、キャリアフィルム上のグリーンシー
トに、YAGレーザーを利用してスルーホールを形成し
た。この結果、上記レーザー光吸収剤を含むグリーンシ
ート、および、ガラス成分の体積比が70%であってレ
ーザー光吸収剤を含まないグリーンシートでは、直径1
00〜200μmのスルーホールが形成された。これに
対し、ガラス成分の体積比が90%であり、レーザー光
吸収剤を含まないグリーンシートでは、スルーホールは
形成できず、レーザー発振装置の電流値を10%以上上
げて、初めてスルーホールが形成できた。
【0035】スルーホール形成後、各グリーンシートに
ついてスルーホール付近の起伏を表面粗さ計により調べ
たところ、スルーホール周囲の盛り上がり量は、レーザ
ー光吸収剤を含むグリーンシートでは7.1μm、ガラ
ス成分の体積比が70%であるグリーンシートでは1
0.7μmであり、いずれも平坦性が良好であった。レ
ーザー光吸収剤を含むグリーンシートについて、スルー
ホール付近の表面の光学顕微鏡写真を図2に示す。
【0036】次に、それぞれのグリーンシートを使用
し、以下の手順で多層セラミック基板を作製した。ま
ず、Agペースト印刷後にキャリアフィルムを剥離した
グリーンシート4枚を、蓋として用いる2枚のグリーン
シート間に挟んで積層体を作製し、この積層体に700
kgf/cm2の圧力を加えてグリーンシート同士を圧着し
た。次に、空気中において900℃で10分間焼成し、
多層セラミック基板を得た。
【0037】これらの多層セラミック基板を切断し、断
面を走査型電子顕微鏡により観察した。その結果、上記
レーザー光吸収剤を含むグリーンシートを用いた基板、
および、ガラス成分の体積比を70%としたグリーンシ
ートを用いた基板では、スルーホール壁面を構成するセ
ラミック層にポアは認められなかった。これに対し、レ
ーザー光吸収剤を含まないために高出力のレーザービー
ムによりスルーホールを形成したグリーンシートを用い
た基板では、キャリアフィルムの破片がガス化したこと
により形成されたと考えられるポアが認められた。レー
ザー光吸収剤を含むグリーンシートを用いた基板の断面
写真を、図3に示す。また、高出力のレーザービームに
よりスルーホールを形成したグリーンシートを用いた基
板の断面写真を、図4に示す。図3および図4に示す基
板断面には、4層のセラミック層を貫くスルーホールが
認められる。図3では、スルーホール壁面は平滑であ
り、内部にAgが隙間なく充填されていることがわか
る。これに対し図4では、図中下から2層目および3層
目のセラミック層において、スルーホールの図中左側壁
面にポアが形成されており、これらのポア中にはAgが
存在しないことがわかる。
【0038】なお、上記実施例ではレーザー光吸収剤の
添加量を0.1重量%(顔料含有量は0.009重量
%)としたが、これを0.01重量%とした場合でも、
上記実施例と同等の効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザー光吸収剤希釈液の吸光度スペクトルを
示すグラフである。
【図2】基板上に形成された微細なパターンを示す図面
代用写真であって、グリーンシート表面のスルーホール
形成領域を示す光学顕微鏡写真である。
【図3】セラミック材料の組織を示す図面代用写真であ
って、本発明により製造された多層セラミック基板のス
ルーホール付近断面の走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】セラミック材料の組織を示す図面代用写真であ
って、従来の方法により製造された多層セラミック基板
のスルーホール付近断面の走査型電子顕微鏡写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 3/46 C04B 35/00 J

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック骨材、ガラス成分、バインダ
    およびレーザー光吸収剤を含有するグリーンシートを樹
    脂からなるキャリアフィルム上に形成した状態で、レー
    ザー加熱により前記グリーンシートにスルーホールを形
    成する工程を有し、前記レーザー光吸収剤として、カー
    ボンブラックを除く顔料を含有するものを用いるセラミ
    ック基板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記グリーンシート中において、セラミ
    ック骨材とガラス成分との合計に対しガラス成分が80
    体積%以上を占める請求項1のセラミック基板の製造方
    法。
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